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ボルネオの花

5日目 2014516()

コタキナバル ←→ クロッカー・レンジ

 

 

六時起床。窓から見える空は曇っています。

 

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六時半から朝食です。いつものように我々日本人グループが一番乗りです。

 

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 代わり映えしないメニュー・・・と思ったら、一つだけ違うことに気が付きました。写真下左が昨日、右が本日です。皿の上の飾りが昨日はウツボカズラで、今日は何か黄色い花に変わっています。

 本日の飾りにはKotabian tadau tagazo do kaamatanとあり、ネットで見るとマレーシア語で「収穫祭、おめでとう」くらいの意味のようです。だから、これは黄色い花ではなく、稲を表しているのでしょう。

 

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予定どおりにホテルを出発(7:57)。今日は昨日と同じクロッカー・レンジ国立公園に出かけて、ラン初めとする草花を観ます。

 

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 二台の車で移動しているので、毎日のように車が代わります。フロントのガラスに貼ってある表示では80km/hで、 高速道路(lebuhraya)では90km/hとあります。普通の道路と高速道との違いがたった10km/hなんでしょうか?

 

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 すでに三度目の往き慣れた道を順調に進みます。今日はキナバル山がくっきりと見えます(写真下右)

 

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道路では草刈機を使って除草しています。道の周囲には除草剤がまかれ、草が大規模に枯れているのを見ます。あれは良くない。草刈機も除草剤も草をなくすのだから、同じように見えますが、実は致命的に違います。除草剤は全部枯らしてしまうので、元々あった弱い植物は絶滅し、外来種など強い植物がその後に繁茂します。

 

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 ボルネオでは原生林の開拓が進み、森林破壊があちらこちらで起きています。森林同士が分段されてしまい、動物の往来がなくなり、種の保存に影響が出ていると言います。「ボルネオ保全トラスト・ジャパン」では、森と森をつなぐ事業をしているというので、私も少額ですが、寄付しました。

 

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昨日と同じように、植物ガイドのリヌスさんを拾うためにキパンディ・パークに立ち寄りました(8:529:21)

 

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 入口の左右には大きなビカクシダが植えられています。熱帯らしい雰囲気でいいですねえ。

 

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写真上左右 Platycerium coronarium

 

 駐車場の土手にもランが植えられています。自然に生えていたら、皆さん写真を撮るのだろうが、花壇に植えられたランにはいたって無関心です。

 

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写真上 Phaius tankervilliae (『キナバル山の植物』p.46

 

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写真上 Arundina graminifolia (『キナバル山の植物』p.23)

 

 ここに来るとどうしてもランに目が行きますが、ラン以外の花にも目を向けてみましょう。

 

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 たぶんここにある花は珍しくはないはずなのに、大半が図鑑には載っていませんでした。前にも書きましたが、ランやウツボカズラなど特定の花に特化した本はたくさんあるのに、マレーシアの一般的な野生植物についての本は意外に少ない。特に驚いたのは、ボルネオの一般的な植物についての本がほぼ皆無であることです。

 

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写真上 Dillenia suffruticosa (Malaysian Flowers in Colour, p.55)

 

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 虫の好きな柴山さん(仮名)がカエルを見つけました。アマガエルと違い、色がそのままです。英語名はKinabalu Tree Frogというのだから、このあたりの特産品でしょうか。金色の目をしています。

 

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写真上 Rhacophorus baluensis

 

 柴山さんはナナフシも見つけました。隠れているのに、良く見つけます。彼女の後を付いていくと、虫が良く見られる()

 

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事務所からもキナバル山の山頂付近が見えます。このまま晴れてくれれば良いのだが・・・。

 

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最初のラン

本日、最初のランを目指して標高1500mほどの山を登ります(9:3910:16)。写真真下で見るとそれほどでもないが、実際にはかなりの斜面で、濡れているのですべりやすい。もちろん、普通の意味での道などなく、ヤブの中の獣道を植物ガイドのリヌスさんの後を付いて行きます。彼は我々のために事前に調べて、花を探し出してあるのでしょう。

 

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森で目につくのが黄色いショウガの仲間です。花や葉の大きさはグラジオラスを連想させ、暗い林の中では目立ちます。

 

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このあたりの道路を走っていると、標高千メートル前後から林の中に良く目に付きます。

 

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 数株だが赤い花があります。

 

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ショウガの周囲にやや目立たない白い花が咲いています。

 

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 ここも樹木にはびっしりコケがついています。写真下左など、枯れてもいない葉の上にコケが生えています。

 

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 目的のランがありました。暗いヤブの斜面に一株だけ花を咲かせています。昨日、キバンディ・パークで花を咲かせていたのと似ていますが、別種だそうです。

 

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写真上下 Paphiopedilum javanicum (“The Plants of Mount Kinabalu 2: Orchids” PL.66)

 

 上から見ると、翼を広げた鳥みたいです。

 

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 上の翼はその下の袋状の花弁の雨よけの役割をしているようです。下の袋状の花弁は唇弁(lip)と呼ばれ、ここに虫を誘い込んで、受粉の手伝いをさせます。それはなんとなくわかるのだが、では、両側に広げた花弁はいったい何なのでしょう。虫から見て、これが何か意味のある形なのでしょうか。

 

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 周囲にはまだら模様のランの葉はあるが、花が咲いているのはこの一株のみです。

 

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 ジェリーさんが木の根元の赤い実をさして、これがイチジクだという(写真下)。根っこにイチジクの実がなる!?

 

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写真上 Ficus uncinata

 

 熟せば食べられるというジェリーさんの助言に従い、勇気ある一人が食べてみましたが、まだ熟していないらしく、すぐに吐き出しました。

 

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 写真下左がイチジクが生えている林で、写真右がイチジクの葉です。

 

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 野生のサトイモが道端に生えています。サトイモ自体は日本でもこういう大きな葉を見かけるが、これが自然に生えているのがすごい。写真下右が植物ガイドのリヌスさんです。

 

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 道と山の間には少し花が咲いています。

 

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写真上左 Begonia burbidgei (『キナバル山の植物』p.94)

 

 

タランチェラの森を散策

 昨日行ったラン公園を通過して、山頂にある電波塔まで行き、そこから森の中に入ります(10:32)

 

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 電波塔の周囲は陽当たりがよいせいか、森の中よりも花が咲いています。

 

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 写真下は花を咲かせながらも、だいぶん大きな実もなっています。花の咲いている期間がとても長いらしい。

 

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 写真下は一見、イネ科の植物のように見えますが、花を見ると、被子植物のようです。メシラウでも見られました。

 

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写真上 Dianella javanica

 

 写真下はヒゲノカズラの仲間です。杉の苗木かと思うほどに立ち上がっています。ここのヒゲノカズラは面白いことに先が下に下がっている。たいてい上を向くのが普通なのに、垂れさがっています。実際、午後、この近くで別なヒゲノカズラを観ましたが、そちらは上を向いていました。

 

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写真上 Lycopodium cernuum

 

 背中に赤い斑点のあるカミキリが歩いています。写真を撮っていると、カミキリは私のほうに激しく近寄ってきます。どう見ても、好かれたのではなく、敵とみなして攻撃してきたようです。「すまん、すまん」と私は退散しました。

 

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 写真下のクワガタは木に逆さにつかまったまま、動きません。撮るのには楽でよいが、眠っているのか、とにかく動かない。昼寝を邪魔しては悪いので、突いてみるわけにもいかない。写真下左は往きに、写真下右は一時間ほど後の帰り道で撮ったもので、一時間の間にまったく動いていない。やはり眠っているか、死んでいるかどちらかでしょう。

 

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写真上右  Odontolabis leuthneri

(http://www11.plala.or.jp/stagbeetle/Stag%20Beetle.htm)

 

 虫探しの得意な柴山さんがまた見つけました。ずいぶんスリムで、バッタのようです。

 

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 ジェリーさんが土手の中からタランチェラ(Malay Earth Tiger)を引っ張り出しました(写真下)。オニグモなどと比べたら大きいが、それほど大きくはありません。完全に死んだフリで、ひっくり返しても足をたたんだまま、動きません。

私は自然のタランチェラを見るのは初めてなので、皆さんが撮り終えても最後まで撮っていました・・・いつものことだ()。ジェリーさんが「もういいですか」と元の棲み処に戻そうとしたとたん、タランチェラは脱兎のごとく、ものすごい速さで側溝のほうに走りだしました。走り出した方向にジェリーさんがいたので、彼は思わず飛びのきました。目で追っても、早すぎてどこに隠れたのかわかりません。

 

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写真上 Cyriopagopus thorelli

 

 一人がやっと通れるほどの山道を通って森の中を進みます。尾根を歩いているらしく、それほど上がり下がりはなく、山道にしては歩くのは楽です。

 

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 ここも樹木にはコケが厚く付着しています。木にとってこれが迷惑な状態なのか、それとも何か共生関係にあるのでしょうか。

 

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 まるで木から生えた葉っぱのようにコケが生えています。

 

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 樹木の葉の根元から根が生えたように下に延びています。どう見ても、これは根ではなく、コケでしょう。

 

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 写真下も今回の旅行中何回も見かけました。樹木に張り付いているからコケなのか、それともこういう被子植物なのか、よくわかりません。

 

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 葉にはカビが生えたようにコケが生えています(写真下左)。写真下右など茎がすでにコケで覆われています。日本でも見られないことはないが、ここではこれがありふれた光景です。

 

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 倒れた樹木にはまるで薄緑色のセーターを着せたようにコケが生えている。

 

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 樹木の上に生えたコケに顔を近づけて見ていると、小さな別世界があるような錯覚を覚えます。

 

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 写真下はコケなのか小さなシダなのかわからないが、まるで林の中にあるもう一つの林みたいです。

 

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 ヒノキゴケのようなコケです。

 

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 写真下のコケは良くみかける、と言うのも、Y字に先が分かれているので区別がつくからです。

 

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写真上 Jensenia decipiens

(http://www.digital-museum.hiroshima-u.ac.jp/~museum/pages/kinabalu/kinabalu4.html)

 

 写真下のコケは上と一見似ているが、Y字に分かれていません。日本のハイゴケに似ています。

 

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 ここもシダ類があることはあるが、コケほどには繁茂していません。写真下中と右は日本のヒトツバというシダに似ています。

 

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 これだけ湿潤なのにキノコが少ないのは不思議です。キノコは案外こういう暑い環境は苦手なのかもしれません。2012年にはキナバル山で青いキノコが発見されていますから、まだまだ奥が深い。

 

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 コケの生い茂る森の中をさらに進みます。

 

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 ここにはウツボカズラは少ないようで、写真下は見つけた唯一です。見慣れてしまうと、最初の頃のような感動はなくなる。

 

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 写真下のランは、まるで木の枝から生えて花を咲かせているかのようです。もちろん、樹木に着生しているだけです。

 

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 昨日、雨の中、見かけたランがここにもあります。

 

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写真上Coelogyne radioferens (“The Plants of Mount Kinabalu 2: Orchids” PL.27)

 

 キバンディ・パークのラン園でも見た小さなランです。

 

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 頭上を見上げると樹木にはどれこれもうるさいほどにランが着生しています。ただ、樹木はランだらけなのに花が咲いているのは少ない。年中咲いているらしく、時期的には今が一番多いそうです。

 

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 森の中はラン以外の花もそれほど多くはありません。

 

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 ショウガの仲間が黄色い花を咲かせています。ボルネオはショウガの仲間がとにかく多い。

 

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 園芸品種のカンノンチク(Rhapis excelsa)やシュロチク(Rhapis humilis)に似た植物が花を付けています(写真下)。幹から唐突に花がでているのがおもしろい。園芸品種でよく見かける植物ですが、野生で生えているのも、花を見るも初めてです。

 

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 山頂まで到達しました(11:12)。周囲は樹木で視界は遮られ、眺めはそれほど良くありません。かろうじて雲の間からキナバル山の山頂付近が見えます(写真下)

 

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 山頂付近は日当たりがよいせいか、シャクナゲやノボタンが咲いています。

 

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写真上 Rhododendron fallacinum (『キナバル山の植物』p.55)

 

 良く考えて見ると、今回の旅行では、熱帯なのに直射日光の当たっている花を撮るほうが珍しかった。

 

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写真上 Melastoma malabathricum (Malaysian Flowers in Colour, p.65)

 

 陽当たりが良いのでキバンディ・パークの山でも見かけたヤブレガサウラボシが元気よく葉を広げています。

 

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写真上 Dipteris conjugate 『キナバル山の植物』p.102

 

 森の中ではシダは多くないが、ちょっと日当たりが良い所には写真下のシダが良く群生しています。写真下は日本で言えばコシダの仲間らしく、Y字型に葉が分裂して行きます。一面に覆いかぶさるように生えるので他の草が生えなくなる。

 

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写真上 Gleichenia linearis

(http://www.biologie.uni-hamburg.de/b-online/d45/45g.htm)

 

 山頂で来た道を引き返し、電波塔まで戻りました。

 

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猫レストランで昼食

 山を下りて昨日と同じ、グヌンアラブのRasa Sanyangで昼食です(12:12)

 

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 イヌとネコが気持ちよさそうに寝ている。

 

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 メニューも、容器がプラスチックなのを含めて昨日とそれほど変わらず、庶民の中華料理です。

 

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 店の裏はコンクリート製の池があり、そこからの眺望は良い(写真下)

 

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池の隣に貯水タンクがあります(写真下)。ここは標高1650mほどの山の中だから、きれいな水は豊富で困らないはずです。問題は水源よりもタンクの中です。東京都の水道はきれいだが、マンションの貯水タンクにネズミの死骸があったなんて不気味な話を聞きます。

 

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 壁に蛾が張り付いています。写真下左は今回の旅行で見た中では一番大きくて立派な蛾です。今回の旅行は雨が多かったせいか、期待したほどには虫がいませんでした。私としてはデッカイ蛾が乱舞する中を大ハシャギしながら写真を撮るつもりでいたのですが。

 

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午後はまた雨

 昼食を取っている頃は青空が見えて日も照っていたのに、食事を終えて、次のランを見に行こうとした時には、一時間もたたないのに雨がぱらつき始めました。熱帯雨林なのだから、こんなものなのでしょう。

 

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 カッパを着て、ほとんど道のない斜面を進みます。午前中と違い、ここには高い樹木がありませんから、観察はしやすい。だが、急斜面に花を見つけても近づくことが難しい。

 

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 写真下のオレンジ色のランは昨日訪れた、この近くの自然植物園の花壇に植えられていたのと同じランです。

 

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写真上 Coelogyne kinabaluensis (『キナバル山の植物』p.32)

 

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 この斜面には写真上のように、葉が交互についているランが何種類かみられます。写真下も葉からしてランだと思うが、花はさえない。ツボミなのでしょうか。

 

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 写真下も葉を交互にのばすタイプのランで、あでやかな花を咲かせています。

 

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写真上下 Mycaranthes magnicallosa 

 

奇妙なのはその背後にある枯れ枝です(写真下)。写真下右が拡大した枯れ枝です。花と同じ茎から出ているから、去年の実の鞘とも取れるが、今年の花に比べてずいぶん大きい。去年は二倍以上もある大きな花が何本も咲いたが、今年は小さくなったのか、それとも今から花はさらに背がのびるのでしょうか。

 

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 写真下も葉が交互に生えて来るランで、キパンディ・パークなど、あちらこちらで雑草のように生えています。2メートルをはるかにこえるのも珍しくありません。しかし、ここのが特別なのは、どうやら野生らしいことです。皆さん、もう見慣れたランなので、誰も撮ろうとしないが、これまで見たのは人が植えた可能性が高く、確実に野生といえる初めての個体です。

 

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写真上 Arundina graminifolia (『キナバル山の植物』p.23)

 

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写真上 Nabaluia angustifolia (“The Plants of Mount Kinabalu 2: Orchids” PL.61)

 

 写真下は、ネットで見るとシランのようなきれいな花を咲かせるはずだが、まだ蕾です。

 

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写真上 Spathoglottis plicata

 

 斜面のヤブの中をジグザグに進みます。

 

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 高い樹木がなく、陽当りがよいせいか、シャクナゲも咲いています。

 

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写真上 Rhododendron suaveolens

 

 午前中の山頂でも見られたシャクナゲで、陽当たりがよいので花がそろっています。図鑑によればキナバルでは良く見られるようです。

 

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写真上 Rhododendron fallacinum (『キナバル山の植物』p.55)

 

 写真下の花もシャクナゲです。シャクナゲもツツジも、どちらかというと上にむかって大きく花を開くのに、下向きに閉じ気味の花が咲くという点ではドウタンツツジと似ています。

 

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写真上 Rhododendron bagobonum (『キナバル山の植物』p.61)

 

写真下はキンバイザサの仲間です。日本のキンバイザサも地面すれすれに花を咲かせますが、ここのはもっと極端で、茎が見えない。株の根元から直接花が咲いています。

 

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写真上下 Curcurligo latifolia (『キナバル山の植物』p.98)

 

日本のキンバイザサの葉はせいぜい三十センチくらいだが、ここのは1メートルはあります。全景を収めるのは難しく、写真下のように葉を入れると、花が小さくてほとんどわからないほどです。

 

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 写真下もショウガの仲間です。葉は大きいが、花はあまり大きくはありません。枯れて黒くなっている花もあることから、一気に花が咲くのではなく、かなり長い期間にわたり次々と花が咲くようです。

 

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写真上 Alpinia havilandii

 

 ヒカゲノカズラ(lycopodium)の仲間が斜面のあちこちらあります。午前中、電波塔の近くで見たヒカゲノカズラと違い、こちらは穂が真っ直ぐに上を向いています。また、葉は地面に模様を描くように這っています。

 

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写真上 Lycopodium complanatum (Plants and Flowers of Malaysia, p.98)

 

 かなりの斜面を少しずつ下っていきます。道はなく獣道です。

 

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 写真下の樹木の実に火を付けると燃えることからケロシン・ツリー(Kerosene tree)と呼ばれています。屋外で焚火する時には使えそうですね。油分を大量に含んでいるのに野生のままだということは、オリーブやパームのような実用性には乏しいのでしょう。

 

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写真上 Pittosporum Resiniferum

(http://www.amazing-borneo.com/wiki/kinabalu-park-botanical-gardens.html)

 

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写真上 Medinilla speciosa (『キナバル山の植物』p.88)

 

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 それまでは小雨程度だったのが、斜面での観察を終えて(写真下左)、車に乗り込む頃から、まるで待っていたように土砂降りになりました(写真下右,14:25)

 

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 山は激しい雨ですっかり霞んで、墨絵のような幻想的な風景が広がっています。

 

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 雨の中、さらに案内されたのがイチジクです(写真下)。写真下の黒い物がイチジクの実だという。写真下右は撮影しやすいように実を葉に乗せてあります。言われなければ、樹木についたキノコかと思ってしまいます。午前中の赤い実といい、私のイチジクへのイメージはずいぶん変わりました。

 

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写真上 Ficus cereicarpa

 

 ジェリーさんの説明は、ものすごい雷雨でほとんど聞き取れない。宇留間さんにメモはお願いして、私は近くにあった真っ赤なショウガの花を撮りました(写真下)。フラッシュで撮影するしかなかったので、今ひとつ雰囲気は出ません。今回の旅行ではランとショウガの多様性に驚かされました。

 

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 さらにコチョウランが樹上に生えているというところに案内されました(14:55)

 

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店でよく売られている蝶々が列をなして飛んでいるような豪華なランです。しかし、強い雨の中、5メートル以上もの樹上に咲く花では、近づくと角度が悪く見えにくいし、離れたら、小さくて見えません。

 

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写真上 Phalaenopsis amabilis

 

 ハンゲショウのような葉が白い植物があります。

 

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写真上 Mussaenda frondosa (Plants and Flowers of Malaysia, p.118)

 

 雨の中、キパンディ・パークまで戻り、トイレ休憩です(15:29)

 

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 待合室には我々のために、珍しいというランの鉢植えが置いてありました。おさげを付けたランです。こんなランが森の中に生えていたら、驚くというよりもショックでしょうね()

 

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 事務室の周囲にもランがたくさん植えてあって、ここに来るのもこれが最後なので、私はじっくりと鑑賞しました。

 

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 入口に下げられているのは黒いランです(写真下)。薄暗い林の中に生えているのだから、黒っぽいと虫からは目立たないように思うが、何か理由があるのでしょう。ランの様々な形態に驚かされます。

 

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 ここで四日間、植物ガイドとしてお世話になったリヌスさんとお別れです。

 

 

スーパーのドライフルーツ

 コタキナバルに戻ると曇りで、雨は降っていませんし、降った形跡もない。やはり山の上のほうだけが雨なのです。

 

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 ホテルに戻る前にスーパーによって、余ったお金でおみやげなどを買いました(16:03)。昨夜のお土産屋と違い、庶民が普通に利用するスーパーです。

 

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 ただあまりに普通のスーパーなので、日用品を買うのには良いのかもしれないが、これという物がありません。ホウレンソウを買う訳にもいかない。結局、私はドライフルーツとお茶を買いました。店の人に「ドライフルーツ?」と聞いてもなかなか通じない。一人がようやく理解してくれて、店の端のほうに連れて言ってくれました。種類も量も少ない。これらの果物の産地だから、わざわざ乾物を食べる習慣がないのでしょう。

 

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 マンゴー(写真下)は日本でも売られているが、グァヴァ(写真上)や竜眼(写真下の下段)のドライフルーツは初めてです。値段は日本で売られているに比べてそれほど安くはありませんでした。

 

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 隣のインドネシアにはトラジャという私の好きなコーヒーがあるから、当然、たくさん売られているだろうと期待したが、ほとんどありません。ホワイト・コーヒーと称する砂糖とミルクの入ったインスタント・コーヒーが多く、豆や豆を挽いたコーヒーがほとんどない。

 写真下のSabah Tenom Coffee (Coffee Latte 3in1)は、袋の外から触ると挽いたコーヒー豆のような感触だったので、一袋購入しました。ところが、これが世にも不思議な飲み物で、ティーバッグのような袋には挽いた豆だけでなく、砂糖とミルクが入っています。袋ごとカップに入れてお湯を注ぐと、ミルクのせいか色は茶色で見た目はまずそう。味は麦茶に砂糖とミルクを入れたようで、見た目どおりでマズイ。捨てました。マレーシアではあまりコーヒーを飲む習慣がないのでしょうか。

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私はスーパーの一番高いコーヒーを買ってやろうと覚悟を決めて財布を説得して来たのに、出鼻をくじかれ、サバ紅茶を買うことにしました(写真下)。スーパーだからということもあるが、普通のティーバッグです。

旅行中は茶畑らしい風景に気が付きませんでした。

 

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サバ・ティーは毎回食事に出され、何の癖もないお茶でした。昼食の時、私は出されたサバ紅茶を飲んで「これ、変な味の紅茶だね」と言うと、隣にいた宇留間さんが「それ、紅茶じゃなくてジャスミン茶です」と言うので、改めて飲むと、いつの間にかジャスミン茶に変わっていました()

 

 

ドリアン食いたい

 5時頃ホテルに戻り、夕飯の7時まで二時間ほどあります。ホテルでおとなしくしている手はありません。まだ明るいのだから、市内の散歩に出かけましょう。ホテルの西方向に海があり、ネット上の旅行記によればその間に出店がたくさんあるようです。

 下記の赤い線が私の散歩経路です。

 

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 ホテルから目の前の道を渡るのが容易ではない。片側二車線の広い道路で、車がひっきりなしに走っています(写真下)。それでいて信号はほとんどなく、歩道橋や地下道もありません。出かける前にジェリーさんに質問すると、南側に少し行くと信号があるからそこを渡るように教えてくれました。ジェリーさんには行きも帰りも信号を渡るように厳重に言われましたが、帰りは無理でした。なぜなら、信号のある所まで行くには信号のない道路を渡るしかなかったからです()

 

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 道を渡り少し行くと、屋台などが並ぶ通りに入りました(Asia city)。ドリアンもあります!食べてみたいが、小分けされたのがなく、このままホテルに持っていったら怒られるだろうしと、あきらめました(写真下右)

 

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 屋台の通りをすぎて、もう一本の広い道路を恐々渡ると、センター・ポイントという巨大なショッピング・モールがあります(写真下)。スーパーがあれば、ドリアンの切り売りをしているかもしれないと、ドリアンがあきらめきれない私は中に入ってみました。

 

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 残念ながら、衣類や家電など日用雑貨を売る店が大半で、ドリアンは影も形もない()

 

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 このショッピング・モールで火災が起きたら、大災害になるでしょう。真ん中が吹き抜けになっていますから(写真下左)、いったん火をついたら火の回りが早い。一部の階段は途中から狭くなっており、人々が殺到すれば将棋倒しになり、しかも、数の多くの店が複雑に入り組んでおり、外への通路があまり明瞭でない。

 

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これで灯りが消えたら、人々は出口を求めてパニックになるでしょう。衣類のように燃えやすい物が大量に売られているのに、消火設備らしいものもほとんど見当たりません。一階まで下りて、外に出ようとしても、あまりに巨大で、どこが出口なのかわからない。小さい店を一つでも多くの出させるために、一部の通路が迷路のようになっているからです。

 

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 ドリアンがなかったので、ちょっとがっかりしてショッピング・モールを出て、もう少し庶民的な店はないかと進むと、青いテントの出店の並ぶ通りに出ました(写真下)。客足はまだ少なく、雰囲気的にはこれからです。

 

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 通りの両側に出店が並び、かなりの数です。その背後の建物は、写真下のように、アパートらしく、洗濯物が干してあります。

 

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 私が店の陳列で一番感動したのが写真下です。イスラム教徒の女性は髪を隠すためにスカーフをかぶりますから、女性たちにとってスカーフのおしゃれは重要です。それはわかるのですが・・・。

 

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 見事というか、不気味というか、なかなかすごい。マネキン人形はいつ見ても不気味だが、頭だけ並んで、その目線がそれぞれに虚空を睨んでいると迫力が倍増します。人形から「あんた、何撮ってるのよ!」と叱られそうです。

 

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イスラム教の衣類にマネキンを使っているのも面白い。イスラム教は偶像崇拝を禁止していますから、人形類はご法度です。それなのに、ここでは人形を用いている。

 

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 この露店からさらに幹線道路を渡ると、道と海との間にフィリピーノ・マーケットと呼ばれる大きな市場があります。

 

 

イセエビ食いたい

日本語の地図にはフィリピーノ・マーケット(Filipino market, Pasar Pilipin)とありますが、ホテルにあった地図でも、また街中のバスの案内図でもHandcraft marketとなっています。ハンドクラフトというと、手作りの商品が並んでいるイメージですが、おおよそそんな雰囲気ではありません。

 

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 写真上はどう見ても食堂だし、写真下のように海産物を中心とした乾物などが並んでいる普通の市場です。でも、これまでの通りと違い、人がごった返しています。

 

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 野菜や果物がすごい。残念ながらドリアンはない。でも、マンゴーが道沿いを含めて、ものすごくたくさん売られています。これではドライフルーツなんて食うはずがない。マンゴーは今が収穫時期なのでしょう。

 

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 西日がもろに当たる一番海側に魚の売り場があります。海に面しているのだから、要するに浜辺で売っているのです。

 

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 魚は種類も多く、写真下左は、庶民の私が普段お世話になっているサバ、写真下右は小さなタコです。しかし、貝類はあまり目につきません。海岸は汚染されている可能性があるからでしょう。

 

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 見ていて面白いのは、ほぼ一種類の魚しか取り扱わない店が多いことです。色や形がそろっていてわかりやすい。

 

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 鮮魚売り場を少し進むと、新鮮な魚をその場で料理して食わせてくれる店があります。

 

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 写真下を見てください。大きなイセエビや団扇のような大きなカニが並んでいます。これらはここで料理して食べさせてくれる。イセエビに目が張り付いている私に、オジサンが「食っていけ」と言います。言葉なんかわからなくても、食欲に言語の壁はありません。私の頭には先ほどまでドリアンが詰まっていたのに、トコロテン方式にドリアンははみ出て、一気にイセエビに置き換わりました。

 

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 これからホテルに戻り、夕飯に出かける予定なのに、オジサンの声に私は一瞬足を止め、ここで食っていこうかと迷ったほどです。立派なイセエビを目の前にした私の脳裏には、夕飯に行こうと誘うジェリーさんと宇留間さんに「おれ、さっき市場で食ったイセエビでお腹がいっぱいだから、いらないよ」と自慢気に言う私の姿まではっきりと浮かびました。でも、残念、そろそろ引き返さないと夕飯に遅刻してしまいます。

 

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 私は海鮮料理のうまそうな匂いの中、「イセエビ、イセエビ」と唱えながら帰り道を急ぐことにしました。

 

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 あたりはもう夕暮れです。ホテルに戻るのが意外に大変で、写真下左のように目の前にホテルが見えるのに、大通りには信号も歩道橋もありませんから、渡れません。結局、大幅に迂回して、地元の人たちが渡っている所を探し、後をついて、車が途切れた瞬間を狙って大通りを横切り、十分以上もかかって目の前のホテルにたどり着きました。

 

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イセエビはないが海鮮料理

夕飯は市内の海鮮レストラン(Kampung nelayan Flooting seafood market restrant)に行きました(19:17)。巨大なレストランらしいが、暗かったので全景はわかりません。店のホームページから転載します。

 

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(http://www.kampungnelayan.com/より転載)

 

 海鮮料理を売り物にしているだけあって、水槽には魚が、また新鮮な野菜が並んでいます。

 

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 中は大きな体育館並の広さがあり、鉢巻をした店員が働いています。写真下ではまだそれほどお客はいませんが、我々が食事を始める頃には、満員御礼状態でした。

 

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 隣の席も日本人観光客ご一行様です。食事は中華風の海鮮料理で質量ともに申し分ありません。もちろん、イセエビはでてきません・・・まだ言ってる。

 

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 舞台の上で踊りが始まりました。マレー系、中国系など様々な文化が混ざり合っているのがわかります。歌はまるで日本の演歌みたいでした。

 

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スクリーンには英語のタイトルとマレーシア語、中国語、日本語、韓国語で説明が表示されますから、この順序で客が多いのでしょう。

 

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舞台では火を吹くパフォーマンスや、バンブーダンスや吹き矢に観客も参加して、観客からやんやの喝采が起き、盛り上がりました。ただ、音が大きく、客同士の会話が成り立ちません。

 

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 九時少し前にレストランを後にしました。この日で我々の花を見る旅行も終了です。ホテルに戻り、帰国の荷造りをしました。明日は朝が早い。

 

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