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オニユリ 2011

 

 

 七月はユリの季節です。オニユリなど、主にオレンジ系で花弁が丸く反り返ったユリをご紹介します。

 

 

オニユリ

 オニユリ(Lilium lancifolium)は真夏に咲くオレンジ色は私の頭の中ではセミの声といっしょです。野山では暑さで花が減り始めた七月末に、その暑さをもっと増やすようなオレンジ色のオニユリが咲きます。

 

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 鬼百合とはまた強烈な名前をつけたものです。英語ではタイガー・リリイというらしいから、こちらも強そうな名前です。夏の暑さをものともせずに、ソバカスを付けて赤い顔で出てくるからこういうイメージになるのでしょうか。たしかに、このユリは美人というよりも、お転婆娘のようなイメージです。

 

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 オニユリの特徴はなんといってもムカゴ(零余子、珠芽)でしょう。ユリの仲間でムカゴをつくるのはオニユリだけですが、環境が悪いと他のユリも付けることがあるそうです。ムカゴのおかげでこのユリを増やすのは比較的簡単です。私はムカゴを拾っては、あちらこちらに植えています。

 

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 この庭に植えてあるオニユリは歩道に落ちていたムカゴを拾って来て植えたものです。団地の民家の裏庭にオニユリが植えてあり、オニユリは陽当たりのよい歩道側にのびて、ムカゴをたくさん落としていました。こんなふうに野生でありながら、あちらこちらに植えられていることがあります。

 

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コオニユリ

 コオニユリ (Lilium leichtlinii)を手に入れた経緯はちょっと変わっています。年末にスーパーで食用のユリが売れ残り、半額で売っていました。これを買ってきて庭に植えたら、コオニユリが生えてきました。調べてみると、食用のユリはコオニユリ、オニユリ、ヤマユリなどが用いられ、特にコオニユリは苦みが少ないので好まれるようです。

 

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 オニユリよりもやや小柄で、決定的な違いはムカゴを作らないことです。スーパーから買ったコオニユリは私に食べられることもなく、だんだん増えていきました。オニユリは簡単に手に入るが、コオニユリは始めてだったので、増えるのを楽しみにしていました。民家などでも植えられているのを見たことがありません。

 

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 残念なのは、引っ越しで移植した後、土が合わなかったのか、消えてしまったことです。この後、コオニユリとは、またしても意外な所で再会しました。

 

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 コオニユリと再会したのは林の中でした。春先に林の中を散歩していると明らかにユリと思われる植物が生えています。オニユリならもっと葉が照っているはずなのに、細く弱々しい。咲くのを数か月待ちました。七月後半、再び林を訪れると、咲いていました。

 

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シトロネラ

 写真下は黄色いコオニユリでシトロネラ(Citronella)という栽培品です。ここで紹介したユリの中では唯一野生品種ではありません。

 

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 黄色いコオニユリに似た品種にオウゴンオニユリがあります。これはオニユリという名前どおりにムカゴを付けますから、区別できます。

 

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 シトロネラは最初に植えた所がお気に召さなかったらしく、年々減ったので、あわてて別な所に植え替えました。ここにある写真は植え替えた後の花です。

 

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野生の黄色いコオニユリにキヒラトユリ(黄平戸ユリ)があります。平戸とは長崎県平戸市のことで、ここに自生していたことからついた名前です。過去形に書いたことでもわかるように、自然ではすでに絶滅しています。自然破壊かと思ったら、昭和三十年代にウイルス性の病気が蔓延して、かろうじて残った三株から高校生が育てたそうです。お手柄です。

 

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ダビディ 

 中国から輸入されたユリを紹介しましょう。ダビディはコオニユリをさらに小型にしたような花を咲かせます。ネットで購入して植えると、土地が合わないのか、年々減ってしまいました。コオニユリやオニユリがしっかりと茎が立つのに対して、写真下のように、茎は細く、それほど大きくない花の重みで下がってしまいます。

 

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 ダビディはLilium davidiiの学名からとった名前です。オニユリやコオニユリよりも球根はかなり小さい。ただし、これは環境が合わなかったからかもしれません。

 

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 ダビディとは後に東チベットを旅行中に野生の姿で再会しました(写真下)。甘粛省と四川省の千~三千メートルほどの山の斜面にたくさん生えていました。この高度を見て、私の庭でうまく育たなかった理由がよくわかりました。やはり自然環境のほうが茎もしっかりしており、とてもきれいです。

 

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ヘンリー

 ヘンリーはダビディと同じで中国からの輸入品です。ヘンリーという名前は、Lilium henryiという学名からとったようで、日本ではキカノコユリ(黄鹿の子百合)とも呼ばれています。学名がついているくらいだから、これも野生品種なのでしょう。元々は中国の湖北や貴州省にあったので、中国では湖北百合と呼ばれています。

 

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 ヘンリーが黄カノコユリ、つまりカノコユリだと聞いて、私は驚いてしまいました。

 

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写真上 カノコユリ(ウィキペディアより転載)

 

日本のカノコユリはピンク色で大柄な花を咲かせるユリなのに、ヘンリーは花も小さく、色もやや黄色みをおびたオレンジで、カノコユリのような派手さはありません。花弁にボツボツと突起があるのが似ていると言えば似ている。

 

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 1メートル以上にもなるようですが、私が植えた所は土が合わないらしく、1メートル以下で、しかも大半が倒れたような状態で花が咲き、やがて消えてしまいました。いつか、ダビディのように自然の状態で見てみたいものです。

 

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クルマユリ

 薄暗い林の中にクルマユリが咲いています。クルマユリはユリとしては寒い所を好むので高山や亜高山の植物と思われていますが、東北では低地の林の中にも生えています。

 

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 この林にクルマユリが自生しているのは知っていましたが、咲く時期と来る時期が合わないので、花を見るのはしばらくぶりです。林が荒らされて、数が減っていて、去年見つけた場所に確認に行くと、生えていないことが多いのは残念です。

 

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 名前の由来は写真下右の葉を見ればわかります。ユリには珍しく、茎の回りに放射状に葉が生えてきます。写真下左のクルマユリは左下に放射状の葉があるのがおわかりでしょうか。植物全体の大きさからいくと花がやや小さいので、あまり目立つ花ではありません。でも、この特徴ある葉のおかげで、花が咲いていなくても、すぐにわかります。

 

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 クルマユリとの久しぶりの出会いに私はちょっと感激しました。

 

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