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山林の動物たち

 

 

キジ

 春先にはキジの激しい呼び声が林や畑に響くのに、その姿はなかなか見られません。たまたま、茂みの中から出てきたキジを見つけました。

 

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 メスを連れて護衛しているのだが、メスは目立たたない上に茂みから出ようとしないので撮れません。

 

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 顔に威厳がありますね。目が鋭くて、「オレ様の領地に入る奴はただではおかない」と語っています。ここが彼の縄張りなのでしょう。

 

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良く見ると、ほんとうに派手な配色です。京劇のお面でもここまで派手ではない。襟元のコバルト・ブルーが素晴らしい。

 

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 私と目線が合ってしまいました。君の大事なメスを奪おうなんて気はないから、写真だけ撮らせてくれ。

 

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 私が近づくと遠ざかり、時にはメスとは逆の方向に走ります。どうやら、私をメスから遠ざけようとしているようです。

 

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少しの間、追いかけっこをしましたが、やがて林の奥のほうに見えなくなりました。

 

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ヤマカガシ

 茂みの中でガサガサと音がします。出てきたのは大きなヒキガエルで、たぶんアズマヒキガエルです(写真下左)。その後から蛇が出てきました(写真下右)。蛇に追いかけられているらしい。蛇はヤマカガシのようです。身体の赤い模様が薄いが、ヤマカガシはずいぶん外見に差があるといいます。このあたりにはシマヘビやアホダイショウ、マムシがいますが、このヘビの模様はそのいずれでもないから、消去法からいってヤマカガシです。

 

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 蛇が近づいても、ヒキガエルは何度かジャンプしただけで、必死に逃げようとしません。どうやら、すでに蛇の毒が回っているようです。蛇はどこから呑み込んでやろうかと口を開けました(写真下右)。蛇の顔は「うまそうだなあ」と言っています。

 あのカエルの太っ腹はヘビがどんなにデカク口をあけても呑み込めるようには見えない。しかし、人間の常識では測りきれないのが自然です。呑み込んだら、ツチノコができあがります。うまくすればツチノコの製造過程が見られるかもしれない。蛙はもう毒が回っているようだし、見物させてもらうことにしました。

 

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 まずはうまそうな橫腹から呑み込もうとしたが、当然無理(写真下左)。では、ちょっとやり方を変えて、後ろの足から呑み込もうとしたが、これも失敗(写真下右)

 

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 身体をくねらせ、腹の下に回って下から呑み込もうとしたり(写真下左)、頭から呑み込もうとしたり(写真下右)、でも無理。どうしたって、蛇の口の大きさからいって、このヒキガエルを飲み込むのは無理です。

 

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 何をどう試みてもカエルを呑み込めないとわかると、今度はなんと私に向かってきました(写真下)。口を大きくあけて激しく威嚇します。私にカエルを横取りされると思ったのでしょう。「おいおい、呑み込めないからと言って、おれに八つ当たりするな」と言いながらも、私はさっさと引き下がりました。彼らの毒性はマムシよりも強烈で、こんな奴にかまれたら、ガマカエルと一緒に枕を並べることになります。

 

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 残念ながら、ヤマカガシはツチノコになるのはあきらめて、どこかに行ってしまいました。ヒキガエルは毒が回ってしまったらしく、ほとんど動かなくなりました。

 

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タヌキ

 春先にタヌキと会いました。この近くで何度かタヌキらしい姿を見かけていたので、いることは知っていましたが、間近で見るのは初めてです。東京の街中でも繁殖していると言いますから、ここに棲んでいてもおかしくはない。

 でも、このタヌキちょっと様子が変です。

 

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だいたいこんな日中に、道のそばの陽の当たる目立つ場所に何でいるのだ?私がいることに気が付いているのに、すぐには逃げようとしません。春先でまだエサが十分ではないから体力が落ちているのか、それとも、疥癬症などの病気にかかっているのか、毛並も良くないし、イマイチ元気ではない。思わず、「おい、何かエサでもやろうか」と言いたくなるくらいションボリしています。

 

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近づくとさすがに急ぎ足で逃げていきました。それでも肩を落として去っていくような後ろ姿です。狸は小憎らしいくらいでちょうど良いのだが・・・。

 

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カモシカ

 山を歩いていると、茂みがガサガサと音がしました。かなり大きな動物の音です。私はクマかとギョッとしました。ここは斜面ですし、距離からしても走って逃げるのは無理です・・・いや、平地でも走って逃げるのは無理です。

しかし、幸いヤブの中から現れたのはカモシカでした。「なんだ、お前か。やあ、しばらく」とあいさつしました。この近くでカモシカに何度か会っているから、同じカモシカかもしれません。彼らはオスはオスだけの縄張りを持っています。

5メートルと離れていません。カモシカのほうが先に私に気が付いていただろうに、いつからそこにいたのだろう?

 

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 私は脅かさないように、動かず、ゆっくり何枚か写真を撮り、反応を見ました。逃げるかと思ったら、逆に近づいて来ました。近づくというよりも、単に彼(彼女?)の進路に私がいたから、そばを通過するというだけのようです。

 

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 この逃げようとしないカモシカの反応は珍しくありません。日本では特別天然記念物に指定され、狩猟の対象ではないから人間を恐れないということもあるでしょうが、そもそも彼らはどういう訳が人間に対しても好奇心を持つ。このカモシカも先に私に気が付いていたにもかかわらず、逃げるよりも、私を観察するほうを選んでいます。

 

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  では、私もじっくりと観察させてもらうことにしましょう。後ろ足の付け根部分の毛が抜けています。何かのケガの跡でしょうか。

 

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 私のわずか2メートルほど前をカモシカはゆっくりと通り過ぎます。

 

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日差しが強いので、先ほどまではカモシカの眼が良く見えませんでした。しかし、通り過ぎる時は、顔の表情が良く見えました。やっぱりヤギに似ている。あのフサフサした喉のあたりを触ったらどんな感触なのだろう。

 

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 カモシカを近くで見たのは子供時代で、私の実家にカモシカが駈け込んで来た()。山から里に下りてきて、迷い混んだのか、家の裏口から入ろうとしたところで、中にいた私と鉢合わせ。二人()とも、一瞬お互いを見て、固まってしまいました()。私の実家ではヤギを飼っていたので、私はよそのヤギが迷い混んだのだろうかと疑いましたが、色が違うので、すぐにカモシカだと気が付きました。

 私がヤギと似ていると思ったのも当然で、カモシカは鹿ではなく、ヤギに近い動物です。

 

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 斜面に生えているカタクリを食べました(写真下)。写真下右は口元にカタクリのピンク色の花が見えます。食事をしたところを見ると、少なくとも私を危険な敵とはみなしていないようです。

 

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 カタクリは名前どおり、昔は根から片栗粉を採っていたくらいで、人間も食べますから、カモシカのエサでも不思議ではありません。今の片栗粉はジャガイモから作るそうです。

 

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 写真下左で、枝に顔をすりつけています。目の下にある眼下腺をすりつけて、縄張りにマーキングをするのだそうです。横顔を見ると、たしかに目の下に黒い部分がありますから、これが眼下腺なのでしょう。

 

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 何度も私のほうを振り返りながら、斜面を登り去っていきました。また来年会おう。

 

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