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並木池は外来種の楽園

 

 

 並木公園の北側にある並木池は地形を利用して作られた人工池です。この池の良さは、地元の人くらいしか利用しないので、散歩している人も少なく、時には誰もいないことです。

 

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 池はほぼ南北に長く、水は南から北に向かって流れます。北側に堤防で水を止めて池が作ってあります。

 

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 この池の特徴は水源が地下水だという点です。池の南側に水源があり、井戸水を何らかの方法で汲み上げているようです。また、下流は堤防で仕切られ、池の一カ所の排水溝から地下に流れでています。つまり、並木池は他の川から自然に魚などが流れ込む可能性はほとんどありません。

 1975年前後に作られた新しい池で、しかもある程度孤立した人工池ですから、人間などが人為的に持ち込んだ生き物と自然とがどう調和していくのか、大規模な実験をしているようなものです。

 

 

オオフサモ

 池で目に付くのは写真下のような、自然にできた「島」です。池の中に泥や枯れた植物などが沈殿し、しだいに浅くなり、水が少ない時期には水面から出るようになりました。上にきれいな緑色の草が生えています。

 

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 きれいな緑色の草はオオフサモ(パロット・フェザー)です。水の中でも育つ水生植物なので、この池は好条件です。

 

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 見てのとおり、きれいな緑色で、冬でもある程度緑を保ちます。草取りをしたわけでもないのに、他の植物が生えていない。成長速度が速くて、他の植物を押しのけてしまうのでしょう。

 

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 見た目にはとてもきれない植物に見えますが、実はとんでもない問題児です。「日本の侵略的外来種ワースト100」に選ばれたほどのワルです()。特定外来生物に指定され、販売や移植は禁止されています。

 オオフサモはアマゾンが原産地の植物で、世界中に広がっています。日本には1920年に人為的に持ち込まれたというから、百周年らしい()。私は南アフリカの自然の湿地帯でこれを見たことがあります。

 

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 嫌われる理由は一度生えてしまうと駆除が難しいことです。地上部も茎があれば、また根の切れ端など少しでも残っていると再生するという大変強い生命力の持ち主です。

 

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 オオフサモは問題児らしいが、写真下のように見ると、幾何学的にもとてもきれいな植物です。

 

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ガマ

 池でもう一つ目立つのがガマです。ガマ以外にもヨシなども生えているが、圧倒的に多いのがガマです。泥沼の中からガマが生えてきて、そのガマに泥や枯葉などがからみつき、「島」を作り上げています。これは川や沼が湿原になり、しだいに消えていく過程を見ているのでしょう。

 

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 ガマは日本中ばかりか、世界中に広がっています。この近くの田んぼの休耕地にガマが生い茂っているのを見かけます。びっしりと生えるので、鳥の隠れ家や湿地帯の生き物の棲み処になります。

 

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 冬になるとガマの穂から綿のような種が飛び散ります(写真下)

 

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 水面や地面に落ちて、まるで雪が積もったようです(写真下)。こうやって広がるから、外来種に負けないのでしょう。

 

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カボンバ

 池の底は浅くなっていて、金魚藻が生えているのが見えます。北米原産の外来種のカボンバで、日本では水草として売られています。日本原産の金魚藻であるマツモと外見は似ていますが、カボンバは並木池のようなそれほどきれいでない水でも育ちます。

 

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 カボンバはアナカリス(オオカナダモ)と並んで、魚を飼う水槽に使う水草の定番の一つで、私も何度か買ったことがあります。しかし、アナカリスよりも弱く、しばらくたつと消えてしまいました。そのカボンバがあまりきれいとはいえない並木池の中に生育しているのを見て、私は驚きました。この池にカボンバを捨てた人はアナカリスは捨てなかったようです。

 

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ヒシ

 水面を一面に覆っているのはヒシです(写真下)。ヒシは外来種ではありません。

 

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 増殖の速度が外来種に負けずに水面を覆い尽くします。

 

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 ヒシの実には悩まされます。池に捨てられた空き缶やペットボトルなどのゴミを集めるのに、魚獲り用の柄のついた網でゴミをすくい取ると、ヒシの実が網にひっかかります。取るのに一苦労で、強引に引きはがすので網が破れます。ゴミよりもヒシの実を取るのに手間暇がかかります。でも、ヒシは日本製らしいし、水を浄化するのにがんばっているようだから、許してやる()

 

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 水から上がった状態を見ると浮袋があり、形状がホテイアオイに似ています。

 

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 ヒシがきれいなのに対して、写真下の赤い浮草は感じが悪い。アカウキクサ(アゾラ・クリスタータ)という特定外来生物です。アジア、アフリカ、アメリカの原産地で関東と西日本を中心に広がっています。シダの仲間だというから、意外です。

 

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 さらに意外な事に、この水草はカモの餌になるようです。彼らは食い物の中で泳いでいる。全部なくなるくらい、がんばって食ってくれ。

 

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ウシガエル

 初夏に写真下のカエルが大量に発生します。たくさんいるわりには写真を撮るのがかなり難しい。近づくと、「キャッ」というような甲高い警告音を出しながら、いっせいに池の中に飛び込んでしまうからです。

 

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 大きさはトノサマカエルくらいで、身体には模様がなく、頭部は緑色だが、身体は黒っぽく、のっぺりしている。このカエルは何と言う名前なのだろう?

 ネットで外見の特徴に該当するカエルがいない。しかし、こんな所に珍しいカエルがいるはずはなく、ありふれたカエルなはずです。もしかして若いウシガエル?そういえば、春にかなり大きなオタマジャクシが泳いでいた。

 

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 写真下はそのウシガエルです。「ブォーン」というあのすごい鳴き声はいつも聞こえるが、写真を撮るのは簡単ではありません。ここには鳥などの捕食者がいるので、彼らも用心深い。写真下右が喉を膨らませているところです。

 ウシガエルももちろん外来種です。1918年、学者が食料用にアメリカから持ち込んだのが始まりです。当時としては食料のことしか頭になく、まさか後年このほど生態系に悪影響を与えるなんて考えもしなかったのでしょう。

 

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アカミミガメ

 多くの人間が意図的に持ち込んでしまった外来生物の筆頭はミドリガメで、成長した姿がアカミミガメです(写真下)。アメリカで大量生産され、日本にもペット用に1950年代から輸出され、1960年代後半には日本の屋外で見つかっています。

 

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 夜店で買って、大きくなって飼いきれなくなり、池や河川に捨て、これが増殖して生態系を脅かすほどになりました。理由の一つがその旺盛な食欲です。この池にも生えているヒシなどを食べるので、ヒシやハスが消えてしまったという報告もあります。また、カモのヒナを襲って食べるというから、すごい。日本のイシガメなんて卵を食われ、生活の場を奪われ、減っていると言います。

 

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 全国の湖水でのアカミミガメの棲息割合は好成績らしいが、たぶん並木池はそのトップを争うでしょう。ここは人工的な池で他の水系とつながっていないせいもあり、私はここでアカミミガメ以外のカメは見たことがありません。

 

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 国の対応は、毎度のことながら後手も後手で、輸入禁止が検討されたのが2014年で、2019年までに段階的に規制していくという。我耳を疑う。これだけ大被害を及ぼしているのに、まるで他人事です。しかも、未だに特定外来生物に指定されていません。うっかり規制すると飼い主たちが河川に捨ててしまうというのです。それなら引き取る窓口を設けるとか、何でも方法があるはずです。

 

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 アカミミガメに限らず、海外からのペットなどの規制は日本はやる気がないのではないかと思うほどいい加減です。一つには生態系についての教育がされていないので、影響という考えが薄いことと、ペット業者の利益のためでしょう。

 

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 ここに写っているカメたちは日向ぼっこをしています。アメリカのフロリダが原産で、元々温かい地方に棲んでいたカメですから、日本の冬は厳しいでしょう。冬から春にかけての陽ざしがあると池に捨てられた樹木の上に乗って日光浴です。頭を精一杯のばしているのも、危険防止だけではなく、そのほうが温まる。春先の陽ざしに「ぬくいなあ」と気持ちよさそうです。

 

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 彼らはものすごく用心深く、近づくとさっさと水の中に潜り込んでしまいます。足音をたてないように、少しずつ近づいて写真を撮ります。どうしてこんなに用心深いのだろう。大型の鳥に捕食されたらしい亀の甲羅は見たことがありません。

 

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 顔に赤や黄色い線が入っているので、ちょっと気味が悪い。でも、その気味悪さこそが彼らの数少ない武器なんでしょう。

 

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アメリカザリガニを食った犯人はだれ?

 私が水辺でパロット・フェザーの写真を撮っていると、その中からアメリカザリガニがハサミを振り上げて威嚇してきました(写真下)。「わかった、わかった」と私は引きさがる()

 アメリカザリガニという名前どおりで、1927年頃にアメリカからウシガエルの食料として輸入されたのだという。食料として輸入されたウシガエルと、その食料として輸入されたアメリカザリガニが日本で生き残り、生態系に大きな影響を与えているのは皮肉な話です。

 

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 2014年の八月末、奇妙な光景に出くわしました。水源から並木池に流れ込む小川にアメリカザリガニの死骸が累々とちらばっているのです(写真下)

 

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 水源は並木池から百メートルほど南に上がったところにある写真下左の石で、井戸水を汲み上げているらしいが、ポンプ小屋もなく、どういう仕組みなのかよくわかりません。2011年の東日本大震災で上水道が停まった時は、私もトイレ用の水を汲みに、ペットボトルを持ってここに並びました。

 

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 水はそこから人工的に作られた浅い小川を流れて並木池に注ぎ込みます(写真下)。その小川にアメリカザリガニの手足が累々と転がっている。胴体の部分がほとんどないことから、たぶん鳥が食べた跡なのではないか。ただ、それにしても、数十匹と多く、水源から並木池までの百メートルほどの間にバラバラに残っています。

 

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 こんなことはこれ一度しか見たことがありません。並木池でアメリカザリガニを捕食する大型の鳥は、この後で紹介するサギくらいしかいません。しかし、水源のそばには人が行きかう道があり、小川のそばには運動場があり、用心深いサギがこんな所で食べるだろうか。

 

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イトトンボはどこから来たのか

 それなりに大きな池ですから、池の中の「島」だけでなく、周囲の土手などにもいろいろな昆虫が見られます。池の中に比べて、虫は日本の在来種が多い。

 

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 アカシジミ(写真上の上段)、アブラゼミ(写真上左)、ミンミンゼミ(写真上右)、ショウジョウバッタ(写真下左)、そして働いているアリをしり目に遊び呆けているキリギリスです(写真下右)。写真下下段の白い花は明治時代に北米から持ち込まれたワルナスビで、世界中に広がっています。きれいな花なのに、悪ナスビなんて、かわいそうに。

 

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 写真下は黒いチョウトンボです。日本では北海道を除く全国に、また朝鮮半島や中国にも分布します。水生植物が多くないといませんから、ここが水系として豊かであることの証明です。トンボが停まっているのはガマの葉です。

 

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 羽が真っ黒なのではなく、見る角度によって金属的な光沢や虹色に光ります。

 

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 どこにでもいるシオカラトンボです(写真下)。数が多いから軽く扱われる()

 

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 赤トンボはどれも同じに見えるが、図鑑を見ると種類があるようです。写真下の赤トンボは身体全体が赤く、それほど珍しくなく見られるから、ショウジョウトンボでしょう。

 

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 ある日、私の部屋でイトトンボを見つけました。写真下のアオモンイトトンボのオスです。いったい、どこから入ってきたのだ!?窓は閉めてあるし、開けても網戸がありますから、とてもトンボが入って来れる隙間はありません。秋に入っており、もうイトトンボの季節でもありません。水辺にいるはずのイトトンボが、水辺から距離のある私の部屋のこんな時期にどうしているのだ?並木池に行った時、私の身体にくっついて来た?ありそうもない。とにかく、捕まえて外に放ちました。

 

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 驚きはこれだけでなく、少したってから、窓の所にイントンボの死骸を見つけました。逃がしてやった奴がわざわざ戻って来た、なんてはずはなく、またどこからか入り込んで、出られなくなって死んでしまったのでしょう。いくら古い建物でも、こんな大きな昆虫が入る隙間がどこにあるのだろう?トンボが入れる隙間があるならゴキブリは簡単に入ってしまう。大問題です。

 

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 理由がわかったのは冬になってからでした。当時、私はメダカを飼っていて、水槽の掃除をしていると、あれ?なんか昆虫のような小さな虫が水槽の中にいます。メダカ以外は入れていないので、水槽の反対側にいるゴキブリが反射して水の中にいるように見えるのかと疑いました()。しかし、まちがいなく、小さな虫が水底を歩いています。子供の頃に見た記憶があります。ヤゴだ。

 

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 ヤゴを見てようやくイトトンボの謎がわかりました。外から入り込んだのではなく、水槽の中で発生していたのです。その理由も思い当たります。水槽で使うために並木池のカボンバを採取した時、水草にイトトンボの卵がついていたのでしょう。水槽の中でヤゴになり、羽化したのです。ということは、ヤゴの餌は私の飼っていたメダカ・・・。

 

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 並木池のある並木公園は林がありますから、様々な鳥がいます。冬に良く目立つのがホオジロです(写真下)。池のそばの芝生の空き地などで虫か植物の種を熱心に探している。東アジア一帯に分布して、日本でも良くみられる鳥です。

 

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 写真下のハクセキレイが関東でも見られるようになったのはここ百年ほどだそうで、それまでは北海道や東北などで分布していました。主に水辺に棲んでいるそうですが、並木池の近くには田んぼや川があるので、必ずしも並木池に棲んでいるとは限りません。

 

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 写真下はヒヨドリです。普段は花の蜜や果物が餌だそうで、嘴が黄色いのは花粉を付けているからでしょう。

 

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 写真下はウグイスと良く間違えられるメジロです。

 

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 カラス、スズメ、ハトがいることは言うまでもありません。

 

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 冬の池でもっとも目につくのはカモです。池が小さいことと、誰も餌付けをしないので、数はそれほど多くありません。人間を恐れており、この池での写真撮影は難しい。他の餌付けされているカモのいる池に行って驚きました。餌をよこせとばかりに近づいてくる。鴨鍋にする人はいないらしい()

 

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 写真上はオナガガモ、マガモ(写真下左)にカルガモ(写真下右)など、いろいろなカモが集まっています。たくさん集まっている様子を見ると、カモネギなどという言葉があるように、昔の人が冬やってくるカモを食材としていたのもわかる気がします。

 

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アオサギ

 冬の並木池でもっとも目立つのがアオサギです。まれに複数のアオサギを見かけことがありますが、普段はほぼ写真下の一匹です。

 

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 良く見ると、ずいぶん複雑な羽の生え方をしています。頭からは後ろに黒い毛が長くのび、胸と背中にショールをかけたような長い羽が生えています。

 

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 首をのばした姿はツルを連想させて美しいのだが、実際には危険を感じている時が多いようです。首をのばして遠くまで確認しようとしているのでしょう。首をのばしている写真の多くは、写真を撮っている私に警戒しているからです。

 

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 私はジワジワと近づいていく。当然、アオサギはだんだん不安になり、縮めていた首をのばし、動き始める。私のほうに顔は向けないが、絶対に後ろ向きにもなりませんから、私を監視しているのです。

 

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 さらに私が近づくと、ついにたまりかねて飛び上がります。あれだけ大きな身体なのに助走もせずにいきなり飛び上がるのだからすごい。脚力でジャンプするから、飛び上がった直後は足がのびています。

 

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 離陸する時は尾羽も目いっぱい広げて揚力をかせいでいる。カメラを持った変な人間がいるばっかりに、サギは飛ぶというよけいなエネルギーを使わないといけない()

 

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 舞い上がり、池の反対側などに場所を変えるだけで、そのまま去ってしまうことは珍しい。首をS字型に曲げて飛んでいる姿は、翼竜を連想させます。もちろん、鳥は翼竜とは別系統の恐竜の子孫です。

 

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 地上では不安な時は、近くの高い松の木に停まります(写真下)。いつも同じ枝に停まり、カメラを構えている変な人間がいなくなるのを待ちます。

 

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 首を縮めたアオサギを下から見上げるとアゴヒゲのように見えますが、実際は胸の羽飾りです。

 

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 サギは魚などを狙っているらしいが、写真下のコイは、どう見ても5060cmはあるので、彼らの餌にならないでしょう。大きなコイが水の表面まで出て来るのは、餌だけでなく、水深が浅くなっているからです。ガマの生えている水溜りに入り込んでバシャバシャと暴れているコイもいました。

 

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 並木池は外来種が多いとはいいながらも、緑豊かで多様な生物の棲む生態系を作り上げていました。

 

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 外来種は日本にいた生き物を駆逐してしまうが、並木池のように人工的な池では、たとえ外来種であっても生態系を作るのには役立つのでしょう。人間が自然を破壊した分を補ってくれる生き物ともいえます。いないよりはいいのではないか、などと私は思っていました。そして、そのとおりだということがこの後、目の前でおきました。

 

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楽園の終わり

 20156月のある日、しばらくぶりで並木池に行って仰天しました(写真下)。池がきれいになっている、というか何もなくなっている。池の中にあったオオフサモやガマなどが生えていた「島」がきれいになくなっています。

 市役所が、このままでは堆積した泥で池が埋まってしまうことを恐れて、池の大掃除をしたのです。

 

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 下の衛星写真は掃除をする前()と後()の並木池です。掃除前の池の中の北側などにたくさん点在して見えるのがガマやオオフサモなどが生えている「島」です。池の掃除でこれらの島が取り除いてしまったのがわかります。

 

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 写真下左が掃除前の2014年秋、そして右が掃除後の2015年の夏にほぼ同じ方向を撮った写真です。すっきりしたと言えば聞こえが良いが、池の生態系は根こそぎ破壊され、大打撃を受けました。

 

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 池の掃除が夏だったこともあり、池のそばに行くとドブの臭いがします。水を浄化して酸素を供給していた植物を除去し、しかも長年積み重なった泥などを取り除くのに池をひっかきまわしたために、酸素不足に陥ったからです。

 長年かけて作られた生態系は台無しです。池の中の「島」はカモなど水鳥たちの生息地になっていました。それまでは岸辺に鳥の糞は少なかったのに、掃除の後は急に増えたのをみればわかるように、人間の姿に怯えながら、岸辺で生活することになったようです。

 生態系が破壊され、これからこの池はどうなるのだろう?私の予想では、競争相手がいなくなったのだから、ひと夏で強烈な外来種のオオフサモや浮草などが池を占領するのではないかというものでした。造成された空き地に外来種の植物が短期間に生い茂るのは良く見かけるからです。

 だが、この予想は見事に外れ、2015年の年末になっても、写真下のように池は閑散としていました。

 

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 破壊はかなり深刻だったらしく、一年後の2016年の夏になっても爆発的な繁殖力をもつヒシでさえも、水の循環の悪い所で増えただけで、池の中心部にはわずかしかありません(写真下)

 

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 水を浄化していた植物を取り除いたのだから、水は汚いままです。アカミミガメが浮いて顔を出しているのが見える程度で、コイなどの大型の魚の魚影も見えないし、何よりもウシガエルさえもいなくなってしまった。当然、イトトンボやチョウトンボなどのたくさんの水系の植物を必要とする昆虫類は皆無です。ドブ臭いだけの池になってしまいました。

 

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不気味な外来種

 池の大掃除から一年半ほど後の2016年末の並木池で、水の中に寒天の塊のようなものがあることに気が付きました。今までこんな物は見たことがありません。

 

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 子供たちが出水溝に流れて来た塊を棒ですくい取ろうとしています(写真下左)

 

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 引き上げた塊を見ると、水の中よりももっと不気味です。何だコレ??表面部分には胡麻粒のようなブツブツブがついているが、内側は半透明の寒天状で、棒で突いた感触もまさに寒天で、簡単にちぎれてしまいます。連想でいうなら、溶けたクラゲみたいです。ただし、私は溶けたクラゲは見たことがありません()

 

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 ネットで調べて見ると、オオマリコケムシという生き物のようです。原産地はアメリカで、1970年代に河口湖で見つかり、以後、全国の「汚れた湖水」で見られます。表面の胡麻粒に見えるのが休眠状態の虫(休芽)です。オオマリコケムシは、表面に見える休芽が鳥などに付着して運ばれるようです。オオマリコケムシは寒くなると活動を休止して、こんなふうに水面に浮かび上がってくるようです。

 オオマリコケムシが発生したのは、いかにこの池の汚れがひどくなっているかを証明のようなものです。

 

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 魚とオオマリコケムシを一緒に入れると、これを食べた魚が死んだという実験もあるようです。それを裏付けるのが写真上で、近くにあった魚の死骸です。酸素不足になる夏場でもないし、無傷のまま死んでいますから、鳥などに襲われたのではありません。たった一匹で犯人だと決めつけるのは短絡ですが、これまで魚の死骸はこの池ではほとんど見かけたことがありません。

 写真上の魚はタイリクバラタナゴという、これまた外来種ではないかと思われます。日本古来のタナゴはこんな汚い池では棲息できないでしょう。

 

 

シラサギが来た

 掃除の環境破壊の後に来たのはコケムシなど気持ちの悪い生き物だけではありません。同じ2016年の秋からシラサギが来ました(写真下)。調べてみると、シラサギという名前の鳥がいるわけではなく、シラサギは総称で、ダイサギ、チュウサギ、コサギというわかりやすい分類があるようです。ここに来たのがどれなのかわかりません。アオサギに比べて明瞭に小柄なのでコサギかもしれません。

 

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 写真下で首を縮めた姿とのばした姿では同じ鳥とは思えないほど姿が違う。

 

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 写真下を見てもわかるように、ここにいるシロサギとアオサギはだいぶん大きさが違います。生態的な破壊が行われても、二匹の大型の鳥の餌となる魚くらいは池にいるらしい。

 

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 口を大きく開けると、けっこうおもしろい顔をしている()

 

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 夜はサギはどこに行くのだろう。こんな池では危険だろうから、別に棲み処があるはずです。カモたちはここが棲み処のようだから、池の中にあった「島」がなくなり、岸辺で眠るのは大変でしょう。カモの数は掃除前と比べて、あまり減ってはいません。

 

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 水はすっかり汚れ、トンボどころか、外来種さえもろくにいなくなり、不気味な外来種まではびこった並木池ですが、夕方になるときれいな池に見えます()

 

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 自然の力はすごいですから、生態系は少しずつ戻るでしょう。破壊された生態系がどのように回復していくのか、また、今後、外来種が前とどのように違ってくるか、ちょっと楽しみにしています。

 

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