ルドベキア2005年 Rudbeckia 爆発的に増え、そして消えた 2005年に我が家の庭で爆発的に広がったルドベキアです。 6月中旬から少しずつ咲き始め、下旬には満開になり、8月頃まで咲き続けます。さらには、種から生えたルドベキアが、秋から咲き始め、初冬まで咲き続けることもあります。 上の写真左は前年の2004年です。チラホラと咲いている程度でした。上の写真右は翌年の2005年の様子です。爆発的に広がったのがわかります。 ルドベキアの香り ルドベキアは外見どおりのオレンジの香りがあります。数が少ないと気が付きませんが、これだけ多いと香りはなかなかなものです。夜、帰宅した時、庭に出ると、匂いが強く感じられます。これは夜だから匂いが強くなるのではなく、暗くてよく見えないので、嗅覚に意識が向くからでしょう。 花の好きずき 花が好きだという人たちにも微妙に見ている視線というか、花に対する見方が違うのがわかります。私は、写真を見てもわかるように、花そのものというよりも、花が自由奔放に咲き乱れる光景が好きです。ルドベキアそのものが好きだというよりも、勝手放題に咲いているのが好きなのです。 自由奔放の対極にあるのが小学校の花壇です。私がいた小学校ではクラスごとに小さな花壇があり、それぞれ花を育てていました。たいてい、チューリップが一定間隔に植えられていました。私はこういう整然と並んで花が咲いている光景を見ると、今でも逃げ出したくなるくらいです(笑)。 小学校の花壇のせいで、長年、私は自分がチューリップが嫌いなのだと思い込んでいました。ところが、先年、テレビでイギリスの王族の農園の庭にチューリップが勝手気ままに咲いているのを見て、どうやら私はチューリップが嫌いなわけではなさそうだと気が付きました(笑)。 アパートタイプの花 ルドベキアは花を咲かせる時期が他の雑草に比べてはるかに長いのが、彼らが爆発的に広がる理由の一つのようです。花を見ていると、とても効率よく作られているのがわかります。 花弁と受粉は一対一ではありません。真ん中の黒い部分は受粉のための雄しべと雌しべの「アパート」です。雄しべと雌しべが外側から順次受粉をしていくようにできています。花弁はずっと開いているので、これを「共同利用」して、雄しべと雌しべが次々と一ヶ月以上にもわたって受粉していくのです。だから、花びらが終わる頃には、最初に受粉した種はかなり成熟しているでしょう。 これだけ長期間、受粉が行われるなら、他の花なら、たまたま花を開いた時に雨ばかりで、虫が少なくて受粉に失敗するのに、ルドベキアなら、その心配がありません。 植物にしてみれば花弁はあくまでも虫を引きつけるための道具であって、役目が終われば捨てられる物です。ところが、花を開くのに植物はかなりの労力を必要としているようです。そこでルドベキアは、道具にすぎない花弁は共同利用して、受粉の期間を長くすることで、効率よく、確実な受粉をする道を選んだようです。 同じような方法を用いているのはコスモスやヒマワリなどキクの仲間があります。しかし、彼らよりもルドベキアの作戦はさらに一歩先に進んでいます。それが「デベソ」です。 高層住宅型のデベソ ルドベキアの花の特徴は雄しべと雌しべのある真ん中がデベソのように出てます。同様に花弁の共同利用をしているコスモスのように平面ではなく、立体的にすることで、雄しべと雌しべの数を増やしたのです。コスモスのアパートが平屋なのに対して、ルドベキアは高層マンションを作ることで住人(雄しべと雌しべ)を増やし、長期間受粉ができるように工夫したのです。個々の雄しべや雌しべが受粉できる機関は短いが、数を増やせば、どれかは受粉します。 ルドベキアは、受粉のチャンスを増やすにはどうしたら良いか、という課題を見事な手法で解決しています。 ルドベキアの変種? ルドベキアには様々な種類があるらしく、園芸店などでみると、花弁に黒が混じっているものや、これが同じルドベキアかと疑いたくなるような葉の形をした種類もあるようです。庭でも花の色が白くなる種類や(写真下左)、花弁が丸まり、先がとがったような形になるものがありました(写真下右)。 夏の終わりのルドベキア 咲き誇っていたルドベキアも八月をすぎる頃から、茎も倒れ、花の勢いが衰えていきます。真夏の花が少ない時期にも二ヶ月以上も花を咲かせ続けるその生命力には驚かされます。 消滅したルドベキア ルドベキアが爆発的に咲いたのはこの2005年でした。だが、翌年からは次第に衰退し、数年後にはほぼ消滅しました。目を疑う光景でしたが、原因ははっきりしていて、病気です。成長とともに、葉の下から枯れ始めて、花が咲く頃には立ち枯れをおこしていました。根ごと腐り、しかも種ができませんから、あっという間に絶滅です。 庭に咲いたルドベキアは、おそらく2006年に特定外来植物に指定されたオオハンゴンソウでしょう。だが、害を及ぼす前に自滅してしまいました。周囲を見ると、オオハンゴソウはあちらこちらの空き地にも生えていますが、この周囲で爆発的に増えたということがありません。おそらく病気に弱いという致命的な欠点を持っているからでしょう。 ルドベキア以外の雑草には病気が広がる様子はありません。特定外来植物に指定しなくても、この病気を培養して感染させれば、簡単に駆除できます・・・個人的にはこの花は駆除してほしくはありませんが。 なお、この写真は、オオハンゴンソウが特定外来植物に指定された2006年以前のものです。 |