ノコンギク 2011年 写真下は博多人形の「のぎく」です。学生の頃、九州を旅行した時、自分へのお土産に買ってきました。だいぶん大昔の話なのに、意外にも今でもこのデザインの人形が売れているようです。 人形が手に持っているのが野菊なのでしょう。ただ、彼女の着ている服の柄は桐の花のようにも見えますから、ちょっと違和感があります。服の柄も野菊ならもっときれいだったような気がします。 野菊とは、たぶんノコンギクのことでしょう。 ここに掲載したノコンギクは私の自宅と隣の小さな公園に生えているノコンギクです。では、庭に出て、ノコンギクを鑑賞しましょう。 ノコンギクは秋頃に道端などに良く咲いています。ヨメナと区別が難しいそうで、私の写真にも混ざっているかもしれません。分類は専門家に任せて、気にしないことにしましょう(笑)。 ノコンギクは私が好きな花の一つです。こんなありふれた、しかも、さして目立つ花でもないのに好きだというのも奇妙です。ノコンギクの多くは薄紫や白が多く、一方、私は薄紫はそれほど好きな色ではありません。 にもかかわらず、私がこの花が好きなのは、一つには子供の頃に田んぼのあぜ道で見たノコンギクの印象が強いからでしょう。家の近くの田んぼのあぜ道に、たぶんわざと刈り残したのでしょう、ノコンギクが毎年咲きました。 写真のように、今は庭にはノコンギクがたくさんあります。引っ越して来てきた最初の頃は、庭にはノコンギクは多くはありませんでした。手をかけて、他の雑草を取り除くなどをしている内に、次第に庭全体に広がり、秋の二ヶ月ほどを楽しませてくれるようになりました。 近所でも私の所ほどにノコンギクを咲かせている人はいません。雑草ですから、当然です(笑)。春先にノコンギクが生えてきても、ただの雑草ですから、無造作に草刈りをすれば、もはや生えてきません。雑草の中には刈られても、また新しい芽を出す物も少なくありませんが、ノコンギクは見た目よりも繊細なのか、私の知る範囲では、一度刈られてしまうと、その年はもう生えてきません。 ノコンギクが庭のあちらこちらに広がると、狭い所なのに、花によって色や開花時期が違うことに気がつきました。 開花時期の違いは、明らかに個体差らしく、1メートルも離れていない所なのに、開花時期に一ヶ月近くもズレがあります。毎年、見ていると、咲く順番も決まっているのがわかりました。 色にも違いがあります。私の見た範囲でいうなら、白、薄紫、やや濃い薄紫、薄いピンクの四種類です。 写真上の上段が白、下段が薄紫です。 写真下の上段がやや濃い薄紫、下段が薄いピンクです。 微妙な色の違いなので、デジタルカメラやパソコンではあまり明瞭ではありません。実物ははっきりと違いがわかります。私の庭に咲いている範囲でいうなら、白と薄紫が一番多く、ピンクは一カ所にまとまって咲いているだけで他にはなく、やや濃い薄紫は庭のあちらこちらに散らばっています。近所のノコンギクを見ると、白と薄紫は一般的で、ピンク色は見当たりません。 これらには咲く順序もあります。まず庭の真ん中ほどにある薄紫のノコンギクが咲き始め、続いて、南側にある白のノコンギクが咲き、続いて、北側の薄紫、白が咲き、最初のノコンギクが終わる頃に、ちょうどその隣にあるピンク色のノコンギクが満開になり、これが咲き終わるとノコンギクの季節も終わります。 これらの順序を見てもわかるように、日当たりの良し悪しなど環境で開花時期が決まっているのではなく、それぞれのノコンギクの個性です。 こんな狭い場所に生えているノコンギクが、色も咲く時期も違うというのが何ともおもしろい。これがノコンギクが野草として広がった理由かもしれません。 ノコンギクの中でも濃い紫の株を見つけて、とても見事なので、他の土地に移植しました。ところが、翌年咲いた花を見て、びっくり。色は失せて、薄紫の花が咲いています。私が移植する株を間違えたのか、それとも環境で色が変わってしまったのか、今でもわかりません。 写真下が歩道側に咲くピンク色のノコンギクです。ノコンギクとしては最後の頃に咲き、これが咲き終わるとノコンギクの季節も終わりです。ピンク色も明るくてとてもきれいです。 歩道側なので、歩く人たちが毎日このピンクのノコンギクを見ているはずです。私もそれを意識して、花が歩道側により広がるように工夫したつもりなのですが、当然、花はそんな私の意図など無視します。 海外のあちらこちらでノコンギクの仲間を見かけます(写真下)。それも低地から乾燥したチベットの高原まで、厳しい環境にもよく適応しています。たぶん世界中に広がっているのでしょう。 写真上 中国青海省のノコンギクの仲間 写真上 中国四川省のノコンギクの仲間 写真上 南アフリカのノコンギクの仲間 庭一面にノコンギクが咲くと様々な虫が集まって来ます。まず多いのがハナバチです。ネットでいろいろ調べてみたのですが、写真下のハチはどれ一つとして名前がわかりませんでした(笑)。ハナバチはあまり気にしてみたこともなかったので、これほど種類が多いとは知りませんでした。 チョウもたくさん集まってきます。ノコンギクは花そのものが多いこともあって、私の庭では最も多くの種類のチョウが集まってくる花です。 写真上 ベニシジミ 写真上 ルリシジミ 写真上左 チャバネセセリ、 写真上右 ホソバセセリ 写真上 モンキチョウ 写真上 キチョウ(左は夏型、右は秋型) 写真上 オオイチモンジ 写真上 ヒメウラジャノメ 写真上 キタテハ 写真上 アカタテハ 秋の蝶々の定番がヒョウモンチョウです(写真下)。蜜を吸い始めるのを待ってから静かに近づくと、一番逃げないチョウです。 写真上 ヒョウモンチョウ 写真上 ツマグロヒョウモン |