トップぺージ

 

オオウバユリ 2014

最初で最後の花を咲かせるユリ

 

 

DSC_9330

 

 オオウバユリやウバユリと聞いても、ご存じない方も多いでしょう。オオウバユリが自生している近くに住んでいる人に写真を見せたら、「こんな花が咲いているのだ!?」と驚いていました。オオウバユリは北海道から関東や中部にかけて山野に良く見られる植物なのに、それほど知られていません。

 

DSC_0411

 

オオウバユリの知名度が低いのにはいろいろと理由があります。一つはユリにしては花の色が緑がかっていて外見がイマイチで、物好き以外の好みに合わないということ、花が咲くまで栽培期間が長いので園芸品種には向かず、よほどの物好きでないと育てないこと、花の咲く暑い夏の時期にわざわざ虫だらけの山野の林の中に行く物好きは限られていることなどです。つまり、物好き以外は興味を持たないからで、私はその物好きです。

 

DSC_9376 DSC_9373 DSC_9396

 

 ネットを見ると、薄暗い林の中に突然、緑っぽい白い花が生えているのが気味が悪いと感じる人たちもいるようです。蒸し暑いだけの林の中にオオウバユリが一面に咲いていると、私などは「うおー、スッゲー」になるのですが、どうも私の感覚が一般からはずれているようです。

 

DSC_9423

 

 花の格好を見ると一見、テッポウユリに似ていますが、分類学ではユリ科ウバユリ属と別な属です。日本では中部地方を境に、北方にオオウバユリ、南方にウバユリがあります。ウバユリの仲間は千島列島や中国の四川省とチベットにもあることから、どちらかというと、寒い地方に適した花なのでしょう。その意味でも、南方系のテッポウユリとは別物でしょう。

 

DSC_9428 DSC_9429 DSC_9439

 

オオウバユリの葉はテッポウユリなどとはまったく違い(写真下)、とてもユリとは思えない形をしています。花が咲いても、葉は下のほうにあるだけで花の近くにはありません。

 

DSC_6226 DSC_5105

 

何よりの変わっているのは、花を一生に一度しかつけないことです。種が発芽してから、6~8年の間は花を付けずに根に栄養を貯めて、最後に花をつけて枯れてしまうというのです。つまり、この写真にあるオオウバユリはこの後、枯れてしまい、来年は生えてきません。

実際には、遺伝的に同じ子株(娘鱗茎、ラメット)が生えて、これが三年くらいたつと花を咲かせるというから、死滅してしまうわけではありません。だから、Pacific Bulb Societyでは、一回のみの結実(monocarpic)ではない、とわざわざ強調しています。

(http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/Cardiocrinum)

 

DSC_9370

 

 

ソバカス

 オオウバユリの花はテッポウユリなどと同じように、完全に開花しても花弁は外に開かず、筒状のままです。

花を正面から見ると、普通のユリと違い、面白い形をしています。普通のユリは六枚の花弁が対称的に配置されていますが、オオウバユリの花は上下があり、内側の花弁の一つが上の真ん中であり、その上に外側の花弁が犬の耳みたいに付いています。

 

DSC_938301 DSC_938901

DSC_935901

 

DSC_046601 DSC_046701

 

 花弁の色は、外は薄い黄緑が混ざった白です。しかし、中にはテッポウユリのような真っ白なものもあります。

 

DSC_028401 DSC_029601

DSC_033401 DSC_039601

 

 正面が白くても花弁の内側は一般的には紫のソバカスが付いています。

 

DSC_932101 DSC_932401

 

 しかし、中には、筒の中までソバカスがついていない個体もあります(写真下)

 

DSC_027401

 

 内側のソバカスが花弁の先までついている個体もあります。しかし、花弁の外側にはソバカスはありません。これは後で紹介するヒマラヤウバユリなどとは違います。

 

DSC_028801 DSC_029701

DSC_030001 DSC_046401

 

 一般には花弁の先が外に向かってめくれていますが、花が十分に開花しても、写真下右のようにそれほどめくれない個体もあります。

 

DSC_9325 DSC_9328

 

 斜めから見ると、花の筒の「背中」の部分が上に曲がっているのがわかります。これも他のユリには見られないオオウバユリの大きな特徴です。

 

DSC_9365 DSC_9382

DSC_0337 DSC_9364

 

 上の花弁が曲がっているせいで、横が開いていることがよくあります。そのおかけで、中のオシベやメシベが見えます。

 

DSC_0292 DSC_0293

DSC_9323 DSC_0344

 

 たまたま、花弁が虫に食われた花があり、中の構造が丸ごと見えます(写真下)。オシベが6本、メシベが1本です。

 

DSC_0299

 

 花が咲き終えて、花弁とオシベが落ちていて (写真下)花の断面を見るのにちょうどよい。花粉らしいオレンジ色の粉がオシベではなく、根本のほうについているのはどうしてなのでしょう。花は横向きですから、オシベから花粉が花の根本に落ちたとは考えにくいから、虫が入り込んだか、花弁が落ちる時、メシベだけが残りますから、メシベに残っていた花粉がついたのかもしれません。

 

DSC_052401 DSC_052301

 

 花弁の落ちてしまった種のほうにはメシベが残っています(写真下)。やがて、この種が上を向いて大きくなります。

 

DSC_0525 DSC_0526

 

 花の中に虫がいます。写真下の虫はオオウバユリの近くで大変良く見かけます。

 

P104041001 P104041401

 

 花から出できた虫を良く見ると、緑と黒の模様で、私の連想だけでいうなら、カメムシをスマートにしたような印象です。ネットで見ると受粉を手伝うのはマルハナバチだというが、ここではハチの姿はほとんどなく、一番良く目に付くのがこの虫です。ただ、身体に花粉を付けていませんから、受粉を手伝っているのではなさそうです。

 

 P104040801 P104040901

 

 他にも花についている虫はたくさんいますが、いずれもこれらの虫が受粉にかかわっているとは思えません。

 

DSC_031901 DSC_030301

DSC_030401 DSC_034501

 

 写真下の虫は葉の上をかなりの速度で動いています。最初、なんという変な格好の虫かとかと驚いたが、樹木のカケラなどを身体にくっつけたミノムシでしょうか。

 

P104041501

 

 

ウバユリとオオウバユリ

 オオウバユリはウバユリの亜種です。前述のように、本州の真ん中を境にウバユリは南、オオウバユリは北に棲息しています。長野県などは両方が生えているそうです。ただし、両者を別物として区別することには異論もあります。

 

「両種は個体サイズ以外には形態的な差異が認められない。」

(谷友和, 舘野正樹、日本生態学会第56回全国大会、2009)

 

 こんなふうに学者の中には、両者の違いは大きさのみでわざわざ分ける必要はないという意見もあるようです。私自身は、これがウバユリだというウバユリを見たことがないので、何ともいえませんが、ネットで見る限り、差異が少ないという意見は説得力があります。

 

800px-Cardiocrinum_cordatum_yatsugatake2

ウバユリ(Wikipediaより転載)

 

 

中国のウバユリ

 世界的にはウバユリ属(Cardiocrinum)は三種類あり、亜種を含めると五種類あります。日本には一種類、亜種を含めて二種類あり、中国には二種類、亜種を含めると三種類あります。

 

Cardiocrinum cordatum ウバユリ

亜種Cardiocrinum cordatum var. glehnii オオウバユリ

Cardiocrinum cathayanum (中国名:麦叶大百合)

Cardiocrinum giganteum ヒマラヤウバユリ (中国名:大百合)

亜種Cardiocrinum giganteum var.yunnanense (中国名:雲南大百合、云南大百合)

 

 分布はチベット圏、中国、日本に限られています。下の地図で赤で囲ったのはヒマラヤウバユリの産地、青で囲ったのが麦叶大百合の産地です。産地についてはFlora of Chinaを参照にして、国名や中国の省を囲みました。この分布でわかるのは、この二種が東西に分かれて分布していることです。チベットから中国中央にかけてヒマラヤウバユリ、中国の中央から東部にかけて麦叶大百合、東の日本にウバユリやオオウバユリが分布しています。

 

china01

 

 上の地図を参考にして、三種類のウバユリの分布を描いたのが下の地図です。赤がヒマラヤウバユリ、青が麦叶大百合、緑がウバユリとオオウバユリです。ただし、この線は私が適当に囲っただけですから、信用しないでください()。たとえば、オオウバユリは千島列島やカラフトにもあるというが、どこまで分布しているのかわかりません。

 

ubayuri01

 

 このいい加減な分布図からでも、ウバユリやオオウバユリは日本が大陸と地続きだった頃にすでに日本にまで分布を広げていたと推測できます。大陸から離れてしまってから、この三者は独自に進化したのでしょう。

 しかし、奇妙なのはウバユリは、Wikipediaを信用するなら、朝鮮半島にはないことになります。韓国版のWikipediaにはウバユリの項目がありません。また、Flora of Chinaの記述でも、朝鮮半島や中国の北部には自生していないことになっています。

 

DSC_9408

 

ヒマラヤやカラフトなどの寒冷地にあるのに中国の北部や朝鮮半島にないというのは大変興味深い。ウバユリが日本に分布を広げたのは、中国北部や朝鮮半島経由ではなく、中国と地続きだった頃ということになります。

それはいつ頃なのでしょう。氷河時代の二万年前には下の図のように、海の水位が下がり、日本の中国が地続きになっています。しかし、この図を見てもわかるように、これで日本にウバユリが広がったのなら、朝鮮半島にも残っていいはずです。現実にはない。つまり、ウバユリが日本に来たのは、こういう数万年程度の「最近」ではないということでしょう。

 

http://www.kiifudoki.wakayama-c.ed.jp/tenji/hyoga-map.jpg

http://www.kiifudoki.wakayama-c.ed.jp/tenji/zyosetuten-kyuusekki.htm

(和歌山県立紀伊風土記の丘)

 

新第三紀(2300260万年前)に日本がユーラシア大陸から分離して、日本海もできたといいますから、こういう古い時期にすでにあったのかもしれません。

 

 

ヒマラヤウバユリ

 ヒマラヤウバユリ(Cardiocrinum giganteum、大百合)はヒマラヤと中国の一部にしかないユリですが、Giant Himalayan Lilyという名前で市販されているため、ネットで検索するとそれほど珍しくはありません。特にイギリスは気候が合うらしく、あちらこちらの植物園にあるようです。写真下のように、ウバユリやオオウバユリよりも派手でユリらしく、しかもジャイアントという名前どおりで、三メートル前後にもなるなど、特徴があるので園芸種としての人気もあるようです。

 

Cardiocrinum_giganteum,_RBGE_2010,_2 Cardiochrinum_giganteum_01Infl_China_Sichuan_Danyun_Schlucht_16_06_04

写真上 ヒマラヤオオウバユリ

(wikipediaより転載)

 

 ヒマラヤウバユリとウバユリの違いの一つは、写真上右のように花弁の赤が目立つことです。しかも、写真上右のように、花弁の外にまでその赤い色が広がっています。日本のオオウバユリも内側が紫色であることはご紹介しましたが、さすがに花弁の外側まで色がついている例は見た事がありません。

 

perennial_m_cardiocrinum giganteum

(http://www.thimblefarms.com/index.htmlより転載)

 

 ヒマラヤウバユリの葉はオオウバユリに似ており、花が咲くまで68年かかり、一度しか花を咲かせないなど、明らかに同じ仲間です。しかし、葉のつき方は違います。オオウバユリが放射状に下に葉があるだけで、長い茎には葉がないのに(写真下右)、ヒマラヤウバユリは花の近くまで葉が付いています(写真下左)

 

giganteum01 DSC_0473

(写真左:wikipediaより転載したヒマラヤウバユリ。写真上右は日本のオオウバユリ)

 

 

麦叶大百合

麦叶大百合の「」は日本語にはなく、何て読むのでしょうか。ヒマラヤウバユリをやや小さくしたユリで、写真で見る限り、外見は区別がつきません。ちょうど日本のウバユリとオオウバユリとの関係に似ていて、現物を見ていない私には単に大きさの違いだけのように見えます。

麦叶大百合は写真下左のような花の内側が赤く、葉は茎の上まで生えて、花の大きさから推測すると高さもかなり高く、見た目にはヒマラヤウバユリと同じです。

写真下右は中国科学院植物研究所の主催する「中国植物图库(中国植物図庫、Plant Photo Bank of China)(http://www.plantphoto.cn/main)に載っていた福建省の野生の麦叶大百合です。

 

WS000480 1357403

麦叶大百合

(写真上左 Baidu百科から転載、写真上右 中国植物图库から転載)

 

同じ麦叶大百合として載っていたのが下の写真です。こちらは写真上と違い、日本のウバユリやオオウバユリといくつか共通した特徴があります。

 花が曲がっていることと、花のすぐ下の茎には葉がない(写真下右)ことです。しかも、写真下の個体は、ヒマラヤウバユリの特徴である花の内側の赤い模様が外から見えません。写真下左は、奥の内側は紫色らしいことがわかるが、外から見る限り、ウバユリやオオウバユリのように、白いや薄い緑色に見えます。

 

 

0824ab18972bd4071cea51d07a899e510fb309e9 34fae6cd7b899e51972842b742a7d933c9950dea

麦叶大百合(Baidu百科から転載)

 

 写真下は河南省の河南野生鑑賞植物園のホームページに載っている麦叶大百合で、この個体もヒマラヤウバユリと違い、日本のウバユリのように、開花しても花の内側の紫色が見えないようです。

 

WS000481

麦叶大百合(http://www.gaolongxiao.com/chinese/product/product_view.asp?productid=854から転載)

 

 写真下は山西省にある运城学院(山西省运城市)のホームページに載っている麦叶大百合です。花は内側の紫色が外からはわかりにくく、また、花の筒が曲がっており、背丈も低く、生えたばかりの頃の葉にツヤがあり、赤い葉脈がある点はウバユリに似ています。ところが、ウバユリと違い、花弁は開き気味で、葉が花の近くまで交互に生えている点(写真下右)はヒマラヤウバユリに似ています。

 

6672710201095457_1 1952710201095520_1

WS000482

麦叶大百合(http://kcjs.ycu.edu.cn/zwswx/news/view.asp?id=1470から転載)

 

 これらの麦叶大百合を比較するなら、ヒマラヤウバユリとウバユリの両方の特質を持っており、中間的なユリだとわかります。ただし、麦叶大百合とヒマラヤウバユリを明瞭に区別できない可能性もあります。

 最後に、ヒマラヤウバユリの亜種である雲南大百合は実は良くわかりません。私は現物を見たことがないし、頼りにしている「中国植物图库」で検索しても出てきません。Baidu百科を見ても、ヒマラヤウバユリとの違いがわかりませんので、省略します。

 

 

4月初め

 春先からオオウバユリがどんなふうに成長していくのかを見てみましょう。

 四月初めに山に行くと、昨年咲いたオオウバユリの枯れた茎が目立ちます。種は飛んでしまい、殻だけが残っています(蒴果、さくか)。ここは冬は雪が積もりますから、その雪に耐えて残ったことになります。形がおもしろいので、生け花などに使われるそうです。

 

DSC_4490 DSC_4409

 

 前述のように、オオウバユリは花を咲かせると枯れてしまうという面白い性質を持っています。今年咲いたそのオオウバユリは来年咲くことはないのです。しかし、実際には枯れてしまう前に、周囲に子株(娘鱗茎、ラメット)を残すので、枯れた茎の周囲からは新しい葉が生えています(写真下)。遺伝的には枯れた親株とまったく同じだそうです。

 

DSC_5102 DSC_5103

 

 枯れた茎の周囲を見ると、新しい葉がたくさん生えています。いずれも葉につやがあります。写真下のように葉が何枚もあるのは何年か成長した個体です。

 

DSC_4644 DSC_4645

 

 一般には写真上のように葉脈の部分が赤いのが多いが、写真下のように、全体が緑色のもあります。テラテラして、うまそうに見えるし、食べられるそうだが、アクが強いので、山菜扱いになっていません。

 

DSC_4554 DSC_5108

 

 春先の他の植物たちが葉を広げる前から大きく成長しています。オオウバユリは北海道や千島列島にも生えているといいますから、元々寒さに強いというか、適応しているのでしょう。

 

DSC_3462 DSC_3470

 

 

5月末

 同じ場所を五月末に訪れてみると、写真下のようにオオウバユリは茎も伸びて、大きな団扇ほどの葉を広げています。四月と違い、もう葉にツヤはありません。

 

DSC_6250 DSC_6248

DSC_6237 DSC_6238

 

 写真上のように茎がのびて、その上に葉のつく個体だけでなく、写真下のように茎ののびない葉だけのように見える個体もあります。この違いは、茎がのびたのは今年が花を咲かせ、のびないのは花を咲かせません。

 

DSC_6167 DSC_6170

 

 勢いよく成長しているように見えますが、良く見ると、葉には病気なのか所々に黄色い点や、さらに枯れている葉もあります(写真下)。花が咲くのは7月後半の二カ月も先で、花芽すら出ていない時期にすでに葉の一部は枯れ始めています。

 

DSC_6228 DSC_6229

 

 これが大姥百合(オオウバユリ)の名前の由来だと言われています。花が咲くころには「葉=歯」がないから姥だという、なんともひどい名前です。ただし、実際には花が咲く頃には大半の個体に葉がついています。

 ここのオオウバユリが花が咲くのは七月末から八月上旬ですから、これから花が咲くまでは二カ月もあり、もちろん、大半の葉は花が咲くまで残ります。

 

DSC_6230

 

 

7月末

 七月も中頃に入ると、放射状についた葉の真ん中から茎がのびて、先端に花芽が付きます(写真下)。これは花の穂、花の集合体で、蕾が総包に包まれている、と表現するようです。

 

DSC_3795 DSC_3796

 

 薄暗い林の中に、オオウバユリの花の穂が決然と立ち上がっています。写真下では、周囲の草は人間の腰くらいの高さがあります。

 

DSC_3797 DSC_3803

DSC_3799

 

 間もなく花が咲きますが、葉がしっかりと付いています。

 

DSC_3832 DSC_3837

DSC_9350 DSC_035401

 

 まとまっていた穂先が広がり、いよいよ一個一個の花芽が現れます。

 

DSC_3813

 

DSC_9348 DSC_9352 DSC_9354

 

 

一気に満開

 七月の後半、いよいよ花が咲き始めます。私の印象だけで言うなら、一本についている花は少しのズレはあるものの、ほぼ同時期に咲きます。花の数が多いから、次々と花を開いたほうが受粉には効率的のように見えますが、オオウバユリは一気に咲いて、一気に散っていきます。

 

DSC_0332 DSC_0340 DSC_0343

 

 ここは春に来た時もオオウバユリの葉が一面に生えていた所で、今日はほぼ満開です。オオウバユリの間を通り抜けようとすると、あら?どこかで聞いたような虫の羽音が・・・いかん、スズメバチだ!巣があるのを気がつかず、近寄ってしまったようです。私は一目散に逃げました。

 

DSC_0301 DSC_0313 DSC_0317

 

 薄暗い林の中に、たまたまオオウバユリの所だけに陽が射し込んで白く浮かび上がっています(写真下左)

 

DSC_0323 DSC_0465

DSC_0335 DSC_0339

 

 林が開けた所にオオウバユリの群落がありました。

 

DSC_0359 DSC_0366

 

DSC_0374

 

 今、花を咲かせている個体はこのまま枯れてしまい、来年は咲きません。68年、成長を続けて、ようやく花を咲かせた。だから、少なくとも今と同じ光景は来年は見られません。どんな花も最初で最後なのだが、オオウバユリは長年かけてようやく最初で最後の花を咲かせたかと思うと、何か名残惜しい。

 

DSC_0398 DSC_0363

 

DSC_0407

 

ここに群落しているのは木が生えていないからで、たぶん昔は畑として開墾されたことがあったのでしょう。山の上のほうまで、明らかに人の手が入ったと思われる土手などがあります。しかし、今では山は荒れてしまい、雪の多い年など杉が倒れても放置されたままです。

ここも畑としては長年放置されたままなので自然にオオウバユリが増えたようです。

 

DSC_0416

 

DSC_0414

 

 花が終わり、メシベも落ちてしまうと、横を向いていた茎は垂直に持ち上がります(写真下)。この後、秋までに種に栄養を送り、細長い種の鞘は少しずつ膨らんでいきます。

 

DSC_0279

 

 十月頃に実が熟し、散り始めます(写真下)。この写真は上の写真とは別な所で撮ったものです。秋はこのあたりの山はキノコ採りで入山禁止になります。私のようにただ写真を撮りたい者にとっては迷惑な制度です。

 

  

 

 写真下のように、実は縦に三つに割れて、それぞれの部屋に入っているたくさんの小さな種を飛ばし、やがて殻だけが残ります。殻は丈夫で、雪でもこのまま翌年の春まで残る物もあります。

 

P1050591 P1050592

 

 

あのカモシカ

 夢中になってオオウバユリを撮っていると、フッと気配を感じて見ると、草むらの中からカモシカがこっちを見ている。春に続いて今年は二度目です。

 

DSC_043301 DSC_045201

 

 顔や足の付け根の模様から、春先に見たのと同じカモシカ(写真下左)ではないかと思われます。春のほうが毛がふさふさしている。ここが縄張りなのだ。

 

DSC_503001  春   夏 DSC_044201

DSC_5035 DSC_0450

                                                                         夏

 カモシカもオオウバユリを食べるのだろうか。オオウバユリの葉が動物に食い荒らされたような状態はあまり見たことがありません。

「こっちにおいでよ」と声をかけたのですが、今回も、林の奥に静かに去って行きました。

 

DSC_0457 DSC_043001

 

DSC_9415

 

 

 

 

トップぺージ