新型コロナの寿命 なぜデルタ株の感染者は急激に減ったのか? (2021年10月5日) 人類は新型コロナ(以下、コロナと略)に悩まされ続けています。そして、ウィズ・コロナ(Coexist with the
coronavirus)、つまりコロナは消えることはなく、共存する社会になると予想されています。私はこの意見に反対で、コロナは発生から3~4年くらいで社会の表面から消えると予想しています。 テレビなどで専門家たちの意見で、一つ重大な視点が抜けているように見えるのが、「新型コロナの寿命」です。コロナ・ウイルスの個々の寿命の他に、デルタ株などの株としての寿命、コロナ全体としての寿命があるのではないかというのが私の素人珍説です。もしこの推測が正しいなら、2021年10月の今はコロナ発生からほぼ2年たち、コロナの「人生」の後半に入っていますから、3年目の来年以降、自然に社会の表から消えます。 私は医学、薬学、生物学についてはド素人であることを前提として素人珍説を、コロナと全然関係のないコンギクの写真を見ながらお読みください。 感染者数のグラフは主に「新型コロナデータサイト」(https://covid.gutas.net/)から転載しました。 個々のコロナ株の寿命 下記の東京都の感染者数の推移を見てください。波の高さ(ピーク)は様々なのに、波の幅はほぼ3~4カ月くらいです。不思議だと思いませんか。季節や対策の違いがあるのに、大まかには波の幅が似ています。デルタ株の第5波はこれまでで最大なのに、急激に患者数が減っていることに識者たちはあれこれと理由を並べているが、どれも説得力がありません。 これを「デルタ株の寿命」と見ればわかりやすい。デルタ株は6月から増え始めたのだから、寿命を3~4カ月と見れば、波の終わりは9~10月と予測され、現実の時期と一致しています。対策のおかげではなく、デルタ株が老化し寿命が来たから、急激に減ったのです。 波の幅が似ているとは、一定の周期で流行するという意味ではなく、一つの株の成長衰退が3~4カ月だという意味です。ピークとピークの間隔ではなく、波の横幅が3~4カ月であることです。 この事実から、私の素人珍説はそれぞれの「株の寿命」は3~4カ月ではないかということです。一つの株は世代を重ねる集合体なのだが、まるで株が一個の生き物のように、生まれ、成長(増殖)し、人生のピークを迎え、やがて老いて衰退していくという普通の生物と似た経過をたどっているのではないかという推測です。 上図 東京都の感染者数推移 (「新型コロナデータサイト」から転載) 第1波は欧米型、第2と3波は東京・埼玉型、第4波はアルファ、第5波がデルタだとされています。もちろん、波を形成しているのはそれぞれ単独の株ではなく、前後で重なっているでしょう。つまり、厳密には5つの波はそれぞれが遺伝子の違う「別なコロナ」です。例えば、ゴキブリと言っても、クロゴキブリ、チャバネゴキブリなどいろいろな種類がいると同じです。 遺伝子のコピーミスによる寿命 学者たちの解説によれば、デルタ株などが出てくるのは遺伝子のコピーミスによるもので、コピーミスの中でも、感染力や毒性の強いコロナ生き残り、急激に広がるという。 ここで注目するべきは、コピーミスによってデルタ株のように凶悪なコロナも出てくる一方、コピーをくり返せば繰り返すほど、遺伝子が「ぼける」ことです。遺伝子の情報とは文章のようなものですから、コピーの過程で「毒性」という文字が大きくなったのがデルタ株です。コピーによって優秀なワルも出てくる一方、コピーをくり返せば文字は「ぼける」。文章の書いてある紙を複写機でコピーをくり返せば、やがて文字は読めないほどぼけるとの同じで、生物も遺伝子のコピーをくり返せば、やがてその生物は元の姿は保てない。これがその生物の種としての寿命です。例えば、哺乳類はY染色体によって生殖をしているが、学説によれば、後500万年ほどでコピーミスからY染色体は消えると言われています。 人類が遺伝子をコピーするのは、一世代とみなせば、30年に一度くらいでしょう。ところが、コロナは短時間に急激にコピーをくり返します。生命の形態が違うから、両者を比較するのは強引だが、私は素人なので試してみましょう。学説によれば、コロナは「1日でウイルス増殖の4サイクル分のスピードで感染が肺内で広がる」とあるから、コピーのサイクルは6時間であるみなして、人間と比較すると、 30年×365日×24時間÷6時間=43,000倍 コロナは人類よりも43,000倍もの速さでコピーをくり返しているから、ボケル速さもこれに比例するはずです。人類の寿命はまだ終わっていませんが、始まりは今から20万年前と言われています。すると、 20万年÷43,000倍=4.6年 人類の寿命が20万年なら、コロナの寿命は4.6年ということになります。4.6年という絶対値に深い意味も根拠もなく、これが1年でも10年でもかまわないのだが、着目するべきは集団としてのコロナの寿命はこの程度だという点です。私が、人間がどう対策を取ろうが取るまいが、コロナはせいぜい3~4年程度で表から消えると主張する根拠の一つです。 その実例を人類は百年ほど前に体験しています。 スペイン風邪はなぜ収まったのか 下の二つの図は、百年前に世界中で5億人が感染したというスペイン風邪のイギリスと日本の死者数です。これは感染者数ではないが、日本の例では、おおよそ4~5回のピークがあったこと、発生から約3~4年で消滅したのがわかります。 上図 イギリスにおけるスペイン風邪の人口1000人あたりの死者(ウィキペディアから転載) 上図 スペイン風邪による日本人の死亡者数の月別推移 (「東京都健康安全研究センター年報,56巻,369-374 (2005)」から転載) スペイン風邪が収まった理由とされているのが「集団免疫」です。当時の世界人口18~19億人の内、5億人が感染したのですから、30%くらいの人が感染したことになります。日本では2380万人が感染したとされ、1918年の人口が5473万人ですから、約43%が感染したことになります。 人口の30~40%くらいが集団免疫を形成したから、スペイン風邪が収まったというのが今日の主な説です。だが、集団免疫説には今回のコロナを見ると、疑問が出てきます。 コロナとワクチンによる集団免疫の実例 スウェーデンの感染による集団免疫 コロナでは、感染して集団免疫を得ることで感染者が減るという説は実際には成り立っていません。それを示す一つ目の事例がスウェーデンです。 2000年からコロナ感染が世界中に広がり、多くの国が感染しないように対策を取った中で、スウェーデンは集団免疫を作るために積極的な感染対策を取りませんでした。下図のように2000年7月頃をピークに感染者数も減ったので、集団免疫の効果があったように見えました。ところが、2000年10月頃から感染者は急増して、年末には方針を変えて、感染対策を取るようになっています。 上図 スウェーデンの感染者数推移 (「新型コロナデータサイト」から転載) イスラエルのワクチンによる集団免疫 二つ目の事例がイスラエルです。世界に先駆けて、2021年初頭からワクチン接種が進み、1月頃をピークに感染者は減り始め、4月以降、二桁くらいを維持して、ワクチンの有効性の模範として紹介されていました。ところが、ワクチンの二回接種が7/1段階で57.2%にも達していたのに、感染者が再び増え始め、9月には二万人を越えて、三度目のワクチン接種を始めています。 上図 イスラエルの感染者数推移 (「新型コロナデータサイト」から転載) 集団免疫説では説明がつかない スウェーデンとイスラエルの事例は面白い実験結果とみなすことができます。前者はコロナによる集団免疫、後者はワクチンによる集団免疫です。だが、結果を見てもわかるように、両者とも集団免疫による感染防止はできませんでした。 スペイン風邪とコロナとは違うし、時代も条件も違うから、一概に比較はできないが、スペイン風邪が収まったのは世界的な集団免疫ができたからだという説は、スウェーデンとイスラエルの事例から成り立っているとは言えないのです。 スペイン風邪が消えてしまったのも奇妙です。あの時代だから、集団免疫のできていない地域にスペイン風邪が後で持ち込まれて、そこで大流行してもいいはすなのに、世界中からいっせいに消えて、「ウィズ・スペイン風邪」にはならなかった。集団免疫はスペイン風邪が消滅した一因ではあるが、決定的な理由ではないと考えるべきです。 スペイン風邪のウイルスに集団的な寿命があったとみなせば、消滅を説明できます。同様に、コロナも集団免疫を獲得して感染を防ぐことでコロナに対抗するというやり方は決定打にはならないと考えるべきです。スペイン風邪が自然消滅したことから類推するなら、人間がワクチンを打とうが、集団免疫を獲得しようが関係なしに、コロナもまた「老化」という寿命によって自然消滅すると考えられます。 もちろん、自然消滅するから、ワクチンやマスク、三密の回避などの対策が無意味だと言っているのではありません。これらの対策は感染者数の増加を抑えて、医療体制の準備期間を与え、なによりも患者数を下げる効果がありますから、絶対に必要です。だから、私はワクチン接種済みであり、コロナが流行する前から、冬場はマスクと手袋をして買い物に出かけました。 ウィズ・コロナは無い 素人珍説をまとめるなら、次のようになります。 ・コロナは集団としての寿命があり、スペイン風邪から類推するなら寿命は約3~4年と予想される。 ・コロナのそれぞれの株にも寿命があり、感染者数のグラフの横幅から3~4カ月と推測される。 ・これらの寿命は遺伝子のコピーミスによっておきる。 ・コロナは社会の表から消えるからウィズ・コロナ(コロナとの共存)にはならない。 コロナの感染が始まったのが2020年初めとすれば、2021年10月の今、コロナの「人生」は後半に来ており、まもなくコロナは「老人」になり、活力が衰え活動が鈍るはずです。今後、感染者数のピークは低くなり、一年後の2022年の後半には衰退してしまうでしょう。これはワクチンの普及や薬の開発の効果のように見えるだろうが、実際には、コロナ自身が「老化」してもはや人類の敵ではなくなってしまうからです。つまり、今のコロナ対策で欠けているのは、嵐が通り過ぎるのを待つ忍耐強さです。 ただし、コロナは消滅しても、やがて次の強烈なウイルスがまたやってきます。これは素人珍説ではなく、過去の感染歴史を見ればあまりに当たり前の予測です。 |