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6日目 201268()

飛来寺 ←→ 明永氷河

 

朝焼けの梅里雪山は・・

 朝、六時半頃に起きて、真っ先に窓の外の梅里雪山を見ました。朝焼けが見せ場なのに、残念ながら、雲がかかっており、ダメです。

 

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 窓の下や、建物のベランダなどに観光客がカメラを構えています。室温でさえ20.9℃ですから、屋外はかなり寒いのでしょう。防寒具をはおり、中には毛布をガウン代わりにかぶっている人もいます。

 

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 明るくなり、朝焼けが見られないとわかると、道路からは観光客は姿を消し、犬しかいません(写真下左)

 

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 八時近くになると雲が少しずつとれて、メツモやカワカブなど、いくつか山頂が見えるようになりました。

 

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 仏塔のある広場の方から、香を焚く煙が立っています。

 

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 陽が昇るにつれて、梅里雪山の手前の谷に陽が射すようになり、瀾滄江(メコン川)の対岸にある西当村が見えて来ました(写真下右)

 

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 八時半から、ホテルの食堂で朝食です。ここで出た麺はうまい。

 

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瀾滄江まで降りて渡る

 今日は明永氷河を見にいきます。下の地図のように直線距離は近いのに、そこに行くためには、ホテルのある三千メートルから谷を下り、二千メートルにある瀾滄江までいったん下り、川を渡って反対側にある氷河まで七〜八百メートルも上がります。

 

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9:27に明永氷河に向けて出発。写真下は、明永村よりさらに北側にある斯農村です。

 

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 国道214号を左に折れて、写真下の村を通過して、瀾滄江の河近くまで下りて行きます。

 

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 この村だけでなく、近隣の村でもブドウ畑が良く目につきます。これには理由があり、明日、お話しします。

 

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 写真下の、対岸の西側の谷に我々の行く明永村があり、その奥に明永氷河がちょっとだけ見えます。

 

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 橋の手前にゲートがあり、検問のようです。

 

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料金所をすぎて、瀾滄江を渡り西岸に入り、瀾滄江の支流にそって少し西に行くと明永村があります(10:05,2020m、写真下)

 

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明永村から馬に乗る

 明永村に入りました(2325m)。飛来寺から千メートルも下がったことになります。中国のネット百科辞典Baiduによれば、ここは52戸、300人の村で、観光で万元戸も現れ、2003年の平均では2800元といいますから、豊かな村なのでしょう。車から見える建物からもこの村が豊かなのがわかります。

 

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 明永村の上流に駐車場があり、そこが明永氷河への門になっていて、ここで入場料を払います。門の先がちょうど橋になっていて、抜け駆けが出来ないようにしてあります(写真下左)。川の上流にはカワカブらしい山が雲の間から見え隠れしています(写真下右)

 

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 川のそばにノイバラが咲いて、景色を作っています。

 

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写真上 Rosa sericea

(『雲南花紀行』p.157)

 

 タテハチョウが止まっているが、羽を広げてくれないので、地味な裏しか見えず、表の面がわかりません。

 

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 橋を渡り、少し行くと、馬乗り場があり(写真下)、料金表には次のように表示されています。

太子廟・・・片道(8km)160元、往復180元、

蓮華廟・・・片道(9.5km)200元、往復230

 2010年にここに来た人の旅行記では次のようになっています。

太子廟・・・片道130, 往復150

蓮花廟・・・片道160, 往復180

料金表の日付は2011101日とありますから、昨年2〜3割値上げされたばかりのようで、中国はどこも物価上昇中です。

 

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 料金を払うと、写真下のような番号札を渡され、首からかけます。

 

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 私は二年ぶりの乗馬なので、ちょっとはしゃいでいます。写真下左が私の馬の持ち主のオバサンで、右が私の乗った馬です(10:43)

 

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 オバサンはさっそく私のリュックを背負いたいと申し出ました。馬代は組合に管理されていて、彼らには一定の額しか渡らないから、ポーターの仕事こそが彼らの直接の収入になるのです。二年前のツアーでそれを知ったので、私はオバサンに預けても良いと、値段を聞いてみました。オバサンの言い値は20(280)だという。私は50元くらいふっかけてくるかと覚悟ではなく、期待していたので、良心的な値段にちょっと驚いて、値引き交渉もせずに、彼女にリュックを預けました。

 

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 私の表情を読んだのか、少し歩いてからオバサンは私を振り返り、リュックを指さし、再度交渉してきました。私の荷物が重いから、もう10元増やして、30元にしてくれというのです。リュックは雨具や水だけで、昼飯すら入っていないのだから重いはずはなく、彼らにしてみれば荷物とすら言えないほどの重さでしょう。オバサンに気持ちよく仕事をしてもらうためにも30元に合意しました。

 

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 谷川から水を引いた水場で馬に水を飲ませます(写真下, 11:00)。他の馬はうまそうに飲んでいるのに(写真下右)、私の馬はちょっと口をつけただけで、飲もうとしません。私の馬は今ひとつ元気がない。高度差にして六百メートルも登るのに、大丈夫かな、この馬。

 

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 道は写真を見ると平坦そうですが、これは揺れる馬の上から写真を撮るのが、こういう平坦な道でないと危険だからで、実際にはけっこう険しい坂道があります。私の馬は相変わらず遅れがちです。馬から「おまえが乗っているからだよ」と言われそう。

 

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休憩です(11:31,2610m)。馬が口にしたマスクのような袋にはエサが入っています(写真下右)。私の馬も餌を食べていますから、病気というほどではなさそうです。

 

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 木々の間から谷をのぞくと、実はすごい斜面の上にいるのがわかります。写真下左に白く見えているのが氷河から流れてきた川です。

 

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 馬に乗ったままでは危険な箇所に来ました(11:54)。崖に沿って鉄製の歩道が設置されています。人間はこの歩道を歩き、馬たちは昔からの登山道を登ります(写真下)。わずかな距離ですが、馬にとっては休憩にもなるのでしょう。

 

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 危険箇所をすぎると再び馬に乗り(写真下、12:05)、太子廟まであと少しです。

 

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太子廟の本尊

麓から約一時間半かけて太子廟に到着して、馬はここまでです(12:14)。太子廟は私の高度計では2835mで、公式には2910mとなっています。六百メートルもの高度差を馬は乗せてくれたことになります。

 

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 太子廟の周囲には木造の茶屋が立ち並んでおり、ジュースや簡単な食べ物などが売られています。

 

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 太子廟の前ではチベット人が香を焚いて熱心に祈っています(写真下左)。でも、一人だけ。

 

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 太子廟(太子)という名前は、目の前にあるカワカブの別名が太子雪山だからです。坊さんが一人いるようです。谷の斜面ですから敷地は狭く、写真下左のお堂が一つあるだけの小さな寺院です。ネットで調べると、歴史は意外に古く、清の乾隆年間(治世1736年一1796)だといいますから、二百年以上前に建立されたことになります。ただし、その時代にここに何か造ったという程度の話で、今のこのお堂がその時代の物ではないでしょう。雰囲気的にはわりと最近造られたお堂ではないかと思います。

 

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 観光客もお坊さんもいなくなったので、中に入ってみましょう。正面の祭壇にはガラスケースに入った本尊らしいのが置いてあるのだが、ガラスに反射して、中が良く見えません(写真下)。カタという白い布がたくさんかけてあるから、これが一番信仰を集めているのでしょう。

 

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 写真下はひどく見づらい写真で申し訳ないが、ガラスケースに入っている神仏です。ガラス越しにかろうじて見えるのは、馬のような動物に乗ったヒゲを生やした男性の護法神らしい神仏です(写真下左)。チベット仏教には珍しく、ほとんどが真っ白です。チベット仏教で馬に乗った神仏としては、大黒天がいます。日本ではニコニコ顔の大黒天ですが、元々は死の神様です。しかし、大黒天はその名前どおり、黒いはずなのに、この像は白ですから、違うようです。

 

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 左側のガラスケースに祭ってあるのも馬に乗った神仏です(写真上右)。たぶん、同じ護法神だと思われますが、こちらは彩色され、また雰囲気的には女性です。チベット仏教で馬に乗る女神にラモがいます。しかし、ラモも肌は黒や青で表現されますから、写真の像とはイメージが違います。要するによくわからない()

 太子廟という名前どおり、単純に梅里雪山のメツモやカワカブなどを神として表現しただけかもしれません。

 写真下は『塔』という中国で出版された本に載っている写真です。バター(酥油)を粘土のようにして作った塑像(酥油花)です。白い馬に乗った白い肌の神仏という点では似ています。説明書きには、「チベット地方の神祇の一つ」とありますから、写真上の神様もまさにこれなのでしょう。

 

 

写真上 『塔(李志武、文物出版社、1982年、写真番号161)

 

 ガラスケースの裏手にも仏像が何体か祭られています(写真下左)。奥のほうが本尊で、前に護法神を置いてしまったため、そちらのほうが人気があるのかもしれません。しかし、入り口と天井(写真下右)からの明かりがあるだけなので、なんだか良く見えない。

 

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 周囲の壁に祭られているのは仏像です(写真下)。大きさのそろった仏像がこれだけ大量に並べてあるのはどうしてなのでしょうか。要するによくわからない()

 

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 祭壇にも周囲にもいわゆる活仏らしい人たちの写真や肖像画がたくさん飾られています(写真下)。柱にかけられていたのはパンチェンラマ十世です(写真下右)。彼の生まれ変わりは今でもダライラマ政庁と中国政府とで争いの種になっています。

 

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私は写真を撮らせてもらったお礼に賽銭箱に寄付をして去ろうとした頃、お坊さんが戻ってきて、私のカメラを見て、撮影禁止だと言いました。もちろん、私はこの指示に素直に従い、その後は写真は撮りませんでした()

 お堂の外の境内には栽培品のバラが植えられて、よく咲いています(写真下)。雲南はバラの原産地の一つですから、気候が合うのでしょう。栽培品のバラもきれいですが、この土地に生えている野生のバラを植えれば良いのに。それはもう美しい野生のバラを皆さんに後でお目にかけましょう。

 

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展望台が壊れている

 太子廟の脇道から明永氷河の展望台を目指し、徒歩で登ります(12:35)。氷河は前方に見えていますから、それほどの距離ではありません(写真下)

 

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 道端にはアヤメがたくさん咲いていて、とてもきれいです。葉はシャガのように広く、大きい。しかし、シャガは花の色がこれほど紫が濃くありません。

 

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写真上下 Iris tectrum

(『雲南花紀行』p184.Guide to the Flowers of Western China, p.532)

 

写真下左は馬で登って来た途中の道で、両側に生えているのがこのアヤメです。しかし、花がついているのはわずかで、明らかに花の盛りは終わっており、葉だけが茂っていました。

 

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太子廟など三千メートル近くでは花がまだまだ残っています。途中の馬から見かけたのは花も終わりのものが多かった。アヤメを撮るために徒歩で下りるのを覚悟していたので、その必要がなくなり、助かりました。

 

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 ネット上の旅行記を読むと、四月末に来た人もこのアヤメの写真を撮っていますから、高度差のおかげで、一ヶ月半近くも咲かせていることになります。ちょうど薄暗い林の下でシャガを見つけた時と同じで、人目を引き、なかなかきれいです。

 

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 太子廟のさらに上には蓮華廟という寺院があるそうで、そこまで馬で行く人たちもいます。我々はそちらにはいかず、このまま沢に沿って登り、氷河の展望台に行きます。

 

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 登るにつれて沢に近い所などは湿気があるせいか、さまざまな草花が咲いています。

 

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写真上 Sambucus adnata

(Guide to the Flowers of Western China, p.485)

 

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 写真下のスイバはどこにでもあるし、花がさえないので、つい撮り忘れる()

 

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写真上 Rumex nepalensis

(『ヒマラヤ植物大図鑑』p.669)

 

 

 烏里さんによれば、写真下は黄色い花を咲かせるシャクヤクだそうです。薄暗い林の下の土手に一面に生えています。花が残っていないか探したが、残念ながら、ありません。

 

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 湿った日陰には、日本でもお馴染みのウラシマソウやマムシグサが花を咲かせています。写真下の上段と下段では花の色が違います。しかし、両者は同じ植物のようです。

 

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Arisaema consanguineum

(Guide to the Flowers of Western China, p.528)

 

 写真下はイチヤクソウの仲間なのでしょう。イチヤクソウもそうだが、写真には撮りにくい。花だけ撮ると植物全体の姿がわからず、全体を撮ると花が小さいので、やっぱりなんだかわからない。名前はやはりわからない。

 

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 やがて道は山道ではなく、崖の側面に取り付けられた鉄製の歩道になりました(写真下)

 

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足の下は深い沢で、所々に、写真下のように板が外れていることがあります。もちろん、そこから落ちれば、たぶん死にます。日本ならさっさと直すか、警告文を貼るなりするでしょうが、ここではよそ見をして落ちたら、馬鹿呼ばわりされるだけです。

 

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写真上下 Deutzia monbeigii

(Guide to the Flowers of Western China, p.304)

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 あと少しで展望台(上視景台)という所で通路が崩壊していて、通れません(写真下左,13:07)。すぐ先に氷河と円い展望台が半分くらい見えています(写真下右)

 

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 氷河は見えるがここからの写真ではいまいちです。展望台は写真上右だけでなく、そのさらに上に二カ所あるといいますから、入り口から入れないようなもので、これで入場料を取るのはひどくありませんか。壊れている通路はかなり錆びており、放置されたままらしいのがわかります。

 

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 皆様も少し手前から明永氷河をごらんください。周囲に樹木がある場所に氷河があるのは世界的にも珍しいそうです。わざわざこんな汚れた氷の塊を見に来る奴の気が知れん・・・と言いながら、私もその一人です。

 

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氷河ダメなら花を

 1998年、この氷河の上の方で1991年に遭難した日本と中国の登山隊の遺体と遺品が発見されました。小林尚礼氏のホームページによれば、水平距離4,000m、高度差1,400mを7年半かけて氷河に流されて、ここまでたどり着いたようです。それにしても、氷河はすごい速度で動いているのですね。

 

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 このマメ科のピンク色の花は、昨日私が登った山にもあった花です。地面をはうように小さく咲くかと思うと、こんなふうに数メートルにもなるなど、なかなかすごい植物です。

 

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写真上下 Indigofera souliei

(『ヒマラヤ植物大図鑑』p.400)

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 写真下などこのまま髪飾りに使えそうです。

 

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 写真下は外見は似ているが、花の色の派手さでは負けています。

 

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写真上 Campylotropis macrocarpa

(Guide to the Flowers of Western China, p.326)

 

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 写真下はピンク色のバラです。ちょっと時期が遅く、花はほんの少ししかありません。

 

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写真上 Rosa graciliflara

(Guide to the Flowers of Western China, p.286)

 

 写真下は濃いピンクのバラで、昔の園芸家たちはこういう個体を掛け合わせて、真っ赤なバラを作り出したのでしょう。先ほどの太子廟ではこういう美しい野生のバラがあるに、わざわざ園芸品種を植えていました。野生のバラなら、挿し木すれば簡単に増やせるはずです。

 

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写真上 Rosa macrophylla

(Guide to the Flowers of Western China, p.286)

 

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写真上 Vistoria vivipapa

(『ヒマラヤ植物大図鑑』p.662)

 

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 烏里さんが、黄色いサクラソウだと、崖の上をさして教えてくれました(写真下)。しかし、いずれも花がちょうど終わっています。

 

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 写真下はウツギの仲間でしょうか。花弁の内側の模様がとてもおしゃれで、このまま何かのマークに使えそうです。

 

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写真上 Dipelta yunnannensis

(Guide to the Flowers of Western China, p.485)

 

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 写真上や下のように、樹下には気をつけないと見過ごすような小さな花が咲いています。

 

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写真上 Ophiopogon bodinieri

(Guide to the Flowers of Western China, p.560)

 

 

白いシャクナゲ

 展望台の手前から太子廟まで戻りました(13:48)。登る時と違い、ここから途中まで馬ではなく、徒歩で下山することになりました。馬で下りると言われても、私は途中まで足で下りるつもりでした。太子廟とその手前で白いシャクナゲが花を咲かせていたからです。下のほうにはありませんでしたから、ここで撮るつもりでいたのです。

 

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 馬を停めたあたりにも見事なシャクナゲがあります(写真上下)。タルチョが邪魔だ。

 

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写真上 Rhododendron decorum

(『雲南のシャクナゲ』p.24)

 

 見事なシャクナゲが頭の上に生えているのに、皆さん、ゆっくり鑑賞もせずにすたすたと山を下りていきました。もったいない。日本ではこんなすごいシャクナゲはなかなか見られませんよ。

 

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 私が日本で見たのは亜高山地帯に生えた背の低いシャクナゲでした。しかし、ここのシャクナゲはいずれも背が高い。一見、横から撮っているように見えても、それはシャクナゲが斜面の下に生えているからです。

 

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 シャクナゲが生えている地帯は太子廟から下のほんのわずかで、そこより上にも下にも生えていません。たぶんこの種類のシャクナゲがこの高さに限定されているのでしょう。

 

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 たった一カ所見つけたオダマキです。

 

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写真上 Aguilegia rockii

(Guide to the Flowers of Western China, p.118)

 

 花の写真を撮り続ける私は例によってグループからどんどん遅れてしまい、そして誰もいなくなりました。

 

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 発電機でしょうか、三人がかりで担ぎ上げています。私は色男すぎて金と力がないので、こういう強力を見ると、感動してしまいます。

 

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 途中から再び馬に乗って下山です(14:17)。乗馬は下山のほうが楽そうですが、案外そうでもありません。下り坂は身体を後ろに倒して、馬と一緒にバランスを取る必要があります。何回か乗るとコツがつかめるのだが、大半の人は初めてなので、バランスが取れず、鞍にしがみついていたため、疲れたようです。休憩なしだったので、三郷さんなどは「お尻が痛くて途中から歩きたかった」とぼやいていました。

 

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 明永村の馬乗り場に戻りました(15:01)。私はオバサンにポーター代金の30元を払ってここでお別れです。

 

 

神おろしの昼食

 登り口の近くに仏塔があり、赤いタチアオイが咲いています。ここは一色のみです。

 

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 川のそばに下りていくと、少しだが花が咲いています。

 

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写真上右 Cynoglossum amabile

(Guide to the Flowers of Western China, p.427)

 

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写真上 Incarvillea arguta

(『ヒマラヤ植物図鑑』p.145)

 

 馬たちが仕事を終えて自分たちで帰ってきます(写真下左)。「人間を乗せて山登りなんて、嫌だよなあ」とぼやいているかどうかわかりません。犬君は・・・別に仕事はなさそう(写真下右)

 

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 明永村の食堂で昼食です(写真下、15:13)。観光客の増加を見込んで新しく造られた食堂のようです。我々以外にも、もう一組、中国人の観光客らしい人たちが食べています。

 

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 食堂の壁におもしろい仏画が飾ってあります(写真下左)。恐ろしげな顔で口を開き、舌を出しています。ネチュンと呼ばれる神おろしです。ラサに言った時、ネチュン寺に立ち寄りました。神を身体におろして、ご神託を仰ぐという、おそらくは仏教以前からあるチベットの呪術です。

 

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写真上右:『雪の国からの亡命』(ジョン・F・アベドン、地湧社、1991)より転載

 

 神おろしをしたわりには、出てきた麺は野菜が少し入っているだけで、麺もスープもおいしくはない(写真下左)。烏里さんから言われて唐辛子を抜いただけで、それに代わる味付けをしなかったのでしょう。ひどい手抜きです。お腹が減っていたのに、さすがに途中までしか食べられませんでした。足下に来たネコに他の人が麺をあげたが、見向きもしない(写真下右)。味を知っているのだ()

 

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 神おろしのまずい食事を終えて、明永村を後にして、車で飛来寺に戻ります。まずは川沿いに瀾滄江のほうに下りていきます(写真下右)

 

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 瀾滄江を渡り(写真下左)、東側の斜面をスピードをつけて駈け上がります。

 

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写真下左に見える谷の奥が、先ほどまで我々がいた明永村があり、写真下右はこれをもう少し上から見た光景で、右上方向に明永村の集落が少しだけ見えます。

 

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 空は晴れて、暑い。登るにつれて梅里雪山と、眼下に大きく蛇行する瀾滄江(メコン河)も見えてきました。

 

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 車を停めて、西に見える梅里雪山の写真を撮りました(16:21)。白く氷河も見えます。しかし、逆光なので、風景としてはイマイチです。

 

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 私は風景よりも、道路の脇にある花のほうが良い。乾ききって暑いのに、道端で花を咲かせています。

 

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写真上 Sophora davidii

(Guide to the Flowers of Western China, p.325)

 

 写真下のバラはこれまで見たバラとも違い、花弁がやや黄色みを帯びています。残念ながら、咲き終わりで、花弁が縮んでいます。

 

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写真上 Rosa soulieana

(Guide to the Flowers of Western China, p.282)

 

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 乾いた崖に咲いているスイバはなかなかきれいです。

 

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写真上 Oxyria sinensis

(Guide to the Flowers of Western China, p.165)

 

 先ほど、明永氷河の近くの崖で、髪飾りにしても良いと書いたマメ科の背の高い花が、乾いた斜面では低木の小さな花壇になって咲いています。驚くほど変化自在です。

 

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写真上 Indigofera souliei

(『ヒマラヤ植物大図鑑』p.400)

 

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写真上 Incarvillea arguta

(『ヒマラヤ植物図鑑』p.145)

 

 

裏山散策

 五時頃、ホテルに到着。しかし、夕飯は八時からで、かれこれ三時間もあります。皆さんは乗馬で疲れてしまったようだが、私は馬は楽しかっただけで、まだ動けます。

私は昨日と同じように近くの山に登ってみることにしました。狙いを付けたのはホテルの裏山です。写真下左の一番左側に写っている白い建物が我々のホテルです。その後ろにある山に登ってみることにしました。

 

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ところが、道がわからない。ホテルの面している道路は大型トラックがホコリをあげながら走りぬけ(写真上右)、家畜が歩き、隙間なく店やホテルが並んでいるので山に行く道がなかなかみつからない。

 

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 地図にあるはずの道を通り過ぎたらしいので、道を引き返し、「これは道路ではないだろう」と通過した細い裏通りのような道を進みました。すると、斜面が削られ、その上に巨大なホテル「観景天堂大酒店」が建っていました(写真下)

 

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 ホテルの前の崖はグーグルの衛星写真にもあるから、ホテルが作られる前に削られたものです。崖はごらんのように土留めの工事すらしてありません。たくさん雨でも降って崖が崩れたら、ホテルごと崩落するのではないかと思ってしまいます。そもそも大雨は降らないから、中国では気にしないようです。

 

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 直射日光のすごい乾いた崖にも様々な花が咲いています。

 

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写真上下 Rosa sericea

(『雲南花紀行』p.157)

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 崖の斜面に必死に生えているシャクナゲの写真を撮りました。

 

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写真上下 Rhododendron tatsienense

(Guide to the Flowers of Western China, p.209)

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 明永氷河の太子廟の近くでも見かけた白いシャクナゲは写真下左のように悲惨な環境にありながら、がんばって咲いています。こういうシャクナゲは多少とも湿気のある所でないと育たないのかと思っていたら、こんな暑く乾燥した所でも生き延びるようです。

 

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写真上下 Rhododendron decorum

(『雲南のシャクナゲ』p.24)

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 写真下の植物は長いトゲだらけで、いかにも乾燥に強そうです。

 

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写真上 Caragana maximowicziana

(Guide to the Flowers of Western China, p.326)

 

 斜面を横切って行くと、私の泊まっているホテルの斜め後ろあたりから、車が通れるほどの道があります(写真下)

 

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 道を登っていくと、樹木の上をホースが走っている(写真下)。なんだ、これ?透明なホースの中を泡が通過していますから、どうやら上から水が流れているらしい。だが、どう見ても、水脈などありそうもない山です。

 

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 乾燥しきった斜面を登っていくと、ホースも明らかに山頂に向かっています。頂上にたどり着くと、仏塔がありました(写真下)。私はこの時、初めて自分が目的とした山とは違う山に登ったことに気がつきました。

 

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 私はホテルの裏山ではなく、その隣の山に登っていたのです。写真下をごらんください。私は観景天堂大酒店の前の崖を左側に進み、裏側から後ろに見える仏塔のある山に登ってしまったのです。左に進むべき所を右に登ってしまった。

 

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ホテルの水道水の正体

 さっきのホースは何なのだ?ホースをたどると、コンクリートの上に造られたタンクに入っています(写真下左)。中から水の流れるすごい音がしています。物好きにも私はハシゴを登って中を確認すると、やはり大量の水が湧き出ています(写真下右)

 

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 ようやく私はここが上水場であり、あのホースが水道管であることに気がつきました。ここは山頂で周囲には河川はありませんから、数百メートルも下の河川から水をポンプでいったんここまで汲み上げ、ホースを使って下の飛来寺の街に配水しているようです。配水管の設置の雑なことと言ったらありません。テンデンバラバラにホースはからみあい、固定もせず、樹木の上を下の街までのびています(写真下)

 

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 私が何より驚いたのは、浄水設備らしいものがなく、おそらくは川から汲み上げた水をそのまま配水していることです。再度、皆さんもタンクの中の水をごらんください。茶色に濁っています。私は視力があまり良くないが、それでも茶色に濁っているのは目の錯覚ではないでしょう。タンクの蓋は開いていて、私がのぞきこむことができたくらいですから、この中に雨もゴミも鳥の糞もそのまま入ります。配水用のホースは直接この水をくみ出しています。これが上水道だということは、ホテルの食事はすべてこの水で作られていることになります・・・なんか、すごいモノを見てしまった。

 

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 この山の頂上には、仏塔と上水タンクの他に、奇妙な二つの建物があります。その一つが写真下で、四角い二階建ての建物で、真新しい。ところが、中は誰もいない。建ててから使われた様子がありません。ガラスの一部などが破られています。たぶん上水道の管理室にするつもりだったのでしょう。

 

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 もう一つの奇妙な建物は、仏塔をはさんで反対側の斜面にある瓦屋根の小さな建物です(写真下)。中は何もありません。建物の状態から見てそれほど古い建物ではなく、また壁に落書きされていることから見て、何年も放置されたままのようです。建物の雰囲気からすると、おそらく、仏塔のためのお堂のつもりだったのかもしれません。ただ、チベット風の石を積み上げた作りではなく、どちらかというと中国風です。

 これらの二つの建物はグーグルの衛星写真には載っていませんから、これを見ても、新しい建物なのがわかります。

 

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 仏塔はグーグルの衛星写真にもあります。タルチョはそれほど古くはないが、仏塔の土台などのモルタルがあちこちがはげて、崩れています。

 

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 仏塔の4方向に埋め込まれた石版には神仏ではなく、僧侶の陰影が刻印されています(写真下)。こういう写実的な描写は近代のものですから、これを見ても、この仏塔もまたそれほど古い物ではないのがわかります。

 

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 仏塔にも上水場にも興味のない私はどうするかというと、下りるしかありません。

 

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 道なき道を降りて、飛来寺のはずれの幹線道路が見える所まで降りてみると、私は崖の上におり、行き止まりです(写真下左)。写真下右は後でその崖を見上げたもので、建物を作るために山を削ったのです。今さら戻るわけにもいかず、崖を決死の思いで下るしかありません。カメラをリュックに入れて両手を使えるようにして、手袋をして、降りるというよりも、ほとんど滑り落ちるようにして、ようやく下までたどりつきました。靴もズボンも土だらけです(18:33)

 

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 飛来寺の通りに戻ると、強い西日の射す通りの建物の間から梅里雪山の山並みが見えます(写真下)

 

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 通りに背を向けて、地元の人たちが何かながめています(写真下)。のぞいてみると、大規模な工事が行われています。ホテルといい、ここは大規模な資本が投入され、観光開発が行われているようです。

 

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もう一つの展望台

 裏山の登山はズボンと靴がホコリだらけになっただけで、花の収穫はあまりありませんでした。まだ6時半すぎで、夕食までは一時間以上あります。私はホテルの窓から見て、気になっていたもう一つの建物まで歩いてみることにしました。

 写真下は昨日登った電波塔のある山です。気になっていたのは、その下に道があり、その先(写真の右側)にかすかに見える建物です。仏塔の広場からはたぶん2キロくらいでしょう。いったいあの建物は何なのかという好奇心にかられて、私は歩いてみることにしました。

 

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 道路の一部が仏塔の広場なので、昨日と同じように通過します。広場は広々として、人間はいないが、放牧から帰る牛がいる()

 

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 道はホテルから見たとおりで、山にそって同じ高さなので、上がり下がりがなく、しかも作られたばかりの舗装道なので、ここが三千メートルの高地である点を除けば、平地を歩いているのと変わりません(写真下)。往復する間、バイクで通り過ぎた一団があっただけで、車も人もいません。

 

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 写真下は道端にだけ咲くノイバラです。もちろん、すごく良い香りで、私はそのたびに立ち止まり、香りにうっとりします。皆さんがノイバラの素晴らしい香りにどうして無関心なのか、私には良くわからない。

 

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写真上下 Rosa sericea

(『雲南花紀行』p.157)

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 道にはタルチョがぶら下がっています。写真としては下のように、タルチョをうまくいれて山を撮るのでしょう。

 

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 でも、私は何もない自然のままが好きです(写真下)

 

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 目的の建物に到着しました(19:19、写真下)。梅里雪山展望台とあります。観光客を呼ぶために、梅里雪山の眺望の良いここに展望台と土産物店を建てたようです・・・しかし、なんか様子が変です。

 

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 誰もいない。建物の西側にある展望台の広場に行っても、誰もいない。店は一つも入っておらず、私と私の影以外は誰もいません(写真下左)

 梅里雪山が見事にみえる展望台だが(写真下右)、それを言うなら、仏塔のある展望台からここまで来る間の道路からも見事に見えますから、ここまで来る意味がさほどない。何の建物か確認だけしましたから、戻りましょう。

 

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 後でネット上の旅行記を読んでわかったのは、私が歩いた道路はこのまま電波塔のある山を一周して、飛来寺に戻るようなハイキングコースで、この後、さらに二つ展望台があるそうです。

 

 

夕暮れの仏塔

 仏塔のある展望台に戻る頃、夕陽が雲間から後光のように射してきました。絶好の被写体です。私は仏塔にはあまり興味がないが、この時ばかりは仏塔のほうに走りました。

では、梅里雪山の光と影の競演をごらんください。

 

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 梅里雪山が見せた光のショーはわずか8分ほどで終わりました。朝焼けも氷河もダメだったのをこの8分で一気に取り戻しました。

 

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 ホテルに戻り、八時からホテルの同じ食堂で夕飯です(写真下)。今日も良く歩いた。

 

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