トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 

 

 

 

花と雪のペルシャ

5日目  2018417()

チェルゲルド →ゴルパイェガン 

 

 

 目覚ましをかけて六時起床。部屋の温度は23℃で、寒くも暑くもありません。昨夜も一晩中、雨でしたから、今日の天気が心配です。

 今日は、チェルゲレドをたち、北に位置するゴルパイェガン(Golpayegan)に行き、途中で何ヵ所か花を見ます。地図を見てもわかるように雪のザグロス山脈ともさようならです。

 

routemap180417

 

 外を見ると、雨が上がったようなので、散歩に出かけることにしました(写真下)

 

P1240011 P1240012

 

 東の空は明るいが、昨日もそれで騙されたので、信用できません(写真下)。天気予報では今日もにわか雨があるというものでした。にわか雨よりも、それによる泥がうれしくない。

 

P1240015

 

 昨日と同じように犬クンたちが付いてきてくれるらしい(写真下)

 

P1240019 P1240005

 

 写真下に写っているホテル前のクラング川に沿って散歩するつもりでした。しかし、道らしい道はなく、草が濡れているだけでなく、雨が降った後の地面は泥だらけです。せっかく昨夜、苦労して泥を落として乾かしたばかりの靴がまた泥だらけになりそうなので、あっさりと散歩は諦めました。後でお目にかけますが、とにかくイランの泥は根性がある()

 

P1240004

 

P1240007 P1240008 P1240010

写真上右 Muscari neglectum

 

 七時半からホテルのレストランで朝食です(写真下)

 

P1240023 P1240025

 

 モハンマドさんの約束どおり、食事中に焼き立てのナンが届けられました。昨日、バスの中で食べたのと同じです。日にちのたったナンも置いてあり、両者を比較すると、やはり明瞭に違う。改めてこんなに違うのだと驚きました。おかげで朝からうまいナンが食えた。モハンマドさんはこういう点はたいへん律儀です。

 

P1240020 P1240021

 

 フロントの四人ともお別れです(写真下)。マネキンの彼に「人生いろいろあるさ。気にすることはない」と声をかけました()

 

P1240024

 

 

雪のザグロス山脈

 予定どおりにホテルを出発(7:58)。まずチェルゲルドの北西部にあるShikh Alikhanという村にある滝を見に行きます(地図下)

 

Shikh180417

 

 出発して間もなく、街の中で警察らしい人からバスを停められました。モハンマドさんが対応しています(写真下)。イランは検問がかなりあります。

 

DSC_4319_0006b DSC_4320_0007b

 

 写真下はチェルゲルドの全景で、小さな街です。

 

DSC_4322_0009 DSC_4323_0010

 

 チェルゲルドの街が標高2300mくらいにあり、昨夜は雨が降っていましたから、標高の高い所は雪だったのでしょう。少し登るとうっすらと雪が積もっていて、おそらく新雪です(写真下)

 

DSC_4407_0094c

 

 峠で車を停めて雪景色を見ます(写真下)。このあたりで標高2600mほどで、寒いが晴れて風も少ないので、気持ちが良い。

 

DSC_4338_0025 DSC_4341_0028

 

 スキーでひと滑りできるくらいで、すっかり「雪のザグロス山脈の旅」になってしまった()

 

DSC_4332_0019 DSC_4333_0020

 

 西側に見えるのは標高3900mくらいの山で、富士山よりも高いのに、ザグロス山脈では珍しくもないらしく、地図を見ても名前も付いていません(写真下)

 

DSC_4390_0077

 

 

イランの滝

 Sheikh Ali Khan(Shaykh Ali Khan)という小さな村に到着(8:25)。ここも標高は2500mほどありますから、雪が残っています。

 

DSC_4359_0046 DSC_4357_0044

Sheikh Ali Khan180417

 

 道路には四人の人物が載っている大きな看板があります(写真下)。モハンマドさんに聞くと、右側二人は宗教指導者で、左側の男女はイラン・イラク戦争で亡くなった人です。イランの国内品を使おうという呼びかけだそうで、経済封鎖がこんな看板になって表れている。

 

DSC_4379_0066

 

 目的の滝は道から見えるほど近くにあります(写真下)

 

DSC_4360_0047 DSC_4363_0050

 

 私の住んでいる山形県は、落差5m以上の滝が日本全体の約1割弱あるという「滝王国」です、と山形県人は自慢するが、要するにどこもここも山だらけだという意味です()。そういう所から来ると、ちょっとやそっとの滝では驚かない。しかし、ここは雨の少ないイランですから、かなり珍しいのでしょう。

DSC_4367_0054

 

 滝の手前にはコンクリートの台があります(写真下)。展望台にしては変なので、モハンマドさんに聞くと、テントを張る台だという。気持ちはわかるが、滝の景色を壊しています。日本でも風光明美な場所にダサイ土産物屋が建っていて、感性を疑うような風景があります。

 

DSC_4372_0059 DSC_4373_0060

 

 来た道を戻り、チェルゲルドを通過して、北に向かいます。

 

DSC_4441_0128 DSC_4437_0124

DSC_4442_0129 DSC_4443_0130

 

 樹木があるせいか、緑がだんだん増えているような気がします。

 

DSC_4433b DSC_4436b

DSC_4438b DSC_4440b

 

 ついにはイランには珍しい大きな川まで現れました(写真下)

 

DSC_4447_0134 DSC_4448_0135

 

 

花より泥ダンゴ

 本日、最初の花の観察です(9:06)

 

DSC_4454_0141 DSC_4455_0142

 

 斜面に花が咲いています。

 

DSC_4474_0161 DSC_4469_0156

写真上 Leontice leontopetalum

 

 写真下の花弁は写真上と似ているが、別な花で、葉が一つもないように見えます。イランだけでなく、北アフリカ、シリア、レバノンから中央アジアまで広く分布しています。

 

DSC_4460_0147 DSC_4470_0157 DSC_4466_0153

写真上 Bongaldia chrysogonum

 

 昨日よりも環境が悪いのか、ムスカリも冴えません。

 

DSC_4464_0151 DSC_4465_0152

写真上右 Muscari neglectum

 

 花を撮ることに集中できない理由が写真下です。見事に靴に泥がついて、しかも、めくれ上がっているのがおわかりでしょうか。かなりの重さで、数歩進むのも容易ではありません。

 

DSC_4467_0154 DSC_4468_0155

 

 周囲はどこもここも歩くと泥だらけなのでしょう。でも、バスから見ている分にはとてもきれいな風景です。

 

DSC_4477_0164

 

 川の周囲には畑が広がっていますから、穀倉地帯のようです。

 

DSC_4480_0167 DSC_4483_0170

DSC_4479b DSC_4489_0176

 

 樹木が少し見られます。このあたりは比較的水が豊かな地域だろうに、自然林らしい姿はありません。樹木は一種の水瓶ですから、こういう川の周囲から少しずつ樹木を植えれば、環境が変わり、農業にも良い影響を与えるはずです。

 

DSC_4494_0181 DSC_4499_0186

DSC_4517b DSC_4523b

 

 写真下のように川に沿って樹木が成長していますから、もっと手をかけてやれば、増えるはずです。

 

DSC_4543b

 

 イランは乳製品が豊富なはずなのに、牛の放牧はそれほど見かけませんでした。写真下は、昨日も見かけたヒツジの放牧です。ヤギほどではないにしても、ヒツジも生えて来た草をすべて食べてしまうだろうから、環境保全には必ずしもプラスではありません。

 

DSC_4505b DSC_4545b

DSC_4551b DSC_4526b

 

 農地に散水しています(写真下)。こういう光景はそれほど見かけません。地下水があるなら、まず木を育てればいいのに、順序が違う。

 

DSC_4539_0226 DSC_4538_0225

DSC_4556b

 

 通過する街で見かけるのは、毎日のように目にするイラン・イラク戦争で戦死した人たちの遺影です(写真下)1980年、イラクの攻撃から始まり、1988年まで続いたこの戦争で、両国の犠牲者は100万人とも言われています。

 興味深いのは、この戦争の時、中国はイランへの武器の最大の供給国で、同時に、中国はイラクにもその二倍の武器を売っていたという。両国が中国製の武器で戦ってくれたおかげで、中国は経済的に発展できた。

 

DSC_4564b DSC_4566b

DSC_4569b DSC_4577b

 

 日本人はこれを聞いて中国のあり方に苦笑するだろうが、日本も安倍政権になってから、武器輸出を禁止した武器輸出三原則を撤廃して、武器を輸出できる国になったと知っていますか?防衛のための武器なんて綺麗ごとを言っても無駄で、日本も武器商人になったのですから、イラン・イラク戦争での中国のあり方を非難できません。

 

DSC_4590b DSC_4568b

 

 

ちょっと山登り

 幹線道路から外れて、麓にある村にバスを停めて、山を登ります(10:40)

 

DSC_4598_0285 DSC_4599_0286

 

 目指すは写真下の正面に見える岩山です。山頂ではなく、中腹の岩が見えている手前くらいで、標高差は約300mほどです。斜面の傾斜は楽だとは言わないものの、私が普段登る家の裏山とそれほど変わりません。

 

DSC_4603_0290 DSC_4613_0300

 

 ところが、登り始めると、ひどく息が切れる。体力の衰えか、それとも旅行の疲れかと疑いました。息が切れるのも当然で、バスを降りた村のはずれあたりで標高2550mほど、岩場の下が2850mほどですから、酸素が薄い。ここ数日2000mを越す地域にいたから、少し順応しているとはいえ、高さだけでいうなら高山病の一歩手前です。

 

DSC_4624_0311 DSC_4646_0333

 

 斜面を登る途中で良く目についたのが、写真下の枯れた植物です。立ち枯れたように残っているということは、ここは雪が積もらないのだろうか?写真下は斜めに写しているのではなく、これでほぼ水平です。

 

DSC_4693_0380 DSC_4700_0387

 

 苦労して登った目的は岩場に咲くディオニシアです。昨日、雪山で見たのと生え方は似ているが、花がやや大きい。

 

DSC_4630_0317 DSC_4631_0318 DSC_4643_0330

写真上下 Dionysia caespitosa

 

 この花が岩の隙間が好きなのはわかるが、どうやってそれを選択しているのでしょう?種が落ちる場所は土の上もあるはずです。だが、土の上には見当たらない。岩の隙間のわずかな土と、地面の普通の土とをどうやって区別するのでしょう?

 

DSC_4647_0334 DSC_4650_0337

P1240038 P1240042

 

 たぶん、岩の隙間は水分や温度を保てるからでしょう。地面では水分や温度が保てないから、種が落ちても成長できない。

 

P1240030 P1240032

P1240040 DSC_4648_0335

 

 岩にしがみつくように生えている花を、岩にしがみつくようにして撮る(写真下)。斜面はきつく、場所も狭く、足元は瓦礫で滑りやすい。

 

DSC_4651_0338 DSC_4633_0320

DSC_4639_0326 DSC_4645_0332

 

 周囲には他にも花があります。ただここから上は岩場で、瓦礫なので数も種類も少ない。

 

DSC_4697_0384 DSC_4698_0385

写真上 Thalictrum isopyroides

 

 写真下のセリのような植物は、岩場の少し上のほうにありました。環境がよければもっと大型化する植物です。足元が崩れそうになりながら、撮っています。

 

DSC_4654_0341 DSC_4656_0343

写真上 Prangos uloptera

 

花が黄色で似たような印象の花が多い。

 

DSC_4702b

写真上 Leontice leontopetalum

 

 写真下はトルコやギリシャにも分布しています。

 

P1240067b P1240069

DSC_4704b DSC_4683b

写真上 Cruciata taurica

 

 写真下は斜面のあちこちで見られ、日本の高山で言えばユキワリソウか、と思ったら、写真上のトウダイグサ(Euphorbia)の仲間だという。オレの推測と全然違う()

 

P1240083

写真上下 Euphorbia decipiens

DSC_4694_0381 DSC_4600_0287

 

 登る時は晴れ間も見えていたのに、急にガスがかかり、眼下の村が雲で見えなくなりました(写真下左)。しかも、冷たい風が吹き、はっきりとわかるほどに急激に温度が下がり、雪が降ってもおかしない天候です。さっきまで汗をかいていたのに、かなり寒く、身体が冷えてきました。高山はこれだから恐い。主な花も撮り終えたので、皆さん、下山します。

 

DSC_4658_0345 DSC_4662_0349

DSC_4663_0350 DSC_4671_0358

 

 皆さんが降り始めたら、私は当然残って撮影をする()。他の人がいると撮りにくい小さなチューリップがあったからです。岩場のちょうど下あたりの瓦礫の中に生えています。

 

P1240064

写真上 Tulipa systola

P1240071 P1240054

 

 見つけたのはわずか5本ほどで、限られた所にしか生えていません。残念ながら、つぼみです。

 

P1240078 P1240059

 

 チューリップの高さはボールペン(長さ約14cm)の半分ほどもありません。

 

DSC_4673_0360 DSC_4674_0361

 

 先に降りた人たちが遅い私を呼んでいます。急いで降りるのは簡単で、ハイキングシューズなので靴底が厚く、岩の上をジャンプしながら降りても痛くなく、けっこう楽しい。ただスピードがついて危ないので、私の運動神経ではやめたほうがいいのだが、つい調子に乗って飛び跳ねてしまう()

 

DSC_4709_0396 DSC_4712_0399

 

 斜面を下りて河原のようになっている所にも良く見ると花が咲いています。いずれも小さいのを見れば、ここの環境の厳しさがわかります。この種のマメの仲間(Astraglus)はほとんど名前がわからない。

 

P1240093 P1240094

写真上 Astragalus nanus

 

 昨日も見た綿毛に包まれた植物です。ここがいかに寒いかわかります。昨日と違い、綿毛の間から花が咲いていますから、花の保温や雨よけで虫を集める作戦なのでしょう。

 

P1240088 P1240090

写真上 Stachys lavandulifolia

 

 白いシャボテンの花??(写真下)。でも、こんな寒い所にシャボテンがあるはずないし、何よりも葉がついている。花が地面から出て、葉は地面に貼りついて、茎がほとんどありません。1本しかなく、ヤグルマギク(Centaurea)の仲間とのことでした。

 

P1240099 P1240098

 

 バスに乗り、幹線道路に戻り、北に向かいます(12:13)。周囲の山には雲がかかり、不安定な天気です。

 

DSC_4722_0409 DSC_4716_0403

DSC_4724b

 

 

ダーラーンのお菓子屋さん

 ダーラーン(Daran, Dārān, Dārūn)という街で昼食です(12:36)

 

DSC_4728_0415 DSC_4777_0464

 

 ここも女性は黒づくめの葬式スタイルです(写真下)

 

DSC_4731b DSC_4733b

DSC_4734b DSC_4729b

 

 写真下左は映画館でしょうか。

 

DSC_4785b DSC_4751_0438

 

 写真下はレストランの前の歩道の植え込みで、バラのツボミのように見えるのは、実はプラスチックで、枝に取り付けてあるだけです。これなら一年中バラが楽しめるが、私の感性ではとうてい理解しがたい()

 

DSC_4736_0423 DSC_4738_0425

 

 店は昼時なのに、客は私たちしかいません(写真下)

 

DSC_4740_0427 DSC_4741_0428

 

 店のカウンターと壁には宗教指導者であるホメイニー師と現在のハーメネイー師の絵が飾ってあります(写真下)

 

DSC_4742_0429 DSC_4743_0430

 

 ここでもモハンマドさんはまるでこの店の店員のように配膳を手伝います。ここは日本ではありませんから、注文してから出てくるまでよく言えばゆったり、正確にはとても遅い()

 写真下右は日本と同じようなパック入りのヨーグルトです。食後のデザートはシュークリームで、この店のコース料理ではなく、たぶんモハンマドさんが準備したのでしょう。彼は実に気づかいが細やかです。

 

P1240106 P1240105

P1240109 P1240110

 

 食事が終わり、レストランの周囲を散歩してみました。近くの店で目についたのが、乳製品の入ったプラスチックの容器です(写真下)。常温にさらしているところを見ると、たぶん牛乳そのものではなく、ドゥーグというヨーグルドリンクのようなものでしょう。街の店のいたるところで売られています。イランは生乳を輸出するほどなのに、いったいどこで牛を飼っているのだろう?

 

DSC_4750_0437 DSC_4752_0439

 

 レストランとは道路の反対側にあるのは御菓子屋さんのようです(写真下)。行ってみましょう。

 

DSC_4762_0449 DSC_4778_0465

DSC_4763_0450 DSC_4774_0461

 

 写真下左の店の主人は愛想が良く、私たちにお菓子の試食を勧めてくれました。写真下左の子供連れの男性はお客さんです。

 

DSC_4769_0456 DSC_4764_0451

 

 お父さんは可愛い娘にメロメロなのがわかる。

 

DSC_4765_0001_01b

 

 街を出て、さらに北に向かいます。天気は相変わらずです(写真下)

 

DSC_4794_0481 DSC_4788_0475

DSC_4802b

 

 道端の露店はそれほど多くは見かけません。写真下左で並べてある袋は乾物のようです。白いシャツのおじさんは客です。写真下右で袋に入れて積み重ねてあるのはジャガイモで、左側に袋に入っているのは葉をのばし始めたばかりの野菜で、何なのかはわかりません。

 

DSC_4808_0495 DSC_4809_0496

 

 日本人の旅行客にはあまりありがたくない雨模様も、イラン人には恵みの雨なのでしょう。

 

DSC_4813b DSC_4795b

DSC_4819b DSC_4823b

 

 

インペリアリスの保護区

 Golestan Kuh 保護区に到着(写真下)。ゲートの上には巨大なインペリアリスが四つも咲いていて、金属で作ればこのまま鐘になりそうです()

 

DSC_4831b DSC_4835_0001_01b

 

 雲と風はあるものの天気もまあまあで、何よりも地面が濡れていないので、泥の心配はいらないのがありがたい。

 

DSC_4844_0531 DSC_4842_0529

 

 写真下左の真ん中頃にある頂上付近を目指します(14:28)。見てのとおり、なだらかな山で、高低差も150mほどですから、登るのはそれほど大変ではないはずです。ところが、出発地点が標高2700mですから、空気は平地の7割程度です。もちろん、高山病とお友達の私はこんな所で皆さんの後など絶対に付いていきません。

 

DSC_4845_0532 DSC_4833b

DSC_4916_0603 DSC_4909_0596

 

 斜面は枯れた植物が多くみられますが、足元には小さな花が咲いています。午前中に登った山にもあった花で、ここでも良く目につきます。

 

DSC_4851_0538 DSC_4848_0535

写真上 Euphorbia decipiens

P1240175 P1240190

写真上 Geranium tuberosum

 

DSC_4849_0536 P1240240

写真上 Scorzonera cana

 

DSC_4855_0542

 

 

ペルシャの恋人たち

 斜面の途中に小さなチューリップが生えています。

 

P1240171b P1240180

写真上 Tulipa systola

 

 残念ながら、開いているチューリップのほうが少ない。写真下はその数少ない開きかけているチューリップで、鮮烈な赤が印象的です。

 

P1240167

 

P1240148

 

 数少ない開いた花の中をのぞくと、花弁の元が黒い模様が付いています。

 

P1240169

 

 大きさは午前中のと同じくらいで、長さ約14cmのボールペンと比較するとわかるように、高さは10cmもありません。

 

DSC_4915_0602 DSC_4863_0550

 

 写真下はまるで恋人同士が抱き合っているように見えませんか()。情熱的になっているのか、赤味も強い。ここのチューリップは「ペルシャの恋人たち」という名前はどうでしょう。

 

P1240166

 

DSC_4892_0579 DSC_4881_0568

 

 斜面にまばらに生えているわりには、「ペルシャの恋人たち」が良く目につきます。スイセンと違い、球根が分裂するわけではないだろうから、たまたま種がすぐそばに落ちたということでしょうか。

 

P1240157

 

P1240138 P1240151

 

 大半の葉には波があります(写真下)

 

DSC_4928b

 

DSC_4899_0586 DSC_4912_0599

 

 写真下のように葉に波がまったくないほうが数は少ない。

 

DSC_4900_0587

 

 ここは群落はないが、写真下のように比較的密集して生えている所も数カ所あります。

 

DSC_4890_0577 DSC_4904_0591 DSC_4906_0593

P1240144 DSC_4887_0574

 

 カザフスタンなどで野生のチューリップを見てから、イメージがだいぶん変わりました。花壇育ちのお嬢様たちかと思っていたら、苦労の多い人生を送っているチューリップもあるのだ()

 

P1240183 P1240187

P1240191 P1240195 P1240209

 

 一時間ほどかけて山頂付近に到着(15:22、写真下)

 

DSC_4925b

 

DSC_4918_0605 DSC_4921_0608

 

 このあたりで標高2850mで、上りはこれで終わりです。

 

Golestan180417

 

 山頂付近にもこれまでとは違う花があります。写真下は、午前中もあった花で、葉がいかにも高山植物だが、花が小さくて写真に撮りにくい。ザグロス山脈と北部にも分布しています。

 

DSC_4934_0621 DSC_4936_0623

P1240206

写真上 Thalictrum isopyroides

 

 あの黄色いディオニシアがここでも岩にへばりついている。よほど岩が好きらしい。数は少ない。

 

DSC_4938_0625

写真上 Dielsiocharis kotschyi

 

 高山のマメの仲間(Astragalus)の花は透明感があり、きれいなのが多い(写真下)

 

P1240208

写真上 Astragalus nanus

DSC_4946_0633 P1240202

 

 

インペリアリス

 山頂を迂回すると、反対側の東側斜面にインペリアリスの大群落がありました(15:38)

 

DSC_4955_0642 DSC_4959_0646

写真上下 Fritillaria imperialis

DSC_5052_0739 DSC_5059_0746 DSC_5061_0748

 

 私が到着した頃には皆さんは写真を撮り終えていて、間もなく下山を始めたので、誰もいなくなり、いよいよ私の撮影時間です()

 

DSC_5012

 

DSC_4962_0649 DSC_4958_0645 DSC_4978_0665

 

 インペリアリスは山頂付近から東側の谷に向かって流れ落ちるように群落を作っています。二日前にチェルゲルドで最初に観た大群落に比べると規模は小さいが、ここも大群落と言っていいでしょう。

 

P1240216 P1240228 P1240217

DSC_5096_0783 DSC_5097_0784 DSC_5098_0785

 

 流れ落ちると書きましたが、実際に、種が水に流されるなどして斜面に増えたのではあるまいか。ただ、この推測が正しいなら、下のほうが密集してもいいはずなのに、実際は逆です。

 

P1240221 P1240223

 

 日差しが西に傾き始めているので、斜面の上から光が射してきて、写真下のような斜面の上に向かっての構図はあまり撮りやすくありません。

 

DSC_5084

 

DSC_5083_0770 DSC_5125_0812

 

 写真下のようなオレンジがかった色の花はありますが、黄色は見つかりませんでした・・・いや、ゲートの上に巨大なのがありましたね()

 

DSC_5107_0794 DSC_5126_0813

 

 山頂付近はピークをすぎた花が混ざっているのに、下のほうに降りていくと、群落は閑散としてしまうが、まだ新しいようです。他の植物が生えていない分、雑然としておらず、撮りやすい。下のほうが土が露出しているわりには植物が少ないから、見た目よりも花にとっては環境が厳しいのでしょう。

 

DSC_5146_0833 DSC_5154_0841 DSC_5160_0847

DSC_5168_0855 DSC_5165_0852

 

 写真下は写真上のインペリアリスと同じバイモの一つで、名前にペルシャ(persica)が入っています。昨日のインペリアリスの生えていた丘にも生えていました。両者に環境の共通点があるのでしょう。

 

DSC_5140_0827 P1240243 DSC_5141_0828

写真上 Fritillaria persica

 

 インペリアリスが閑散としはじめたあたりから、別な花が見られました。

 

DSC_5137_0824 DSC_5134_0821

P1240239 DSC_5131_0818

写真上 Astragalus angustiflorus

 

 写真下はイラン、イラク、トルコなどの高山に分布する花です。

 

P1240246 P1240244

写真上 Ficaria kochii

 

 私が最後にノロノロと下山して、本日予定していた花の観察はこれで終わりです(16:57)

 

 

蜂蜜の街

 近くのKhansarという街では店の看板にインペリアリスが描かれています(写真下)。花があれば十分で、宗教家の似顔絵はいらないような気がする(失礼)

 

DSC_5200b DSC_5199b

 

 Khansarは蜂蜜で有名な街で、店先にはたくさんの蜂蜜の入った瓶が並べられています(写真下)。それだけこの近辺には花が多いのでしょう。ミツバチが蜜を集めるのは必ずしも目立つ花とはかぎらないものの、周辺は先ほど登った山のように樹木がなく、それほど花が多い地域には見えません。

 

DSC_5203b DSC_5211b

DSC_5204b DSC_5202b

 

 そしてついには巨大なミツバチが現れました(写真下)。道路の真ん中に作られたモニュメントです。インペリアリスもミツバチもこのあたりではデカイらしい()

 

DSC_5194_0881

 

 甘くて楽しそうな街だが、ここも女性たちは葬式スタイルで、通りにはイラン・イラク戦争で戦死した人たちが飾られていて、あまり明るい雰囲気ではありません(写真下)

 

DSC_5206b DSC_5207b

DSC_5198b DSC_5205b

 

 イラン人の17歳の少女が写真下のようなダンスの映像をネットで公開していたところ、当局から拘束され、取り調べを受けた後、公営テレビで涙ながらに自分の「罪を自白」したというニュースがありました(2018729日、共同通信)。イランではこれが不道徳な行為なのだそうです。

 

WS003174 WS003175

 

 古色蒼然とした宗教的な抑圧に、あきれて溜め息が出てしまうが、こういう主観の押し付けや独断は日本も例外ではありません。同じ時期、日本では自民党の杉田水脈衆院議員が、月刊誌への寄稿で、同性愛など性的少数者を「子どもを作らない、つまり生産性がない」とおとしめました(毎日新聞2018728日各紙)。これが問題視されている最中に、自民党の谷川とむ衆院議員は「同性愛、趣味みたいなもの」と差別発言をしました(毎日新聞201882)

 少女がダンスをしたのを不道徳と批判するのも、同性愛者を非生産的、趣味などと罵るのも同じだと気が付きませんか。彼らは大きな権力を持ちながら、それにふさわしい良識と見識を持っていない。イラン国民は宗教的な指導者を選べるわけではないが、日本のこれらの議員を選んだのは国民です。発言の責任をとって議員を辞めるのが当然なのに、自民党からの処罰もなく、その自民党の政権を国民の半数近くが支持している!?

 私はイランの時代錯誤の抑圧的な政策を批判したい気持ちだが、振り返ってこういう日本を見ると、トーンが下ります。

 

DSC_5215_0902

 

 服装と話題は暗いが、イランの空は青く明るい()

 

DSC_5219_0906 DSC_5221_0908

 

 夕方の菜の花畑でバスを停めました(17:56、写真下)。どこまで続いているのかわからないほどで、蜂蜜を採るのには十分な菜の花です(写真下)。ただ、こういう大規模な菜の花畑はここくらいしか見ませんでした。

 

DSC_5232_0001 DSC_5235_0001

DSC_5236_0001 DSC_5237_0001

 

 本日の宿泊地のゴルパイェガンの街中に入ってきました(18:04)。メロン、トマト、キュウリ、スイカなどを路上で売っています(写真下)。時間帯のせいか、客がいない。

 

DSC_5257_0944 DSC_5263b

 

 ホテルはゴルパイェガンの中心部からさらに6kmほど北東にあります。

 

DSC_5258_0945 DSC_5261_0948

DSC_5259b

 

 

キャラバン・サライ

 今回の旅行で最も楽しみにしていたホテルに到着です(18:15)。昔、隊商を泊めた宿泊施設(キャラバン・サライ)を改装した三ツ星ホテルです。建物が大きいわりには客室は1314室しかありません。ここが観光施設の一部をホテルとして使用しているからでしょう。

 

WS002811

(http://www.argegoogad.com/)

DSC_5268_0955 DSC_5266_0953

 

 建物は「口」字型になっていて、南門から建物を横切ると(写真下左)、広々とした中庭に出ます(写真下右)

 

DSC_5270_0957 DSC_5271_0958

 

 ホテルの名前は例によって、Googad HotelArg-e-Googad HotelArgeGoogad HotelHotel Arg-e-Googadと複数あり、ホームページにはHotel Arg-e-Googadとありますから、これが正式なのでしょう。

 Googadとはゴルパイェガンでのこの地域(町?)の名前で、これもGugedGougedGūgedGūgadなどの表記もあります・・・そろそろ表記の煩雑さに皆さんもウンザリしてきたでしょう()

 

DSC_5275_0962 DSC_5273_0960

 

 ホテルのフロントは右()側の建物にあり、それほど広くはないのに、ロビーの真ん中にはイマイチな噴水がある(写真下右)。乾燥しているこの国では水は特別な意味があるのでしょう。

 

DSC_5284_0971 DSC_5278_0965

 

 ロビーの隅にはいかにもイスラムらしい精緻な模様の壺が置いてあり(写真下左右)、入口を振り返ると、アラベスク模様の窓がきれいです(写真下中)

 

DSC_5280_0967 DSC_5287b DSC_5283_0970

 

 

要塞ホテルの散歩

 ホテル自体がキャラバン・サライ(隊商宿)という遺跡のようなものですから、夕方の散歩はこのホテルそのものに決定です。

 建物は下の衛星写真のように、真ん中に中庭のある一辺が80mほどの四角い建物で、まず外側を一周することにしましょう。

 

hotel18041702

 

DSC_5313

 

 実際に出入りできるのは南側の出入口のみです(写真下)

 

DSC_5357_1044 DSC_5326_1013

 

 出入口の前は通路で(写真下左)、その両側は駐車場になっており(写真上右)、その先にロータリーがあります(写真下右)

 

DSC_5329_1016 DSC_5328_1015

 

 建物の四方には高さ12mの塔があり、壁には窓がありません。まるで要塞のようで、実は要塞です。隊商宿として使われたのは平和な時だけで、この建物の名前はGoogad Citadel、つまり「Googadの要塞」です。四方の塔は敵に攻められた時、上から矢などを放つためでしょう。

 

DSC_5337_1024 DSC_5339_1026

 

 この要塞は四世紀より前に作られたとある一方、文書として残っているのは130年前だというから、今の建物は意外に新しいのでしょう。修復してあるらしく、建物の内も外もきれいです。

 

DSC_5358_1045

 

 北側には門があり、閉じられたままです(写真下左)。写真下右は建物の内側から見た北門で、通路は博物館というか、物置状態になっています。

 

DSC_5346_1033 DSC_5364b

 

 東側はゴミや家畜の糞などがあり、急に汚くなります(写真下左)。推測ですが、東側は昔は馬などの家畜を飼う場所だったのでしょう。

 

DSC_5349_1036 DSC_5348_1035

 

 北側の壁に落書きがあったり、落剥した部分があるなど、整備がされていない(写真下右)。ただし、こういうのは建物のほんの一部で、大部分はきれいです。

 

DSC_5355_1042 DSC_5347_1034

 

 解説によれば、この要塞の番人はハト(doves)で、敵が来るとハトが騒ぐのを利用したというので、ハトを探しても、いたのは写真下のカラスだけでした。イランのカラスは白黒で、日本人にはカラスには見えないが、動きや鳴き声はカラスそのものです。

 

DSC_5353b DSC_5356b

写真上 Corvus cornix

 

 ホテルの周囲は一般の民家が建っているだけで、この要塞だけが浮いた雰囲気です。

 

DSC_5350_1037 DSC_5352_1039

 

 地図を見るともっとその浮いた雰囲気がわかります。下の地図はGoogadの街で、ロータリーを中心に街は広がっています。つまり、この要塞は街外れにあるのです。普通、こういう城や要塞を中心に街が作られるはずなのに、なぜか外れにある。

 さらに奇妙なのがホテルから南西に向かって直線的に約500mのびた道路です。為政者が力を誇示するために要塞に向かって長い道を造るのは珍しくないが、まず奇妙なのは、道路は街の中心であるロータリーに直結していません。攻め込まれた場合を考えて戦略的にそうしたともとれるが、おかしいのはそればかりではない。この道路は要塞の門から真っすぐではなく、建物に対して角度をなしています。この道路は要塞とは関係なく、観光などのために最近作られたのかもしれません。

 

hotel180417

 

 要塞はこの地方の王様が作り、王妃の王宮などにも使われたこともあるというにしては、周囲の街の作りとは全然関係なしに作ったかのような、奇妙な配置です。

 

DSC_5354_1041

 

 周囲はあまり面白くないので、建物の中に戻ると・・いたあ!ペルシャ猫、にしては毛足が短いから、違うようです(写真下)。猫の一覧表を見るとエジプシャンマウという種類に似ています。ペルシャ猫といってもペルシャ(イラン)が発祥のネコという意味ではなさそうです。

 

DSC_5311b DSC_5379b

 

 建物の中庭は良く手入れされています(写真下)。日本だったらどうということのない風景ですが、イランでは水と緑があると安らぎます。

 

DSC_5310_0997 DSC_5276_0963

DSC_5323b DSC_5315_1002

 

 写真下の建物が先ほど見た城壁の内側です。

 

DSC_5320_1007 DSC_5321_1008

 

 客室は北側のみで、それ以外は、レストランや店舗、ホール、喫茶店などに使われています。ここはホテルだが、一般の観光客も入れるようになっています。この日、日中に開いていたのは北西の角にある二軒のみで、片方はナンを売っているパン屋、もう一つはハンドクラフトを売り物にする土産物店です(写真下)。平日の夕方のせいか、客は一人もいません。

 

DSC_5314b DSC_5319_1006

 

 建物の内側は二階部分もあり、塔もある。○○と煙で、私は怖がりのわりには高い所に登りたがる()。階段は建物の中にあるらしく、中庭に面した階段は北門の左右にしかありません。しかも、右側の階段の上のドアは鍵がかかっている。これだけの建物でありながら、外から上れたのは左側の階段だけです(写真下右)

 

DSC_5363_1050 DSC_5374_1061

 

 選択の余地もなく左側の階段を上り二階に行くと、ベランダのような細い通路があり(写真下左)、その先は屋上で、先は壁で仕切られ、ドアがあり、鍵がかかっています。私は城壁の上は回廊のように一周できるのではないかと期待したのですが、無理です。

 

DSC_5368_1055 DSC_5367_1054

 

 あきらめて引き返そうと階段まで戻ると意外な人に会いました。植物ガイドのノロージーさんです。「先生の部屋は二階ですか?」と聞くと、そうだという。あんなベランダのどこに部屋があるのだ?!見せてくれと頼むと、OKです。写真上左のベランダのような狭い通路に面したドアが入口で、背の高い窓から部屋の中に降りるような感じで入ります。部屋は私の部屋と違い、壁がきれいに金色に装飾され、イスラム的な雰囲気です(写真下)

 

DSC_5370_1057 DSC_5373_1060

 

 ノロージーさんに頼んで、塔の上に登れないか従業員に聞いてもらったのですが、登れないという返事でした。

 

 

イラン風の喫茶

 ホテル内のレストランで夕飯です。ホテルの客以外の観光客も来るのでメニューもあります。もちろんペルシャ語なので読めない(写真下右)

 

P1240252 P1240254

 

 恒例の1ドルのノンアルコールのビールを注文しました(写真下左)。三種類あり、味付け無し、ピーチ味、レモン味です。ピーチやレモンではただの炭酸ジュースのような気にもするが、他のお客さんによればそちらのほうがうまいとのことでした。

 

P1240253 P1240256

P1240255 P1240259

 

 食後、場所を変えてカフェでお茶を飲みながら、本日の花の復習会です(写真下)。絨毯を敷いたベッドのような椅子の上に靴を脱いで上がります。こういう喫茶スタイルはイランでは普通で、屋外の木陰などに椅子が出ていて、そこでお茶や食事をする風景が見られます。

 

P1240260 P1240264

P1240265 P1240263

 

 

音のない部屋

 お茶を終えて、部屋に戻りました。私の部屋は中庭に面していて、一階にあります。写真下の、上に灯りのついているのが私の部屋の入口で、日中と夜の様子です。

 

DSC_5289_0976 P1240269

 

 入口にはドアはありません(写真下左)。中に入って入口を振り返ると中庭が見えます(写真下中)。部屋のドアはその左側についています(写真下右)

 

DSC_5290_0977 DSC_5288_0975 DSC_5291_0978

 

 写真下のように、先ほどのノロージーさんの部屋に比べると簡素です。ベッドカバーのホルスタインのような牛柄模様は好みの分かれるとしても、私はこちらの部屋のほうが落ち着きます。ベッドの右側の壁が、さきほど私が建物の外を一周した時の北側の壁部分です。

 

DSC_5306_0993 DSC_5292_0979

 

 このホテルの最大の特徴は隣部屋の音が無いことです。音がしないのではなく、無い。写真下は部屋の窓で、写真下左の薄ピンクのカーテンが下げてある二カ所が窓で、写真下右のようにカーテンをめくると窓の外に中庭が見えます。壁の厚さを見てください。目測で1.5mほどあります。つまり、これがこの建物の壁の厚さでしょう。この壁の厚さを見てもわかるように、ここは隊商宿ではなく、要塞として作られた建物です。

 

DSC_5297_0984 DSC_5375_1062

 

 暖房は必要なく、毛布一枚で眠れました。これも壁が厚くて断熱性に優れているからでしょう。入口や窓を狭くしているのも、冬の寒さや夏の暑さを避ける生活の知恵です。

 

DSC_5294_0981 DSC_5295_0982

 

 ここには避難経路の張り紙はありません。一階だから必要ないのと、たぶん、各部屋で火災を起こしても、燃えるのはその部屋だけで、延焼する可能性がほとんどないからでしょう。

 

DSC_5298_0985 DSC_5299_0986

 

 欠点もあり、土の壁が音を良く反射するので、冷蔵庫の音がうるさい。電源から抜きました。部屋に案内してくれた係りの人が電源を入れただけで、最初は入っていなかったのです。明るいうちは中庭で流す音楽が窓から入ってきてうるさかったが、それが鳴りやむと、とても静かです。

 設備も悪くありません。ベッドの隣のクロゼットの中には使い捨てのスリッパもあります(写真下)。私は帰りの飛行機でこれをはいていました()

 

DSC_5296_0983

 

 洗面所は広くはないが、歯ブラシなども付いており、お湯も問題なく出ました(写真下)。シャワーカーテンがないので、洗面所のほうまで水が飛んでしまいます。

 

DSC_5303_0990 DSC_5300_0987 DSC_5302_0989

 

 トイレでは紙をトイレに流すなという張り紙があり、こういう習慣に慣れていない日本人にはありがたくない(写真下左)。紙で目詰まりを起こす理由の一つは水槽の位置が低いからでしょう(写真上中)。これでは水圧がかからず、実際に流れにくい。

 

DSC_5304_0991 DSC_5378_1065

 

 モハンマドさんに、個人的にこのホテルを今予約したらいくらいかかるかと聞くと、おおよそ7,0008,000円だろうという返事でした。それなら何日が泊まってもいい。このホテルの個人評価は、ホテル自体のユニークさが際立っているので細かい問題点は帳消しで、余裕で4.0、十分に満足です。

 

 

 

 

トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8