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台湾の植物と自然観察

3日目 2023|622()

埔里 墾丁

 

 エアコンが動いてくれたので、ぐっすり眠り、六時起床。カーテンを開けると今日も晴れです(写真下)。日本で調べた時の悪い天気予報が外れるのはうれしい。

 

 

 今日は、バスで台湾の南端にある墾丁まで行き、墾丁森林遊覧区植物園や鵝鑾鼻公園を観ます。

 

 

媽祖

 6:30からホテルの一階で昼食です(写真下)。しかし、私は朝食は写真だけにして散歩に出かけました。今日の移動距離が300kmをこえるので出発が7:45で、朝食を取っていたら散歩する時間がなくなるからです。

 

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 セブンイレブンが近くにあるので、台湾のお茶を買いたい(写真下左)。しかし、日本でも売っているような一般的なお茶しかありませんでした。もう一軒、ホテルの近くのお茶屋も、早朝ですから閉まっている(写真下右)

 

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 朝食を出している店にもまだそれほど人が集まっていません(写真下)

 

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 裏通りの住宅街は植木鉢の植物が並べられています。

 

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 写真下の花のような飾りはたぶん風車です。

 

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 引き返そうかと思ったら、天上聖母という黄色い看板が目につきました(写真下左)。媽祖だ!これは挨拶をしないでは帰れない()。写真下右の、提灯の下がっている民家の一部が媽祖廟になっているらしい。

 

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 管理人らしいオジサンしかおらず、写真を撮ってもいいかと聞くと、かまわないという(写真下)。お賽銭をあげて、媽祖にも写真を撮らせてくれと手を合わせてから撮影開始。

 

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 正面には線香立はあるのにお賽銭箱がなく(写真下左)、「功徳箱」は祭壇とは別に右横の壁の前にあります(写真下右)。神様に供養するのは線香だけで、お金は供養しないという意味でしょうか。神仏の名を借りてお金を要求するのは人間で、本物の神様がお金を要求するはずがない。

 

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 道教の祭壇にはたくさんの神様の像が並んでにぎやかことが多く、ここも例外ではなく、肝心の媽祖がどれなのかわからない。正面の一番奥にある像も二つあって、どちらが媽祖なのかわかりません(写真下左)。たぶん、両方とも媽祖で、誰かが寄進すればそのまま飾るから、これだけたくさんの像が増えたのでしょう。要するに、細かいことは気にしない()

 

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 媽祖は中国福建省で西暦960年に生まれた実在の女性で、病気治しなどの力があったようです。しかし、一説によれば28歳の時、海難に遭った父親を捜しに行って彼女も遭難し、遺体が島に流れ着いたので、その島を媽祖島(台湾の南竿島)と名付けたと言われています。死後、赤い衣装をまとい海上で難民を助けたとありますから、若く海で死んだことがかえってその後の奇跡談を増やす働きをしたのでしょう。赤い服を好む彼女が写真を嫌がるはずはない()

 

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 福建省や広東省の客家(はっか)と呼ばれる民族が東南アジアや台湾に移住した時、媽祖信仰を持ち込んだので、これらの地域では媽祖は珍しくありません。例えば、海からは遠い四川省にも海の神様の媽祖が信仰されているのは、西暦1400年前後に広東省から客家が大移動したからです。

 

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 日本にも媽祖信仰が伝わっていて、有名なのは横浜中華街の横浜媽祖廟です。(『日本における天妃信仰の展開とその歴史地理学的側面』高橋誠一、東アジア文化交渉研究、2号、121-144ページ)

 この論文によれば、媽祖信仰は台湾に近い沖縄はもちろんのこと、茨城県では水戸黄門で有名な水戸光圀が1690年に天妃山媽祖権現社を建立したという。天妃や天后とは媽祖のことで、今でも北茨城市の磯原に社だけは残っています。

 

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檳榔椰子とタバコ

 予定どおりにホテルを出発し(7:49)、一昨日の道を台中市まで引き返します。

 

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 来るときも紹介した檳榔(びんろう)ヤシが山の斜面にたくさん植えられています。ビンロウはタバコと同じ悪習慣なのに、かなりの需要があるから、これだけ植えられているのでしょう。ビンロウにもタバコと同じで、発がん性があると指摘されています。

 

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 写真下のように街中には檳榔の看板を出した店を良く見かけます。

 タバコには麻薬と同じような常習性があるのは、著名な脳学者が「タバコに害があるという科学的根拠はない」と、喫煙をやめられないのが何よりの証拠です。日本もタバコを禁止する必要はないから、今のタバコ一箱500600円を3000円くらいにするのが適正でしょう。物価上昇ですから、もっと高くてもかまいません。

 

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日本の高速道料金は台湾の9

 台中市の南から高速道路の国道3号を南下します。台湾の高速道路には料金所はありません。車はeTagという電子タグを付けて、一区間を進むごとに料金が発生する仕組みです。電子タグなので、日本のETCのような高い装置は必要としません。

 

 

 ネット上で日本と台湾の高速道路の料金差を比較した例を参考にして、私の身近な区間で比較したのが次です。

山形北→(59.8km)→仙台宮城:1,840

台北→(58.8km)→湖口:45.8NT210(2023619日のネットの為替相場で計算)

なんと日本は台湾の9倍で、異常な料金です。台湾は料金所やそのための人件費がないから安いのでしょう。それなら、どうして日本はこれを真似できないのでしょう。高速道路の無料化には反対だが、料金をもっと下げるべきです。

 

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 海外に出るたびに日本の高速道路の料金が異様に高いことを実感させられます。台湾と日本は物価的な差は少なく、両方とも山の多い国土であるなど建設条件の差もあまりありません。

 写真下の台湾の高速道路を見てください。場所によっては片側4車線です。山形県では東北中央道という立派な名前の高速道路があって、多くは片側1車線で、場所によっては制限速度が70km/h、速度の遅い車が一台あればノロノロ運転、事故があれば通行止めで、実際に私は三十分近く待たされたことがあります。

 

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 道路の周囲には田畑や林が広がり、きれいな風景です(写真下)。ただ、その中にも檳榔ヤシがあいからず目につきます。

 

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 台湾の新幹線が走っています(写真下)。私たちも明日、この新幹線に乗ります。

 

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ガジュマルの巨木

 高速道路のサービスエリア「東山服務區」でトイレ休憩です(9:4110:07)

 

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 ここでの目的は休憩だけでなく、ガジュマルの巨木を観ることです。下左の地図の真ん中あたりに描かれている大きな樹木です。

 

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 写真下左の大きなカボスの向こうに見える林がそれらしい。このカボスは大きいだけで、食えません()

 

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 林のように見えたのはガジュマルの巨木が周囲に枝葉を広げているからで、一本のガジュマルです(写真下)。中国名は細葉榕で、他にも正榕、山榕、また台湾では鬼仔樹、鳥松などとも呼ばれています。この名前の多さが、この樹木が亜熱帯や熱帯地方では有名人であることを示しているのでしょう。

 

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写真上下 細葉榕(Ficus microcarpa、ガジュマル、我樹丸)

 

 東山服務區のホームページでは「百年大榕樹」と呼ばれ、200年くらい前からここに生えていたらしいとあります。それなら、二百年大榕樹です。

 

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 横にのびた枝から足が生えたように気根が地面に下りて、さらに先にのびて、別な樹木のように成長しています(写真下)

 

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 写真下左で、20日に見たクスノキと同様に、気根ではなく、枝そのものを地面に下ろして、そこからまた立ち上がるという大蛇のような広がり方をしています(写真下左)。ガジュマルとクスノキは別な種類の樹木なのに、同じような性質を示すのはおもしろい。

 

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 写真下の掲示板によれば、ガジュマルの周囲は原生植物園と呼ばれています。ただし、東山服務區景觀介紹によれば、原生植物はガジュマル一本だけで他は植栽したようです。

 

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 周囲にたくさん植えられているのはゴールデンシャワーと呼ばれる樹木で、これはインド原産ですから、台湾にとって原生植物ではありません(写真下)

 

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 再び走る高速道路の脇には田植えが終わったばかりの田んぼが広がり、ホウオウボク(鳳凰木)が燃えているようなオレンジ色の花を付けています(写真下)

 

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 写真上左を田んぼと紹介してから、京都府立大学名誉教授の佐藤茂先生から、水田にしては違和感があるとして次のようなご指摘がありました。

「植えたイネ苗の列(条)が真っ直ぐでないこと、条間が均等でないこと、また幾つかの条が途中で終わったり、2つの条が交わったりしています。」

 そんなことを気にもしていなかった私は、写真を拡大して見て、びっくりしました(写真下)。イネではありません。何か水草のような植物が植えてあるが、高速で走るバスから撮ったので、葉の具体的な形まではわかりません。

 

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 ネットで調べるとヒシではないかと思われます。日本では池や沼に大量に繁殖してどちらかというと嫌われている水草です。台湾ではこのあたりの南部を中心にヒシの実を栽培しているようです(写真下)。一般には菱角と呼ばれる台灣菱(Trapa bicornis var.taiwanensis)で、赤いことから紅菱とも呼ばれています。日本のヒシよりもはるかに大きい。台湾でこれを食べた日本人の旅行記を読むと、栗や芋のような食感と味で、うまいとのことです。

 

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写真上 『農訓雜誌』(中華民國農民團體幹部聯合訓練協會、345期、2021)から転載

 

 

關廟服務區

 台南市の東にあるサービスエリアの關廟服務區でトイレ休憩です(10:44)。前のトイレ休憩から三十分でまたトイレ休憩をするのは、旅行客が老人だからというだけでなく、ここが高速道路のサービスエリアの最後であり、まもなく高速道路を下りるからです。

 

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 植栽されている樹木にわざわざ「紫薇」と説明書きがついているので、特別な樹木かと思ったら、どうみてもインド原産のサルスベリです。日本では珍しくもなく、花が少なくなる夏の暑い時期にピンクの花を咲かせるので、重宝する樹木で、私の畑にもあります。ここは気候が合っているはずなのに、勢いが悪い。

 

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 トイレの壁のタイルには植物を頭に激しく生やした人の写真が貼り付けられていて、見る価値がある()

 

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 台湾を南下するにつれて緑が濃くなり、特に目につくのが竹の群生です(写真下)。台湾は89種類の竹があり、その内、人間がタケノコや竹細工に使っているのは6種類だそうです。

 

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 日本のモウソウダケなどは散生竹種(散生型)といって周囲に一様に広がります。窓の外の竹は叢生竹種(叢生)といって一カ所から噴水のように何本も竹が生えています。台湾には両方の種類が生えており、後者が多い。

 山形の私の畑にもマダケが生えていて、タケノコなど有用である反面、すごい勢いで増えるのでちょっとでも伐採を怠ると大変なことになります。つくば市の周囲では、人間が一歩も入り込めないほどの竹の「密林」ができています。だから、写真下のような風景を見ると、他人事ながら私はギョッとします()

 

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 台南市と高雄市の近くで写真下のような奇妙な地形がみられました。両市の境界はこういう地形らしく、これを観光にした月世界地景公園では、名前どおりに、月世界のような風景が広がっているそうです。つまり、写真下の風景から緑を除いた風景です。素人が見ても農作には向かない土壌で、だから竹が繁茂しているのでしょう。

 

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養殖にも中国の影

 高雄市の東側の山を通り抜け屏東県に入ると、平野が広がります。

 

 

 高速道路の両側に一面にハタの養殖池が広がっています(写真下)。ハタの上にも中国の影が落ちています。ここのハタが、中国の福建省、広東省、香港のレストランに届くまでたった1日半だという。その中国から1年前の20226月、ハタの輸入停止が宣告されました。輸出先の9割が中国なのに、それが停まったら大打撃です。中国が輸入禁止にした理由はとてもわかりやすく、この養殖が盛んな屏東県は現政権である蔡英文総統の民進党を支持する人たちが多い地域だからです。

 

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 屏東県の輸出作物の一つにシャカトウという果物があり、これも同じように20219月に中国への輸入が停止になりました。台湾側の農家が直接交渉をすると、中国寄りの国民党の支持を表明した農家にだけ輸入が許可されました。中国って、露骨で、はっきりしていて、わかりやすい国だと思いませんか。

 

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 写真下左はアヒルの養殖です。日本ではあいかわらずニワトリは狭いケージに飼われている。私は卵を食べている者として、値段が高くなっていいから、このひどい飼育方法を禁止すべきだと思っています。自分の命を支えてくれている動物に避けられる苦痛を与えるのは間違いです。

 

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 周囲に広がる台湾南部の水の豊かな光景は、一人の日本人が大きく貢献しています。植民地時代の役人だった八田與一氏がダムを作り、灌漑用水を整備したことで農業が発展したというのです。バスでは八田氏の業績を元にしたアニメが流されました(写真下)

 八田氏の業績は前に民放のテレビ番組で見たことがあり、取材番組なのでわかりやすかった。今回、バスの中で見せられた作品は物語でした。作品の良し悪しではなく、彼の業績を評価するなら、物語ではなく、事実を淡々と描写するほうが説得力があります。

 

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『パッテンライ!! 〜南の島の水ものがたり〜』(虫プロダクション、2008)

 

 一昨日同様、周囲の風景で日本と違うのが宗教関係の施設で、写真下はたぶん仏教寺院です。

 

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 ゴジラの背びれのように屋根飾りが激しいのはたぶん道教寺院です(写真下)

 

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 写真下の塔は何なのだろう。

 

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 唐突に道端に忿怒相の金剛力士が二体あります(写真下)。「飲酒運転は許さんぞ!」というなら、ガンガン怒ってください()。日本では未だに飲酒運転があって、それも模範を示すべき年寄が飲酒運転をするのにはあきれます。

 

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なかなか昼食にたどりつけない

 高速道路(国道3)でも一部渋滞していたのに(写真下左)、一般道に入るといよいよ混んでいる(写真下右)。端午節の連休で人々が行楽地に移動しているからです。

 

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 途中のレストランに昼食の予約を取ってあるのに、この渋滞でなかなかたどり着けない。そこで予約をキャンセルして、道路脇の萬有食堂に飛び入りで昼食を取ることになりました(12:23、写真下)

 

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 ところが、店に人数を告げると料理ができるのに30分くらいかかるという。それでは予約していたレストランでも同じだと、再びバスに乗りました。食事の前の軽い運動でした()

 

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 相変わらず渋滞がひどいが、いかにも南国のきれいな海岸通りなので、のんびり走るのがちょうど良いくらいです(写真下)

 

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 海岸はきれいで、観光客が海辺で休暇を楽しんでいます(写真下)。こんな浜辺で食事なら、ただのサンドイッチでもいいですよね。

 

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 50分ほど走り、予約していたレストラン「海中天餐廳」に到着してようやく昼食です(13:25、写真下)。広いので写真下右では誰もいないように見えるだけで、実際には奥の席にそれなりの客がいます。時間が時間なので、手前にいた客たちは食事を終えて帰ってしまったのでしょう。

 

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 今回の旅行代金には今日の昼食代は含まれていませんので、200(1000)を払いました。初日と二度目で、団体旅行にしては珍しい。両日とも全員が一緒に移動して同じ店に入ったのだから、旅行代金に上乗せしてでも、まとめて払ってほしいと客の多くが思ったはずです。この旅行会社は旅行後、客からアンケートを取らないので、客の要望は伝わりにくい。

 

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 写真下はこの店で売っているペットボトルのお茶で、茶葉がそのまま入っています(写真下)。いくら烏龍茶でも、茶葉をいれたままでは味が悪くなるはずで、この店で詰めている?

 

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 レストランの入り口にヒゲを生やした神様が祭ってあります(写真下)。黄さんから店の人に聞いてもらうと、「李府千歳」という神様だという。ネットで見ると、李府千歳は五府王爺と呼ばれる五人の神様の一人で、誕生日が426日というのだから、道教では良くあることで、実在した人物なのでしょう。

 朝に見た媽祖の像など、飾りをこれでもかと付けた像を見ると、神仏の像というよりも、造りが日本の雛人形を連想します。日本の雛人形もあんなにすっきりした姿ではなく、三人官女や五人囃子など、もっと派手でもいいような気がします。

 

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台湾は脱原発

 台湾には4カ所に8基の原子力発電所があって、その内の一つ第3原子力発電所(第三核能発電廠)が、今バスが走っている近くにあります。

 

 

 台湾は原発を廃止する方向で、実際、第一原発の1号機は2018年に、2号機は2019年に閉鎖、第二原発の1号機は2021年に、2号機は今年2023年に閉鎖されています。今動いているのは、ここにある第三原子力発電所の2基の原発のみで、これも将来は閉鎖の予定です。1990年代から日本からの売り込みで第四原発が造られましたが、2014年に一号機は稼働停止、2号機は建設中止です。

台湾の優れている点は、原発の是非を2022年に国民投票で決めたことです。

 一方、日本政府は、ウクライナ侵攻でエネルギー価格が高騰すると、国民の不安に付け込むように、原発の再稼働や運転期限の延長、さらには次世代の原発の開発を矢継ぎ早に決めました。人々の弱みに付け込み、どさくさに紛れてこういうことをするのを「火事場泥棒」といいます。

 

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 台湾の脱原発はエネルギー事情が良いからではと思うかもしれないが、現実は日本よりも悪い。100万戸を超える停電がこの一年に3回あったという。これは送電線などの設備が古くなっているためです。

日本と台湾の発電割合は2021年で、

日本  火力72.9%、再生可能エネルギー20.3%、原発5.9%

台湾  火力83.4%、再生可能エネルギー6.0%、原発9.6%、

ですから、原発を止めるのは日本のほうが楽なのです。

 皮肉な光景です。原発崩壊と放射能汚染という大災害を経験した本人である日本が原発回帰を強め、直接的な問題を起こしていない台湾は原発を廃止する道を進み、ドイツは実際に今年原発を廃止した。当事者でもないドイツにできたことを、なぜ当事者である日本ができないのでしょう?

 

 

原発は核兵器

 2022年にロシアがウクライナを侵略してから、原発は別な点で危険性があることが実証されました。それは「原発は核兵器」だということです。

 ロシアはチョルノービリ原発を一時占領し、今もザポリージャ原発を占領しています。これは原発を人質にしているのと同じです。20229月には南ウクライナ原発の原子炉から300mの所にミサイルが着弾しています。もし、誤って施設に着弾していたらと思うと、青ざめます。

 昔から原発をテロリストが攻撃するのではないかという指摘はありました。だが、得体の知れないテロリストではなく、世界から認められた国家と為政者が原発にミサイルを撃ち込んだのです。この現実を軽く見るべきではありません。

 

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 202347日、長崎大学核兵器廃絶研究センターが、核ミサイルが実際に使われたらどうなるかというシミュレーションを発表しました(『北東アジアにおける核兵器使用の人道的影響』)。しかし、一年前に、核兵器とは核爆弾だけではないと目の前で実証されていたのに、この点の考察が何もないことに驚かされます。

 恐いのは原子炉そのものだけではありません。日本は高レべル放射性廃棄物の最終処分場が決まっておらず、その前段階の中間貯蔵施設も保管が難しくなり、実際はそれぞれの原発に貯蔵されています。これが攻撃を受けて飛散したら、いったいどうなるのでしょう。

 

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 日本を核攻撃するのに核爆弾や核ミサイルなどという高価な兵器はいらない。日本の原発は海のそばにありますから、潜水艦で海岸まで近づき、多数のドローンで攻撃すれば、安くて簡単で確実な核攻撃ができるのです。

 日本には54基の原発が北海道から九州までありますから、これらを同時攻撃され、放射性物質が飛散したら、敵と戦うどころか、日本は住める土地ではなくなります。それは試してみるまでもなく、今でも福島第一原発から飛散した放射性物質によって汚染され、人の立ち入れない広大な土地があるのを見れば十分です。こんな攻撃を仮にも一つの国がするはずがないという前提が成り立たないと、ウクライナでの戦争で実証されたのです。

 これが電力を安定的に安く供給し、地球温暖化を防ぐエネルギーと宣伝されている原発の正体で、実は核兵器です。

 

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日本は経済力回復のチャンスをまた失った

 最近、日本はある意味、科学技術による国力を回復させるチャンスを二度失った。一度目は東日本大震災、そして今回のウクライナ侵攻によるエネルギー危機です。日本の海外へのエネルギー依存を減らすためにも、再生可能エネルギーの開発に舵を切り、この分野での科学技術を開発して、世界をリードすれば、どれほど大きな経済的な利益をもたらしたでしょう。

 グローバルサウスなど経済的に発展しつつある国はエネルギーを必要としています。その彼らが、原発のように危険で、核廃棄物の後始末に困り、技術的に他国に依存し、初期投資の大きい設備を欲しがるはずがない。だが、化石燃料に依存すれば地球温暖化に貢献していると批判される。彼らに自国で生産できて、安全で自分たちで管理できるエネルギーの供給技術を提案するなら、歓迎されるでしょう。そこに巨大なビジネスチャンスがあります。

 

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 再生可能エネルギーの多くは自然エネルギーですから、それを効率良く安く安定的に取り出すのは簡単ではありません。だからこそ、日本が独自の技術開発をすれば、過去の日本が技術立国で経済発展させたのと同じような経済発展のチャンスをつかむことができたはずです。日本の衰退している国力を回復できるチャンスでした。

 日本の競争力は2023年で64ヵ国の中で35位で、それも1989年の首位からこの三十年以上も年々下降中です。競争力の要素の一つが経済力とそれを支える科学技術力で、かつて日本はこれを得意として経済発展をしました。ところが、今では原発などという古くて欠陥だらけ技術にしがみつき、新しい科学技術分野である再生可能エネルギーの技術開発を積極的に推し進めようとしない。

 

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 東日本大震災という不幸はチャンスだったのに、この十年間、発電と送電の分割の問題すら解決できず、放射性廃棄物という解決できない問題を抱えた欠陥エネルギーである原発にしがみついた。そして、今回のエネルギー不足は二度目のチャンスなのに、原発に回帰するという愚行を繰り返しています。

 原発は子孫にとんでもない負の遺産を残しますから、長期的に金銭的にも割にあいません。こういう国全体の舵取りをするのは政治家で、原発を選んだ政治家の見識のなさにはあきれるしかないが、その政治家を選んでいるのは日本人の多数です。

 

 

墾丁國家森林遊樂區

 今日の二つ目の観光地は墾丁國家森林遊樂區です(14:52)

 

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 下の地図が公園の半分くらいを表わしています。私たちは入口から遊客中心に行き、さらに北にある銀葉板根を見学しました。

 

 

 園内は植物の性質で10以上に区分けされて植えられています(写真下)

 

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 写真下は毛柿という名前どおりの柿の仲間で、もっと実は大きくなり、煮ると食べられるが、まずいという。まずいと言われると、急にまずく見える()。台湾の東部と南部、さらにフィリピンやジャワにも分布します。

 

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写真上 毛柿(Diospyros discolor)

 

 園内はきれいに整備されていて、私たちが歩いた範囲は上がり下がりもなく、日本で言えば植物園を歩いているのと同じです(写真下)

 

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 写真下のゲットウは、中国名の月桃からそのまま持ってきた名前で、ショウガの仲間です。沖縄や台湾以外にも、東南アジアやインド南部など熱帯や亜熱帯に分布します。

 

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写真上 月桃(Alpinia zerumbet、ゲットウ、月桃)

 

 写真下のサンタンカは台湾全土で植栽されている樹木です。原産地が中国、台湾、オーストラリア、インドなどの熱帯地方で、沖縄や九州などで野生化しています。

 

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写真上 仙丹花 (Ixora chinensis、サンタンカ、山丹花)

 

 写真下のピンク色の花はフトモモ科の桃金嬢で、名前からして妙に色っぽい()

 

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写真上 桃金嬢(Rhodomyrtus tomentosa、テンニンカ、天人花)

 

 写真下はルリマダラという名前どおりに、羽の表は瑠璃色だそうですが、写真ではわかりません。日本でも南西諸島で見られます。よほどタイワンウオクサギの花の蜜が気に入っているようで、たくさん集まっています。

 

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写真上 圓翅紫斑蝶 (Euploea eunice、マルバネルリマダラ)

写真上 臭娘子 (Premna serratifolia、タイワンウオクサギ)

 

 写真下は日本でいえばスジグロチョウで、台湾よりも南の東南アジアに広く分布します。メスは羽の裏の黒がはっきりしているとありますから、写真下はたぶんオスです。

 

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写真上 黑脈粉蝶(Cepora nerissa、タイワンスジグロシロチョウ)

 

 公園の真ん中に「遊客中心」という建物があり、展示物があります。中国語がわからないので、興味はイマイチです。日本語のパンフレットもありましたが、植物の部分はほんのわずかです。これだけの規模の公園にこれだけの植物があるのに、紙一枚のパンレットだけで、植物を紹介した本や冊子がないのはさびしい。

 

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 この公園は海岸に近く、サンゴ礁が隆起した場所なので周囲にある石は珊瑚礁石灰岩です(写真下)。公園の奥のほうには鍾乳洞もあって、それらをすべて見るなら半日は必要でしょう。

 

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 写真下のサキシマスオウノキは根が板状になっていることで日本でも有名な樹木です。主にマングローブ林の湿地の内陸側に生えているのに、こんな海岸から離れた所に生えていることが珍しいようです。ただこの公園は海から直線で2kmくらいですから、それほど不思議でもありません。東南アジア一帯に分布します。

 

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写真上 銀葉樹 (Heritiera littoralis、サキシマスオウノキ、先島蘇芳木)

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 写真上下の看板の説明書きから、私はてっきり「銀葉板根」「白榕支柱根」が樹木の名前なのかと思っていたが、たぶん「銀葉の板状の根」「白榕の支柱状の根」という意味なのでしょう。しかも、これだけの植物園なのに学名が書いていない。

 現地で写真下を見ている時は、高速道路の東山服務區にあったガジュマルかと思い込んでいて、帰国後、調べたら白榕はガジュマルではありませんでした()

 

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写真下 白榕(Ficus benjamina)

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 サルがいる!台湾だからタイワンザルだ(写真下)。日本では千葉県で野生化したタイワンザルがニホンザルと混血して大問題になっています。

 アカミミガメやアメリカザリガニが「条件付特定外来生物」として野に放つことが禁止されたのは、なんと今年2023年からです。両者が日本の生態系を破壊する害獣であることは何十年も前から指摘されていました。条件付特定外来生物とはペットとして飼うのはかまわないというのです。この期に及んで、まだ抜け道のあるザル法を作った。サルに笑われる。

 

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 墾丁國家森林遊樂區の散策を終えて、バスでさらに南下して、最南端の灯台がある鵝鑾鼻公園に行きます。

 

 

 連休の海岸は海水浴客でにぎわっています(写真下)

 

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鵝鑾鼻公園

 バスは今日泊まる予定のホテルの前を通過して、鵝鑾鼻公園に到着したのは16:57で、夏至の時期なので陽はまだ高い。

 鵝鑾鼻は日本語読みではガランビ、ローマ字表記ではEluanbiで、オールアンビーと発音するらしく、ローマ字表記にさらに発音記号が必要です。鵝鑾鼻公園の駐車場から、両側に土産物店が並んでいる通路を通過しないと公園の入り口には到達できません(写真下)

 

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 店はメノウやヒスイのような石が並んでおり、店員は日本語で呼びかけてきます。ここはこれらの石の産地なのだろうか。価値があるかどうかは、黄さんによれば自己判断だという。

 

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 長い店の通路を通り、ようやく入口の入場券売り場に到達し、一人40(200)を黄さんが払います(写真下)

 

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 下の衛星写真の青い線が私たちの散策コースです。北側の入口から入り、灯台の脇を通り、海のほうに坂を下りていきます。

 

 

 入口から少し登るとこの公園の象徴になっている白い灯台(鵝鑾鼻燈塔)があり、現在は博物館になっています(写真下)。きれいな灯台のそばにある奇妙な黒い物体は何なのだ?

 

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 広場に数個ならんでいて、石を削ったのではなく、ワイヤーをきつく巻いて作ったようです(写真下右)。お客さんの間で、灯台と合わないと言う意見と、そんなこともないという意見に分かれました。私は前者で、これを作った芸術家が、見る者の違和感を目的にしていたのなら、成功しています。

 

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 斜面を下りて、海岸の遊歩道に向かいます(写真下)。周囲には林が広がり、少しだけ花を咲かせた植物もあります。

 

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 写真下は南国では珍しくないアダンで、珍しいことに花を咲かせています。たぶん私はアダンの花は初めてなので、そばで見たいのに、密集した葉に邪魔されて近づけない。

 

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写真上 林投(Pandanus odoratissimus、アダン、阿檀)

 

 さきほどの墾丁國家森林遊樂區でも見かけた月桃がここでも咲いています(写真下)。ショウガの仲間はランかと勘違いする。

 

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写真上下 月桃(Alpinia zerumbet、ゲットウ、月桃)

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 写真下は日本では外来種として嫌われているコセンダングサです。台湾でも帰化植物になっていて、台湾中、どこにでもあるようです。コセンダングサは変異が多く、素人はあまり首をつっこみたくない。

 

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写真上 小白花鬼針(Bidens pilosa var. minor、コシロノセンダングサ、小白の栴檀草)

 

 海岸にあるのが第一観海平台で、観光客で混んでいます(写真下)

 

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 展望台の岩場にしがみつくように生えているのが写真下のクサトベラで、少しだけ花も咲いています。ただ、近づけない。翌朝、もっとそばで見ることができました。

 

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写真上 草海桐(Scaevola taccada、クサトベラ、草海桐花)

 

 ここから海岸に並行した遊歩道を北に歩いていきます。

 

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 道は海岸に並行していても、写真下のように薄暗いジャングルのような中を歩きますから、海は見えません。

 

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 珊瑚礁石灰岩の間をぬうように散策道が作られ、そこに樹木が生えているので、薄暗く、花はほとんど期待できない。

 

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 その珊瑚礁石灰岩の名所が写真下の「親吻石」で、左右の岩が接吻しているかのように見える、と言われればそんな気もします。地震や風化などで今後この二人の関係はどうなるのでしょう()

 

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 薄暗い通路の中にも少しだけ花や実を付けた植物があります。写真下は日本で観葉植物として売られているホンコンカポックではないか。原産地が台湾や中国南部ですから、ここに生えていても不思議ではありません。光が足りないと葉の緑色が濃くなるというから、ここは光が足りない。

 

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写真上 鵝掌蘗(Schefflera arboricola、ヤドリフカノキ、宿り鱶の木)

 

 写真下のハグロソウは、日本、中国本土、台湾など広く生えていて、特に海岸近くに生えるということではありません。一カ所にまとまって生えていました。

 

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写真上 九頭獅子草(Peristrophe japonica ハグロソウ)

 

 岩場にトカゲ君がいます(写真下)。黄色の横縞はオスだけらしいから、メスにアピールするためのものでしょう。私のほうをチラッと見たので、挨拶しようとしたら、行ってしまいました。

 台湾が原産でどこにでもいるようです。日本には輸入植物に紛れこんだらしく、神奈川県などで繁殖して、特定外来生物に指定されています。学名は他にもありますが、台湾側の分類に従います。

 

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写真上 斯文豪氏攀蜥(Diploderma swinhonis)

 

 海岸に沿ったトンネルのような散策道を進むと、滄海亭という展望台に出ました。

 

 

 滄海亭から見える北西の山々は、案内板によれば、写真下のような名前です。「大」とつく山が多いわりには、大山母山で325m、とんがった大尖山(大尖石山)318mですから、ここの「大」は大きくはない()

 

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 地図で見ると下のような配置で、原発(核三廠))はやはり地図や風景からも邪魔です。

 

 

 

蓬萊邨の飯はうまい

 鵝鑾鼻公園から墾丁まで道を引き返し、本日の宿泊ホテル・墾丁福華渡假飯店に到着(18:12)。ここから特徴あるトンガリ山の大尖山が背景に見えます(写真下)。ロッククライミングの好きな人なら喜びそうな山です。

 

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ホテルの玄関の模様やロビーの装飾品が南国的です(写真上下)

 

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 七時半からホテル内のレストラン「蓬萊邨」で夕飯です(写真下)

 

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 お品書きまで添えられていますから、中華料理のフルコースです。

 うまい!この時の料理が今回の旅行中では一番うまかった。明日は台北市内のホテルに泊まり、そこが一番良いという黄さんからの前宣伝でしたが、後で比較してもここのほうがうまかった。今日の昼食などは庶民的な印象なのに対して、ここは料理人が腕をかけて作っている。写真下右のご飯は、端午節にあわせたもち米です。

 ここは料理だけでなく、お茶も厳選していました。これは珍しい。旅行中に食べた料理とお茶の双方で、ここが一番うまかった。

 

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 料理とお茶がうまいにもかかわらず、私は時計を気にしています。ホテルの西側で夜市があると聞いて、ぜひ見に行きたい。デザートにスイカが運ばれてきたところで、私は黄さんにバザーに行きたいので先に出ると告げました。黄さんも後で出かけたらしい。しかし、他のお客さんたちは行かなかったようです。

 

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墾丁大街夜市

 ホテルから幹線道路を西に500mほど行くと、通りがそのまま夜市の会場になっています(20:33)

 

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 全面的に車は通行止めになっていて、人が溢れるほどにぎわっています。台湾は今が4連休ですから、たぶん観光客が大半でしょう。その中に紛れると、日本人は目立ちません。雰囲気は日本の夜祭と同じです。

 

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 黄さんから特別な注意はなかったし、警察の車も出ており、子供たちもたくさんいますから、治安は悪くなさそうです(写真下)

 

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 ガラクタのようなオモチャなのに、子供たちにとっては素敵に見える(写真下)

 

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 鉄砲で風船を割るゲームやスロットマシンなど、子供にとってはワクワクでしょう。

 

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 圧倒的に食べ物屋が多い。たいていは屋台で、写真下左のように席のある店もあります。日本で言えばB級グルメの宝庫で、夕飯はここで買い食いするのが正しいあり方です。では、目だけでも台湾のB級グルメを食べ歩きしましょう。

 

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 玉米筍とは、トウモロコシを未熟なまま収穫して丸ごと食べられるようにしたらしい(写真下)

 

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 写真下左は「石頭郷烤珍珠玉米」という焼きトウモロコシで、種類が違うのか、値段が高いようです。写真下右で焼きトウモロコシを売っている店には「古早味」とあるのはトウモロコシの名前ではなく、「懐かしい味」という意味だそうです。

 

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 暑いから氷菓子やジュースなどに人だかりができています(写真下)

 

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 写真下左の店の、ジュースと子供服という奇妙な組み合わせは、子供服の店の前を借りてジュースを売っているからです。夜店で衣類の店はさすがに少ない。看板にある、西瓜汁はスイカジュース、木瓜牛奶はパパイヤミルク、芒果冰沙はマンゴージュースです。

 

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 写真下の「炸鮮奶(ザーシェンナイ)」の店も人気でたくさんの人たちが並んでいます。炸鮮奶とは、牛乳を油で揚げた食べ物で、ネットの作り方によれば、牛乳にコンスターチと砂糖を加えて冷蔵し、寒天くらいの固さになったのに衣を付けて油で揚げる。食感はクリームコロッケだという。

 

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 写真下左の奥に書かれた「緑竹筍」は、台湾で夏に採れるタケノコで、えぐみがなくおいしいそうです。手前の黄色の札にある「黄金蜆」はタイワンシジミのことです。日本でもタイワンシジミは入り込んでいて、日本のマシジミがきれいな水を好むのに対して、タイワンシジミはむしろ汚れた水を好むとされています。もう一枚の黄色い札の「老滷豆乾」は大豆を乾燥させて味を付けたもので、おつまみです。

 写真下右の「焼酒螺」は、ニンニクやトウガラシなど様々な香料を加えた蒸留酒に巻貝を入れた酒のつまみです。

 

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 日本の屋台では絶対に付けないだろうと思われる名前が東山鴨頭です(写真下)。その名前のまま、頭を含めたカモのそれぞれの部位を油で揚げたもので、ネットの書き込みによれば、見た目と違い、うまいらしい。1960年代に台南市東山区で生まれた料理だから東山鴨頭で、ブランド名で裁判にまでなったそうです。

 

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 ここは海のそばですから、魚介類の店も多い。写真下左で、大勢の皆さんが順番待ちしている「章魚脚」とはタコの足です。

 

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 「大魷魚」はイカです。

 

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 写真下の飛魚卵香腸は豚肉にトビウオの卵を詰めた腸詰で、卵のプチプチ感が人気のようです。

 

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 写真下左はテーブルにカキの殻が山積みになっています。写真下右では右上の看板にカキの写真と一緒に「生食級牛奶生蠔」、エビの写真と一緒に「生食級天使紅蝦」とあります。牛奶生蠔とは生ガキのことらしいので、最初見た時、台湾人はこんな暑い時期にカキを生食するのかとギョッとしました。その下の看板の「烤生蠔」とは生ガキを焼くという意味ですから、生食ができるくらい新鮮なカキを焼いて食べるという意味らしい。

 

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 カキやウニは新鮮さが重要なので、屋台ではなく、道に面した店舗で売られています(写真下)

 

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 写真下のバナナ(香蕉)の煎餅とはバナナのパンケーキです。ただ、バナナの産地なのに時期が違うのか、生のバナナは見かけません。

 

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 写真下左のトラックの看板は、窯で焼いているピザ(披薩)という意味で、ピザの当て字は比薩と披薩の両方あります。ネットで見ると、写真下右の波波窯烤披薩の店は人気らしく、夜市の外れにあるにもかかわらず、客がたくさんいます。

 

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 写真下左で、美國はアメリカ、狗はイヌですから、アメリカのホットドッグで、ここでも犬の肉は用いていないでしょう。

 

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 写真下の杏鮑菇とエリンギのことで、屋台でエリンギの料理というのも面白い。

 

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 看板に日本語が見られます。

 写真下左は「本丸の抓抓」?日本語にも「抓抓」という言葉があるらしく、指などでつねることだそうです。「抓」は中国語の翻訳機を使うと、取るとか、つかむという意味のようですから、「本丸を取る」と書いたつもりなのでしょう。

 写真下右は「青春の芭楽」?芭楽とはグアバで、熱帯地方では良く売られている果物で、種が多くて食べにくく、この種がお腹に悪い。「青春のグアバ」って、わかったような、わからないような。

 

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 大阪焼きや明石のたこ焼きはいいとして、「手焼きの魚」は変な日本語。

 

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 写真下は精神病院??もちろん、奇をてらった商売で、写真下右で見えているのが酒瓶で、ここは一杯飲み屋(ミニバー)です。

 

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 ミニバーの出店がいくつあって、写真下はそれらしい雰囲気です。

 

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 「彩繪紋身」という入れ墨の店で(写真下左)、通行人の中にも入れ墨をしている人もいます(写真下右)。ただ、黄さんによれば、台湾でも入れ墨に対する負のイメージは日本とあまり変わりないようです。

 

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 写真下でテーブルを出しているのは占い師です。台湾は昔から占いの盛んな地域なのに、この閑散ぶりはどうなっているのだろう。黄さんがいれば、私が金持ちになれるかどうか占ってもらい、チップを少しはずめば、大金持ちになれるというご神託が確実に下りたはずなのに、大金持ちになり損ねた()

 

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 もう一人、閑散としていたのが写真下の打楽器の演奏家です。演奏しているのは膝の上に乗せている金属製の鍋のような楽器です。スティーパン(スティールドラム)という楽器に音は似ているが、形が全然違う。

 何よりも困ったことに、彼の周囲には観客が誰もいない!通行人はまるで彼を避けているかのように近くを通過しないから、彼の周囲だけぽっかりと空間ができている。演奏は下手ではないのだから、そりゃ、ないだろう!取り囲んで、聴いてやれよ!

 私は大道芸には寄付することにしているので、釣銭で受け取った硬貨を全部入れました。もしかしたら、彼の今晩の収入はこれだけだったかもしれない。前に立ち止まって聴いてあげて、なんなら曲に合わせて踊るのが礼儀のような気もするが()、私一人ですから、気の弱い私は、「がんばれよ!」と寄付してすぐに立ち去りました。

 

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ビーチサンダル

 夜市をもっとゆっくり歩きまわりたいが、明日があるので、夜11時前にはホテルに戻りました。

 写真下が私の部屋です。部屋は広く、湯沸かしポット、お茶、ミネラルウォーターが一人2本あります。

 

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 引き出しの中に仏教系の宗教書がたくさん入っています(写真下右)。台湾の仏教は日本と同様に、お釈迦様の説いた仏教とは似ても似つかない。そんな仏教書を読むよりも、南国の明るい陽射しの砂浜を散歩して、心を落ち着けるほうがよほどお釈迦様の教えに近いでしょう。

 

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 無料の果物ばかりか、無料のビーチサンダルが手さげバッグ付きであります、旅行に持ち歩いているビーチサンダルがくたびれているので、一足だけもらいました。

 

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 シャワーがバスタブが別になっているのと(写真下)、ビーチサンダルがあるのは、ここは海水浴客が多いからでしょう。

 

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 私はどうでも良い事が気になる。その一つが写真下左で、廊下と部屋が直角ではないので、部屋の中から見ると、ドアが斜めに取り付けてあります(写真下左)。もう一つは、部屋の料金が日本語で記載されているパンフレットが置いてあることです。9400(47,000)という、個人旅行なら絶対に選ばないホテルの料金を見て、果物やビーチサンダルのサービスをすごいと思った気持ちが急にしぼんだ()。ただし、ネットでのこのホテルの料金を見ると、こんなに高くはないようです。

 

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 このホテルへの個人的な評価は、五段階評価のぎりぎり4.0特にマイナス点がない」です。料金を考えると部屋が広くてサービスがあるのは当たり前です。それよりも、ホテルの敷地が大きすぎて、ロビーから自分の部屋まで歩いて1分ではたどり着けない。下の地図で、白で表示された幹線道路からの入口が左下で、ホテルのロビー(68-83)は時計回りに大きく迂回するので400mもあります。私の部屋は赤い色の001-029の建物で、幹線道路からは近いのに出入り口が限定されているため、駐車場の中を迂回するしかない。

 客を歩かせるのは健康に良いかもしれないから、これだけなら余裕で4.0だったのに、翌朝の朝食でいったん点数を下げることになり、結局、少しおまけして4.0としました。

 

 

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