トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9

 

 

 

 

トルコ北西部の早春の花

6日目    201943()

ボル ⇔ Golcuk自然公園

 

 四時すぎに一度目が覚めてしまい、六時すぎに起きました。日の出が七時近くですから、早く起きても意味がない。

 本日はボル市の南にあるGolcuk自然公園(Gölcük Tabiat Parkı)に行き、花の観察をします。Gölcükの発音はネット上のトルコ語の発音を聞いても、私の耳では日本語に表記できない()

 

routemap190403

 

 朝の散歩に出かけました。ホテルの目の前の湖を散策します(写真下)。天気は曇りでかなり肌寒い。

 

P1030006

 

 湖の岸辺の一部は公園化され、整備されています(写真下)

 

P1030005 P1030009

 

 しかし、歩道から少し離れると自然そのままです(写真下)。早春なので、去年の枯草であまりきれいとは言えません。

 

P1030037 P1030035

 

 岸辺近くの野原には、紫色のクロッカスやムスカリが群落して(写真下左)、数は少ないがキバナノアマナやシラーの仲間も花を咲かせています(写真下右)

 

P1030020 P1030013

P1030023 P1030032

 

 ホテルに戻り、七時半からホテルのレストランで朝食です。犬クンが番をしているオレンジを食べてみましょう(写真下右)

 

P1030043 P1030047

P1030045 P1030046

 

 ここにも蜂蜜のついた蜂の巣があるので、クマのプーさんになって食べます(写真下)

 

P1030048 P1030049

 

 

春はフキノトウ

 予定どおり、八時半にホテルを出発しました。雨こそ降っていないが、曇天で天気は良くありません。最初の花の観察はフキノトウです(写真下)。日本のそれとは違い、ずいぶん縦長です。

 

DSC_2423_0028 DSC_2414_0019

DSC_2417_0022 DSC_2441_0046

写真上 Petasites hybridus

 

 昨日も見たプリムラです(写真下)

 

P1030698 DSC_2449_0054

写真上下 Primula vulgalis

 

 ここには薄黄色と白のプリムラがあります(写真下)

 

DSC_2447_0052 DSC_2454_0059

 

 昨日も見た小さなシクラメンが林のあちこちに花を咲かせています。

 

DSC_2440

写真上下 Cyclamen coum

 

 この日もここ以外にもこのシクラメンを見ました。どうやら、このあたりではシクラメンが山野草としては普通の花らしい。

 

P1030643

 

P1030638 P1030639

 

 日本で売られている見慣れたシクラメンとは違い、小さい。日本でもミニ・シクラメンとして売られているのと大きさは似ています。シクラメンに限らず、野生と園芸種を比較すると、私の好みはいつも野生種のほうです。

 

P1030646

 

P1030648 P1030686

 

 スノードロップです(写真下)。この曇り空では開花しているのは少ない。ルーマニアからクリミア半島、コーカサス北西部まで分布し、トルコでは北部にしかありません。

 

P1030634b

写真上下 Galanthus plicatus

P1030663 P1030665 P1030626

 

 これからボルの市街地に行くために、山を下りていきます。道端には、観光客を狙った店が見られます(写真下)。煙が出ているから、営業中なのでしょうけど、まだ早いせいか、客の姿はありません。

 

DSC_2458b DSC_2460b

DSC_2461b DSC_2462b

 

 山道を降りて、ボルの郊外に入ってきました(写真下)

 

DSC_2472b DSC_2474b

DSC_2475b DSC_2476b

 

 

ボルで買い物

 ボルに到着しました。13万人程度の都市で、中心部の建物のほとんどが写真下のような大きさや形のそろった集合住宅でできているせいか、雑然としておらず、小奇麗な印象です。もちろん、電柱や電線もありません。大きな看板などありません。

 

DSC_2490b DSC_2492b

 

 電柱と看板がない、という点に日本人の皆さんには注意を払ってほしい。日本はどこもここも電柱と看板だらけの「小汚い風景」です。地下に埋設するとお金がかかるという。だが、トルコのように日本よりも経済的には小さい国でもこのように埋設しているのを見れば、本当の理由ではないのがわかります。埋設されたら利益を失う人たちがいるからでしょう。

 

DSC_2493b DSC_2514b

 

 街中にあるスーパーでガードナーさんたちは昼食の食材を、私たちは土産物を買いました(10:01)

 

DSC_2497_0102 DSC_2509_0114

DSC_2499_0104 DSC_2513_0118

 

 これまでのスーパーでも目立つのがチーズの種類と量の多さで、うらやましい。写真下左のように、量り売りのチーズと、右のように包装されたチーズが分けて売られています。

 

DSC_2505_0110 DSC_2506_0111

 

 おもしろいことに酒を売っています(写真下左)。トルコは99%がイスラム教徒というから、酒を飲む人は少数派なのに、売場は広く、日本のスーパーと変わりません()

 

DSC_2512_0117 DSC_2511_0116

 

 スーパーで買い物をした後、コンビニ併設のガソリンスタンドでトイレ休憩です(10:46)。ここもコカ・コーラは売られているが、500mLのはありません。

 

DSC_2527_0132 DSC_2528_0133

 

 

Golcuk自然公園

 ボル市内を通過して、南にあるGolcuk自然公園(Gölcük Tabiat Parkı)に向かいます。

 

DSC_2542b DSC_2533b

 

 自然公園の山道に入ると、間もなく周囲の林の中に様々に花が咲いているのが見えてきました(11:15)

 

DSC_2599b DSC_2584_0189

 

 最初に目についたのが、お馴染みのプリムラです。

 

P1030791 P1030738

写真上下 Primula vulgalis

P1030735 P1030739

 

 写真下はプリムラとエンゴサクの共演です。

 

P1030759 P1030705

P1030740 P1030786

 

 ピンク色をおびた薄紫のエンゴサクです(写真下)。これまでもエンゴサクは何度も出てきましたが、このエンゴサクは初めてです。

 

DSC_2553_0158

写真上下 Corydalis caucasica

P1030767 P1030768 P1030769

 

 数が少ないが、白もあります(写真下)

 

P1030718 P1030745b

P1030787 P1030795 P1030797b

 

 林の奥の土手に紫色のスミレが咲いています(写真下)。二日前のブルサの山の中でも見ました。あの時よりもこちらのほうが数も多く、紫色がもっと鮮やかです。

 

DSC_2587 P1030775

写真上下 Viola reichenbachiana

DSC_2588_0193 DSC_2589_0194

 

 二日前にも紹介したようにEarly Dog-violetという奇妙な英語名のついたスミレです。分布はヨーロッパ全土で、トルコは東端にあたり、モロッコなど北アフリカにもあります。

 

 

P1030764 P1030766

P1030751 P1030753

 

 石灰岩のある広葉樹の森に咲くとありますから、ここはその条件にぴったりです。

 

P1030765 P1030731

P1030762 P1030763

 

 ガードナーさんが珍しくスマートフォンで写真撮影をしています(写真下左)。彼は一眼レフの予備のバッテリーを忘れたらしい。バッテリー一個で丸一日の撮影はなかなか厳しい。型が同じなら貸してあげたいが、メーカーが別なので無理です。

 

DSC_2555_0160 DSC_2580_0185

 

 写真下は二日前のブルサでも見たトウダイグサの仲間です。ヨーロッパ全体に分布し、日陰でも育つ植物です。地理的に近いですから、スミレだけでなく、共通の植物はたくさんあります。

 

P1030757

写真上 Euphorbia amygdaloides

P1030758 P1030781

 

 写真下のクリスマスローズはすっかりお馴染みになり、二日前に初めて見た時の感動がだんだん薄れてしまうのは困ったことです。ただ、二日前の花はピークをすぎていたのに対して、ここは気温が低いせいか、今が盛りです。

 

P1030712 P1030733 P1030737

写真上下 Helleborus orientalis

P1030776 P1030778 P1030785

 

 写真下も二日前のブルサで見た寄生植物の仲間です。

 

DSC_2597_0202 DSC_2561_0166

写真上 Lathraea squamaria

 

 

雪の残る松林の下

 登るにつれて周囲には残雪が目につくようになりました(写真下)

 

DSC_2604b DSC_2608b

 

 伐採された松の木が積み重ねてあるところで昼食です(13:02)。松をテーブル代わりに使ったのが仇になり、皆さん、松ヤニが衣類に着いて悩まされました。ここのは木材にしては細くて、しかも短く切ってしまい、いったい何に使うのだろう。

 

DSC_2620_0225 DSC_2621_0226

 

 食事を終えて、松林(Pinus sylvaticus)の中を再び花を探します。

 

DSC_2619b DSC_2625b

写真上 Pinus sylvaticus

 

 松林の近辺にあったのが二日前にも見たクロッカスです(写真下)。ここのはことのほか薄紫がきれいです。

 

P1030987

写真上下 Crocus biflorus ssp. Pulchricolor

P1030810 P1030831 P1030830

 

 トルコでは、このあたりの北西部と北東部でも少し分布します。Crocus biflorusはヨーロッパを中心に亜種が多く、これもその一つで、トルコに分布しているようです。

 

P1030835 P1030832 P1030843

P1030981

 

 クロッカスの野生種の分布を見ると、西端がスペインから始まり、そのまま東にのびて、トルコを横切り、中央アジアのタジキスタンやキルギス(キルギスタン)、さらに天山山脈の東端の中国のウイグル自治区で終わっています。小柄で弱そうなのに、見た目と違い、環境に応じて、姿かたちを変えながら、適応したようです。

 

P1030833 P1030951 P1030829

P1030842 P1030986

 

 中に写真下のように濃い紫の花もあります。

 

P1030982 P1030963b

 

 写真下はクロッカスと良く似たコルチカムです。昨日の湿原はこの花が群生していたのに、ここは数が少ない。

 

P1030901 P1030970

写真上下 Colchicum triphyllum

P1030972 P1030973

 

 クリスマスローズが群生していて、しかも、今がちょうど盛りらしい(写真下)

 

P1030876b

写真上下 Helleborus orientalis

P1030878 P1030875 P1030882

 

 キンポウゲの仲間ですから、花弁のように見えるのはガクです。

 

DSC_2630_0235 DSC_2632_0237 DSC_2635_0240

 

 ガクなのだから、元々緑色なのに、園芸品種の中には赤や黄色があります。どこかのクリスマスローズの中に赤い遺伝子があったということなのでしょう。そのことも驚きだし、それを探し出した人もすごい。

 

P1030888c P1030907c

P1030918 P1030911

 

 写真下は群生していますから、この環境が合っているようです。左側の斜面の上は松林で陽当たりが悪くなり、右側は低くなっていて、水が集まりやすく、雨の時には小川になるのでしょう。半日陰と適度な水分もある斜面が好みのようです。

 

P1030892

 

P1030887 P1030915

 

 シラーの開花順序です。蕾だったのが(写真下左)、下から少しずつ開花して(写真下右、下段左)、やがてすべて開く(写真下段右)

 

P1030932 P1030931

P1030934 P1030953

写真上 Scilla bifolia

 

 ずいぶん色の濃いエンゴサクです(写真下)。私の周囲の野山に咲くエンゴサクはぼけたような色が多く、こんな濃い色のはありません。

 

P1030868

写真上下 Corydalis wendelboi ssp. Congesta

P1030853 P1030856 P1030851b

 

 すべてが写真上のようではなく、濃い赤紫は花が完全に開く前の外側の花弁で、写真下のように開くと、内側の花弁は薄紫なので、全体の色も薄れた印象を与えます。

 

P1030857 P1040069b P1030847b

 

 いつものムスカリ・・・と思ったら、花が青く、頭頂部は水色です(写真下)

 

P1030919 P1030922

P1030819 P1030992

写真上下 Muscari aucheri

 

 このムスカリは元々、高地の草原に咲くトルコ産であるというから、ここが原産地らしい。これを品種改良したらしく、真っ白な園芸種もあるそうです。ただ、このムスカリは白がアクセントで、ムスカリはやはり紫や青が良い。

 

P1030957 P1030825

P1030990 P1030813

 

 ここのほとんどのムスカリが頭頂部が白や水色なのに、普通のムスカリのように、紫のもあります(写真下の上段)。数は少なく、これだけでした。別種なのか、ただの変わり者なのか、わかりません。

 

P1030991 P1030874

P1030821 P1030824

 

 

湖のクロッカス

 湖の見える斜面に黄色いクロッカスが生えています(写真下)。学名のancyrensisとはトルコのアンカラから来た言葉で、ボルの南東200kmほどにある首都アンカラで最初に確認されたので、この名前がつきました。標高10001600mに分布し、ここは標高1300mほどですから、その条件にも合っています。

 

P1040023b

写真上下 Crocus ancyrensis

P1040037 P1040007b P1040030

 

 曇り空にほんの一瞬だけ、陽ざしがありました(写真下)

 

P1040018b

 

P1040039 P1040040b

 

 ほとんどはどんよりとした曇り空で、ごらんのように、湖も鉛色で、対岸の山は雲がかかっています。風景どおりで、肌寒い。

 

P1040014b

 

P1040025 P1040060

 

 黄色いクロッカスは昨日までも登場しましたが、このクロッカスは今日初めて見る種類です。当然、私の目では区別がつかない()

 

P1040055

 

P1040057b P1030997

 

 毎日出てくる同じシラーです(写真下)。ここのは特に大きくて見事な株が多い。

 

P1040058 P1040063

P1030995 P1040046

写真上下 Scilla bifolia

 

 たった一株の白いシラーをお客さんが発見しました(写真下左)。このシラーは花数も少なく、あまり勢いがない。

 

P1040067 P1040053

P1040068 P1040042

 

 

シクラメン群生地

 山の林の中にシクラメンの群落があります(写真下)

 

DSC_2712

写真上下 Cyclamen coum

DSC_2719_0324 DSC_2715_0320

 

 ちょっと残念なのが、陽が射していないうえに、針葉樹が多く、地面が薄暗いために、撮影しにくい。

 

DSC_2707_0312 DSC_2708_0313

DSC_2718_0323 DSC_2720_0325

 

 このまま針葉樹が増えれば、地面には陽が射さなくなり、シクラメンはなくなります。同じようなことが私の裏山でも起きていて、杉林が広がった所にはカタクリなどの春先の花は消滅してしまいます。

 

DSC_2716_0321 DSC_2717_0322

 

 山を下りて、ボル市内を通過します。

 

DSC_2731b DSC_2739b

 

 ボル市内の女性たちはほとんどがスカーフをかぶっています(写真下)

 

DSC_2740b DSC_2745b

DSC_2748b DSC_2749c

 

 数少ない例外が写真下左で、中年の二人の女性は何もかぶっていません。

 

DSC_2770b DSC_2778b

DSC_2754b DSC_2767b

 

 これに対して、写真下の若い女性はほとんどかぶっていません。また、大人の女性たちは長いスカートなどで足を隠しているが、若い女性の多くは足の線がきれいに出るようなズボンをはいています。

 

DSC_2758b DSC_2768b

DSC_2760b DSC_2761b

 

 ホテルのあるアバント自然公園(Abant Tabiat Parkı)に戻ろうとして、公園のゲートでもめました。入場料を払えというのです。私たちは自然公園内のホテルから出て戻ってきただけで、すでに払っているのだから、おかしいだろうと運転手が粘るが、係員は断固として拒絶し、結局、入場料を払って中に入りました。

 

DSC_2784b

 

 

またシクラメン

 六時頃にホテルに戻りました。夕飯が七時半だというので、私は散歩に出かけることにしました。湖のそばは朝散歩して、あまりおもしろくなさそうだったので、下の写真の赤丸で囲った山に行ってみることにしました。ここを狙ったのではなく、ホテルから山の方に適当に歩いて、たまたま行きついただけです。

 

evening190403

 

 霞みが出ている森の斜面一面にシクラメンが咲いています。

 

P1040075

写真上下 Cyclamen coum

DSC_2788 DSC_2791

 

 さっきもさんざん見たのに、何度見てもすごい。私の裏山で春先にシクラメンがこんなふうに咲いていたら、すごいだろうなあ。

 

P1040097 P1040140

P1040074 P1040083

 

 先ほどのシクラメンと同じだが、一つ違うのは自分一人しかいないことです。撮影がとても楽になります()

 

P1040132 P1040128

P1040087 P1040089

 

 他の人たちがいると、自分一人では見逃してしまうような花を見つけてもらえます。これまでも毎回というよりも毎日経験しています。

 

P1040137 P1040138

P1040085

 

 その一方で、写真を撮る時はお互いに邪魔です()。背景まで入れて撮ると、50m以上も離れた人が入ったりします。私が集合の声がかかってから撮影をするのはこれが理由です、と言い訳をしておきましょう()

 

P1040139 P1040073

P1040091 P1040099

 

 山の北側には雪がかなり残っています(写真下)

 

DSC_2805_0410 DSC_2804_0409

 

その斜面に咲いているのがプリムラとクリスマスローズです(写真下)

 

P1040114 P1040115 P1040133

写真上 Primula vulgalis

P1040152

 

 少し霧で霞んでいる樹木の足元のクリスマスローズはみな下向きに咲いています(写真下)

 

P1040108

写真上下 Helleborus orientalis

P1040102 P1040106 P1040145

 

 雪の見える斜面に紫のエンゴサクが咲いています(写真下)。昼間、クロッカスと一緒に松林で見たのと同じ種類で、あちらは赤味を帯びた紫だったが、こちらは紫から薄紫です。

 

P1040121 P1040122

写真上下 Corydalis wendelboi ssp. Congesta

P1040148 P1040150

 

 

どのケーキ

 雲や霧があることもあり、七時頃から暗くなり始めたので、ホテルに戻りました。七時半からホテルで夕飯です(写真下)

 

P1040160 P1040161

P1040162 P1040166

 

 今日もどのケーキにしようかと迷っている()

 

P1040167 P1040164

 

 明日はここを発ちますから、荷物をまとめなければなりません。

 

 

 

 

トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9