4日目 8月2日(土) ジョシマートからゴビンダガート、ガンガリアへ 5:00にモーニングコール。 今日は車が入れないガンガリアまで行くので、荷物はスーツケースからスポーツバックに詰め替えなければなりません。 6:14にホテルを出発。晴れ。西の山のほうに虹がかかっています(写真上左)。ジョシマートの街は急斜面に作られ、狭い道路に店が建ち並んでいます。と言っても、小さくても街ができているくらいだから、このあたりではこれでもまだ平坦なほうなのでしょう。 ジグザグの道でいったん数百メートルも下の谷に下りて、河を渡り(上左)、反対側の谷の奥へと向かいます(上中)。谷の河に沿ってバスは上っていく(上右)。上から見る地図では大した距離ではありませんが、実際に移動するのには平地の数倍から十倍も時間がかかります。 両側は切り立った山というより、崖といったほうが適切で、どこもここもナイフのように切り立っています。 山の中で突然渋滞(7:10)。前方で土砂崩れがあり、道路がふさがっているのだという。昨日までの道路の様子を見ても、これまで通行できたのが不思議なくらいで、今日中に目的地に到着できるかどうか心配になりました。 土砂崩れ現場まで歩いて見に行くと、山の上から崩れてきた土砂は大した量ではないが、作業員が手作業で取り除いています。持っているのはスコップや鉄棒で、後は手作業で、それもよく見ていると、必死に作業をする人がいる一方、ほとんど仕事をしない者もいます。 白人の旅行客がふざけて石を割るポーズを取って、写真を撮っています(写真上左)。 石はなんとか手でどけたが、大きな木がどうにもならないようです。しばらくして、トラクターのような車が来て、ワイヤーを引っかけて木を引っ張り出そうとしました(写真上)。ワイヤーがみるからに細く、予想通り、引っ張ったとたん切れました。 ダイナマイトで爆破するというので、バスに避難しました。爆発そのものよりも、音が谷に反射して、すごい衝撃音がありました。 9:22、二時間たって、ようやくバスが進み出しました(写真上)。 トレッキングの拠点のゴビンダガートに到着(写真上、9:30)。ここからは車が入れません。添乗員とガイドを含めた18人は全員が徒歩で向かい、私のみが、軟弱にも、馬に乗って行きます(笑)。 徒歩組が出発(9:50)。 インド人ガイドのタパスさんが残り、馬子に荷物を載せるように指示します。しかし、馬の数が足りなかったり、荷物をぶらさげる麻袋が足りなかったり、その都度作業は中断します。暑いのでバスの中で待つようにいわれるが、バスの中はもっと暑いので、バスの影に立って待ちました。 地面は駐車場なのでアスファルトだが、馬糞とオシッコがそのあたり中に転がっているので、足の踏み場もありません。馬糞自体は猛烈な悪臭ではないが、それをずっとかがされるのはかなりの苦痛です。出発する予定がわかればいいのだが、インドではそんなものはありません。暑さと臭いにひたすら耐えながら待つこと約一時間。 タパスさんは荷物を確認すると、先に徒歩で出発しました。 ようやく馬子と私と5頭の馬で出発(10:45)。インドでは初めて乗る馬だが、やや小型です。顔を見ると、「おまえ、乗るのか?いやだなあ」という目でこっちを見る。「すみませんが、よろスく」と言いながら乗った・・というか、乗せていただきました。 駐車場を出発して、河を渡るためにいったん谷に下りていくと、やがて商店街を通り抜けます(写真上左)。両側に店が並ぶ狭い路地を馬に乗って進むのは、視線が高いだけになかなかおもしろい。洪水などおきたら、こんな街はひとたまりもないでしょう。谷にかかった橋を渡り(写真上中)、対岸の山と山の間の谷川に沿って登り始めると(写真上)、いよいよガンガリアまでの10km、高度差1200mの登山の始まりです。 天気もよく、切り立った山と谷と川で風景はとてもきれいです。旅行記を読むと、尻が痛くなると聞いていたので、百円ショップで座布団を買って来たが、ほとんど役立ちません。 馬は小柄だが、勢いがあり、坂をぐんぐん登ります。馬子は「アッ、アッ」と掛け声をかけ、馬を棒で叩き、気に入らないと激しく蹴る。さすがに「おいおい、やめろ。動物虐待だぞ」と言うが、もちろん彼には意味がわかりません。ひっきりなしに掛け声をかけながら、馬と同じ速度で登っていくのだから、すごい体力です。 私は馬上で左手で鞍につかまりながら、ポケットに入れたカメラを右手で取り出し、写真を撮りました。かなり揺れるので、カメラを落とさないように、ヒモを腕にかけてから取り出しました。 途中の茶店で、同じ旅行会社の別なツアーのグループと会いました(11:36)。 途中で徒歩で登った人たちを追い抜きました。1時間遅れて登っているのに追い越すのだから、やはり馬は早い。 馬は手綱を引いても、やり方が下手なのでしょう、言うことを聞いてくれません。怖いのは、道の端によって馬をよけようとしている人のほうにどんどん突進していくことです。しかも、こちらは金属製の鐙に足を乗せているので、馬がぎりぎりに人をよけても、鐙と足が人にぶつかりそうになります。 茶店で止まり、食事です(写真上左、12:35-13:00)。茶店に入ってもいいのだが、せっかくの場所ですから、私は弁当を外で食べました。ただ、周囲はトイレだらけなのでけっこう危ない。 茶屋などを経営しているのか、たまに道の脇に住処があります(写真上左)。谷川の左側を上っていくと、流れも激しくなる(写真上)。 道は馬と人がすれ違えるだけの幅があり、多くは大きな石が敷き詰めてあります。場所によっては、軽四輪なら通れるくらいの幅があり、巡礼用に整備されたのでしょう。どこもここも馬糞だらけで、徒歩で行く人たちは臭いに困ったと言っていました。だが、馬に乗っている分には、位置が高いのであまり臭いは気になりません。ただ、馬糞は栄養源ですから、こんな高地にどんどん肥料を運び上げれば、生態系にも影響するでしょう。 写真左:パロケトゥス・コンムニス、写真右:インパチェンス・アンフォラタ 写真:インパチェンス・ユルピア 荷崩れを起こして、立ち止まりました(14:00、2626m)。写真を撮る絶好の機会です。驚いたのは、青い花を咲かせるカタバミが土手に生えていたことです(写真上左)。ブルー・クローバーという商品名で売られているが、葉っぱはカタバミそっくりで、花はクローバーのように寄せ集めではなく、マメ科の花のようなのが一つだけ咲き、とてもきれいな青です。この道を帰る時、再度、撮ろうと思ったが、時間帯がまずかったのか、まったく見つかりませんでした。 道は登る人、下る人でひっきりなしに人や馬が通り、その多くは巡礼に向かうシーク教徒のようです。 ガンガリアの街に入りKubal Hotelに到着(15:00)。途中から馬に乗った女性たちが先に到着していました。20~30分もすると徒歩の人たちも次々と到着しました。いずれも、予想よりも難路だったという。 ガンガリアの街は、険しい谷の間に作られた細長い街です。車が入れないわりには、店も多く、食べ物などは他の街とかわらない程度の物は売っていいます。これまでの山道と比べて、それほど険しいわけではないから、車用の道路をわざと造らないのでしょう。とても良いことです。 ホテルは馬が通れる程度の狭い通りにそのまま面しており、食堂をしています(写真上左)。奥にホテルとしての部屋があり、私は一階で、食堂に近く、便利といえば便利だが、逆に騒音があり、朝早くから起こされました。 部屋はトイレとシャワーはついていて、インドとしては普通の清潔さです(写真上)。 ただし、二つ問題がありました。一つは水しか出ないことで、朝と夜に大きなバケツでお湯を一杯ずつ配達してもらい、これで身体や顔を洗います。室温を測ると17度くらいで、ちょっと暖房が欲しいくらいの気温です。いくら真夏でも、この気温では水シャワーは無理です。部屋にいる時はセーターを着ていました。寝具はあるものの、旅行会社がシュラフを用意してくれたので助かりました。 もう一つの問題は、自家発電のために通電時間が夜7:15-9:30、朝4:30-5:45だった点です。懐中電灯は必需品です。高い山にはさまれた谷にある街なので、日暮れは早く、朝は遅いので、寒く湿った部屋にいるのはけっこう辛い。添乗員に、「電気を買い取って、日本人がいる間はずっと電気がつくようにしたらどうか」と提案しました。 他の旅行社のツアーはテント泊らしいから、清潔な洗面所のある建物の中に泊まれるだけまだ良いかもしれません。 |