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6日目     84日(月)

ヘムクンド湖へ往復トレッキング

 

 

 

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三時頃一度目が覚め、その後、うつらうつらしていると、四時すぎから昨日と同じように、朝の祈りの声や、聖地に向かう巡礼の人たちのかけ声というよりも雄叫びで目が覚めました。五時少し前に電気がつくのは、食事の支度を始めるためらしく、私の部屋は食堂のすぐそばなので、その騒音で寝ていられません。

昨夜はやはり雨で、それでいて明け方には晴れました。どうやら、地形と関係しているようです。

6:00からの朝食は、添乗員が持ってきてらしいいナスの漬け物と、昆布のノリの佃煮があって、お粥の上に載せて食べました。というよりも、食欲がなく、これしか食えませんでした。

17人中6人の徒歩組が先に出発(7:00)

 

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私は馬組の、またしても最後にホテルを出発(笑、8:24)。道は昨日の花の谷と同じ方向ですが、花の谷のゲートのほうに曲がらず、まっすぐに行きます。ヘムクンドはガンガリアの街の東側にある山の上で、裏の崖を千メートル登るようなものです。整備されているとはいいながら、急な斜面をひたすらジグザグに登ります。

 

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 斜面に沿って、最初林の中を、やがて断崖絶壁をはうように登っていく。残念ながら、かなり霧が出ていて、視界はあまりよくありません。

 花の谷と違い、シーク教徒の巡礼者たちがたくさん山を登っていきます。

 

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写真左:ゲウム・エラトゥム

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休憩だが(9:253550m)、私は馬に乗っているだけだから、さほど疲れません。馬も二度目で、コツを教えてもらい、乗り慣れたのと、鞍の上に毛布があるので尻も痛くありません。

 

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写真 ビストルタ・マクロフィラ

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写真:メコノプシス・アクレアタ

 

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茶屋のあたりで徒歩組に追いつきました(9:473675m)。このあたりから少し霧が晴れて、下のほうが見えるようになりました。このまま天気がよくなるのではないかと期待したが、実際は逆で、この時が一番天気がよく、後は下り坂でした。

 

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写真:メコノプシス・アクレアタ

 

このあたりから周囲には青いケシが咲いていて、私は休息など取らずに、ひたすら写真を撮りました。薄い水色の花弁に、ピンクが混ざることがあります(写真上右)。陽ざしを通してみるととてもきれいです。青いケシはコバルトブルーのメコノプシス・ホリドラなどが有名です。ホリドラの強烈な青もいいが、アクレアタのぼけたような水色も捨てがたい魅力です。

 

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ヘムクンドに到着(10:30, 3955m)。人と馬がたくさんいます。たしか目的地は4300mとあったから、もっと上がるのかと思ったが、ここが到着地だというので、少々、拍子抜けしました。

 

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巡礼者にお茶と粥を振る舞う食堂があります(写真上)。食堂でチャイをご馳走になるが、表でその食器を洗っている光景を見て(写真上)、飲み口だけはウエットテッシュで拭きました。寒くて疲れていることもあり、甘ったるいチャイは実にありがたく、うまい。十分に商売が成り立ちそうだが、すべて無料です。

 標高4000mなので、私は酸素発生用の薬剤をペットボトルに入れて、鼻元に持っていき、常に吸うようにしました。おかげで高山病にはなりませんでした。右手にカメラ、左手に酸素用のペットボトルという出で立ちです。

 

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 徒歩組を待って、全員が集まった所で、シーク教の寺院に入りました(写真上)

 寺院はちょうど体育館くらいのワンフロアで、本尊のある真ん中で坊さんが白いほうきのようなものを振り、右隣で弁士がマイクですごい勢いで話しています(写真上右)。食堂で寄付を申し出たら、寺院で寄付しろとのことだったので、ここで寄付をしました。

 

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 寺院を出て、目の前にあるヘムクンド湖を時計回りに回ります。大した大きさではなく、距離的には20分もあれば一周できるのでしょう。対岸はかろうじて見えるが、霧がでていて幻想的です。

 

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湖の周囲の通路は山道のようになっていて、高山植物が花を咲かせていて、すばらしい光景です。

 

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写真左:ロディオラ・ワリキアナ

写真右:ペディクラリス・シフォナンタ

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私は左手で酸素用のボトルを持ちながら、右手で写真を撮る。だが、いつものように他の人たちはどんどん先に進む。湖を三分の一くらい回った所に平地があるので、食事をしました。

 

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写真左:ポテンティラ・アルギロフィラ・アトロサンギネア

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写真右:クレマントディウム・アルニコイデス?

 

周囲はお花畑ですから、私は食事もそこそこに花の写真を撮りました(12:09)

 

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写真右:レウム・モールクロフティアヌム

 

食事をしたわずかばかりの平地は川が流れてできたもので、その周囲は一面に花が咲いています。

 

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ボンボリトウヒレン(写真上)は、ボンボリの中を温室のように温かくして虫たちを集めるようです。中を開けるとものすごく良い香りがします。人があまり足を踏み入れた様子もなく、どれも良い被写体です。

 

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他の人たちは食事をした周辺にいたようですが、私一人が斜面を登り、花の撮影をしました。

 

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できれば半日くらいここにいたい気分ですが、食事の時間が終わり、後ろ髪を引かれる思いで、降りました。

 

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湖の来た道を戻り、シーク寺院の隣にあるヒンドゥーの神様の小さなほこらを訪問しました(写真上、12:24)。中に入って寄付をすると、額に赤い印をつけてくれます。私は信仰心があるわけではないが、山の神様には挨拶だけはすることにしています。それにサドゥは、周囲をシーク教徒に取り囲まれながらも、参拝者の寄付で生活しているのだろうから、寄付してあげないと気の毒です。

 

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写真:ビストルタ・マクロフィラ

 

下山は、徒歩組と、最初から馬に乗って下りる人と、途中から乗る人に分かれました。当然、私は写真を撮るためにも自力で下りられる所まで下りることにしました。毎度のことで、一番後ろというよりも、集団をはるかに遅れて、私一人がゆっくりと斜面にある花を撮りながら下りていきます。タパスさんと馬子が面倒臭そうについてくる。しかし、彼らの気持ちなど斟酌していられません。なにせ、このために金を払い、苦労してここまで来たのです。

 

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残念ながら、下山する頃には霧雨になっていました。天気がますます悪くなり、霧雨から雨になり、撮影ができなくなり、茶屋付近まで来たとき、ついにあきらめてカメラをしまい、馬に乗りました。

 

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 下山は雨で濡れた急斜面の岩の上を蹄鉄をつけた馬が下りていくのだから、すべるのではないかとヒヤヒヤでした。

 

15:26にホテル到着。カッパを着ていても、雨ですっかり濡れてしまいました。全部着替えて、少し楽になりました。夕飯まで時間があるので、ホテルがチャイなどを出してくれました。冷えた身体には甘いチャイはおいしい。

部屋の中は16.6度だから寒いはずです。セーターを着て、さらにジャンバーを着てもまだ足下が薄ら寒い。食堂は火を使っているので、暖かさにみんな集まっています。

 

六時から夕食。明日の下山のトレッキングもあるが、山場は終わったので、少しみんな安心したのか、くつろいだ雰囲気です。

 

 

 

 

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