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地中海に咲く花 ゴゾとマルタ

3日目 2024320()

サナプ・クリフ ドゥワイラ タ・ピーヌ教会

湧水地 ジュカンディーヤ 塩田

 

 朝5:30に起床。室温23℃で、暑くも寒くもありません。今日も天気は良さそうです。私の部屋からの眺めは写真下のようにあまり良くない。

 

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 今日は、ゴゾの島中をあちらこちらと移動します。午前中はサナプ・クリフのハイキングとドゥワイラで花を見て、その後、マリアが奇跡を起こしたというタ・ピーヌ教会を訪れ、再び、サナプ・クリフの終点にあるシュレンディ(Xlendi)に戻って昼食を取り、午後はゴゾでは貴重な湧水地を訪れ、その後、ジュカンディーヤで巨石文明の遺跡を見学し、さらに塩田を訪れ、最後にホテルのあるマルサルフォルンに戻り、蜂蜜を買います。盛りだくさんです。

 地図だけ見ると、島の中の点と点を結べば移動は簡単に見えます。実際には、島の真ん中にあるヴィクトリアという街を中心に道路ができているので、どこに行くのにもいったんヴィクトリアに戻らなければなりません。

 

 

 

朝の散歩

 朝の散歩に出かけます。写真下の青い線が実際に私が歩いたルートです。

 

 

 上の衛星写真とほぼ同じ場所の下の地図でもわかるように、散歩にしては距離があるので、夜明けと同時に出かけます。真ん中の台地の周囲を時計回りに一周するコースです。下のMapcartaの地図では一周できるように見えますが、googleの地図では確認できなかったので、引き返すことも考えて、時間に余裕を持たせました。実際、道は探せませんでした()

 

 

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 街に朝日が当たっています(写真下左)

 

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 東側の海岸に沿った道はほぼ等高線に沿ってついているので、上がり下がりも少なく、粘土質の土を固めて舗装したみたいで、歩きやすい(写真下)

 

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 海と反対側は岩山が続きます(写真下)。テーブル・マウンテンのように頂上部分が平らで、周囲が崖になっているので、南側からしか登れません。頂上部分の台地はゴミの埋め立て地だったのを、2022年にQortin dog parkという公園に作り直したという・・・頭の上はゴミの山だったのだ!

 

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 写真下左は、幹線道路の擁壁に掲示されていた復興計画書で、予算の85%EU(欧州連合)から、残り15%をマルタが負担したとあります。

 

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 斜面には一面にカタバミ(Cape sorrel)の仲間が生えています(写真下)。しかし、陽が当たらないのでまだ開きません。

 

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 写真下はウツボグサの仲間で寄生植物です。白い花が多い中、ここは薄紫でなかなかきれいです。この植物が寄生する相手は、写真上のカタバミだという。カタバミはたくさん生えているから、周囲は御馳走だらけだ()

 

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写真上下 Orobanche mutely

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 写真下は昨日の夕方も見たSullaで、マルタやイタリア、スペインから、アフリカのチュニジアなど地中海を取り囲む国に分布しています。ペンキで塗ったように赤い。

 

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写真上下 Sulla coronaria

 

 Sullaは根が深いので干ばつにも強く、蜂蜜用の花として、また家畜の飼料として地中海沿岸では広く用いられています。飼料として栄養価が高いだけでなく、家畜にとっても口当たりが良く、また、家畜が食べた時に発生するメタンの量も少ないというから、環境にも良い。

 

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 写真下の二種類は昨日も会いました。

 

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写真上 Teucrium fruticans

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写真上 Galactites tomentosa

 

 写真下は日本ではニワナズナやスイート・アリッサムと呼ばれる花で、ここが産地です。

 

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写真上 .Lobularia Maritima

 

 写真下のトウダイグサ(Euphorbia)の仲間はマルタではわりと珍しいようです。今回購入した三冊の植物図鑑には載っておらず、マルタの野生植物を集めたホームページ「MaltaWildplants.com」に載っていました。

 

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写真上 Euphorbia characias

 

 写真下は、水鉄砲と同じ原理で種を飛ばす植物で、前に秋のギリシャでその実演を見ました。

 

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写真上 Hyoscyamus albus

 

 ボリジのきれいな青い花が咲いています(写真下)。地中海原産で、古くから、食用や滋養強壮のお茶として用いられてきました。今回、参考にした『地中海のとっておきの島マルタへ』( 明子、(114ページ)では、ピンク色のボリジを見かけたとあります。

 

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写真上下 Borago officinalis

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道が消えた

 下の地図で、ホテルから海岸に沿ってswimming spotまでは順調に来ました。ここから海岸を離れて、西側の住宅地に向かって登り始めると、突然、道が消えました。

 

 

 写真下左のように柵がしてあり、通行止めです。乗りこえて進むと、今度はPRIVATE、つまり私有地だから入るなとロープが張られています(写真下右)。見上げると人家が見えるし、引き返すのもなんですから、土地の所有者に見つかったら通してくれるように頼むつもりで、進みました。

 

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 柵や警告があるのは、多くの人がそれを無視して通過しているからでしょう。だから私有地という警告板の後ろの麦畑には、写真下左のように、真ん中に歩いた跡が道になっています。他の人の通った跡をたどり、写真下右の木の扉を開けて、ようやく公道に出ました。

 Mapcartaの地図のように、元々は道があったのに誰も通らないから消えてしまったのでしょう。私の住む山形市の裏山でも、国土地理院の地図に実線で載っている山道が完全に消えている事例は珍しくありません。

 

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 私が無断通過した農地の持ち主たちの住宅地に入ると、ここも建物も塀も蜂蜜色の石灰岩なので、統一性があり、とてもきれいです(写真下)。農村なのだろうが、別荘地でも通用します。

 

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 石造りなら、住宅は修善しながら何百年も持つだろうから、庶民は貧乏にならない。これはとても重要で、日本みたいに一代ごとに家を買っていたら、生涯賃金のかなりの部分を住居費に取られるのだから、個々人が豊かにならないのは当たり前です。

 東京23区のマンションはついに平均価格が1億円を超したという。一方で、800万戸をこす空き家が増えているという。空き家がこういう石造りだったどうでしょう。内部を改装すればすぐに使えます。だが、日本の家屋は木造で、それも多くは安普請だから、放置されるとゴミにしかならない。

 

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 石垣にはウチワサボテンが生え、道端には昨日も見たジャイアント・フェンネルが黄色い花を咲かせています(写真上下)

 

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 集落を出ると周囲は畑です。井戸用なのか風車があります(写真下左)。写真下右は麦畑なのに、クラウン・デージーが生えていて、しかも除草した様子もありません。マルタで作られている麦は家畜用なので、気にしないのでしょう。日本の農家なら除草剤をまく。

 

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 畑の石垣に沿ってゼニアオイの仲間が生えています(写真下)。一列に並んでいるから、明らかに植えたものです。観賞用ではなく、花が食用だと後で聞いて納得しました。

 

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写真上下 Malva arborea

 

 先ほど通ってきた山道にも所々にこの花が咲いていて、マルタではどこにでもある雑草です(写真下)。花は日本のゼニアオイと色や形、大きさがそっくりですが、茎が樹木化しています。

 

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 写真下のエロデュウムはここでは当たり前の植物であるだけでなく、世界中に広がっています。写真下左のピンク色が大半で、写真下右のように薄いピンクは少ない。

 

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写真上 Erodium malacoides

 

 写真下は日本ではノゲシと呼ばれ、ケシではなくキクの仲間の雑草です。雑草とは人間が勝手に付けた名前だが、どこから見てもやはり雑草で、世界のあちこちで外来種として嫌われています。

 

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写真上 Sonchus oleraceus

 

 道端の地面にケッパーのきれいな花が咲いています(写真下)。ツボミを酢漬けや塩漬けにして料理の薬味やサラダに使われます。

 

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写真上 Capparis spinosa

 

 ホテルのあるマルサルフォルンまでの幹線道路に出ました(写真下)。昨日この道を車で通りました。

 

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 建物の壁面に子供のイエスを抱えたマリアの像がはめ込まれています。カトリックなので、マリア信仰がさかんであることを、この後毎日のように見せられました。

 

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 南が斜面になって開けていて(写真下右)、進むにつれて北側のマルサルフォルンの街が見えてきました(写真下左)

 

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 斜面が畑になっていて、アブラナのような花が咲いています。畑の中にも生えているから、植えたものなのか、それとも自然に生えている雑草なのか、見てもわからない。

 

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写真上 Diplotaxis tenuifolia

 

 写真下は昨日に続き、日本でも切り花や花壇でお馴染みのキンギョソウです。

 

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写真上 Antirrhinum tortuosum

 

 写真下は世界中に広がって嫌われているランタナではないか。薄ピンク色がなんともかわいい。外来種で、熱帯性なのに、ここは生きていられる環境らしい。

 

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写真上 Lantana camara

 

 道路脇にある松林です(写真下)。植樹されたものなのか、マルタでは松はほぼ道路脇で見かけます。日本ではアレッポマツ(Aleppo Pine)と呼ばれ、スペインからイスラエルなど地中海に面した国々に生えています。マルタは樹木の生えた林や森が少ないので、こんなふうに一部でも林になっているのは珍しい。気になるのは、松の性質なのか、環境の問題なのか、樹木の下部分の枝が枯れていることです(写真下右)

 

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写真上 Pinus halepensis

 

 日本のマツの花は雄花が先端にあり、根本の雌花がマツカサになります。写真下右が雌花なら、雄花はどこにあるのだろう?

 

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 マルサルフォルンの街中に入り、ホテルのほうに歩いていくと、とんでもない物を見つけました。電線です(写真下)。せっかくの蜂蜜色の街並みが電線があることでぶち壊しです。私は「ヴァッカモーン!責任者を呼べ!」と叫びそうになってから、自分の国の風景を思い出しました。

 

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 日本は電線どころか、電柱だらけです。今年一月の能登半島地震でも多くの電柱が倒れ、発火や感電の危険性があるのに、識者たちは誰もこれを指摘しない。危険性もさることながら、電柱と電線のある風景は貧相です。日本人の美意識はいつからこんなに貧しくなったのだろう。

 

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 何とか、二時間かからずにホテル前の港まで戻って来ました(写真下)。これが今回の旅行での一番長い散歩だろうと思っていたら、後でもっと長い散歩に行くことになりました()

 

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 予定よりも早く8時前にホテルに戻れたので、水分補給にお茶だけでも飲もうとレストランに行くと、さすがにこの時間は客が多くない(写真下)

 

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ゴゾの風景

 ホテルを8:30に車で出発して、ゴゾの南にあるサナプ・クリフ(Sanap Cliff)のハイキングコースで花を見ます。島の反対側とはいえ、距離にして8kmほどですから、15分しかかかりません。

 

 

 ゴゾではどこに行くにも必ず通らなければならないヴィクトリアの街に入ってきました(写真下)。イースターらしくキリストの像があります(写真下左)。後でわかったのですが、キリスト単独の図像はキリスト教のこの国では珍しい。記憶だけで言うなら、今回の旅行では3回しか見かけませんでした。

 写真下右では道の上にポスターのようなものが下げてあります。一部は明らかに広島などの原爆で被爆した人や、原爆の閃光で敷石に陰が焼き付けられた場面の写真です。何のために路上に掲示してあるのかわかりません。こういう展示を見たのはこの通りだけでした。

 

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 民家の入口のフェンスと玄関を見てください(写真下)。曲線を用いた幾何学模様のフェンスはおしゃれで、入口も丸天井です。これらにお金をかけても、日本の直線と直角だけでできたフェンスや玄関と実用上は変わりません。ただ、見た目が違うだけです。

 

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 こういう実利性が低く、ただの見た目に手間暇やお金をかけることが生活や文化の豊かさです。

 

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サナプ・クリフのハイキング

 ホテルから15分ほどでハイキングの出発点に到着しました。

 

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 写真下左が植物ガイドのスティーブン(Stephen Mifsud)さんです。彼が開設したマルタの花のホームページ「MaltaWildplants.com」を、旅行前から私や、お客さんの島川さん(仮名)が利用しました。島川さんはスティーブンさんのホームページから今回の旅行で見られる可能性のある40種類の植物のリストを作り、私ももらいました。

 ホームページを作った本人の植物ガイドですから、申し分ありません。写真下左で彼が左手に抱えているのが写真下右の植物リスト「List of Plants found in the Maltese Islands」で、学名や英語名、固有種であるかどうかなど900種類が記載されています。これを全員に配り、現場での花がリストの何番かを説明していきます。番号の記録は添乗員の野田さん(仮名)にお任せてして・・・いや丸投げして、私は写真だけ撮ります()

 

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 紹介が遅れましたが、写真下左でスティーブンさんの右隣にいるのが野田さんです。まだ若いのに細かい気づかいが行き届き、客の中に約一名の口うるさい老人がいて、旅行前から、旅行中も、旅行後も、文句と細かい要求を並べまくりましたが、嫌な顔ひとつせず、丁寧に対応してくれました。

 帰国後、野田さんから花の写真付きの一覧表が送られてきて、今回の花の判断で一番役立ちました。花が専門でもないのに、短時間のうちに良くまとめたと、仕事の遅い私は驚きました。

 

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 写真上右の入口から入って終点のシュレンディまで約2時間半のハイキングです。

 

 

 上の衛星写真を見てもわかるように、周囲は段々畑になっていて、耕作されている畑と放置されている畑が入り混じっています(写真下)

 

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 畑に植えられている麦が道端まではみ出しています(写真下)。この麦は家畜用の飼料で、マルタでは食料用の小麦はすべて輸入しているというから、おもしろい。

 日本の食料自給率38%という異常な値に政治家が何の危機感もないのにはあきれます。もっとも、日本人の多くがそうで、農業を軽くみている。国を守るのが戦闘機やミサイルだと信じるのはあまりに単細胞です。飯が食えなかったら死ぬしかない。私は山形市の農村に住んでいるから身をもってわかるが、日本の農業は衰退の一途で、それは日本人の食卓からやがて食べ物がなくなることを意味します。

 

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写真上 Hordeum murinum subsp. Leporinum

 

 写真下のフマリアは、どこかボーッしたようなイメージと違い、実際はなかなかたくましい。

 

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写真上 Fumaria officinails

 

 写真下は朝の散歩でも見かけたニワナズナです。

 

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写真上 .Lobularia Maritima

 

 写真下は見た目の印象はチョウセンアサガオで、ツル性でメキシコ原産の外来種です。写真下右が色が少し違うのは花が終わりかけているからでしょう。今回の旅行ではここでしか見かけませんでした。

 

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写真上 Solandra maxima

 

 写真下はゴゾのどこにでもあるカタバミの仲間で、陽があたる時だけ咲くという現金な奴。今朝、散歩した所に一面に生えていたが、まだ陽が昇ったばかりで、咲いていませんでした。日中飛ぶ虫だけを相手にしているらしい。

 

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写真上 Oxalis pes-caprae

 

 写真下は写真上のカタバミの八重咲だというのです!?もちろん、撮っている時には別種の花だと思い込み、疑いませんでした。

 

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写真上 Oxalis pes-caprae

 

海岸を行く

 畑の間を通り抜けて、海岸の崖の上に出ました(写真下)。切り立った崖がゴゾの典型的な海岸の風景です。

 

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 写真下左でスティーブンさんが説明した掲示板の内容で意外だったのは、この保護地の周囲はヒツジとヤギの放牧地だというのです。ヤギは生きた草刈り機で、草だけでなく、樹木の葉も食べますから、保護地に入れたら丸裸になるほど食べつくします。

 

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 私はヒツジもヤギも昔からの知り合いなので、挨拶したいとお花畑の周囲を見渡しても見当たりません。今回の旅行ではあまり家畜には会いませんでした。

 

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 黄色い花が多い中、場所によって生えている植物が違っています。写真下のセネシオの仲間はケープ・アイビーという名前でもわかるように、南アフリカからの帰化植物で、観賞用に15世紀にマルタに持ち込まれたそうで、もう五百年もいるとすっかり地元の顔になっている。

 

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写真上 Senecio angulatus

 

 写真下は同じセネシオでもずっと小柄で、地中海沿岸に広く分布して、しかもマルタ島では絶滅危惧種です。

 

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写真上 Senecio leucanthemifolius

 

 黄色い花でもポツンと一本離れて咲いているとつい目が行きます(写真下)。花は日本のジシバリ、葉はタンポポのようで、私はこの時しか確認していないが、地中海でもマルタでも、特に珍しい花ではありません。

 

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写真上 Hyoseris radiate

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 黄色い花で数が多いのはクラウン・デージーです(写真下)。写真下ではカタツムリが朝の食事中らしい。この花はシュンギクの仲間ですから、日本人もカタツムリと同じように食べます。

 

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写真上 Glebionis coronaria

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 地中海のナデシコです(写真下)。写真下右の花弁は虫食い状態で、どんな虫がどうやって食べているのだろうか。花弁の先だけが食われているのは、先のほうがうまいからか、それとも、まさか飛びながら食べた?

 

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写真上 Silene colorata

 

 昨日、カリプソの洞窟で会ったばかりなのに、すっかりお馴染みになったジャイアント・フェンネルです(写真下)。カリプソは相変わらず、海を見ている。

 

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写真上下 Ferula melitensis

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 黄色い花は青い海と相性が良い。

 

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 英語名はMaltese Giant Fennelで、学名にもマルタの名前が入っているように、マルタの固有種です。固有種と認定されたのはわりと最近で、それまでは欧州や北アフリカなどに生えているフェンネル(Ferula communisFerula tingitana)に分類されていました。写真で見る限り、素人には区別はつきません。

 

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 ジャイアント・フェンネルは毒性があるが、写真下は同じセリの仲間でも食べられるそうです。ただ大きくなく、花も白く目立たないのと、食べられているせいか、数が少ない。花は盛りをすぎています。

 

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写真上 Daucus carota

 

 写真下はトウダイグサ(ユーフォルビア)の仲間で、周囲の海と岩とで景色を作りだし、まるで職人が剪定して造った日本庭園のようです。これが自然にできたというからすごい。

 

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写真上下 Euphorbia dendroides

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 地中海やエーゲ海沿岸に広く分布しているのに、昨日、飛行機で寄ったキプロスにはないという。

 

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 写真下のエキウムはヨーロッパやアフリカに分布し、マルタではここのように海岸近くで見られます。日本ではシベナガムラサキ(Echium vulgare)というヨーロッパ北部から来たエキウムの仲間をたまに見かけます。

 

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写真上 Echium sabulicola

 

 写真下は草花のように見えるのに、良く見ると、茎は樹木化しています。

 

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写真上下 Matthiola incana subsp Melitensis

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 私はいつものように皆さんよりも遅れるので、貸し出された無線の受信機で説明があっても、距離が離れすぎて受信しない()

 

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 きれいな青色の花はルリハコベの仲間で(写真下)、ハコベではなく、サクラソウに近い種類です。日本のルリハコベ(Anagallis foemina)は紀伊半島から南で見られるのは、外来種ではないかという疑いもあるそうです。マルタでは人間が来るずっと前からここに生えていました。この花は青よりもオレンジなどが普通で、マルタにもオレンジがあるようです。

 スティーブンさんは彼が配った一覧表でこれをLysimachia arvensisと書いていますが、今はルリハコベの属はLysimachiaではなくAnagallisとなっています。今回参考にしたWild Flowers of the Maltese Islands” Flora field guide”の二冊の植物図鑑でも新しい表記になっています。

 

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写真上下 Anagallis arvensis

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 写真下の花はヨーロッパ、アジア、北アフリカが原産で、ゴゾやマルタでは多くないが珍しくもなく、あちらこちらで時々見かけました。

 

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写真上 Reseda alba

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 朝の散歩で見たゼニアオイの仲間がここにもたくさん生えています(写真下)。ゴゾではどこにでもある、ありふれた植物らしい。

 

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写真上 Malva arborea

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 青い海、石灰岩の土と岩、そして色々な花たちが庭を作っています(写真下)

 

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 写真上の赤い花はマメの仲間で(写真下)、拡大してみると、赤ではなく、黒が混ざったオレンジです。サヤが食用になるマメで、味がアスパラガスに似ていることから、アスパラガスエンドウ(asparagus-pea)と呼ばれています。

 

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写真上 Lotus tetragonolobus

 

 写真下のマメも地中海では有名で、ギリシャのサントリーニ島では、紀元前約1600年の遺跡からこの植物の豆が発見されています。サントリーニ島では今でも栽培しているというから、3600年もの間、人類の食糧源になってきたなんて、見た目がかわいいだけでなく、立派な奴です。

 

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写真上 Lathyrus clymenum

 

 写真下も地中海沿岸とヨーロッパに分布するマメの仲間で、花の色が黄色と茶色の二種類あるのかと思ったら、写真下右など、同じ茎から花が咲いています。たぶん左側の花が若者で、右側が老人()

 

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写真上下 Lotus cytisoides

 

 最初黄色だったのが(写真下左)、時間がたつにつれて茶色になってしまうのでしょう(写真下右)

 

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 黄色いお花畑の向こうの青い海を白いヨットが走る(写真下)。出来すぎた設定なのに、地中海ならそれほど違和感がありません。

 

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 意外だったのは、ケシが少ない。乾いた気候なので群落を期待したのに、探すのも大変なくらいです。スティーブンさんによれば、ここには赤、オレンジ、小型の三種類があり、赤とオレンジの区別が難しい。一番数が多いのが写真下の赤いケシです。

 

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写真上 Papaver rhoeas

 

 区別がつきにくいのが写真下で、赤とオレンジで区別しようにも、中間色が多い。このオレンジのケシは日本にも定着しているナガミヒナゲシの仲間で、実がナガミ(長実)なので区別がつくが、花だけでは難しい。

 

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写真上 Papaver pinnatofidum

 

 明瞭に区別がつくのが写真下で、背丈も花も小さい。大きさに似合わず、地中海から西アジアまでが原産地で、北米、南米、オーストラリアなどに広がっています。

 

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写真上 Papaver hybridum

 

 遊歩道を自転車で進むカップルがいます(写真下)。二人で行く道は平坦な道だけでなく、自転車を降りるしかない悪路もあるのは人生と同じさと、写真を撮りながら老人はつぶやく()

 

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 カモミールが咲いています(写真下)。ここのような海岸に生えていることから「マルタの海のカモミール(Maltese Sea Chamomille)」と呼ばれ、マルタの固有種で、絶滅危惧種らしい。ただのカモミールかと思ったら、絶滅危惧種と聞いて、急に熱心に写真を撮る()

 

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写真上下 Anthemis urvlileana

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 レンゲが群落していてきれいです(写真下)。スティーブンさんがSullaと言ったが、昨日の夕方や今日の朝の散歩で見た赤が印象的なSullaにしては、ここの花は平凡です。実は朝見たのはSullaで、ここのはClustered Sullaという別種です。

 

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写真上下 Sulla glomerata

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 クラスターという名前どおりに群れて咲く。白い岩と砂が良く合って、ちょっとした花壇を作っています。

 

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 地中海沿岸に分布して、マルタでは頻繁ではないが、たまに見られるとあります。今回の旅行で見かけたのはこの時だけでした。

 

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 写真下のヒレアザミの仲間は南西ヨーロッパや西アフリカが原産です。アザミと違い、茎に魚のようにヒレが付いているのでヒレアザミ属という別なグループに属しています。日本にあるヒレアザミも古い時代に大陸から渡ってきたようです。

 

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写真上 Carduus tenuiflorus

 

スティーブンさんが名付け親

 昨日も一輪だけ見たフデリンドウのようなロムレアが少し咲いています(写真下)。このロムレアの専門家が他でもない植物ガイドのスティーブンさんで、2015年に論文を書いて、彼が名前を付けたようです。(Stephen Mifsud, A review of Romulea Maratti (Iridaceae) in theMaltese Islands, J. Plant Taxonomy and Geography, 2015)

 今回、旅行会社からプレゼントされた植物図鑑Wild Flowers of the Maltese Islands”(146ページ)でも、また、322日に訪れたマルタ島のマジストラル自然歴史公園で買った植物図鑑Flora field guide”(97ページ)でも、スティーブンさんがこのロムレアの分類と命名に貢献したと紹介されています。

 

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写真上 Romulea variicolor

 

 地面にハチが団子になって激しく騒いでいます(写真下)。集団で獲物に襲いかかっているのかと思ったが、獲物らしい物もありません。メスを巡ってのオスの争い?しばらく見ていましたが、これは何なのか、理由がわかりません。ハナバチの仲間のように見えます。翌日、この近くをハイキングして、このハチと植物とのおもしろい関わりを知りました。

 

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写真上 Dasyscolia ciliata

 

 群落の好きなツルボランが珍しくポツンと2本だけ咲いていると感心して振り向いたら、後ろは一面のツルボランでした(写真下)

 

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写真上 Asphodelus ramosus

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 終点のシュレンディの少し手前の細い入り江の両岸を迂回します(写真下)。入江が谷のようになっているせいか、斜面に植物も多い。海は透明すぎて海藻も生えていません。

 

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 写真下のシレーネは、今回の旅行ではここでしか見ませんでした。珍しい植物ではなく、昨日飛行機が立ち寄ったキプロスや、イタリア、スペインでは野菜として栽培され売られているくらい地中海沿岸では一般的な植物です。

 

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写真上 Silene vulgaris subsp Angustifolia

 

 写真下の花は、困ったことに、学名が二つ出てきます。スティーブンさんの分類はValeriana gracilifloraで、Fedia gracilifloraは古い学名としています。しかし、今回参考にしたWild Flowers of the Maltese Islands” Flora field guide”2冊の本ではFedia gracilifloraで、本の発行は前者が2022年、後者が2019年と新しいから、ここ数年で変更になったのか、はっきりしません。こういう専門的な分類に、ド素人の私が首を突っ込むことはやめておきます。

 

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写真上 Valeriana graciliflora または Fedia graciliflora

 

 写真下はナス科の植物で、葉は綿毛に覆われ、地中海沿岸から東は南ロシアやイラクまで分布します。ナス科らしく幻覚を引き起こすなどの毒性があり、地中海ではギリシャ神話の時代から薬と用いられてきました。

 

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写真上 Hyoscyamus albus

 

 最後に出て来てくれたのはトカゲ君です(写真下)

 

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 終点のシュレンディ(Xlendi)の街に到着(11:26、写真下)。この街で私は500mL0.8ユーロ(136)の、旅行中一番安い水を買いました(写真下左)。この街で昼食を取る予定ですが、その前にドゥワイラに花を見に行きます。

 

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アイスクリームと踊り

 ドゥワイラ(Dwejra)へは遠回りして、ヴィクトリアを経由して行かなければなりません。

 

 

 あたりにはマルタらしい風景が広がっています(写真下)。ここは石を投げれば、たぶん遺跡に当たる。

 

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 車しか通らない道の端で、彼は彼女の靴紐を結んであげている(写真下左)。風景だけに目がいって、予想しなかった光景が目の前を通りすぎたので、妙に印象に残りました。

 

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 ドゥワイラの駐車場に到着(11:48、写真下)

 

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 暑い。そこで旅行会社から、皆さんはアイスクリームを、私はコーラを御馳走になりました(写真下右)。今回の旅行では寒さへの準備もしたのに、今日など薄手のワイシャツで十分です。スティーブンさんが「暖かい」というので、私は「いや、暑い」と言い返した()

 

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 駐車場の隅で音楽を演奏している人がいます(写真下)。大道芸には寄付をするのが、わが国の憲法なので(どこの国?)、私は小銭をぜんぶ入れました。

 

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 すると、通行人の女性が音楽に合わせて踊り始めました(写真下)。なかなかうまい。私も一緒に踊ろうかと思いましたが、私の盆踊りでぶち壊しになると悪いので、やめておきました()

 

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 目的はアイスクリームと踊りではなく、花です。アイスクリームとコーラで元気が出たところで、岩山を登り、花を探します。

 

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 植物ガイドがわざわざ連れて来た理由が写真下の植物で、マルタでもここでしか見ることのできない植物です。花の印象だけならハハコグサです。ところが、似ているのは花と葉の印象だけで、全体は樹木で、全然似ていません。

 

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写真上 Helichrysum panormitanum subsp. melitense

 

 スティーブンさんが説明のために一枝採ったので、客全員から「あ゛――っ」という非難の声が起きて、彼は苦笑いする(写真下左)。こういう時は笑ってゴマカスしかありません()

 

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 植物についての説明文が数枚あって、その一つが、午前中のサナプ・クリフで、日本庭園のような見事な風景を作り出していたトウダイグサ(ユーフォルビア)の仲間です(写真下の下段)

 

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 トウダイグサの中に奇妙な色の花を見つけました(写真下左)。普通は写真下右のように周囲の葉は緑色で大きいのに、これは周囲の葉が赤くて小さい。変種の発見か!

 

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写真上下 Euphorbia dendroides

 

 良くみると花の周囲の葉が小さくなり、緑色が赤茶けて、やがて花も葉も落ちて、全体として枯れかけています(写真下)。「なあんだ、お前も老化か」と同病相憐れむ()

 

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 写真下の花は、地面をはい、いかにも乾燥に強そうです。この絨毯のような植物が、環境が整うと高さが1m以上にもなるというから、見かけによらない。地中海沿岸ではマルタやギリシャ、またアルジェリアからモロッコにかけての北アフリカでも見られます。

 

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写真上 Hypericum aegypticum

 

 足元には小さな巻貝が散乱しています(写真下)。海の近くでも海の貝が打ち上げられのではなく、陸生のカタツムリらしい。マルタでは海辺よりも圧倒的に陸に貝殻が多い。こういう乾燥した地域に良くあることで、雨の降る短期間に大量に発生するのでしょう。

 

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マリアの奇跡

 食事のためにシュレンディに戻る前に、近くのタ・ピーヌ(Ta' Pinu)聖堂という教会に立ち寄ります(12:23)

 

 

 教会は街中にあるのが普通なのに、ここは周囲に畑が広がっています(写真下)。正直なところ、私はあまり興味がなく、ここでの観光の時間が長いなら、教会の東側にある丘に花を見に行くつもりで衛星写真も準備していました。

 

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 教会は左右対称が多いのに、ここは左側に塔が一つあるだけです。島の他の教会でも見られますから、これが普通なのでしょう。私の目は、立派な教会よりも、出入り口の前のアイスクリーム販売の車に行く(写真下右)。このアイスクリームの車はちょっとレトロな雰囲気で、水色と白の模様がいかにもアイスクリームで、タイヤのホイールまで水色なのがなかなか良い。

 

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 ここが有名な観光地となったのは水色のアイスクリームではなく、Wikpediaの説明をまとめるなら、次のような奇跡話が元になっています。

 

1883年、カルムニ・グリマ(Karmni Grima)は小さなチャペルの前を歩いていた時、呼ぶ声が聞こえたので中に入ると、マリアの絵から「私が墓の中にいた3日間を記念して、Hail Marys(マリア万歳)3回唱えてください」と求める声を聞いた。グリマは病気になり、礼拝堂に戻れたのは一年後だった。隣人のフランチェスコ・ポルテッリ(Francesco Portelli)に話すと、彼もまたマリアの声を聞いたと告白し、彼の母親はマリアのとりなしで病気が治った。ピエトル・パーチェ司教は、その声は天からのものであると結論づけた。

 

 教会内にあった写真下左の人と、写真下右の教会の前にある銅像がたぶんグリマでしょう。1932年に94歳で亡くなったというから、百年前にしては長寿です。

 

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 Wikipediaの解説で、マリアが「私が墓の中にいた3日間を・・」と言ったことが気になりました。マリアが墓の中に3日間いたとは、いったい何の話?

 聖書には、イエスの処刑後、3日目の日曜日の朝に墓を訪れると、遺体がなくなっていたという記述があります。つまり、墓の中に3日間いたのはマリアではなく、イエスです。今日のマリア信仰の人気とは逆に、聖書にはマリアの記述は少なく、晩年については書いてありません。マリアが「私が墓の中にいた3日間を・・」というのはキリスト教から見てもおかしな話です。

 グリマがイエスの話をマリアの話だと勘違いしたとみれば説明がつきます。つまり、マリアからの御告げではなく、グリマの作り話という可能性が出てきます。しかし、この後で説明しますが、たぶんグリマは本当に声を聞いた。

 

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 奇跡の内容は、グリマがマリアの声を聞いた、ポルテッリが同様の体験をした、彼の母親の病気が治った、という三点です。

 私は医学や生理学にド素人で、キリスト教の信仰もありませんから、大胆に、つまり適当にこの奇跡を現実的に推測してみます。

第一段階.グリマの病気

 グリマが声を聞いた後、一年間病気になった点が重要で、声を聞いたから病気になったのではなく、病気だから声を聞いたのでしょう。脳の病気が幻聴や幻覚を引き起こすことは良く知られており、アメリカのペンフィールドという研究者が1960年代に脳の側頭葉に電気刺激を与えることで幻聴や幻覚を引き起こすことでできたと報告しています(Penfield, W. & Perot, P. “Brain”, 86, 595-696, 1963.)

 グリマは嘘をついたのではなく、実際に声を聞いたのでしょう。グリマの親は貧しく、彼女は十分な教育も受けておらず、知的な世界はキリスト教と聖書だけで、しかも、彼女はイエスの話をマリアだと勘違いしていた。

 

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第二段階.隣人の共鳴

 次の段階が、隣人のポルテッリの体験と彼の母親の病気が治った点です。これはグリマの体験とは直接関係なく、両者は一連の奇跡とされているが、別な話で、分けて考えるべきです。にもかかわらず、マリアの声、病気という点で内容が似ています。つまり、これはポルテッリの「共鳴」ではないか。ポルテッリも何か物音を聞いた体験を持っていて、グリマと同様のマリアの声であると決めつけ、その後で母親の病気と治癒があったので、グリマの病気と同様にマリアの力であると短絡した。

 奇跡の体験談は様々な宗教では良く見られる現象で、何か良いことが起きると、その宗教の神仏や教祖の力であると信者が自分から「共鳴」して増幅させ、さらに周囲の信仰心のある人たちが体験談を聞いて「共観」して増幅していきます。

 宗教だけに見られる現象ではなく、私たちの日常でも、相手の意見に賛同する共感や共観は人とのつながりで重要な要因です。共観は女性のほうが強いと言われていますが、男性は共観の仕方が違うだけです。そうでなければ、国という自分以外のために、命も犠牲にする戦争に行くなどありえないでしょう。

 

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第三段階.権威による奇跡の認定

 マリアの奇跡だと決定したのはグリマやポルテッリではなく、司教です。二人にとって権威のある第三者の司祭が、彼らの体験が神によるものであると保証を与えてくれた。この決定は二人とカトリックの双方に大きな利益をもたらしました。

 グリマは貧しい家庭の子供で、ポルテッリも似たような境遇だったのでしょう。貧しく平凡な人間だった二人は、突然マリアから直々に働きかけがあった「選ばれし人」になった。大いに信仰心を強めて自尊心を満足させるだけでなく、現実世界でも彼らに収入をもたらすなど、人生を大きく変えたはずです。

 カトリック側にもマリアの奇跡として、カトリックの権威と力を示し、信者を束ねることができます。その利益の結果が、野原のど真ん中の大きな教会と、大勢の観光客と、奇跡が起きたと感謝する多くの手紙です(写真下)

 

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 マリアが姿を現し、人々を助け、警告を与えたという話は、キリスト教が始まった頃からあって、ローマ教皇庁が認めたものだけでも二十件以上あります。有名なところではルルドの聖母やファティマの聖母などで、彼女は日本にも出張しています。

 キリスト教への信仰心のない私から見て奇妙なのは、どうしてイエスではなく、マリアなのかという点です。聖書を読むかぎり、マリアの存在はイエスの母親以上ではありません。ところが、カトリックはキリスト教ではなくマリア教かと思えるほど、マリアが出まくりです。

 

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シュレンディで昼食

 午前中のハイキングの終点であったシュレンディに戻り、昼食を取ります(13:00)

 

 

 シュレンディは観光が主な小さな港町で、マルタの他の地域と同様に、海水は透明度が高く、磯臭さはありません。暑さに港で泳いでいる人がいるほど、湾の海水はきれいです(写真下右)

 

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 ボートハウス・レストラン(The Boathouse Restaurant)の海辺のテーブルで昼食です(写真下)

 

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 海の近くなので海産物が多い。写真下右はイカスミの料理です。

 

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 テーブルについたのが9人のせいか、3人で一皿の配膳で、自分の分がどれなのかわかりにくい。こういう時は、余っているのを食べればよい()

 

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マルタでは珍しい湧水地

 食後、ヴィクトリアの少し手前に水汲み場になっている湧水地があるので立ち寄りました。すでにこの前を何度も通過しています。ゴゾもマルタも山らしい山もなく、石灰岩でできた島で、雨季もありますから、岩の下には水が貯まっているはずです。遊水地は水の少ないマルタでは観光地になるほど貴重です。

 

 

 湧水地が道路の両側に二カ所あります(写真下)

 

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 蛇口を全開したくらいの水が流れ(写真下左)、反対側には昔の洗濯用と思われる穴が開いています(写真下右)。洞窟のようなっていて陽が当たりにくいのに、それでも植物が生えているのは、それだけここは水分が豊富だからでしょう。

 

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 車で水汲みに来たおじさんがいました(写真下)。マルタでは海水を濾過して飲み水に使っているので、こういう湧き水は貴重でしょう。石灰岩の中を流れてきているから、かなりの硬水で、お茶にはむかない

 

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 遊水地のそばにFontana Cottageという土産物屋があります(写真下左)。マルタは蜂蜜とチーズが有名だと聞いていたので、さっそく店に入ると・・・黒い衣装の店員がいて、ちょっと怖い(写真下右)。店員ではなく、マルタの伝統的な衣装を着けたマネキン人形で、既婚者の普段着だそうです。葬式みたいで、明るいマルタの雰囲気と合わない。たぶん、イスラム教の影響です。

 

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 店は広く、食べ物から衣類まで、様々な商品が並べられています。広さや間取りから見て、元々は店ではなく、別な施設を改装したのではないか。

 

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 私の目的は蜂蜜とチーズです。蜂蜜が140g4.5ユーロ(765)、ヤギのチーズが6.99ユーロ(1183)で、円安なので産地にしては安くはありません。ゴゾの蜂蜜だと思って買ったが、Malta & Gozoとありますから、ゴゾという保証はありません(写真下左)

 ヤギのチーズはゴゾ産であることが表示されています。真空パックされ、常温でこのまま保存できるという。帰国後、食べてみると、水分を抜いて固くして、かなり塩分が強いチーズで、これまで食べたヤギのチーズとは食感も味も違いました(写真下右)。ゴゾのヤギ君に会ってみたかった。

 

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 集合まで時間があるので、周囲を散策しましょう。ここも蜂蜜色の石灰岩を使っているので風景に統一感があります(写真下)

 

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 真っ赤なドアにライオンのノックが付いて、石壁に住所を示す陶器でできた番号と、その下にはイエスを抱くマリアを描いた陶器が飾られ、右の壁にはブドウらしい樹木が張り付けてある。

 

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 写真下右は、石灰岩の岩を取り除かず、そのまま建物の一部として使っています。この岩を残したということは、私の予想では、部屋の中でもこの岩を露出させています。

 

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 ゴゾ猫が二匹いる(写真下)。マルタは猫が多いと聞いて楽しみにしていたのに、期待したほど多くはありません。

 

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 住宅街を出て、川と畑のあるほうに下りて行きました(写真下)。この時期は枯れ川でしょう。

 

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 すでに何度か登場している草花が花を咲かせています(写真下)。写真下左のセリの仲間や、右のサボテンの実や葉(実際は茎)は食料にもなりますから、意図的に植えられたのでしょう。

 

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写真上 Smyrnium olusatrum        写真上 Opuntia ficus-indica

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写真上 Teucrium fruticans         写真上 Urtica membranacea

 

 

ジュカンティーヤの巨石神殿

 水汲み場を後にして、本日4度目のヴィクトリアを横切り、ジュカンティーヤ(Ġgantija)の巨石神殿を見に行きます。

 

 

 車を降りたところから見えるのがTa’Kola Windmelという、マルタに残っている数少ない風車です(写真下)。神殿と同じチケットで入場できるそうですが、時間がないので省略。かつては島にこういう風車がたくさんあったのに、今では観光用だけです。こうしてみると、現役で動いているオランダの風車はすごい。

 

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 写真下が遺跡の入口にある博物館です。

 

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巨石神殿は女性?

 写真下が、巨石を積み上げた神殿で、何も知らなければ、切り出した石材の保管場所にしか見えない()

 

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 南東が表玄関で、これはマルタの他の巨石神殿もそうです。修復作業をしているのか、足場が組まれています(写真下)5,6004,500年前に造られたもので、日本は縄文時代です。5,9004,200年前の青森県の三内丸山遺跡から直系1メートルの栗の柱が6本見つかっており、三階建ての建物として復元されています。離れた地域で同じような時期に、地元の材料で大きな建築物を建てていたのは興味深い。

 

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 写真下が神殿内で、石でできているとはいえ、五千年も前の物がこれだけ残っていることに驚かされます。

 

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 下図はWikipediaにある神殿を上から見た図で、同じ構造の神殿が二つ並んでいるのがわかります。南西側の大きいほうが古いそうですから、北東側は増築されたらしい。

 

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 上の図を見た時、その前に博物館で見た写真下の像を連想しました。似ていると思いませんか?神殿の部屋の配置が人間の身体を表わしたとみれば、上図の奥の部屋が人間の頭で、後の4部屋が両腕とお尻で、出入り口が産道です。神殿が女性の身体だと見れば、何の目的で、どんな儀式をしていたか、想像がつきます。

 

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 マルタの巨石文明の特徴の一つがこれらの像で、お尻と太ももが太い。前は女性だろうとみなされていたが、胸が出ていないことから、今は男女は関係ないと言われています。そこから、この博物館でも写真下の想像図ように、老若男女を問わず、肥満を表わしたとみなしているそうです・・・まさか。

 では、考古学など勉強もしたこともない私が恒例の素人珍説を唱えましょう。

 

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これらの像は女性

 太った像が男性や老人かもしれないという説は間違いです。この像は若い女性であり、豊穣を祈るのに上図のような老人や、ましてや男性の老人などありえない。人類のメスは年をとっても家事や子育ての手伝いができるから役だったが、オスは年を取ったら自分の食べ物も確保できなかった。いつも食物が足りなかった時代に、役立たずの男の老人が太るほど食べ物を食べたなど権力者以外にはありえません。これが単なる悪口でない証拠に、人類は今でも男性のほうが平均寿命が短い。役立たずはさっさと死んでもらい、次の世代が生き残るように選択淘汰されたからです。

 性差別や年齢差別をなくそうという考えで、こんなピント外れな老人の絵を掲載したのだろうが、大きな誤解を招きます。性差と性差別は別物です。

 像が女性である根拠は簡単で、例えば写真下左のように、欧州から西アジアにかけて旧石器時代の遺跡から、同様の像がたくさん発掘されており、それらは明らかに女性です。欧州どころか、日本の「縄文のビーナス」と呼ばれている写真下右など、お尻や太ももの表現はマルタの像や神殿の形ともそっくりです。

 

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写真上左 ヴィレンドルフのヴィーナス (Venus of Willendorf)

写真上右 5500年~4400年前の縄文時代に作られた縄文のビーナス

 

 写真下左の首の取れてしまった像の股間を見てください。いくら太っていても、男性なら男性器を描くはずなのに、ありません。この遺跡からは男性器をかたどった石柱が見つかっていますから、写真下左が男性なら、描かないはずがありません。

 神殿自体が女性の身体を表現しており、そこでこれらの女性像を祭り、豊穣や多産と出産の安全を祈願したのでしょう。西も東も発想は同じです。

 

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ソテツとキンギョソウ

 素人考古学は終わりにして、周囲の花を見ましょう。ここにはマルタに自生する草花が集められています。

 

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写真上 Euphorbia dendroides

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写真上 Medicago arborea

 

 写真下はナノハナの仲間で、図鑑にはマルタの「たぶん自生種(native)」とありますから、ここは植栽したのではなく、勝手に広がったのでしょう(Wild Flowers of the Maltese Islands”p.40)

 

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写真上 Raphanus raphanistrum

 

 写真下はシロツメクサにそっくりです。花が赤味を帯びていて、シロツメクサもたまに色付きがあります。シロツメクサは欧州原産ですから、兄弟なのでしょう。

 

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写真上 Trifolium nigrescens

 

 写真下は多肉植物でいかにも乾燥に強そうです。地中海沿岸だけでなく、大西洋のカナリア諸島などのマカロネシアから中東まで分布します。普通、この植物の花は白なのに、ここのは薄ピンクです。

 

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写真上 Mesembryanthemum nodiflorum

 

 この庭園で一番印象的だったのが、写真下のソテツに生えたキンギョソウです。誰か植えつけたのなら発想が面白い。よほどソテツが気に入っているのか、良く育っています。

 

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写真上下 Antirrhinum tortuosun

 

 キンギョソウは写真下のように、巨石神殿の岩の隙間でも生えてくるたくましさを持っていますから、種が飛んでソテツの隙間に根を下ろしてもおかしくはありません。

 

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 写真下の緑のトカゲは巨石神殿の住人で、Maltese wall lizardと名前にマルタが入っているくらい、マルタでは良く見られるトカゲです。観光客慣れしているせいか、人間を恐れない。

 

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写真上 Podarcis filfolensis ssp.

 

 もう一匹の住人はゴゾ猫で、私が見るのは本日3匹目です(写真下)

 

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 出口には売店もあり、ここでも蜂蜜が売られています(写真下)。本日2つ目の蜂蜜を7ユーロ(1190)で購入。これにもゴゾで採取したとはありません。ゴゾ純正蜂蜜はなかなか手に入らない。

 

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塩田

 ホテルの近くにある塩田(ソルトパンズ、XwejniSalt Pans)を見に行きます(16:05)

 

 

 塩田は田んぼのように区画されています(写真下)。ポンプで海水を汲み上げて、いったん濃縮した後、さらに小さなプールに移して、風と太陽の力だけで塩を作ります。

 

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 崖の上に店があり、閉店時間にしては早すぎるのに、鍵がかかっています(写真下右)。私はわざわざ入口まで行って確認した()。ネットで調べると、塩は350g7ユーロ(1190)で、日本の天日干しの塩と比べても、高くはありません。

 

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 ここも海岸は海で削られて崖になっていて、その隙間にマルタ固有種のカモミールが咲いています(写真下右)

 

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写真上 Anthemis urvlileana       

 

 

ゴゾの蜂蜜は甘い

 ホテルのあるマルサルフォルンの街中にある蜂蜜屋に案内してもらいました。店というよりも、蜂蜜の製造工房です。写真下左の男性が自分で採取して売っている蜂蜜屋さんで、写真下右のように、通りに面した作業場がそのまま店です。

 

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 写真下左のステンレスのタンクの中に蜂蜜が入っているらしい。写真下右が商品棚で、まだラベルを貼っていない瓶もあります。本人から買えるのはすごい!私たちが品定めをしている間にも、近所の人らしいオバサンが蜂蜜を買って行きました。

 

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 私は写真下の10ユーロ(1700)の蜂蜜を買いました。GOZO HONEYと書いてありますから、本日は3個目にして、ゴゾで採取された本物の本物を手に入れました。大きいほうの瓶は900g20ユーロ(3400)だというから、1kgなら3777円で、日本製蜂蜜の相場よりも安いくらいです。

 

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 ラベルには、2019年にマルタの蜂蜜大会で賞を取ったとあります(写真下)。帰国後、他の二つの蜂蜜はお土産にして、この蜂蜜だけは自分で食べてみました。昔、養蜂家本人からもらった蜂蜜を思い出させるような独特の癖があって、私の好みに合いました。人生は甘くないが、ゴゾの蜂蜜は甘い()

 

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イエスは人気がない?

 四時半にはホテルに戻りました。野田さんが五時半から希望者に、ホテルの南西にあるTas Salvatur Hill(Christ the Redeemer)という丘に、夕陽を見に案内するという。この丘に夕方の散歩に行こうと思っていたので、案内してもらえるなら、ちょうど良い。写真下右の朝の散歩でも見えた丘で、頂上に何か立っているように見えるのはキリストの像です。

 

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 間もなく日没で、幹線道路からの入口に着いた頃には、そろそろ薄暗くなり始めていました(写真下)。写真下右で、丘の手前に見えるのは麦畑です。衛星写真でもわかるように、真ん中の突き出た丘の部分を除けば、すべて畑です。丘の頂上で海抜100mほどですから、登るのはそれほど大変ではありません。

 

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 丘に訪れる人が少ないせいか、畑までの道はしっかりしているのに登山道は整備されておらず、石が崩れている所では降りるのに苦労しました。

 

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 キリストが大きく両腕を広げて歓迎してくれます(写真下左)・・・すみません、イエス様に会いに来たのではなく、夕陽を見にきただけです()。今の像が設置されたのは1970年代で、1800年後半にはすでにキリスト像がここにあって、その後も壊れると十字架などを立てて、海からの目印にしていたようです。

 

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 山頂からは360度の風景が広がり、写真下の真ん中の街が、私たちが滞在するマルサルフォルンで、右側で夕日が当たっているのが、私が朝散歩した丘です。

 

 

 

 この丘の上から一条の光が空に向かって放射されたTal-Merzuqという奇跡の伝承があります。これは嘘ともいえず、稀なケースとして、尖がった山の先端から放電が起きる現象が報告されています。奇跡が伝承されているのに、今日、観光に行ったタ・ピーヌ(Ta' Pinu)聖堂の立派さと賑わいに比べると、ここは淋しい。

 

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 決定的な違いはタ・ピーヌはマリアで、ここはイエスだからでしょう。世界中のカトリックで見られることで、キリスト教ではなくマリア教になっています。ああせいこうせいと説教するイエスよりも、奇跡を起こすマリアのほうが人気があるのは当然です。

 

 

ホテルで夕飯

 ホテルに戻り、七時からホテルのレストランで夕食です(写真下)。昨日と同じで、あまり客は多くない。このレストランは料理よりも、客が少なく音楽がないので騒音が少なく、お客さんたちとも会話ができたので気に入りました()

 

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 明日はここを発ちますから、広げた荷物をまとめます。

 

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