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地中海に咲く花 ゴゾとマルタ

4日目          2024321()

ラムラ・ベイ、タ・チェンチ、ヴィード・イル・ミエラ、カーラ マルタ

 

 朝5時半に起床。日の出までまだ三十分ほどあり、空が少し明るくなっています(写真下)

 

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 今日は、午前中はラムラ・ベイ、タ・チェンチ、ヴィード・イル・ミエラで、午後はカーラの近くで花の観察をして、その後、船でマルタに渡ります。

 

 

 

イルコラの散歩

 ゴゾの散歩も今日の朝が最後で、ホテルの西に見えるイルコラ(Il-Qolla)という丘に出かけます。昨日の朝の散歩でも街の西に見えました(写真下右)

 

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 ホテルから出ると、日の出の時間なのに、ここは東に丘があるせいで、まだ陽が当たりません(06:04)。街の建物の間からもイルコラが見えます(写真下)

 

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 街はまだ人通りも少ない(写真下)

 

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 住宅地をすぎると、北にイルコラが(写真下左)、南には昨日の夕方に行ったTas Salvatur Hillのキリスト像が見えます(写真下右)。ただ、私の位置からでは、キリストは後ろ向きなので、手を振って挨拶しても彼は気が付かない()

 

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 イルコラの周囲も花が一面に咲いています(写真下)。キリストの丘よりも、こちらのほうが観光地ではないせいか、踏み荒らされておらず、花が多く、十分に楽しめるお花畑です。

 

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 ここも近くまで畑になっています。幸いというか、放棄され、お花畑になってしまった。

 

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写真上 Glactites tomentosa         写真上 Sulla coronaria

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写真上 Borago officinalis

 

 頂上まで人が歩いてできた道があるので登るのは大変ではありません。頂上からの眺めは良い(写真下)

 

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 ここで見事なのは、山頂付近に群生したルツボランです(写真下)

 

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写真上下 Asphodelus ramosus

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 珍しくはないツルボランが見晴らしの良い山頂付近にまとまって、遠景を背景にしているので、絵になります。朝日で発色がイマイチでも、斜めから当たる光で花が浮き上がってきれい。

 

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 写真下など、花と岩との組み合わせが良い。

 

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写真上 Prasium majus

 

 帰り道は同じ道を引き返すのでなく、遠回りして海岸通りを散歩することにしました。道が海岸に出たところがクバジャール湾(Qbajjar Bay)という立派な名前が付いている小さな入江で(写真下左)、昨日も見た田んぼのような塩田がここにもあります(写真下右)。昨日見た塩田はここから西に1kmほど行ったところにあり、昨日もここを通りかかったはずなのに、私はこの塩田には気が付きませんでした。

 

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 海岸に沿って建物が長屋のようにくっついて並び、全体で横長の巨大な建物で、長期滞在用のコンドミニアムらしい。海側にはQbajjar promenadeという公園が作られています。衛星写真を見ると、この公園がこの建物群と一緒に計画的に造られたのがわかります。

 

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 公園が東端で終わると、歩道は道路下にある海岸に続いています(写真下)。写真下左で、対岸が私たちが泊まっているホテル側です。

 

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 海岸まで降りて見つけたのが写真下で、崖の下にドアが付いている。後で現地ガイドの牧口さん(仮名)に聞くと、魚介類などの貯蔵庫のようでした。岩の中だから低温なのでしょう。今も使われている雰囲気です。昨日の塩田の売店も岩をくりぬいた店でした。中をどんなふうに利用しているのか、残念ながら、見る機会がありませんでした。

 

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 写真下左は、猫が道路を横断するから速度を落とせという標識です。マルタの人間と猫の関係を示すようでおもしろい。日本では、私の住んでいる田舎でさえも、野良猫の糞尿を理由に嫌う人たちが多いので、野良猫はビクビクしています。敷地に入られたくなかったら、忌避剤をまけばいいだけです。

 最後に砂浜を散歩するゴゾ猫と会って、朝の散歩は終了です(写真下、7:13)

 

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 予定よりも早くホテルに戻り、今日は八時出発で、散歩の前にスーツケースは廊下に出したので、ゆっくりと朝食を取れそうです(写真下)

 

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ラムラ・ベイ

 本日の最初の花の観察はラムラ・ベイ(Ramla bay)です。

 

 

 車は昨日と同じ中型車で(写真下左)、添乗員の野田さん(仮名)が客8人を3つのグループに分けて、毎日、乗る順序を変えて、席が平等になるようにしています。他のお客さんが気をつかってくれたのか、私は毎度同じ席にいました()

 窓にスモークが入っているので、写真は撮りにくい。写真下右は時々見かける赤い二階建ての観光バスで、窓も天井もないので、写真は撮りやすいでしょう。ただ、ゴゾは道が狭いから、中型車のほうが小回りが効きます。

 

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 ホテルからラムラ・ベイまでは、蜂蜜色の街中を車で10分くらいです。いつ通っても、街中がおしゃれです。

 

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『マルタ島の砂』

 ラムラ・ベイのサンデービーチ(Sandy Beach)は、ゴゾに来た二日前、ホテルに行く前に寄ったカリプソの洞窟から見えた砂浜です(写真下左)本日も植物ガイドのスティーブンさんが案内してくれます(写真下右、8:20)

 

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 マルタにしては珍しい広い砂浜で、とてもきれいで、ゴミはほとんど落ちていません(写真下)。それが逆に奇妙なのです。マルタのどこの海辺を見ても、ゴミどころか、貝や海藻もほとんどありません。いくら掃除をしているとはいえ、ちょっとおかしくありませんか。

 日本の砂浜なら、いくら掃除しても、貝殻や海藻の切れ端くらいは簡単にみつかります。ところが、ここは写真下左のようなきれいな砂で、探しても何もありません。何よりも、日本の海の磯臭さがまったくなく、まるで内陸の湖のほとりみたいです。

 

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 海の透明度が高く、海岸には貝も海藻も少ない理由は、今の地中海が貧栄養の海だからです。生物に必要な栄養が少ないからプランクトンが少なく、魚も少なく、結果、海は青くて透明度も高い。原因は、地中海は浅いので深海の栄養素が供給されないとか、森林を伐採して海に栄養素が流れ込まなくなったなど諸説あり、複合的に作用しているようです。

 「水清ければ魚棲まず」という諺がそのままのような話で、海の美しさと豊かさとは別物なのは皮肉な話です。

 

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 『マルタ島の砂(The Maltese Melody)』という曲が1970年頃に日本でもヒットしました。ベルト・ケンプフェルトが作曲したのを「ハーブ・アルパートとティファナブラス」が演奏した軽快な曲です。原題は「マルタのメロディー」くらいの意味で、砂などありません。現実にマルタは砂浜が少ない。おそらくこの邦題を付けた日本人は、マルタに砂浜が少ないことを知らなかったのでしょう。

 私は五十年前、どこにあるか知らないマルタ島の青い海とヤシの木の生えた白い砂浜を空想しながら、この曲を聞いていました。五十年後、目の前のマルタの浜辺にはヤシはないし、砂は赤い()

 

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ここだけの植物

 植物ガイドがわざわざ砂浜に連れて来たのは、写真下の、ここでしか見られない花があるからです。

 

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写真上下 Medicago Marina

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 スティーブンさんのホームページによれば、この植物は「どこでも見られる」から「絶滅」までの7段階の中で、6番目の「かなり珍しい(Very rare)」で、1989年に出た本にマルタの絶滅危惧種として載っています。ところが、下図のPl@ntNetにある分布を見ると、地中海では珍しくもない植物で、世界中に広がっているという。

 

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上図 「Pl@ntNet」から転載

 

 地中海では珍しくない植物で、それがどうしてマルタではここしかないのか、よくわかりません。上の分布図を見ると、地中海といっても、スペインからイタリアやギリシャなど欧州側が主で、アフリカ側にほとんどありません。マルタはアフリカ側に近いから分布の南側で、地質か気候か、何かの理由で広がれないのでしょう。

 

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 生えている地面は砂で栄養価が乏しい。だが、この植物はマメ科ですから、細菌を使い、空気の窒素から栄養を合成できます。全体に毛が生えているから、塩分を含んだ水がついても、はじきかえして海岸でも平気なのでしょう。この砂浜の地面は、おそらく夏は50度をこすだろうに、苛烈な環境に適用したらしい。

 

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 背後の砂の丘にも群生していて(写真下左)、一部は保護のために規制線が張られています(写真下右)。足跡を見ると、このロープはあまり、というか、まったく役立っていない()

 

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 散歩に来た地元の人がマルチーズを連れています(写真下左)。マルチーズはMaltese、つまりマルタで作られた犬です。室内犬なのか、マルタでもあまり見かけません。写真下右は今日2匹目で、恰幅の良いゴゾ猫です。

 

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ゴゾの街並み

 ラムラ・ベイでの花の観察を終えて(8:50)、これからゴゾを縦断して、タ・チェンチに行き、2時間ほどのハイキングで花を観察します。

 

 

 今日は毎回通過するヴィクトリアではなく、その東側を通過します(写真下)。電柱と電線はいただけないが、どこも街並みはきれいです(写真下)

 

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 写真下の店やその前に野菜が並べられているのは、日本なら珍しくもない光景なのに、ゴゾでは珍しく、ほとんど見かけません。写真下右は農家の移動販売かと思ったら、マルタに滞在した人の話によれば違うようです。

 

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 マルタに二十年ほど前に2年間暮らした方は次のように書いています。

「八百屋は、基本的にトラック売りである。」(『マルタ島に魅せられて』45ページ)

 当時はこういうトラックがたくさんあって、販売場所も決まっていたたらしいのに、今回の旅行ではほとんど見かけませんでした。

 

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 写真下は一般的な民家で、玄関まわりがおしゃれ。

 

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 玄関先にある表札や街灯も一工夫してあります。写真下では左以外の3枚の表札が、上が丸く出でいて同じ形状なのは、形に何か由来や理由があるのかもしれません。

 

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 マリアや聖者の像でも、写真下のように、生活空間の一部として装飾的な扱いになると宗教的な押し付けが少なく、違和感がありません。

 

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タ・チェンチのハイキング

 ゴゾの南のタ・チェンチ(Ta’ Ċenċ)に到着(9:16)。昨日ハイキングしたのはここから4kmほど西の海岸です。ホテルはゴゾの北側だったので、朝晩に散歩したのも北側でした。植物ガイドが南側の海岸の崖を二度もハイキングに選ぶくらいだから、こちらのほうが花の種類が多いようです。地図を見ると、南側の海岸に沿って多数のハイキング・コースがあります。

 

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 最初は毎度お馴染みのクラウン・デージーが出迎えてくれました(写真下)

 

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写真上右 Glebionis coronaria

 

 続いて、これもお馴染みのカタバミが群落をつくっています(写真下)

 

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写真上下 Oxalis pes-caprae

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 このカタバミに寄生するウツボグサが道から離れたところにまとまってあります(写真下)。薄紫が標準なのに、ここの花はほぼ白です。

 

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写真上 Orobanche muteli

 

 地元の人がマルチーズを連れて散歩しています(写真下)。私のイメージではマルチーズは白なのに、本日見た二匹とも色が付いています。ここが本家ですから、元々はこんな色だったのでしょう。

 

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 朝の散歩でも見たツルボランの大群落です(写真下)。ランとは名前ばかりで、蘭ではありません。

 

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写真上下 Asphodelus ramosus

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 ツルボランは地中海に面したヨーロッパ、アフリカ、中東が原産で、日本にも帰化しています。

 

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 昨日の朝の散歩でも見たルリハコベは何度見ても印象的な青色です(写真下左)

 

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写真上 Lysimachia arvensis       写真上 Romulea variicolor

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写真上 Lotus tetragonolobus       写真上 Lotus cytisoides

 

 これまでも見た花がたくさん咲いています。

 

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写真上 Trifolium nigrescens         写真上 Anthemis urvlileana

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写真上 Daucus carota           写真上 Calendula arvensis

 

 初めて見る花もあります。写真下のありふれた白い花は、ギリシャの哲学者アリストテレス(紀元前384年~322)がこの植物の薬効について記載していると言われると、ちょっとまぶしい()

 

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写真上 Tordylium apulum

 

 写真下は初めて見るトウダイグサの仲間で、地中海沿岸のヨーロッパとアフリカの他に温帯のアジアにも分布します。他のトウダイグサ同様に樹液が有毒で、しかも周囲の植物の成長を阻害する物質まで出すという。たまたまなのか、確かに周囲には他の植物がありません。

 

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写真上 Euphorbia terracina

 

海岸の植物

 海岸に着きました(写真下)。ここも断崖絶壁で、平らな石灰岩の台地を海が今も浸食しているのでしょう。これがマルタの海岸の普通の光景で、先ほど見たラムラ・ベイの砂浜は珍しい。

 

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 崖のそばで目立つのがリュウゼツランです(写真下)。去年咲いたらしい電柱のような花茎が枯れ残っています。一生に一度しか花を咲かせないというから、本体も枯れてしまうのでしょう。中南米が原産としてされていますから、外来種です。ゴゾのあちこちで見かけるが、海岸に特に多いような気がします。ホテルの海岸近くにも生えていました。

 

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写真上 Agave americana

 

 乾いた岩の上に張り付くように広がる赤い葉が目立つセダムです(写真下)。地中海のアフリカ側のアルジェリア、モロッコ、チュニジアやコルシカ島、シチリア島が原産とされていますから、ここも原産地なのでしょう。赤い葉(茎?)は虫を集める手段なのだろうが、どうやって光合成をしているのだろう?

 

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写真上 Sedum caeruleum

 

 写真下は昨日、ドゥワイラでも見た植物で、ここはたくさん生えています。黄色の花と青い海が良く合う。

 

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写真上 Hypericum aegypticum

 

 昨日と同じように、自転車で走り抜ける人たちがいます(写真下)。ゴゾは小さい島で、高低差も少ないから、自転車で一周するのにちょうど良いかもしれない。

 

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 写真下は昨日のハイキングでも見たトウダイグサの仲間で、昨日は剪定された日本庭園のようだったのに、ここは庭師がいないらしく、誰も入り込めないほど密集しています。これでは他の植物が生える余地はなく、それがこの植物の作戦なのでしょう。

 

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写真上 Euphorbia dendroides

 

 日本でも最近は珍しくなくなったエリカです(写真下)。見るからに乾燥に強そうな植物で、地中海沿岸の全域に生えています。

 

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写真上 Erica multiflora

 

 写真下は昨日、サナプ・クリフでも見つけた、学名が決められない花です。

 

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写真上 Valeriana graciliflora または Fedia graciliflora

 

 ゼニアオイの仲間はこれまでも何度も出てきましたが、写真下は初対面で、西ヨーロッパ、北アフリカなどが原産地で、世界中に広がっています。写真下は環境が厳しいので地面をはっているだけで、1mの高さは珍しくありません。

 

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写真上 Malva sylvestris

 

 緑のトカゲとあちこちで会います。隙間の多い石灰岩の岩が彼らには暮らしやすいのでしょう。

 

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写真上 Podarcis filfolensis ssp.

 

 写真下のシソの仲間はイギリスから地中海沿岸、そしてコーカサスなどが原産地で、世界中に広がっています。

 

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写真上 Salvia verbenaca

 

 写真下も初めて見る植物で、地中海沿岸の全域に分布し、昔から薬草として用いられたようです。

 

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写真上 Ruta chalepensis

 

 写真下の、ハイキング・コースから遠くに見えている建物は聖ヨハネ教会(Parish Church of St John the Baptist)で、私たちがいる場所から真北のXewkijaという街にあります。この教会の名前は、なぜか、少なくとも4種類くらいあります。

 

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 写真下は地中海が原産で、日本にもウサギノオという名前で帰化しています。ウサギのシッポとはずいぶん面白い名前だと命名者に感心していたら、英語名はBunny Tails・・・なんだ、そのまんまか()

 

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写真上 Lagurus ovatus

 

 写真下のキクの仲間は地中海沿岸一帯に広く分布するという以外の記述が探せません。花が地味だと人間の関心も薄くなるらしい。

 

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写真上 Phagnalon rupestre subsp. Graecum

 

蜂そっくりのラン

 ここまでの花なら、これまでも見たことがあるものもあります。スティーブンさんの本領はここからです。写真下は毛の生えた虫?いや、これはランの花です。

 

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写真上下 Ophrys speculum

 

 このランは真ん中がテカテカと光っていることからミラーオーキッドという名前が付いています。写真下など、まるで甲虫が停まっているみたいです。

 

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 虫に似ているのも当然で、ランが真似しようとした虫が写真下左のアカバチの仲間です・・・これ、昨日のハイキングの時に見たハチです(写真下右)

 

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写真上左 Dasyscolia ciliata(Wikipediaから転載)

 

 昨日、サナプ・クリフで、ハチが地面にたくさん集まって激しく動いているのに、何をしているのかわかりませんでした。腹の部分が光っているのと、その周囲に茶色い毛に囲まれているのがイメージ的には合っています(写真下)

 

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 背中が反射や毛深いのを真似るだけでなく、フェロモンまで真似てハチのメスであるかのように見せかけてオスを誘いむ。オスはメスだと勘違いして交尾しようと躍起になることで花粉を運び受粉させる・・・騙されて間抜けなオスだと嘲笑いそうになってから、自分も似たようなことをしていたのを思い出して、苦笑いに変わる()

 

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遺伝子を取り込んだ!?

 ハチに擬態して受粉を手伝わせるランはオーストラリアなどでも見たことがあります。その時も奇妙に思ったことがあります。

 どうやって、ランはハチの姿を真似たのでしょう?

 ランには眼に相当する器官はありません。ハチの腹などが光っているのをどうやって知ったのでしょう。何よりも、真似ると簡単に言っても、遺伝的に自分の形を変えてしまったことになります。このランは意志があり、ハチの姿をとらえることができて、しかも真似ねて遺伝子レベルで自分を変えた??・・・高校で習ったダーウィンの進化論では説明がつきません。

 

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 前にこの疑問を知り合いに話したところ、ハチの遺伝子をランが取り込んだのではないか、という奇想天外な説を出しました。

 他の生物の遺伝子を取り込むことを遺伝子の水平伝播(horizontal gene transfer)といって、アフリカのマダニが爬虫類または恐竜から血圧降下ホルモンの遺伝子を取り込んだ例が報告されています(Shiroh Iwanaqa,Haruhiko Isawa & Masao Yuda, Nature Communications,5,3373,2014)

 昆虫と植物の間で遺伝子のやり取りがあって、遺伝子で外見やフェロモンまで取り入れたのなら、新聞沙汰になるくらいの大発見です()。荒唐無稽な説だが、ハチとランが繰り返し接触することで、ハチの姿やフェロモンに相当する遺伝子が何度もランに取り込まれ、さらにハチによって選択淘汰されとすれば、現在のランの姿の説明はつきます。

 

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 写真下はミラーオーキッドの近くにあったタングオーキッドです。花が周囲の葉と色が似ているので、どれが花なのか、良く見ないとわからない。口を開けて舌を出したように見えるから、こんな名前がついたらしい。

 

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写真上 Serapias parviflora

 

 これらのランはハイキング・コースにあっても、スティーブンさんに教えてもらわなければ、気が付かずに通り過ぎていたでしょう。なにせ、彼はマルタのランの本を書いているくらいのランの専門家です。私は彼の本を20ユーロ(3,400)でサイン入りで買いました(写真下)

 

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Orchids of the Maltese Islands” Stephen Mifsud, Green House, 2018.

 

 

昔は汚水を垂れ流していた

 昼食の前に、もう一カ所、ヴィード・イル・ミエラ(Wied il-Mielaħ)という観光地に行きます(11:50)

 

 

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 写真下左の、海に突き出た崖の内側が崩れてトンネルになっていることが観光の売り物のようです。前は、写真下右のアズール・ウィンドウ(Azure Window)が観光名所だったのが、2017年に自然崩壊してしまったので、その代用品らしい。アズール・ウィンドウは橋だが、こちらはまだトンネルで、もう少し崩壊して危ない雰囲気にならないと橋に見えない()

 

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                      写真上 Wikipediaから転載

 

 足元の岩に貝の化石がたくさん露出しています(写真下左)。ここまでなら、自然豊かな観光地です。

 

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 ところが、ここは昔は周囲の自治体から集められた汚水を直接地中海に垂れ流していた場所でした。今は観光名所の写真下左の穴のあたりで汚水が流れるのが見られたそうです。日本も、かつては汚水を処理もせず船で沖合に運んで、そのまま流していたそうです。

 

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 汚水は今は昔で、EC(欧州連合)の補助もあり、道路も整備され、今は青い海と奇岩の観光地で、汚水の話をして興覚めさせるのは私くらいです()

 昨日の朝の散歩でも見かけたケッパーです(写真下左)。道端の地面の上が好きらしい。ツボミが料理の薬味に使われ、地中海からイランにかけて自生しますから、ここでは野生です。

 

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     写真上 Capparis spinosa

 

 写真下も料理に使われるナスタチウムで、ヤブの中で花を咲かせています。南米原産で外来種です。

 

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写真上 Tropaeolum majus

 

 

花の三人組

 ヴィクトリアに戻り、昼食です。ゴゾの中心地だけあって、ヴィクトリアの街中はにぎわっています(写真下、12:18)

 

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 ここで客は二手に分かれます。5人はこのツアーの予定どおりにヴィクトリアでチタデル要塞の観光に出かけます(写真下)。私を含めた残り3人は「花の三人組」を結成して()、スティーブンさんの案内で花を見に行きます。花は別料金のオプショナルツアーです。

 

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 花の三人組が昨日、午後は観光よりも花を見たいと、野田さんと牧口さんに提案したところ、スティーブンさんに交渉してくれて、一人40ユーロ(6680)で案内してくれることになったのです。

 

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 まずは昼食で、写真下左の店で、指さしている具材の入ったパンを買い、近くのバスターミナルのある公園で食べました(写真下右, 12:27)。マズイ()。二口ほど無理して食って、胃腸に反乱を起こされる前に諦めて捨てて、コカコーラで昼食は終了。マルタの名誉のために申し上げると、マルタの食事が特にまずいことはなく、この店の調理パンがまずいだけです。

 

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 ヴィクトリアからホテルのあるマルサルフォルンまで送ってもらい、そこでスティーブンさんの赤い日産の車に乗り換えて(写真下右)、ゴゾの東側にあるカーラ(Qala)に行きます。

 

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 スティーブンさんの家の前を通り、巨石神殿のシュガンティーヤのある街の、Xaghra Parish Churchという教会の前を通過します(写真下右)

 

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 街中の所々で屋外のカフェがあり、観光客らしい人たちがくつろいでいます(写真下)。本当は旅行とはこんなふうにゆっくりと楽しむものだといつも思う。でも、私はコーヒーを飲む時間があるなら花を見たいという貧乏性の日本人です()

 

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 観光地と観光客が多いのはここまでで、街を出て、松の街路樹のある道を通り抜け(写真下左)、カーラの街に入ると、ここは蜂蜜色の静かな住宅街です(写真下)。電線が邪魔なのを除けば、観光客もいないきれいな街並みです。

 

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 現地ガイドの牧口さんによれば、マルタでも写真下左のような全体が石でできたベランダは、依頼する人も職人も減っている中、ゴゾでは良く残っているそうです。そういわれると、写真下右はベランダそのものは石なのに、フェンスは金属です。

 

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カーラのラン

 カーラ近郊のお花畑に到着(13:25、写真下)

 

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 青い空、黄色いフェンネル、白い石灰石の組み合わせが素晴らしい。ただの石でできた要塞や、敵を殺して作った豪華なお城よりも、オデッセウスの帰りを待つ妖精カリプソと一緒に海を眺めるほうが楽しい。

 

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写真上 Ferula melitensis

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 今回の旅行中、何度も写真下のピンク色のグラジオラスを見かけました(写真下)。すっくと立ちあがり、軽くうなだれたその「横顔」の美しさにいつも感動します。

 

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写真上 Gladiolusi talicus

 

 写真下の、どこにでもありそうな白いヒルガオは、マルタでは絶滅危惧種になっています。図鑑によればピンク色の筋が入っているのが一般的なようです。

 

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写真上 Convolvulus oleifolius

 

 スティーブンさんのホームページによれば、このアヤメはマルタでは一般的(Common)なのに、1989年には絶滅危惧種になったとあります。三十年前は絶滅を危惧されるほど減ったが、今は回復したという意味でしょうか?

 

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写真上 Moraea sisyrinchium

 

 写真下は日本のマムシグサに似ていて、地中海沿岸だけでなく、トルコの黒海沿岸にも分布しています。今回の旅行では花はここでしか見られませんでした。マムシグサと同様に、日陰の湿気を好むというのに、ここは日陰などあるはずもなく、乾いています。

 

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写真上 Arisarum vulgare

 

 ここも赤いポピーの数は多くはありません(写真下)。青い空と海を背景に赤い花が一面に広がっていたら最高なのに、何か条件が合わないのでしょう。

 

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写真上下 Papaver rhoeas

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 オオアマナの仲間が咲いています(写真下)。地中海沿岸からイラン近くまであると言われれば、2019年にイラン北西部に行った時、似たような花を何度か見ました。

 

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写真上 Ornithogalum narbonense

 

 ムスカリの花に白いクモがいる!私が近づいたので、急いで花の下に隠れました(写真下右)。もちろん、私は気が付かないふりをする()

 

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写真上 Leopoldia comosa

 

 地中海沿岸では珍しくない写真下の花は、半寄生で、自分で光合成をしながらも他の植物の根から栄養を横取りするチャッカリ者です。若い人の稼ぎで年金暮らしている老人も半寄生みたいなものだから、妙に親近感がわく()

 

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写真上 Bellardia trixago

 

 最初、写真下を見た時、左は花が咲いていて、右は終わったのかと思ったら、右も花が咲いているらしい。ネットで検索しても、圧倒的に右が多く、左は少数です。今回参考にした植物図鑑Flora field guide”では、外見は左ですが、花は赤です。写真下右の外見からスター・クローバーと呼ばれています・・・えっ?クローバーなの!日本にもあるアカツメクサの仲間だという。たしかに、葉だけは似ています。

 

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写真上 Trifolium stellatum

 

 奇妙という点では写真下左はもっとすごい。どこまでが花なのかよくわからないネナシカズラの仲間の寄生植物で、葉緑素がないのでほぼ白です。後日、マルタ島で見た写真下右の赤いヒモのような物がこの植物の茎らしい。植物図鑑には、この花の周囲を赤いヒモがまとわりつくような写真が載っていて、想像すればわかるように、それなりに不気味な雰囲気です()

 

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写真上 Cuscuta epithymum

 

 写真下は日本にも帰化しているハナヤエムグラという変な名前の花で、原産は地中海沿岸はもちろん、ヨーロッパから中央アジアと広く、さらに世界中に広がっています。日本でも見られる花をわざわざお金と時間をかけてマルタまで見に来たなんて、損をしたような気がする()

 

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写真上 Sherardia arvensis

 

 午前中も見たウツボグサの仲間で、ここには紫の花がきれいです。今回の旅行では圧倒的に白花でした。

 

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写真上 Orobanche muteli

 

別種のミラーオーキッド

 毛の生えたミラーオーキッドがここにもあります(写真下)。ランは変わった形の花が多いが、その中でも奇妙な花です。こうやって生き残っているということは、ハチのオスを騙すことに少なくとも数百万年は成功していることになります。

 

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写真上 Ophrys speculum

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 ミラーオーキッドを撮っていると、スティーブンさんは、そばにあるのは別なランだと言う(写真下)。たしかに「顔」が違う。

 

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写真上 Ophrys bombyliflora

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 顔を見てもわかるように、ミラーオーキッドと同様にハチのオスを騙して受粉させているランで、西はカナリア諸島から、地中海の東側まで分布します。

 花の色も微妙な違いがあり、写真下左ように黒っぽいのから、右のように薄茶色まであります。

 

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 写真下左は花が開く前で、これから緑色のカバーが取れて、花が出てくる。しかし、何も知らなかったら、写真下右のような花が出てくると誰が予想するでしょう。

 

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ランで踊る

 スティーブンさんが歓声をあげて踊り出しました。ピンク色のランがポツンとまとまって咲いているのを見つけたからです(写真下)。さあ、一緒に踊ろう()。周囲をいくら探しても、これしかありません。

 

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写真上 Anacamptis urvilleana

 

 五本がまとまって生えていて、どこから撮っても絵になる八方美人です。翌日、マルタで同じランを見ましたが、被写体としてはここの五人姉妹が最高でした。

 

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キリストのいないキリスト教会

 カーラ近郊での花の観察を終えて、この後、港で他のお客さんと合流して船でマルタに渡ります。

 

 

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 港に行くのかと思ったら、その前に港近くの丘の上にある教会(Parish Church of Our Lady of Loreto)に寄りました。

 

 

 教会の前からは港が一望できて、私たちが乗る予定の船も見えます(写真下)

 

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 沖には手前にコミノ島(写真下左)、遠くにはマルタ島の街並みが見えます(写真下右)

 

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 ここはマリアを祭った教会で、完成してから五十年もたっていません。有名ではないし、内部の装飾も平凡なので観光客は来ないのでしょう。私たちの他には写真下の三人が入口の前で記念撮影をしているだけです(写真下)

 

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 幸い、教会の入口は格子戸のドアが閉まっていて、中はのぞけるが、入れません。一番奥には、やはりマリアが祭られています・・・あれ?幼子を抱いていない(写真下左)。祭壇の周囲を見ても(写真下右)、イエスの姿はどこにもありません!イエス・キリストのいないキリスト教の教会!!

 あまりの露骨さに、キリスト教徒でもない私はイエスに激しく同情した()。スティーブンさんは教会でなく、港を見せるために連れてきたのだろうが、40ユーロのガイド料で、お土産までもらった気分です()

 

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船ではなく舟に乗った

 私たちが港に到着すると、ちょうど他のお客さんたちも到着したところでした。二日前に来た時と同じフェリーに乗ってマルタに渡ります。すると、写真下左のオジサンが「おれの船に乗れ」と営業してきました。写真下右のオジサンの船は・・・これ、船じゃなくて舟だよな()

 

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 写真下左の手前の小さな舟がこのオジサンの実際の舟、奥の客船が乗る予定のフェリーで、乗り心地はこの一枚の写真でも十分に予想できます。小さな舟を見て、大半のお客さんは尻込み。問題はそれだけではなく、フェリーの船賃は牧口さんが所属する現地の旅行会社が負担しているから、別な舟に乗るなら、船賃の4ユーロ(680)はお客さんの自腹になります。

 

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 他のお客さんが沈黙する中、たった一人すっかり乗り気(乗る気)になったのが船酔いに弱い私で、ここでも別行動で、船と舟に分かれて、マルタで合流してはどうかと提案するつもりでいたら、野田さんが船賃を会社持ちにしますと決断したので、全員が舟に乗ることになりました。

 

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 この舟の売り込み文句は、マルタに行く途中にあるコミノ島の近くまで寄って海の上から見せてくれるというものでした(写真下)。写真下左のブルー・ラグーンがこの島の売り物の一つです。

 

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 私たちが通過するわずかの間も、たくさんの観光船がコノミの周囲を周遊しています(写真下)。この観光船の多さを見ても、コミノはマルタの重要な観光の一つです。

 

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 コミノの海岸には多くの観光客がいて、崖の上にある出店は本当は違法だそうです(写真下)。去年あたりにホテル(Comino Hotel)も開業したようで、ネット上のニュースを読むと、観光開発の利権のために政治的な力まで加わっているようですから、これからこの島の本格的な環境破壊が始まるでしょう。

 

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マルタ到着

 舟はマルタの港(Cirkewwa)に到着して、こちらで客を集めるのかと見ていたら、すぐにゴゾのほうに出航しました(16:00、写真下)

 

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 彼らの商売は、ゴゾとマルタの往復ではなく、コミノの観光なのでしょう。往復は大型のフェリーに勝てるはずがなく、今日はコミノ観光の客がつかまらないので、何もないよりはいいと、私たちを乗せたらしい。

 ここから今日の宿泊地であるスリーマまで、海岸沿いにバスで走ります。

 

 

 わずか二日でゴゾの風景に見慣れてしまったせいか、マルタは近代的な建物が多く、都会的な印象です(写真下)

 

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ホテル到着

 スリーマ(Sliema)のプレルナ・ホテル(The Preluna Hotel)に到着(17:06)。屋上にはプールも付いている観光ホテルで、ネットでの評判は悪くありません。ネットで調べると、この時期の標準的な部屋の料金は2.2万円ですから、円安を考えても高くはない。

 

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 ホテルのあるスリーマという街は「とりたてて見どころはないが・・」(『地球の歩き方 南イタリアとマルタ2006-2007年版』289ページ)と案内書にもあるように、観光地というよりも住宅地として造られたようです。観光客用には海岸に沿って遊歩道が整備されていて、ホテルは東側の海岸に面して建てられています。

 

 

 六時半からホテルの二階(ここでは1F)にあるレストランで夕飯で、ビュッフェ方式なので、食べやすい(写真下)。明日以降の朝食もこのレストランでした。

 

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 写真下が私の部屋で、エレベーターのすぐ隣なので便利。

 

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 広さやシャワーや湯沸し器などの設備には問題がなく、コーヒーやお茶、石鹸やシャンプーなどの消耗品もあります。個人評価は、問題なく五段階の4.0です。

 

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 私の部屋は3112号室で、3が付いているから4階で、海に面した東向きの部屋で眺望は悪くありません(写真下)

 ただ火事の時はここから飛び降りるのは無理なので、非常口の確認をしました。非常階段を下りていくと、厨房の裏口らしい出入り口にたどり着きました。厨房から火が出たら、暖められた一酸化炭素が階段をはい上がってきて即死で、むしろ危険です。

 

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 部屋が面している大通りは交通量も多く、夜遅くまで人通りがあります。ただ、窓を閉めると、騒音は気になりません。ここに三泊します。

 

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