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8日目 20006月8日()

ティンプー チュカ(水力発電所) パロ

 

 

 

6:00 起床。曇り。

7:00 食事。

8:10 チュカの発電所をめざして出発しました。

 

 

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9:079:22 分岐点チュゾムに到着。ブータンに着いた日に通った分岐点です。チュゾムは東がティンプー、北が空港のあるパロ、南がこれから行く発電所のあるチュカ、北西が旅行者が立ち入れないハ(Haa)からの4本の道路が交わる地点です。

 

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 検問所があり(写真上)、川の向こうにはチョルテンがあり、出店もあります(写真下)

 

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チュゾムから南下し、少しづつ登っていきます。相変わらず曇り。山のはるか上のほうに家がポツンと建っている光景は何度見ても奇妙です。日本ならまずあんな所に水があるとは思えませんが、ここはヒマラヤですから、やはり山の規模が違うのでしょう。

9:44  野生のサル(カシミールモンキー)を運転手が見つけました(標高1905m)

 

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チュカ水力発電所の見学

11:15 山を下りた所で発電所の事務所に到着。晴れて、暑い。事務所の応接室には主賓席の後ろにお釈迦さんのタンカ(仏画)がかけてあります(写真下左)。ここはゲストハウスにもなっているので、部屋のトイレを借りました(写真下右)

 

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デシーというサフランで染色したご飯とバター茶が出されました(写真下)。配膳はすべて男性です。と言うよりも、仕事内容のせいか女性の姿がほとんどありません。お腹が空いたこともあって、どちらもおいしい。バター茶は日本人向けにあっさりとした味に作ったようでした。

 

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発電所にも日本に来たことがあるブータン人がいて、日本語で案内してくれます。彼の着ているゴーはブータンの柄ではないので不思議に思い、ブータンの織物に詳しい人に聞くと、背広に使う生地で作ったのだろうという。そう言われれば、その柄です()

 

12:0013:01 事務室からさらにバスで山を降りて、水力発電所工事で亡くなった人たちの記念塔の建っている所から、地下にある発電所に入り、見学しました。

途中にある発電所のための街は、ブータン風のペイントがないせいか殺風景です。ブータンでは夜まで働く発電所のようなところは、来る者がいないそうです。

発電所は完全に山の中にあり、外からはまったくわかりません。銃を持った人が警備しています。見学の話が来ていないらしく、しばらくトンネルの入口で足止めを食う。

バスごと中に入ると、そこはタービンの最上部の部屋です。技術屋のはしくれとして、観光客の見学を許可していないという発電所には大いに興味があったのですが、中に入ってみて、別な意味でびっくりしました。

壁一面に大きな神仏の姿が描かれているのです(写真下)

 

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大きな体育館ほどの部屋で、真ん中には4つタービンの最上部があります(写真下)。4つのタービンのカバーには龍の絵が描いてあります。日本など他の国ではまず見られない光景です。

 

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左側の壁には、入口からお釈迦様と緑ターラ菩薩など仏教の神仏のほかに、シヴァ、ビシュヌ、ガネーシアなどヒンドゥーの神々が描かれています。この発電所がインドの協力で出来たことから、仏教とヒンドゥー教の両方の神仏が描かれているのでしょう。絵の下には、発電所の建設に携わったと思われる人たちの名前が書いてあります。

 

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 写真だけ見るとまるで寺院のようですが、れっきとした発電所です。

 

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入口上部にある制御室に行きました。ここにはパドマサンヴァバの絵が飾られています(写真下左)。職員のほとんどはブータン人だからでしょう。発電所を作るのに貢献のあった人たちの写真もあり、やはりインド人が多いようです(写真下右)

あまりの光景にあっけにとられ、発電所であることを忘れそうです。発電はブータンの最大の輸出品です。インドへの輸出ですから、インドが技術供与したのも、互いに利益になるからでしょう。

 

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上流にダムを作り、そこから地下を通って8kmほど下流のこの発電所で発電しています。建設当時の本には次のように書いてあります。

 

1974323日、現王妃の妹D.W.ワンチェックとインドの灌漑・電力大臣K.C.バントの間で正式に調印されたものでティ・チュウとウォン・チュウの両河の合流点の1.6km下流に建設され、完成後は366メガワットの発電量になり、一挙にブータンの電力資源が増えることになる。」

(『ヒマラヤの桃源境』沖允人、日本ヒマラヤ山岳教会、63頁、1975)

 

 

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14:18 発電所を後にして、先ほど立ち寄って事務所に戻りました。所長さんが挨拶に見え(写真下)、その後、昼食をごちそうになりました。ブータンに来て初めてヨーグルトを食べました。癖のない味です。デザートにスポンジにシロップを染み込ませたようなカルカッタ製だというお菓子が出ました。いくら甘いものが好きな私でも一口以上は食えません。

 

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15:00 帰路、上流にある発電所用のダムを見学しました(写真下左)。発電所にこのダムの図面がはってありました(写真下右)

 

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 ダムに近づいて見て、またびっくり。外壁に大きな神仏のレリーフがついています。水に関係しているらしく、蛇体のちょっと恐そうなマーメイドがいます。

 

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守衛所の上にはこれまた水に関係した龍がいます(写真下)、というか、国旗(写真下右)を図案化したもののようです。

 

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ダムのわきでは手作業で石を入れた金網で土嚢を積んでいます(写真下左)。ダムの例外に漏れず、ヘドロの臭いがかなりします。ただ、発電所が丸ごと地下にあるなど、日本に比べたら、自然の景観を守る努力をしているのがわかります。

バスでダムに降りていく道は崖が土留めしてありました。このあたりの石は雲母が入ったようにキラキラ光っており、手で簡単に壊れてしまうくらいもろい。あれでは工事も大変だったでしょう。

 

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15:20 ダムを後にして、元来た道を引き返します。

ネムノキが山のあちこちでピンク色の花を咲かせています。天候は回復して、暑い。

 

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16:38 軽自動車が止まっており、そこにいた一人のおじさん(写真下左)がこちらのバスを必死に追いかけてきます。乗せてくれ、というのはしばしば見られる光景だが、そのおじさんの追いかけ方は尋常ではありません。たいていバスが止まらなければ追いかけないのに、このおじさんはただならぬ様子で追いかけてきます。一度バスを止め、乗せるのかと思ったが、すぐにまた運転手は動かし始めました。しかし、それでもおじいさんは追いかけてきます。様子がただ事でないので、私も声をかけ、運転手が止めました。

事情を聞いてみると、「トイレに行っている間に定期バスが行ってしまった。バスには荷物と友人まで乗っていた。軽自動車に頼んだが、方向が違うので断られた。ブータンだから荷物は大丈夫だろう」ということでした。おじさんはティンプーまで行くというので、パロに行く我々とは違うが、分岐点のチュゾムまで乗せていくことになりました。おじさんは終始固い表情で、とても緊張しているようでした。うまくいけば、チュゾムでバスに追いつくかもしれないので、我々のバスはスピードをあげ、先行していたもう一台のバスを抜いて走りました。

 

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17:0317:07 分岐点チュゾムに到着(写真上右)。だが、おじさんのバスの姿はありません。先に行ってしまったようです。しかし、我々はパロに行きますから、ここから先は乗せられません。困っている所に、ちょうどティンプーに向かう白人のツアーのランドクルーザーが通りかかり、乗せてもらえることになり、こちらも安心して、出発しました。

 

18:00 空港を通過し、パロ・ゾンを右手()に見ながら、パロのオラタンホテル(Olathang Hotel)に到着(写真下)。オラタンホテルは、パロ谷の西側にあります。コテージ風に部屋が一つ一つ別に建てられているので、とても広い(写真下右)。日本でいえば、2DKくらいの広さがあります。

 

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各部屋の建物にはベランダがついています。目の前に松林があるので、谷の全景は遮られているが、下の川の流れる音がここまで届いてきます。

 

 

暑くもなく、寒くもなく、虫もいないベランダでお茶を飲み、川の流れる音を聞きながら、松の木の間から見える夕暮れののどかなパロ谷を眺めていると、時間を忘れてしまいます(写真下)。7時近く、今日最後の飛行機がパロ谷に着陸しました。

 

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19:30 ホテルのレストランにて夕飯。パロにいるJICAの隊員が二人と、日本に来たことがあるブータン人が二人が子供一人を連れて参加し、歓談しました。

 

 

 

 

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