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カナリア諸島の花

3日目        2015   603(水)

テイデ山のピクニック

 

 

 六時すぎに目が覚めました。窓の外はまだ暗い。

 

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 今日は、島の真ん中にあるテイデ山を中心に、途中の村や奇岩で有名なロケ・デ・ガルシアを訪れ、ラス・カニャーダスで食事をした後、ロープウェイでテイデ山の展望台に行き、周囲をハイキングする予定です。

 

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 七時からホテルのレストランで食事です。昨夜の夕飯と同じでビュッフェ形式で、品数は多いが、朝なのに野菜が少ない。トマトを切ったものしかありません。

 

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鉄板焼きの桜

 出発は9時で、あまり時間はありませんが、明日は朝が早いので、ホテルの周囲を散歩してみましょう。

 

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 えっ!なんだ、これ!?「金濵酒楼」って中国の店がなんだってこんなところにあるのだ?昨日の移動の疲れでぼんやりしていた私は、この場違いな赤い店に一気に目が覚めました(写真下)。看板には「中国・日本・タイレストラン 桜 鉄板焼き」とあります。私の感想は「おいおい、やめてくれよ」でした。

 せっかくしゃれた建物が並ぶ中、何も中国の真っ赤な門を出さなくてもいいではないか。

 

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 この建物がどれほどこの場所に似合わないか、下の写真をご覧ください。右側の建物はどれもオシャレで南欧のリゾートという雰囲気なのに、左側のこの建物だけ浮いている。もう少し、空気を読んでほしい。

 

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 海のほうに下りてみると、また鉄板焼きの桜です。こちらは先ほどと違い、周囲の風景とはあまり違和感がありません。店の名前が同じだから、同じ系列なのだろうが、こんなそばでも経営が成り立つのだ。

 

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 ホテルの間のから海岸に出ました。火山性の瓦礫の浜で、黒っぽくて、イマイチです。もちろん、きれいに掃除してあります。

 

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 今回の旅行で見かけたハトは日本でも棲息するというシラコバトで、首輪をつけたような模様がついています。北アフリカにも分布するようですから、カナリア諸島にいてもおかしくはありません。なぜかこのハトを良く見かけました。

 

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写真上 Streptopelia decaocto

 

 カナリア諸島の語源になったイヌを見てみたいが、犬自体が少ないのか、この朝会ったのはネコだけです(写真下)。カナリア猫?いや、普通のネコです。

 

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 乾いているせいか、花は少ない。

 

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写真上左 Astydamia latifolia (FLORA CANARIA)

写真上右 Pennisetum setaceum (The flora of the Canaries, p.63)

 

 写真下のシャボテンはホテルの隣を流れる川底に生えていたものです。後で気が付いたのは、カナリア諸島で見かけるシャボテンの花は赤やオレンジが多く、黄色は少数です。たぶんウチワシャボテンです。

 

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写真上 Opuntia ficus-barbarica

(The flowers of the Canaries, p.62)

 

 ホテルの前には南国らしいオレンジ色の花が咲き、昨年のものか、実がついています。

 

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写真上 カエンボク Spathodea canpanulata

(The Exotic Flora of the Canary Islands, p.198)

 

 

出発

 九時にホテルからバスで出発です。大型バスに12人ですから、余裕で、私はもちろん一番後ろの席を占領しました。日本のバスとの違いは、座席の後ろに物入れがついていない(写真下右)。これはちょっと不便です。

 

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 本日の訪問はホテルからも見えるテイデ山とその周囲です(写真下)。雲の間からそびえ立つテイデ山は壮観です。ホテルは海抜ゼロメートルで、その北約30kmほど北に3,718mのテイデ山があるのですから、ちょうど3,776 m富士山を富士市から眺めたのと同じような位置関係です。

 

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 島は真ん中にテイデ山があり、海に向かって斜面になっているような単純な形をしています。斜面を上がるにつれて、眼下に街が広がっているのが見えてきます。

 

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 斜面には散歩で写真を撮ったシャボテンが雑草になって生えています。シャボテンはこの島では外来種です。

 

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写真上 Opuntia ficus-barbarica

(The flowers of the Canaries, p.62)

 

 斜面で目立つのはブドウ畑です。この島は火山ですから、水はけの良い斜面はブドウの栽培には最適でしょう。

 

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ヴィラフロールで休憩

 テイデ山の中腹にあるヴィラフロール(Vilaflor)という街で最初の休憩です(9:42)。このあたりで標高1450mくらいです。

 

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 ごらんのような小奇麗な街です。

 

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 観光を目玉にしたいのか、街には案内図も立っています(写真下)。しかし、日本のそれと違い、露骨な看板や売らんかなの店もなく、静かです。

 

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 ここに停車した理由は、エキウムという花があるからです。カナリア諸島特有の植物で、このツアーもこれを最大の目玉にしています。エキウムと聞いただけで客はざわめきました。

 栽培品のエキウムがありましたが、残念ながら花は終わっていました(写真下)。客たちの失望が伝わってくる()。野生がこれから上のほうで見られるとのことなので、それに期待しましょう。

 

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写真上 Echium wildpretii

(Native Flora of the Canary Islands, p.160)

 

 写真下は昔の洗濯場だそうです。周囲は緑松林があるが、水脈が少ないのでしょう。

 

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 鳥が飛び回っている。私の目にはハトみたいにも見えるが、よくわかりません。

 

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 街の少し上にカナリア松の巨木があるというのでバスを停めました(写真下)

 

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写真上 Pinus caneriensis

(The flowers of the Canaries, p.45)

 

 写真だけでは巨大さがいまいちわかりにくい。幹回りが人が手をつないで七人分あるというので試してみると、日本人女性七人では間に合いませんでした。

 

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 カナリア松の巨木の近くにエキウムが咲いています(写真下)。自然ではなく、人が植えたのでしょう。初めて間近に見るエキウムにちょっと興奮しました。日陰のせいか、先ほどのエキウムに比べると小柄です。ここでさえ咲いているのだから、上に行けばもっと咲いているに違いありません。

 

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写真上 Echium wildpretii

(Native Flora of the Canary Islands, p.160)

 

 バスは松林の中をしだいに高度を上げていきます。

 

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 高度があがるにつれ、たしかに松林で緑が豊かなのだが、だんだん様子が変わってきました。

 

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 地面を良く見てください。草がほとんど生えていない。松だけが生えた山です。

 

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 松林で気が付くのは松の表皮が黒く焦げた跡がみられることです(写真下)。山火事の跡だそうです。彼らは山火事の中も生き残れるのだ。これが松だけが残っている理由の一つでしょう。

 

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 標高が二千メートル前後から道路沿いにエキウムが現れました。バスを停められるほどの道幅がないので通過です。エキウムはいずれも松林の中ではなく、陽当たりの良い斜面に生えています。

 

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写真上 Echium wildpretii

(Native Flora of the Canary Islands, p.160)

 

 高度が高くなるにつれ、松林は消えていきます。松が消えたあたりで峠を越えます。後でこの峠の正体を詳しくご紹介しますが、カルデラの外輪山です。

 

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カルデラの展望台

 峠を越えると上るのは終わり、山に囲まれた平原のような所を進みます(写真下)。外輪山の内側、つまりカルデラの内側に入ったのです。

 

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 道路脇の展望台の一つで休憩です。

 

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 目の前には平らな荒地が広がり、遠くにテイデ山がそびえています。テイデ山の右手前にゴツゴツとした岩山が見えるのが、これから行くロケ・デ・ガルシアです。

 

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 平らである理由は下の衛星写真を見るとよくわかります。我々は東西15kmもある巨大なカルデラの内側に入ったのです。先ほどの峠とは、カルデラを作る外輪山の一つです。今から15万年前に起きた噴火で形成された「ラス・カニャダス」(Las Cañadas)です。この写真を見ると、テイデ山は巨大なカルデラの一部に出来た火山なのがわかります。

 

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 展望台の説明図ではカルデラの内側部分に色が塗ってあります。私には衛星写真が一番わかりやすいように見えます。

 

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 植物はあるが、花の咲いているのはあまり多くありません。写真下の花はいたる所に咲いています。

 

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写真上 Pterocephalus lasiospermus

(Native Flora of the Canary Islands, p.51)

 

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Descurainia Bourgeauana

(The flowers of the Canaries, p.50)

 

 展望台の近くの南側の斜面に一面に枯れたエキウムが見えます(写真下)。驚かされるのは、枯れたエキウムがたくさんあるのに花を咲かせているエキウムが同じ場所に見当たらないことです。ここは昨年はエキウムの群生で、今年は一つも花がない。

 

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 写真下は前年2014年に撮られた同じ場所の写真です。他の旅行でご一緒した六文子さん(仮名)から送っていただいた写真を私が加工したものです。つまり、写真上の枯れたエキウムの「生前のお写真」です。

 両者を比較すると、去年咲いた固体はほぼそのまま残っているのがわかります。つまり、一年くらいは枯れたまま残るらしい。そういう目で写真下を良く見ると、中に白く枯れたエキウムも七~八本くらい見えます。それらはそのまま写真上にもありますから、上の写真には一年前と二年前のエキウムがあることになります。つまり、この写真の範囲で言うなら、二年前は七~八本くらい咲き、去年は爆発的に五十本以上も咲き、今年はゼロだということになります。2014年はこの斜面のエキウムの当たり年だったことを意味します。

 

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 現地ガイドのサライさんも、去年見られたからといって同じ場所に行っても見られないことがあるとのことでした。いっせいに花をつけて、次の年には一本も生えてこないということがあるようです。

 

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 写真下は後で別な場所で見た去年のエキウムです。生け花などに使えそうですが、白く光っている毛はトゲになっていて危険だそうです。

 

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 枯れたエキウムのある斜面とは別な斜面には花を咲かせているのが見えます。こちらには枯れたエキウムが見当たらないから、去年は一本も咲かなかったことになります。

 

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ロケ・デ・ガルシア

 ロケ・デ・ガルシア(Roque de Garcia)に到着(11:21)。先にヴィジター・センターでトイレを借ります(写真下)。トイレは清潔で問題ないが、建物の奥にあり、手前に店があるのでわかりにくい。

 

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 駐車場では、車に貴重品を残さないようという注意書きがあります(写真下左)。車上荒らしがあるらしい。写真下右は注意書きで、歩道から外れるなとか夜は登るなはいいとして、装備もなしに登るな、日焼けに気を付けろなどと、事細かな注意です。注意がうるさいのは日本の駅のアナウンスだけではなさそうです。

 

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 トカゲだ!!横腹が青味を帯びています(写真下)。岩山もいいけど、個人的には花やトカゲのほうが好きです。このトカゲは現地ではLagarto Tizónと呼ばれ、テネリフェ島と明日行くラ・パルマ島にのみ生息する固有種です。そういわれると、なんかとても立派なトカゲに見える()

 

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写真上 Gallotia galloti

 

 では道路の反対側の奇岩に行きましょう。ごらんのように観光客だらけです。ただし、今回の旅行で訪れた場所でこんなに観光客がいたのは珍しく、たいてい静かです。そこは日本の観光地とは大違いですから、この点を留意して、この後の観光地での写真をごらんください。

 

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 ここの奇岩はスペインがユーロになる前の古いお札の裏側にも描かれています(写真下)。右下に龍血樹と、下にはカナリア諸島が描かれていますから、カナリア諸島を代表するのがテイデ山と奇岩と龍血樹のようです。できればエキウムも描いてほしかった。端っこにトカゲがいたら最高です()

 

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 札の絵はテイデ山を背景にしているが、私が撮った中でこの絵にもっとも近いのが写真下でしょう。私の写真には真ん中の岩とテイデ山の山頂が写っていませんから、もっと左上から見た風景です。

 

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 下の衛星写真で、青で示したのが我々が歩いたルートです。距離にして1kmもなく、山道ではあっても、全体しては平たんです。一般の観光客がいるのを見ればわかるように、革靴でもない限り、普通の靴であれば十分に歩ける道です。ハイキングの装備をしている我々のほうがちょっと場違いですが、これは後でテイデ山で必要になります。

 

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 山の上のほうが眺めが良いらしく、たくさんの人がいます(写真下)。ちょっと行ってみましょう。

 

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 写真下左がその頂上付近で、軽装の観光客が立っているだけだからちょっとわかりにくいが、岩山なのですべりやすく、足場もよくありません。

 

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 写真上右の女の子が恐る恐るのぞいている風景が写真下です。写真の真ん中が南西で、奥に連なる岩山がカルデラの淵で、我々はさきほど、右の奥の峠からカルデラの中に入り、岩山の下の道路を左方向に走り、ここに来ました。

 

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 真ん中にある岩山(写真下左)はキリスト教の教会と良く似ていることから通称カテドラル(大聖堂)と呼ばれています。写真下右はWikipediaにあるイギリスのグロスター大聖堂で、比較しやすいように左右を逆にしてあります。

 

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 私にはディズニーのアニメに出て来るプルートの横顔に見えました(下図)。プルートのモデルはブラッドハウンドだそうで(写真下右)、岩山と横顔がそっくりです。プルート(冥王星)は惑星の認定は取り消されてしまい、こんな山の上で営業していたのだ()

 

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写真上左 img3.wikia.nocookie.netから転載

写真上右 wikipediaから転載

 

 写真下がさきほどの展望台から見た今いるロケ・デ・ガルシアで、後姿のカテドラルも見えます。

 

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 ここにもエキウムがあります。花の集合体で、人の背の高さよりも高い。

 

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 ミツバチが羽音を立てて集まっています。

 

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写真上 Echium wildpretii

(Native Flora of the Canary Islands, p.160)

 

 周囲で目立つのが黄色いマメ科の植物です。バスで来る途中にもたくさん生えていました。

 

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写真上 Adenocarpuis viscosus

(SOPHY)

 

 マメ科の花は、上の黄色と下の白が競っています。白い花にもミツバチたちがたくさん集まっています。

 

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写真上 Spartocytisus Supranubianus

(Native Flora of the Canary Islands, p.162)

 

 樹木になっている花の他にも、地面にもあちらこちらに花が咲いています。

 

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写真上 Pterocephalus lasiospermus

(Native Flora of the Canary Islands, p.51)

 

 日本と違い、とても乾いた環境に適応した植物がこれらです。

 

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Erysimum Scoparium

(Native Flora of the Canary Islands, p.161)

 

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Descurainia Bourgeauana

(The flowers of the Canaries, p.50)

 

 

登山の前に腹ごしらえ

 ロケ・デ・ガルシアの散歩を終えて(12:16)、テイデ山の東にあるラス・カニャーダスのレストランで食事を取るためにバスで移動します。

 

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 テイデ山の麓の道は山岳道路にしては上下があまりないので、車はかなりの速度で走ります。

 

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 さきほどもあった黄色いマメ科の植物が花を咲かせています。

 

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写真上 Adenocarpuis viscosus

(SOPHY)

 

 道の周囲には、植物も生えていないことから、比較的新しいと思われる溶岩が広がっている所があります。

 

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 エキウムがあるという展望台で停まりました(12:27-12:35)。このあたりで標高2400mほどです。

 

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 斜面のエキウムは真っ盛りです。

 

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 写真下のエキウムは下のほうの葉が枯れています。他の花に比べてやや小ぶりなのを見てもわかりように、生えた場所が悪く、葉を枯らながら生き残ったようです。ガンバレ!

 

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写真上 Echium wildpretii

(Native Flora of the Canary Islands, p.160)

 

 ここでは去年の枯れたエキウムと両方あります。午前中、展望台の近くの斜面のように、いっせいに枯れるというわけではなさそうです。また、写真下左にある枯れたエキウムの葉はまだ青く生きていますから、花を咲かせたら枯れてしまうというのも一概には言えません。

 

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 時間がないのでエキウムばかりに目がいくが、実は周囲には他にも花を咲かせた植物がいくつもあります。

 

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写真上 Pterocephalus lasiospermus

(Native Flora of the Canary Islands, p.51)

 

 溶岩が流れた斜面を見ながら、テイデ山の麓をさらに半周します。

 

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テイデ山で昼食

 テイデ山の麓にあるレストランRestaurante Bambyに到着(12:48)。この村はラス・カニャダス・デル・テイデ(Las Canadas del Teide)で、国立公園内で唯一のホテルがあります。標高2200mですから、星の観察にはちょうど良い。衛星写真を見てわかるように、集落の近くだけ樹木が生えています。たぶんカナリア松でしょう。ここカルデラの内側ですから、本来は松は生えていません。

 

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 外のほうが心地よいので、客の大半は外で食事を取り、レストラン内はガラ空きです(写真下右)。食事の前に、参加メンバーの自己紹介が行われました。

 

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 お客さんの一人が「私は晴れ女です」いう宣言に、私は「ヤッター!」と思いました。これまでの旅行でも晴れ女、晴れ男の力はまざまざと見せられてきたので、これでこの旅行は安泰です。荷物を減らすためにも防水カメラは持ってきていませんから、晴れ女だけが頼りです()

 

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 店の表に売店があり、ジャムや蜂蜜などを売っています。シャボテンから作ったという赤いジャムがあり、試供品があるので一口食べてみました。色は一様で着色料を使っているようだし、砂糖のような甘味なので買うのをやめました。

 

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一気に三千五百メートル

 先ほど来た溶岩だらけの台地を戻り、ロープウェイの駅に向かいます。

 

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 ロープウェイ駅に到着(14:16)。ここからロープウェイで火口の近くまで行きます。

 

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 この駅の待合室は奇妙です。まずまっすぐに進めず、写真下左の人たちは一列に座席の間を蛇行しながら進んでいるところです。なぜか次に記念撮影です(写真下右)。これが流れ作業になっており、選択の余地はありません。入山者の記録?今は空いているから良いが、混んでいる時にこんなことをしたら、混乱するでしょう。撮影担当の黒い服のオバサンが使っているのは最新のフジフィルムのミラーレスの一眼カメラです。

 

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 もしかしたら商売?と思ったらそのとおりで、後で写真を売るためでした。下山した後、ロープウェイの出口の所で写真を並べて売っています(写真下左)。私がこの様子を写真に撮ると、先ほど写真撮影をしたオバサンが「写真を撮るな!」と叫びました。写真下右の一番左側にいるサングラスをして黒服の恰幅のよい女性がそれです。彼女の撮った写真をコピーしたらルール違反だが、離れた所から売り場の様子を写したのです。もちろん、撮るなと言われたので、ご覧のようにしっかりと撮りました()

 

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 勝手に写真を撮って後で売りに来るという商売はあちらこちらで見かけましたが、ここのように半強制的に写真を撮らせるのは初めてです。エグイ商売で、印象はあまり良くありません。カナリア諸島の観光のイメージにとってもマイナスでしょう。

 満員のロープウェイに乗って出発です(14:25)

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 斜面は最初の内は植物が生えていますが、登るにつれ少なくなり、やがて瓦礫だけになります。

 

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 2350mから3550mまでの千メートルを七分ほどで登り、ロープウェイの上の駅に到着しました(写真下右)。高山病に弱い私は駅を降りてすぐに準備してきた酸素を吸い始めました。滞在時間が短いから初期症状も出ない人が大半だが、弱い人はダメです。実際、お客さんの一人が途中から体調不良を訴えました。

 

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 ロープウェイ駅からの眺望も素晴らしい。右側()を見ると、天体観測所の白い建物が見えます(写真下左)。下を見ると、島の北は雲で、山をはさんで南側が晴れているのが明瞭にわかります(写真下右)。昨日、飛行機で到着した時、空港が曇りだったのに、十分も南に走ると青空になったあの現象を上から見ているのです。

 

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 つい、低い所ばかり見てしまいますが、テイデ山の山頂はここから高度差にして200mほどです。見上げれば山頂が見えます。

 

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 山頂からは噴煙が時々出るという。見るとそれらしいのが上がります。写真上右は、右側の斜面から、写真下の真ん中付近から白い煙が上がっています。活火山なのだから当然でしょうが、日本では2014年の御嶽山の噴火が記憶に新しいので、逆にいうなら、今この瞬間に爆発しておかしくない

 

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 ケーブルカー駅から西側にある展望台までのハイキングです。距離はたいしたことはありませんし、標高差もありませんが、なにせここは3500mです。

 

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 出発しましょう(14:37)。山道はきちん整備されていますから、歩きやすい。

 

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 道端に「立入禁止」という看板があります(写真下左)。写真上の右側の火口の斜面は溶岩の崖ですから、立ち入るのは危険だという意味でしょう。

 

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 禁止されなくても、歩きやすい山道があるのだから、こんな崖をわざわざ登る物好きはいないだろう・・・あっ、いた(写真下)。他の人が指さす先を見ると、はるか上の崖を上り下りする人たちがいます。きちんと整備された道があるし、我々が歩いている道も火口を半周しながら頂上に行けますが、地図を見るとたしかにこちらのほうが近道です。

 

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 周囲はご覧のような火山の岩がゴロゴロしていますから、これらの上を歩くのは容易ではありません。写真に写っているのは岩だからまだ良いのですが、これが小石や砂のような瓦礫になった時が怖い。実は私は後日、火山性の瓦礫の斜面を下りるはめになり、その怖さを体験しました。

 

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 今歩いている道は幸い、人がすれ違えるくらいの幅のあるきれいな石畳です(写真下)。周囲の石を削って敷き詰めたのでしょう。いわゆる軽石だから、加工はそれほど難しくないとはいえ、さすがは石畳の道を作ったローマの子孫だけのことはある。

 

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 眼下にカルデラの外輪山が見えます(写真下)。また、午前中行ったロケ・デ・ガルシアの岩山も見えます(写真下)

 

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 私にとってちょっと残念なのが、植物が何もない。丁寧に瓦礫の中を探せば何かあるのかもしれないが、見回した範囲では何もありません。

 

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 分別されるゴミ箱が用意されています(写真下)。ここはケーブルカーがあるのでゴミを下ろすことでできるのでしよう。茨城県の筑波山では、山頂で物品を売っているのに、ゴミは観光客がすべて持ち帰ることになっています。ごみ箱がないのは良い。だが、もう少しここのように、景観をきれいにできないものだろうか。

 

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 ハイキングの目標地点の展望台に到着です(写真下, 15:11)。雲の向こうに「ひょっこりひょうたん島が見える」という私の歓声に反応すればだいたい世代がわかります。驚いたことに、最年少の添乗員の小場さんも知っていました。

 

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 天気も良いので、私はここで♪ 波を ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ かきわけて~ ♪と踊りながらテーマソングを一曲披露したい気分でしたが、旅行は始まったばかりで、置いていかれると困るのでやめておきました。

 

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 ひょっこりひょうたん島は明日以降に行くラ・パルマです。

 

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 私たちは今テイデ山の頂上付近にいて、その西側にあるラ・パルマを見ています(下図)

 

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 ラ・パルマよりも左に見えているのがラ・ゴメラ(La Gomera)です(写真下左)。この島は明日行く予定です。ラ・ゴメラの左上に別な島がかすかに見えます。さらに南西にあるエル・イエロ(El Hierro)です。

 ラ・ゴメラの島の右半分の北側が雲に覆われ、左半分が晴れています。北からの湿った空気が島にぶつかり雲が発生しているのに、南側は晴れています。テネリフェと同じで、写真下右でも右側(北側)は雲に覆われているのに左側(南側)は雲がありません。ラ・ゴメラなど直径が20kmほどの小さな島ですが、こんなふうに気象がかなり違います。

 

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 東南を見ると洋上にかすかにグラン・カナリア(Gran Canaria)が見えます(写真下)

 

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 風景を楽しんだところでロープウェイの駅まで引き返しましょう。登山好きな人には距離的にちょっと物足りないかもしれません。

 

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 ロープウェイの駅に戻ってきました(15:53)。待合室で待っていると、窓にたくさんの昆虫がいる(写真下)。外見からミツバチではなくハナアブで、たぶんロープウェイに乗ってここまで来てしまい、帰りの便に乗れないでいるのでしょう。しかし、もしそうではなく、この近くにいるハチが迷いこんだとすれば、この標高に花が咲いていることになります・・・可能性は少ないと思いますが。

 

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 さほど待たされることもなく、下りのロープウェイに乗りました(16:15)。たぶんハチたちは乗れません。

 

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 下の駅に戻り、買い物の時間があるというので、私は近くの岩場の花の写真を撮りました。ここにもエキウムはあるのですが、いずれも花は終わっています(写真下)

 

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写真上 Spartocytisus Supranubianus

(Native Flora of the Canary Islands, p.162)

 

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写真上 Pterocephalus lasiospermus

(Native Flora of the Canary Islands, p.51)

 

 道路脇のガートレール代わりの石垣にトカゲがいます。しかし、これはあまり青くないから、メスかもしれません。

 

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写真上 Gallotia galloti

 

 

テイデ山を下山

 買い物をしていた人たちも集合して、バスで来た道を戻り下山します(16:35)

 

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 風景を見ていると、新しい溶岩の所は植物がないが(写真下左)、それでも次第に植物が溶岩の中にも入り込んでいるのがわかります(写真下右)

 

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 カルデラの外輪山の峠を越えて、午後の日差しをあびるカナリア松の林に入りました(写真下)。環境の厳しい中を生き抜いているのでしょう。カナリア松がなければ、このあたりは禿山になっていたかもしれません。この島ではカナリア松がとても重要な役割をしています。このことは後でラ・パルマ島でも実感しました。

 

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 標高五百メートルくらいから眼下に広がる街が見えてきます(写真下)

 

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 17:47にホテル到着。今回の旅行では一番高い所なので天気が心配でしたが、晴れ女のおかげで晴天でした。

 夕方の六時でもまだ陽が高く、写真下のようにホテルの部屋から見た風景は午後三時か四時くらいです。時間があれば少し散歩したいところですが、山歩きで疲れたのと、明日は朝早いので、荷物の整理をしてすごしました。

 

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 七時からホテルのレストランで食事です。今回は旅行会社から食事の時の飲み物のサービスが付きました。これはとても助かる。客全員が各自で払うと混乱し、つり銭で小銭が増えてしまうからです。ぜひ、他の旅行会社も見習ってほしい。私はアップルタイザーを注文しました。この飲み物は後でご紹介しましょう。

 

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 明日は船で、さきほどテイデ山から見えたラ・ゴメラ島に渡るため朝が早いので、早目に寝ることにしました。

 

 

 

 

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