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雲南のノモカリスと青いケシ

6日目 2019627()

小中甸、碧沽天池

 

 

 六時頃に起床。部屋の温度は22.8℃です。今日は小中甸や碧沽天池の周辺で花を探します。

 

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 ホテルのレストランで七時から朝食です。

 

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朝の独克宗古城

 出発が八時半なので、散歩に行くことにしました。このホテルから、香格里拉の観光地の一つである独克宗古城へは歩いて10分ほどで、下の地図で緑色で示された部分です。

 市街はきれいに整備され、所々に威圧的な建物が目につきます。

 

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 昨夜、9時頃まで大音量で音楽を流していたのは、たぶん写真下の広場でしょう。写真下右では、まだ踊ったままの人たちがいます

 

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 独克宗古城に入ってきました。ここはチベット族の作った交易都市の跡を観光地にしたものです。まだ朝早いこともあり、人も少なく、店も大半が開いていません。オバサンは髪の毛を洗ったらしい(写真下右)

 

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 その中でも写真下のように仕事をしている人たちもいます。

 

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 建物は古そうに見えますが、2014年に火事があって、2016年に復興していますから、建物の多くが実は最近建てられたものです。大火から半年ほど後にここを訪れた日本人観光客の旅行記を見ると、南側を中心にほとんど焼野原で、北側と東側が焼け残ったようです。

 

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 古い時代のまま残っているのは石畳みくらいなのでしょう。今でも、馬車が通ったワダチの跡が残っているそうです。

 

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 ネコたちも暇そうですから、朝の散歩を終えて、ホテルに戻りましょう。

 

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自由と民主?

 予定どおり、八時半にホテルを出発しました。今日は私は3号車に乗ります。

 

 

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 街は整備され、写真下のようにあちこちで清掃する人たちが目につきます。写真下左は、昨日もゴンドラの駅で見かけた赤い帽子の民族衣装を着た女性たちです。

 

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 道を走っていて良く目につくのがスローガンです。

 

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 写真下は朝の散歩で見たスローガンで、写真下左は麗江でも良く見かけた「黒を打破し、悪を除き、環境を浄化し、共に平安を建てよう」と、犯罪や汚職の撲滅を呼びかける内容です。日本でも「忖度」という、私は知らなかった新しい言葉が登場しているくらいだから、大いに賛成したい。

 

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 写真下では、富強、民主、文明、調和()、自由、平等というスローガンが掲げられています。共産党のスローガンかと思ったら、これは工事現場の囲い張られたポスターで、雲南華田建筑工程有限公司という建築会社の名前が入っています。日本の工事現場の囲いにこれらのスローガンが張られていたら、かなり異様です。だが、中国ではこれが当たり前なのでしょう。

 

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 麗江と同様に、幹線道路の両側に赤い提灯を両側に従えた標語がずらっと並んでいます。写真下のように、連続して標語が並んでおり、しかも大半が道路や運転とは関係のない標語ですから、これだけ並ぶと、安全運転には邪魔です

 

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  標語に違和感があるのは、民主という掛け声と違い、個人よりも一党独裁の国家のための言葉である点でしょう。

 

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 自由、平等、法治は樹木に隠れてしまい、陰が薄い(写真下)

 

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 環境保護やゆっくり安全に行きましょう、という標語だけは賛成できます。

 

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 市街地の南側にある108mあるという巨大な仏塔(香格里拉和塔中塔)を通過して、昨日来た道を少し引き返します。

 

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チベット人の家

 香格里拉の市街地を出て、幹線道路を外れて、農村地帯を走ります。チベット仏教圏らしく、白い仏塔が見られます(写真下)

 

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 写真下は交差点の中央で、これも一種の仏塔で、経典の文言を刻んだ板のような石が並べてあります。

 

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 集落の女性たちは昨日も見かけた赤いターバンのような帽子をかぶっています。

 

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 また、帽子をかぶっていなくても、ナシ族の人たちと同じような青いエプロンをしています。

 

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 道の両側で目つくのが立派な家です(写真下)。わざと建築中の建物を選んで写したのではないのに、工事中がたいへん多い。これは建築ラッシュなのか、工事期間が長いのか、わかりません。いずれにしろ、お金がなければ建てられませんから、この地方の人たちはわりと裕福です。

 

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 造りには共通性があって、正面は太い柱を使ったベランダのようになっており、他の面は小さな窓を同じ位置に配列しています。こういう造りがとても良く目につきます。

 

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 写真上は柱が両側を含めて5本で、表の部屋が4つ、下は柱が4本で部屋が3つです。柱と柱の間はガミックと言って長さが決まっていますから、柱の数で建物の横幅が決まってしまいます。つまり彼らは柱の多さを競っているのです。

 

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 遠くから見てもわかるように、柱はかなり巨木です。七年前、そばまで行って見ましたが、日本でこんな巨木を手にいれるのは容易ではないでしょう。少なくともこの近くの山にはこれほど巨木はなく、遠くから切り出してきたものです。個人が家を建てるのに使う分には無償で切り出せるので、彼らは農閑期などを利用して山から切り出し、運んでくるようです。おそらくは数百年もたつ樹木を伐採するので自然破壊だが、家に使うだけですから、その数は知れており、これ自体が今日の環境を変えるほどの自然破壊の原因には見えません。

 

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 柱の面はベランダのように使う場合と、写真下のように窓にしてしまうこともあるようです。

 

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 家だけでなく、立派な門を作っている家もあります(写真上下)

 

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 さらに写真下など採光用の三階部分があり、周囲をすべてガラス張りにして、冬は陽当たりを良くしているのでしょう。

 

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 窓は細かいレリーフが入っており、一階と二階で模様が違うなど、どれも凝った作りで、日本の四角いだけのアルミサッシのダサイ窓とはえらい違いです(写真下)

 

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 写真下はこの日、私が最も気に入った外観です。

 

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小中甸の花

 小中甸の林業()区の検問所に到着しました。林業組合のような組織があって、ここで入山料を取っているのでしょう。1949年の中国建国以後、雲南での森林破壊の様子は前に学者の解説を紹介しましたが、こういう林業組合が破壊の片棒を担いだ時期があったのも事実です。

 

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 「雲南省天然林保護工程」という道端の掲示板には、香格里拉市人民政府は、ここが国有林(小中甸国有林場)であり、放牧や乱伐、狩猟などを禁止するとあります(写真下)。日付けが2016年とあるのは、掲示板を造り直しをしたというよりも、こういう保護活動がわりと最近だからでしょう。少なくとも、この日、見た範囲では山には大きな樹木はなく、とても「天然林」には見えません。天然林というなら、来る途中で見た家に使われている柱のような巨木があっていいはずです。

 

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 ここからは普通の乗用車では走りたくないデコボコの山道になります(写真下)

 

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 山の中に入って花を探します。樹木はどれも細い。つまり、ここは原始林が伐採され、その後に出来た貧弱な森です。だが、幸いにして、草花は残っています。

 

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 白地に紫の口ばしが付いているような独特の姿をしたシオガマギクの仲間です(写真下)。この雲南のあたりと四川省の北西部でのみ見られる花です。白と紫の配色がおしゃれです。

 

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写真上下 Pedicularis monbeigiana

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 老君山でも見かけたショウガの花で、日本にはこんな赤いショウガはないので、目を引きます(写真下)

 

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写真上下 Roscoea tibetica

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 写真下はアツモリソウで、残念ながら、花は終わっています。茶色ではなく、本当は白かクリーム色のランです。

 

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写真上 Cypripedium flavum

 

 写真下はジンチョウゲの仲間でチベット圏では良くみられます。これは黄色ですが、白系が一般的です。

 

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写真上 Stellera chamaejasme

 

 

ノモカリス

 写真下は「そばかす美人」というあだ名のノモカリスで、老君山に続いて二種類目です。ここは老君山のように、ツツジなどの低い樹木の下に入り込んでいるのではなく、林の下のあちらこちらにあるので、探すのも撮影も楽です。

 

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写真上下 Nomocharis aperta

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 写真上右のように、花弁全体が尖っているのが普通だが、写真下のように花弁が丸みを帯びているのもあり、これも笑っているようで、なかなかかわいい。

 

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 ソバカスのせいか、美人というよりも、可愛い。

 

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 花弁のソバカスは指紋のようなもので、一つ一つ全部違います。色にもずいぶん違いがあります。

 

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 写真下の上段と下段のように、同じピンクでも濃さにかなり違いがあります。しかし、ここには真っ白はありません。

 

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 写真下左は薄いピンクの花弁に大きくて濃いソバカスだから、明るくてお茶目な印象だが、写真下右はソバカスが目立たないので、おとなしい雰囲気になるからおもしろい。

 

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 写真下は同じノモカリスで、裏からはソバカスはわかりません。

 

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 写真下はどれもこれも美人の姉妹です。

 

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 ノモカリスは雲南やミャンマーでしか見られません。雲南の花の紹介ではたいていノモカリスが出てくるので、一度は見たいと長年思っていましたから、ノモカリスは今回の旅行の目的の一つでした。

 

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 自然界では球根が6070cmもの深さに達するそうです。最初からそんな深さに到達するはずはないから、長年かけて、少しずつ土の奥にもぐりこむのでしょう。それを聞いただけでも、この植物を移植して育てるのは容易ではないとわかります。日本では植物園などでは開花に成功しているようですが、くれぐれもこれを読んでいる方は試みないでください。

 

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 青いケシもそうだが、3000mをこす高地の特殊な環境で生き残った神経質な植物を、まったく環境の違う日本で一般人が育てるのは無理です。多くの高山植物がそうであるように、業者から種や球根を買えば、盗掘も増えて、絶滅の手助けをしているようなものです。

 雲南の森林の消失は止まらず、干ばつなどの環境変化はひどくなっていますから、このノモカリスも来年もあるという保証はありません。

 

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 写真下は老君山でも赤いほうを見かけました。赤と白があり、白が多い。

 

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写真上 Acanthocalyx alba

 

 写真下は見るからにサクラソウですが、いわゆるサクラソウ(Primula)ではなく、日本ではリュウキュウコザクラ(Androsace)に分類されています。四川から雲南にかけてのかなり限られた範囲に分布します。

 

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写真上 Androsace spinulifera

 

 写真下は老君山に行く途中でも見かけたプリムラで、中国名は海仙花です。

 

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写真上 Primula poissonii

 

 写真下のトウダイグサの仲間はチベットやヒマラヤなど広い範囲に分布します。ここのはずいぶん可愛らしい。

 

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写真上 Euporbia stracheyi

 

 写真下のアズマギクはチベット圏ではたいへん良く見られる花で、ブータンやミャンマーなどヒマラヤにも分布します。

 

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写真上 Aster souliei

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 写真下の二つは同じ種類なのに、花弁の様子がだいぶん違う。

 

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 写真下のマメの仲間はチベット、ヒマラヤなど広い範囲に分布します。

 

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写真上 Gueldenstaedtia himalaica

 

 紫のアヤメが斜面にたくさん生えていて、ちょっとした風景を作っています。

 

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写真上下 Iris bulleyana

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 幸い、牛はアヤメが好物ではない(写真下左)

 

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 お客さんが白花を見つけました(写真下)。アヤメなのに綾目がない。

 

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 写真下を見ると私の裏山にもあるマルバダケブキを連想します。それもそのはずで、同じ属です。ただ、マルバダケブキは、名前どおりに葉が丸いが、こちらは楕円形です。

 

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写真上 Ligularia dictyoneura

 

 写真下のニワトコの仲間はチベットやヒマラヤなど広い範囲に分布します。

 

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写真上 Sambucus adnata

 

 写真下はギシギシの仲間で、畑の迷惑者なので、見ると条件反射で、これをどうやって草刈りするかを考えてしまう()。写真下段のように一面に広がっていますから、ある意味、これもお花畑です。

 

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写真上 Rheum acuminatum

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 白いキンポウゲはフクジュソウの仲間だそうで、数は多くありません(写真下)

 

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写真上下Adonis davidii

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 写真下は別なキンポウゲです。学名を日本語読みするとあまり良い意味にならないので、和名のヒメイロイチゲと呼んであげたほうが良いでしょう。

 

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写真上 Anemone obutusiloba

 

 

中甸の青いケシ

 大きな石が転がる斜面に青いケシがあります。学名のzhongdianensisは、シャングリラ(香格里拉)と名乗る前の地名である中甸(Zhōngdiàn)から取ったというから、この地方を代表する青いケシです。

 

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写真上下 Meconopsis zhongdianensis

 

 写真下のような明瞭な青は数が少ない。もちろん、これらの写真には色の加工はしていません。

 

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 写真下になると部分的に赤が混ざっています。写真下右のように、花弁を上から見ると、だいぶん印象が違います。これで陽が当たると、金属のような光沢が見られることがあります。

 

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 主に目につくのは写真下のように青に紫が混ざったような花で、曇り空の下では灰色がかってしまい、見た目はイマイチです。

 

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 赤味が強くなると紫色になります(写真下)。これも数の上では多い。

 

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 周囲は石灰岩と思われるような白い岩が転がっています。たぶん、ここは石灰岩でできた山で、つまり大昔は海の底だったのでしょう。

 

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 さらに写真下のような赤いケシもありましたが、見つけたのはこの一本のみです。これでたぶん最盛期の花なのでしょう。赤い色は独特できれいなのに、花弁が細長く、開き方もクシャクシャして、惜しい。

 

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 青いケシは花が上から咲いていきますから、写真下左は一番咲で、花の下にはツボミがついています。写真下右の花の上に咲き終えた種がありますから、二番咲か、三番咲で、おそらく二週間くらい前から花が咲き始めたのでしょう。

 

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 高さは2060cmまで様々で、ネットで見ると1mくらいまであるようですから、わりと大柄な青いケシです。

 いくつも花を付けている株があります(写真下)。長年かけて根に栄養を貯めているのでしょう。

 

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 青いケシの近くには他にも様々な花が咲いています。写真下のピンクのバラは名前がわからない。

 

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 ウツギの仲間が白い花を咲かせています(写真下)。この花の学名にも中甸(Zhōngdiàn)が入っていますから、このあたりの特産なのでしょう。

 

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写真上 Deutzia zhongdianensis

 

 梅の花を連想させるようなバラの仲間で、ヒマラヤ全般に分布します。

 

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写真上 Cotoneaster microphyllus

 

 写真下のオダマキは雲南、四川、チベットにかけて分布します。学名のrockiiは岩という意味ではなく、プラントハンターとして有名だったジョセフ・ロック(Joseph Rock1884-1962)から取ったものです。

 

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写真上 Aquilegia rockii

 

 マムシグサの仲間は名前がわかりません(写真下左)

 

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 車に戻り、ここで昼食です(12:55)。スイカがおいしい。

 

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ピンクのサクラソウ

 ピンク色のサクラソウの大群落です。

 

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写真上下 Primula secundiflora

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 老君山にもあったサクラソウで、ここははるかに大きな群落です。来る途中の道端にもたくさん咲いていました。花が下に垂れているのが特徴です。

 

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 大きいと高さが80cmにもなる大柄なサクラソウです。

 

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 主に四川と雲南の高山地帯に分布し、やや湿った所を好みます。

 

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 写真下のナスの仲間は中国名は「山莨菪」という名前で、なんと発音するのかわからないし、発音されてもわからない()。主にチベットに分布します。漢方に用いられることから、乱獲され、減っています。

 

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写真上 Anisodus tanguticus

 

 写真下は昨日も見かけた花で、チベット圏では、多くはないが、良く見かけます。

 

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写真上 Cardamine macrophylla

 

 写真下も昨日、石卡雪山でも見かけたシオガマギクの仲間です。鳥の口ばしが出ているように尖がっています。

 

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写真上 Pedicularis siphonantha

 

 老君山でも見かけた黄色いスミレです(写真下)

 

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写真上 Viola cameleo

 

 やあ!どうも、お邪魔します(写真下)。ちょっと花を見せてください。

 

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 女性たちは皆さん、赤い帽子です。

 

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黄色いサクラソウ

 ピンクに続いて、黄色いサクラソウの群落で、これも昨日、石卡(シーカー)雪山で見かけました。ピンク色のサクラソウと同じで、道端などでもしばしば見かけます。

 

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写真上下 Primula sikkimensis

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 先ほどのピンクのサクラソウも混ざっています。斜面なので後ろにサクラソウが入り、記念撮影にはちょうど良い。

 

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 学名にシッキムの名前が入っているように、四川や雲南からネパールなどヒマラヤ南部に広く分布します。中国名は「鍾花報春()」で、春が来たことにこたえて鐘のような花を咲かせる、くらいの意味でしょうか。なかなか良い名前です。

 

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 写真下は小型だが、すっきりとしたキンポウゲです。日本のタガラシ(Ranunculus sceleratus)やウマノアシガタ(Ranunculus japonicus)と似ていて、あちらが農家からは嫌われ者の雑草なのに、こちらは高山植物として珍重される。

 

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写真上 Ranunculus tanguticus

 

 立派なシソの仲間が薄紫の花を咲かせているが、名前がわからない(写真下)

 

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 ユキノシタの仲間で姿や雰囲気も日本のユキノシタに良く似ています(写真下)。雲南やチベットなどに分布します。日本のユキノシタのように湿気の多い所に咲いているというわけではありません。

 

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写真上 Saxifraga rufescens

 

 樹木も花を咲かせています。

 

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 写真下左のピンク色のシャクナゲは老君山でも見かけました。

 

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写真上左 Rhododendron heliolepis      写真上右 Rhododendron campylocarpum

 

 白いシャクナゲも老君山で見かけたが、こちらは残念ながら、終わりかけています。

 

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写真上 Rhododendron aganniphum

 

 日本でも中部以北の高山や亜高山で良くみかけるムカゴトラノオです(写真下)

 

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写真上 Polygonum viviparum

 

 写真下のフウロソウはチベットやヒマラヤだけでなく、中国の中北部にも分布します。学名(donianum)は、英国の植物学者David Don(1799-1841)から付けられた名前です。

 

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写真上下 Geranium donianum

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黄色いケシ

 老君山でも見た黄色いケシが少し離れた所に少し咲いています(写真下)。これもメコノプシスですから、青いケシの仲間です。背丈が目測で60cm前後と高い。

 

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写真上下 Meconopsis pseudointegrifolia

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 一番上に種ができ始めていますから、いずれも二番咲き、あるいは三番咲きです。さらに今咲いている花の下につぼみがありますから、四番咲きくらいまで続くようです。一般的にメコノプシスの黄色いケシは青いケシよりも早く咲くようです。

 

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 学名のpseudointegrifoliapseudoとは疑似とか似ているというくらいの意味ですから、このケシはMeconopsis integrifoliaに似たケシという意味になります。ただ写真で見ても区別がつきません。「Flower of China」の説明を抜粋するなら、次のようになります。

Meconopsis integrifolia

高さ1 mまで、標高2700-5100m、甘粛省、青海省、四川省、チベット自治区、雲南省に分布

Meconopsis pseudointegrifolia

高さ25120 cm、標高2700-4200m甘粛省、四川省、チベット自治区、雲南省に分布

ごらんのように、微妙な差はあるが、大きさも分布も標高も重なっており、素人には区別がつきません。

 

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碧沽天池

 今日の目的地の一つ碧沽天池に到着しました(15:33)

 

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湖の周囲には、老君山でも見かけた紫色のツツジ(シャクナゲ)が咲いています。

 

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写真上 Rhododendron hippophaeoides

 

 岸辺近くには先ほど見たピンクのサクラソウが咲いています。

 

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写真上 Primula secundiflora

 

 ツツジの中に咲いていたのが、写真下の黒ユリです。正確には黒ではなく紫か茶色です。

 

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写真上下 Lilium souliei

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 日本のクロユリ(Fritillaria camtschatcensis)はユリ科バイモ属だから、いわゆるユリではありません。それに対してこちらは本物の黒ユリです。

 

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 写真下も黒いユリかと思ったら、葉の付き方を見てもわかるように別種で、昨日、石卡雪山でも少し見かけたキクの仲間です。

 

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写真上 Cremanthodium campanulatum

 

 写真下はリンドウの仲間で、花は緑です。この薬草のエキスが肝臓の病気に効果があるという複数の報告がありますから、立派な植物らしい。

 

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写真上 Veratrilla baillonii

 

 空は曇天という言葉どおりの黒い雲がかかっています。ところが、急に陽が射してきました。すると斜面に黄色いレウムとサクラソウの群落が浮かび上がり、私は斜面に向かって走り出しました。ここは3800mを越える高地ですから、自分では走っているつもりでも、息が上がるばかりで、前に進まない。

 

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写真上下 Rheum alexandrae  Primula sikkimensis

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 肩で息をしながら、撮ったのが写真上下で、奇妙な色です。色調の設定を間違えたのではなく、これが目で見たままの色と風景です。背景の空は相変わらずの曇天だが、植物に陽が当たり、陰もできて、スポットライトを当てたように、黄色い花だけが浮かび上がって見えました。

 高山病に弱い私が酸素の薄い高地で走るのはご法度で、その禁止事項を破っても走った甲斐があり、陽ざしはわずか10分ほどで消えました。

 

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 写真下は湖の岸辺にニョキニョキと咲く同じレウムなのに、陽が射さないから写真上とは色が違って見えます。山の斜面に点在なのに、ここはかなり密集しています。湖のそばなので水が十分にあるからでしょう。実際、湿った所を好む植物です。大きい物だと80cmくらいあります。

 

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 黄色いのは花ではなく葉で、マントのように温室の役割をして、花はその内側にあります。温かさ売り物に虫たちを集めます(写真下)。天気が悪い時など、雨風を避けられ、温かく、虫たちの避難所にはちょうど良いのでしょう。

 

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 四川から雲南のかなり限られた地域に生えています。たぶん、写真下の岸辺には前は一面にレウムが生えていたのでしょう。かろうじて食害を免れて少し残った。幸い、ここは保護されているらしく、家畜の姿は見えません。

 

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 「百度(Baido)」の説明によれば、2004年、映画を撮影するために碧沽天池の周囲を破壊した愚か者がいたようです。伐採禁止地域のシャクナゲの林を500平方メートルにわたり切り倒し、湖に勝手に橋をかけ、コンクリートの建物を建て、さらにはゴミを山のように残して去ったというのです。こういう輩に芸術家を名乗る資格はありません。この記事を読んだ時、中国ならありえると思ってしまいました・・・失礼。

 

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 写真下は同じレウムなのに、外見はだいぶん違うが、どちらかというとこれが一般的です。四川や雲南に分布します。

 

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写真上 Rheum likiangense

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 湖の近くの草地に小さくて、かわいらしい花が咲いています(写真下)。ヒマラヤでは一般的な植物で、インドでは薬草として使われるようです。

 

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写真上下 Aletris pauciflora

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 写真下はリュウキンカの仲間で、チベットからヒマラヤにかけて広く分布します。

 

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写真上下 Caltha scaposa

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 写真下の変わった姿の花は主にヒマラヤに分布し、強い芳香があることから香水や漢方に用いられので、乱獲され、絶滅が危惧されています。ネットでもスパイクナード(SPIKENARD)という名前のエッセンシャルオイルとして売られています。

 

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写真上 Nardostachys jatamansi

 

 写真下は湖からは少し離れた草むらの中に生えていた、とても小さなランです。

 

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写真上下 Aorchis spathulata

 

 写真下で一緒に写っている白い花は日本ではイワヒゲと呼ばれるツツジの仲間(Cassiope pectinata)です。

 

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 写真下はメガコドンという怪獣のような名前の付いたリンドウの仲間で、日本のリンドウのイメージとはかなり違います。高さが60cmほどあるので、名前どおり大柄で迫力があり、ヒマラヤでは時々見かける花で、ブータンで初めて見た時、ユリかと期待しました。

 

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写真上 Megacodon stylophorus

 

 花の観察を終えて、崖崩れのある山道を下り始めると、陽が射してきました(写真下)

 

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独克宗古城で夕飯

 六時半頃、香格里拉市街に戻りました。

 

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 私が朝散歩した独克宗古城の中にあるレストラン・阿河頓巴餐庁で夕食です(18:53)

 

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 窓の下の裏通りは木造の伝統家屋が並んでいます。古そうに見えるだけで、大火災があったので、このあたり一帯は新しい建物です。

 

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 写真下左のようにチベット仏教の、たぶん弥勒菩薩が祭られています。弥勒菩薩は商売繁盛の神様ではないので、ちょっと意外ですが、チベットでは信仰を集めています。

 

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 お客さんのうち数人がお腹の調子が悪く、この日の夕飯は一人が食事を取りませんでした。ところが一番胃腸が軟弱な私は何ともありません。同じ物を食べているなら、これはありえないことで、他のお客さんとの違いは、私は辛い物をいっさい食べていないことです。つまり辛い物の中に問題のある食べ物があったことになります。数が多いので、どれがそれだったのかもはや特定できません。

 

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 食後、ホテルに戻りました。連泊なので楽だが、明日はここを発ちます。

 

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