地中海に咲く花 ゴゾとマルタ 5日目 2024年3月22日(金) 青の洞門、マジストラル自然歴史公園、ヴァレッタ 五時半に起床。今回の旅行では天気をほとんど気にしなくてもいいのが助かる。
ゴゾと違い、ここは丘に登らなくても日の出が見られます。
今日は、午前中、青の洞門を観光して、その後、マジストラル自然歴史公園という保護区で花を観察し、午後はヴァレッタで観光をします。 朝の散歩に出かけます。下の青い線が私の散歩コースで、海岸に沿って歩いた。 ホテルの前の海岸通りはきれいに公園化されていて(写真下)、完璧に面白くないので、海辺に降りてみましょう。
岩でできた海岸なので、景色の美しさも面白さもいまひとつです(写真下)。
岩場には人工的に加工したらしい溝が見られます(写真下)。排水溝?岩場の海藻などもほんのわずかで、探すのに苦労するほどです。ゴゾの海岸と同じで、貝殻一つ見つからない「清潔な海」です。私は霞ヶ浦などの富栄養化して濁った水を見慣れていて、しかもその水を飲まされているので、こういうきれいな海に感動するはずなのに、現実は逆におもしろくない。
海辺はあきらめて、道路と岩場の間の土手や崖にある植物を探しました。大半が隙間に自然に生えた植物だが、これまでも見たことがあり、しかも花が少ない(写真下)。
写真上 Reseda alba 朝の散歩で唯一、私の関心を引いたのが写真下左の建物で、三方向に角度をつけた出窓です。間にあるベランダのフェンスも石造りです。内側から見たら、どんなふうに見えるのでしょう?通りの建物は現代的な建物が大半で、こんな凝った建物はここしかありませんでした。色違いの部分があるから、修善しながら維持しているようです。 写真下右は、後でスリーマの他の所で見かけた同じような出窓のある建物で、青く塗られたドアと窓がそれぞれ別な様式で作られていますから、持ち主がわざと寄せ集めたのでしょう。二階のフェンスが金属で、壁もきれいですから、まだ新しい。
ホテルに戻り、昨日の夕飯を食べたレストランで朝食です(7:25)。レストランのスタッフの写真と名前が掲示してあるのは珍しい(写真下右)。
午前中の観光 今日の車の運転手のジョニーさんはお客さん一人一人と握手しました(8:33)。私は運転手と喧嘩したことはあるが、握手したのは初めてです(笑)。私はいつものように誰も行きたがらない後ろの座席を占領しました。
最初の観光は島の南にある青の洞門(Blue Grotto)です。 ゴゾに比べるとマルタは都会で道路も広く、交通量も多い(写真下)。
街の中心部から少し離れると、伝統的な蜂蜜色の建物が中心になります(写真下)。
青の洞門のある港町に到着(9:09)。駐車場から土産物店のある通りに沿って下りていくと(写真下左)、船着き場のそばにチケット売り場があります(写真下右)。
ここでも道の脇には花が咲いていて、真っ先に目についたのがアツミゲシです(写真下)。日本に帰化していて、麻薬ケシとして激しい迫害にあっています。ところが原産地の地中海では、このとおりで普通に生えており、ここでは植えられています。理由は、種が小さいのでアヘンが取りにくく、実際、このケシからアヘンが製造されたという記録はないそうです。私は日本国民の義務として、道端で時々見かけるアツミゲシを警察に通報しようと心がけていますが、老化のせいか、見た場所を記憶できず、未だに通報したことはありません(笑)。
写真上 Papaver serigerum 駐車場のそばの花の咲いている石垣は個人の敷地らしく、「立入は危険」と看板に書いてあります。
写真上 Malva
arborea その「危険」とは写真下のニワトリらしい。白いのがオスで、彼は威風堂々と歩き回り、自分の領土であると激しく宣言しながら侵入者たちを威嚇しています。番犬ならぬ「番鶏」はたしかに危険で、気の弱い私は近寄れません。
道の脇にマリアが祭られています(写真下)。こちらは幼子を抱いたマリアです。
ところが、少し下の擁壁に祭られている像はマリアだけで、イエスはどこにもいません(写真下)。ゴゾの港近くの教会と同じで、キリスト教なのにイエスがいない! もっとも日本の仏教も似たようなもので、有名な鎌倉大仏や、つくば市からも見える牛久大仏は、釈迦如来ではなく阿弥陀如来です。阿弥陀如来がお釈迦様とは何の関係もないのは、イエス・キリストがお釈迦様と何の関係もないのと同じです。阿弥陀如来は後世の大乗仏教の如来ですから、お釈迦様が説いた仏教とは別な宗教です。この点、マリアはイエスの実母ですから、まだ関係がある。
青の洞門 入江になっている船着き場に観光用の小さな舟がいくつもあって、私たちが一番乗りらしく、すぐに乗れました(写真下)。午後は波が高くなり、あまり高いと舟が出せない。今日は問題なさそうです。
下の衛星写真のように、船着き場から東にある青の洞門(Blue Grotto)を一周します。青の洞門は言葉で説明するよりも、見るのが一番わかりやすい。 海岸は、ゴゾでも見かけたような断崖の下が崩れて、橋や空洞になり、舟が入れるほどの広さができています(写真下)。
そこで見られる現象が写真下で、海底の一部が青白く光って、とても神秘的です。水面の反射光が加わることでモヤがかかり、ネット上での、燐光色や、入浴剤のバスクリンを入れたようだという表現も、笑いながら賛成です。
どういう原理でこんなふうに水底が光って見えるのか、ネットで調べても解説がありません。Wikipediaの解説は文学的で何を言っているのかわからない。
前提となっているのは、地中海の貧栄養で高い透明度を作り出していることです。 ここでの条件の一つ目は、頭上の複雑な地形で太陽の光が水面の一部にだけ差し込んで、そこだけが光って見えることです。つまり、地形が太陽光をスポットライトに使っている。 二つ目の理由が海底の白っぽい岩場か砂場があることです。いくら光が当たっても、黒い岩肌ならこんなふうにならないでしょう。石灰岩の岩か砂の表面に藻などが付着せず、白いままに残っている。写真下左は白と黒の部分のまだらになっていて、黒いときれいな青が出ないのがわかります。
写真下を比較するとわかるように、写真下右では赤紫の海藻が生えているのできれいな水色が出ません。
三つ目の条件は海の深さで、光が反射しやすい程度に浅いことです。下の四枚は沖からしだいに洞窟に近づいて様子です。写真下左の岸から遠い時には海は普通の色だが、近づくにつれて海の底が浅くなるので、少しずつ水色に変わっていくのがわかります。
一周の最後に、もっともきれいに見えたのが写真下です。水の底から光が出ているみたいで、周囲との色の落差も大きい。ネットで見ると、同じ位置での写真がありますから、船頭はこの場所をこの時間にこの位置から見ると、一番きれいに見えることを知っているのでしょう。
太陽光が洞窟の穴から斜めに差し込んで、手前の薄暗い海底の砂に当たって、浮かび上がらせる。しかも、その砂からの反射光が舟の位置からは斜めで、水の中を光が通過する距離が長いので水がフィルターの役割をして独特の青色を作りだしている。また、上にせり出した岩も重要な役割をしていて、岩が「舞台」全体を暗くしているだけでなく、直射日光を遮り、水面で反射する太陽光がないから、モヤがかからず、水底で反射した光だけの透明な水色になる。 マジストラル自然歴史公園 青の洞門の観光を終えて(9:38)、島の北西側に位置するマジストラル自然歴史公園に花を見に行きます。
こちらは幹線道路でないせいか、郊外に出ると畑が広がっています。
馬を連れた人が歩いています(写真下)。後ろに二輪車を付けていて、これはギリシャやローマ時代からのチャリオット(Chariot)ではないか。
下のレリーフのように、二輪車に人間が乗って、戦闘や競技に使ったもので、たぶん写真上の馬は今でも競技用に使われているのでしょう。 島の北部にあるマジストラル自然歴史公園(Majjistral Nature and History
Park)に到着(10:27、写真下)。2008年にマルタでは最初の国立公園として造られたというから、わりと最近です。
階段に勝手に咲いているのはキンギョソウ(写真下左)、壁に張り付いているピンク色の花はブーゲンビリアで(写真下右と下段)、自然な感じがいいですね。
写真上左で、手前に咲いている黄色い花を付けた植物は、建物のそばなので、植えられたものだろうが、地中海原産です(写真下左)。写真下右の犬クンはマルチーズではないので、マルタ原産ではありません。首輪のついた飼い犬なのに、放し飼いで、日本以外の海外では良く見られます。
写真上 Spartium junceum 先に公園の入り口にあるビジターセンターで展示物を見ます(写真下)。自然歴史公園という名前どおりに、動植物だけでなく、歴史的な民家や昔の軍事施設などが保存されているようです。私たちは花が目的なので、公園の南側のほんのわずかを歩いただけです。
ここで5ユーロ(約870円)で購入したのが“Flora field guide”で、この公園で見られる花を色別にまとめてあるので、素人にはわかりやすい(写真下左)。写真下右は子供が園内で様々な活動をする時のメモ帳で、塗り絵やゲームで子供の興味を引くように工夫されています。他の無料パンフレットは普通の作りなのに、これだけはずいぶんしっかりした作りだと思ったら、マルタのロータリークラブがスポンサーです。
写真下左の二人が案内してくれる公園のガイドで、左がサラさん、右がアレックス(Alex Casha)さんです。
私たちが歩いたのは下の地図にある緑色の遊歩道の一部で、往復3kmほどです。では、出発。
マジストラル自然歴史公園の花 入口近くには、お馴染みのクラウン・デイジーという立派な名前のシュンギクが咲いていて、マルタでは在来種です(写真下)。
写真上 Glebionis
coronaria 写真下は野生のフリージアで、ここでは外来種です。千葉県の房総半島あたりでは露地でも育つそうです。球根があるので、寒さがなければ、意外に丈夫で、オーストラリアで野生化しているのを見たことがあります。 写真上下 Freesia leichtilnii
ゴゾで良く見られた花がここでもたくさん見られます。マルタの全面積は東京都23区の半分で、大きな山はなく地形の変化も乏しいから、隣同士の島で同じような植物があるのは当たり前なのでしょう。
写真上 Bituminaria bituminosa
写真上 Diplotaxis
erucoides ゴゾとマルタの花を見て驚いたのは、外来種が少ないことです。これだけ隅々まで人が入り込んでいたら、外来種だらけだろうと予想したら、意外にも在来種が多く、固有種も失われていません。雨が少なく、環境が厳しいから、外来種は入りにくいのかもしれません。
写真上 Diplotaxis
tenuifolia 写真上 Malva sylvestris
写真上 Hyoseris
radiate 写真上 Teucrium
fruticans ゴゾでも良く見られた小さなアザミの仲間です(写真下)。ゴゾではほとんど白だったのが、ここでは一本にピンクと白が混ざって咲いているのがおもしろい。 写真上下 Glactites
tomentosa
ここもケシは期待したほど多くはなく、また時期が遅いのか、花が傷んでいるものも多い。4種類あって、明瞭に区別がつくのが、先ほど青の洞門でも見た赤紫のアツミゲシ(写真下左)、写真下中と右はボールペンの先と比べてもわかるように、小さいことで区別がつくケシです。
写真上 Papaver serigerum 写真上 Papaver hybridum 写真下左は、私の畑にも生えているナガミヒナゲシの仲間で、「長実」の由来になった実が付いています。写真下右はもっとも数が多く、世界中に広がってコーンポピー、シャーレーポピーなどと呼ばれる、いわゆるヒナゲシです。ナガミヒナゲシはオレンジ色なので簡単に区別がつきそうですが、コーンポピーも色に微妙な違いがあるので、混ざって咲くと区別が難しい。
写真上 Papaver dubium 写真上 Papaver rhoeas 予算が足りない 遊歩道の周囲には廃屋など、所々に人が住んでいたような形跡があります(写真下)。ガイドのアレックスさんに「何の建物なのか」と質問すると「予算が足りない」という返事でした。ここが公園化されたのは2008年と最近で、住人に立ち退きをしてもらったが、建物を撤去したり利用するだけの予算がないという意味でしょう。日陰の少ない場所ですから、石造りの強みで、このまま休憩所に使えそうです。
写真下のヒルガオをスティーブンさんのホームページでは、Convolvulus
althaeoides subsp. tenuissimusと紹介していますが、長いので(笑)、参考にした二冊の本での名前を使います。どちらでも良いらしい。
写真上 Convolvulus
elegantissimus 写真下は黄色いヤグルマギクの仲間で地中海ではかなり一般的です。
写真上 Centaurea
sicula 写真下のファゴニアはマルタではここでしか見られないという珍しい花です。マルタ以外では地中海沿岸の北アフリカ側に多く分布するようです。
写真上 Zygophyllum creticum 写真下は昨日、ゴゾのカーラで白いクモがいたムスカリです。写真下の下段のように、葉が横に20cmくらい広がっていて、私の畑に生えているムスカリに比べてかなり大柄です。
写真上下 Muscari comosum ここにも横顔の素敵なピンク色のグラジオラスが咲いています(写真下)。
写真上 Gladiolusi
talicus ゴゾでも何度も見かけたトウダイグサの仲間が、土も栄養も少ない岩に張り付いて少しずつ広がっています(写真下)。
写真上 Euphorbia terracina 写真下のマツムシソウはマルタに栽培用に持ち込まれ、自然に広がってしまった外来種です。 写真上 Scabiosa atropurpurea 写真下は昨日、ゴゾのタ・チェンチのハイキングでも見かけた植物で、ここは環境が合うのか花がたくさん咲いています。
写真上 Ruta
chalepensis 写真下の低木の樹木はマルタの他にはカナリア諸島、シチリア島など島のみ生息しているので、マルタの準固有種(Subendemic)とされ、マルタでは珍しくはないが絶滅危惧種です。
写真上 Periploca angustifolia 写真下のハンニチバナは地中海の西側からギリシャあたりまで分布します。昔、ポルトガルの花を見に行った時、このCistusの仲間を毎日のように見かけました。
写真上 Cistus
monspeliensis 写真下はゴゾでも見かけた全体が赤い多肉植物で、ゴゾは花が少なかった。ここのは花がちょうど盛りです。真っ赤でどうやって光合成をしているのかと疑問に思いましたが、表面を良く見ると、全部が赤ではなく、緑が入っているから、私の心配は無用でした。
写真上 Sedum
careruleum マルタの固有種のラン 昨日、ゴゾで一組だけ見つけたランが、ここにはたくさん咲いています(写真下)。マルタの固有種です。
写真上下 Anacamptis urvilleana 写真上はにぎやかだが、ポツンと一人で咲いているランもある(写真下)。
仲良さそうなカップル(写真下)。
四人姉妹と五人姉妹(写真下)。
昨日と違い、たくさん花があるので、花の色にばらつきがあるのがわかります。大まかに普通のピンク、薄いピンク、遠目には白の三種類で、白がもっとも少ない(写真下)。
このランは前はマルタにもあるAnacamptis pyramidalisというランの変種(A. pyramidalis var. urvilleana)や亜種(A.
subsp. urvilleana.)とみなされていました。今はマルタの固有種とされています。A.
pyramidalisはA. urvilleanaよりも、花が数週間遅れ、また色も濃く大柄で、区別がつくようです。
ゴゾでも見かけたハチを擬態したランがここにもあります。見つけにくいせいもあって、2本しか見つけられませんでした。もちろん、マルタの固有種です。
写真上下 Ophrys melitensis 写真下は3枚とも同じ花で、どこから見ても、何度見ても、花とは思えない奇妙な姿形をしています。
往復3kmほどの散策を終えて、ガイドにお礼を言って、昼食のためにヴァレッタに向かいます(12:31)。
ルチアーノの店 マルタはゴゾほどには小さくないので、端から端まで移動するとそれなりに時間がかかり、ヴァレッタに到着したのは1時半近くでした。 ヴァレッタ(Valletta)はマルタ観光の中心地で、教会や博物館があり、観光客でにぎわい、観光用の馬車もあります(写真下右)。
私たちがイタリア料理のレストラン「ルチアーノ(Luciano)」に到着したのが遅かったせいか(13:30)、三階には客がほとんどいませんでした(写真下)。と安心していたら、後で客がたくさん入ってきました。三階は団体や予約用らしい。
壁には古い写真などが飾られ、レトロな雰囲気で、私が知っているはずもない昔のマルタに戻ったような店です。
私が気に入ったのは、写真下左の出窓の席です。広いレストランの中でも、ここだけは隔離され、この席で、二人で外を眺めながら食事をしたら、とてもロマンチックです。もちろん、話すのは年寄の愚痴話ではなく、写真下右の鳩のように愛を語り合う(笑)。
店の名前のルチアーノ(Luciano)と聞くと、隣のイタリアのパヴァロッティ(Luciano Pavarotti)を思い出します。人生でつらい時、彼の歌を聴くと、いつも頭の上に青空が広がった(笑)。
この店は一階と三階がレストランで、二階は展示室になっていて、マルタの昔の暮らしを彷彿とさせるような家具や調度品が並べてあります(写真下)。ここはこの後に行く有名な教会が目の前にあり、ヴァレッタの中心部として立地条件が良いから、二階も店として使えるのに、無料の展示場にしておくなんて、マルタのルチアーノはパヴァロッティと同じで、太っ腹らしい(笑)。
聖ヨハネ大聖堂 食後、レストランの目の前にある聖ヨハネ大聖堂の観光です(写真下、14:36)。
ヨハネ騎士団が造ったこの教会は写真上の外見と違い、内部は金ピカで、どれほど彼らが金持ちだったかを示しているのでしょう。写真下右の、きれいな大理石の模様の入った床は彼らの墓で、人々が踏んづけて歩きます。
通路の奥にはカラヴァッジオ(Michelangelo Merisi da
Caravaggio)の有名な絵が飾られています(写真下)。彼は1600年前後にイタリアで活躍した天才画家で、しかも喧嘩で人を殺すほどの破綻者でした。 天才画家の彼は人殺しで、この絵も人を殺す場面で、マルタ騎士団も人を殺すのが仕事でしたから、この教会も血の臭いがする。現地ガイドの牧口さん(仮名)が熱心に教会の説明をしてくれても、血の臭いで私は頭が頭痛して痛いから、早く外に出たい。
外に出るとホッとします(15:05)。通路では男女が音楽に合わせて勝手に踊り始めた!陰気臭い教会よりも全然楽しい。
ここでいったん解散して、各人でヴァレッタを散策します。ヴァレッタは考古学博物館、マノエル劇場、騎士団長の宮殿など、観光施設が満載で、とても30分の自由時間で回れるものではありません。私たちは今、下の地図の赤で囲った聖ヨハネ大聖堂の近くにいますから、私は碁盤の目のような通りを一周することにしました。 大聖堂の近くは露店や道にテーブルを出したカフェがあり、いい雰囲気です(写真下)。
街中は警察もパトロールしているので、治安はよさそう(写真下)。
大聖堂の周囲は店や観光客が多いが、少し周囲に出ると、どちらも少ない(写真下)。
写真下左はたった一台見かけた車の移動販売で、こんな観光地で野菜を売っているのかと期待したら、生ジュース売りでした。
建物に特徴的なのが出窓です。二階の出窓は下の店舗に合わせて赤く塗装されています(写真下)。
写真下の出窓は商業用ではなく生活用です。
写真下は、出窓のそばにエアコンの室外機が取り付けてあります。通りから見える所に設置するのはパリなどでは御法度だそうです。しかし、マルタはもっと南で夏は暑いから無理でしょう。
ここにもいないキリスト 建物の角や行き止まりの道の奥に、キリスト教に関した像が飾ってあります。像の外見からすると、これらはイエス・キリストではなく、キリスト教の聖者たちです。
下の地図はMapcartaに表示されたヴァレッタの主な教会です。これらは地図上に表記されるくらいのヴァレッタでは代表的な教会なのでしょう。 聖パウロ大聖堂(St Paul's Pro-Cathedral) 聖アグスティン教会(Church of Saint Augustine) 聖ヨハネ大聖堂(Saint John's Co-Cathedral) 聖ロック教会(Church of St. Roque) マグダラの聖マリア教会(Church of St Mary Magdalene) 日本語名は私が適当に訳したものです。聖パウロは今日のキリスト教の教義の基本を作った人で、イエスの直弟子ではありません。聖アウグスティンは西暦400年頃の聖者、聖ヨハネはイエスに洗礼をした人物、聖ロックは1300年代の聖者、マグダラのマリアはキリストの信者です。 ヴァレッタを代表する五つの教会の名前はすべてがイエス・キリスト以外の人物です。教会内には十字架に象徴されるイエスが祭られているのだろうが、教会の名前という表看板にイエスを出している教会が一つもありません。ゴゾも聖母マリアだらけで、イエスがどこにもいない教会もありました。
キリスト教なのにキリストがいない。まるで、巨大で御立派な額縁だけが仰々しく正面に飾られ、肝心の絵画は部屋の暗がりに転がっているような光景に見えませんか。日本の仏教も同様で、お釈迦様は片すみに追いやられ、全然関係のない如来が拝まれ、日本の宗祖たちがお釈迦様とは全然違うことを説いています。仏教とキリスト教は別なのに、同じような現象が起きているのは、人間の信仰心とはどういうものかを示すようで興味深い。
四時前に再集合したのは、写真下で、四時から礼砲が鳴らされるからです。私たちがいる高台には観光客が多すぎて、下の大砲が良く見えない。これだけの大砲を連発したら、すごいだろうと期待していたら、一発だけだった(笑)。 儀礼の空砲なら楽しいだけだが、ガザではミサイルや砲弾が逃げ場のない一般人に撃ち込まれている。アメリカの大学で学生たちがイスラエルに抗議するデモをしたことを、アメリカ人のタレントがテレビで、これを「ジェノサイドの意味が違う。学生ではなく、外部から入り込んだ人たちが扇動している」と耳を疑うような発言をしていました。彼には、ガザで殺戮されている3万人をこえる人たちと飢えた人々の姿が見えないらしい。
ちょっとだけ船旅 観光を終えて、ヴァレッタの北にあるスリーマに戻ります。ここでお客さんは、車でホテルに戻る人たちと、ヴァレッタから船でスリーマに渡り、歩いてホテルまで戻る人たちと、ちょうど半数に分かれました。もちろん、船酔いする私はたとえ一人でも船で戻ります(笑)。 写真下左が乗り場で、それなりに人が並んでいて、写真下右のマルタ猫はたぶん乗客ではない。
私たちが乗る船がやってきました(写真下左)。昨日、ゴゾからマルタに渡るのに乗った舟よりもはるかに大きい(笑)。船はほぼ30分ごとに出発しますから、あまり慌てることはありません。 乗り場は現金(2ユーロ、約340円)や往復チケットだけでなく、定期券の人たちがかなりいます(写真下右)。この船は観光用だけでなく、地元の人たちが交通手段として利用しているのでしょう。
予定表では16:30が出航時間で、実際は15分ほど遅れるくらいで、予定など誰も気にしていない。湾の中は波がなく、船は揺れることもなく、風は涼しくて心地よい(写真下)。
私は皆さんと離れて写真を撮りやすい位置に座り、短い船旅を楽しんでいると、ツアーガイドの野田さん(仮名)がわざわざ人混みをかき分けて私の所までやって来て、後ろを見るように言います。 おっ!ヴァレッタに夕陽が当たり、曇り空の下で浮かび上がっています(写真下)。他のお客さんとは離れた所にいる私のためにわざわざ教えに来てくれたのは、いかにも彼女らしい細かい気づかいです。私は進行方向のスリーマしか見ていなかったので、感謝! 15分ほどの、ちょっとだけの船旅の後、対岸のスリーマの港に到着(16:59、写真下左)。
ここから歩いて、ホテルまで戻ります(写真下)。
ホテルの部屋から見たマルタの心地よい夕暮れです(17:20、写真下)。
六時からホテルの最上階のレストランで夕食です。最上階だけあって眺望はすごい(写真下)。
この眺めのド真ん中にピアノが置いてありますから、生演奏を聴きながらの夕飯など最高でしょう(写真下)。
ただ、このレストランをほめられるのはそこまでで、ピアノの生演奏がないのはしかたないとしても、肝心の料理がダメです。写真下左の海産物の揚げ物は、スーパーの安物の惣菜みたいに油がギトギトで、このレストランの高級そうな雰囲気との落差がすごい(笑)。
部屋に戻り、明日の準備をして早く眠りたいのは、明日の朝の散歩に予定外の予定が入ったからです。
|