雲南のノモカリスと青いケシ 3日目 2019年6月24日(月) 麗江 → 老君山 朝起きて、窓を開くと・・・向かいの部屋の窓が見える(笑)。部屋の温度は24.5℃で、曇り空。 今日はいよいよ麗江の西にある四千メートル級の老君山に行き、ブルーポピーなどを見ます。天気が持ってくれれば良いのですが。 六時半から二階の食堂で朝食です(写真下)。 八時にホテルを出て、ここまで車は入れないので、各人で荷物を持ち、駐車場まで移動します(写真下左)。子供たちは登校の時間らしい(写真下右)。 麗江猫が見送ってくれる(写真下)。またね。 私は店で酸素ボンベを買いました(写真下)。1本が15元(270円)だというので、2本買いました。これから四千メートル近い山に行くのですから、高山病に弱い私には必需品です。こういう商品が普通の店先で売られているように、高山病は外からの観光客は普通にかかります。 朝の風景 麗江市内は朝のにぎわいです(写真下)。ただ、それほど人はいない。 まだ朝なので朝食中の人たちもいます(写真下)。 ここでも人々の足は電動バイクで、排気ガスはありません。電動アシスト自転車などよりも、電動バイクのほうがよほど便利なのに、日本には普及せず、バイクは相変わらず排気ガスを出して走っている。日本のほうが遅れていると思いませんか。なにか時代錯誤で一部の人たちにだけ利益をもたらす規制があるからでしょう。 麗江の郊外に出ると農村らしい風景が広がります。 周囲の建物は屋根の上に飾りを付けて跳ね上げるのが特徴で、土蔵など立派な造りが多い。屋根をあんなに尖らせると落雷が心配になる。 太陽熱温水器があちこちの屋根に取り付けてあります(写真下)。私の住んでいる山形では雪があって、冬は凍結するので、取り付けが難しい。 写真下左は道端で魚を売っています。しかも、ポンプで空気を入れていますから、生きた魚です。麗江は水が豊かだし、雲南には大きな河があるから、魚が獲れるのでしょう。写真下右は魚料理の店です。 写真下左のブタ君は丸々と太って、出荷されるのでしょう。中国の田舎で良くみかけるのが放し飼いされた黒豚です。写真下右は自分の家で採れた果物を道端で売っています。 花の観察 トイレ休憩を兼ねて本日初めての花の観察です(9:29)。写真下は雲南の道端には良くあるバラで、昨日も見かけたが、種類は別のようです。私には区別がつかない。日本で言えばノイバラだが、花はこちらがずっと大きい。 写真上 Rosa
brunonii 写真下も道端で良く見かけるオトギリソウの仲間なのに、昨日とは別種らしい。つまり、雲南ではこのオトギリソウの種類が多いということでしょう。 写真上 Hypericum
uralum 写真下はトキワサンザシ(Pyracantha
)の仲間で、赤い実がついているから、いわゆるサンザシかと思ったら、別種らしい。 日本でも見かけるヤマボウシです(写真下)。ヒマラヤヤマボウシという名前が付いていて、ヒマラヤ周辺に分布します。 写真上 Cornus
capitata 薄紫の花はアカネの仲間で、日本のシチョウゲ(紫丁花)に相当するそうですが、シチョウゲは紀伊半島や高知県など限られた地域に生えている植物だそうで、当然、私は知らない(写真下)。 写真下のヒマラヤスイカヅラは、名前のとおり、雲南やヒマラヤに生育しています。花そのものよりも、ガクなどの赤い部分が良く目立ちます。オーストラリアやニュージーランドにも侵入して嫌われています。 写真上 Leycesteria formosa すごい!一面のジャガイモ畑です(写真下)。花が咲いている畑がある一方で、作付をしている畑もあります。温暖だから、一年を通して収穫できるのでしょう。 農村地帯を南下 山道の国道308号から田畑の広がる国道214号に出ました(写真下)。 下の衛星写真のように、北東の麗江から来て、東西を山に囲まれた盆地の中を南に走っています。 このあたりの平地で標高2300mほどあり、田畑が広がる豊かな穀倉地帯です。 道のある東側にも、田畑をはさんだ西側にも集落が広がっていて、風景としてはきれい(写真下)。 のどかな農村地帯が広がっている。 写真下左の金ピカの塔には「指雲寺」という名前で、矢印がついています。指雲寺を翻訳機にかけると紫雲寺になります。中国語でも指と紫は別な漢字だと思うが、意味がわかりません。ネットで調べると、この塔は案内のための看板らしく、この矢印の先に数百年の歴史のある寺があるらしい。 オート三輪車はここでも大活躍で、写真下左など後ろの荷台もピンク色で、これでピンクのヘルメットをかぶれば完璧だったのに、惜しい。 ここは甸頭村(甸头村)という集落で、通りには小さな店が立ち並ぶ田舎町です(写真下)。 写真下は肉屋で、日本では考えられないことだが、中国では道端でこんなふうに肉を切り売りする光景は珍しくありません。当然、冷凍や冷蔵の設備などなく、ハエが停まった肉をその場で売ってくれます。 老君山まで53km 老君山九十九龍潭景区(老君山九十九龙潭景区)という看板がある所で右(西)に曲がります(写真下)。看板は中国語、ローマ字、そして一番下にナシ族のトンパ文字で書かれています。同じ場所を示しているはずなのに、左右の看板では共通している絵文字が少ないので、どれが老君山を意味するのかわかりません。 山道を登り始め、やがて先ほどまで走っていた道が眼下に見えるようになりました(写真下右)。 香りの良いノイバラの咲く山道で花を探します。 写真上 Rosa brunonii ここでもオトギリソウの仲間が花を咲かせていますが、名前はわかりません(写真下)。 ニワトコの仲間が山道の脇に生い茂っていて、チベットと、隣接するブータン、シッキムなどのヒマラヤに生えています(写真下)。 写真上下 Sambucus
adnata タンポポの背を高くしたような花が咲いています(写真下)。四川省などの東チベットを中心に、雲南を南の端とするように分布しています。 写真上 Doronicum
stenoglossum きれいなナデシコの仲間か生えていて、「誰よ、君?」と聞いてみるが、名前がわかりません(写真下)。 ここにもランのようなショウガの花が咲いています(写真下)。雲南の標高2,200〜2,300mの林や草地に自生するとうのだから、かなり限定的な分布です。 写真上 Roscoea
praecox 写真下は中国の東チベットなどに主に分布していて、ネットで検索すると園芸種として売られています。 写真上下 Thalictrum delavayi 破れた日傘をさしたような大柄なマムシソウの仲間で、チベット、ヒマラヤ、雲南と地続きのタイ北部に分布しています(写真下)。写真下左などは葉の先が地面近くまで細くのびていて、いったい何のためにのばしているのか、不思議です。 写真上 Arisaema
consanguineum フウロソウはにぎやかにたくさん咲いていることが多い中、写真下のようにポツンとたった一本咲いていると足を止めてしまう。 写真下のアネモネの仲間は、雲南から西にネパール、インドなどヒマラヤを進み、アフガニスタンまで分布します。 写真上 Anemone rupicola 写真下は日本でもお馴染みのウツボグサです。ユーラシア大陸ばかりか、アフリカ、北米の温帯地域に生息し、なぜか中国名は「日本夏枯草」だそうです。 写真上 Prunella
vulgaris たった一株の小さいスミレはViola collinaではないかと思いますが、わからない。 写真下はキバナノアマナかと思ったが、花弁が四つしかない、と思ったら、六つのもある。 エーデルワイスの仲間だが、背が高いので、高山植物というよりも、ハハコグサの仲間というイメージです(写真下)。 写真上下 Leontopodium
dedekensii 写真下は和名がイワタイゲキ(岩大戟)という変わった名前だそうで、初めて知りました。日本の関東から以南、台湾、朝鮮半島南部、中国南部まで分布します。 写真上 Euphorbia jolkinii 込み入った茂みの中にジャノヒゲの仲間が咲いています。写真下左など、花が重くて倒れてしまったようで、写真は撮りやすい。実際は、花は下向きです。細い長い緑色の葉がこの植物の葉です。チベットや雲南だけでなく、飛び地して台湾にも分布するとあります。 写真上下 Ophiopogon
bodinieri 写真下はツツジの仲間のGaultheria hookeriではないかと思われますが、わかりません。 写真下は羽化したばかりで、飛び立てないらしい。柄の派手さと触覚の形から、たぶん蝶ではなく、蛾かもしれません。 道ではヒツジが移動中で、あまり放牧は見かけません(写真下)。 雲南のアヤメ 高さが10cmくらいの小さなアヤメが松林の下に生えています。群落というほどではないが、それなりの数があります。 写真上下 Iris
barbatula 良く見ると、色や姿形にずいぶん違いがあります。 雲南でのみ見られるアヤメのようです。写真下など、花だけ集まって小さな花束のようになっています。 写真下で、向こう側に白い花がたくさん咲いているのはジャガイモ畑です。アヤメは元々このあたりにたくさん生えていのだろうが、開墾されてしまい、畑にならないような崖などの隅の雑木林にかろうじて「雑草」として残っているのです。 写真下の黄色いスミレは葉がとがっていて、しかも、縁に毛が生えているのが特徴です。 写真上下 Viola
delavayi 写真下は、葉がハート型で、花弁もとんがっていてViola bifloraかと思いますが、個体差だったりします。 なんとも小さくてかわいいショウガです(写真下)。葉の花瓶に花を生けたような面白い咲き方で、花の大きさはボールペンの先端部分ほどしかありません。 写真上下 Roscoea
tibetica ところが、写真下などは後ろに葉が付いていません。前に突き出ている花弁(あるいはガク)も写真上は赤くて模様が付いているのに、写真下はピンク色ではっきりしません。同じ種類だと思うが、家庭の事情が色々とあるらしい。 そばまで近寄れない斜面の上に真っ赤なシャクナゲが咲いています(写真下)。六月後半ですから、見られたのはラッキーで、花はさすがに終わりかけています。雲南はシャクナゲの宝庫で、ピークは六月上旬です。このツアーは別な花が目的なので、時期がずれています。 写真上下 Rhododendron
barbatum 他にも薄いピンク色と、白いシャクナゲがあります。写真下はツツジのように見えますが、ツツジもシャクナゲも同じ仲間です。学名に雲南の名前が入っているように、中国名も云南杜鹃(雲南芍薬)です。 写真上 Rhododendron yunnanense あまり良い被写体がない上に、崖の斜面などに生えていて離れているので撮りにくく、近づいても、今度は高くて撮れない。写真下は中国名は「亮叶杜鹃」で、本当はもっと派手なシャクナゲです。 写真上 Rhododendron vernicosum 道路脇にはミツバチの巣箱が置いてあります(写真下)。私が毎日のように食べている蜂蜜は中国産です。 写真下右の掲示板では老君山まであと17kmで、先ほど幹線道路から曲がった所に53kmとありましたから、三分の二ほど来たことになります。 昼食のデザート 昼食です(写真下, 12:57)。昨日のサンドイッチと違い、散乱していない。 皆さんの食後のデザートは周囲に茂っているキイチゴで、味は悪くありません(写真下)。ただし、数量限定で早い者勝ちです。 食事をしている近くの斜面には立派なシオガマギクがあるのだが、花の咲き方がイマイチです(写真下)。チベットとその境界、雲南、ミャンマーなどに生えています。 写真上 Pedicularis rex 樹木を担いだオジサンが通りかかりました。根を付けたままだから、これを自宅の庭などに植えるつもりなのでしょう。 オジサンが通りかかったように、道の周囲には家が見られ、電柱があるのだから、人が住んでいるのでしょう。 印象的な強いピンク色のサクラソウで、背が高くて撮りにくい。中国名は海仙花で、四川と雲南の山岳地帯に生えます。 写真上下 Primula poissonii 学名がpoissoniiとあるから、猛毒でもあるのかとネットを見てみましたが、そんな記述はありません。 写真下のキンポウゲは雲南で良くみかけます。雲南からヒマラヤ、そしてスリランカの高地にも分布します。 写真上 Anemone rivularis ブルークローバーと呼ばれる青いマメの仲間です(写真下)。ヒマラヤだけでなく、アフリカのケニアにもあるというから面白い。インドのヒマラヤで何度かお目にかかりました。 写真上 Parochetus communis 写真下の白いショウガはRoscoea schneiderianaと思われますが、はっきりしません。 白いのだけでもわからないのに、さらに赤いショウガもあります(写真下)。 それどころか、ピンクもある(写真下)。雲南はショウガが多い。 小さなシオガマギクの仲間が咲いています(写真下)。枯葉の中に埋もれて、色も似ているので、言われないと、踏んづけそうです。 同じように枯れ葉の中に生えていたのが写真下で、これも名前がわからない。 道の両側には時々、サルオガセが見えます(写真下)。枯れかけた樹木に張り付く地衣類で、姿の不気味さと違い、これが生えているのは水と空気がきれいな証拠です。 薄ピンクのクレマチスの仲間が、他の樹木にからみついて花を咲かせています。 写真上 Clematis montana 老君山の入口に到着(写真下, 14:43)。他の人の旅行記を見ると、ここで入場料を払うようです。 そばかすリリィ 写真下のようにずいぶん標高が高くなった頃に、ノモカリスのある場所に案内されました。 ノモカリスはユリ(Lilium)に近い仲間で、雲南からミャンマーやインド北部などごく限られた地域に分布します。ノモカリスを見たければ、雲南が一番近道です。 写真上下 Nomocharis pardanthina 花弁は下地が薄ピンクでそこに濃いピンクのソバカスがたくさんついています。写真上左のように下地から濃いピンク色のもありますが、少数です。 花を拡大してみると、花弁に放射状に筋がついており、ソバカスが放射状に広がっているような印象です(写真下)。ソバカスそのものも周囲が色が濃くなるなど、虫を集めるための緻密な作戦らしい。 ユリとの大きな違いを示すのが写真下左で、ユリはラッパのような形で完全には開かないのに対して、ノモカリスは花が平らになるほど開きます。それどころが、写真下右のように花弁が後ろにそっくり返っています。これはたぶん、薄暗い樹木の下で、花弁を思いっきり広げてソバカスを目立たせて虫に見つけてもらい、しかも簡単にシベに到達して受粉してもらうための作戦でしょう。 ノモカリスの周囲が樹木だらけなのは、写真下のような、ツヅジのような背の低い樹木の間に生えているからです。だから、写真を撮るのは楽ではありません。これは、こういう樹木の間だから踏まれずに残ったのか、それともノモカリスが最初からこういう環境を選んだのか、はっきりしないが、花の開き方からすると、後者かもしれません。 赤い青いケシ 青いケシです。私は青いケシとはしばらくぶりで、このベトニキフォリアと会うのは初めてです。 写真上下 Meconopsis betonicifolia ここの花を見てもわかるように、花弁の青にかすかにピンクが混ざっています。これは青いケシには良く見られることで、最初、見た時はピンク色が邪魔だと感じました。ところが、このピンクが微妙に混ざった青を陽ざしを通した時の花がだんだん好きになりました。一つとして同じ混ざり方がないのです。 写真下左と中は花の上に種ができていますから、今咲いているのは二番咲きです。おそらく六月中旬には咲き始めるのでしょう。一方、写真下右は種がなく、花の下にはツボミができていますから、これは一番咲きです。 ケシが生えているのは、写真下のような川が流れた跡の急斜面で、かなりの勢いで水が流れるから、樹木も押し流されています。 足の速いお客さんが上のほうで呼んでいます。息を切らせながら登ると、紫色のケシがあります(写真下)。 さらにほぼピンクと言ってもいいのが咲いています(写真下)。 さらにピンクをこえて赤紫のケシがあります(写真下)。こちらはさすがに数が少ない。 写真下の二つのケシは何か語らっていて、何をしゃべっていたのかは聞こえなかったが、手前のケシはちょっと顔を赤らめています。 青いケシにばかり夢中になってしまいましたが、他の花も探しましょう。ユキノシタ、ヤマブシショウマ、サルビアの仲間が咲いています。 写真上 Saxifraga rufescens 写真上 Aruncus sylvester 写真上 Salvia castanea 写真下は青いエンゴサクです。チベット圏では青いエンゴサクは珍しくなく、当然、名前がわからない。 立派なマムシソウだが、写真下左は倒れてしまっている。Elephant Cobra Lilyという名前が付いて、ゾウとコブラは自由だが、ユリは入れないでほしい。中国以外にもブータンやミャンマーで見られます。 写真上 Arisaema elephas 写真下は特徴ある花なのに、名前がわかりません。 紫色のサクラソウは日本のサクラソウのイメージからすると、ちょっと変わった形だが、チベット圏では良く見られます(写真下)。 写真上 Primula pinnatifida 写真下はチベットでは良くみられるニワトコの仲間です。 写真上 Sambucus adnata ピンク色のきれいなシャクナゲで中国名は「亮鳞杜鹃」です。今日はシャクナゲを三種類くらい観ていますから、この時期にこれだけ見られるとは期待していませんでした。 写真上下 Rhododendron heliolepis 群龍山荘 今日の宿泊場所である群龍山荘に到着しました(16:41)。建物に書かれた名前の「龍」は簡略体ではなく、日本語と同じ「龍」が使われています(写真下左)。 山荘は湖の北側の斜面に「コ」の字型に建物群が建っています。この近辺にはこの山荘しかなく、車が通れるような道はここで行き止まりですから、10km近い山道はこの山荘のために作られたことになります。 3800mの山の上で汚水処理をどうしているのか、見てみたかったが、残念ながら、今回は時間がありませんでした。 夕飯まで時間があるので、山荘の近くにある青いケシを見に行くことになりました(写真下, 17:20)。 山荘の下にある三玄湖のそばにも青いケシが咲いています(写真下左)。ただ、生えている場所が不自然なので、誰かが植えたものかもしれません。 先ほども見たベトニキフォリアが森の中に咲いています。森の中なので薄暗いが、先ほどの場所よりも斜面がきつくないので、写真は撮りやすい。 写真上下 Meconopsis betonicifolia 先ほどの斜面と同じケシだということもあり、皆さんは早々に撮り終えて山荘に戻ったので、あたりはすっかり静かになりました。 誰もいない、青いケシの咲いている森の中で好きなだけ見ていられるのはとても贅沢な時間です。 写真上下 Meconopsis
betonicifolia うつむく花が多い中で、写真下右のように、上を向いている花も稀にあります。 先ほど見たベトニフォリキアよりもピンク色が混ざっているのが多く、写真下などはきれいです。 森の中の開けた場所にムラサキの仲間の群落があります。伐採するなど人為的に作られた空間です。 写真上 Hackelia
uncinata 写真下も色が少し違うだけで、同じムラサキの仲間でしょう。 昨日見たのと同じサクラソウです。 写真上 Primula
secundiflora 先ほど道端で見たのと同じ白いシャクナゲが咲いています。こちらのは花も多く、撮りやすい。 写真上 Rhododendron
wardii 日本のシャクナゲは背が低いが、ここでは人の背の高さよりも高い。 老君山への長い道 ここには4180mほどの老君山という山が群龍山荘の南西にあります(下地図)。 しかし、中国には他の省にも少なくとも9カ所くらいに老君山があり、しかも、雲南省で老君山と言えば、省の南にある麻栗坡县という街にある標高2579mの山のことらしい。今いる所は老君山の麓に広がる湖を指す九十九龍譚と呼ぶのが一般的のようです。 さらに問題は煩雑で、麗江の近くだけでも老君山を名乗る観光地は、老君山黎明景区、老君山国家地質公園、そして老君山九十九龍譚と3つもあることです。つまり、麗江の西側一帯を適当に老君山と呼んでいるのか、あるいは日本でも昔は地方都市の繁華街に○○銀座と名前を付けたように、中国人なら誰もが知る老子の名前を付けたのでしょう。 七年前、私はそうとは知らず、旅行ガイドに老君山に行けないかと相談すると、立ち寄れるとの意外な返事をもらったのです。彼が連れて行ってくれたのは老君山黎明景区でした(地図上)。これもまた老君山ですから、ガイドが悪いわけではない。老君山に行けると聞いて、私の頭の中は早くもシャクナゲが満開だったので、老君山黎明景区に着いた時の私の顔が青ざめたことは言うまでもありません(笑)。 以来、私はいずれ本物の老君山に行き、シャクナゲと青いケシを見たいとチャンスを待っていました。そして、今日ようやく七年ぶりに老君山にたどり着きました。 やはり辛い 六時半から山荘の食堂で夕食です(写真下)。食堂はかなりの広さで、なぜか、隅のほうにテーブルが置いてあり、テーブルの数からいくと広すぎる。帰国後、10年くらい前にここに泊まった人の旅行記を読むと、従業員が民族衣装に着替えて踊った様子が載っています。つまり、今はお客さんが減ってしまい、そういうイベントもなくなったのでしょう。 食堂の隣が厨房で、忙しそうです(写真下)。 広い食堂の隅の二つのテーブルが私たちの席です(写真下)。 残念ながら、食事はほぼすべて辛い。これでも日本人用に、唐辛子を入れないように頼んだらしい。しかし、頼んでも無理なのは私が良く知っています。調味料はじめ、あらゆる物に元々辛子が入ってしまっているから、御飯や豆腐のような物以外は辛い。しかも、彼らは辛さになれているから、少しくらい辛くても辛いと感じないから、彼らが辛くないという食べ物も私には辛い。 私が文句を言うので、豆腐と野菜を炒めた物を造りなおして持ってきました。ところが、これも辛い。炒めるのに使ったフライパンなどの調理器具から、油に至るまですべて辛子がついているから、無理なのです。チベットやインドの旅行でこういう事には慣れているので、御飯や豆腐など辛くない物を適当に食べて終わりにしました。 写真下が私の部屋です。ここは二階の部屋が設備が良く、他に客もいなかったので、私たちは全員が二階でした。ネットで過去の旅行記を読むと、ここは評価が二分していたので、心配していましたが、幸い、大きな問題はありません。 シャワールームで感心したのが白熱灯です。百ワット以上と思われる電球が四つも天井に付いています。LEDの時代に何という電気の無駄だろうと最初はあきれました。ところが、シャワーを浴びて理由がわかりました。暖房です。四千メートルの山の上ですから、シャワーを浴びて、お湯を止めると寒い。ところが、天井から白熱灯に照らされると温かい。電気は食うが、なかなか良いアイデアです。 この部屋への個人評価は余裕で五段階評価の4.0で、十分に合格です。見てのとおりで、設備がそれほど良いわけでなく、シャワーのお湯も電気で沸かしますから最小限で、建物は木造の安普請です。ドアの鍵は何度試しても掛けるのも外すのも難しく、私を含めた数人はあきらめて鍵はかけませんでした。これらの問題点を含めても、3800mの山の上で、エアコンが効いて寒い思いもせず、雨で濡れた衣類を乾かすことができて、温かいシャワーを浴びて、清潔な部屋にいられるのはありがたいことで、文句は言いません。ここに二泊します。 |