雲南のノモカリスと青いケシ 1日目 2019年6月22日(土) 成田 → 成都 二度目の雲南 中国の雲南にノモカリスと青いケシを見に行きます。 雲南に行くのは2012年以来、二度目です。一度目は花のツアーではなかったので、私には不満足な結果に終わり、もう一度訪れてみたいとと思っていました。ただ、中国は日本からは近場で、比較的行きやすいので、つい後回しになっていました。しかし、そうは言っていられない事情がおきて、急に参加することになりました。その事情については別な機会に話しするとして、直前に参加を決めたので、7年前の古い資料をひっくりかえした程度で、下調べが不十分で、少々不安です。 今日は成田から四川省の成都まで移動し、明日、雲南省の麗江に向かいます。 中国に行ったのは2013年が最後で、6年ぶりですから、きっと大きく変貌していることでしょう。いずれ使うだろうと手元に残していた中国元を取り出しました。 参加者はツアーリーダーの松森さん(仮名)を含めて女性6人、男性5人の合計11人です。この内、二人のお客さんとは前に一緒だったことがあります。一人は、チリのアタカマ沙漠のツアーで一緒だった方で、飛行機で窓側の席を譲ってくれました。成田空港で別れる時にお礼を言うのを忘れていたので、4年ぶりにお礼を言いました。もう一人は、この旅行の直前のキルギスの旅行で一緒だった方で、4日ぶりの再会に「やあ、お久しぶり」と旧交を温める(笑)。 飛行機は中国国際航空のCA460便で、成田を8
:50に出発して約5時間半の飛行の後、成都に13:20に到着予定です。掲示板には飛行時間は5時間とあります(写真下右)。 飛行機はほぼ予定どおりに曇り空の成田空港を離陸して、日本列島を縦断するように南西方向に向かいます(9:14)。 ビジネス席 直行便はありがたい。しかも、私はちょっとしたラッキーで成都まではビジネス席です!! 乗り込むと離陸前にさっそくウエルカム・ドリンクです(写真下)。これはエコノミーではどんなに早くても離陸前はありません。お茶でもあればありがたいが、なかったので水にしました。スリッパも付いている(写真下右)。色柄が気にいったので、中国経由で日本まで持ち帰りました。 食べ物などを置く台は、エコノミーでは前の人の座席の後ろについているが、ここでは写真下のように脇のボックスに格納されています。 離陸後、三十分もたたないうちに手拭きとナッツと飲み物が出てきました(写真下)。出された手拭きは、エコノミーのような紙製ではなく布巾で、しかも受け皿の上に乗せてある。ナッツ類もエコノミーのようなビニール袋入りではなく、ちゃんと容器に入れてあります。昔、ナッツ姫と呼ばれた大金持ちの女性が、ナッツが袋のまま出されたとして怒りだして、自分の会社の飛行機を遅らせたという武勇伝がありました。ここでは袋から出してありますから、彼女も満足していたでしょう。 食べ物は白いテーブルクロスの上に置きます。 写真下が昼食です。昼食の時間も事前に客室乗務員からの聞き取りがあり、こちらが頼んだ時間に出てきました。エコノミーでは、私は座席が後ろで配膳が最後のほうなので、食べている最中に片付けが始まったり、希望の料理がなくなることもあります。 写真下左を見てください。九つに分けられたおかずがあり、味噌汁もちゃんとした容器に入っています。写真下右の御飯類はそれが終わった後にでますから、量も十分です。 食事が終わった後にデザートも皿に盛りつけて出てきます(写真下左)。一方、この日のエコノミーの食事が写真下右で、松森さんのを撮らせてもらいました。写真上左の9品目に対して、写真下右は4品目で、数字の上でも歴然とした差があります。 食後も瀬戸物のカップでお茶を飲みます(写真下左)。カップの中に茶葉を直接入れて飲むのは中国式です。これは出したお茶が本物であるという意味も含まれています。写真下右も配られた中国製の食べ物で、字と袋の印象から口に入れたとたん火事になりそうなので、返品しました。昼食は日本で調達するから辛くなく、四川省あたりの中国人から物足りないという苦情が出ているので、準備したのでしょう。 ビジネス席のトイレは最高でした。トイレは一つで、写真下のカーテンの向こうにあります。客は三人しかおらず、二人は爆睡中ですから、ほぼ私の専用トイレで、せっかくですから、二回も行きました。エコノミーでも私は窓側の席を取るから自由にトイレに行けないので、隣の人が立ちあがったら、それほどトイレに行きたくなくても、すかさず行きます。ここはそんな神経を使う必要もない。 そのビジネス席のトイレで面白い物を見つけました。灰皿です(写真下左)。今の飛行機は全面禁煙で、もちろんこのトイレにも禁煙の表示があります(写真下右)。つまり、この飛行機は航空機が禁煙になる前に作られた古い飛行機なので、トイレから灰皿を取り外さなかった。1992年にICAO(国際民間航空機関)が国際的な機内禁煙化を勧告したが、これが日本で本格的に浸透するには時間がかかり、日本航空や全日空が全面禁止に踏み切ったのは1999年頃だと言われています。そのため、ネットで見ると、日本の飛行機でも未だに座席の手すりに灰皿のついた飛行機が飛んでいるとあります。 これが古い飛行機であるもう一つの証拠に、ビジネス席なのに座席にモニターがありません。昔の飛行機みたいに、前の天井に小さなモニターが一個あるだけです(写真下)。しかも、画面が縦横の比が3対4の古いタイプです。 ビジネス席は2列に片側2座席で、全部で8座席あり、客は私を含めて3人しかいません。一人は離陸前に爆睡、もう一人も食事の後に寝てしまったので、客室乗務員が窓を閉めてしまい、私の横の窓以外はすべて閉じられ、おやみすモードです・・・今はまだ昼の12時前後です。 しかし、まだ午前中ですから、私は眠くない。眠りたい人のためにアイマスクでも準備すればいいのに、そういう細かい配慮はありません。 この飛行機に対する個人評価は五段階評価は、おまけしてC(普通)としておきます。座席が広い事や食事は要件を満たしているが、飛行機自体が古いまま改装もしておらず、国際線なのにモニターもついていない席をビジネス席とするのは無理があります。 中国大陸に入っているはずなのに窓の外は雲海が続くだけで、地面がまったく見えません(写真下)。中国大陸に入ってから成都まで三時間以上はかかるだろうに、その間ずっと雲の上です。 中国は天気が悪いらしく、旅行前に調べた雲南の天気予報ではすべて小雨とあり、私は防水カメラのバッテリーを一つ増やして持ってきました。 今回の旅行は出発前から大混乱でした。4日前の6月18日にキルギスから帰国しました。ところがキルギスで預けたスーツケースが成田空港で出てこない!次の旅行にスーツケースが間に合わなければ、全部を買い直すしかありません。カメラの充電器など、近くのカメラ屋でも在庫はないだろうから、一日かけて東京に行き、買い集めることも考えました。ヒヤヒヤさせられ、幸い2日後の20日に私の手元に届き、急いで洗濯をして、何とか昨日21日には荷物をまとめることができました。 やがて飛行機は高度を下げ始めると、眼下に地上と街並みが見えてきました(写真下)。何度か成都に来たことがあるが、たいてい飛行中は晴れていても、成都の付近は雲に覆われているのに、今回は逆です。 成都の街中 少し青空も見える成都双流国際空港に到着(中国時間13:21、日本時間14:21)。ここで時計を一時間戻して、今は一時すぎです。 五時間と少しの飛行だったので、疲れてもおらず、これからホテルに行くだけなので、気持ちも楽です。 空港の建物の外に出てから、私はキョロキョロと探し物をしています。 いた!パンダ(写真下左)・・・あれ、何か雰囲気が違うなあ。7年前は写真下右のように赤いパンダが軽快に走っていたのに、すっかり太って、金色の豚パンダになっている。ターミナルが複数あるから、別な所に出たのかもしれません。 迎えのバスでホテルに向かいます(写真下)。現地ガイドの張立峰さんから中国元を5000円=290元で買いました。1元=17.2円ですから、この旅行記では18円で換算します。ネットでの相場は1元=16円くらいです。前回の2013年での実際の換金も1元=17.4円でしたから、ほとんど変わっていないことになります。 成都は雲南に行く途中に立ち寄るだけなので、ホテルは空港のすぐそばで、成都の中心部からは離れています(下図)。 成都は近代的な大都市です。ただ、それでも写真下右のように電線が未だに空中を走っている所もあります。日本の電線風景はほんとうにひどく、こういう点では日本は発展途上国です。 日本との違いで目につくのは写真下の三輪タクシーです。普通のタクシーもあるが、小型で安い。調べてみると、日本も昔はこういうのがあったが、今のタクシーに統一されてしまったようです。 日本と大きく違うのは、写真下左のバイクなどがすべて電動バイクであることです。とても不思議なことで、日本では未だに環境に悪いガソリンを使ったバイクと、不便な電動アシスト自転車があるだけで、電動バイクは普及しません。 七年前と違うのは写真下のレンタル自転車で、街のいたるところで見かけます。 時間帯のせいか、幹線道路のせいか、あまり通りには人の姿はありません。 ホテル到着 本日のホテル家園国際飯店(家园国际酒店、Homeland
Hotel Chengdu)に到着(14:37)。 客が多いというほどでもないのに、手続きにかなりの時間がかかりました。ホテルのロビーは広々としてかなり豪華な四つ星ホテルです(写真下)。 赤い胡蝶蘭が飾られています(写真下)。 このホテルは宿泊客だけでなく、結婚式に力を入れているらしく、その展示などにかなりのスペースをとっています(写真下)。 私たちが手続きを待って座っているソファーの前にあったのが、写真下の大きな看板です。結婚式をこのホテルでどうぞ、という広告なのかと思ったら、「This
love is ours」と書かれた看板には、おそらく実名と思われる二人の名前が入っています。つまり、この看板は広告ではなく、ここに写っている人の結婚式で実際に使われたものなのでしょう。 結婚式は晴れの舞台らしいから、ショーのように派手に演出するのは日本も同じで、結婚を告知して祝ってもらうというよりも、見栄や自己顕示欲でやっているように見えることもあります。だから、結婚式だけでなく、冠婚葬祭や儀式は総じて苦手というか、嫌いですので、私を呼ばないでください(笑)。 中国では年々、婚姻が減り、逆に離婚が増えて、10組結婚する間に3組が離婚しています。日本は2018年に結婚が59万件、離婚が20万件ですから、ほぼ同じです。日本と違い、中国は女性の就業率が高く、職業上の男女格差も日本よりも少なく、経済的な自立が容易です。 写真下はロビーの後ろにある店の前の通路で、結婚式を行う業者の店らしい。まるでどこかの見世物小屋みたいだが、中国人はド派手がすきだから、こんなものなのでしょう。 写真下のような普通の土産物屋もあります。 ホテル周囲の散歩 夕飯まで時間があるので、散歩に出かけることにしました。下の衛星写真を見ればわかるように、ホテルの周囲は計画的に大規模開発されたマンション群です。 その入口の一つが写真下で、門番がいて、住人以外は入れませんから、高級住宅地です。猫でも狸でも出入り自由な私の田舎町とは大違いだ。 ホテルのすぐ脇の通りは大きな樹木が生い茂って適当な木陰を作り、マンションの住人たちを客にした小さな店が並んでいます(写真下)。歩道にはテーブルが出ているのを見てもわかるように、広さに余裕があります。日本は残念ながら、この余裕がない。豊かさとはこういう余裕を言います。 街路樹に金色の布が巻いてあります(写真下)。宗教的な意味や防虫、あるいは黄金の実がなる木などの理由を考えましたが、これは反射板?黒い幹がわからず、車がぶつかってしまうのを防ぐためかもしれません。 通りに人は少ないのは蒸し暑いからで、冷房の効いた店内では麻雀をしている人たちがいます(写真下)。 露店もあり、暑いからスイカは売れるでしょう(写真下)。 写真下左は大半が子供用のオモチャのようです。写真下右は「快速」と書いてありますから、配達業者らしい。 写真下のように、猫を紐でつなぐのは中国ではたまに見かけるが、自由気ままを好むネコにとってはかなり苦痛でしょう。気のせいか、ちょっと悲しげ。 マンション群を通過して、通りを進むにつれてだんだん閑散として来て、写真上のネコを境に、廃屋と野原が広がるようになりました(写真下)。 野原には目立った花が見えないだけでなく、ゴミが捨てられていて、入るのは危険です。道路の両側に大量のレンタル自転車が捨てられている(写真下)。レンタル自転車業は乱立しているというから、倒産して捨て場に困り、トラックで積んできて、道端に投げ捨てて行ったのでしょう。 暑くて、ゴミが不愉快で、つまらないので、引き返そうかと思っていると、高速道路が見えてきました(写真下左)。高速道路に沿って公園化されているので(写真下右)、そこまで行ってから引き返すことにしました。 芸術村 高速道路をくぐり抜けると、武侯大道という幹線道路に出ました(写真下右)。道の反対側に門があり、門の上には「天芸村」とあります(写真下左)。 門番らしい人がいるが、歓迎もされなければ、止められもしませんから、遠慮せずに入りましょう。 ここは濃園国際芸術村B区天芸村(浓园国际艺术村B区天艺村)です。 (http://www.cdnongyuan.com/) 最初、中国語の艺术を芸術とは読めずに、芝と木だから、花や樹木を植えている公園かと思いました(笑)。 園内の看板や表示を見ているうちに、どうやらここは芸術を主体とした村らしいことがわかってきました。 写真下は樹木の幹か、それとも彫刻?まるで溶岩が固まったみたいです。 写真下左の、後ろの偉そうな人は手をあげて天を仰ぐだけで、子供のブランコを押してあげる気はないらしい。 赤ん坊がうつ伏せに寝たままなので、苔むしてしまった(写真下左)。 室内に飾ってある芸術品もあるが(写真下左)、値札が付いていると恐いので、気の弱い私は入れません(笑)。 写真下は芸術か、客引きのためのフィギアか。写真下左のお姉さんが何を怒っているのか、写真下右の二人が何を表現しているのかわからないから、これは芸術でしょう(笑)。 写真下左はわかりやすい芸術で、たぶん酒です。壺に入れて熟成させているのでしょう。 村の中には建物がいくつもあり、人々が暇そうに三々五々集まっている(写真下)。 おいおい、君、窓から入ろうというのかい?いいけど、落ちるなよ(写真下左)。 おいおい、お父さん、そんなところで子供にオシッコさせなくても、トイレがあるよ(写真下左)。 園内は水の豊かな成都らしく、池があり、水はあまりきれいではないが、植物が繁茂していて、涼感があります(写真下)。かなり手入れされているのがわかります。 奥のほうに西日が射しているレストランなどがあり、料理をしている音が聞こえます(写真下)。そんな音を聞くと、お腹が空いてきましたから、芸術観賞はこのくらいにして、ホテルに戻りましょう。 広いレストランで夕飯 6時からホテル内のレストランで夕飯です。広々としたレストランで、広々すぎて、私たちしかいない(写真下)。 品数は多いが、ここは四川省ですから、辛いのが普通です。見ただけで辛いのは辛く、見ただけではわからない物も辛い。辛い物がダメな私は他のお客さんにまず毒味してもらい、辛くないといわれた物を少しだけとって食べてみる。つまり、他人の味覚を信用していない(笑)。 普段は辛い物も食べて、カレーライスなど普通に好きです。しかし、胃腸が弱いので、旅行中は辛い物は避けます。これまでの経験からも、辛い物を徹底的に避けると旅行中の胃腸の具合が違います。今回の旅行では別な意味でこれは役立ったことは後でお話します。 写真下が私の部屋で、四つ星ホテルだけあって、見た目も悪くありません。 ただ高速道路に面しているので、騒音で窓は開けられない。 バスタブが付いていて、ポットなどの備品やお茶などの消耗品も良くそろっています(写真下)。 部屋をパッと見渡して気になったのが、壁に取り付けられた灯りです(写真下左)。後ろの壁の線から見ても、明らかに斜めに取り付けてある。気になって後ろを見ると、取り付けがいい加減で、壁との隙間があるだけでなく、壁に開ける穴の位置が悪く、穴がはみ出ていて、修復もされていない(写真下右)。私も時々、素人工事で失敗することがあるから、親近感を覚えるが、日本なら工事のやり直しです。 中国のホテルはおもしろい物が置いてある(写真下)。灰皿があるのがいかにも中国らしい。写真下左は体重計です。スーツケースの重さを測るのには便利です。 体重計だけでも珍しいのに、圧巻はガスマスクです(写真下)。と言っても、毒ガス戦争のためではなく、火災時の避難のためでしょう。これはなかなかのアイデアです。 ホテルの手続きにかなりの時間がかかったのは問題だが、ガスマスクという予想外の展開に、個人的な評価は余裕で4.0の満足とします。 |