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チリ・アンデスの奇妙なスミレたち

1日目 20191210()

成田 (ロンドン)

 

 チリのアンデス山脈にあるロゼット・ヴィオラという珍しいスミレを見に行きます。この花のツアーはネイチャリングツアー事業部が独自に開発したもので、私は今年9月に行った南米のエクアドルでもその仲間を見ました。写真下はエクアドルで撮影したロセット・ヴィオラの一種です。「これがスミレ?!」と、自分の周囲にあるスミレのイメージとあまりに違うので、進化のすごさに驚いたというよりも半ばあきれました。

 

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写真上 エクアドルのチンボラソ山で2019912日に撮影

 

 参加者はツアーリーダーの松森さん(仮名)を含めて女性6人、男性4人の合計10人で、半数以上のお客さんとはすでに顔見知りです。今年は9月に台風15号の影響でエクアドルのツアーが大混乱になりましたから、少し早目に成田空港に行きました(写真下)

 

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 地球の反対側にある南米チリまでの直行便はなく、主にアメリカ経由、欧州経由、中東経由があり、この順序で時間がかかります。アメリカ経由がもっとも短いが、その代わり、アメリカでは経由であるにもかかわらず、いったん入国して、また出国するという面倒さに加えて、イランや北朝鮮などに訪問したことがある人は事前にビザを取らないと入国が認められません。その場合の特別なビザを日本で取得するのは、指定された日時に東京のアメリカ大使館まで出向き、英文の書類を出すなど、気の遠くなるような手間暇とお金がかかると言われています。

 その結果、旅行会社の中にはアメリカ経由を避けて欧州や中東経由を選ぶことがあるようです。今回も、距離は少しあるが、イギリス経由でチリまで行くことになりました。どちらにしろ、地球の反対側まで行くのは大変です。

 

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ボーイング787

 飛行機は英国航空(British airways)BA0006便で、成田を12:35に離陸し、12時間35分の飛行の後、16:10にロンドンに到着予定です。

 

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 私の座席は一番後ろで、下図のように、エコノミークラスでは左右のここだけが二座席で、他はすべて三座席です。予約金まで払ってこの席を確保したのは、二座席でトイレに立つのが楽だということと、写真上左ではちょっとわかりにくいが、座席と窓の間が少し空いているので、荷物を置くのが楽だからです。

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 機体はボーイング787-9で、十年ほど前に就航したばかりで、私の最も嫌いな飛行機の一つです()。不幸にも、今回は往復4回乗るすべての飛行機がボーイング787の予定です。嫌いな最大の理由が窓で、他の飛行機の窓は客がシェードを下ろすことで閉めているのに対して、787ではエレクトロクロミズムといって、電圧をかけると色が変わるガラスを採用しました。これによって、客室乗務員などが自由に窓の「開け閉め」ができるようになりました。

 逆に言うなら、客の自由度はありません。この飛行機でも食事が出た午後三時頃までは写真下左のように開いていたのに、その三十分ほど後には写真下右のように真っ青に固定されてしまい、客席から解除できません。

 

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 窓の開閉の自由だけでなく、空気の吹き出しの選択もできません。たいていの飛行機は客の真上に空気の吹き出し口があり、客が自分で開閉できました。ところが、787には写真下のような吹き出し口があるだけで、開閉はできません。客の自由度や快適さを奪うようなやり方で経費節約した飛行機なのでしょう。

 

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 この飛行機自体にも問題があり、写真下左は天上のプラスチックのカバーがずれて隙間がある。また、離着陸の時、私の座席の上から雫が落ちてきました(写真下右)

 

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英国航空は不思議の国

 英国航空(British_Airways)への個人評価は五段階評価の一番下のEで大いに不満足で、航空会社に文句を言いたい。一つ目の理由は、座席の予約をネット上でとろうしてもできなかったことです。この航空会社の座席予約は有料だが、四便の飛行時間が11時間40分~14時間35分と長いので、予約を取ることにしました。

 ところがネットで座席の選択をして確定しようとすると拒絶です。この航空会社はメールの問合せはできない!電話で相談して、指示されたことをすべて試してもネット予約ができない。電話で予約しようとしたら、私が普段、ネットや実店舗などあらゆる所で使っているクレジットカードを受け付けず、別なクレジットカードを使ってようやく予約が取れました。

 

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 単なる座席の予約にすぎないのに数日かかり、『不思議の国のアリス』の三月ウサギと話をしているような錯覚に陥りました(上図)

 これだけでEという極端に辛い点数を付けたのではありません。英国航空とのトラブルは帰国の便でも、また帰国後も続いたからです。それについては後で書きます。

 

 

眠ってくれ

 曇り空の成田空港を少し遅れて離陸しました(13:01)。北西方向に本州を横断するので、雪山が見えてきました(写真下)

 

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 飛行機は新潟から日本海に出て(写真下左)、ロシアに向けて北上します(写真下右)

 

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 飲み物とスナック菓子が出て(13:52)、一時間ほど後に昼食が出ました(14:52)

 

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 食事が終わった三時半頃には、窓が青く固定され、機内は写真下のように真っ暗です。眠りたい人がいるなら、アイマスクを配ればいいが、そうではなく、全員に寝てほしいのです。しかし、まだ日中ですから、私に眠れと言われも無理です。

 

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 午後3時に昼食が出て、次の食事は夜中の0時近くの23:49でした。9時間も何も食べなかったら、さすがにお腹がすきます。事実上、夕飯がなく、夜食が出たようなものです。夕方に食事を出さない理由は経費節約以外にも航空会社共通の理由があります。

 

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 客室乗務員たちの仕事を減らすためでしょう。食事の時間配分は、離陸した12時間後と着陸する12時間前です。約12時間もの飛行時間がありますから、仕事を前後に集中させ、それ以外の時間は窓を閉めて暗くして、客に眠ってもらうことで、仕事を減らす作戦です。

 これは英国航空だけでなく、長時間飛行をするたいていの路線で見られます。そのために、この便がそうであるように、まだ明るい時間帯に窓を閉めて、客に眠ってもらう。

 

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 お腹が空くのはお菓子でも持参すれば良いが、眠くもない時間帯に灯りを消され、窓の外が見られないなど、長い時間自由が奪われるのは不愉快です。しかし、文句を言っても始まりませんから、暇に任せて映画でも観ることにしましょう。

 

『アド・アストラ(Ad Astra)』(アメリカ、2019)

 作品そのものは好きになれないが、父親役で出ていたトミー・リー・ジョーンズの演技力には脱帽です。日本でも缶コーヒーの広告に宇宙調査員ジョーンズとして出ている俳優です。

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ(Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw)(アメリカ、2019)

 マッチョな二人が殴り合いをして敵をやっつけるという、私の好みにはまったく合わない映画です。それなのにどうして観るのかというと、もちろん、暇つぶしです。

Pavarotti: Genius Is Forever(2019)

 2007年に死んだテノール歌手パヴァロッティの人生を描いたドキュメント映画です。私は気持ちが落ち込んだ時には、良く彼の曲を聴いていました。すると、頭の上を覆っていた雲がなくなり、イタリアの青い空が広がり、陽がさんさんと射してきました。

 

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 不満タラタラの客は、映画を観て疲れたので、少し眠ることにしました。

 

 

ロンドン到着

 成田を出発してから12時間ほどで、イギリスが近づくと、ようやく窓の青が解除されて、普通の外の風景が見えてきました。地平線に見える太陽は1211日の朝日ではなく、1210日の夕暮れです。

 

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 ロンドンは空港が混んでいるらしく、10分ほど遅れるというアナウンスが入り、飛行機はロンドン上空を何回か旋回して、時間を稼ぎます(写真下)

 

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 やがて夕方のロンドンの街灯りが見えてきて、ヒースロー空港に着陸しました(イギリス時間121016:16、日本時間121101:16)

 

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 ヒースロー空港( Heathrow Airport)は旅客ターミナルをいくつも持つ巨大な空港として知られています(写真下)

 

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 私たちはここでサンティアゴ行の飛行機に乗り換えます。掲示板を見ると、BA251便は20:45にならないと出発ゲートが決まらないとありますから(写真下右)、三時間近くも移動さえもできず、待つしかありません。

 

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 ようやく出発ゲートが決まり、空港内の地下鉄を使って移動します(写真下)

 

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 英国航空のBA0251便は、22:00にロンドンを離陸して、14時間35分飛行した後、チリのサンティアゴに翌日12 11日の09:35に到着予定です。成田からロンドンまでの12時間35分も長いのに、さらにそれよりも長い14時間35分ですから、数字だけで憂鬱になります()

 

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 この飛行機もかなり混んでいますから、英国航空は商売がうまいらしい。私の座席は、また二座席の窓側を予約したので、トイレに行くのが本当に楽でした。

 

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 ほぼ予定どおりの22:16に飛行機はヒースロー空港を離陸しました。

 

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 離陸して一時間ほどで飲み物とスナックが配られ(23:29)、さらに一時間ほどして食事が出ました(24:39)。前の飛行機ではコカコーラが1本だったのに、この飛行機では2本くれました。1本150ccの小さな缶なので、2本でちょうど良い。

 

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 暇つぶしに、期待もせずに観た下の映画はなかなかおもしろかった。お腹いっぱいになったところで、一眠りしましょう。先は長い。

 

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図上 『ボス・ベイビー』(The Boss Baby、アメリカ、2017)

 

 

 

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