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ヒマラヤの青いケシ

1日目 201575()

成田 → デリー

 

青いケシを見るツアー

 インド東部の四千メートルのヒマラヤに青いケシを見に行くツアーに参加しました。

 朝八時半頃に成田の駐車場に到着した時は雨です。これが今回の旅行を象徴することになりました。

 集合時間9:30で、私が九時前に着いた時には半数くらいの人がすでに来ていました。参加者は客が15人にツアーリーダーの松森さん(仮名)を加えて16人で、内訳は女性12人、男性4人です。客15人は満席です。参加者が10人を超えたので旅費も2万円が返金され、得した気分。

 今日は、成田からデリーまで行き、そこで一泊します。

 

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中国領?

 今回行くインドのアルナーチャル・プラデーシュ州(Arunachal Pradesh)と言われてすぐにわかる方は相当にマニアックな人でしょう。私もツアーが開催されるまでは名前も覚えていませんでした。

 

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アルナーチャル・プラデーシュ州の紋章

 

 地図を見ればわかるように、この州はインドと言っても西にブータン、東にミャンマー、そして北に中国のチベット自治区にはさまれたインドの東端にあります。下の地図の赤い斜線がアルナーチャル・プラデーシュ州で、こんな所もインドなのだと驚かされます。

 

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アルナーチャル・プラデーシュ州の位置

(wikipediaより転載)

 

 ここが1990年代まで旅行者が入れなかったのは紛争地域だったからです。下の地図を見てください。中国語のウィキペディアの「阿鲁纳(アルナーチャル・プラデーシュ)」に載っていた地図です。中国、印度、不丹(ブータン)、緬旬(ミャンマー)に囲まれた中央の赤色が現在のアルナーチャル・プラデーシュ州の一部です。青線が「中国要求」とあるように、この州を中国の領土だと今でも主張しているのです。

 

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近年、アルナーチャル・プラデーシュ州は観光客を積極的に誘致するようになりました(「インド北東部地帯のツーリズム」脇田道子、社会学研究科紀要、75号、119頁、2013)2012年に、旅行ガイドブックで有名なロンリープラネット社が「最後のシャングリラ」という表題で紹介したそうです。シャングリラは中国だけでも三カ所あるそうで、「最後のシャングリラ」はいつになったら本当の最後になるのでしょうか()

 

 私の知る範囲でいうなら、2013年には西遊旅行がこの地域へのツアーを催行しています。昨年の2014年には日本橋トラベラーズクラブが「知られざるワイルドフラワーの聖地」というタイトルでこの地域の青いケシ見る旅行を催行しました。私は2015年にこのツアーに参加するつもりでした。すると、花ツアーの本家のネイチャリングツアー事業部が201411月にこの旅行企画の募集を始めました。私は両社の企画を比較して、正月早々にも申し込むつもりでいました。

 ところが、ネイチャリングツアー事業部が11月に募集を始めたとたん、事前の宣伝が効いたのか「催行決定」の表示になりました。来年の他のツアーはどれも催行決定ではない中、七カ月も先のツアーが催行決定になったのを見て、もはや日本橋トラベラーズクラブの発表を待つこともできず、私はあわてて申し込みました。

 下の図は私が申し込んだ一週間ほど後の11月末のネイチャリングツアー事業部のホームページに掲載されていたツアーの募集状態です。ツアー開催の7カ月前に満席でキャンセル待ち状態でした。どのツアーもこんな状態ならツアー会社もうれしいのでしょうけど。

 

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 今回訪問するのはインドの一部というよりも、ヒマラヤの一部、チベット文化圏です。下の地図のように、今回の訪問地を赤丸で、私がこれまで旅行した場所を青丸で記入してあります。

 

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インドのビザは顔が命

 インドを旅行するのには昔からビザが必要です。旅行会社に依頼したのですが、煩雑さが増えているのには驚きました。十数年前、個人で旅行した時は東京のインド大使館までビザをもらいに行ったことがあり、2008年にインドに行った時も、旅行会社に手続きを依頼しましたが、今回のような煩雑さは感じませんでした。

 私は六月に海外に出るので早目に手続きをとってもらうため、一カ月前から旅行会社と書類を二往復して、ようやく間に合いました。旅行会社は最短で手続きをしてくれたにもかかわらず、パスポートを旅行会社に送ってから、戻ってくるまで三週間もかかりました。

 ビザのための写真の大きさが、目の下から何センチ、顔の大きさが何センチと決められています()。出発する前から、いきなりインドの懐かしい臭いをかがされたような気がしました()

 そろそろお互いに短期観光はビザ無しにしてほしいものです。

 

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(http://indiavisajapan.com/Japanese/pdf/Photo-Spec-FINAL.pdfから転載)

 

 

インドへ

 インドで換金する予定だが、念のために成田空港の銀行の掲示板を見たら、隣に貼ってあった取扱いしていない通過の一覧表の一番上にインドのルピーがありました(写真下)

 

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飛行機は11:30出発予定が、なぜか11:15に変更になっています(写真下左)。飛行機はボーイング787という最新鋭機で、私は乗るのが初めてです(写真下右)

 

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 予定が早まったわりには、離陸したのは11:50でした。

 エア・インディアはネットでの座席予約ができませんでした。今の時代に、エア・インディアほどの大手がネットでの座席の予約もできないなんておかしい。幸い、私の希望座席は多くのお客さんからは不人気な席なので、空港で取れました。

 

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 私の座席は一番後ろの39Aです。ごらんのようにほぼ全部が三座席で、窓側を取るとトイレに立つのが容易ではありません。二座席はたった二カ所、一番後ろ(右側)のみです。幸い、飛行機はそれほど混んでいなかったので、隣に人も来ませんでした。

 

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 離陸して三十分ほどたって、スナックと飲み物が配られました(12:35、写真下右)。この時、気が付いたのですが、天井からのライトが動かせない。これでは、本を読みたいと思っても難しい。従来の飛行機は多少ではあるが調整が効きました。ボーイング社がこんな設計をしたとは驚きです。経費節約のため??

 

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 スナックに続いて昼食が配られました(13:14)。サラダは生のニンジンのスティクが何本も入っており、硬くてあまり食べやすくはないが、ウサギになって食べました。デザートのクリームの中にもなぜか刻んだニンジンが入っていて、しかも猛烈な甘さで一口でやめました。

 この頃、飛行機はかなり揺れて、中国上空まで揺れが続きました。

 

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青い窓

 離陸して間もなく、窓ガラスが青くなり、外の景色が見えにくくなりました(写真下左)。この飛行機はボーイング787の最新鋭機で、遠隔操作で窓を青くして、外からの光を遮蔽できるのです。ボーイング787は別名をドリーム・ライナーと言いますから、客はさっさと眠ってくれということのようです。しかし、これでは外の風景の写真を撮りたくてもできません。窓の下にはボタンがついているから、客に操作させることも可能なのでしょう。だが、どう押しても、反応しません(写真下右)。つまり、飛行機側で固定して、客に選択させないことで、客室乗務員の手間暇を省いたというわけです。

 

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 写真下は私の右後ろの飛行機の最後部の座席で、カーテンがついています。実際に後でカーテンを閉めて、客室乗務員が眠っていました(写真下右)

 この飛行機は昨夜インドを出発して、約九時間の飛行の後、今日の朝八時頃に日本に到着し、その後、十二時前に再びインドに向けて飛行します。インド人の客室乗務員は数時間の休息の後、再び乗務するから、かなり大変なのでしょう。

 こういう勤務形態を見れば、外は明るくても、窓を青くすることで早く客に眠ってもらい、仕事を減らしたいという気持ちもわかりますし、客室乗務員が仮眠を取る座席があるのもわかります。しかし、それは航空会社の経費節約という都合であって、客へのサービスは別問題です。

 

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 まだ日中だというのに、窓は深い海の底のように青く(写真下左)、飯を出したのだから、さっさと寝ろといわんばかりに、室内は消灯です(写真下右)。日本時間のまだ午後も三時前です。

 

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 「青い窓」が解除され、外の風景が普通に見えるようになったのは着陸する直前でした(19:47)12時頃には青い窓になりましたから、日中の八時間近い飛行の大半を青い窓に閉じ込められていたことになり、かなり不愉快です。

 

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外も見られないので映画を観ました。さすがにインド系の映画や番組は充実しています。しかし、日本語版が少ない。最新の映画は少なく、さらに日本語版や日本語吹替え版が少ないので、結局、英語版の「The Seventh Dwarf(2014年、ドイツ)を観ましたが、私の英語能力では細かい部分がよくわからない(苦笑)

 

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写真上 Wikipediaから転載

 

 私のエア・インディアのこの便に対する評価は、五段階評価で少々厳しくDで、不満です。理由は、経費節約のためにカットするべきではない小さなサービスもギリギリまでカットしているからです。

 ネットで座席の予約ができないこと、日中なのに窓を暗くして外の風景さえもみせないなど、客への基本的なサービスが欠けています。客がいる目の前で消臭剤なのかスプレーを噴射するのはやめてほしい。食事も業者に安い値段で作らせているらしく、国際線にしてはイマイチです。トイレの便座用のシートがないのも不便で、これも経費節約のようにも見えます。私の個人評価ではトイレは重視します。

 

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夕方のデリー

 八時間ほどの飛行の後、デリーが近づいてきました。七年ぶりのデリーの上空は雲っており、小雨がぱらついており、はっきりしません。

 

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インディラ・ガンディー国際空港(Indira Gandhi International Airport)に予定よりも少し早目に到着(日本時間20:00、インド時間16:30)。ここで時計を三時間半遅らせて、今は午後四時半です。

 

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 空港で驚いたのが、写真下の、壁から出ていくるたくさんの手です。それぞれが指で形を作っていますから、意味があるのでしょう。インドのダンスでは、こんなふうに手の仕草や指で意味を伝えるようです。日本にも伝わっていて、真言宗では印契といって指を組み合わせる作法があるし、これを真似して忍者も使っています。最近、日本ではスポーツ選手が使っていましたね。

 

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 私たちを出迎えてくれたのは現地ガイドのバサント(Basant Kumar GIRI)さんです(写真下)。チベット式に一人一人にカタという白い布をかけて、歓迎の意を表しました。

 

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 バサントさんにはこれから10日間お世話になります。バサントさんの経営する会社はREN toureといい、ホームページのアドレスからしてブータンを中心に旅行を企画しているようです。

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http://www.reachbhutan.com/より転載

 

 空港の両替でさっそくインドの洗礼を受けました。

 お金を使うツアーではないので、水代と小遣いで5000円を換金すると2150Rsでした。1ルピー=2.33円です。7/1のネット上では1ルピー=1.93円でしたから、1ルピーにつき0.4円、つまり約20%の手数料です。法外な手数料に見えるが、空港で店を開いているのだから、これがこの国の当たり前なのでしょう。私の五千円はインドでは四千円にしかならない。

 両替屋の係員は最初は一万円でないと換金しないと言い張ります。換金額を増やして、手数料を稼ごうという作戦です。インド人がその作戦ならと、日本人が二人一組になって一万円を両替しようとしたのを見て、彼は作戦失敗とばかりに、あっさりと五千円の換金に応じました。

 これがインド商人の模範的、標準的やり方で、このくらいで驚いたり、怒ったりしてはいけません()

 

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 大型バスに乗って空港近くのホテルまで移動します。

 

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 私は2008年のインドの花の谷以来、七年ぶりのインドです。しかし、空港近くだということもあり、バスから見る周囲はあまりインドらしい風景ではありません(写真下)

 

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空港近くのホテル

 空港から車で15分ほどでホテル到着(17:49)Hotel ibis Delhi Airportは世界中に展開するホテル・グループの一つです。ネットでの価格は七千円ほどですから、妥当な値段です。明日は朝早くの飛行機に乗りますから、空港の近くだと往復が楽です。飛行機の騒音もほとんど気になりませんでした。

 

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 玄関前では金属製のツルが出迎えてくれます(写真下)。ツルが飛び立つ様子が、複数のツルで表現されて、写真の奥のほうに向かって飛び立とうとしています。

 

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 ホテルの入口で驚かされたのが厳重なチェックです。写真下左が入口、写真下右はホテルの内側から撮ったもので、後ろに見えるのは私たちが乗って来たバスです。入口はまるで空港の税関の身体検査と同じで、男女に分かれて身体チェックをして、さらに金属探知機の間を通ります。

 

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 ものものしい雰囲気です。ここは空港も近いし、このくらいやらないといけないのでしょう。面倒だが、やってもらったほうがよい。今回の旅行では、ここ以外のホテルではチェックはありませんでした。また、この後、私はこのホテルを出入りしましたが、特にチェックはされず、顔パスでした。私が有名人だから・・・そんなわけはなく、今日来た日本人だとわかったからでしょう。

 

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 ロビーはホテルとしては普通です(写真上)HVSという組織から「Best New Hotel of the Year」に選ばれたとあります(写真下左)2015年にNew Hotelというだから、このホテルは建てられたばかりなのだ。HVS(http://www.hvs.com/)とは、米国にある会社でアメリカの50のホテルと海外の60のホテルのコンサルタント業務をしているそうです。つまり身内からの表彰状です。

 

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ホテルの周囲は工事中

 七時半から夕飯だというので、私はホテルの周囲の散歩に出かけることにしました。下の地図の朱線が私の散歩経路です。ご覧のように、ホテルの周囲を軽く一周しただけです。理由は、現場を見ていただければわかります。

 

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 上の地図をみればわかるように、右側の茶色で示された幹線道路を境に、その左側を空港に合わせて住民ごと立ち退きをさせて、再開発したのでしょう。こういう人工的な街を歩いてもたいていハズレです。そうでなくても蒸し暑いのに、予想どおり建物も街も無機的で何もおもしろくない()

 

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 写真下はプルメリアでしょうか、植樹された花がきれいに咲いています。散水はリサイクルされた水であると掲示されています(写真下右)。環境負荷の小さいことを強調するのは良いことです。

 

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 四角くて美しくもない建物を見ても、疲れるだけでおもしろくありませんから、私は帰ろうかと思って、少し先を見ると、工事中で土がむき出しになっている所があります。あれなら雑草があるかもしれない。

 

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 ありました。埃や土で汚れているが、たくましく花を咲かせています。

 

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 写真下は開花前の花で、日本ではアコン(Acond)と呼ばれています。インドはじめ東南アジアに広く分布しています。つまり、この植物は自生です。

 

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写真上 Calotropis gigantea

(『ヒマラヤ植物大図鑑』p.226)

 

 写真下は世界中に広がる植物で、前にポルトガルの公園の城壁のそばで見かけました。毒があるそうです。

 

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写真上 Solanum sodomeum 

 

 写真下はチョウセンアサガオでしょうか。

 

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 写真下は南米原産のランタナで、日本では「要注意外来種生物リスト」に登録されて厄介者扱いです。ピンク色のアジサイみたいでなかなかきれいです。

 

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写真上 ランタナ

 

 水タンクをトラクターで運んでいます。カメラを向けると、わざわざ止まってくれました。撮り終えて行こうとすると、笑いながら「I miss you (君がいないとさびしいよ)」という。インド美人に言われたらうれしいけど、ひげ面の男性に言われてもねえ・・・私も笑いながら、手を振りました。

 

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 鳥の写真を撮る頃にはあたりは薄暗くなり、街灯がつき始めたので、帰ることにしました。

 

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写真上左 インドハッカ(Acridotheres tristis

 

 

お誕生日ケーキの甘さ

 7:30からホテルのレストランで夕食です。料理だけでなくデザートもたくさん種類があり、どれもうまそう。明日からは田舎のホテルで食事は期待できませんから、今のうちにおいしい物をたくさん食べておきましょう()

 

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 旅行中に誕生日を迎えた方のお祝いにケーキが出ました(写真下)。たぶん、私を含めた客全員が誕生日のケーキの甘さが年々減って、もはや苦くなっているはずです()

 

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 写真下が私の本日の部屋です。部屋は特に広くも狭くもありません。眺めはビルが見えるだけでよくはないが、場所的にはしかたないでしょう。

 この部屋の特徴的なのが写真下右の洗面所で、部屋の隅に「置いてある」ような配置です。洗面所の角がカーブしているからで、圧迫感がない分、洗面所は狭い。バスタブはないが、特に大きな問題もありません。

 

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 コーヒー、紅茶、ミネラルウオーターが無料であります(写真下右)WiFiも一日だけは無料で接続できました。このホテルに対する私の五段階評価は4.0です。食事もおいしいし、まだ出来たてのホテルなのできれいで、空港のそばのビジネスホテルとしては十分という意味です。

 

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 日本からのインド旅行の良い点は、日本からはお昼近く出発なので成田に行くのが楽で、八時間少しの飛行の後、インド到着が夕方で、そのままホテルに一泊するので、身体がとても楽なことです。

 

 

 

 

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