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11日目 201084()

康定→二郎山峠→雅安→成都

 

 5:30に起床。朝食は取らずにそのままホテルを出発して(7:14)、街外れの街道沿いの食堂「川菜館」で朝食を取りました(7:43)

 

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 雨が降っていたらしく、道は濡れて、山は雲におおわれています。

 

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 ごらんのように、我々が座っているのは店の前の歩道です。ちょっと肌寒いが、外での朝食もなかなかよい。具の入った饅頭もうまい。十分な広さがあるので歩行者の邪魔にもなりません。日本も道路をあんなにぎりぎりに作らずに、歩道や自転車道などもう少し余裕のある作りができないものでしょうか。こういう空間の余裕が生活の余裕というものです。中国は広いといってもここはチベットで、写真を見てもわかるように、山に囲まれて平地は少なく、その点の条件は日本と同じです。

 

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 食事の後、今日の宿泊地の成都に向けて出発です(地図下)。雅安から成都までは高速道路ですから、渋滞などがなければ、四~五時間で着くはずです。

 

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 河に沿って東に向かうと、やがて大渡河に合流し、そこから濾定県に向かって、南下します。

 

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 大渡河はあちらこちらで大規模な河川工事をしています。おそらく治水と発電の両方でしょう。

 

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大渡河の橋を渡り(写真下)、東側の二郎山峠に向けて高度を上げていきます。

 

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二郎山峠のトイレ

 このあたりでミニアコンカの雪山が見えるはずですが、ごらんのような曇り空で無理です。それでも雲の隙間からちょっとだけ見えた(写真下左)・・・どれが雲でどれが雪山なのか、なんだかよくわからん。

 

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 公安に停められました(8:54, 1585m)。すかさず物売りが近寄ってきます(写真下右)。地元の果物だろうから、買ってみたいが、公安とやり取りしているのに、買い物で邪魔しては悪いのでやめておきました。

 

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 二郎山峠の手前のドライブインでトイレ休憩をしました(9:26, 2135m)

 トレイは一人5角(7円)で、入り口のコンクートに値段が書いてあります(写真下右)。もちろんただのニーハオ・トイレです。水洗というよりも、ホースから水で流すやり方なので、私はちょっと気になりました。つまり、こんな山の上で汚水はどこに流れていくのだろうかという点です。

 

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後で建物の屋上からトイレのあたりを上から見たのが写真下左で、トイレから出てきたばかりの排水路があるのが見えるでしょうか。排水路を目でたどると、どこにも貯水槽はなく、そのまま崖のほうにのびて、写真下右のはるか下の谷に流れているようでした。危具したどおり、斜面を汚染しながら、河川に直接流すようなやり方のようです。

 

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 写真下は屋上から、今登ってきたほうを見た景色です。雨こそ降っていないものの、どうも今日は晴れそうもありません。

 

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 ドライブインの敷地にはサンショウの赤い実がなり、キャベツなど野菜も植えられています(写真下)。キャベツの間にケシが実を付けています(写真下右)。これはブルーポピーではなく、葉の付き方から推測して、いわゆる麻薬ケシです。もちろん、ここの家主が承知で栽培しているのではなく、外から自然に持ち込まれたものでしょう。日本でも麻薬ケシが道端に咲いていることは珍しくありません。

 

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 写真下は店が面している道路にあった看板です。「平安な甘孜(カンゼ)を人々は共に建て、甘孜の平安を人々は共に享受する」という意味でしょうか。ここは甘孜・チベット族自治州ですから、ここに住む人たちへの呼びかけです。平安とわざわざ強調するところを見ると、実際は平安ではないのでしょう。現実に、三日前にいた理塘では、本来なら今の時期はあの理塘盆地で競馬祭が行われます。しかし、三年ほど前に競馬祭で、チベット人の一部が独立を叫んだために、今年も中止だったようです。かけ声と違い、なかなか平安は来ません。

 

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四川盆地に入る

 二郎山峠を越えて、四川省の盆地に入りました(9:29)。気温と湿度がだんだん上がるのがわかります。竹林が所々でへし折られていますから、相当な暴風があったようです。高度が下がるにつれて、薄日がさしてきました(写真下)

 

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 雅安の少し手前で、道に面した食堂で昼食を取りました(写真下, 11:46-12:31)。昨年、四姑娘山に来た時も立ち寄った同じ店です。テーブルの配置も変わっておらず、去年と同じテーブルで食べました。ただし、建物の裏にあるトイレには行きませんでした。去年、私は建物の立派さに勘違いして行ってしまいましたので、同行の人たちには覚悟して行くように警告だけ出しました。

 

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 ここの名物は皿ご飯で、皿に平らに盛ったご飯を二枚貝のように合わせて運んできます(写真下)。もちろん、名物とは私がそう言っているだけです()

 

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 高速道路に乗る前に、ガソリンスタンドで給油です。敷地内に真っ赤な丸い花をつけた木があります。初めて見るので写真を撮っていると、ガソリンスタンドのオーナーなのか大柄な男性が中国語で大きな声で話しかけてきます、というよりも一方的にしゃべっている。日本人だと名乗っても、彼は完全無視して大きな声でしゃべり続けます。写真を撮るなと怒っているのでもなさそうです。

 我々の一人が給油中の車にカメラを向けると、あの彼が大きな声で怒鳴りつけました。理由はどうあれ、様子がおかしいので、我々はすぐに退散しました。どこの国にも変な人がいるものです。

 

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写真上右:ブロウソネティア・パピリフェラ(『雲南花紀行』p.147)

 

 雅安から高速道路に乗り、成都に向かって走ります(12:46)。看板に高速道路の計画図があります。下の図で完成しているのは、右下の最初の区間「雅安-成都」のみです。雅安から高速道路を延長して、朝出発した康定はもちろん、二日目に泊まった新都橋を通過して、青海省の玉樹(ジェクンド)まで延長する計画のようです。玉樹は2010414日に発生した青海地震で大きな被害を出したチベットの街です。

 

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高速道路はブタも走れば、アヒルも走る(写真下)

 

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イトーヨーカ堂で買い物

 成都に到着して(14:35)、街中を走っているバイクを見ていて気がついたのは音がしないことです(写真下)。電動バイクで、成都に住んでいる通訳の周さんに聞くと、中国では「電瓶車」といい、大人気だそうです。ペダルもついていて、電池切れの時にはこれでこいでいくようです。改めて見てみると、エンジン付きのバイクより、電動バイクのほうが圧倒的に多い。排気ガスがないし、そんなにスピードも出ないから、人気があるのもわかります。でも、どうして日本では電動バイクが普及しないのでしょうね。

 成都にも10月から初の地下鉄が開業しますから、交通渋滞などは緩和されるでしょう。(http://www.cdmetro.cn/)

 

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 ホテルに行く前に、イトーヨーカドーでおみやげなど買い物をすることにしました(写真下)

 

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http://www.iy-cd.com/

 

 四階建てで、日本と同じで食料品、衣料品から家電まで売っています。店の中は客で混んでいます。残念なのは、 店内は撮影禁止です。量り売りのお茶を買う時、銘柄を記録したいので撮影を申し出たのですが、断られました。陳列や値段を真似されるのがいやなんでしょうけど、今時、高性能の隠しカメラがいくらでもありますから、禁止しても無意味でしょう。

 私は一階の食品売り場で、花やミカンの皮などをお茶にして飲むセット物があったので買いました(写真下)

 

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 それぞれ5袋、10袋入っていて9.9(150)で、帰国後、飲んでみました(写真下)。酸っぱさがあり、さわやかな味でした。

 

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 果物売り場で見つけたのがドリアンの切り売りです(写真下)。四川省は無理としても、南の雲南省なら採れるでしょう。私は、たぶん十年前にタイで食べたのが最後だろうから、しばらくぶりでごちそうになろうと喜びいさんで買いました。

日本でもスーパーなどでドリアン一個が3千円くらいで売っているのを見たことがありますから、これだけの量で27.7(415)は安くはありません。タイで食べた時は一パックが300円くらいで、食いきれないほどの量で、実にうまかった。大いに期待して後でホテルで食べてみましたが、不合格です。ドリアンのあの強烈な臭いもなければ、バターを食っているような濃厚な味もない。

 

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錦里の散歩

 ホテルに荷物を置いて(16:21)、夕食までの時間で街を散歩することになりました。烏里さんは他の人と一緒にホテルの周囲のチベット街を散策するというので、私は一人で去年も行った錦里(ジンリー)に行くことにしました(17:05)。ホテルから歩いて五分もかかりません。

 

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(http://shop.cdjinli.com/)

(http://www.cdjinli.com/jinlizhi/)

(http://www.cdjinli.com/)

 

 新旧が入り交じった不思議な街です。古い街並みをそのまま残し、商店街として人を集めています。私は昨年、二日間で二度来ていますから、今日で三度目です。

 

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 成都だけでなく中国のあちこちで錦里のような古街、古鎮、古城を観光の目玉にしようとして名乗りをあげている所があるようです。金になるとなれば古い街並みを大事にするだろうから、結構な話です。

 

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 昨年、錦里を訪れて大変気に入り、今回の旅行で烏里さんに錦里の中のホテルに泊まることはできないかと要望しました。ところが、錦里のホテルには車で乗り付けることができないというのです。ホテルの入り口は写真にあるような歩行者のみの道に面していますから、私はてっきり、ホテルには裏口があり、車で乗り付けられるだろうと思っていました。車で乗り付けられないとなると、スーツケースを自分で持って行くことになります。石で舗装されているから難しいことはないが、ちょっと大変です。

 

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 烏里さんは、私一人なら錦里のホテルに泊まってもいいと言ってくれました。私だけ泊まるなんて甚だしく魅力的な提案でしたが、別行動となると、寝過ごして集合時間などで迷惑をかけるかもしれないので(前科がある)、あきらめました。個人旅行で来た時に泊まることにしましょう。

 

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 夕方のせいもあるのか、去年よりも人が多く、おまけにかなり蒸し暑い。今日の朝まで涼しい高地にいただけに、身体にこたえます。

 

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今回のツアーの前に烏里さんに錦里で食事ができないかと提案しました。だが、「あそこは軽食ばかりでレストランがない」との返事でした。なるほど、そう言われてみれば、茶館と出店はたくさんあるが、ゆっくりと座って食事をするようなレストランはありません。たぶん、場所柄、大型の厨房は火災の危険があるから許可が下りないなど、何か理由があるのでしょう。建物は木造が大半だし、棟続きが多いから、火災が発生したら、ひとたまりもないでしょう。

 

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 錦里の素晴らしい街並みに比べ、振り返って日本の住宅事情を見ると、なんと貧困なことか。

 日本では長期の景気低迷から、家を建て替えるよりも、古い家をリフォームして使おうと、テレビ番組まであります。しかし、番組を見ていると、リフォームしようにも、元々の家があまりに安普請のペラペラの家で、リフォーム自体に意味がないような建物が多い。この点は日本はもっとよく考えなければならない時期に来ています。

 

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 日本では家自体は新築から20年もたつと査定がほぼ0円です。価値があるのは土地だけで、上物()は取り壊さなければならないから、逆に金がかかるほどです。実際、多くの家は二十年も持てばいいとばかりに、見た目だけの安普請が多く、リフォームしながら長期的に使うなど前提としていません。

 

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 家の購入は庶民にとって決して安い買い物ではなく、一生モノに近い。何十年というローンを組んで何千万円もする家を買って、数十年しか住めない家なんておかしいと思いませんか。ローンが終わった頃には家はボロボロで、また建て替えないといけない。これでは庶民はいつまでたっても貧乏なままです。

 

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 日本の場合、戦後復興のために大量の住宅供給を迫られ、とにかく間に合えばいいとばかりにウサギ小屋を作り続けた結果が今の状態です。私が借りて住んでいる戸建ては鉄筋コンクリート製の築三十年程度で、補修すればまだ二十年くらいは使えるだろうが、間もなく取り壊されます。

こんなふうに造っては壊すというやり方は、地球環境を考えなくても、そろそろ変えるべき時期に来たのではないでしょうか。

 

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リフォームできるような家とは、錦里がそうであるようにしっかりとした造りの家のことです。錦里は大金持ちの商人たちが造ったから、いい加減な建物ではありません。だから、今でも改装して使えるのです。また、改装することを前提として造ることも必要で、これは設計の段階から考えを変える必要があります。

 

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せめて百年くらい持つ家を建ててはどうでしょう。最初に金のかかる家を建てても、何度も立て直すよりも、修復や改築したほうが、五十年、百年単位で考えれば、安くあがるのは当然です。家が安く上がる分、持ち主は貧乏にならず、生活にゆとりが出てくることになります。

 

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三十年ごとに家を建て替えるのは一種の破壊です。最大の破壊である戦争が大きな貧困をもたらすように、一人の人間が一生の間も住めないような家を造るのは貧乏人を増やすだけです。

 

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 私は蒸し暑い中、人混みの中を歩いていたので、だんだん疲れてきました。

 

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 人の少ない所を選んで歩ているうちに、錦里を通り抜けてしまったようです。錦里は、諸葛孔明と劉備を祭った武候祠(http://www.wuhouci.net.cn/jp/home.asp)の東側から北側にかけて細長く張り付いており、私は武候祠の外側を反時計回りに回って北西側まで抜けてしまったようです。人通りもあまりありません。

 

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 どこに出るのかと進むと、門があり、鍵がかかって閉まっています(写真下左)。閉まっていると、向こうに何があるのかとついのぞいて見たいのが人間の本性で、私も例外ではありません()。隙間から見ると・・・あれ?民家じゃないか(写真下右)。つまり、この門の先に何か建物があるのではなく、私は門の内側にいたのです。

 

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 気を取り直して、門の内側を散策することにしましょう。公園のようにきれいに整備されています。先ほどの錦里の喧騒はどこへやら、これが大都市のド真ん中とは思えないほど、ほとんど人がいません。写真下左の道路の右側(東側)は林があり、そのすぐ向こうにアパートらしい四階建てくらいの古いさびれた建物が並んでいます。そこからも人の声が少し聞こえる程度であたりは静かです。

 

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 私以外は、かろうじてアベックが向こうにいます(写真下左)。アベックにとっては最高の場所でしょう。写真下右は灯籠ではなく、灯籠型のゴミ箱です。雰囲気を壊さずになかなか良い。

 

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 目の前に立派な門が現れました(写真下左)。後で調べると、私が入り込んだのは武侯祠の西側にある南郊公園のようでした。ここは国民党のオエライさんの墓があり1953年に公園になって、2003年に武候祠の一部となったようです。墓場だから静かで人がいないのも当然です()。私は墓には興味がないので、関心のある方は下記の「武侯祠」の説明を読んでください。

http://www.chinasoft.org.cn/jp/showdetail.aspx?cid=2%2C12&aid=234

 

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どうして皆さん、デカイ墓を造るのが好きなんでしょうね。インドのタージマハルは確かに美しいから一見の価値はあるし、古墳など考古学的には貴重なものだが、個人的には墓そのものにはまったく興味がありません。ヒンドゥー教徒が焼いた骨を河に流すように、自然から借りた物は自然に返すのが良い。でないと、狭い日本中が墓石だらけになります。花を探しに山の中を歩いていて、朽ち果てた古い墓などにでくわそうものなら、不気味さにきれいな花を見た感動が一気に吹き飛びます。

 

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 南郊公園は建物と庭があり、人も少ないので、散歩にはちょうどよい雰囲気です(写真上下)。せっかく静かな所で涼んだのに、蒸し暑い人混みに行くのはためらわれるが、時間もありませんから、錦里に戻ることにしました。

 

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錦里の北側の入り口まで戻って、驚きました。写真下を見てください。いずれも、武候祠の北西にある南郊公園側の、錦里から見たら裏口です。その門がやぐらを組んで、提灯を飾っただけなんて、なんとも安っぽい。

 

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写真下の錦里の正門と比較してみてください。裏門には重厚な雰囲気のカケラもありません。どうなっているんだ?

 

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 そういう目で裏口の近辺にある売店を見ると、これらは古い建物ではなく、古いようにみせかけただけの安普請の建物です(写真下)

 

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 表側の錦里にも新しい建物もあるが、ここには新しい建物しかないから、全体の雰囲気はとにかく安っぽく、貧相です。

 

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 おそらく出店の希望者が多く、古い建物だけでは足りなくなり、こんな所まで広がってきたのでしょう。でも、こういう造りではせっかくの錦里がぶちこわしです。どこからか移築するなど、何か方法はなかったのか。

錦里の古い建物は古いだけでなく、お金持ちの商人たちが競って造ったような豪華で凝った造りです。その一つが窓などの格子の模様です(写真下)

 

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 ごらんのように大半の建物には、かなり堅い木を使い、精緻な幾何学模様の格子がはめ込んであります。当時の豪商たちが一流の職人を選び、贅の限りを尽くして造ったのでしょう。我が家の安っぽいアルミサッシとはえらい違いだ()

 

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 窓や扉だけでなく、外壁にも様々な彫りが入れられています。

 

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 なにより素晴らしいのは、その格子やレリーフをしっかりと磨き込み、今でも大事にして、実際に使っている点です。

 

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 格子窓に灯りがともると、これまた美しい。我が家の安っぽい蛍光灯とはえらい違いだ()

 

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 灯りのともる半開きの格子窓から胡弓の音色が聞こえ、西域から持ち込まれた香の匂いが漂い、着飾った美しい女の横顔が見えたら、ついフラフラと入ってしまいそうです。私の空想だけでなく、実際にそうだったのではあるまいか。

 

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 二階の欄干も格子模様です(写真下左)。写真下右では、店内には現代物の衣料品が陳列されているが、窓と壁を見てください。窓は珍しい跳ね上げタイプで、その上の外壁にはレリーフが掘られていています。

 

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 看板は新しく作られた物でしょうが、周囲の壁や窓の彫りと調和しています(写真下)

 

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 スターバックコーヒー(星巴克珈琲)の角張った文字すらも、灯りの漏れる格子窓の上にあるとオシャレに見えるからおもしろい(写真下右)

 

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 あちらこちらある石や壁にかけた灯籠も、これらはもしかしたら現代物なのかもしれないが、全体の調和を考えて、金をかけて造ったのがわかります。

 

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 ドアの金具は現代物なのに、街の雰囲気に合っており、デザインの統一が取れています。

 

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 こんなふうに西側の錦里は古い建物がそのまま利用され、素晴らしい街並みを造り出しているのに、北側の裏口はなんともさえない物置タイプの小屋とやぐらを組んだだけの門です。あまりの落差と手抜きに、私は「あのやぐらのような門をぶち壊せ!責任者を出せ!」と言いたくなりました()

 

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 あたりはだいぶん薄暗くなり、店は灯りを付け始めました。

 

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 錦里の賑わいはこれからですが、夕食の時間に遅れないように、ホテルに戻りましょう。

 

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大音量とマッサージ嬢

 ホテルに集合して、夕食に出かけました。武候祠の西側にある去年行ったのと同じレストラン「老房子」です。ファミリーレストランのようにカラーのメニューが出てくる高級レストランです。去年はここでドクダミのサラダを食べました。

 

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 私がリュックサックを自分の椅子の後ろに置いたら、店員が写真下左のように、リュックごとカバーをかけました。これは後ろから盗み取られないための用心だそうです。こんな一流レストランでも泥棒がいるんだ。

 

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 食後、チベットの歌や踊りを見せてくれる劇場があるというので出かけました。入場料ではなく、50(750)の飲み物を注文する形を取っています。

 演奏会はすでに始まっていました(写真下)。しかし、席について私がまず驚いたのが、その音量です。前のほうの席に座ったので、スピーカーに近いと言っても、百人も入れば満席になるような会場です。すさまじい音量で私はすぐに逃げ出したくなりました。と言うよりも、どうして他の人がこの大音量の中で平然と居られるのかがわからない。耳が痛くなり、両耳をふさぎたいが、それでは失礼なので、ほおづえをついたようにして、右耳だけふさぎました。もちろん、ほとんど効果ありません。すごい音が床からも伝わり、足の先がびりびりするほどです・・・こりゃ、拷問だ。

 

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 司会の声もマイクが音割れするほどの音量ですから、歌ともなればすさまじい。とても余裕をもって鑑賞できる状態ではありません。私は踊りと歌を二曲ほど聴いたところで席を立ちました。会場の外に出て、入り口で会話をしようとしてもよく聞こえないくらいだから、いかにすごい音量かおわかりでしょう。

 

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 音量のすさまじさを除けば、歌も踊りも悪くはありませんでしたから、もう少し聴いていたかったが、無理です。一緒に帰る約束していた人は、気の毒に、私の巻き添えを食い、早めにホテルに戻ることになりました。タクシー代は二人で14元でした。

 

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 ホテルは初日(725)と同じ蜀峰花園酒店です。バスタブはないが、部屋は広く設備もきれいで、スタンダードルームで580(8700)で、立地条件も申し分ないホテルです。

 

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 自分の部屋に戻り、十分もたたない内に電話が来ました。日本語で「マッサージで~す」という若い女性からの電話です。私は頼んだ覚えはないし、大騒音に一気に疲れてしまい、さっさとシャワーを浴びて寝ようと思っていたので、断って電話を切りました。

電話を切ってから、なんで私が部屋に戻ってすぐに電話が来たのか、なんで日本人だと知っていたのか、疑問になりました。明らかに私が部屋に戻ってきたことを知って電話したのです。鍵は自分で持ち歩いて、フロントには寄っていませんから、受付の人も私がどの部屋の人間かはっきりとはわからないはずです。つまりこの階で従業員の誰かが私が戻ってきたのを見ていて、マッサージのお姉さんに「日本人の男が一人で部屋に戻った」と連絡したのでしょう。マッサージとやらの値段だけでも聞いてみればよかった。私はこういう点、いつも無愛想だと反省しています()

 

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 部屋には一服ずつ小分けにされたお茶が準備されています(写真下)。マッサージ嬢は来ませんので、一人でお茶をゆっくりといただくことにしましょう()

 

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