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ボルネオの花

2日目 2014513()

コタキナバル → メシラウ

 

 

 五時半に起床。窓の外を見ると曇りです。しかし、時間がたつにつれて晴れてきました。

 

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 ホテルの表に出ると、まだ人は閑散としています。写真下左はホテルが面した通りで、一見、静かそうですが、この道路の立木の左側に幹線道路が並行に走っていて、かなりの騒音です。ホテルの裏側は山になっていて、樹木に覆われ、花が咲いています(写真下右)

 

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 六時半から一階のレストランで朝食だというので行ってみると、集まっているのは時間にうるさい日本人ばかりで、レストランはまだ開いていません。朝食の品数は少なくなく、また味付けも特に辛いということなく、普通に食べられます。

 

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 レストランのガラス窓に大きなカタツムリが何匹も這って、窓の曇りを拭いてくれています(写真下)。都会のど真ん中のホテルなのにカタツムリがたくさんいるなど、いかにも熱帯地方です。

 

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メシラウに出発

 山の天気は変わりやすいので、二台の車に分乗して、早めの出発です(7:31)。今日は二時間ほどでキナバル山の麓にあるメシラウ・ネイチャー・リゾートに行き、その周囲にある花を散策する予定でした。実際には、午後から雨になったので、温泉の出るポーリンまで往復しました。

 

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車は十人ほど乗れるワゴン車2台で、今回の旅行の移動は車両を変えながら、この白と緑のワゴン車でした(写真下左)。後で見ると、市内でこれと同じ絵柄のミニバスが走っていました。

 

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 運転手の座席の上にマレーシアとサバ州の旗が貼ってあります(写真上右)。旗と旗の間の紙は、キナバル山に登山するともらえる証明書です。

 日本人は大口の利用者らしく、シートベルトを着用するように窓やドアに日本語で大きく表示されています(写真下)

 

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 コタキナバル市内を北上して道は海岸通りに出ました。南国らしいヤシの街路樹が続き、とてもきれいです。

 

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 湾の対岸にイスラム教のモスクが霞んでいる。

 

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 今走っているのが、写真下の海辺の道路で、下から上に湾を半周します。

 

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 まだ午前中なので、日差しも強くなく、人々がヤシの木陰の海岸通りを散歩しています。

 

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 南国らしいのどかな風景の中にも高層ビルが見えます。

 

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 街の中はもちろんのこと、郊外にも高層ビルがあり、建築中の建物も多いことから、景気が良いのでしょう。

 

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 道路は整備されており、ほとんど渋滞らしい渋滞もありません。

 

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 私の目を引いたのは写真左の墓園の看板で、その墓園がたぶん写真右です。看板は中国語でしか書いてありませんから、中国系の人たちを対象として墓園でしょう。

 

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 下のグーグルの衛星写真を見てもわかるように、コタキナバルから東北方向に平地を進み、トゥアラン近くから道は右に曲がり、東に進むとやがて山道に入ります。

 

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山道に入ると人家は減り、周囲は樹木で覆われた森林です。

 

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道路脇の植物の姿は日本のそれとはかなり違い、巨大な葉が目につく。写真下右の葉はショウガの仲間で、写真ではわからないが、人の背丈をはるかにこすような葉が道路側に突き出ています。

 

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キナバル山の展望

 出発して一時間ちょっとでキナバル山の見る展望台のあるパーキングエリアでトイレ休憩(8:459:18940m)。写真下左の看板のDelanal dalangは入口という意味で、Pekan Nabaluはこのあたりの地名ですから、Gerai Pekan Nabaluとは「Pekan Nabalu 商店街」くらいの意味のようです(写真下左)

 

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 エリア内には道沿いに店が並んでいて、二階は住居らしく、洗濯物が干してあります(写真右上)

 

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今日は日曜日なのに観光客も車も少ない。店は開店休業で、犬が道の真ん中で寝ている。もっともこれが普通の状態なのかもしれません。

 

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 商店街の終わったあたりに展望台があり、キナバル山が見えます。

 

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 雲はかかっているものの、ギザギザ頭の山頂部はなんとか見えます。

 

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 展望台にある解説によれば、四つのピークは次のようになっています。

Alexandra peak, 3997m

Low’s peak, 4095m

St.Johns peak, 4090m

South peak, 3921m

 

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 下の図がサバ州(下左)とコタキナバル(下右)の旗で、影絵になっている山がキナバル山です。同じ山なのに両者の形が微妙に違うのがおもしろい。見ている位置が違うのか、上の写真とはだいぶん違います。

 

ファイル:Flag of Sabah.svg ファイル:Flag of Kota Kinabalu.svg

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 ここは標高940mですから、気温も低く、コタキナバルとは違う植物が生えています。

 

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 写真下左のネムノキは店の脇に植えてあったもので、写真下右はオジギソウでしょう。南アメリカ原産と言いますから、地元の植物ではありません。

 

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写真上左 Calliandra surinamensis (Malaysian Flowers in Colour, p.51)

写真上右 Minosa pudica (Plants and Flowers of Malaysia, p.126)

 

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写真上 Hibiscus rosa-sinensis (Malaysian Flowers in Colour, p.36)

 

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写真上 Canna orientalis (Malaysian Flowers in Colour, p.125)

 

 写真下は高さが2m以上もあるランです。敷地の花壇に植えてあったので野生ではありません。今回の旅行ではしばしば見かけました。

 

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写真上 Arundina graminifolia (『キナバル山の植物』p.23)

 

 写真下右のフヨウは花が咲いている時は白いのに、枯れ始めるとピンク色になります。ネットを見ると、スイフヨウ(酔芙蓉)、つまり酔っぱらって赤くなったらしく、朝は白く、昼はピンク色になり、夕方には赤くなり、それが数日間残るとあります。英文のWikipediaの解説ではこちらのほうが一般的なフヨウであるかのような書き方です。

 

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 写真下はホウセンカに見えます。ホウセンカの自生地は東南アジアなので、これが栽培品なのか野生なのか、よくわかりません。

 

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写真上 Impatiens balsamina (Malaysian Flowers in Colour, p.142)

 

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写真下の花は南北アメリカの熱帯が原産で、「ベツレヘムの星(Sater of Bethlehem)」という名前が付いています。名前はきれいですが、毒性があるという。

 

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写真上 Laurentia longiflora (Plants and Flowers of Malaysia, p.120)

 

 花にルリシジミがたくさん停まって蜜を吸っています。ただ、日本のルリシジミに比べて小型で、色も冴えない。南国でも派手で大きいとは限らないようです。

 ちなみに『ボルネオの蝶 全2巻』(大塚一寿 編、飛島建設、1991)という本があり、二巻目はボルネオのシジミやセセリだけを集めたというトンデモ本です。

 

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 道は山や峠をいくつも通り、少しずつ高度を上げていきます。

 

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コタキナバルから道の両側で良く目につくのが紫色のマルバアサガオです。残念ながら、今回は車から降りた時に撮れるチャンスがなく、走っている車からの撮影だけになりました。また、花は紫の一色しかないようです。

 

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A4号から左に折れると、道も狭くなり、坂のきつい山道になりました。

 

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キナバル山のほうに登って高度が上がるにつれて天気は悪くなり、ついには雨が降り始めました。

山の斜面にゴルフ場があります(写真下)。このあたりは標高1600mくらいですから、スポーツにはちょうど良いのでしょう。雨のせいか誰もいない。

 

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メシラウ到着

 標高1900mのメシラウ・ネイチャー・リゾート(Mesilau nature resort)に到着(10:02)。雨が降っています。ここで入場料を払い、外国人は一人RM15(510)です。

 価格表の看板の下をごらんください(写真下右)。一番下に次のように書いてあります。

Keep your park clean. 公園を汚さないように。

Take nothing but photographs. とって良いのは写真だけ。

Leave nothing but footprints. 残していいのは足跡だけ。

私もホームページの標語に使わせてもらっている言葉です。

 これらの言葉はロックバンドSteppenwolfJohn Kay が作った”Nothing But” という歌の歌詞で、ここの部分の元の歌詞は次のようになっています。

Take nothing but pictures.

Kill nothing but time.

Leave nothing but footprints.

二行目のkill timeは時間をつぶすという意味のようですから、それと生き物を殺すをかけて、生き物を殺すなという意味なのでしょう。「取っていいのは命以外」とでも訳すのでしょうか。

 

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 センターの中で雨具を身につけて、Kogopon Trailをたどって山の中に入りました(10:33)。敷地内にも写真下右のように花を咲かせています。この花はキナバル山特有の花だそうです。

 

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写真上右 Imprtiens platypetala (『世界のワイルドフラワーⅡ』p.153)

 

山道は大したことはないのですが、何せ雨で滑りやすい。樹木が生い茂っているので、そうでなくても暗いのに、さらに雨なので、写真撮影には最悪です。

 

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 樹上に様々な花が根を下ろしています。

 

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雨が止まない

 トレイルを一周して戻り、敷地内にあるレストランで昼食です(写真下,12:20)。レストランに入る頃には雨がやや小降りになっていました。

 

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食事は写真上右のテラスで食べました。晴れていればともかく、雨が降っているので、テラスでの食事もイマイチです。食事内容はここも問題ありません。暑い国なので辛い物が多いのではないかと心配していましたが、幸い杞憂でした。

 

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 食事の後、もう一つのトレイル(山道)を散策する予定でしたが、雨が止まず、危険なので、急きょ予定を変えて、ポーリンという温泉のある街まで行き、ラフレシアという花を見ることになりました。

 ラフレシアを見た後、ポーリンでも雨に降られて、メシラウ・ネイチャー・リゾートに戻る途中でスーパーに立ち寄りました。他のお客さんはおとなしく車で待つようですが、庶民の台所を見るチャンスを逃す手はありません。私は運転手と植物ガイドのリヌスさんと一緒にスーパーに入りました(15:28)

 私はお金を崩すつもりで1.5リットルの水を一本買いました(下図右)。なんとRM1.0(34)です。昨夜、ホテル・シャングリラの近くのコンビニで買ったのがRM1.8ですから、半額近い。

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 品揃えは地元産の物が豊富で、内容的に特に変わった物は見当たりませんでした。レジのやり方なども日本のそれとほとんど変わりません(写真下右)

 

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店に立ち寄ったのは運転手と植物ガイドのリヌスさんがタバコと酒を買うためらしい。マレーシアはイスラム教国なのにスーパーで酒が売られています。運転手はイスラム教徒だが、リヌスさんはキリスト教徒なので酒は禁止ではありません。またサバ州では半数がキリスト教徒なので、スーパーで酒が売られているようです。

何教であれ、タバコの習慣はいただけません。もちろん、彼らは客に気づかいをして、我々の前では吸いませんでした。

 

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メシラウ・ネイチャー・リゾートに戻り、昼食と同じレストランで、今度は室内で、ビュッフェ・スタイルで夕食です(18:37)。全部に手をつけるのは無理なくらい料理数が多い。

 

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薬膳のような中華料理が大変うまかった。シイタケをはじめとするキノコがたくさん入ったスープで、見た目は黒くてうまそうでないが、食べてびっくり、お代わりをしました。今回の旅行中で一番うまかった食べ物です。

 

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 メシラウ・ネイチャー・リゾートは標高二千メートルほどで、キナバル山(標高 4,095.2m)の斜面に位置して、ここからキナバル山まで登ることもできます。登山した人たちの旅行記などを読むと、下山してここに一泊するようです。

 下図はメシラウ・ネイチャー・リゾートの案内の看板です。地図の上が北でキナバル山があり、川が上から下に二本流れて、ここで合流しています。雨が多いので、いずれもかなりの激流です。地図にあるようにレストランの下を川が流れています。ここから左方向の山道を行くと、キナバル山に行けます。

 

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 レストランやセンターを中心に宿泊所(Lodge)が斜面に点在しており、それぞれに名前がついています。私が泊まった建物Witti Range Lodge Witti Rangeはサバ州にある山の名前です。他にも、Ugly sister’s peakDonkey ears peakなどという奇妙な名前のロッジもあるが(上図)、これらもキナバル山のピークの名前です(下図)

 

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(http://www.mountkinabalu.com/map/mt-kinabalu-trail-mapから転載)

 

 ホテルは一つの建物ではなく、写真下のようなロッジが斜面に点在しています。コンクリートの歩道はかなりの斜面で、コケが生えているらしく滑りやすく危険です。幸い転びませんでしたが、私も何度か滑りました。

コタキナバルからこちらに来る時、スーツケースをロッジまで持ち上げるのが大変だから、一泊用の必要最小限を手荷物にするようにという指示がありました。私以外の客は全員がこの指示に従い、私だけがスーツケースのまま来ました()。理由は、ここに来た人の旅行記を読んで状況を知っていたことと、私の日本での住居はエレベーター無しの四階建の四階なので、それに比べたら物の数ではないからです。

 

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 写真下が私の泊まった建物はWitti Range Lodgeで、左右に入口があり、それぞれに合計三部屋ずつあります(http://www.mountkinabalu.com/stay/witti-range-lodge)。ツルツルに滑る階段を上り、入口に入ると一階に居間と部屋が一つ、二階に部屋が二つあり、私は二階になりました。

 

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 私は二階の歩道側で、部屋は清潔で問題はありません。バスタブはないが、シャワーのお湯も問題なく出ました。前夜のホテル・シャングリラは歯ブラシや櫛がなかったのに、ここはあります。バスローブまで付いている。木造で、部屋に高級感はないが、快適で、ちょっとおしゃれな感じで気に入りました。強いて問題点をあげれば、ベッドの毛布がちょっとカビ臭かった。こういう高山の宿泊設備ではよくあることで、この湿度では仕方ありません。

評価としては、設備は十分に4.0なのに、残念ながらネット接続ができないので3.5です。

 

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(http://www.mountkinabalu.com/stay/witti-range-lodgeから転載)

 

 

 

 

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