ボルネオの花 3日目 2014年5月14日(水) メシラウ → コタキナバル → キパンディ 五時半に起床。雨は止んでいますが、どんよりした曇り空です。
本日は、午前中ここで周囲のトレイルを歩いて草花を探し、その後、山を下りて、コタキナバルに戻り、サバ博物館に寄り、午後からコタキナバルの東のクロッカー・レンジ国立公園にあるキパンディ・バークにランや虫を見に行きます。 早朝の野鳥観察 朝六時半から、ジェリーさんが敷地内で野鳥の観察に案内してくれるというので、希望者が集合しました。彼は草花だけでなく、鳥にも詳しい。それも鳥の名前を日本名で言うからすごい。日本人の私も知らない鳥の和名が次々と出てくる。日本には鳥を見に来たことがあるそうです。
あいにくの曇り空で、小立は薄暗いので、目の悪い私には鳥を観るのは無理。皆さん、双眼鏡などで鳥を観察している中、周囲の花などの写真を撮りました。
ここはキナバル山の一部に作られた場所なので、周囲はうっそうと植物が生い茂っているだけでなく、敷地内にも元々あった植物が見られ、またこれらの植物が植えてあります。 リスがゴミ箱によじ登っている(写真下)。ネズミに毛のシッポをつけたみたいで、あまり可愛くない、と思っていたら、後で知ったのですが、これはヤマツパイ(Tupaia montana)というボルネオの固有種で、リスやリスの仲間ではありません。固有種のくせにゴミ漁りとは情けない、なとど私は思ってしまいましたが、そのくらいボルネオのジャングルは見た目と違い、食物に乏しいようです。ツパイにはこの後のウツボカズラで再登場願います。
写真上 Tupaia
montana (http://en.wikipedia.org/wiki/Mountain_treeshrew) 青い蛾の表面には黄色いLの文字が浮かんでいます。蛾は気持ち悪いが、独特の美しさがあります。
ゴミの分別とリサイクルを呼び掛けています。もちろん、敷地内にはゴミは落ちていません。今回旅行した範囲では、道端にゴミがたくさん捨てられているという光景は見ませんでした。
敷地内を歩いただけでも様々な植物が見られます。大半はこの周囲に元々生えていた植物ですから、薄暗い林の中で見るよりも、見やすいし撮りやすい。 写真下のヘゴの仲間は、森の中では大きすぎて写真が撮りにくい。こうやって植えてあると人と比較できるので、その大きさがわかります。日本には園芸用にヘゴ板として売られています。
私はこういう巨大なシダが大好きで、見ると意味もなくうれしくなります。毎度思うのは、たぶん恐竜だった頃、このシダを食べていたのでしょう(笑)。
ヘゴについでたくさん植えてあるのがオオタニワタリです(写真下)。和名ではシマオオタニワタリというようです。
写真上 Asplenium nidus (『キナバル山の植物』p.102) 私が驚いたのは写真下左で、これは鉢植えではありません。オオタニワタリは写真上のように、放射状の葉の出るシダというイメージでしたが、写真下は下部分が樹木化しています。これがこのまま大きくなって、ヘゴみたいになるのだろうか? 写真下は通称カラー(Calla lily)で、日本にも江戸時代に入ってきています。原産地は南アフリカですから、本来はこんな所に植えるべき花ではありません。
写真上 Zantedeschia
aethiopiaca 写真下のノボタンは実かと思うような花を付けています。今回の旅行では良く見かけました。これは地元産です。
写真上 Medinilla
speciosa (『キナバル山の植物』p.88) 写真下のノボタンも地元産で、昨日行った西側のジャングルの中にもありました。しかし、ここほど陽当たりが良くないから、花の数も少なく、高い樹木の上で写真も撮れませんでした。ここなら簡単に撮れる。車で走っていると道端にも咲いているのを見かけます。
写真上 Melastoma malabathricum (Malaysian Flowers in Colour, p.65) 写真下の白い花も赤い花もどちらもショウガの仲間ではないかと思われます。ボルネオではショウガの仲間が多く、花の色や形、咲かせ方も多様です。
写真上 Hedychium cylindricum (『キナバル山の植物』p.101) 見事なイチゴが木になっています(写真下)。形は御覧のようにイチゴそのもので、大きさもスーパーで売っているイチゴくらいあります。敷地内なので食べてみるわけにもいかず、味はわかりません。でも絶対甘くはないと思う。
写真上 Rubus
fraxinifolius (『キナバル山の植物』p.91) キイチゴの花はとても奇妙です(写真下)。白い花弁が下にあり、緑色のガクが上に付いている。それとも白いのがガクで緑色なのが花弁?
敷地の真ん中をメシラウ川が流れています。雨が降ったこともあり、かなりの水量と早い流れです。これだけの山と雨ですから、水が豊かです。
大きな樹木には必ず他の植物が着生しています。樹上でも水分が十分に取れるくらい雨が多いということでしょう。下段の写真左のように、建物の屋根の上にも樹木が成長しています。
写真下のランはレストラン近くのあったもので、たぶん人為的に樹木に着生させたものでしょう。 写真上 Chelonistele
sluphurea (“The Plants of Mount Kinabalu 2: Orchids” PL19.) 通路の薄暗いヤブの何も何か花が咲いています。
七時頃に宿舎に戻り、昨夜と同じ敷地内のレストランで朝食です。敷地内は勾配がきつく、道路はコケが生えて滑りやすいので、一部の人はレストランまで車で移動しました。
メニューはその場で卵焼きを作ってくれる程度で、後は昨夜の作り置きでしょう。種類は多いが、野菜がちょっと少ない。
午前中の散策 八時に出発して、ホテルの東側にある山道(Nepenthes trail)に沿って、メシラウ川を渡り、対岸の山を散策しました。曇っているが、雨が降らないだけありがたい。
メシラウ川に沿って上流に登って行きます。うっそうとしたジャングルで、昨夜の雨のせいもあって、かなりの湿度で、足元は滑ります。
ホテルの敷地内にも生えていたタニワタリが樹木に着生しているのがあちこちで見られます。
写真上 Asplenium nidus (『キナバル山の植物』p.102) 林の中で目立つのは大きなシダとコケです。シダとコケが好きな人にとってはボルネオは素晴らしい。私は詳しくないので、どれもこれも同じに見えます(笑)。
写真上左 Blechnum vestitum (『キナバル山の植物』p.103) コケの分類については広島大学デジタル自然史博物館の「ボルネオ島キナバル山のコケ植物」というホームページを参照しました。しかし、大半はわからない(笑)。
写真上左 Jensenia decipiens (http://www.digital-museum.hiroshima-u.ac.jp/~museum/pages/kinabalu/kinabalu4.html)
意外だったのはキノコが少ないことです。これだけの湿気の強いジャグルなのだから、キノコだらけではないかと期待していたのです。もちろん生えてはいるが、シダやコケに比べると少ない。 薄暗い林の中でシュウカイドウが花を咲かせています(写真下)。私の実家の北側にも咲いていました。花の色がちょっと白っぽいこと、葉の緑が濃いことを除けば、全体の雰囲気はほぼそのままです。日本には江戸時代に中国からもたらされたとされています。栽培品が野生で見られるのはおもしろい。雄花と雌花があるはずだが、見ただけでは良くわかりません。
写真上 Begonia
burbidgei (『世界のワイルドフラワーⅡ』p.153) 樹木の花が数は少ないが、そちらこちらあります。
写真下の樹木の花はピンク色なので薄暗い中でも良く目立ちます。
写真下のように、花なのだろうが、色も形も目立たないので、指摘されないと気が付きりません。
写真上 Tasmannia
piperita (『キナバル山の植物』p.108) 大小のウツボカズラ メシラウ川の吊り橋を渡り、東側の山の斜面を登ります(写真下)。
西側と違い、山の斜面なので高い樹木はなく、明るい。その代わり斜面で、しかもすべるので登るのが大変です。危険な場所には木製の階段が付いているから一見登りやすそうですが、木の階段にはコケが生えているらしく、滑りやすく、一歩ずつ踏みしめるように登ります(写真下)。
斜面を登り始めて間もなく目的のウツボカズラが現れました。
写真上下 Nepenthes
burbidgeae 写真下左を見てください。上に葉っぱがあり、葉っぱの先からツルがのびて、その先に壺がついています。これを見てもわかるように、ウツボカズラの壺は葉が変形したもので、もちろん花ではありません。
この壺が捕虫器で、壺の周囲からは甘い蜜が出ていて、虫たちはそれをなめているうちに捕虫器の中に落ちて這い上がれなくなり、壺の中にある消化液で消化されてしまいます。自力で消化してしまうのではなく、中に落ちた虫の分解は中にいる細菌が行っているというから、動物の胃腸と似ています。 熱帯のジャングルだから土は栄養豊富のようだが、暑いので落ち葉の分解は早く、しかも大量の雨で流されてしまうので腐葉土は少なく、土は痩せている。そこでウツボカズラは虫を捕食する道を選びました。
何度見ても奇妙な格好に進化したものです。壺の上には蓋が付いていて、たぶん雨など水が直接入り込まないようにしているのでしょう。写真上右は蓋を真上から見たもので、壺と同様の模様がついています。虫が雨を避けて、この蓋の裏側に止まっていると、雨が当たった衝撃で、虫が壺の中に落ちるようにできているそうです。軒先を貸して、身ぐるみいただく。
写真下はずいぶんと筒の長いウツボカズラです。日本で言うと、縦縞模様のテンナンショウの仲間を連想させます。もちろん、テンナンショウは花で、こちらは葉だし、分類からもまったく別種です。
写真上 Nepenthes
fusca 写真下はまだ蓋が開いていない。写真下右側の緑色の植物がこの壺の持ち主です。解説を読むと、実は壺が葉で、この葉のように見えるのは茎が変形した偽葉だと言います・・・訳がわからん。
写真上下 Nepenthes
rajah 葉が偽葉であれ何であれ、かなり大きな葉で葉緑素があるのだから、光合成もするのでしょう。するとここにあるウツボカズラは肉食性ではなく雑食性ということになります。
大半のウツボカズラは壺に液体が入ると重いので地面にあります。しかし、写真下のように小さいとヒョウタンのようにぶら下がっていることもあります。 写真上 Nepenthes
tentaculata (『キナバル山の植物』p.71) 写真下のオオウツボカズラなど、フタの部分も加えると宇留間さんの顔より長い。
オオウツボカズラは朝食の前に見たリスのようなヤマツパイと深い関係があります(写真下左)。ヤマツパイはオオウツボカズラの出す甘い液をなめて、その代わりに捕虫器の中に排泄し、ウツボカズラに栄養を与えます。そう言われると、ウツボカズラがなんとなく蓋を開けた便器に似ている(笑)。 写真上左 ヤマツパイ 地図上右 ヤマツパイの分布(http://en.wikipedia.org/wiki/Mountain_treeshrewから転載) でかいのがある一方、写真下のウツボカズラを見てください。隣に突き立てた直径約1㎝の青いボールペンとほぼ同じ太さです(写真下右)。ウツボカズラの盆栽ができそうです。これは周囲にある大きなウツボカズラと同じ種類だというのです。環境によって大きさを変えてしまうらしい。 壺の手前に写っている緑色の葉がこのウツボカズラの葉です。また、ちょっと見えにくいが、ボールペンの横には小さなハエがとまっていて、まもなくウツボカズラの朝飯になります。
写真下はウツボカズラの花です。雄花と雌花に分かれており、それぞれ株が違います。つまり、オスとメスのウツボカズラがいます。 写真下が雄花で、人の大きさと比較すればわかるように、全体で1メートル以上もあります。特に匂いなどはありません。
写真下も別な種類のウツボカズラの雄花です。
写真下が雌花です。花の集合体で、雌花は手前に白い花が一つだけ付いています。雌花の上に枯れた枝が見えますが、たぶん雄花です。
写真下はまだ蓋が閉じたままです。写真下右のようにヒダがのぞいていると、まるで舌を出しているようで、なかなか不気味です。
写真上 Nepenthes
rajah 写真上のウツボカズラの口が開くと、写真下のようになります。写真下右が後ろ姿で、なかなか恰幅がよい。
中をのぞくと、テラテラと光っていて、いよいよ不気味です。撮影している人の手と比較してもかなり大きいのがわかります。壺の口の大きさはカブトムシでも余裕で入れます。
口をぱっくりと開けた肉食の植物はちょっと怖いと誰もが感じるようで、映画にもなっています。私が観たのは、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(Little Shop of Horrors)で、人間の血を吸う植物のコメディでした。この映画は1986年にリメークされた映画です。写真下などを見ると、作った人の気持ちもなんとなくわかります。
野生のラン ちょっと不気味なウツボカズラに比べると、まあ何て美しいランでしょう(写真下)。まるで髪飾りのように、花が垂れさがっています。こんなのが山道の脇に自然に生えているのですから、驚きます。
写真上 Coelogyne
moultonii (“The Plants of Mount Kinabalu 2: Orchids”
PL.25) 写真下は緑色のランです。かなり細くて花も小さいので、教えてもらわないと、気が付かず通過してしまいそうです。
写真上 Platanthera
kinabaluensis
(“The Plants of Mount Kinabalu 2:
Orchids” PL.72)
写真下のランはヤブの中からポツンと一本だけ出ていました。ランは一株だけ咲いていることが多い。
写真上 Spathoglottis
microchilina
(“The Plants of Mount Kinabalu 2:
Orchids” PL.77) 写真下は典型的なランの姿をしたランです。毎度見るたびにほんとう変わった姿の花だと感心します。いったいこの奇妙な形が虫たちにとってどんな意味があるのでしょう。
写真上 Paphiopedilum
hookerae (“The Plants of Mount Kinabalu 2: Orchids”
PL.67) 写真下の小さなランは橋の近くの樹木に生えていたもので、往きは誰も気がつかず通り過ぎ、帰りに見つけました。ウサギの耳がついたような特徴的な花ですが、図鑑からは探せませんでした。
写真下は茂みの中にあった花です。茎が1メートルほどもあり撮りにくい。写真下段右の葉から見ると、やはりランの仲間のように見えます。
ウツボカズラとランが目立ちますが、それ以外の花はそれほど多くはありません。
写真下の花は、図鑑の説明によれば、キナバル山の3千~4千メートルに生えているという。でも、ここはまだ二千メートルくらいです。
写真上 Trachymne saniculifolia (『キナバル山の植物』p.121) 写真下の花は良くみかけるのだが、花が小さい上に、きれいに咲いている個体が少なく、良い被写体がありません。
写真上 Hedyotis macrostegia (『キナバル山の植物』p.107) 写真下はユリの仲間だそうです。
写真上 Dianella
Javanica 午前中の散策もここまでで、来た道を戻ります。雨で木製の階段も滑りやすいので登るよりも危ない。恐る恐る下りていきます。
コタキナバルに戻る 荷物をまとめて、メシラウ・ネイチャー・リゾートを出発(10:36)。昨日来た道をコタキナバルまで戻ります。
道端には、たぶん通過する車を相手だと思われる露店が時々あります(写真下)。写真下には店番をする女性が二人写っており、二人ともスカーフをしていますから、イスラム教徒です。
道を走っていて良く見かけるのがカトリック教会の看板です。写真下の三枚は聖アンナ教会、聖マリア教会などすべて別な教会です。看板がすべて統一されているのがおもしろい。サバ州は人口の半分がキリスト教だというから、教会が多いのも当たり前なのでしょう。
道路でもう一つ良く見かけるのがAWASという赤い看板で、危険という意味なのが、教えてもらわなくてもわかります(写真下左)。
ガソリンスタンドで給油とトイレ休憩です(12:06)。RM3.00(102円)とあります(写真下右)。この時期、日本では157円前後でしたから、65%、約3分の2の価格です。
日陰になっているトイレの入口付近にネコが眠っています(写真下)。今回の旅行では初めて見ました。屋外には犬も少ないが、猫は見かけません。それにしてもこの猫、ずいぶん痩せていて、どこか悪いのだろうか。 ガソリンスタンドの隣にはなかなかおしゃれな家があります。
庭には、パパイヤ(写真上右)、マンゴー(写真下左)、タピオカ(写真下右)が植えられています。マンゴーはゆうに二階建ての屋根くらいの高さがあり、これほど高木だとは知りませんでした。
コタキナバルに近づくにつれて、気温はあがり、天気も良くなってきました。
市内は観光施設のような物は少なく、その中で目につくのは、コタキナバル市立モスク(写真下左)とサバ州立モスク(写真下右)です。マレーシアはイスラム教が国教ですから、公立のモスクがあります。しかし、率直に言って、イスラム建築にしてはデザイン的に洗練されていない。
街は良く道路が整備され、緑も豊かです。常夏でしかも雨の量も多いから、樹木が自然に生い茂っているようです。
街中は日中で暑いせいか、人通りはそれほど多くはありません。
コタキナバル市内のMay flower restaurant(伍月花酒楼)で昼食です(写真下、12:51~)。本格的な中華料理で、日本人の口に合います。ネットでもサービスは中くらいだが、食事はおいしいと書かれています。プロムナード・ホテル(Promenade Hotel Kota
Kinabalu)附属なので、トイレはホテルのロビーまで行かなければならない。もちろん、私は行きました。
食後、植物関係の本を買うために市内にあるサバ博物館(Muzium Sabah, Sabah Museum)に行きました(14:03~14:49、写真下,
http://www.museum.sabah.gov.my/)。
博物館には店があり、ボルネオの自然に関するかなりの量の本を売っています(写真下)。良い本があれば買いたいのだが、ありませんでした。奇妙なことに、ランやウツボカズラを専門に集めた本はたくさんあるのに、ボルネオの植物全般を扱う本がありません。 植物全般となるとマレーシアの本になってしまい、しかもマレーシアの植物についての本自体が少ない。これは出発前にネットで検索していても同じ印象でした。この店でも、ネイチャリング・ツアーから紹介された『キナバル山の植物』(佐藤卓)が売られており、結局、全般についてはこの本くらいしかありませんでした。私は何も買わずに店を出ました。
博物館の入口には大きな写真が飾ってあります(写真下)。左側の十人の男女は各民族や種族を表し、右側の二人はサバ州の君主のようです。ジェリーさんに「スルタンか」と質問すると、違うとのことでした。スルタン(Sultan)は各州にいる君主のことで、この中から任期五年のマレーシアの国王に選ばれます。しかし、サバ州にはスルタンがおらず、この写真の人物は名誉的な君主とのことでした。 1993年頃までは、スルタンは治外法権の特権を持っていました。あくまでも噂ですが、昔、スルタンの車を追い抜いた人が拳銃で撃ち殺されたという話を聞いたことがあります。 ランと昆虫 コタキナバルのサバ博物館を出発して、40kmほど南東にあるキパンディ・パーク(Kipandi park)に向かいます。 コタキナバルから五十分ほど山道を走ってクロッカー・レンジ山脈にあるキパンディ・パークに到着しました(15:46)。キパンディとはこのあたりの集落の名前です。 「昆虫と蘭の観察」としてマレーシア政府観光局のホームページにも紹介されていますから、蝶と蘭で有名なようです。(http://www.tourismmalaysia.or.jp/manaberutravel/nature.html)
写真下が園内の様子です。敷地はそれほど広くありませんが、山の斜面に作られているので、見た目ほど移動は楽ではありません。このあたりで標高720mほどです。 駐車場から坂を登ると(写真下左)、受付と事務室があります(写真下右)。トイレ休憩を兼ねて一休みです。水洗トイレで清潔は保たれています。
日本でも紹介されたらしく、日本語の雑誌の記事が展示されています(写真下)。 受付の建物からさらに登り、ランなどが植えてあるButterfly Gardenに案内されました(写真下)。網がかけてあり、蝶々が放ってあるようです。少し飛んでいますが、数は多くなく、曇り空で薄暗く写真は無理です。子供の頃、たくさん蝶を採ったので、蝶を見ると後ろめたい(笑)。まさに” Kill nothing but time”です。
チョウは撮影できないが、トゲを付けた幼虫がいました。
蝶を撮るのは無理そうなので、花を撮ることにしました。植えてあるのは蝶々の幼虫のエサだけではなさそうですが、この近隣にある植物なのか、どういう由来の植物なのかが良くわからないのが残念です。
写真上 Orthosiphon aristatus (Plants and Flowers of Malaysia, p.154) 写真下はなんとも言えない紫のきれいな花です。薄暗い中、植物の間にぽっかりと浮かび上がるように咲いていました。 写真下の花を見た時、最初は地面に花が落ちているのかと思いました。地面の上に唐突に花が咲いています。ショウガの仲間だそうです。
写真下のトリトマのような花もショウガの仲間です。花の左側に立っているのが茎で、いかにもショウガらしい葉が生えています。
写真上 Phaeomeria speciosa (Malaysian Flowers in Colour, p.129)
写真上 Heliconia psittacorum (Malaysian Flowers in Colour, p.132)
写真下は旅行中あちらこちらで見かけた花で、何とも印象的です。ボルネオ原産ではなく、ペルー、ボリビアなど南米原産で、世界中の熱帯森林に見られるそうです。
写真上 Heliconia
rostrata (『世界のワイルドフラワーⅡ』p.210)
写真上 Allamanda Cathartica (Malaysian Flowers in Colour, p.69)
多様なラン 草花を植えたガーデンはもう一つあり、そちらはもっぱらランが植えてあります。この近くの山々から採取したランのようです。自然のままで観察できれば一番良いが、現実にはこれだけのランをすべて自然のまま観察することは無理でしょうから、その意味では効率的です。
写真上 Arundina
graminifolia (『キナバル山の植物』p.23) ラン園の入口に植えてあるのが、背の高い茶色のランです。写真下右の人間と比較してもらうとわかるように、高さが2~3mあります。ランというとちょっと高級なイメージだが、このランは色も生え方もいたって庶民的です。
ラン園の中は所狭しとたくさんのランが花を咲かせています。数というよりも種類が多い。
写真上 Coelogyne
papillosa (『世界のワイルドフラワーⅡ』p.153) この前後のランは日本でも店で見かけるようなオーソドックスなランです。
きっとラン好きな人が見たら、大喜びするくらいそろっているのでしょう。私にはどれが珍しいのかわからず、片端から目につくのを撮りました。
写真上左 Paphiopedilum rothschildianum (“The Plants of Mount Kinabalu 2: Orchids” PL.68) 写真上中右 Paphiopedilum
dayanum (“The Plants of Mount Kinabalu 2: Orchids”
PL.66)
写真上 Trichoglottis
smithii (“The Plants of Mount Kinabalu 2: Orchids”
PL.80) 写真下は日本でも良く売られているオンシジュウム(Oncidium)です。ただ、原産地が中南米なはずですから、本来ここに自然にあるランではありません。こうしてみると、このラン園は、地元だけではなく、様々なランを混ぜてしまっているようです。私の好みから言わせてもらうなら、明瞭に区別するべきです。
写真上 Oncidium
sphacelatum (Malaysian
Flowers in Colour, p.106) 日本人が良くここに訪れるらしく、日本語で注意書きが掲示してあります。昆虫を採ったり、花を盗ったりしないでくれという一般的な注意です。
ここまでのランは店などでも見たことがあるようなランです。しかし、ここから後は、私は初めて見るランです。何も知らずに見たら、写真下などユリの仲間かと思ってしまいますが、ランだそうです。
写真下は青いランです。言われないとランに見えません。昨日、メシラウ・ネイチャー・リゾートでも、植物ガイドのリヌスさんが自然に生えている青いランを教えてくれましたが、残念ながら、花が咲いておらず、私にはただの木の枝にしか見えませんでした(笑)。下の写真から花を取ったら、ただの木の枝ですよね。
写真下のランも木が赤い花を付けているように見えるだけで、花の形を見てようやくランだとわかる程度です。 写真下もランの花だという。写真下右のルーペとの大きさを比較していただければわかるように、小さい。教えてもらわなければ花があることも気がつきません。
写真下のランも小型で、老眼にはキツイ(笑)。写真下右は、花が終わって実がついている状態なのか、それとも先端に小さな花が咲いているのかよくわかりません。 写真下は一見、シダの仲間のようですが、葉の先や裏側に小さな花を付けており、これもランだという。名前はわからないので、ムカデランと私が名前を付けました(笑)。
写真下なども花を丁寧に見ればランだとわかるが、遠目にはランには見えませんでした。
このラン園の中で一番ランらしくないランが写真下です。蔓上に頭上に巻き付いて、線香花火のような放射状の白い花を咲かせています。蔓のランは初めて見ました。蔓状であること、花の付方、花の形、葉の形といい、ランと言われなければ誰もわからないでしょう。
私の周囲にあるランはシュンラン、エビネ、キンラン程度だったので、ランというと店で売られている派手な花というのが私のイメージでした。だから、ここのラン園に入った時も、自然でないこともあって「せっかく来たのだから、見るか」という程度でした。
しかし、見るうちに、ランの多様性に驚きました。これはこの後、自然のランを見ても感じたことですが、大きなランから、必死に見ないとどれがそれかわからないほど小さなランまであります。姿も形も多様で、ランにハマルと出て来れなくなりそうです。
あまりにいろいろな形のランがあって、明らかにランでない花を見つけると、ホッとする(笑)。
写真上 Medinilla
speciosa (『キナバル山の植物』p.88)
ラン園の外にフェンスに蔓がからみついて、薄紫の花を咲かせています(写真下)。花の蜜を目当てにクマバチが羽音をたてて入り込んでいます(写真下右)。クマバチは見た目は黒くて怖そうだが、手出しさえしなければ無害です。ミツバチには敬意を払いましょう。
ランの根元に小さなウツボカズラが生えています。小さいので教えてもらうまで気が付きませんでした。午前中にメシラウ・ネイチャー・リゾートで見たのとの違いは、小さい、地面から生えたように並んでいる、緑で模様がない、そして、蓋が雨よけの役割をしていないことです。
写真上 Nepenthes ampullaria (“Plants and Flowers of Malaysia, p.130) 写真下は建物の外にあったウツボカズラで、こちらも緑色で模様がありません。
近くの山を散策 ラン園を出て、少し坂を登ると頂上で、クロッカー・レンジ山脈の山々が見えます。写真下のY字型のシダは今回、どこでも良く見られました。
道端の雑草の中に小さなパイナップルが生えています。学生時代、沖縄で栽培されているパイナップルを初めて見た時には驚きました。私はリンゴや梨のようにぶら下がっているものと思いこんでいたからです(笑)。パイナップルは熱帯の南米が原産ですから、誰かが植えたのでしょう。
他の皆さんは山頂で引き返すというので、へそ曲がりの私は一人だけそのまま山道を進みました。
写真上左 Dipteris
conjugate 『キナバル山の植物』p.102 しかし、大きなシダの生えた薄暗い雑木林が続くだけで、花らしい姿はあまりありません。
やがて、木々の間から開墾した畑が見えてきたので(写真下右)、これ以上降りても無駄と判断して、引き返しました。それに蚊がいて怖い。このあたりは大丈夫とのことですが、ボルネオはマラリアが健在です。
木々の間から、夕暮れのクロッカー・レンジの山々が浮かびあがります。
雨がぱらついてきました。これから誘蛾灯で昆虫を集めようというのだから、止んでほしい。
受付の建物の上に昆虫博物館があります。蝶々が800体、甲虫が1800体あるそうです。虫に詳しくない私でもすごい中身なのはわかりますが、私は死んだ物にはあまり興味が持てない。花でも虫でも生きているほうが楽しい。死んでしまうと、私の興味や好奇心は急激に下がってしまう。飛んでいる蝶々を見ると大騒ぎするのに、ここにある見事で美しい蝶々の標本を見ても、関心が低い。私以外だれもいない遺体安置所のような博物館を一周して、写真だけ撮り、出て来ました。
誘蛾灯で生きている虫たちを集めるので、暗くなるまで受付の事務室のある建物で待つことにしました(写真下左)。ジェリーさんがスーパーで買った地元の何種類かの果物を出してくれました(写真下右)。トマトのように見えるのがデンブ、右側の黄色いのがジャックフルーツ(パラミツ)、左がバナナ、右上がスネークフルーツです。私はドリアンがあればもっと良いのにと思いながら、ジャックフルーツを食べました。しかし、日本人からの一番人気は食べなれたバナナでした。形はモンキーバナナですが、日本で売られているような強い甘味はなく、味は普通のバナナと同じです。
夕焼けも見えるのに、雨は止みません。これでは虫が集まらない。
でかいカブトムシが四匹も 六時半頃、ジェリーさんが声をかけて、ラン園の隣にある虫集め用の白い横断幕が張ってある場所に行ってみました。屋外でも、屋根が付いているので雨でも虫が見られます。 雨にもかかわらず、かなり虫が集まっています。私が最初に見つけたのは・・・ゴキブリでした。見慣れているせいか、真っ先に目が行き、どう見てもコイツはクロゴキブリです。日本のクロゴキブリそのまんまで、どこで見ても気色悪い。皆さんも見たくないでしょうから、写真は撮っていません。 大きなカブトムシが来ていると大騒ぎになりました(写真下)。身体に油を塗ったように光っている。ゴキブリが油っぽく光ると気色悪いのに、カブトムシが光るとスゴイと感動するのはどうしてだろうと考えるのは後にしましょう。
写真上 モーレンカンプオオカブト(ボルネオオオカブト)
Chalcosoma moellenkampi すごい迫力のあるカブトムシで、角が上に二本、真ん中に小さいのが一本、下にもう一つ付いています。こいつがなんと三匹もいて、ついに取っ組み合いの喧嘩を始めました。ジェリーさんが引きはがそうとするが、がっちりと四つに組んで、双方一歩も引きさがりません。
もちろん、オスが争うのはメスがいるからです。写真下はカブトムシのメスらしく、小さな角がついています。
カミキリとクワガタも登場です(写真下)。帰国後、量販店のチラシを見たら、スマトラヒラタクワガタが雄雌のペアで1980円、大きな角が三本でているアトラスオオカブトは1500円でした。これでは「密漁」は割に合わないでしょうから、良いことです。虫も花も採らずに撮るだけにしましょう。
写真上右 Odontolabis
leuthneri (http://www11.plala.or.jp/stagbeetle/Stag%20Beetle.htm) 写真下はカナブンの親戚みたいな姿ですが、ツヤクワガタのメスのようです。
写真上 Odontolabis
cypri (http://www11.plala.or.jp/stagbeetle/Stag%20Beetle.htm) でかいカブトムシやクワガタが現れたので、私は身体中に虫をくっつけながら、大ハシャギで写真を撮りまくりました。写真下はたぶんコガネムシです。でも、カナブンのような派手さがない。
写真下はゾウムシの仲間?まあ、なんて奇妙な姿だ! 写真下はカメムシの仲間のように見えます。
緑色のセミです(写真下)。先ほど、ラン園などを見学している時、山のほうで機械の回転部分が何かに接触しているような「ギィーン」という耳障りな金切り音が聞こえました。私は機械が古くて壊れかかっており、それを強引に使っているための騒音かと思いました。しかし、いつまでたっても止まない。ようやくセミの鳴き声だと気が付いて、ビックリしました。もしかしたら、この緑色のセミがあの騒音を出していたのでしょうか。日本では沖縄地方にクロイワゼミという緑色のセミがいるそうです。
写真を撮っていると身体中に小さい虫が入り込んできます。他のお客さんが一通り撮り終えると、虫の攻撃に撤退する中、私は最後まで身体中に虫をつけながら撮りました(笑)。
飛来した中で一番大きいのが写真下左の蛾です。ただし、日本の蛾とあまり変わりません。
スズメガが何体かいます。特に私の興味を引いた写真下左のミドリスズメです。ボルネオのコケの生えた樹木に止まっていれば目立たないのでしょう。
雨のせいか、蛾の数はあまり多くありません。大型の蛾がブワブワと飛ぶのを期待していたので、ちょっと残念です。
虫の観察を終えて、夜道をコタキナバルまで戻りました(19:23)。 店員の左手 コタキナバル市内の中華レストランで夕食を取ります(20:08)。店の入り口に「彌月之喜」と看板があったので、私はてっきりこれが店の名前なのだと勘違いしました。
店員が汁物をお玉で取り分けてくれます(写真下左)。その時の左手をごらんください(写真下右)。左手を背中に回しています。この姿勢は昼食の時の中華レストランでも同じでした。昼食の時は撮り損ねたので、夕食で決定的な瞬間を狙いました(笑)。たぶん左手は不浄というイスラム教の影響でしょう。
昼食と同じ中華系で辛くないので、私は安心して食べました。 隣の席ではにぎやかな一族のパーティーが開かれて、記念撮影です(写真下)。店の前にあった「彌月之喜」という看板は彼らのためのものです。生後一カ月を祝う中国系のお祝いです。真ん中の赤ん坊を祝っているのでしょう。顔立ちからして夫婦の両親らしい人が両側にいます。 食事を終えて、今夜のホテルに行きました。初日と同じホテル・シャングリラです(21:15)。 写真下が今夜の私の部屋です。この日からここに三泊ですから楽です。
設備については初日に申し上げたとおりで、基本的な所は問題ないのだが、幹線道路に面していて騒音がひどいこと、ネットがつながりにくい問題はそのままでした。ただし、この日と翌日のみはネットに接続できて、帰りの飛行機の座席の予約が出来ました。
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