ボルネオの花 6日目 2014年5月17日(土) コタキナバル → 成田 今日は帰るだけで、しかも飛行機は7時40分発なので、起床は朝4時です。窓の外はまだ暗い。ホテルからランチボックスをもらって、後部座席のずれている大型バスで空港に向かいます(写真下右)。ランチボックスには水が入っており、当然、税関で没収されますので、ほぼ全員がバスに残しました。 距離も近いし朝早いから、予定通りにコタキナバル国際空港に到着。私一人だけネットですでにチェックインしているので、いつも一番遅い私が一番早い。 ここで五日間お世話になったジェリーさんともお別れです。独学だという彼の達者な日本語には驚きました。観察眼も鋭く、なかなか賢い人です。 飛行機に乗り込もうとすると、またしても手荷物のX線検査です。さきほど税関でチェックしたのだから、二度目です。しかも、開封したペットボトルは没収です。普通は税関を通過してから購入したペットボトルは飛行機に持ち込み可能なのに、ここでは禁止です。宇留間さんは一口飲んだだけの水を没収されました。なかなか厳しい。しかし、飛行機が行方不明になるよりは良い。 飛行機はマレーシア航空MH80便で、来た時と同じボーイング社のB737-800です。 二日前、宇留間さんにも協力してもらい、苦労してネットで予約したのに、今日は空席が目立ち、予約の必要がなかったほどです(写真下)。これでは直行便はまた廃止になるかもしれません。 私が一番後ろの席にいるのを見て、客室乗務員が「ここは配膳室に近くうるさく、前のほうが空いていますから、いかがですか」と声をかけてくれたほどです。たしかにこの席はトイレに近く、その音や臭いがあります。でも、私はわざわざ一番後ろを選んだのです。今日は一人で3座席を占領できるので楽です。 では、五時間に及ぶボルネオから成田までの遊覧飛行を私が観光ガイドいたしましょう。こんなツアーはどこの旅行会社もしていないし、しかも無料です(笑)。 ボルネオ遊覧飛行 B737-800はほぼ予定通りにコタキナバルを離陸(7:41)。来た時は夜だったので、上空から日中のコタキナバルを見るのは初めてです。建物や海がいかにも南のリゾートという雰囲気です。 コタキナバルの沖合にあるPulau Gaya島(写真下左)とPuau Sepanger島(写真下右)の脇を通過します。 飛行機は海岸線沿いに北に向かいます。突き出た砂州や(写真下左と上図Ⓐ)、川を通過して(写真下右と上図Ⓑ)、飛行機は洋上に出ました。ボルネオ島ともお別れです。 Ⓐ Ⓑ 洋上には雲があるものの、天気も良く、飛行機は特に揺れることもありません。しかし、島や洋上も熱せられているらしく、積乱雲のような雲が立ち上がっています(写真下右)。 海には時々、島影が見えます。周囲が珊瑚礁らしく、島の周囲が独特の水色になっているのがきれいです。 窓の外に縦に虹が現れました。太陽は飛行機の右側で、私の座席とは反対方向ですから、虹が現れても不思議ではないのだが、それにしても虹が現れると単純に私はうれしい(笑)。 フィリピン遊覧飛行 飛行機は海をわたり、フィリピンのパラワン島(Palawan)の東側を北上します。 飛行機が飛んでいるのはスールー海の上で、海にいくつか小さな島が見えます。写真下左の手前の目立つ三つが、左からデーディナー島、ベシー島、アレサイフ島です。 パラワン島の向こう側に見えるのが南シナ海で、中国との領海問題になっている南沙諸島のある海上にものすごい積乱雲が発生しているのが見えます(写真下)。いずれも雲が海に映るほど巨大な雲です。 食事が出ました(8:27)。朝食はホテルでもらったランチボックスで済ませたので、これは早すぎる昼食です。午後に成田に着くのに、この一食しか出ません。六時間弱の飛行だから、一食しか出さないのでしょう。朝食にはサンドイッチのような軽食を出し、昼食にこれを出せばちょうど良いような気がします。 パラワン島のほぼ中部のプエリトプリンセサ市の北側にあるUlugan湾が見えます(写真下)。 南北に長いパラワン島の一番北にあるエル・ニド市を通過します。 バスアンガ島( Busuang)の上空を通過。見えているのはバスアンガ島の北にくっついているカラウィット島です(写真下左)。 下左の衛星写真には、北側の沖合にいくつか小さい島が見えています。右側にあるタノホン島は、下右の地図には載っていません。Googleの地図には時々、こういう奇妙な記載があります。 ここでも海上にものすごい規模の積乱雲が発生しています(写真下右)。飛行機の高度とそれほど変わらないから、1万メートルまで達しているのでしょう。 ルバング島が見えて来ました(写真下)。あの日本兵の小野田寛郎さんが潜んでいた島です。見つけられたのが1974年で、三十年近くもジャングルの中に生きていたのだから、すごい。 ルバング島をすぎるとフィリピン最大の島であるルソン島が見えて来ました(9:10)。写真下左、半島の右側がマニラ湾で、半島の中心部にあるMariveles山に雲がかかっています。 今回利用したネイチャリングツアーだけでなく、フィリピンの花のツアーは聞いたことがありません。熱帯で、これだけ島が点在しているのだから、何か珍しい植物がありそうな気がします。でも、交通の便は悪そう。船となると、船に弱い私には無理です。 十時少し前、飛行機はルソン島を通過し(写真下左)、やがてフィリピンの島影も見えなくなりました。 琉球遊覧飛行 飛行機は台湾の東側の太平洋上を北上しています。 雲があってしばらく海が見えませんでした。雲が切れると沖縄が見えてきました。写真下は那覇市の沖にある島ですが、グーグルの地図で見てもわかりません。単なる珊瑚礁で満潮の時は沈んでしまうのかもしれません。 珊瑚礁をすぎると、すぐに沖縄の本島の上空に入り、那覇市が見えて来ました(写真下)。 写真下左に見える滑走路が沖縄市の嘉手納飛行場です。 写真下は名護市です。米軍基地の移設問題で大揺れに揺れています。移転先の候補になっている辺野古はもっと南側(下)で、写真には写っていません。 写真下の上段が与論、下段が沖永良部です。どちらも行ったことはありませんが、前に沖永良部のユリの栽培業者から球根を安く譲ってもらったことがあります。徳之島が見えていいはずなのだが、雲のせいかわかりません。 写真下の喜界を過ぎると、沖縄の島々も終わりです。写真の向こう側に海岸線が見えているのが奄美です。 関東遊覧飛行 紅茶を飲んでいるうちに飛行機は太平洋上を北上して行きます。客が少ないせいか、わざわざ注文を取りに来てくれました。 ようやく見えた島は伊豆諸島の新島です(12:34)。 東京都を通過して、私が「翼よ、あれが千葉県の九十九里浜だ(写真下右)」と宣言したところで、本日のボルネオ、フィリピン、沖縄の遊覧飛行も終わりです。天候にも恵まれ、けっこうな遊覧でした。飛行機から見える島をいちいち案内してくれる旅行会社なんて当方の夢幻旅行社しかありませんので、ぜひ、次回もご利用ください。 12:56(日本時間13:56)、成田空港に無事に到着。着陸後、液晶画面にはマレーシア語で「ありがとう」を意味するTerima Kasihが表示されました。 今回の旅行はランとウツボカヅラを中心としたツアーで、天気がイマイチでしたが、目的としたランなどはすべて見られました。熱帯雨林は年中花が咲くので、逆に花が集中しないというマイナス面もあります。ラン探しの感想を言うなら、暗い林の中で、指さされてもわからないような小さなランを素人が探すのはまず無理でしょう。リヌスさんのような植物ガイドがもっと増えて、彼らが自然保護にも力を入れられたら素晴らしい。 参考のために、今回の旅行でかかった主な費用をまとめました。ネイチャリングクラブは年会費3800円で、世界中で撮った野生の花のカレンダーと会報などを送ってくれます。カレンダーの写真は二ヶ月一枚の手抜きではなく、表紙を含めて13枚の花の写真があるので毎月楽しめます。さらに旅行ごとに10,000円の割引があるので、得をした気分になります。
今回は成田空港の駐車場を変えました。前の駐車場がネット予約の割引をやめてしまったからです。前の駐車場が荷物の積み込みもしてくれて、車の鍵も預かってくれたが、今回の駐車場はそういうサービスは一切無しの料金勝負で、庶民の味方です。連休明けということもあって客が少ないのか、駐車場から空港までのバスも待たされることもなく、往復ともに私一人でした。 物価上昇 あちらこちらの旅行会社の旅行費用が軒並み値上がりしています。消費税値上げ分の3%などではない値上げです。ある旅行会社のツアーは、私が一度申し込もうとした7年前には398,000円だったのが、2011年に41,8000円になり、去年は458,000円で、今年はなんと498,000円になって、私は仰天しました。一人部屋分も値上がりして、合計で12万円ほどの値上がりですから、単純計算で7年前より30%も値上がりしたことになります。 これは極端な事例だが、あちらこちらの旅行会社でも同様の現象がみられます。円安の影響もあるだろうが、円高の時、旅費はそれほど下がっていませんでした。円安や消費税だけでは説明のつかない上昇ぶりです。 旅行だけでなく、スーパーに買い物に行っても、昨年に比べて、とうてい消費税の3%上昇分では説明がつかない値上がりが続いています。 デフレはダメでインフレが経済発展には必要なのだと専門家は口をそろえて言う。値段が上がるなら、今の内に買おうとするから消費を促すという。確かに、この十年でも日本人は、高くても良い物なら買う、という人たちが増えていることが調査でわかっています。だが、値段が上がるなら、買うのをやめるという選択肢もあります。経済素人の私から見ると、デフレやインフレの片方ではなく、両者のバランスが必要なのではないかと思います。 |