ポルトガル 春の花 3日目 2013年3月2日(土) ラゴス→サグレス岬→サンビセンテ岬→ラゴス 昨夜寝たのは十二時すぎていたのに、時差ボケで、五時すぎには起き出しました。まだ暗い。六時半すぎ、ようやく明るくなって来て、外を見ると曇りです(写真下)。とにかく雨さえ降らなければ合格です。 昨夜はエアコンの音がうるさいので暖房を入れなかったこともあり、部屋の温度は16℃と寒く、これでは日本とあまり変わりない。 7:45から朝食です。中途半端な時間なのは、冨山さんが交渉して少し早くなっただけで、実際はもっと遅いようです。今回の旅行では夕飯などを見ても、ポルトガルでは食事の時間が日本よりもすべてずれて遅いように見えます。 本日はラゴスから西に向かい、サグレス岬とサン・ヴィセンテ岬を目指し、その周囲で花を探します。 空はどんよりと曇っていています。昨日、ラゴスに到着したのが夜だったので、街並みが良く見えませんでした。リゾート都市らしいきれいな街並みです。 道はサグレス岬を目指して、西に向かいます。道の両側に広がる街並みも統一感があってとてもきれいです。 一つ目のお花畑 本日、一つ目のお花畑に到着。曇っているだけでなく、風が強く、写真撮影には不利です。薄ら寒い。陽が射していないから、写真下の花は花弁を落としたままです。 写真上 Fedia
cornucopiae (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.1720) 写真上 Salvia verbenaca (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.1545) 写真上 Cistus
albidus (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.6) 一人でフラフラと野原の中を歩いていると集合時間近くになってランを見つけました。 写真上 Ophrys tenthredinifera (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.8) 写真上 Asphodelus
fistulosus (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.2087) サグレス岬 サグレス岬(Sagres)に到着(9:52)。岬といっても、その先端部分にはサグレス砦があり、先端まで生けません。 崖の下に波が打ち寄せ、北西の方角にこの後に行くサン・ヴィセンテ岬が見えます(写真下左)。 我々は砦の手前の岩場で花を探します。 写真上左 Silene
littorea (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.169) 岩場で最も目立つのが、写真下の黄色いキクのような花です。晴れて、海が青くなったら、海と青と花の黄色が良く似合いそうです。 写真上下 Asteriscus
maritimus (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.9) 岩の窪地にゼニアオイが咲いています。日本のゼニアオイに比べて、花が少し大きく、また色もきれいです。今回の旅行で他にもゼニアオイを見かけましたが、ここのが一番きれいでした。 写真上 Lavatera
arborea (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.912) サグレス岬から海岸に沿って、西にあるサン・ヴィセンテ岬に行きます。サグレス岬から北西の方向に見えた岬です(写真下)。 海岸に沿った道の両側には原野が広がっていて、その中に時々、家が建っています(写真下)。 サン・ヴィセンテ岬 サン・ヴィセンテ岬(Cabo de São Vicente)に到着(10:27)。ここがヨーロッパの最南西端で、岬には75mもあるという垂直の崖の上に灯台が建っています(写真下)。ここは険しい海岸の崖が理由で様々な鳥が棲息していることでも知られています。 灯台の手前で店を広げています。面白いのは品揃えで、全部衣類です。お土産物を売るのが普通なのに、ここは風が強く寒いので、一番売れるのは防寒衣料というわけです。けっこう客の集まりもよい。そうしてみると、ここは年中風が吹いていることになります。店主だけは、もっと風が吹いて寒くなれ、と祈っていることでしょう。 この岬でまず目に付くのがハンニチバナです。バスで来る途中も原野の中に白い花が咲いているのが見られました。ノイバラだろうかと期待したのだが、そうではなく、地中海などで良くみられるハンニチバナ科の灌木です。 ハンニチバナはその名前どおり、花は一日しか持ちません。次から次と大きな花を咲かせるので、地中海などでは庭などに良く使われます。しかし、日本ではあまりおなじみではありません。ハンニチバナは地中海の石灰岩でできたアルカリ土壌が好みで、日本の酸性土壌で、しかも高温多湿は合わないようです。 写真上 Cistus
palhinhae (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.7) 写真下は見れば見るほど、奇妙な姿をした花です。花の下から長い角が突き出ている。花自体はとても小さく、地面に寝転がって撮りました。Linariaの仲間のようですが、図鑑を調べてもわかりませんでした。 写真上 Narcissus
bulbocodium (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.11) 写真 Cerinthe
major (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.12) 写真上 Bellevalia
hackelii (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.14) 南東の方角に、さきほど訪れたサグレス岬が見えます(写真下左)。 写真上下 Medicago
marina (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.605) 写真上 Silene
colorata (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.9) 写真上 Asteriscus
maritimus (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.9) 少し場所を変えて、砂地で花を探します。ちょっとだけ植相が違います。 写真上 Silene
littorea (Wild Flowers of
the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.169) 写真上 Halimium
commtatum (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.7) 写真上 Biscutella
didyma (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.341) アズレージョ 昼食を取るために道のそばのレストランに入りました。 建物の壁面にタイルを用いた絵が飾られています。これをアズレージョと言い、ポルトガルの特徴ある文化の一つです。もっともアズレージョとは絵を指すのではなく、タイルそのものだそうです。古くは15世紀頃からペルシャの影響で作られたというのだから、それほど古いものではありません。ポルトガルの街や建物の様々な所に、絵の入ったタイルが用いられています。 様々な色のタイルが用いられ、良く見かけるのが写真のような青色です。日本人にはそれほど違和感がない。日本がそうであるように、この青はもちろん中国の影響です。 写真下の二枚は売店にあったもので売り物です。右が115ユーロですから、およそ14,000円ほどです。ポルトガルは至るところアズレージョがありますので、旅の途中で皆さんにご紹介しましょう。 江戸時代の伊藤若冲(1716-1800年)の描いた「樹花鳥獣図屏風」という屏風があります(写真下)。 (静岡県立美術館のホームページから転載) この作品の奇妙な所は、下図のように、絵のすべてが1cmほどの正方形から構成されていることです。まるで今日のデジタル絵画みたいです。 一つ一つの四角を描いていくのですから、その手間暇はすごいものがあります。いったい何のためにこんな面倒なことをしたのか、説はいろいろあるようですが、私はこれはアズレージョの真似だろうと推測しています。鎖国をしていた江戸時代にも様々な文物が輸入されていましたから、タイルで作った絵を見て、これをヒントにして描いたのでしょう。案外、彼が見たのはポルトガルから輸入されたアズレージョだったかもしれません。 ゴジラとアマガエルが青い空をながめています(写真下)。 店の周囲も花があります。写真下は建物の裏にあった花で、人が植えたのでしょう。でも、すっかり自然の一部になっています。 この店で食事を取るのではなく、店で一杯1ユーロほどのコーヒーなど何か飲み物を注文して(写真下左)、ホテルでもらったサンドイッチを食べます(写真下右)。サンドイッチが2つで、中にチーズとハムがはさんであります。ジュースに水とリンゴ、それに食後のデザートらしいお菓子がついてます。 このサンドイッチは三日間食べた感想としては、毎度同じで何の工夫もなく、また野菜が何もないので、食べにくい。温かいコーヒーで飲み下します。 店は昼食時だというのに、我々以外はほとんど客もおらず、がらんとしています。片側に動物の剥製が陳列してあり、アフリカに来たみたいです。私は剥製は苦手。人間の剥製が飾ってあったら顰蹙なのに、どうして動物の剥製は装飾品なのでしょう。 午後の散策 食後、再び花を探して散策します。海岸に近いので風は強いが、青空が見えています。これはうれしい。 写真上 Oxalis pes-caprae (Wild Flowers of
the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.735) 見渡す限りの原野なので、私は他の人たちとは別な方向に一人で歩いて行きました。どこに行っても花だらけです。 写真上 Allium neapolitanum (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.2225) 写真上 Lavandula
stoechas (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.1528) 写真上 Cistus
salvifolius (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.7) 先ほど岬でも見かけたハンニチバナがここにもあります。日が照ってくると、葉が光り、粘着性があるのがよくわかります。実際に触るとベタベタします。 写真上 Cistus
palhinhae (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.7) ここは先ほどの灯台の近くと違い、写真上の白いハンニチバナよりも、写真下の黄色いハンニチバナが多い。 写真上 Halimium
commtatum (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.7) 写真下のように写真上の黄色いハンニチバナが一面に咲いています。 写真下のアルメリアは食事前の砂地にも少し生えていました。こちらのほうが大きくてたくさん生えています。 写真上 Armeria
pungens (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.9) 風が強いが、晴れて、どこまで行っても花が咲いていて、一日中歩いていられそうです。 キンギョソウのピンク色は良く目立つ。 写真上下 Antirrhinum
majus (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.9) 写真上 Bellis
sylvestris (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.1793) 写真下は写真上と良く似ていますが、花の付きかたからして別種です。 写真下はアラビダ自然公園でも見かけた花で、一部はすでに実がつき始めています。 写真上 Astragalus
lusitanicus (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.504) 野原の向こうで皆さんが集まっています(写真下左)。ということは、何か珍しい花を見つけたのだ。行ってみましょう。 皆さんが集まっていた理由はランです。濃い紫とピンクがあります。 写真上下 Ophrys
fusca (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.116) ピンク色のランは、午前中に最初に降りた所でも咲いていました。 写真上 Ophrys tenthredinifera (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.8) 写真上 Dipcadi
serotinum (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.14) 写真下はカタツムリの殻のようで、あちらこちらにたくさんあります。 バスに乗り、両側の原野を見ながらノロノロと進みます。周囲は野原が広がり、時々、家があります(写真下)。 小柄なシーラを見つけて、バスを停めました。 写真下の植物は良く見かけるのに、なかなか被写体になるような花が少ない。場所によって色が微妙に違います。 写真上 Carpobrotus
edulis (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.115) 写真上 Carpobrotus
acinaciformis (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.116) 我々が野原で花の写真を撮っているのを見て、通りかかった観光客らしい夫婦も降りてきました。 他の人に言われないと気がつかないくらい小さなロムレアです。色が違うだけで、たぶん同じ種類です。 写真上下 Romulea
bulbocodium (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.134) 写真上 Bellis
sylvestris (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.1793) すっかりお馴染みになったペチコート・スイセンがここにもあります。 写真上 Narcissus
bulbocodium (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.11) 写真下の花は小柄でも、なかなか強烈な青い花です。太陽が出ていたら、もっと青が強く出るでしょう。 写真上下 Lysimachia
monelli (http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Anagallis_linifolia_L.jpg) 私は青い色にひかれて、しつこく撮影していたので、いつものようにバスに乗るのが最後でした。 道端にきれいな薄紫の花を見つけて停車です。ヨシのような竹の間に広がっています。 写真上下 Vinca difformis (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.9) 写真下は私が前に住んでいた家や近所に生えていたもので、色がちょっと濃いが、同じ仲間です。園芸品種として販売されているようです。 写真上 2010年5月撮影 周囲はのどかな牧草地帯で、所々に集落があり、牛や羊が草を食べています。 丘の上のシラー 本日の目的の一つのシラーが見つかりました。丘陵の斜面にたくさん咲いています。ユリ科ツルボ属で、通称は学名からシラー、和名は「オオツルボ(大蔓穂)」です。栽培品のように大きく立派な花です。 写真上下 Scilla peruviana (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.11) 皆さんもこの花を見かけたことがありませんか。私が前に住んでいた家の北側の公園の花壇の縁に植えられていました(写真下)。私の記憶では春になると紫の花をたくさんつけ、なかなか丈夫な草花でした。公園で見た花をまさかポルトガルで見るとは予想もしなかった。 写真上 公園に咲いていた花(2013年4月撮影) 写真上と下を比較すれば、両者はたぶん同じ植物です。 この花はポルトガル、スペイン、イタリアなど地中海が原産で、17世紀にイギリスに持ち込まれてから広がったというのだから、意外に新しい草花です。イギリスに持ち込んだ船の名前が「ペルー」だったので、これが学名のperuvianaになりました。ネット上での説明でも、「ペルー原産ではない」と強調してあります。 公園で見た時にはてっきり栽培品かと思っていたら、ここのシラーはそっくりですから、品種改良はしていなかったようです。 まだ蕾の花もあれば、満開の花もあります。つまり、我々はこの花の一番良い時期に訪れたのです。 写真下左がツボミの状態で、写真下右のように下のほうから花を開いていきます。 写真下左のように花は上に向かって咲いていき、やがて写真下右のボンボリのように全部咲きます。先に咲いた下のほうの花が枯れていないのがおもしろい。 写真下左ように、明らかに花弁の紫色が薄い花も少しあります。青い部分が水色になっていて、これもまたきれい。 今回のツアーでこのシラーを見たのはここだけでした。丘陵なのでたまたま踏み荒らされないで残ったのでしょう。 写真上左 Salvia verbenaca (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.1545) 写真上 Fedia
cornucopiae (Wild Flowers
of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands and Coastal Regions,No.1720) 写真上 Muscari
neglectum (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.16) スーパーで買い物 本日の花の散策もこれで終わりです。来た時と同じ道をラゴスに引き返します。 ラゴス市内に入り、ホテルに戻る途中のスーパーマーケットに寄りました(17:06)。私は水を買いました。2リットルで0.49ユーロというのだから、60円ほどなのに驚き、自分の勘違いかとレジを通るまで、庶民の私はドキドキしていました。日本でも安売りでは6本一箱ならこのくらいの値段になるが、ここでは常時この価格です。 景気回復のためにインフレを起こせというけど、水一つ比べても日本は物価が高いのに、さらに上げたら、庶民はどうやって生活するのでしょう。 中は日本のスーパーとそれほど変わりません。ただ、干し肉がぶら下げてあるあたりは、ちょっと日本では見られない光景です(写真下左)。 旧市街を散策 六時前にホテルに戻り、夕食までに一時間以上あるので、私はラゴスの城壁内にある旧市街の散歩に行くことにしました。ホテルから城壁まではマンションのような建物が建つ普通の街並みです(写真下左)。もちろん、日本のような電柱など一本もありません。こういうビルにもタイルを使った模様・アズレージョがあります(写真下右)。 城門の手前のキリスト教の祠に挨拶して、城門に入ります(写真下)。 祠の中にはキリストの死刑宣告を描いたアズレージョが飾ってあります(写真下)。それにしても、なんでこんな通りに死刑宣告の場面をわざわざ出したのでしょう。 城内に入るとここからは、先ほどと違い、大半は二階建てで、高い建物は極端に少なくなります。マンションのような五階建てくらいの建物もありますが、大半の建物は低いので、街全体の景観の調和が取れています。 古い街だから道は狭く、車がやっと通れるくらいの幅しかありません。それでいて、片側には、時には両側にしっかりと歩道が設置されています。 城内は一部自動車が規制されている所もありますが、大半の道路は車が通ります。自宅なのだから、車で入れないのでは困るのでしょう。ポルトガルの車のマナーは大変良い。人が渡ろうとすると、必ず車のほうから停車してくれます。日本よりもはるかにマナーが良い。 城内に入り百メートルも行くと、歩道の模様が変わりました(写真下)。歩道に使われる大理石のサイコロ石だけでなく、色のついた石を使い模様をつけています。 サント・アントニオ教会を通り過ぎ(写真上右)、サンタ・マリア教会が面しているレプブリカ広場に出ました(写真下)。 このあたりはこの街の観光の中心地の一つで、博物館や旧奴隷市場(写真下左)、エンリケ航海王子の像、海側の道路の向かいにはバンデイラ岬要塞があります。普通の観光ならそれらを丁寧に回るのでしょうけど、私はまったく興味がない。それよりも名所旧跡ではない普通の街中を見たいと、旧奴隷市場の脇の細い道を進みました(写真下右)。 街全体が整備されて調和が取れ、とてもきれいです。 歩いていて気になるのが、人が少ないことです。春先だから観光シーズンではないとは言え、これだけの店があり、レストランは本日のお勧め品を黒板に書き、メニューを開いて待っているのに人がいない(写真下右)。レストランの中を見てもそれほど人はいません。 イヌ君も暇そうに道端に寝そべっています(写真下左)。街中を歩いていても、危険はまったく感じない。客引きもいないし、怪しげな人も、警察らしい人も見ません。この街を三度散歩しましたが、その範囲でいうなら、まったく安全です。 写真下左を見てもわかるように、ここは歩行者専用道ではなく、車も通ります。広場に近い所や写真下右のような狭い路地などは車が入れないものの、大半の道は車も通れます。ただし、交通量はとても少ない。 青と赤のポストが仲良く道の真ん中に立っています。たしか青が速達用です。 不動産屋があり、日本と同じように売り物件が窓に貼ってあります(写真下)。ポルトガル語の他に英語の表記がありますから、海外からの客を期待しているのです。一億円を超えるような物件もある一方、写真下の二つは29万ユーロ、30万ユーロというのだから、4千万円ほどでプール付きのこんなおしゃれな家が買える。私の近所で販売されている自称・庭付き一戸建てと比べると、住居に関しては日本は本当に貧しい。 六時半をすぎると、あたりはしだいに暗くなり始めました。19:15にホテル集合ですから、そろそろ戻ることにしましょう。旧市街らしく道はかなり入り組んでいるものの、それほど広くはないので、方角を見定めて適当に歩いて行くとなんとかなります。 旧市街で夕飯 七時半から夕飯を食べるために旧市街に出かけました。私が先ほどまで散歩していた近くまでバスで逆戻りです。 通りに面したAdega da Marinaというレストランです。帆掛け船のロゴと、マリーナという名前どおりで、道路を隔てた店の東側は海岸です。 中に入ると、天井の高いかなり大きなレストランです(写真下)。しかし、ご覧のようにあまり客がいない。実はこの後、八時すぎからレストランは混み始め、私の隣の席にも二歳くらいの女の子を連れた夫婦が食事に来ていました。朝食にしても、どうやらポルトガルの食事の時間は日本よりも遅いらしい。夕方散歩した時、レストランに人が少なかったのも、まだ時間が早かったからでしょう。 また来ている客の大半が、私の隣の夫婦を含めて、明らかに地元の人たちでした。 店内には生演奏が流れているので、楽団でもいるのかと後ろを良く見たら、たった一人がシンセサイザーを使って演奏していました。すごい、芸達者。 ワインは小瓶とはいいながら、一本で7.55ユーロですから、千円ほどです。 生野菜に続いて出てきたのがレモンの乗っているマグロです(写真下)。ポルトガルの料理は味付けはあっさりしていて、特にうまいもまずいもなく、私の口には合います。これだけの大きさの肉なら私の胃袋では無理だが、マグロなら全部食べられます。 マグロの歴史はたぶん日本人よりも古く、古代のローマ人たちはマグロを塩漬けにして販売して大きな利益をあげていました。 食後のデザートは甘い汁をかけたプリンです(写真下)。料理は総じてあっさりしているのに、お菓子は甘い。 九時すぎにホテルに戻りました。私は時差ボケで明日も朝早く起きてしまうだろうから、風呂だけ入って、さっさと寝ることにしました。睡眠不足の上に、一日中歩き回ったので、夕食を食べている頃から身体のスイッチが切れ始めていました。では、お休みなさい。 |