ポルトガル 春の花 4日目 2013年3月3日(日) ラゴス→アルテ→サリナ→ラゴス 昨夜、11頃寝たので、朝六時頃まで眠っていました。当然、外はまだ暗い。うるさいのを覚悟でエアコンをつけて寝たので、室温は20℃あります。設定は30℃です。ベランダに出ると寒い。薄曇りです。天気予報では今日までは何とか持つという話でした。 まだ暗いので外の散歩もできず、ロビーに下りてメールの確認をしました。朝早いので、必要最小限の電気がついているだけで、もちろん誰もいません(写真下)。 7:45から朝食です。メニューはまったく変わりません。不思議なのは、たったこれだけ準備するのにどうして7:45なのかという点です。前日に準備しておいて、朝、ドアを開けるだけで済むと思うのですが。 昼食の弁当は、上の写真にあるパンにハムとチーズをはさんだだけです。 写真下右の皿にブドウとイチゴがあるのは、冨山さんたちからの差し入れです。昨日、スーパーに寄った時に買ったそうです。 本日はラゴスから東に戻り、AlteやSalirの近くで花を探します。 ラゴスを出発する頃には青空も見えて、ラゴスの街並みがとてもきれいです。 道路の周囲はなだらかな丘陵が続き、緑豊かな農地や林が広がっています。 ポルティマオンの街が右側(南)に見えてきました。高速道路は空いており、順調に東に向かいます。 高速道路を下りて、さらに東に進みます。どこを見ても小ぎれいな街並みと家です。個人の住宅の内部がどうなっているのか、見てみたい。 これらの写真は特別きれいな所を撮ったのではなく、これがここでは普通なのです。日本ももう少し自分の住んでいる家と周囲を美しくすることに努力するべきではないかと思います。 アルテの街並み 山麓の街・アルテ(Alte)に到着して、トイレ休憩です(9:28)。 ネットでは、アルテはアルガルヴェ地方(Algarve)の典型的な街として紹介されているのに、『地球の歩き方』には出てきません(http://www.alteuncovered.com/)。トイレ休憩なので三十分ほどしかいませんでしたが、一言でいうなら「きれい」。わずか数百メートルの範囲を歩いたにすぎないのに街の美しさに感動しました。 写真下はレストランでしょう。今日はあいにく曇っているけど、晴れた日に眺めの良いテラスでお茶を飲んだら最高でしょうね。 衛星写真で見てもわかるように、本当に小さな街で、坂道をゆっくりと二十分も歩けば通り過ぎてしまいます。しかし、ここなら一日くらいゆっくりと過ごせそうです。一軒だけホテルもあります。 観光客らしい姿は我々以外はいません。そもそも街の中にはあまり人がいない。 軒下にツバメが巣を作っています(写真下)。しかし、目の良い人によれば、ツバメというよりもスズメのような鳥だそうです。 街の中は人通りもまばらで静かで、またとてもきれいです。 あっ!犬が道の真ん中で落とし物をしている(写真下左)。こんなきれいな街なのにけしからん奴だ。でも、犬が落とし物をするのは珍しくないはずなのに、道路にはいっさい見当たりません。つまり、街の人たちが積極的に片付けているのです。 日本人は街を清潔しようとする意識はあるが、街を美しくしようという美意識が少ない。 街の中程に教会があります(写真下)。ここには13世紀に建てられたThe
Church of Alteとthe
São Luís Chapelという二つの教会があるようです。これがどちらなのかわかりません。 街の中心部の道はサイコロ石を使った石畳です。今回の旅行でポルトガルの南部と、リスボンなど中部を回りましたが、ほぼ例外なく、石畳は石灰岩か大理石のサイコロ石が使われていました。まるで国全体で規格があるかのように、どこに行っても同じようなサイコロ石でできた歩道に出くわします。それがなかなか美しい 写真下は我々が宿泊しているラゴスのホテルの入口です。良く見れば、公共道である歩道から、そのまま私有地であるホテルの建物の玄関まで同じサイコロ石でできています。日本ではまずこういう全体的な統一感のある作り方はしません。 石畳はデコボコがあるのでアスファルトやコンクリートの道に比べて歩きやすくはありません。しかし、それでもこういう歩道を今でも作る理由は、美観を重視しているからでしょう。維持管理も、壊れた所だけ置き換えるだけだから、楽なはずです。 ここも建物などにアズレージョ(タイル)が使われています。 アズレージョの作り方がテレビで紹介されていました。紙に描いてある下絵の輪郭にそって針で穴をあけ、上から墨で版画のようにタイルの上に押しあてると、輪郭だけの絵が転写されます。そこにコバルトの混ざった絵具で濃淡をつけて絵を描きます。絵具自体は灰色で、一晩焼くと、見事なコバルト・ブルーの絵が浮き上がります。感心するのは、大きな絵を小さく区切って描くことで、小さな炉でも作れるようにしたことです。 道端のキリスト教のモニュメントにもアズレージョが使われています。 この街の美しい風景をぶちこわしにしていた店があります。中国人の店です。中国人を差別して言っているのではありません。店を持つなら、この街の雰囲気に合わせれば良いものを、漢字を並べ、中国で良くある派手な飾りをつけて浮いています。風景に酔っていた私は一気に冷めました。写真に撮って皆さんにお目にかけようとしましたが、カメラが撮影を嫌がったのでやめました。 シャクヤク シャクヤクが見られるという山の登山口に到着(10:03)。このあたりはカルディラン山脈と呼ばれていますが、日本的なイメージで言うなら、山脈というよりも山地です。 山登りを始める頃に雨がぱらつき始めました。朝方晴れていて、ここに来てから降らなくてもいいようなものだろうに、山の神様は歓迎してくれていないようです。我々は雨具で完全装備をして、冨山さんの後に付いて道なき道を踏み越えて山を登って行くと、シャクヤクがありました。 写真上下 Paeonia broteroi (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.15) 雑木の中に四本まとまって咲いています(写真下)。 四つあるが、見栄えのするのは二つのみです。 周囲を探すとそちらこちらにシャクヤクがありますが、花が咲いていて、しかも、撮影に適したのはそれほど多くはありません。一番人気は写真下の三姉妹です。 三姉妹は古木のそばに咲いています。たぶん、このあたりは昔はこういう古木が生い茂っていたのでしょう。 私は野生のシャクヤクを見るのは初めてです。さすがはボタンの仲間だけあって、野生とは思えないほど見栄えのする花です。雨なのが惜しい。もっともそのおかげで、しずくのついた花の写真が撮れます。 写真上下は同じ花ですが、一輪としてはもっともきれいでした。 中にはピンクや赤がやや薄い花もあります。 下記の本の表紙に使われているのがこの山で撮られたと思われるシャクヤクです。 (Wild Flowers of Spain and Portugal,
1972.) シャクヤクの生えている所から少し登ったあたりで、他の人がランの花を見つけました。雨が降っていて薄暗いのに、足下のこんな目立たない十センチ程度のランを良く見つけるものだと感心します。 このランの特徴は真ん中にある青い部分で、日光に当たると青く光るそうです。日差しがないのが残念です。 写真上下 Ophrys speculum (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,p.2422) 写真上 Asphodelus aestivus (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.2089) 山をさらに登ると、雨は強くなりました。山頂まで登る予定でしたが、ここから先を登っても、それほど新たな花はなく、すべって危険だという冨山さんの判断で、下山することになりました。 写真下の花は、遠くから見てシャクヤクかと錯覚しました。地中海沿岸には多いハンニチバナの仲間です。 写真上 Cistus albidus (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.6) 写真下は今回の旅行中にあちらこちらで見かけた花で、雰囲気はヤグルマギクのようです。 写真上 Centaurea pullata (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.2006) でも、写真下のように地面から低く花を咲かせている様子は、葉っぱといい、まるでピンク色のタンポポみたいです。 写真下は花が似ていますが、背丈が違うだけでなく、葉が違いますから、別種です。 写真上 Anchusa azurea (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.1409) 写真上左 Salvia verbenaca (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.1545) 写真上 Fedia cornucopiae (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.1720) 写真下の花は他でも良く見かけます。雨で花が下になっているのではなく、元々こういう花です。雨のぱらつく中での水色がきれいです。日本ではボリジという名前で、どちらかというと、ハーブとして売られています。 写真上 Borago officinalis (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.12) 写真上 Silene vulgaris (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.157) 犬クンのいる食堂で昼食 山を降りて、麓の店で1ユーロのコーヒーを注文して、ホテルからもらってきた変わり映えのしないサンドイッチで昼食です。雨は先ほどよりも小降りになりました。 白い犬クンが来たので、昼飯を少し分けてあげましょう。あんまりおいしくないよ。 食事の時は一時、雨も小降りになりましたが、雨雲は低く垂れ込めています。雨が強く降っていない時だけでも、とにかく花の写真を撮りましょう。 オリーブなどの果樹園と思われる畑の下に、白いスイセンが群生しています。 写真上下 Narcissus papyraceus (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.11) 地面から低い位置で撮りたいのだが、地面は雨のためにぬかるみでしゃがむどころではありません。歩くたびに靴には赤い粘土のような土がべったりとついてきます。このままではバスに乗れないので、水溜まりで洗ったり、木の枝で落とすなど一苦労です。 日本でも畑などにスイセンが生えているのは珍しくないが、あれらはすべて人間が植えたものです。それに対して、ここのスイセンは野生です。 レモンのある山麓の街 さらに移動して、Salirの南にある街の周囲を散策しました。 ここも小さな街ですが、家は小ぎれいでそれなりに絵になります。 庭先にオレンジとレモンがなっています。北国育ちの私には、スーパーで見かける柑橘類が木になっているのを見るのは未だに感動があります。 こんな小さな村の標識もアズレージョで出来ています。 住宅地を通り抜けて、オリーブなどが植えられた畑に出ました。下草は刈ってありますが、それでもいろいろな花が咲いています。 ここで目についたのはエンドウの仲間です。色の違う花がいくつかあります。日本よりもエンドウの種類が多いようです。 写真上 Lathyrus setifolius (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.544) 写真上 Lathyrus articulates (Wild Flowers of the Mediterranean, p.98) 写真下など栽培品のエンドウと良く似ています。 写真上 Fumaria offiicinalis (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.306) 写真上は日本のムラサキケマンのような印象で、写真下は見た目は似ているが、花の色が白っぽい。咲いている所も、上は草地で、下は石垣の間に生えています。 写真上左 Eruca sativa (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.361) 写真上左 Sinapis arvensis (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.359) 畑の真ん中に唐突にルピナスが咲いています。花の色がイマイチです。 写真上 Lupinus micranthus (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.13) 石垣に生えたシダの葉が丸くて、ちょっとかわいい(写真下)。 写真上 Ceterach officirarum (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.2532) 小川に沿って、先ほども撮った白いスイセンが花を咲かせています。植えた物ではなく、小川の近くが踏み荒らされないので、自然に残ったのでしょう。 写真上 Narcissus papyraceus (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.11) 写真上下は別種のアザミと思われます。 小さいスイセン 小さいスイセンがあるはずだと案内された場所は、ただの山の斜面で、見渡した範囲ではスイセンらしい姿はありません。冨山さんが我々に待つように言って、一人で斜面を登っていきました。ほどなく戻って来て、斜面の岩のそばまで案内しました。とても小さなスイセンです。 写真上 Narcissus gaditanus (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.11) 写真下で人と比べてもスイセンが小さいのがわかります。園芸用に市販されているミニ・スイセンに比べると、背丈は変わらないが、細くて花も小さく、繊細な感じです。ちょうどニオイスイセンを小型化したようなイメージです。 冨山さんに最初に案内された場所にこれだけあるのだから、近くにもっとあるのではないと周囲の斜面を歩いてみても、結局、まとまって咲いていたのはここだけでした。冨山さんは前に来たことがあるにしても、さしたる目印もないのに短時間に見つけてくるのだから、さすがはプロです。 このスイセンを見たのは、今回の旅行ではここだけでした。 シャクヤクが生えていた山にもあった青と紫の小さなランがそちらこちらに咲いています。 写真上 Ophrys speculum (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,p.2422) 本日の花の散策はこれで終わりです。今日までは天気は持つという予報だったし、朝方、晴れ間も見えたので期待したのに、残念ながら、雨足が早まりました。それでも目的にしていたシャクヤクやスイセンが見られたので、戻ることにしましょう。 道端に見事なリュウゼツランの花が咲いている、と言うよりも、立っています(写真下左)。 皮肉なことにラゴスに戻った頃に青空が見えてきました(写真下,
15:43)・・・ヲイヲイ、そりゃないだろう。ただ、雨が降ったような跡がありませんから、こちらはずっと晴れていたのかもしれません。 公園の花 夕飯まで昨日に引き続き、私は城壁の中の旧市街を散策することにしました(16:30~)。城門の手前の公園(ポルタ・ダ・ヴィーラ,
Jardim da Porta da Vila)に花があるのではないかと入ってみました。昨日は六時頃で撮影には向きませんでしたが、今日は雨のせいで早めに帰ったので十分に明るい。 通路に近い所には様々な花や樹木が植えてあり、それも花が咲いてきれいです。しかし、私の興味があるのは雑草です。 城壁の近くに行くと、ありました。私の好きな雑草がたくさん勝手に花を咲かせている。 写真上下 Silene colorata (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.9) 写真上 Smynium olusatrum (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.1087) 写真上 Pisum sativum (Wild Flowers of the Mediterranean, p.99) あちらこちらの道端で見かけるヤグルマギクです。 写真上下 Centaurea pullata (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.2006) どうやら、花が開いた頃は花弁が密に接触しているが(写真下右)、時間とともに開いていき(写真下中)、やがて羽根車のようになってしまうようです(写真上下段、写真下右)・・・いや、ただの個体差か。 白い花もあります(写真下)。今回の旅行ではこの一輪しか見かけませんでした。 バスから道路脇で良く見かけたシュンギクの仲間です(写真下)。野菜のシュンギクよりも大きく、花も立派だが、葉や花の配色はシュンギクそのままです。 写真上下 Chrysanthemum coronarium (Wild Flowers of Spain and Portugal,
p.78) 写真上 Euphorbia helioscopia (Wild Flowers of the Mediterranean, p.128) 写真下は、欧州では雑草として嫌われるほどに繁殖しているカタバミの仲間です。今回の旅行中も道端や空き地で群生しているのが見られました。 写真上下 Oxalis pes-caprae (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.735) この赤いポピーが一面に咲いているのを期待していたのですが、数えるほどもありません。 写真上 Papaver thoeas (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.10) 昨日、バスから道路の脇にこのポピーが生えているのが見えました(写真下)。残念ながら、群生はありませんでした。 雑草が一面に生い茂っている中に人が歩いたらしい道があります。それに沿って進んでいくと、写真下の、三方が城壁に囲まれた中まで続いています。私は城壁に登れるかもしれないと期待して行くと、道は唐突にそこで終わっています。 行き止まりなのに、どうして人がここまで来た跡があるのだろうかと周囲を良く見渡して理由がわかりました。トイレです。三方が囲まれているから、利用する人がいるのでしょう。 栄養豊かなのか、植物が生い茂っており、城壁のそばに他では見られなかった奇妙な植物があります。花だけ見るとナスの仲間のように見えます。 写真上 Solanum sodomeum (Wild Flowers of Spain: vol.3,p.58) トゲのある葉に紫の花と、後ろの城壁のごつごつした岩肌が良く似合っています。 写真下が実らしく、ピンポン玉くらいの大きさで、スイカのような模様が入っているのが少しと、黄色になっているのがたくさんあります(写真下)。たぶん熟するとスイカのような模様が黄色になるのでしょう。 この公園で一番気にいった花が写真下のキケマンの仲間です。良く見るととてもおもしろい花で、上が白く、下が赤い。成長とともに色が変わるのではなく、このままらしい。 写真上 Fumaria capreolata (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.15) 草むらの上に背伸びして花だけ出していると、雑草全体が花を咲かせているようできれいです。 全体が白い花もあり、これもきれいです。でも、赤があったほうがアクセントになる。 写真上 Eruca sativa (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.361) 昨日、サグレス岬で見たゼニアオイが赤かったのに比べて、ここのゼニアオイの花の色は日本のそれに近い。 写真上 Lavatera cretica (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.910) 写真上右 Urtica dubia (Wild Flowers of the Mediterranean,
p.37) 公園での撮影を終えて、城門から旧市街に入ろうとして(写真下左)、道路の左側を見ると、土手に花が咲いています(写真下右)。 雑草なのに、まるで植えたようにきれいに花が咲いています。 写真上下 Centaurea pullata (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.2006) 写真下のヒルガオは今回初めてお目にかかる花です。夕方なので花を閉じかけています。 写真上 Convolvulus althaeoides (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.92) ここの花はどれもちょうど盛りで、しかも、踏み荒らされた跡がない。空き地の雑草なんて誰も興味を持たないのでしょう。 写真上下 Echium vulgare (Wild Flowers of the Mediterranean: A Complete Guide to the Islands
and Coastal Regions,No.1384) この花はどちらかというと紫が多い中、写真下のように一部に赤の混ざった花もあります。これも明るい雰囲気できれいです。 花の写真を撮りながら、さらに城壁の左側(北西)に進むと、写真下のように草刈りしてあります。私はギョッとしました。私が花の撮影をした所は草刈りをする予定だったのに、たまたま残っていたのです。 草刈りは城門近くの右側の一部を残して終わっています。今日は日曜日ですから、たぶん金曜日まで草刈りをしたが終わらず、残ったのでしょう。明日、月曜日から再開され、ここの残りと、先ほど見た公園の草刈りが行われるのです。もし我々のツアーが一週間後だったら、公園と土手で見た草花は見られなかった。 写真上 Silene gallica (Wild Flowers of the Mediterranean,
p.50) 植樹されたアーモンドが花を咲かせています(写真下)。 写真上 Prunus dulcis (『世界のワイルドフラワーⅠ』p.133) 風が強く、なかなか花が止まってくれない。こういう時は超能力で「止まれ!」と命じる、のではなく、茎を手で押さえます。 ここはスイバの仲間も元気に生育しています。気温としては日本とは一ヶ月ほどのずれだが、こういう植物の生育ぶりを見ると、関東で言えば二ヶ月くらいずれているような気がします。冬が日本ほどには寒くならないのでしょう。 城内散策 そろそろ六時ですので、残り時間で、また城内の旧市街(Historic
centre)を散策しましょう。今日は、広場を中心に、できるだけ昨日とは違う道を歩いてみます。 古い街は老人が何となく似合う(写真下)。きれいな街だから、散歩していても楽しいでしょうね。人生と同じで、この街も坂道が多い。 建物にもアズレージョ(タイル)が使われているのがあります。好き嫌いはともかく、無機的な建物に比べて、街全体の景観を作っています。タイルの値段はそんなに安いわけではありませんから、壁面に貼るのは相当な経費がかかるはずです。 アズレージョ(タイル)に掲示された通りの名前です。鉄製の看板にペンキで描くよりずっと良い。書体から見ると、どうやら一品ごとの手作り品のようです。 写真下はたぶん番地を表す数字で、個人の家のドアの上に貼ってあります。四枚一組で二桁の番号ができあがるようになっています。どんな数字でも自由に作れるので、なかなかのアイデア商品。日本の電柱に貼られた番地に比べると、美観どころか、文化の差さえも感じます。 写真下はバーとレストランの表示で、上の外灯と似合っています。灯りがついたら、きっと素敵でしょう。 写真下左は「Terracota
artesanato」というのだから、たぶんアズレージョなどを作る工房の看板らしい。右は民家の壁に張ってあったもので、キリスト教の聖女でしょうか。 狭い路地なのに車も入ってきます。人が住んでいるのだから、当たり前で、しかも家はびっしりと建っていますから、駐車場なんてけっこうなものはありません。車はすべからく路上駐車です。写真下右の車は駐車しようとしているところです。勤務先から戻ってきたのでしょう。街中に車があふれかえっているということはありません。車の所有者が少ないというよりも、人通りが少ないことを見ても、中心地でありながら、人口密度が低いのではないでしょうか。 あたりはだんだん暗くなってきたので、ホテルに戻りましょう。 夕飯の串焼き 19:15にホテルに集合して、すぐそばのレストランO
Triangulo (Rua Gago Coutinho Lote do Gaveto n1, Lagos, Portugal)に夕飯を食べに行きました(写真下)。ネット上ではわりと評判の良い店です。 交差点のカーブに沿った丸い建物で、ゆうに五十人くらいは入れそうな大きなレストランです。昨夜のレストランもそうでしたが、ここでもテレビにサッカーの中継を映し出しています。どうやら、ポルトガル人はサッカーが大好きらしい。 写真下左の、右側の皿にあるのはエンドウマメを天ぷらにした物、真ん中下はオリーブなどの漬物です。 我々の席は他の客たちの注目の的です。なぜなら、写真下のように、鉄製のアームが取り付けてあるからです。そこに金属の串に刺した焼き鳥をぶら下げ、一つずつ外して食べます。実際、昔の人たちはこんなふうにして食べたのでしょう。しかし、串にしっかりくっついているので、一つ外すのにも大変で食べにくい。 食事を終えて(21:36)、歩いて数分のホテルに戻り、明日に備えて、早めに寝ました。明日は雨らしい・・・。 |