ポルトガル 春の花 7日目 2013年3月6日(水) リスボン→(アムステルダム)→ 四時半にモーニングコール、五時出発とのことでしたが、三十分ではとても準備が終わりそうもないので、私は四時に起床しました。それでもホテルのロビーに集合したのは私が最後でした。 五時、ホテルを出発。 外はまだ暗く、車が少し通るだけです(写真下)。 今日はポルトガルからオランダのアムステルダム経由で日本に戻ります。日本に着くのは翌日の朝です。 座席の予約は無視 二十分ほどで空港に到着(5:15)。ポルトガルの空港は街中にあるのでその点は便利です。 ここで六日間ドライバーを勤めてくれたイヴォさんともお別れです。すでに何度もネイチャリングツアーのバスを運転したことがあるので、我々の行き先をすべて知っており、運転手というよりもガイドの一人でした。 空港は朝方なのでそれほど多くはありません(写真下)。 我々の飛行機はKLMオランダ航空のKL169便(Boeing 737-800)です。 パリからリンボンまでのエールフランスと違い、KLMオランダ航空はネットで事前に座席の予約が取れました。それが下記の画面で、赤で囲ったように私の座席は30Aで「座席確定」とあります。出発直前まで確認しました。 ところが、実際に空港でチケットを受け取ってみると、私の座席は26Aでした。飛行機は混んでいるにもかかわらず、28から30までの座席は誰も座っていません。つまり、予約など完全無視して、前から詰め込み、最後をわざと開けてあるのです。 帰国後、KLMオランダ航空に電話してこの件を問い合わせました。返事の内容は、「座席の希望を聞いただけで、確約したものではない」という返事でした。私は「それなら、予約画面の座席確定という表示はおかしい」と言うと、今度は「チケットをもらった段階で質問すれば説明があったはずだ」と、まるでこちらに落ち度があるかのような言い方でした。そのような確認が必要なら、予約の画面に大きく表示するべきでしょう。 終わった事を押し問答をしてもしかたないので、私は打ち切りました。事務的でおおよそ気持ちの良い対応ではありませんでした。これだけネットが発達している時代に、なんでこんな初歩的な事もできないのか不思議です。 予約させておきながら無視するなんて、KLMオランダ航空さん、もっとしっかりしてください。 7:20、予定どおりに離陸。朝焼けのポルトガルともさようならです。雲が多いので、リスボン市街はあっという間に見えなくなりました(写真下)。 サンドイッチが出ました(7:47)。朝食はまだだったので、平らげました。ちょっと油っぽかったけど、まあまあです。 雲が一面に広がっていて、地上は見えません。写真下右は、雲の真ん中に、川が流れているような溝があります。何なのでしょう。 雲間が切れて雪山が見えたと思ったら、海に出ました(写真下)。スペインの北側から大西洋に出たようです。 ここは飛行機の航路らしく、時々、下に飛行機が見えます(写真下)。写真下右は、雲に横一直線に黒い線が走っています。飛行機の排気ガスで、先端に飛行機がいます。先端の飛行機がほとんど見えないのに、煙だけはしっかりと見える。自動車がこれだけ目に見えるような排気ガスを出して走ったら問題になるでしょう。飛行機の排気ガスがこれだけ大気を汚染しているのです。 雲の中に虹色のブロッケンが現れました(写真下)。簡単に言えば、飛行機の姿が雲に映ったものです。写真ではわかりにくいが、真ん中に飛行機の形が見えます。私は北に向かう飛行機の左側の席にいて、太陽は東にありますから、日差しが飛行機の右上から当たり、左下の雲がスクリーンの役割をして投影されています。飛行機が太陽光を分光するから虹が生じます。 写真下はウィキペディアに載っているわかりやすいブロッケンです。今日のように、薄い霧(雲)があり、しかも太陽の出ている山頂などでたまに見られる現象で、虹色のオーラの中に人間の姿があるよう見えるので、神秘現象と錯覚します(写真下右)。しかし、こちらが手を振ると向こうも振るから神様が現れたのではないことに気がつく・・・いや、手を振ったから神様だ(笑)。 (写真上 ウィキペディアより転載) アムステルダムで乗り換え 飛行機が着陸のために高度を下げていくと、アムステルダムらしい街が見えてきました(9:32)。 さすがは海抜0メートルよりも低い国だけあって、至る所に水路が張り巡らされています。 二時間少々の飛行でアムステルダムのスキポール空港に到着(ポルトガル時間10:04、オランダ時間11:04)。ここで時計を一時間進めるので、今は11時です。 次の飛行機は午後三時頃なので、少し時間があり、解散になりました。私はネット接続が三十分だけ無料というコーナーを見つけて、メールを取り込み、家族にメールをしました。 店をぶらぶらと歩くと、他の空港と違い目につくのが花です(写真上下)。さすがはオランダで、たぶんこのまま他の国に持ち込むことができるのでしょう。日本でも小さい盆栽をお土産用に売っていると聞いたことがあります。 ビジネス・クラスだ!! 登場手続きが始まりました。成田などでは、まとめて荷物検査を行うのだが、ここでは飛行機のゲートごとに行われます。航空券を示して進もうとすると、「あなたの座席は変更になりました」と言って、別なチケットを渡されました。職員は「ビジネス・クラスですよ~」と宝クジに当たったかのように私を祝福してくれるのだが、私の生来の性質から「どうして」「なんで」と質問を繰り返したので、日本語のできる女性職員にバトンタッチ。結局、なぜビジネスになったのかは詳しくは説明してくれませんでした。 まあ、とにかく乗ってみましょう。 飛行機はKLMオランダ航空 KL-86便(B747-400)です(写真下)。 ビジネス・クラスなんて初めてですし、ジャンボジェット機の二階に行くのも初めてです。私はビジネスを示す青いチケットをヒラヒラと乗務員に見せながら、二階に上ると・・・見てください、飛行機とは本来こうあるべきだという広々とした空間(写真下)。 私の席は左側の一番前の窓側です。見てください、足下は広く、私の典型的な日本人の長い足を思いっきりのばしても壁まで届きません。窓の下には収納ケースまで付いています。 エコノミーからビジネスになったのは私とツアーリーダーの冨山さんでした。二人ともビジネスは初めてなので、まるで修学旅行に来た小学生みたいに妙にはしゃいでおります(笑)。私は「ビジネス・クラスなんて慣れているさ」という顔になるように心がけましたが、無駄な努力でした。 さて、読者の皆様の大半も私と同じ庶民でビジネス・クラスなんて縁がないでしょうから、詳しくご紹介しましょう。 座席は両側に各2座席のみで幅が広いだけでなく、リクライニングが自由自在です。写真下のコントローラを見ればわかるように、ほぼ横に寝ることもできます。スイッチの中に「M」という文字が見えます。なんとマッサージです。モニターもエコノミーよりも大きく、周囲に物を置ける余裕があるので、立ち上がるのに不自由がありません。エコノミーの場合、目の前のテーブルに食事など乗せたら、他に置き場所もないので、立ち上がることもできない。 私も冨山さんも、椅子の仕掛けなどを触っては感動しています。 配布された品物もなかなかです。スリッパはこのまま使い捨てにするのがもったいない。歯ブラシ、靴下、ボールペンに、乾燥除けのリップステックまであり、チャックの付いた袋に入れるようになっています。 写真下は来る時に乗ったエールフランスのエコノミー・クラスで配布されたアイマスク、クッキー、ウェットテッシュで、写真上に比べたら品物も品数も比べものにならない。 写真下は配布されたパンフレットで、夕飯のメニューとワインの種類、そして、ビジネス・クラス用の免税品です。免税品など買おうとしたことのない私ですから、エコノミー・クラスの免税品を売りに来ても見ようともしません。だから、ビジネス・クラスと品物がどう違うのか残念ながら比較できません。しかし、専用のカタログがあるということは、客の懐に応じて品揃えなのでしょう。 着席するなり、ウエルカム・ドリンクです(写真下)。離陸前に飲み物がでるなんて、エコノミーではありえないと、常連客の私は断言します。それも、写真を良く見てください。普通の大きさのガラスのコップです。あのエコノミーで慣れ親しんだプラスチックのコップではありません。普通の大きさという点もとても重要で、エコノミーでは昔、ワイン用に小型のガラスのワイングラスなどを使うことがありました。しかし、これは普通の大きさのグラスです。ただのオレンジジュースなのに、なんかとてもおいしい。 冨山さんはワインを飲んでいます。もちろん、複数のボトルのワインから選びます。 ビジネス・クラスになったのは、たぶん私がエコノミーでも別料金を払い「エコノミー・コンフォート」の座席を予約していたからです。下の図がその時の予約した画面で、真ん中頃のオレンジの席がコンファートです。私が予約したのは一番前(下図の左下)で、この図を見る限り、足下がゆったりしており、窓側であるにもかかわらず、隣の人に立ってもらわなくても自由に出入りできます。十二時間の飛行なので、15,835円を払って、身体を休めようと思ったのです。 この予約座席を見てもわかるように、9日前で予約はわずか9人で、直前までコンファートの予約が少なく、逆に普通のエコノミーの客が増えたので、コンファートの予約者をビジネスに回したのでしょう。我々の飛行機は直前に機体を変え、登場ゲートも変わったので出発が遅れました。コンファート席のない機体に取り替えたのでしょう。 冨山さんと私だけビジネスになった理由も簡単で、ネイチャリングツアーが予約した航空券が、冨山さんと私がペアになっていたからです。 ビジネス・クラスの極めつきが写真下のデルフト焼のミニチュアハウス(The Old Dutch Houses
Collection)のお土産です。アマゾネスのような大柄な金髪の客室乗務員が、これをワゴンの上にたくさん乗せて、私を見下ろすように差し出した時、一瞬、意味がわかりませんでした。六十年の歴史のあるビジネス・クラスのお土産らしい。中に酒が入っているそうで、振ると音がします。後ろにKLMの古いロゴが入っています(写真下右)。正直なところ、ビジネス・クラスにしてはチンケなお土産だと思いました。ところが帰国後、ゴミにするのも何だからと、試しにネットのオークションにかけると、なんと売れました。 ビジネス・クラスで飛んだ 飛行機に乗ってから離陸するまで、ここまで長々と説明をしたのは初めてです。 感動の嵐に包まれながら、15:57、私はビジネス・クラスの席でアムステルダムを離陸、と言うか、舞い上がりました。リスボンからの飛行機で午前中に見たはずのアムステルダムの風景が、ビジネス・クラスの座席から見るとなんか違うような気がします(笑)。 離陸して間もなく、まずスナックと飲み物が配られました(16:27)。写真下をごらんになってエコノミー・クラスとの違いがおわかりでしょうか。まず、スプライトにガラスのコップがついてくる。 さらに小皿に入れたナッツ類が違う。これは配られた時の状態です。エコノミーの常連である私の目撃証言によれば、ナッツ類はたいてい小さな袋に入っており、そのまま口に全部放り込めるほどの量しかありません。だが、見てください。かなりの量で、私は食べきれなかったほどです。さらに種類が違う。エコノミークラスの多くはピーナッツなどの安いナッツ類が多いのに、この時は、カシュー、クルミ、アーモンドなど値段の高いナッツが入っています。私はナッツには目がないので、各ナッツの値段には詳しい。 食事は、一週間ぶりなので和食を選びました(17:17)。アムステルダムにあるホテル・オークラ(Hotel Okura Amsterdam)に店を出している「山里」レストラン(http://www.yamazato.nl/en/)の和食です。 写真下のように、前菜から始まり、味噌汁が出て、ご飯物が出て、最後に果物とデザートです。エコノミーが一度にお盆の上に乗っけてあるのに対して、ここでは三度に分かれて出てきます。また汁椀を除き、容器は和風の瀬戸物です。 前菜にパンとバターが出るのはご愛敬としても、この高級和食は残念ながら私の口には合いませんでした。理由の一つは、私には味付けが濃すぎる。関東風なのでしょうか、味噌汁など最後まで飲めませんでした。特に問題なのはご飯に芯があったことです。料理した後、時間をおいて配膳するから、簡単でないのはわかるが、メニューに料理長が顔と名前を出しているほどの和食でありながら、ご飯に芯があるなど、店の名誉にかかわる大問題です。 食後のお茶はアールグレイがあるというので紅茶にしました。エコノミーでも紅茶はあるが、たいてい市販のペットボトルのお茶か、ティーバッグの出がらしで、はっきり言ってマズイ。 ディルマのアールグレイはなかなかの味で、後で配膳室に行き、さらにもう一杯届けてもらいました。写真下右がそれで、ねじれた棒のようなスプーンがおもしろい。 ビジネス・クラスの席から見る外の風景はもう夕方です・・・エコノミーから見ても夕方は同じでしょうけど、ビジネス・クラスでたくさん見ておきましょう。 夕陽の上に奇妙な雲がポツンとあります。 窓の外は冬のロシアなのか、雪山が見えます。 私はせっかくビジネス・クラスに乗ったので、眠るのが惜しく、窓の外に目をやりながら、モニターで映画を観ました。モニターもエコノミーよりも大きい。エコノミーでは前の座席にくっついているので、前の座席の人が椅子を倒したりすると、モニターが近すぎて見づらいことがあります。しかし、ビジネスではもちろん、そんなことはありません。
(wikipediaより転載) 『007 スカイフォール』(Skyfall、2012年)という、飛行機に乗る時に見るにしては縁起でもない題名の映画を観ました(写真上)。007は相変わらず女にもてまくりで、撃たれても、百メートルの橋の上から落ちても死なないことにあきれかえりながら、でも、見終わるとさすがに疲れてしまい、一眠りすることにしました。 8日目 2013年3月7日(木) (アムステルダム) → 成田 「朝食です」の声に起こされました(オランダ時間0:38、日本時間8:38)。これは前もって、起こしてくれるように頼んでいたからです。朝食はどんな食べ物がほしいか、眠っている場合は起こしてほしいかどうか、アンケートがあったのです(写真下右)。ビジネス・クラスは至れり尽くせりです。 目は覚ましたものの、一時間ほどしか眠っていないこともあり、私は朦朧としたまま、朝食を取りました。時差が8~9時間もあることもあって、帰国後も一週間ほど時差ボケが残りました。
10:02に成田に着陸しました。到着しても飛行機にもう少し乗っていたいと思ったのは初めてです。 空港で、他の人たちのスーツケースが全部出て来たのに、私のだけが出てこない。私のスーツケースは一人で世界旅行にでも出かけたのだろうと、スーツケース無しで帰宅するのを覚悟した頃、まさに最後に私のスーツケースが出てきました。KLMオランダ航空は予約無視、ビジネス・クラス、そしてスーツケースと、なかなかびっくりさせてくれる。 八日間の旅も終わりです。さすがに花を見せるネイチャリングツアーだけあって、花そのものは素晴らしかった。今回見た花の中に、シラー、スイセン、シャクヤクなど日本で園芸品として見慣れた花だったことも驚きでした。ただ天候が今ひとつだったことと、もう少し期間が長く、10日間くらいであればもっと良かったかもしれません。 参考のために、今回の旅行でかかった主な費用をまとめました。旅費の割引や返金で、割安感がありました。燃油サーチャージの返金は初めてで、この旅行会社はとても良心的です。
1ユーロ=約125円(2013/2/22) |