東チベットの青いケシ 5日目 2019年7月22日(月) 林芝 → 成都 飛行機が飛ばない 今日は林芝を発ち、成都を経由して日本に帰る予定でした。ところが、成都の天候が悪く、林芝からの飛行機の出発が遅れ、この日は成都に一泊することになりました。 そうなるとは知らず、早朝6:30にホテルを出発だというので、私は5:30に起きて、荷物をまとめ始めました。 林芝の空港に到着(7:13)。 周囲の山には雲がかかっているが、ここはこれが当たり前の光景ですし、風がありませんから、飛行には支障がないでしょう。ここで四日間、植物ガイドをしてくれた潘さんともお別れで、彼も居住地の拉薩(ラサ)に戻ります。 気になったのが、空港の表にある掲示板に、私たちの乗る予定の8:50発のCA4432が表示されていないことです。他のお客さんからの指摘で、これは到着便の表示で、赤い表示がすでに到着したという意味なのだとわかって、この時は気にもしなかったのですが、まるで予兆みたいでした。 私たちの便はCA4432で、林芝を 9:ooに出て、成都に11:10に到着予定でした。空港で手続きはしたものの、成都が豪雨のために、飛行機がいつ出発できるか、わからないという。とにかく、天候回復を待つしかない。 写真下の表示を見てください。時刻は間もなく11時になろうとしているのに、写真下左のCA4296便は本来は8:50出発の予定らしいが、もちろん、まだです。 ついに航空会社から昼食が出ました、と言っても、カップラーメンです(11:15、写真下)。空港にはお湯の出る給水器があります。解除ボタンを押してから、お湯のボタンを押さないと出ないので、中国人たちのやり方を真似ます。 暇なので空港を散策しましょう(写真下)。地方空港なので、そんなに大きくなく、店も限られている。 強い印象に残ったのが店ではなく、写真下のトイレの便座です。水を流すボタンがタンクの左側にあり、それが壁に接していて、ボタンを押すのは容易ではない。せっかくのTOTOの性能の良い便座なのに、明らかに工事の配置を間違えたために使いにくい。 もう一つおかしいのはトイレットペーパーが個室の中にない。トイレの入口にあるのです(写真下右)。この紙を必要なだけ巻き取ってから、トイレに入るという仕組みで、中国では時々見かける。トイレットペーパーの盗難防止なのか、節約なのか、日本人には慣れない習慣です。 すっかり空港のトイレにも慣れ親しんだ後、ようやく飛行機に搭乗できました(12:42)。 搭乗をあきらめたお客さんがいたのか、機内はそれほど混んではおらず、7割というところでしょう。私の隣の二座席とも人は来ませんでしたから、何なら寝たままで行ける(写真下)。 飛行機のドアは閉められたらしいが、いつまでたっても動かない。そうこうしている内に、サンドイッチが配られました(写真下, 13:53)。本来なら離陸後に配られる軽食でしょう。 窓の外では雨が降り出しました(写真下)。 ローカル便なので、座席にはモニターは当然ありません。あまりに暇なので座席を良く見ると、無賃乗車の客がいる(写真下)。チベット固有のハエ、ではなく、たぶん普通のハエでしょう。このハエはずっとこの飛行機で旅行しているのかもしれない。フライ(ハエ)だけてあってフライ、なんてつまらないダジャレを考えていられるほど暇です。 もう一つ、あまりに暇なので、皆さんに紹介しようと思ったのが、プラスチックのコップの模様で、コップの表面にハートが描かれています。そうですよね、支配や統制ではなく、ハートが大事です。 ナムチャバルワは見えたか 三時すぎに飛行機が離陸のために動くと、通路の反対側に座っているチベット人の男性は数珠をくくり始めました(写真下)。おそらく「オン・マニ・ペメ・フム(OM MANI PADME HUM)」と唱えているのでしょう。「蓮華の上に栄えあれ」くらいの意味で、蓮華の上とは仏を指しますから、「仏に栄えあれ」くらいの意味で、日本で言えば、南無阿弥陀仏に相当します。 六時間遅れの三時すぎにようやく飛行機は動き出し、小雨模様の林芝を離陸しました(15:10)。この近辺は午後になると強風が吹いて、飛行機の離発着ができなくなると言われる地域なので、高度が上がるまで安心できません。 幸い、飛行機は大きな揺れもなく、順調に高度を上げています。 雲間から見える雪山はナムチャバルワ(南迦巴瓦、Namcha Barwa、7782m)か!?と騒ぎたい。 そこでこじつけと言われようがなんだろうが(笑)、google mapで、もっとも近いと思われる方角から見たのが下の衛星写真です。私の写真はグーグルの写真よりもずっと低い高度で見た姿です。①がナムチャバルワで、これが正しいなら、雲に半分隠れていて、山頂付近は見えていません。 ↑ グーグルの衛星写真 ↑ 私が飛行機から撮った写真 遅延証明書とホテル 飛行機は順調に飛行し、やがて高度を下げると曇り空の下に成都の風景が見えてきました(写真下)。 実質、一時間半ほどの飛行を終えて、霧に煙った成都の成都双流国際機場に到着しました(16:39)。さあ、ここからが大混乱です。 ・飛行機の延着の証明書をもらい、 ・明日の飛行機の予約を取り、 ・航空会社が用意した今日のホテルに行くために、迎えの車に乗らなければならない、 と箇条書きにできるほど大変です。 日本なら係りの人が丁寧に案内してくれるだろうが、ここは中国ですから、リーダーの松森さんはあっちこっちとカウンターを走り回り、お客さんの一人が連絡係をして、時には松森さんに代わって列に並ぶなど、一苦労です。 遅延の証明書は書式があるだろうし、飛行機が遅れたことは航空会社が一番良く知っているのだから、簡単に出そうなのに、こんな書類でさえもすごい時間がかかります。これがないと旅行保険が下りませんから、何が何でも入手しないといけない。 突然「この人の後を付いていくらしい」と声がかかり、全員で一人の中国人男性の後を追いかけます。彼はホテルまでの車の運転手らしい。私のわずかな中国での体験から言うなら、こういう時は理由や順序は抜きにして、とにかく付いて行かないととんでもない損をする。翌朝、まさにその損をしたチベット人のお客さんと再会しました。それは明朝、お話します。 車に乗るお客さんは私たち以外にもいて、車は人数ぎりぎりで、荷物を入れるのは容易ではありません。すると、黒マスクの中国人のお姉さんが助手席に自分のトランクを押し込みました(写真下左)。トランクを押し込んだら、本人が乗れないと心配していると、彼女はそのトランクの上に乗りこんだ!さすが中国人女性。私は彼女に尊敬の念を覚えた(笑)。 全員を詰め込み、薄暗くなった市内をホテルに向かいます(19:13)。 空港近くの翔宇酒店に到着(19:19)。通りに面した一階などは店舗の入った雑居ビルのようなホテルです。 料金表の見方がよくわからないが、たぶんシングルなら定価440元(約7040円)なのでしょう。もちろん、宿泊費は航空会社が負担してくれます。 ホテルのレストランで夕食です。フロントにあった下の案内カードのうち、どちらかのレストランでしょう。 指定されたレストランに行くと、閉店時間なのか、私たち以外はいません。食事もステンレスの容器に直接乗せた社員食堂の定食みたいです(写真下右)。食えれば文句はない。卵とトマトの炒め物だけは辛くなかったので、私は無事食事を済ませました。 写真下が私の部屋です。建物の端のせいか、広い。 窓の所に家具のようなものが置いてあるのはエアコンでした(写真下)。このホテルの滞在時間は短かく、特に大きな問題もないので、個人評価は4.0で、満足とします。 林芝から成都まで移動しただけですから、距離はわずかなのに、朝が早く、大混乱で先がどうなるかわからなかったこともあり、1日が長く感じました。さすがに、明日は帰国できるでしょう。 |