東チベットの青いケシ 4日目 2019年7月21日(日) セチラ峠 朝、六時頃起きました。この部屋は後付けのエアコンがないので室温は20.5℃と昨日よりも低い。カーテンを開けると、雨はやんでいるものの、地面には水溜まりがあり、周囲の山は雲がかかっています。昨日の夕方には青空も見えて、今日の晴れを期待していたのに、夜中には雨が降っていたようです。この時期のチベットは雨さえ降らなければ良い天気です。 本日もセチラ峠を中心に青いケシなどを探します。 昨日と同じホテルのレストランで七時半から朝食です。朝食券をもらっていなかったので、入れないかと思ったら、潘さんが中にいて、助かりました。 昨日、潘さんから、天気しだいで出発を遅らせるとありましたが、幸い雨は降っていないので、予定どおりの時間に出発することになりました(8:57)。 街中では出勤の人たちがいて(写真下左)、カモたちも出勤の時間です(写真下右)。 セチラ峠に行く途中で黄色いサクラソウが咲いているのを昨日見つけていました(9:35)。せっかくの大群落なのに柵で囲まれていて、中には入れません。 写真上下 Primula sikkimensis 道路の反対側は柵はないが、川のそばの湿地帯で、柵がなくても入れない(写真下)。このサクラソウは、チベットだけでなく、ヒマラヤ全体でかなり一般的です。 ネジバナとキキョウがあります(写真下)。ネジバナはヨーロッパの東側から日本まで広く分布します。芝生でも生える丈夫な植物らしく、こんな高山でも生えている。ただ、ここは近くに人家が見えるような場所なので、外から持ち込まれた可能性もあります。 写真下右のキキョウの仲間も雲南からミャンマー、ラオス、さらに西側のブータン、ネパール、パキスタンなどヒマラヤの広い範囲に分布します。「Flora of China」の説明では標高1000~1400mに生えているというが、ここは3100mほどです。この二つを見ても、林芝がかなり特殊な環境なのがわかります。 写真上左 Spiranthes sinensis 写真上右 Campanula pallida 私たちの車が停まっているのを見て、中国人の観光客たちも車を停めました。だんだん騒がしくなってきましたから、先を急ぎましょう。 標高は3000mを越えているのに、山は深い森林におおわれています。 道で目についたのが写真下の壺で、三日間で三往復しながら、この意味や目的を考えたのですが、よくわからない(笑)。壁に掛けた植木鉢のように花を植えるにしては口が小さいし、草しか生えていません。 登るにつれて森林も壺も消えて、4000mを越える頃には斜面は低い灌木だけになりました。 標高4340mのセチラ(色斉拉)峠に到着してトイレ休憩です。雨は降っていないが、地面には水溜りが残っています。今日も、当然、ナムチャバルワ峰は見えない。 斜面のお花畑 今日は、青いケシだけでなく、人の背の高さよりも高いダイオウの撮影が目的で、そのためには車を降りた後、さらに百メートル以上も登らなければなりません。 斜面はお花畑です。高山にはお花畑が時々あるが、ここのは全般に背が低い。まるで芝生に花を咲かせているみたいで、ここの環境の厳しさを物語っているのでしょう。 こういう所に座って、ぼんやりと花を眺めているのは至福なのだが、そうでなくても私は遅いので、皆さんを追いかけて先に進みましょう。 お花畑を作っている花を見てみましょう。数の上でも多いのが、写真下のピンク色のイブキトラノオの仲間です。姿もかわいいし、色もきれいです。 写真上 Bistorta sherei 写真下のシオガマギクの仲間はその濃厚な色でかなり良く目立ちます。シオガマギクにしてはちょっと変わった姿だが、花の内側にアーチのような突起物があるのを見ると、仲間だとわかります。 写真上 Pedicularis elwesii 他にもシオガマギクがあります。写真下の上段はかなり特徴ある花の形をしているのですが、まだ十分に花が開いていません。二種類ともにチベットからヒマラヤの南側にかけて、分布します。 写真上 Pedicularis trichoglossa 写真上 Pedicularis roylei キキョウの仲間が咲いています(写真下)。黄色で宿根は珍しいそうです。チベットからヒマラヤの南側に分布します。 写真上 Cyananthus macrocalyx ウメバチソウの仲間は数はあまり多くありません(写真下)。 写真上 Parnassia chinensis 黄色い花で多いのが、写真下のキジムシロの仲間です(写真下)。 写真上下 Potentilla dumosa 学名がヒマラヤのアスターとついているくらいで、チベットとヒマラヤに分布します(写真下)。本来は20~30cmくらいの大きさになるようですが、ここのは小さい。 写真上下 Aster himalaicus 英語名が「pearly everlasting」というのだから、永遠の真珠くらいの意味でしょうか。たぶん花を乾燥させれば、このままの姿を保つからでしょう。 写真上下 Anaphalis nepalensis 昨日もそうだったが、エーデルワイスは少ない(写真下)。 写真上 Leontopodium jacotianum 写真下は地面に絨毯のように生えていて、たぶんこれで満開の状態なのでしょう。 写真下はたぶん開花前で、全員が同じ方向を向いているのがおもしろい。 写真下はタンポポの仲間かと思ったが、花を良く見ると、花の中に花が咲いている。これは花の集合体で、周囲から真ん中に向かって、次々と花を咲かせるのでしょう。 水色の青いケシ 本日の一つ目の青いケシは、昨日も夕方に青い空の下で見たプライニアナです。 写真上下 Meconopsis prainiana 写真下の、上段のようなポツンと一個だけ花が咲いているのはほんの少数で、下段のように大半がたくさんの花を付けています。一個だけ咲いているのは一番咲きで、たいてい背が低い。 この時期のチベットらしく、雨がいつ降ってもおかしくないような曇り空で、昨夜からの雨の滴が花弁についていて、花弁を透かして見るときれいです。 天気が良くないのはありがたくないが、滴のついた花はなかなか良い被写体です。2015年に、ここから300kmほど南西のインドのアルナーチャル・プラデーシュに行った時、雨がだんだん激しく降り始めて、雨の滴が白いケシのガラス細工のような花弁に貯まり、刻一刻と表情が変わっていくのを雨の中でしばらく見とれていました。 この青いケシは濃い青はなく、水色から、そこにピンク色が混ざり、薄紫に見えるものがあります。 淡いピンク色がまざると、全体としてとても柔らかで良い雰囲気です。 離れて見ると、淡い紫に見えます。 写真下のように、ほとんど白と言ってもいいくらい色が薄いのは珍しい。遠くから見た時、白かと思ったほどです。 花の色で気になるのが、写真下です。青いケシは上から咲きますから、同時に咲いていても、上が古く、下が新しい。一番上と一番下の花弁の色を比べると、上のほうが青く、下がほんの少しピンク色に見えませんか。すべてに見られるのではないが、ピンクが混ざっている花は下のほうがピンクが濃い。 これは、咲き始めは薄ピンクで、時間とともに青くなってしまうのか、それとも、一番咲きの花弁は青く、三番咲きくらいになるとだんだんピンク色になるのか、わかりません。 写真下のように二輪しか咲いていない場合も、下の花のほうがピンク色が強い。 マルハナバチのような黄色い筋の入ったハチが蜜を集めています(写真下)。「青いケシの蜂蜜」なんてのがあったから、高くても買ってしまいそう。 大半のケシが横か下向きなのに、珍しく天を仰ぐ青いケシです(写真下)。咲き終わりになると上を向くのが普通だが、この花はまだオシベの色が黄色いから、今が盛りの一番咲です。 背は高く、多くは50~80cmくらいあります(写真下)。 このケシがヨーロッパのプラント・ハンターによって確認されたのは1924年で、百年くらい前です。ところが、その後、長い間、独立した種としては認められていなかったという(『青いケシ メコノプシス』冨山稔、80ページ)。 ここのプライニアナは青が基本ですが、黄色の変種があると“The Genus Meconopsis”(Christopher Grey-Wilson, p.236,
p.264.)に書かれています。私は2015年にインドのアルナーチャル・プラデーシュで黄色のプライニアナを見ました。黄色と青色ですから、それだけでも全然違うケシに見えます。実際、この本が出た後の2016年には、黄色いほうは別な種類として分類されたようです(『青いケシ メコノプシス』冨山稔、80ページ)。 ここ数十年、青いケシは新種の発見が相次いでいて、黄色いプライニアナひとつでも、こんなふうに数年で分類が変わったりします。それだけ多くの人たちが研究しており、また青いケシに魅了された人たちがたくさんいるということでしょう。 黄色いブルーポピー ここで予定外に、黄色いブルーポピーが見られました(写真下)。一本しかなく、ちょっとくたびれている。珍しくもないのに、一本しかなかった理由は、一般に黄色いブルーポピーは開花が早いので、七月後半まで残っていたのが驚きです。今回見る予定の4種類のブルーポピーの中にこのケシは含まれていませんでしたから、おまけです。 写真上 Meconopsis pseudointegrifolia subsp. robusta 写真下のイヌタデの仲間は、東チベットから雲南にかけて分布します。 写真上 Bistorta griffithii 樹木で多いのが写真下のシャクナゲで、日本人のイメージだけで言うなら、赤紫のツツジです。 写真上 Rhododendron nivale 斜面で目につくシャクナゲは写真上が大半で、写真下は少ししかなく、また背も低い。 写真上 Rhododendron laudandum 写真下は日本でもキンロバイ(金梅梅)という名前で中部から北の高山に生えています。 写真上 Potentilla fruticosa ランかと思ったら、ネギの仲間だといわれて、ビックリ(写真下)。ネギ坊主にならないネギもあるんだ。チベット南東部の標高4000m以上に生える固有種です。 写真上下 Allium kingdonii 写真上の濃厚な赤と違い、写真下の一眼レフの写真が肉眼で見た色に近い。このままでも十分に栽培品になりそうな色と形です。 白い花弁の真ん中に赤い突起物と、さらにオシベがアクセントを付けるという特徴のあるユキノシタの仲間です(写真下)。 写真上 Saxifraga melanocentra 写真下のキキョウの仲間はネルボサという名前どおりで、寝ぼけたような色をしています。低地だともう少し大きくなります。 写真上 Codonopsis nervosa 紫のユリです。日本のクロユリに印象が似ていますが、日本のクロユリはいわゆるユリ(Lilium)ではなく、バイモ(Fritillaria)の仲間です。こちらのは本物のユリで、チベットから雲南、ネパールやシッキムなどのヒマラヤの南側に分布します。 写真上下 Lilium nanum 学名にチベットが入っているように、チベット全体に分布します。中国名は「西藏糙苏」、つまり「チベットのフロミス」で学名そのまんまです(写真下)。 写真上 Phlomis tibetica 写真下の花はチベットの中でも林芝の近辺が産地のようです。中国名は「波密风毛菊」で、波密とは、林芝から百キロほど北にある地域ですから、名前からしてこのあたりの特産のようです。見た目は地味で、ここでは普通でも、案外、珍しいのかもしれません。 写真上下 Saussurea bomiensis フデリンドウの仲間が咲いています。ボールペンと比べるとわかるように、日本で芝生などに生えているフデリンドウよりももっと小さい。 写真下は、斜面にポツンと一本だけ咲いていました。 赤いネギの仲間です(写真下)。チベットから雲南、ネパールなどヒマラヤの南側に分布します。 写真上下 Allium prattii 写真下の二つのトチナイソウの仲間の写真と名前に自信がありません。写真を撮っている時は、両者は同じ花なだと思っていたからです。 写真上 Androsace wardii 写真上 Androsace adenocephala 日本でも高山地帯で見かけるイワヒゲの一種で、これでもツツジの仲間です(写真下)。雲南からネパールなどチベットよりもヒマラヤの南側に分布します。 写真上下Cassiope fastigiata 写真下右のベンケイソウの仲間も四川、雲南からネパールにかけてのヒマラヤの南側に分布します。写真下左もベンケイソウの仲間ですが、花の色が違うので別種でしょう。 写真上右 Rhodiola wallichiana 写真下はタデ科チシマミチヤナギ属に分類されると図鑑にはあるが、素人目におおよそタデの仲間には見えません。 写真上 Koenigia forrestii 写真下のアネモネは花の真ん中の実がだいぶん大きくなっていますから、咲き終えるところでしょう。 写真上 Anemone smithiana 真っ青なエンゴサクです(写真下)。チベットではこういうガスの炎のような青いエンゴサクが見られ、私はしばしば感動します。 写真上下 Corydalis jigmei 紫色のブルーポピー チベット仏教のタルチョが貼られた尾根に到着(12:37)。タルチョは五色の布でできていて、経文が印刷されていると、風に舞ったことで経典を読んだのと同じ功徳が得られるという迷信で、お釈迦様が説いた仏教にそんな教えはありません。チベット仏教も日本仏教も原型を留めないほどに壊れています。 タルチョの近くにたった一株だけ、ピンク色のシャクナゲが咲いています(写真下)。このあたりで標高4640mほどです。 写真上 Rhododendron principis タルチョの尾根沿いにさらに上に登ります。 やがて現れたのは、今回の旅行では4種類目の、紫色の青いケシです。 写真上下 Meconopsis impedita このケシも多くが二番咲きで、花の上に種を付けています。小型のケシなので目立たないこともあり、ここにあることに長い間気が付かなったようです(『青いケシ メコノプシス』冨山稔、88ページ)。 写真下の左右を見た時には、別種かと思いました。他の花が赤紫で濃淡があるのに、この花はきれいな薄紫で濃淡がなく、花弁も丸い。葉が二種類写っていて、ニンジンのような細かい葉は別な植物で、タンポポのような葉がケシの葉です。 このケシは高さが10~20cmと小型で、二番咲は一番咲よりも下に花が付き、しかも下を向いているで、普通に見ると、写真下のように花の後ろ姿しか見えません。 花を正面から見るには、寝転がって、見上げることになります。 大家族のブルーポピー 紫のケシからさらに先に進むと、5種類目の青いケシが現れました。 写真上 Meconopsis speciosa subsp. cawdoriana 今日最初に見たプライニアナ(写真下左)と同じ水色で似ていますが、プライニアナは一本の茎に複数の花が付くのに対して、写真下右のスペキオサは複数の茎がのびて、それぞれの茎に花を一個ずつさかせるので、区別できます。 写真上左 Meconopsis prainiana 写真上右 Meconopsis speciosa subsp. cawdoriana 何よりも、長さ15cmほどのボールペンと比べるとわかるように、スペキオサは背丈が低いので、両者は簡単に見分けられます(写真下)。 紫のケシとこのケシは生えている地域がわりと重なっています(写真下)。 他のケシ同様に、これも一番上の一番咲は実をつけており、咲いているのは二番咲、三番咲です。上を向き始めた二番咲は花弁の端が傷み始めています。 写真下などすごい。花が7個ついています。これは一つの茎についているのではなく、一株から7本の茎が立って、それぞれに花が付いています。 しかし、7つは驚くほどではなく、『青いケシの国』という本を書いたキングドン・ウォード(Frank Kingdon‐Ward)は、29個の花と5つの蕾と14個の種がついたこのケシを目撃したそうです。(『青いケシ メコノプシス』冨山稔、66ページ) 花数が多く、子だくさんの大家族みたいです。中国は前は一人っ子政策をしていたが、ここは関係なかったようだ。 花の色は水色が多く、微妙な色の違いがあり、それぞれに美しい。 プライニアナと同様に、花が古い上のほうは青だが、花が新しい下のほうはかすかにピンクが混ざっています。 温室植物 写真下はボンボリトウヒレンです。日本には生えていないのに和名が付いているのは、保温のための温室を作る「温室植物」と呼ばれるヒマラヤの有名な植物の一つだからです。花のように見える白い部分は花弁ではなく葉(苞葉)で、これで花全体を包んで温室を作り、花そのものはこの中にあります。 写真上 Saussurea obvallata 写真下左はトウヒレンと青いケシのツーショットです・・・スリーショットか。 もう一つの温室植物であるセイタカダイオウが山のもっと上のほうに見えます(写真下)。目の前に見えているのに、ここは標高4600mをこす高山ですから、近づくのは容易ではありません。 岩だらけの斜面のあちこちにポツンポツンと立っている光景はどこか現実離れしています。 写真下を「孤高のダイオウ」と名前を付けました(笑)。ダイオウは大王ではなく大黄です。 写真上下 Rheum nobile 写真下左のダイオウは例外的な姿をしていますが、二種類の葉があるのがわかりやすい。地面に近い部分は大きな緑色の葉がスカートのように広がっていて、これで光合成をするのでしょう。上部の葉は光を通すために薄黄色で、葉を重ねて密閉し、中を温室にしています(写真下中)。 外から見えるのは葉で、花は葉の中にあります。緑と薄黄色の葉の隙間から、のびすぎたブロッコリーのような、地味な花が見えます(写真下)。岩だらけの斜面で白い塔は良く目立ち、葉で囲った温室で虫を集めるのが作戦ですから、普通の植物と違い、中にある花の色形を派手にする必要がありません。 四千メートルをこえるこの厳しい環境では、温室作戦は虫を集めるのにかなり効果があるはずです。虫は気温が低くなりすぎると身体が動かなくなりますから、雨や嵐の時に温室は避難場所としては最高です。 十年ほど前、四川省の理塘の南にある海子山自然保護区などで、セイタカダイオウの群落を見ました。ここよりも水が豊富なので、かなりの群落でしたが、七月も末だったこともあり、一部は枯れかけていました。 写真下は去年の茎がそのまま立ち枯れて残ったのでしょう。新しい芽がないということは、根ごと枯れてしまったのでしょう。 ボンボリトウヒレンが花だけのために温室を作っているのに対して、セイタカダイオウは身体全体を包むことで自分を守っています。厳しい環境の中で、これだけ大きくなれるのも、温室効果でしょう。 ダイオウと青いケシのツーショットです。生えている場所が離れていて、しかも背丈がかなり違うので、二人一緒に撮るのはなかなか難しい。写真下は、このセイタカダイオウがたまたまかなり低い位置に生えていました。 これはひどい(写真下)。セイタカダイオウの茎は生のままで食べられると聞いています。葉がきれいに取ってありますから、動物ではなく、人間の仕業のように見えます。 一年ごとに茎をのばす植物ですから、来年また生えてくるだろうが、光合成ができませんから、こんなふうに倒されてしまうと、根に栄養を貯めることができません。 中肉中背のセイタカダイオウと一緒に記念撮影(写真下左)。潘さんはドローンを飛ばして撮影です(写真下右)。 セイタカダイオウを見終えて、山から下りて車に乗る頃から、急に雨が本降りになりました(16:20、写真下)。さっきまでは少しだけ青空が見えて、ぱらつく程度だったのに、さすがに高山の天候は一瞬で変わってしまう。まるで私たちが車に戻るまで待っていてくれたみたいで、ここの山の神様の印象は良くなりました(笑)。おかげで今日も防水カメラは必要ありませんでした。 農貿市場 林芝に戻る頃には雨もあがりました。こちらも降っていたらしく、地面に水溜りがあります。つまり、車に乗っていた時間だけ雨が降っていた。潘さんは食事の前に市場を案内してくれるという。それはうれしい。 ホテルの北側にある農貿市場(农贸市场)という小さな市場です。入口の広場には露店が並んでいます。 奥に百メートルほどの両側に店が並び、狭い通路を車が通るので、けっこう危ない。 こういう市場では正体不明の乾物が売られていて、一つ一つ何なのか確認して、食べてみたい気もするが、それだけで半日くらいかかりそうです(写真下)。 写真下の店でお客さんがブドウを買い、後で夕飯で御馳走になりました。ここで採れる果物ではないから、値段は中国の物価から見ても高い。 一カ所だけ、草花を売っている店があります(写真下)。ざっと見た印象では園芸種のみです。間違っても青いケシなど売らないでほしい。 写真下はチベットで良く見かけるチーズを乾燥した食べ物でしょう。 蜂蜜を買うつもりで値段を聞くと60元、約1000円だという。どう見ても500g以下で、1kgに換算すると2000円ですから、日本とあまり変わらない。私が普段食べている中国産の蜂蜜は1000円しません。地元産ではないかもしれないと疑い、私は出しかけた財布をしまいました。 キノコがたくさん並べられていて、ちょっとうまそう。たぶん、この近くで採れたのでしょう。 やっぱり辛い夕飯 ハンさんは夕飯に麺のおいしい店に連れていくという(17:51)。地元の人が食べるような食堂です。 最初に出たのは、コップには茶道と書いてあるのに白湯です(写真下左)。ここの人たちはお茶を飲む習慣がないようです。先ほどの市場で他のお客さんが買ったブドウを洗って出してもらい、私がかなり食べました(笑)。実は他に食べられる物がなかったからです。 出された料理はすべて辛く、私は出された麺も食べられません。 チベットに来て、辛くない物を出せというのは無理なのはこれまでの旅行で経験しているので、潘さんに「気にしなくてもいいよ」と言うと、「いや、私は気にしますよ」と、店に辛くない麺を出すように再度注文してくれました(写真下)。ところが、これも辛い。さすがに潘さんに辛いとは言えず、他のお客さんたちに食べてもらいました。 辛くない物を頼んでも、やはり辛い物が出て来るのはチベット圏では何度も経験しています。店の人はこの麺に辛子は入れなかったが、調味料などにすでに辛子が入っているから、辛くない食べ物を作れと言われても無理なのでしょう。 ホテルに戻りました。部屋を変わったので、外の風景が違います。ホテルの南側にある電波塔が電飾されていて、色が変わる(写真下)。 今日で花の観察は終了で、明日は日本に帰国します・・・とはならなかった。 |