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クリンジ 12年に一度咲くインドの花

1日目    201898()

成田 → ニューデリー → プネー

 

 

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(インドのケララ州観光局のホームページから転載)

 

 南インドで12年に一度だけ花を咲かせるクリンジ(ニーラクリンジ)という花があると聞いて、行くことにしました。

 昨年、ネットで花を調べている時、「12年に一度咲く花」という表題を見て、最初は物語かと疑いました。12年に一度花を咲かせるなんて聞いたこともなかったからです。ネットで調べると、どうやらインドにそういう花があり、前回の開花は2006年で、過去百年ほどは12年ごとに咲いている記録があるという。

 インドと聞いて、ますます私は疑わしく思いました()。インドでは何でも針小棒大で、日本のように何でも軽薄短小とは正反対です。ただ、12年後なんて自分が生きているのかどうかもわからないので、とにかく行ってみることにしました。

 

 

二カ所のお花畑

 今回はクリンジが一番の目的ですが、先にインド中部のサタラにあるカース高原を訪れます(下図)。こちらも花がたくさん咲くことで有名で、これ単独のツアーを毎年何社か催行しています。カース高原を訪れた後、南インドのムンナールでクリンジを見ます。私もいずれカース高原は行ってみたいと思っていたので、今回は両方同時に行けるので楽です。

 

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 朝8時過ぎ、少し早目に成田空港に集合すると、すでに大半のお客さんが到着していました。お客さんは14人で、男女がちょうど半々という珍しいツアーです。4人の方とはすでに過去に一緒に旅行したことがあり、そのうちの一人とは今回で5回目です。

 

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 8~9月は日本では災害が続きました。出発する少し前の9月4日、関西国際空港は台風と高潮で冠水しました。9月6日には北海道で震度6強の大地震がありました。お客さんの一人は北海道在住で、千歳空港が閉鎖になり、一時は参加をあきらめようとしたほどでした。

 

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 今日は成田からニューデリーまで行き、国内便に乗り換えてインド中部のプネーまで行きます。いつものインド旅行はニューデリーに夕方に到着して、ゆっくり食事をしてホテルに泊まれるので、海外旅行としては楽です。しかし、今日は、国内便に乗り継ぎますから、ホテルに到着するのは夜です。

 

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 私たちが乗るインド航空AI307便の機体はボーイング787-8です。日本を11:15にたち、9時間15分飛行して、インドのニューデリーに17:00に到着予定です。掲示板には出発が早まると出ています(写真上右)。遅れるよりも良い。

 ボーイング787と聞いて、私は「またか」とがっかり。新しい飛行機だから本来喜ぶべきなのだが、三年前にインド航空でこの飛行機に乗った経験から、私は乗る前からこの飛行機への評価はD、つまりダメ出しをするつもりでした。理由は、この後に実物でお目にかけます。

 

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 私の座席は一番後ろの窓側39Jです。ここは機体が細くなっているので二座席しかなく、トイレに立つのが楽です。また、混んでいなければたいてい隣には来ないが、今回は飛行機は写真下右のようにほぼ満席で、私の隣の席にもインド人のおばさんが来ました。しかし、ガタイの大きい男性に来られるよりもありがたい。

 

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 三年前と違い、インド航空はネットで座席の予約が取れるようになっていました。この点は評価するべきなのだが、これほどの大手の航空会社の予約が取れなかったことがおかしい。

 

 

予約有料席

 下図はインド航空のホームページの座席予約の画面です。左が11番から20番まで、右が30番から38番までの座席で、白い人の姿があるのはすでに予約されているという意味です。左右の図で予約がずいぶん違う。右はかなり予約が入っているのに、左は予約がゼロです。理由は、左の座席はすべて予約が有料だからです。最前列の足をのばせる11番はすべて4680円、12番以降は窓側と通路側が1410円、真ん中が320円です。

 しかも、有料席は112616列、無料は273913列ですから、無料席は半分以下で、混むのが当たり前です。

 

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 出発が早まるという変更のわりには、むしろ予定より遅れて成田空港を離陸(11:59)。離陸してまず気が付いたのが、自分の座席の前のモニターの不良です。タッチパネルが使えない。コントローラで操作するが、飛行機の経路を示すルートマップが表示できません。これでは自分がどこを飛んでいるのかさっぱりわからない。

 写真下左は離陸した直後の窓の外の風景で、写真下右はその一分後で、見えているのは成田の街です。

 

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 離陸して間もなく、強制的に窓は青く設定されてしまい、客には選択の自由はありません。窓の下に色の度合いを操作できるボタンがあるが、固定されています(写真下)。ボーイング787と聞いて、ガッカリしたのはこれが理由です。

 モニターは壊れている、窓の外を自由に見ることができない、機長の挨拶が長いなど()、この飛行機に対する私の評価は5段階評価のDで不満足です。

 

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 ただ、三年前よりも改善されているのは、写真下左のように今回は青の色が三段階の一番低いレベルだったことです。前回、写真下右のように最高レベルの真っ青でした。率直に言って、私はボーイング787は嫌いです()

 

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 スナックと飲み物(12:35)、そしてさらに一時間くらいたってから食事が出ました(13:24)

 

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 飛行機は三時間ほどで中国の上空を飛んでいます(15:04、写真下)。モニターの飛行経路が表示されないと書いたのに、ちゃんと表示されているじゃないか、と言われそうですが、前方の席の人の見ているモニターをちゃっかり撮影させてもらいました()

 

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 飛行機は中国の重慶(Chongqing)の南側を通り、この後、貴陽市(Guiyang)と昆明市(kumning)の上空を通過して、ミャンマーに抜けます。(16:11)

 

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クリンジのツアー

 このツアーが発表されたのは三か月前の6月でした。発表が遅かったのにはいろいろな事情があり、その一つは、12年に一度しか咲かない花ではあまりに情報が少なく、行ってみたら咲いていなかったという悲劇や喜劇が起きかねないからです。これは旅行会社にしてみれば信用問題になりますから、避けたいところでしょう。実際、私が利用したことのあるS旅行社に昨年問い合わせたところ「クリンジは知っているが、咲くかどうかわからないのでツアーを出す予定はない」と断りのメールが来ました。

 

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(インドのケララ州観光局のホームページから転載)

 

 しかし、今年になると下記のように各旅行会社がクリンジのツアーを発表しました。タイトルに「12年に一度」が咲きまくっています()。ニーラクリンジとはクリンジの正式名称です。

 

12年に1度だけ咲く “幻の花クリンジ” を求めて」(NTC)

「『12年に1度咲くクリンジの花 南インド花物語6日間』紫の絶景を求めて南インドへ!」(CT)

「インド南部 12年に1度咲くクリンジの花とバックウォータークルーズ」(TH)

12年に一度の鑑賞チャンス!クリンジの花とニルギリ鉄道」(U)

12年に1度の開花!クリンジ・フラワーを求めてインドへ」(JT)

12年に一度咲くニーラクリンジの花」(TS)

「西ガーツ山脈、12年に1度咲く、ニーラクリンジの花畑とニルギリ山岳鉄道の旅」(SL)

 

 各社ともクリンジだけでツアーを組むのは難しいので、船旅や列車の旅、紅茶などを組み合わせていますから、私のように花だけという客には向きません。

 今回のツアーを企画すると最初に聞いたのは、今年4月にイランに花を見に行って帰国した成田空港でした。インドのバサントさんからツアーリーダーの松森さん(仮名)に連絡があったようです。バサントさんは今回のインドのガイドで、三年前にもインドのアルナーチャル・プラデッシュ州で青いケシを見に行った時にガイドをしてくれた花好きです。

 

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 旅行の募集開始が6月中旬と、旅行会社としては一番遅れてようやく出てきました(下図)。お知らせが来たのが6月下旬で、インドはビザも必要ですから、一カ月前に締め切るとすれば二カ月しか募集期間がありません。

 

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 私は募集期間が短いので、お客さんがうまく集まるだろうかと心配で、同時に、花好きなら12年に一度という言葉で反応するはずだと期待していました。パンレットによるお知らせが配布されてすぐに申し込みがあったらしく、6月末には催行決定になり、まずは一安心(下図)

 

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簡単に取れるようになったインドのビザ

 インドは今でも短期の観光でもビザが必要です。前回、2015年にインドに行った時も、ビザ用の顔写真の大きさや目の位置についての馬鹿げた細かい指定があり(写真下)、しかも東京と大阪では書式が違うなど、インドのビザは世界一小難しいといわれるだけあって、その時代錯誤の煩雑さに呆れかえりました。

 

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 しかし、今回はe-Visaというネットで申請できるビザができたと聞いて、さっそく試してみることにしました。ネットに書き方の細かい説明を公開している人たちがいたこともあり、申請はそれほど難しくありませんでした。結局、申請してから24時間後にはビザが手に入りました。2015年には旅行業者に依頼したこともあって、パスポートのやり取りで数週間かかりました。世の中便利になったものだ。

 

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 ネットを見ると代行業者の金額は7,0008,000円で、内4,0005,000円が手数料です。ただ、その代行業者に情報を提供する手間暇は自分でe-Visaを申込書に書き込むのと同じで、パソコン、スキャナー、プリンター、クレジットカードを持っているのなら、自分でやるのが一番です。

 

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(https://indianvisaonline.gov.in/visa/#)

 インドに行く日本人は20万人を超えて、しかも増加しているのに、インドは観光ビザを廃止しません。日本人がビザなしで渡航できる国は180ヵ国あり、世界最強です。インドが廃止しない理由をネットで調べても、よくわかりません。

 ここからは私の推測ですが、インド大使館がビザ発給の手数料を稼ぎたいからではないか。だが、e-Visaはインド政府が収入を得ますから、大使館の手数料は減ります。その時に日本政府が観光ビザの廃止を要求すれば、インドがビザ無しの181ヵ国目になるかもしれません。

 

 

ニューデリー到着

 飛行機は中国を南下して、ミャンマーとバングラデシュを通過して、インドに入りました(日本時間18:11)

 

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 インド上空には積乱雲らしい雲が見られ、写真下左など距離を考えるとかなり大きな積乱雲で、あの下は雷雨なのでしょう。ヒマラヤ山脈が見られるのではないかと期待して、右側の座席を予約したのに、これらの雲に隠れて、まったく見えません。モンスーンの時期では無理なのでしょう。

 

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 ニューデリーが近づき、ようやく青い窓から解放されました(19:36)。このあたりの上空にも積乱雲がたくさん立ち上っています(写真下)

 

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 ニューデリー近くは薄曇りです。

 

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 出発が遅れたわりには、ほぼ予定どおりにインディラ・ガンディー国際空港(Indira Gandhi International Airport)に到着(インド時間16:51、日本時間20:21)。ここで時計を3時間半遅らせて、今は五時少し前です。

 

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 空港の滑走路の間に写真下のような掘っ立て小屋がいくつもあります。風が吹いたら飛んでしまいそうな粗末な箱で、監視小屋なら、何を監視するのだろう?いずれしろ、見た目が悪い。

 

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 空港内は三年前も見た記憶のあるモニュメントがいくつかあります(写真下)

 

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 ここでプネー行の国内便に乗り換えます。ほぼ予定どおりの時間に到着し、次の飛行機まで二時間ほどあるので、それほど忙しくはありません。

 

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 空港内の換金所で私は一万円を換金しました。普段なら5千円ですが、912日に乗る飛行機は格安航空会社で15kg以上の荷物は別料金を取られそうなので、多めに換金しました。ルピーの売値は5,933ルピーと掲示されているにもかかわらず、さらにCGSTSGSTという意味不明の手数料45ルピーを取られるので、実際に私が受けとるのは5,888ルピーです。これは1ルピーが約1.7円です。この時期のネットでの為替相場は1.54円ですから、一割くらい高い。ただ、これを手数料と考えるなら、それほど高くはありません。成田空港など2割くらい取られるのは珍しくない。

 

 

座席を有料予約

 プネー行は同じインド航空の AI 853便で、機体はエアバスA321です(写真下)。予定ではニューデリーを19:00に発ち、2時間10分の飛行の後、プネーには 21:10に到着します。

 

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 ゲートで待っていると、暗くなった外はいつの間にか雨になっていました(写真下左)。先ほどの飛行機の上から見たあの積乱雲が降らせているのでしょう。

 雷雨で大気状態が悪いらしく、離陸する順番を待つのに時間がかかりました。雨のニューデリーをだいぶん遅れて離陸(19:48)

 

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 写真下の窓側が私の座席で、いつも後ろの座席を取る私にしては珍しく、エコノミーの前から二列目の5fです。

 

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 私が最初予約した座席は後ろの窓側でした。ところが、昨日、再度確認してみると周囲の席は人が埋まっていました。成田からの便と同じで、こちらも下図の424までの21列が予約するのに有料席、2532までのわずか8列が無料ですから、無料席が混むのは当たり前です。

 

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 二時間の飛行とは言え、隣に人がいるのはありがたくない。そこで試しに5fの有料の予約席を取ることにしました(下図)。当日これらの予約席は無料で公開されるから、隣がこのまま空き席であるとは限りませんが、可能性に320円を掛けてみたのです。

 

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 結果は、写真下のように完全にハズレです()。機内はほぼ満席で、私の隣の二座席にも客が入り、これでは後ろの席でも同じです。24時間ほど前は予約席は閑散としていたのに、当日になってこれほど客が押しかけるはずはないから、客数と予約画面が別々なのでしょう。いずれしろ、320円は無駄銭でした()

 

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 夕飯が出ました(20:09)。写真下を見てのとおりで、さっそく辛いインドの食事が始まりました。私は辛い物を普段は日本で食べますが、私の軟弱な胃腸のために旅行中は食べません。前回の三年前のインド旅行は辛い物が少なかったのでそれほど悩まされませんでしたが、今回は普通の地域のインドですので、すべて辛い。方法は簡単で、パンや生野菜などの辛くない食べ物だけを食べる。栄養的には偏りますが、9日間の旅行ですから、問題ありません。

 

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プネーに到着

 プネーの空港に到着(21:34)。雨は降っていません。ここで現地ガイドのバサント(Basant Kumar GIRI)さんと合流しました。前述のように、彼は三年前のインド旅行でも現地ガイドをしてくれた人で、今回のクリンジの旅行を提案した人です。三年ぶりなのに、彼は私の顔を覚えていました。

 

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 空港の前はまるで駅の前みたいにタクシーなどの車で大混乱です(写真下)。九時すぎにしてこの混雑は何なのだと、日本人たちは不思議がる。飛行機から降りてくるような客はお金を持っているから、確実にタクシーに乗ると期待しているのでしょう。車と人ごみの中をかき分けながら、バスまで移動します。

 

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 バスは昔のインドでは良く使われていた型のバスで、運転席と客室が隔てられており、あまり広くはありません(写真下)。明日は別なもっと良いバスの予定です。

 

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 一時間もかからず、今日のホテルに到着(22:39)The Pride Hotel Puneはなんと五つ星ホテルです。そのわりには、ロビーなどはあまり豪華さも広さもありません(写真下)。フランスやイタリア以外は、ホテルの格付けは国ごとにバラバラで、勝手に名乗っていることが多いので、あてになりません。

 

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 建物は中が吹き抜けになっていて、各部屋が回廊に面しています(写真下)

 

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 通路には写真下のように、立派な家具や絵が飾ってあって、なかなかおしゃれです。

 

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 写真下が私の部屋です。部屋のドアの鍵を開けるのに一苦労しました。電子キーで、何回も試して、ようやく開きました。何かコツがあるらしいが、一泊するだけだと覚える気にもなれない。

 

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 部屋は特に変わった点はなく、お茶や湯沸かし器など一通りそろっています。

 

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 ネットでのこのホテルへの客からの評価の一つに「このプライド・ホテルはプライドを失っている」と皮肉が書いてありました。使っていて、何となくその理由がわかりました。

 

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 写真下の浴槽の底を見てください。浴槽の内側のあちこちにヒビが入っていて、明らかに経年劣化です。また、ゴム栓のチェーンを取り付けた金属金具はガタガタでずれている(写真下右)。つまり、この浴槽はだいぶん前に寿命が尽きています。

 

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 浴室と壁を隔てた隣の寝室の床がブカブカです。つまり、浴室から床下に水が漏れて、床下が腐っている。このホテルは五つ星ホテルにしてはネットでの値段は安い。たぶん「往年の五つ星ホテル」で、老化した昔の高級ホテルの設備をそのままに、価格を下げて営業しているのでしょう。それなら五つ星の看板だけでも外すべきです。

 鍵が開けにくい、バスタブのヒビなどの老朽化から見たら、三つ星ホテルも難しい。この設備で五つ星ホテルを名乗るのは客を騙すようなもので、これは大きなマイナス点です。私のこのホテルに対する個人評価は少々厳しく五段階の3.0で、値段相応の最小限のサービスがある、というものです。

 設備はともかく、朝起きてからすでに18時間以上もたっていますから、明日のためにも、とにかく早く寝ましょう。

 

 

 

 

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