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クリンジ 12年に一度しか咲かないインドの花

6日目  2018913()

エラヴィクラム国立公園、パンバダム・ショラ国立公園

 

 

 朝起きて、何はさておき、窓の外を見ました(写真下)。晴れて、西ガーツ山脈の絶景です。部屋の温度は23℃ですから、暑くも寒くもありません。

 

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 今日はいよいよクリンジを見る日です。ムンナールの北にあるエラヴィクラム国立公園と東にあるパンバダム・ショラ国立公園を訪れます。

 

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 ホテルの周囲の散歩に出かけます。部屋の窓から見えるホテル南側の斜面を降りてみます。写真下左が下から見上げたホテルで、写っている建物はすべてホテルの施設です。真ん中の建物は一番上でも地上三階で、私の見晴らしの良い部屋はこの地下一階にあります。地下一階の部屋数は窓の数や写真下右の案内図を見ればわかるように、六室しかありません。

 

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 エレベーターでは地下5階までしか下りられません(写真下)。これは真ん中の建物がそこまでしかないからです。

 

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 エレベーターで地下5階まで下りて、そこからは階段で下りて行きます(写真下)。両側に別な建物が複数あり、これも客室なら、荷物を運ぶのは手作業になり、かなり大変そうです。

 

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 今日の朝は大音量の音楽で五時半にたたき起こされました。ガネーシャのお祭りがあるのはサタラでも見ていましたから、たぶんそれなのでしょう。ホテルの下にある集落のどこかにヒンドゥー教の寺院があるはずだから、そこに行ってみるつもりでした。

 

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 下図の朱線が私の散歩コースです。

 

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 ホテルから見て下にある数十軒の家は、立派とは言えないが、貧しくもありません。

 

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 ここでも恒例の洗濯物シリーズです(写真下)

 

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 集落を通り過ぎて、茶畑に出てしまいました(写真下左)。斜め後ろの斜面にヒンドゥー教の寺院が見えます(写真下右)。しまった、道を間違えたのだ!目の前に見えているのだから、何とか茶畑を横切って行けないかと探したのだが、茶樹の上を歩くしか道はありません。ホテルの入口まで戻るしかないとわかり、同じ洗濯物を撮ってもおもしろくないので、あきらめました()

 

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 せっかくですから、茶畑を拝見しましょう。つくば市周辺にある茶樹と比べると、葉が大きいような気がします(写真下)

 

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 茶畑の周囲にも様々な花が咲いています。

 

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写真上 Impatiens balsamina

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 写真下はミゾソバに良く似ています。

 

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写真上  Polygonum runcinatum

 

 しかし、インドに元々生えていたのはここまでで、写真下左はアメリカ原産とされ、日本でもコシロノセンダングサとして知られ、世界中に広がっている雑草です。写真下右のキンレンカは南米原産で、これまた世界中に広がっている。

 

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写真上左 Bidens pilosa 写真上右 Tropaeolum majus

 

 写真下は黄色が良く目立ち、ホテルの敷地にもたくさん咲いています。中米原産の外来種で、西ガーツ山脈では広く見られます。

(Flora of the southern western Ghats and Plains,p.327)

 

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写真上 Calceolaria gracilis

 

 写真下はメキシコ原産の外来種で、インド北部でも見かけたアゲラタムです。どこでも見かける。学者によれば、西ガーツ山脈では強烈な環境破壊をもたらしているとあります。つまり、人家周囲は外来種だらけです。

(Flora of the southern western Ghats and Plains,p.304)

 

 

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写真上 Ageratum houstonianum

 

 茶畑を横切り、昨日バスで来た道に出ました(写真下)

 

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 ホテルの前を通り過ぎて、もっと先に行ってみます。

 

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 道はなだらかに下り坂になっていて、時々、出勤らしい人たちが私を追い越していきます(写真下)。逆方向に行く人はいません。

 

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 彼らはこんな山の中でどこに行くのだろうと思っていたら、道端のたくさんの看板で行先がわかりました。ホテルやレストランなど、この道沿いに点在しており、彼らはそこの従業員なのでしょう。

 

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 こちらの道沿いにもいろいろな花が咲いています。

 

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 写真下は道端の土手に咲いていた花で、たぶん外来種ではありません。

 

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 写真下はショウガの仲間で、花よりも葉が見事です。東南アジアなどに広く分布し、「タイのショウガ」などの名前が付いています。道端なので、野生なのか、誰かが植えたのかわかりません。

 

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写真上下 Alpinia galanga

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 写真下は道端の雑草と一緒に生えていたのだが、いくらなんでも園芸品種でしょう。日本の山の中にこんな花が咲いていたら奇妙なのに、インドだとサリーの衣装など色が派手なので、違和感がありません。

 

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 ホテルに戻り、昨夜と同じ二階のレストランで七時から朝食です(写真下)。朝は辛くないのがあるので助かる。

 

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ジープに乗って出発

 予定どおり、八時半にホテルをジープに乗って出発(写真下)

 

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 ホテルから北に16kmほどあるエラヴィクラム国立公園が目的地で、その途中にあるムンナールの街で現地ガイドと合流します。

 

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 ダムを渡って、昨日と同じ所でジープからバスに乗り換えます。ここからムンナールの街までは34kmです。ダムの所に黄色のスクール・バスが来ています(写真下右)。バスはダムを横切れないので、ここまで親が送り届けるのでしょう。

 

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 ムンナールは北の新市街と南の旧市街に分かれています(写真下)

 

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 新市街のほうが大きくにぎやかです(写真下)。街の中心部には川が流れていて、先月の洪水の時には、上流のダムが決壊を恐れて放水したため、この写真下の街の中心部も浸水したそうです。

 

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 街中を流れ、私たちの宿泊しているホテルの西の谷に流れているのがMuthirappuzhayarという川で、街中は比較的穏やかだが(写真上)、少し下ると所々に洪水の跡があり、改修工事が続いています(写真下)

 

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 写真下左の橋は水害が原因で通れず、仮橋で迂回しています。こんなふうに水害の跡がまだ残っています。しかし、実際の交通に問題が生じるようなことはないので、私が危具したよりも傷跡は少ない。

 

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 少し遅れて現地ガイドのモハンさんが来ましたが、これから許可を取りに行くというので、待つことになりました(9:08、写真下)

 

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ムンナールの街中

 インドは日本式に急いでもたいていダメですから、ゆっくりと街中と道行く人々でも見物しましょう。

 

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 出勤や通学の時間帯なので、若い人たちの姿も多く見かけます。

 

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 一方で、わりと暇そうにしている人たちもたくさんいる(写真下)。人生、のんびりと行きましょう。

 

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 街中にはキリスト教の大きな教会やイスラム教のモスクがあります(写真下)

 

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 数の上で目立つのがヒンドゥー教の寺院です。道端の祠のような寺院は瓔珞で飾られています(写真下)。本尊は見えないが、祠の頭頂部に祭られているのはガネーシャですから、たぶん彼が本尊でしょう。

 

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 ガネーシャのお祭りがあったこともあり、写真下右のガネーシャ寺院(Ganeshan Temple)には参拝客がたくさんいます。

 

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 ガネーシャ寺院の壁に神様が6人描かれています。同じインドのヒンドゥー教でも北と南では微妙な差があり、それがこれらの壁画に表れています。

 写真下の左端に座っているSree Narayan Guru(1854-1928)はケララ州で様々な社会改革を行った人で、この中では唯一、実在した人間です。真ん中のDEVI(女神)はドゥルガーといい、シヴァの妃です。右がガネーシャで、この寺の本尊です。

 

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写真上左 Narayan Guru(Wikipediaから転載)

写真上中 ドゥルガー、写真上右 ガネーシャ

 

 写真下左は、一番左がアイヤッパン(Ayyappan)で、ケララ州で特に人気があります。この図では虎に乗っていますが、多くは足を開いたヨーガのポーズで表されます。写真下右は近くの他の寺院の屋根に飾ってあるアイヤッパンです。

 真ん中のSarpamは蛇の王、つまりキングコブラの姿をした神様です。右端がKaruppuという神で、これも南インドで信仰されている神様です。

 

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上図左:アイヤッパン、上図右:Karuppu Sami

 

 写真下の寺院でも塔の中心に祭られているのはアイヤッパンです。彼は南インドでは人気がある。

 

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 三十分ほどしてモハンさんが戻り、エラヴィクラム国立公園に向けて出発です(写真下左、9:34)。ここから北に約7kmあります(写真下右)

 

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 ムンナールの市街地を出ると、周囲は住宅も少なく、平地に農村が点在しています。周囲の山は茶畑が多い。

 

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エラヴィクラム国立公園

 エラヴィクラム国立公園(Eravikulam National Park)の駐車場に到着(9:53、写真下)。ここで入場料を払い、公園のシャトル・バスで現地に向かいます。外国人の入場料400ルピーにカメラ持ち込み料金40ルピーで、合計約748円です。

 

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 バスを待つ間に、テレビ局の人たちから取材を受けました(写真下左)。この取材班は写真下右のように、バスで来る途中の道で白いひげを生やした男性を取材していました。私がバスの中からカメラを向けると、左側の薄緑色のシャツを着た男性が「撮るな」というしくざをしたので、もちろん従いました。なぜなら、その前に私は撮り終えていたからです()

 

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 さらにハプニングは写真下の男性で、理由は何なのか、激しく怒っている。警備員など何人もがなだめるが、断固拒絶して、大きな声で何か抗議しているようです。人生面白くないことも多いから、怒る気持ちもわかる・・・オレも時々そうなる()。でも、クリンジを見れば気持ちも変わります。

 

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 ようやくクリンジの写真を貼ったシャトル・バスの順番が来ました(10:18)。バスは残念ながら、電気自動車ではありません(写真下)

 

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 駐車場からバスの終点まで4kmほどあり、バスは広大な茶畑の中を走ります(写真下)。国立公園の中に茶畑があるというのも変だが、この国立公園の地図を見るとその理由がわかります。

 

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 下左の地図がエラヴィクラム国立公園の全図で、南北に20kmほどもあり、私たちがいるのは一番南端です。下右の地図は南端の部分を拡大した地図で、Rajamala tourism zoneとあるのが私たちのいるところで、ここはラジャマラ・ヒル(Rajamala Hills)と呼ばれています。 

 

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 上の地図でもわかるように、ここはちょうど民有地との境になっていて、駐車場の周囲は民有地で、私たちはまだ国立公園の敷地に入っていないのです。

 

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 人々が茶摘みをしています(写真下)。機械を使っている様子はありませんから、手摘みのようです。

 

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 公園の入口にたどり着くと、ありました。クリンジだ!!道の崖に咲いています(写真下)。こんな所から咲いているのだから、この先、大いに期待できます。

 

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 バスの終点に到着(10:38)。クリンジを見に来たらしい観光客がたくさんいます(写真下左)。売店の前に広げられていた傘の模様もクリンジの花です(写真下右)

 

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 いよいよクリンジが見られると思ったら、先に写真下の小さな博物館に寄るという(写真下)。早くクリンジを見せてほしいが、ガイドとしては順序があるらしい。

 

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 この博物館で一番ショックだったのは写真下の殺されたゾウです。牙を抜くために、鼻を切り取り頭部を破壊した。残酷な写真をあえて載せたのは日本も関係しているからです。日本では未だに象牙の売買や移動が禁止されていない。しかも、輸入が禁止になった後、過去に二度、国際的に認められたとはいえ、象牙を輸入したことがあります。こんな例外を認めれば、なし崩しになるのは当たり前です。せめてこれを読んで皆さんだけでも、絶対に象牙製品を買ったり売ったりしないことです。

 

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 もう一つ、私の目を引いたのが写真下です。巨大な魚もすごいが、それよりも、ここに写っている四人のインド人の頭髪を見てください。全員がアフロ・ヘアです。しかし、先ほど通過した街中ではこんな頭髪の男性も女性も見かけませんでした。たしかに、多くの人の髪の毛がカーブして、いわゆる癖毛が多いが、アフロ・ヘアは見かけません。この種族の特徴なのでしょう。

 

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 ゲートを通り、ようやくクリンジを見に出発です(10:53)。道は写真下のように、一部修復中のアスファルトで、普通の靴で歩けます。一般的な観光地で、登山靴で完全装備している私たちのほうが珍しい。

 

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 博物館より上では簡易型のトイレが一カ所だけ道端に設置してあります(写真下左)。インドはトイレ事情が悪く、屋外で用をたすのが普通です。ここから先は食べ物を持ち込むことも禁止で、通路には繰り返し、ゴミを捨てるなといった警告が出てきます(写真下右)。つまり、それだけ規則を守らない人がいる。

 

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 今いるのが写真下の出発点で標高1840m、終点で2000mですから、山登りというほどではありません。北側にそびえる山の最高峰はNaikolli Mala2401mあります。

 

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やっとクリンジ

 道の両側の斜面にクリンジが咲いています。ホテルからここまでたった10kmほどしかないのに、ホテルを出てからなんと二時間半かかりました。12年と二時間半です。

 

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写真上下 Strobilanthes kunthianus

 

 クリンジは(Kurinji)はニーラ・クリンジ(Neelakurinji)がたぶん正しい名前です。 花一つ一つはそれほど特別ではないが、何よりもこの花を特徴づけているのが、12年に一度しか咲かないという点です。

 

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 クリンジのように花が咲く間隔が長い植物に竹があります。笹も60年に一度くらい花を咲かせ、その後枯れてしまうそうです。リュウゼツランは電柱のような茎に花を咲かせ、熱帯では1020年、日本では3050年、根に栄養を貯め、その後で花を咲かせて枯れてしまう。

 私の身近な事例ではオオウバユリがあり、68年間、成長を続け、花を一度だけ咲かせて枯れてしまいます。

 

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 これらの長周期で開花する植物のほとんどが、開花した後は枯れてしまいます。クリンジも例外ではなく、今咲いているクリンジは枯れてしまい、地面に落ちた実から発芽して成長します。

 クリンジと笹はいっせいに咲いて、いっせいに枯れてしまうという点では、他の植物とは違います。

 

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 なぜクリンジは12年なのか、という基本的な問いに学者の解説を読んでも、今一つ明瞭な答は読み取れません。つまり、わからない()

 クリンジの興味深い点は12年という期間が正確なことです。竹や笹が60年といっても、正確に60年ではありません。オオウバユリも68年とばらつきがあります。他の長周期の花たちの周期がバラバラなのに対して、クリンジは周期が正確で、しかもいっせいに咲きます。12年をどうやって測っているのか。クリンジ君、どうなんだい?と質問しても答えてくれない。

 

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 クリンジの生息地域は、標高1600-2695m1300-2400mと、書いている人によって少し違いがありますが、おおよそ2000m前後に生えているようです。高山植物の高度ですが、ムンナールが標高1450mくらいありますから、高山植物というイメージとはちょっと違います。

 

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 最初に公式に記録されたのは1838年の開花で、1858年頃にイギリス人によって発表されています。以来、2018年の今年まで12年の間隔でクリンジは咲き続けました。

 

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 もちろん、公式に記録される前からインド人たちは知っていました。紀元後13世紀に500人ほどの詩人たちの詩を集めた『サンガム(Sangam)』と呼ばれる抒情詩の中にクリンジが出てくるそうです。ただし、クリンジを称えているのではなく、クリンジの咲く素晴らしい国を治める王様を称えています。芸術家は権力者をヨイショしないと生活が成り立たなかったのでしょう。

 

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 ムルガン(Murugan)という神が妻のValliにクリンジを首飾りとして贈ったという神話があるようです。

 この地方のトダ(Toda)族では自分の年を「3クリンジ季節(12×3=36)よりも年上」という表現をしていたそうです。ただ、ネット上の記事によっては、その種族がパリヤ(Paliyan)族やMuthuvan族だという書き込みもありますから、いろいろな種族が利用していたくらい、12年ごとの周期が昔から正確なのでしょう。

 これらの伝承からわかるのは、昔はクリンジが今のように特定の場所に行かないと見られない植物ではなく、この地方のどこの山にも普通に咲いていたありふれた花だったことです。この地方をさすニルギリが青い山という意味であることを見ても、元はどこの山もクリンジで覆われていたのでしょう。

 

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 しかし、近代ではクリンジへの関心が前からあったのではない証拠に、ケララ州観光局で作ったホームページに掲載されたクリンジの写真で一番古いものでも1982年です。

 

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 「Once in a blue moon but it blooms」と看板にあります(写真下)blue moon bloomsと韻を踏み、blueはクリンジの咲く山を青い山(ニルギリ, Nirgir)と呼ぶことと関連づけているようです。韻を踏んだ警句はインド人が大好きで、道路の警告の標識に良く使われ、私は「インド人の川柳」と呼んでいます()

 ただ「青い月に一度、それでもクリンジは花を咲かせる」という訳では、意味が今ひとつわからない。「たった12年に一度でも、ある月に山を青く染めてクリンジは咲く」くらいの意味でしょうか。

 

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 花は私の目には青ではなく薄紫色で、遠くから目立つ花ではありません。藤色と言いたいが、フジの花のほうが目立ちます。

 

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 たった一本だけ、薄紫ではなくピンクの花がありました(写真下)。ただ、花の形も違うので別種かもしれません。クリンジの仲間はこのあたりだけでも40種類以上が確認されています(Aranyam”,No.44566,Vol.38, pp.26-27,2018)

 

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 斜面の上のほうを良く見ると、かなり広い範囲にクリンジが群落しているのが見えます(写真下)。しかし、開花しているのは一部で、遠目には花が咲いているのがかろうじてわかる程度です。

 

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 先ほどから気になっているのが、枯れた花が付いていることです(写真下)。ここの花はピークを過ぎていることになり、これは私にとっては意外でした。

 

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 クリンジは九月上旬から十月上旬まで咲き続けると聞いていたので、私たちが来た時期は早すぎるのではないかと危具していました。日本からの他社のクリンジ・ツアーの多くが、私と同じように考えたらしく、915日以降が大半でした。しかし、ここは花のピークはおそらく910日以前です。

 

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 前回の2006年に開花した時には、記念切手も発行されています。

 

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上図 2006529日にインドで発行されたクリンジの記念切手

 

 道の途中にあった写真下もクリンジの仲間で、現地ガイドのモハンさんによれば、咲いているのを見られるのはラッキーだそうです。

 

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 花弁の内側に細かい白い毛が生えていて、まるで厚さを変えて濃淡を入れた障子紙を見ているようで、花としてはこちらのほうがきれいです。

 

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野生のニルギリタール?

 登山路の途中で人だかりができています。皆さんが見ている斜面に、おっ!!カモシカのような動物がいるではないか(写真下)。ニルギリタール(Nilgiri tahr)です。

 

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写真上下 Nilgiritraus hylocrius

 

 西ガーツ山脈の中に棲息する固有種で、インド南部の唯一のヤギです。ただし、ヤギではなく、Ovisと呼ばれるヒツジに近いと言われています。

 

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 「ゴミを捨てるな」という公園の看板にも使われています(写真下)

 

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 こんな野生動物が見られるなんて、なんてラッキーなんだとカメラを構えている私の前を、オバサンが頭にバケツを乗せて通り過ぎ、続いて、別な女性が鍋を持って通過しました(写真下)。彼女たちの歩いている敷地は観光客が立ち入れない所で、写真下左の左奥の茂みにはニルギリタールがいます。両者の距離はほんの数メートルです。オバサンたちが近づいたら、彼らは逃げてしまうではないか・・・あれ?逃げない。私はちょっとあっけにとられました。

 

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 ニルギリタールたちが集まっているあたりに緑色の小屋があります。しかも、そこに先ほどのオバサンらしい人がドアからニルギリタールたちを見ています(写真下左)。だが、彼らは恐れる様子がないどころか、写真下右のように入口のそばまで来ています。ニルギタールはおばさんたちと知り合いなのだ。

 

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 私の住んでいる山形でもカモシカはあまり人を恐れません。天然記念物で保護されているという事の他に、彼らはなぜか好奇心が強く、自分から人間に近寄ることもあります。だから、ニルギリタールも似たような性質で、保護されていることもあり、人を恐れていないのでしょう。ただ、それにしてもあまりに人に近い。

 

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 この二人のオバサンたちはニルギリタールに餌を与える仕事をしているのではないだろうか。その根拠の一つが写真下で、彼らの足元に何か銀色の容器のようなものが転がっています。彼らが集まっているのはこれが餌箱だからではないか。

 

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 ここにいるニルギリタールは野生ではあるが、餌付けされ、餌がもらえると知っているから、ここに集まってくる。小屋の色が緑なのは動物を脅かさないように周囲合わせた色で、オバサンたちのための管理小屋なのでしょう。

 つまり、今日、野生のニルギリタールが見られるのはインドの幸運の女神が微笑んだからではなく、明日もここに来ればまた見られるはずです。あるいはインドの好運の女神は毎日笑っているのかもしれない()

 

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 登山路にニルギリタールに触るなという看板があります(写真下左)。つまり、人馴れてしており、たぶん餌で釣れば、触れるのだ()

 

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 ここが本格的な国立公園になる前からニルギリタールがこの近くに来ていた可能性があります。それが写真下で、緑の小屋から50mほど離れた場所にあるヒンドゥー教の祠です。いくらインドでも国立公園になってからでは祠は認めないだろうから、国立公園として整備される前からあったのでしょう。祠に添えられたお供物を狙ってニルギリタールがここに来ていたのを見て、近くに餌場を設けたのでしょう。

 似たようなことが私の住む山形でも起きていて、お墓のお供物を狙ってカモシカが現れるので、寺側がお供物を墓に残さないように参拝者に警告しています。逆転の発想で、あのお寺もお供物でカモシカを誘い、カモシカ寺として観光名所になるのはどうでしょう。

 

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これがマキシマム?!

 写真下が登山路の終点で、ここから先は一般観光客は立入禁止です。私は現地ガイドがこの先の許可を取っており、案内してくれるものと思っていました。朝、現地ガイドが待ち合わせ時間に遅れたのはインド時間としては仕方ないとしても、その後、許可を取るため三十分も待たされました。お客さんの間からは「前日に許可が取れなかったのだろうか」と不満の声も出ました。しかし、一般観光客の立ち入れない所に入るなら、それもしかたありません。

 

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 いつもなら他のお客さんのはるか後ろをついて行く私がここに到着したのは早かったのは、目的地がこの先にあると思っていたからです。ここまでは一般観光客向けで、道の両側には柵や立入禁止の看板があり、クリンジが咲いている場所には入れません(写真下)。それでは満足のいく写真は撮れない。いよいよ、一般人の立ち入り禁止地域でクリンジの中に入って撮るぞと、私は走り出す準備をしていました()

 

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 ところが、現地ガイドのモハンさんが到着して言うには、ここで終わりで、引き返すという。私は唖然としてしまいました。一般観光客と同じなら、では、朝わざわざ時間をかけて何の許可を取りに行ったのか?ここは入場料に外国人料金があるのだから、外国人の制限地域ではなく、ガイドなしでも来れる所です。平日の今日はとても入場者の制限数を超えているように見えない。

 

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 さらに、もっと驚く言葉が飛び出しました。バサントさん経由で聞くと、クリンジはここだけだというのです。私は正面からいきなり殴られたようなショックを受け、フラフラなりながら()、ムンナール周囲の他の山にクリンジはないのかと質問しました。だが、私たちが今見ているクリンジがもっとも良く咲いており、これがmaximum、つまり一番咲いている状態だというのです。思わず、maximum!!??と私はオウム返しに言いました。

 

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 先ほどの博物館で、現地ガイドのモハンさんに写真下のクリンジの写真を指差しながら「私たちはこのクリンジのカーペットが見られるのか?」と質問しました。私の下手な英語ではわかりにくいと思ったので、しつこく三回言い直して質問しました。彼はいずれもにこやかに「イエス」と答えました。だが、この状態がマキシマムだとなると、いったいあの「イエス」は何だったのか。

 

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 私はさらに「では、コダイカナルはどうか」と質問しました。コダイカナル(Kodaikanal)はムンナールの東にあり、車で片道半日ほどかかり、ここもクリンジが咲くことで知られています。九月初めに日本からのツアーが訪れ、クリンジを見たというブログを読んでいたからです。バサントさんからの返事は、「その人たちが行った時はコダイカナルで咲いていただろうが、一週間ほど前に終わっている」というものでした。

 

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 博物館にあったようなクリンジのカーペットは無理としても、せめてクリンジの中に入って写真を撮れないものだろうかと、頭の中は混乱して、この時の私は眉間にシワを寄せ、宙をにらんでいたでしょう()

 

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他の草花

 私は心を落ち着けるために、他の花の写真を撮ることにしました。クリンジ以外にもきれいな花が道端に咲いています。

 写真下はヒマラヤと南インドからスランカまで広く分布するランです。標高1300-1400mに分布するとあるが、ここは約2000mです。この地方では、これを粉末化して滋養強壮に用いるそうです。

 

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写真上下 Satyrium nepalense

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 写真下はカース高原でも咲いていた花の仲間です。

 

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写真上 Cyanotis arachnoidea

 

 写真下は西ガーツ山脈の南部にのみ生える花です。

 

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写真上 Leucas ciliata

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 写真下はインドではたくさんあるツリフネソウの仲間で、このあたりでは一般的です。

 

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写真上下 Impatiens inconspicua

 

 写真下は上と色違いで、色のアクセントがあると、ずいぶん印象が違います。

 

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 インドではツリフネソウが多い。写真下は色が白くて小さいので、写真に撮ると色が飛んでしまう。

 

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 写真下のツリフネソウも西ガーツ山脈の固有種です。

 

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写真上 Impatiens diversifolia

 

 写真下は熱帯で広く分布し、日本でもテンニンカという名前で温室などで育てられているそうです。

 

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写真上 Rhodomyrtus tomentosa

 

 モウセンゴケの花が咲いています。熱帯から温帯にかけて広く分布し、日本ではイチモチソウと呼ばれています。写真下右では葉のネバネバに蚊のような虫がはりついています。

 

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写真上 Drosera peltata

 

 写真下はインドでは一般的な花で、ただし、開花は11月というから、名前が間違っているかもしれません。

 

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写真上 Crotalaria fysonii

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 写真下はノボタンの仲間でしょうか。数は少ない。

 

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写真上右 Melastoma malabathricum

 

 花を撮っていても、さきほどの「ここがクリンジのマキシマム」という言葉に頭が行ってしまい、自分でも動揺していて、撮影に集中力を欠いているのがわかる()。地元に住んでいる現地ガイドが、これで最大だというのだから、ムンナールにはこれ以上のクリンジはないのだ・・・ガーン。

 

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 私はこの旅日記の表題を変えることを考え始めました。出発する前からクリンジを前面に出すタイトルを考えて、ほぼ決めていました。他の花のツアーと違い、目的とする花がはっきりしていたからです。しかし、今日のクリンジではとうていタイトルにはならない。カース高原の花が女神様と教授のおかげですごかったから、あちらに力点を置こうか、でも、それだとピントがぼけてしまう、などと、いろいろ考えるが、当然、まとまらない。

 

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写真上左 Emilia sonochifolia、右 Anaphalis subdecurrens

 

 

ムンナールに戻る

 バスで茶畑を通り駐車場まで戻り、私たちのバスに乗り換えてムンナールに戻ります(13:37)。午前中の晴れた空と違い、茶畑の上も曇り始めており、私の気持ちもこんなものです。

 

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 写真下の道端の店で共通して売られているのがニンジンです。奇妙なのは、写真下の二軒ではニンジン以外の野菜はなく、生鮮食品はニンジンだけです。他にも何軒かこういう露店があり、共通性は街中ではなく、郊外の道端で売っていたことです。

 

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 ニンジンが出荷時期なのかと、街中の露店を見ても、奇妙なことに、野菜を売っているのにニンジンはありません。

 

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 ムンナールの街中に戻ると、朝方見た時と同じように多くの人でにぎわっています。

 

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 出たあ!サタラの道路でも見た赤いクマのヌイグルミです(写真下)。こいつ、外来種みたいにどこにでも棲息している。

 

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 この地方はスパイスやココアの産地で、ネットの旅行記を読むと、バニラやカルダモンなどが日本よりもはるかに安く売られているようです。街の店の看板にもお茶や香料の文字がみられます。

 

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 ムンナールは「南インドのカシミール」と呼ばれ、新婚旅行でここに来る人も多いような街らしい。高地なので、南インドにしては暑くないからでしょう。イギリス支配時代にはイギリス人の避暑地になっていました。

 

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 この街の歴史を読むと、インド人の歴史というよりも、イギリス人のお茶のプランテーションの歴史です。茶畑の拡大がこの地域の自然破壊そのものなのに、今は地元の人たちはその産業によって生活している人たちがたくさんいるのも皮肉な話です。

 

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 街中の交通はほぼ三輪のオートリクシャとジープです。数を見ると、かなりの需要があるのがわかります。ジープが多いのは山道の道路事情が良くないからでしょう。

 

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 写真下の看板は、水を汚染しないようにしましょうという呼びかけらしい。きれいなコップの水の中で、子供がウンチをし、ネズミが棲んでおり、ゴミが入っています。インドはトレイ事情がかなり悪いし、プラスチックを道端に捨ててしまう。特にプラスチックはインドだけでなく、世界中の問題です。私は自分の畑の土の中からプラスックやビニールの破片を見つけると、どんな小さくてもかき集めて、取り除くようにしています。

 

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辛くない昼食

 ムンナールの新市街を通過して、旧市街にあるClouds Valleyというホテルで昼食です(14:09、写真下)。ホテルの入口が面している斜面が、先月の大雨が原因で崖崩れを起こしています(写真下右)

 

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(http://www.cloudsvalleymunnar.com/)

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 ホテルに到着すると、一人一人にバラの花のプレゼントです(写真下左)。レストランで花をプレゼントされ大歓迎されたのは初めてで、しかも、食事が終わった後は、ホテルの前で記念撮影までしました。たぶん、私たちが宿泊しているホテルなど新しいホテルに客足を奪われているので次回はここのホテルに宿泊してほしいという営業でしょう。客室は見ていませんが、旧市街にあるので交通の便は悪くありません。ネット上のTripadvisorによれば評価は5点満点中4.5とありますから、客の評判は良い。

 

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 ホテル自体が少し高い所にあるので、二階のレストランは眺めが良いようにと窓を広く取ったのに、実際には目の前に人家が密集していて、設計者の意図どおりにはなりませんでした(写真下右)

 

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 菜食主義用のコーナーもあります(写真下左)。なによりもここは辛くない食べ物がある。後でバサントさんに「このホテルの食事は辛いのが少ない」というと、「日本人の一人が辛いのがダメな人がいると前もって頼んでおいた」とのことでした。気を使わせました。

 

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 食後、パンバダム・ショラ国立公園(Pampadum Shola National Park)に行き、花を探します。

 

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 道路標識にはマトゥペティ・ダムまで11km、パンバダム・ショラ国立公園の手前にあるトップ・ステーションまで32kmとあります(写真下左)。ムンナールの東には住宅街が広がっています(写真下右)

 

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 人々は道端の店でくつろぐ(写真下)

 

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 住宅地のあたりからすでに茶畑が始まり、やがて家がなくなると、両側の山の斜面はどこも茶畑だらけになります。

 

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 茶畑が途切れた所に、周囲の家屋と比べてずいぶん立派な建物の学校があります(写真下)Vimalalayam U.P.Schoolというキリスト教系の学校です。人口密度が低い所にこれだけの学校を作るくらい、キリスト教系は教育に熱心です。日本もキリスト教系の私立大学はたいへん多い。

 

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断層?

 ムンナールから10kmほど茶畑の間の道を走り、マトゥペティ・ダム(Mattupetty Dum)に到着です(写真下)。ダムは川をせき止めて作ったので、上流に向かって細長い形をしており、道は堤防を横切り、ダムに沿って10kmほどさらに上ります。

 

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 下がダムの地図で、左下がムンナールのある下流、右上が上流で、私たちは上流に向かってダム沿いに走っています。ダムは川をせき止めたもので、右上(北東)から左下(南西)に向かって水が流れています。このダムの形が変だと思いませんか。ちょうど真ん中頃で川が垂直方向(矢印方向)にずれている。そのズレに沿って川の流れと垂直方向を見てください。二つの弥印を結んだような溝があるのがわかります。

 

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 上の地図をもっと広い範囲で見たのが下の地図です。明瞭にダムと垂直方向に溝()があるのがわかります。直線的に35kmほども続いていて、断層でしょうか。大地震などで地面が弥印の方向にずれて、それまでほぼ真っ直ぐだった川がずれてしまったのでしょう。

 

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 ちょうどその曲がっている部分の風景が写真下左です。写真は、下右の地図の赤丸の所で北方向に向かって撮っています。釣り客がいるのは、川が曲がって奥に引っ込んだような地形になっているから魚など多いからでしょう。写真に写っている奥の山の窪んでいるのがおそらく断層によってできた谷で、そこから釣り客の前の川まで一直線に断層が走っていることになります。 

 

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茶畑による自然破壊

 ダムの前後を含めて、ムンナールから目的地の国立公園までの約37kmの山道の両側に茶畑が見られます。

 

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 少々気になるのが、茶畑の多さです。急な斜面まで、どこもかしこも茶畑だらけです。気になるとは、茶畑になる前はここに何が生えていたのだろうか、という点です。茶樹はもちろん元々ここに生えていた樹木ではありませんから、外来種です。一見、緑豊かな大地のようでありながら、実は茶樹だけの貧弱な生態系です。

 

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 茶畑と並んで目に付くのが、道の両側に森林を作っている背の高い樹木です(写真下)。幹が白いのが特徴で、垂直にのびて、木材としては使いやすそうです。何という樹木なのだろうと後で調べたら、なんとユーカリだという。自然林かと思ったら、オーストラリア原産の外来種です。

 

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 ユーカリはイギリス人が1843年に持ち込んだもので、他にもBlack wattleというこれまたオーストラリア原産のアカシアの仲間を植林しました。その目的は木材としてだけでなく、茶工場のボイラーの燃料に使うためでした。そして、これらの外来種の樹木がこの地方の生態系に致命傷を与えました。

 

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 この地方の山々は元々ショラ(shola)と呼ばれ、森林と草原がパッチワークになっていました。谷の近くには森があるのに、山の斜面などは背の低い草木が生えた草原のようになっていました。ところが、ユーカリは根が深く、成長が早く、背が高いので、たちまちこれらのショラを占領してしまいます。Black wattleの樹皮にはタンニンが多量に含まれているために、他の植物の成長を阻害しました。その結果、この地方に前からあった植物に壊滅的な打撃を与えたというのです。

 

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 午前中見たクリンジの生えている所には大きな樹木はなく、ユーカリのような樹木が生えたら、日陰になって、全滅するでしょう。いや、おそらくこのあたりは全滅したのです。

 

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 私たちは、南インドの豊かな自然ではなく、破壊され尽くした跡の光景を見ているらしい。しかも、そろそろ、皆さんもお気づきのように、犯人はお茶のプランテーションを作ったイギリス人です。

 

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 クリンジなどは山の斜面に生えていますから、茶畑に邪魔です。イギリス人たちは雑木とみなして、これらを切り倒して、茶畑に開墾したようです。茶畑のある山の斜面には昔はクリンジが咲いていたのでしょう。

 

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 今、東南アジアではジャングルを切り開き、商品作物としてアブラヤシを植えていることが問題になっています。アブラヤシの林が続くから一見、緑豊かのようにみえるが、実はとんでもない自然破壊です。単一の植物だけを増やすのは生態系の多様性を失わせます。それと同じ事が百数十年前のこのあたりで起きていた。

 

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野生のゾウ

 「ゾウだ!」という声にバスの左側をみると、森の間の空き地にゾウがいます(写真下)。たぶん5頭です。

 

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 カメラで見た範囲では牙がない。インドゾウのメスは牙が小さく、外からは見えにくかったり、稀にないこともあるそうです。群れはたいていメスの母親と子供たちが成り立つといいますから、この5頭は家族なのでしょう。群れとしては小さいほうです。

 

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 野生のゾウが見られるなんてラッキーと思いながらも、午前中の餌付けされたニルギリタールの件があるので冷静に見ると、この草地のあり方が不自然です(写真下左)。周囲が森林で囲まれているのに、ここだけ樹木がない。前後の道路脇は森林か茶畑で、こんな草地はありません。また、道路の脇にはゾウに注意するようにという看板があります(写真下右)

 

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 後で調べると、ここはグーグルの地図にPullu Medu, Elephant View Pointと記載されるほど、ゾウが目撃できる有名な場所でした(地図下)

 

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 ここも元々ゾウが来ていた場所なのだろうが、それを利用して彼らの餌の草が採りやすいように、樹木を伐採して草地にしたのでしょう。ゾウは餌を求めてかなり広い範囲を動くが、ここは移動しなくても草が手にはいるのでしょう。ニルギタールと同様に、観光業者にとってはここはありがたい場所で、かなりの高い確率で野生のゾウを観光客に見せることができます。実際、次の日、ここを通りかかるとまたゾウがいました。

 

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ランとヒル

 周囲から茶畑が減り、うっそうとした森林が険しい山を覆うようになってから、ようやくパンバダム・ショラ国立公園(Pambadum Shola National Park)に到着しました(16:41)

(https://en.wikipedia.org/wiki/Pampadum_Shola_National_Park)

 

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 写真下が国立公園のゲート付近です。この国立公園の名前は、パンバダム・ショラ(Pambadum Shola)と現地の看板にも書いてありますが、Wikipediaなどではパンパダム・ショラ(Pampadum Shola)と表記されています。

 

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 道の両側はうっそうとした森になっているので、花を探します(写真下)。この国立公園は広さがわずか1.32平方キロと狭く、ケララ州では一番小さな国立公園です。

 

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 クリンジの仲間を見つけました(写真下)。クリンジは全部が12年に一度咲くのではなく、毎年咲くものから、最長で16年という周期の花もあるそうです。

 

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写真上下 Strobilanthes gracilis

 

 バサントさんがピースサインをしている後ろにある茂みがクリンジです(写真下)

 

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 何はなくても、まずツリフネソウです。インドはツリフネソウが種類も数も多い。写真下は学名にエレガンスが入っています。西ガーツ山脈でもケララ州と隣接するタミル・ナードゥ州に分布します。

 

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写真上 Impatiens elegans

 

 写真下のツリフネソウは西ガーツ山脈の固有種です。花弁の中の赤い斑点が印象的です。

 

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写真上 Impatiens campanulata

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 一株のランが樹木の幹に貼りついて白い花を咲かせています(写真下)。南インドからスリランカの標高1800-2000mに分布し、ここのように樹木や岩などに付着します。とても清楚な雰囲気です。

 

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写真上 Coelogyne breviscapa

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 薄暗いヤブの中にピンク色の大きなランが花を咲かせています(写真下)。背の高い物は1m近くあります。

 

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 道から見えるヤブの中ですから、行けばすぐに写真が撮れるのに、皆さんためらっています。理由が写真下のヒルです。こうやって道端で立ち上がって動物が通過するのを待つ。大半の人がヒルに吸い付かれました。ヒマラヤの高地でさえもヒルに好かれた私は虫よけスプレーをしていたので、他の人よりも寄ってきませんでしたが、それでもこの日に一匹、次の日に一匹に献血しました。道路を歩いてさえこの有様ですから、ランのある薄暗い茂みがヒルの巣窟なのは行かなくてもわかる。

 

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 意を決して突撃するしかありません()。息を止めて潜水するみたいに、ヤブの中に入ったら立ち止まるのは最小限にして、「早撃ち」で写真を撮り、ヤブを出ます。皆さん、撮ったらすぐに道路に戻ってしまい、私だけヒルを覚悟して残るので、独占的に撮れるのは楽といえば楽です。

 

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写真上 Calanthe sylvatica

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 写真下は色違いです。三枚のガクと二枚の花弁はほぼ白なのに、真ん中の花弁がピンクの混ざった赤という配色です。アフリカから熱帯のアメリカまで広く分布し、この仲間がインド全体では25種類、南インドでは3種類あるそうです。

(http://www.toskar.org/)

 

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野生のバイソン

 バスに乗ってさらに移動すると、道の左側の斜面で数頭の牛が草を食べています(写真下)。牛ではなく、野生のバイソンで、ガウル(Gaur)だという。たしかに体つきが牛よりも筋肉質でマッチョなのはわかるが、牛の放し飼いが普通のインドでは、言われないとただの立派な牛だと思って通過しそうです。ところが、正面から見て、ようやく違いがわかりました。

 

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写真上下 Bos gaurus

 

 顔をあげて、バスにいる私たちのほう見ました。体毛と色違いの毛糸のヘルメットをかぶったような頭がバイキングみたいですごい迫力。角も恐いが、頭突きを食らったら痛そう()

 

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 横から見ると「毛糸のヘルメット」だけが隆起しているのがわかります(写真下)。ガウルはインドだけでなくネパール、ブータン、ミャンマーから東南アジアの広い地域に棲息しています。バイソンの中でも大きく、体重は最大で1.5tにもなるというから、中型車並の重さです。

 

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 写真下が先ほど昼食を取ったホテルの前の通りを歩いていた普通の牛です。普通の牛は頭蓋骨が角の付け根の高さなのに、ガウルはさらに隆起しており、毛の色も違う。また、写真の範囲では、ガウルの角はやや後ろ向きで、家畜の牛は角がやや前向きです。

 

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 このガウルが野生には間違いなのだが、人間の手が入っています。写真を見ればわかるように、ここは樹木がわざわざ切り倒してあります。切株の樹木の太さや周囲から見て、ここは元々は森林だったのを切り倒し、草が育ち、ガウルが来やすいのようにしたのでしょう。

 

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 午前中に行ったエラヴィクラム国立公園の博物館の写真にもこのガウルの写真がありました(写真下左)。また、この公園の入口の看板にもガウルが使われていました(写真下右)

 エラヴィクラム国立公園のニルギリタール、先ほど見たゾウ、そしてガウルと一日で三種類もの野生動物が見られました。しかし、ニルギリタールは人間が餌をやっているし、ゾウも看板があるくらいで、あそこを餌場にしているし、ここもガウルが草が食べやすいに人間が手を加えています。

 つまり、たまたま運よくこれら三種類の野生動物が見られたのではなく、観光業者は行けばだいたい彼らが見られることを知っているから案内したのでしょう。インドの好運の女神は微笑むのではなく、高笑いをするらしい。

 

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