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南アフリカの夏の花

10日目 2017222()

ケープ半島

 

 

 五時半頃に起きました。室温は27度で暑くも寒くもありません。空は晴れて、西に見えるテーブル・マウンテンには雲一つありません。天気の心配をしなくて良いのは助かる。

 

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 本日はケープタウンの南に突き出たケープ半島に行きシルバーマイン自然保護区(Silvermine Nature Reserve)などで花を探します。

 

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 朝の散歩は昨日と同じように鳥を見に行きます。私は鳥などスズメとカラスくらいしかわからないが、昨日歩いてみて、このホテルの近くは鳥を観察するのにすごく良い場所だとわかったからです。

 

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 昨日と同じ、頭の黒いトキがいます(写真下)

 

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 こちらは白いサギでしょう(写真下左)

 

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 昨日はいなかった鳥が写真下で、カモメです。数は多く、空を舞っている。

 

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 昨日、気がつかなかったもう一つの鳥が写真下のヘラサギです。

 

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 写真下はblacksmith lapwingで日本語ではシロクロゲリと呼ばれています。アフリカ南部の湿地帯に棲息しています。ここは川のそばの湿地帯だが、写真下の鳥は草むらの上だけで見られました。

 

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写真上 シロクロゲリ(Vanellus armatus)

 

 八時から本館の奥にある食堂で朝食です。昨夜、夕食をとったレストランとは別な建物です。

 

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ケープ半島に向かう

 マニングさんが愛車のスポーツカーで登場(写真下)。イギリスのメーカーが作ったMGBというシリーズのスポーツカーで、たぶん1965年に登場したGTという車種です。こういう古い車を維持するのはお金がかかることでしょう。

 

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 九時すぎにホテルを出発。昨日と同じ人数ギリギリの小型バスなのでちょっと狭い。道路事情は良く、渋滞もありません。

 

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 ケープタウンの市街地とは逆の南に向かって走ります。

 

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 ケープタウンの郊外だということもあり、日本と違いゴチャゴチャした雰囲気はありません。

 

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 家を見ると、ドラケンバーグにあった家に比べとこちらのほうが圧倒的に立派です。

 

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 やがて海と街が見えてきました(写真下)。サイモンズタウン(Simon’s Town)という港町です。

 

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 フォールズ湾(False Bay)をはさんで向こうに山が見えます(写真下)。あれは昨日、私たちが訪れたKogelberg自然保護区などがある山々です。

 

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山火事の後の赤いキノコ?

 今日最初の花の観察地に到着しました。山火事の跡の斜面を登っていくと・・・ワッ!なんだ、これ?地面から赤いキノコみたいな花が咲いている(写真下)

 

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写真上 Haemanthus sanguineus

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 マニングさんから、写真下のように地面から花が出かかっているのがあるから、とにかく気をつけて歩くように再三注意がありました。

 

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 この植物は茎が出てきてから花を咲かせるのではなく、ヘラ状の花芽が地面からにょっきり出て来て(写真下の上段)、十分にのびたところで花が開く(写真下の下段)

 

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 この植物にとって山火事は好都合なのでしょう。火事でも影響がないように、地中で花を咲かせる準備をして、山火事を待つ。

 

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 山火事の後、普通の植物なら芽を出して葉を茂らせてから花を咲かせるのだが、この花は作戦が別です。周囲の草木がすべて燃えてしまったところに、真っ先に花を咲かせることで虫たちを呼び寄せる。火事が競争相手を一掃してくれるのを利用する。

 

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 ミツバチが大忙しです(写真下中)。アリもいる(写真下左)。日本でも花だけ突然出てきて咲くのはヒガンバナがあり、実際、この花もヒガンバナ科(Amaryllidaceae)です。山火事を利用しているというよりも、花だけ咲かせるというヒガンバナの性質と山火事がうまくかみあったようです。

 

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 山火事の跡なので、樹木に触れるたびに服がススで真っ黒に汚れます。山火事を利用する植物はオーストラリアでも見かけました。ここでも山火事が「年中行事」だということなのでしょう。

 

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 周囲が山火事で黒く焼けた樹木と、灰色の地面しかないだけに、そこにオレンジ色の奇妙な姿の花がポツンとあると、目立つというよりも不思議な光景です。花が終わると、この後、秋にかけて二枚の葉が出てきて、地面にペタリと広がり、周囲に他の植物が生えてくるのを防ぎます。

 

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野生の動物

 日本ではまず見られない奇妙な花に驚きながら、次の観察地に向かう途中で鹿のような動物を見つけて車を停めました(写真下)Blesbokとかbontebokと呼ばれる南アフリカやナミビアにいる固有種です。鹿ではなく、カモシカと同様に牛に近い動物です。動物のいる側は国立公園で、道路の脇には金網があり、彼らは守られています。彼らを見ている人間を見ながら、行ってしまいました。

 

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写真上 Damaliscus pygargus

 

 道路の反対側の斜面は金網がないので、少し花を見てみましょう。

 

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 写真下は花しか写っていないのでこの植物が多肉植物だという本来の雰囲気が伝わってきません。日本でも多肉植物が人気が出て、大もうけしている業者がいるという話を聞きました。

 

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写真上 Tylecodon grandiflorus

 

 ここもピンク色のエリカが咲いています。エリカは乾いた大地には定番で種類が多い。それらしい花を見つけたら、エリカだ、というとたいてい当たる()

 

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写真上 Erica mammosa

 

 写真下は昨日のKogelberg自然保護区でもたくさん見かけた花です。

 

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海岸の花

 海岸まで降りて休憩です。晴れて、波が高い。サイクリングで通りすぎる人や、この風景をドローンで撮影している人たちがいます。

 

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 近くの海岸の茂みの中で花を探します。

 

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 ありました(写真下)。花全体の直径は五十センチくらいあるでしょうか。見ての通りで、ヒガンバナ科です。

 

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写真上 Brunsvigia orientalis

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 冨山さんは、この花は夏の終わりに咲くので見つかるかと心配していたそうですが、見事に開花している花が何本かあります。

 

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 先ほど山火事の跡で見た花と同じように、平べったい花芽が砂の中から唐突に出て来て(写真下の上段)、花を開きます(写真下の下段)215日にハリスミスに向かう途中で運良く見られた花(Brunsibigia undulata)の仲間です。

 

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 他にも花が少し咲いています。写真下は花が少ない。必ずしも海岸に生えている植物ではありません。

 

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写真上 Cotyledon orbiculata

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スーパーで買い物

 左前方の山から煙が立ち上っています(写真下)。山火事です。方角からいくとHout湾の向こうにある海に突き出た山です。先ほど、山火事をうまく利用した花があったように、山火事はここでは珍しくない光景なのでしょう。

 

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 信号ある交差点で、男性が「子供が腹を空かしている。仕事がない。助けてくれ」とプラカードを持って車道で物乞をしています(写真下)。プラカードが使い古しているのと、スペルの間違いなのか略語なのか、また「God Bles To you」のToはいらないのではないかなど、余計な事が気になります。

 

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 トイレ休憩をかねてSunnydaleという街のショッピング・モールに立ち寄りました(13:06)。ここを経営しているPick n Payは南アフリカでは第二位の規模をほこるスーパーマーケットです(写真下)

 

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 日本と同じように数十もの店が入っています。時間帯なのか、客はそんなに多くありません。

 

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 スーパーがあるというので、水を買いに入ってみました。食材は豊富で、値段もピーターマリツバーグと同じくらいです。

 

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シルバーマイン自然保護区

 シルバーマイン自然保護区(Silvermine Nature Reserve)に到着。ここで昼食を取ることになりました(13:52)

 シルバーマインなんて、銀でも採れたのだろうかと、思わず周囲の石を見渡す()。南アフリカで最初に発見されたダイヤモンドは子供が拾った石ころで、他にも羊飼いが拾ったクルミ大のダイヤモンドとか、道端に原石が転がっている国ですから、目の色を変えましょう()

 

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 写真下左の昼食のサンドイッチと水が「暑い!」と言っているように見えるでしょう()。暑いので、大半のお客さんは涼しいバスの中で、私など数人が炎天下で食べました(写真下右)

 

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 食事の後、ランを探しに出発です。いつものように私はだんだん遅れました(写真下左)。トカゲ君もいますから、気にすることはない()。それにしてもこの暑い中、岩の上にジッとしているのはなかなか辛そう(写真下右)。頭が青いことからBlue Headed Agama lizardと呼ばれるトカゲでしょう。

 

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 ここも山火事がいつ起きてもおかしくないくらい非常に乾燥していますから、それに合った花が見られます。

 

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 二日前のHouw Hoekでも、写真下のEverlasting Vygieを見ました。

 

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写真上 Erepsia anceps

 

 ピンク色のグラジオラスがあります。ドラケンスバーグでずいぶん見たが、ここのはきれいな薄ピンクです。風が強くて、なかなかピントが合わない。

 

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 写真下の黄色い花は人の背丈ほどもあるのに、花は小さいので写真に撮りにくい。

 

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ランとソックリさん

 目的のランがありました(写真下)。しかし、ランには見えない。私はトリトマの仲間かと思いました()

 

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写真上 Disa ferruginea

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 このランは、この西ケープ州などのみに自生するランです。ランはどちらかといえば湿潤な環境を好むのかと思っていましたが、こんな乾いた土地の、さらに水分の少なそうな崖に生えているとは驚きです。

 

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 ランらしく、見ただけでは花の構造は良くわかりません。横から見ると、頭の尖った帽子のような花弁をかぶり、口を開いたように下の花弁が3枚開くようです。ランは花弁とガクで6枚の花弁があるかのように見えるはずなのに、4枚しかわからない。中のほうは見えません。簡単な方法は花を分解してみることだが()、まさかそれをするわけにもいきません。

 

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 これがランに見えないもう一つの理由が、近くに咲いている写真下の花です。同じランだと皆さんも思ったでしょう。だが、まったくの別種で、ランでさえもない。写真上のランが花が下がっているのに対して、写真下の花は上を向いている。この二つが数メートルも離れずに咲いているので、言われないと両者が別だと気がつきません。

 

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写真上 Tritoniopsis triticea

 

 

カーステンボッシュ植物園

 帰り道でカーステンボッシュ(Kirstenbosch)植物園に立ち寄りました(15:34)。六年前は短い時間でしたが、植物園を回りました。しかし、今回植物を見るのではなく、植物園付属の店に行きます。

 

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 皆さんの狙いは草花です。ここで増やされた植物が販売されています。

 

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 このまま日本に持ち帰ることができるようで、マニングさんの助言を受けながら、買っています。私が気になったのは草花よりも写真下右のワニとカバでした。ワニの目はあんなに穏やかではない()

 

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 ここでのもう一つの目玉は書籍です。ショップの一番奥に書店があり、当然ながら、南アフリカの植物に関する本がそろっています。写真下右は本ではありません。

 

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水鳥を観察する旅

 五時少し前にホテルに到着。七時から食事なので、私はまた鳥を見に行くことにしました。川に沿って歩いていくと、女性のお客さんたちと会いました。彼女たちから、一緒に来てくれないかというお誘いを受けました。オレってもてる()・・・なんて話ではなく、彼女たちが危具していたのはホームレスの人たちです。

 

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 ここは自然環境が素晴らしく、写真下左はジョギングをする人、右には犬を連れて散歩する人など、市民の憩いの場なのだが、同時にホームレスの人たちの住み処にもなっています。私は今日の朝までここを2回散歩しましたが、すでに何人かと遭遇しました。前日は河原の茂みの道をたどっていくと、ホームレスの住み処にたどり着いてしまい、あわてて引き返しました。

 

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 すでに私はこのあたりを2回歩いているし、お客さんの石狩さん(仮名)は鳥に詳しい方なので、私にとってもありがたい。私は下図のような、川の両岸を一周して、最後に白いアヤメを観るコースを提案しました。

 

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 食事前に戻らなければならないので、ちょっと忙しいが、皆さん健脚なので大丈夫でしょう。では、恒例の夢幻旅行社によるオプショナル・ツアー「ケープタウンの水鳥を観察する旅」に出発しましょう。

 

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 朝と同じように水鳥たちが集まっています。石狩さんが次々と名前を教えてくれるのだが、書き取れるはずもなく、夕飯の時、再度お聞きしました。帰国後、カラスとスズメくらいしか知らない私が写真と照合したのですから、この後にある名前や学名は信用してはいけません()

 

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写真上 アフリカクロトキ(Threskiornis aethiopicus

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写真上 ハダダトキ(Bostrychia hagedash

 

 続いてサギの仲間です。

 

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写真上 コサギ(Egretta garzetta

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写真上左 アフリカクロサギ(Egretta dimorpha) 

写真上右 ヘラサギ(Platalea leucorodia

 

 アフリカギンカモメというが、銀色というよりも私の目には灰色に見えます(写真下)

 

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写真上 アフリカギンカモメ(Chroicocephalus hartlaubii)

 

 エジプトガンは目の周囲が隈取りしてある(写真下)。古代エジプトの絵でも人間が隈取りしているので、それらしい()。ほぼアフリカ全土に分布します。

 

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写真上 エジプトガン(Alopochen aegyptiacus

 

 写真下左の頭の白いオオバンは良く見かけましたが、写真下右のくちばしの赤いバンも少しだけいます。

 

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写真上左 アフリカオオバン(Fulica cristata)

写真上右 Gallinula chloropus

 

 水辺にはいくつかの花が咲いています。葉を見るとオモダカの仲間のようです。

 

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 写真下はエキウムの仲間でしょう。原産地は欧州や北アフリカですから、これは外来種です。

 

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写真上 Echium plantagineum

 

 南側を横切る幹線道路で川を渡り、ホテルに戻る途中で、最後に昨日も見た白いアヤメある河原に案内しました。

 

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写真上 Dietes bicolor

 

 このアヤメは公園などに良く植えられているそうですから、あるいはここも誰かが植えた可能性もないとはいえません。堤防と川の間の林の下に生えています。

 咲いている時期は十月から一月までの春から夏にかけてとありますから、私たちは運良く遅れた花を見られたようです。

 

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 白いアヤメのそばにガバマダラが三匹羽を休めています。南アフリカでは沙漠以外では普通に見られる蝶です

 

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写真上の蝶 Danaus chrysippus

 

 白いアヤメを観て、ツアーは無事に予定どおりに終了しました。陽はすっかり傾いています。

 

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 昨日と同じホテルの敷地内のレストランで七時から夕飯です。

 

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(http://thewildfig.co.za)

 

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 明日はいよいよケープタウンも最後の花の観察で、ホテルから毎日見ているテーブル・マウンテンに登ります。

 

 

 

 

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