西オーストラリアのラン 6日目 2016年9月27日(火) エスペランス 五時半頃に目が覚めました。晴れています。旅行中、この日が一番晴れました。 本日は昨日と同じ東に向かい、ケープ・ル・グランド国立公園(Cape
Le Grand National Park)とケープ・アリッド国立公園(Cape
Arid National Park)を訪問し、ランを中心に花を探します。 出発は八時半なので、朝食は立ったまま適当に済ませて、私は散歩に出ました。散歩に十分な時間が取れるのはたぶん今日の朝くらいです。どの旅行記を見ても、エスペランスの海はきれいだとありましたので、海岸を少し歩いてみたい。
下の地図の朱線が散歩コースです。船着き場のある公園まで、行きは海岸を、帰りは歩道を歩きました。 海岸は整備され、ゴミもなく、汚れた雰囲気はありません。
海岸に沿って、これまでも見てきた花たちが咲いています。
写真上 Carpobrotus rossii
写真上左 Pimelea rosea 写真上右 Pelargonium littorale
写真上 Scaevola crassifolia 写真下のイグサは自然かと思ったら、一定間隔で生えていますから、植えたようです。イグサを植栽に使うとはなかなかおもしろい。
写真上 Mesomelaena stygia
海岸の一部では写真下のように大きな岩が積み上げてあります。ここに岩を運んできて防波堤にしたようで、印象は良い。日本ならコンクリートの無機質な堤防を作り、風景をぶち壊しにしてしまうでしょう。日本ももう少し景観にお金をかけるべきです。今年、日本では電柱をなくす法案がやっと成立した。オリンピックがないとこんな程度のこともできないなんて、意識が低すぎる。
日本人の美的感覚って、いつからあんなにひどくなったのでしょう。毎度思いだすのが、日本橋です。橋の上に高速道路を作り、周囲の風景が滅茶苦茶であるのを見た時、これが広重が描いた五十三次のあの風景かと本当に驚いた。「美しい日本」なんて口先だけの掛け声を言っていないで、まずはああいう愚行を何とかするべきです。
少し先の海岸では海草が打ち上げられています。
気になるのは海草の種類で、長い葉の藻が大半で、種類が少ないように見えます。ここの海がきれいなのは地中海のように栄養が少ないからでしょうか。オーストラリアの南は南極で、豊かな海のように思えます。
折り返し予定の公園(Tanker
Jetty Playground Park)に到着したので、ここで引き返すことにします。 公園は運動器具なども用意され、ジョギングや散歩する人がいます。
犬を散歩させている人も多い。犬の落とし物は自分で始末するようにという警告もあります。見た範囲ではきれいです。私の家の近くでもマナーの悪い飼い主がいる。
公園の石に、ここはHannett’s
Pointと呼ばれているという説明文があります(写真下)。昨日の公園での人物紹介もそうだが、ハネットという人物がなぜHannett’s
Pointとして名前を残すようになったのか、読んでも私の英語力では良くわからない(笑)。それよりも驚くのは、ハネットが結婚して連れてきた女性が初めての欧州の女性であり、それが1870年であるという点です。エスペランスが本格的に開拓されたのはここ百数十年なのだ。 公園の中に「Sammy
the sea lion」というアシカの像があります(写真下)。この公園の前が港になっており、そこにサミーというアシカが現れていた、ということなのか、今も現れているのかわかりません。アシカの保護のために、銅像の頭にお金を入れる穴が開いている(写真下右)。どうやってお金を取り出すのかと下を見ると台座になっている岩の下に鍵のかかっている取り出し口があります。私もアシカ君のために小銭を寄付しました。
ゴミ箱の上に太陽電池があるのは素晴らしい(写真下左)。外灯にも太陽電池が設置されています(写真下右)。
オーストラリアには原子力発電所が一基だけあります。ただし、四十年近く前に作ったが、核燃料を入れたことがありません。国民投票で稼働を中止したのです。2006年には50基の原発を作ることを当時の首相が提案したが、放射性廃棄物の捨て場がないことが理由で国民が拒絶しました。 原発がないと聞いて素晴らしい国だと思うのだが、実はオーストラリアは原発の燃料であるウランの輸出国です。世界一のウラン埋蔵量を誇る国で、日本にも輸出しています。また、2014年にはアボット首相が再び原発の提案をしています。 日本が悪い模範を示しているのに、懲りない人たちだ。あんな割高な電気をどうして使うのでしょう?原発の電気代がどれほど高くつくか、日本は痛い目にあっているのに、まだ使おうというのだから、お金持ちなんですね。
海岸に沿った通りには写真下のような建物が並んでいます。私たちが宿泊しているのと同じような、長期滞在を前提にしたモーテルです。日本にはほとんどこういう形態のモーテルがないのが残念です。日本は総じてレジャー関係の施設が貧困で混んでいて値段が高い。
ブルー・オーキッド 予定どおり八時半に出発して、一カ所目は昨日も訪れたランの多い岩山の近くです。それなら昨日見ればよいようなものだが、目的のランは陽が十分にないと咲かないらしい。晴れているのはラッキーです。
目的のランとはブルー・オーキッド、つまり青いランです(写真下)。英語名はBlue
China、青い中国陶磁器です。 写真上 Cyanicula
gemmata
今回見た青いランは、いずれも青というよりも青みがかった薄紫です。ネットで見ると、もっと青色のランもあるようです。
ボルネオで栽培品の青いランを見ましたが、ランと言われないとわからないような外見のランでした。ここのランは中心部の花弁(唇弁)をみれば、明らかにランです。
これまでも見た白いスパイダー・オーキッドです。
写真上 Caladenia longicauda 写真上の唇弁は白いのに、写真下の身辺は赤い。 さらに写真下になると周囲の花弁やガクも赤くなっています。写真上はハイブリッドでしょうか。
写真上 Caladenia arenicola 写真下右の花の右側にはクモがいます。スパイダー・オーキッドとスパイダーのツー・ショットです。
写真下は昨日見た時には葉の先が食い荒らされていたのと同じランで、ここのは食べられた跡がありません。
写真上下 Microtis media
パープル・エナメル・オーキッドの表よりも裏が私は好きになってしまい、そっちばかり撮っている(笑)。
写真上 Elythranthera brunonis 昨日、湿原でも見かけたアヤメが咲いています(写真下)。アヤメは豪華な花が多いが、こういうポツンとした印象のアヤメも良い。写真下右の後ろ姿はすっきりしていて、なかなか美しい。
写真 Patersonia lanata
イグサのような植物も何種類かあるようです。 写真上 Lepidosperma squamatum
写真上と下では同じ植物だと思って撮ったのですが、穂の付き方を見ると別種のようです。
写真上 Lepidosperma squamatum さらに写真上と下も同じだと思って撮ったのだが、葉の形が違いますから、これも別種です。 ケープ・ル・グランド国立公園 車は南下して、海の近くのケープ・ル・グランド国立公園(Cape
Le Grand National Park)に入りました。ここは入場料がかかります。人数や車一台で払うなどいくつか選択肢があり、私たちは人数が多いので、車一台分で12ドルを払いました(写真下左)。
https://parks.dpaw.wa.gov.au/park/cape-le-grand 写真上左のチケットにある山の周囲で花を探します。
写真下の花が一番多く、車で走った道路脇にもたくさん生えていました。真っ白に見えますが、実際は花の先が青っぽい色をしています。
写真上 Conospermum distichum 樹木の花が多いが、草花もあります。
写真上 Goodenia paniculata
写真上 Dampiera linearis ここも道の両側の樹木は花盛りです。
写真上 Dryandra sessilis 写真下も西オーストラリアの中の、さらにこのあたりの南側の海岸近くに生えている植物です。
写真上 Anthocercis viscosa 写真下を見た時はピンク色のバラの花かと期待してしまった。そういえば、これだけ樹木の花があるのにバラは見かけていません。
写真上 Leptospermum sericeum こういった背の高くない樹木が生えた場所でよく見かけるのが写真下のような葉が細いか小さく、白や黄色い花を咲かせる植物です。
写真上 Hakea preisii
写真下もこれまで何度か岩場で見かけました。松の葉のように葉は細い。逆に、日本の松も元々は乾燥した地域に生えていたのだろうか?
写真上下 Borya constricta こういう乾燥した岩場には樹木化した植物が多いような気がします。
写真上左 Lysinema ciliatum 写真上右 Bossiaea pulchella
写真上左 Leschenaultia formosa 写真上右 Kennedia coccinea バード・オーキッド ここに来た目的もランです。樹木だらけの足元にランが生えています。
写真上 Thelymitra flexuosa 写真下はLemon–scented
Sun orchidともいい、そのままならレモンの香りのするランということになるが、良くわかりませんでした。
写真上 Thelymitra antennifera ここで探していたのがヤブの下のヒゲの生えたバード・オーキッド(Bearded
Bird Orchid)です。写真下のボールペンと比べてもわかるように、背が低く、緑色なので「そこにある」と教えられても、見つけるのに苦労します。
写真上下 Pterostylis turfosa 鳥と似ているとわかるのが写真下です。細い嘴を上げて二本足で歩く鳥を横から見たような姿に見えます。嘴が長いハチドリを連想して付けられた名前のようです。
写真上 Pterostylis turfosa 姿はとにかく奇妙です。手前に出ている稲穂のようなのがたぶん雄しべと雌しべなのでしょう。半透明の袋のようになっているのは温室のようになっていて、この中に虫に誘い込もうということでしょうか。だが、先が尖っているのはどういう意味があるのだろう??
ネットで調べてみたのだが、花の構造も意味もわかりません。人間が見つけるのも苦労するような緑色は虫から見てもわかりにくいと思うのだが、特定の虫にとって意味があるのかもしれません。ランはその花の構造のように奥深い。
ついにダニの写真を撮った! ダニだ!!私のズボンの上を八本足のかなり大きなダニが忙しくはっています(写真下左)。他のお客さんからすぐに捨てるように言われましたが、ブルガリアで撮り損ねたので、私は断固拒絶して、写真を撮りました(笑)。右隣の写真は毛虫君で、こちらは触らないかぎり無害です。
ダニと毛虫を見た後で、きれいな浜辺の見える休息所で昼食です(11:39)。昨日と風景が似ていますが、もちろん別な湾です。このあたりはこういう海岸が次々とあります。
こういった海岸に沿ったハイキング道路「Le
grand coastal trail」が作られています(写真下左)。釣り客もいるらしく、岩場での釣りは危険だから、ロープなど安全策を講じるようにという警告の看板です(写真下右)。日本なら単純に禁止なるところを、ロープをくくりつけるアンカーの位置やロープの縛り方まで丁寧に掲示してあります。
食後、ウィスパー・ロック(Whisper
rock)という観光地まで移動(12:13)。写真下がウィスパー・ロックで、岩がパラボラ・アンテナのように内側に湾曲しているので、波の音が反射して岩のほうから聞こえます。
ウィスパー・ロックの近くで老人のグループがきれいな海を眺めながら食事を取っています(写真下)。 私を含めたお客さんたちの年齢も彼らとさして変わりません。違いは、彼らはのんびりと自然を楽しみ、日本人は忙しく歩きまわり花を探している。
周囲のヤブにはなにかしら花が咲いています。写真下右は通称yellow
buttercupsです。Buttercupsはキンポウゲのことだが、どう見ても似ていない。
写真上右 Hibbertia hypericoides 写真下の黄色い花の周囲に蔓がありますが、この黄色い花のものではありません。昨日も湿原で群生しているのを見かけました。 写真上下 Velleia trinervis
ブルー・サン・オーキッド ここを後にして、さらに東にある次の国立公園に行きます。
ブラウンさんが道端にランを見つけて急停車。舗装されていない道を80km/hくらいで走る車の中から、道に咲いている花を見分けるのはかなり難しい。昨日も湿原で見かけた薄紫のブルー・サン・オーキッドです。 写真上下 Thelymitra macrophylla
ここでの私のお気に入りは写真下の一株です。普通の人は写真上のすっきりした感じの花を好むでしょうが、私は写真下のような色が薄紫でボーッと寝ぼけたような感じが良い。ちょうど陽が射して来たので、私は他のお客さんたちが車に入った後もしつこく撮っていました。
道の両側には川が良く見られます。ただ、流れている雰囲気はありません。
写真下左で良くわかるように、水は腐った植物から溶け出したタンニンで黒っぽい茶色です。これで魚などの生き物はいるのだろうか。
二つ目の国立公園 今回の旅行で一番東にあるケープ・アリッド国立公園(Cape
Arid National Park)に到着(14:04)。
道の両側には様々な花が咲いており、一番目に目立ったのが赤いブラシのような花です。 写真上 Melaleuca elliptica
ブラシの先から新しい茎と葉が出ています。枝の周囲に花が咲き、その先から新しい枝と葉をのばしていくらしい。
こちらは黄色いブラシです。
写真上 Hakea preisii ここまでの赤、黄色、ピンクを見ても、色は違うがみんな似たような花です。写真下は背が低く、草花かと思ったくらいです。ここのがたまたま背の低いのか、わかりません。
写真上 Isopogon
dubius 写真下は写真上よりも樹木の背は少し高いが花は小ぶりです。花では区別がつきにくいが、写真上の葉は途中から分岐しているのに、写真下はまっすぐです。
写真上 Melaleuca
rigidifolia 一つの枝に赤、ピンク、白の花が咲いている(写真下)。虫に好きなのを選んでくれということでしょうか。エスペランスではWaxflowersと呼ばれているそうです。
写真上 Chamelaucium megalopetalum 写真下は前に見たのは紫一色だったのに、ここのは白から紫までと中間色もあります。写真上といい、同じ枝に別な色の花が咲くというのはおもしろい。
写真上下 Calectasia cyanea
午前中にも写真下左と似たようなマメの仲間を見ましたが、別種です。とにかくマメは種類が多い。
写真上左 Daviesia incrassate 写真上右 Mirbelia floribunda どこにでもあるアカシアです(写真下)。
写真上 Acadia ligulata ここでも森に白い花が咲いて煙みたいです。たぶん昨日、湿原に生えていたのと同じ樹木です。
写真上 Calytrix
leschenaultia 地面にも少し草花が咲いています。レーベンズソープでも見かけた花です。
写真上 Synaphea petiolaris 写真上 Dampiera linearis 写真下のように、広い砂礫の中にポツンと咲いている姿はなかなか美しい。だが、残念ながら、すでに何度もお目にかかっている南アフリカからの外来種のケープ・ウィード(Cape
weed)です。 写真上 Arctotheca calendula ラビット・オーキッド もちろん、ブラウンさんがここに連れてきた理由は樹木の花ではなくランです。最初は、クモのラン、スパイダー・オーキッドです。
写真下 Caladenia decora こちらは同じスパイダー・オーキッドでもGreen
Spider Orchidです。
写真上 Caladenia falcate 長い耳を立てたウサギのラン(Rabbit
Orchid)です。残念ながら、一本しか見つかりませんでした。
写真上 Leptoceras menziesii ウサギに続いて写真下はカタツムリのラン(Snail
Orchid)です。こちらのヤブの下に何株かありますが、被写体になるようなのは少ない。
写真上 Pterostylis scitula ウサギ、カタツムリに続いてロバです。ここのはこれまでのロバさんとはずいぶん顔つきが違いPansy
Orchidの仲間のようです。 写真上下 Diuris magnifica
写真下のランは今回初めて見るランで、しかも、一本しかありません。陽があたると同じ花なのに微妙に表情が違ってきます。通称はcustard
orchidで、もちろん西オーストラリアの固有種です。
写真上 Thelymitra villosa 写真下のランは、ピンク色ならPink
candy orchidで、白色ならSugar
Candy Orchidです。しかし、写真下はピンクでも白でもなく、薄ピンクです。
写真上 Caladenia hirta ブラウンさんによれば、今日、ここまでで52種類のランを観たそうです。 天気が・・・ エスペランスに戻るため西に向かって走ります(15:49)。
進むにつれて、空が変です(写真下、16:44)。先ほどまで青空も見えていたのに消えてしまい、西日は射しているのに、空には雲が垂れ込めている。西のほうから天気が下り坂のようです。
五時半頃にエスペランスのモーテルに戻りました。六時から食事なので、散歩はなしです。 夕飯は昨日とは違う店でステーキです(写真下)。店の名前はLoose
Gooseというのだから、ノンビリしたアヒルくらいの意味でしょうか。それにしては顔が神経質だ(写真下右)。店はそれなりに混んでいて、店員はノンビリしていられない。 (http://loosegooseesperance.com.au)
食事はものすごいボリュームです(写真下)。今回のツアーでは二度目のステーキで、こんな分厚いステーキは何年ぶりだろう。味はいかにもオージービーフらしく、見た目もよりもあっさりしています。量が多いこともあり、普段、肉を食べなれていない私は途中で諦めました。ウシ君、ごめん。
私たちが座った座席は厨房に面していて、客席から調理場がそのままのぞけるようになっています。写真下左のように、店員が客からの注文を紙に書き付け、これを見て料理人が作り、終了すると紙を上にくっつける。
八時前にはモーテルに戻りました。明日はここを出発するので、三日間広げたままだった荷物を片付けます。予報では天気は悪くなって行くようです。明日一日だけなので、なんとか持ってほしい。 |