トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 カナリア諸島の花 4日目 2015年6月04日(木) ラ・ゴメラ島のピクニック ラ・ゴメラへ 夕べは疲れていたので十時くらいに寝たせいか、四時半に起きてしまいました。日本時間なら昼の12時半ですから、目が覚めるのも当然です。時差ボケです。もちろん、周囲は真っ暗。部屋の温度は25度程度で暑くも寒くもありません。 本日は船で隣のラ・ゴメラ島に行き、そこでハイキングをした後、夜の便でラ・パルマ島に行きます。 出発が早いのでホテル側に頼んで朝食を六時半からにしてもらいました。メニューはあまり変わりない。 部屋に戻り、準備をしていると七時半頃、ようやく東の空が明るくなってきました(写真下)。 ホテルを8:18に出発。テネリフェ島には6月8日に戻ってきますが、このホテルはこれでさようならです。AGUAMARINA GOLFのホテルの名前にも使われている周囲のゴルフ場が写真下です。 シュロがおもしろい。枯れた葉を取ってやらないと衣をまとってしまうのですね(写真下左)。そういえば、私の住んでいる周囲にあるシュロも枯れた葉を取らないと似たような姿になります。道路脇のシュロはきれいに散髪してすっきりしている(写真下右)。 道路脇の木立の中にキリスト教の祠があります(写真下左)。足を出していますから、男性の聖人のようです。スペインはカトリックの信仰があるから、てっきりこういう祠や教会が街のいたるところにあるのではないかと予想していたのですが、今回行った三つの島の範囲でいうなら、意外に少ない。これは目についた数少ない一つです。 右にテイデ山の山並みを見ながら、車は朝の自動車道を西に走ります(写真下)。 三十分ほどで港のあるロス・クリスティアーノス(Los Christianos)の街に入りました(写真下)。リゾートらしいおしゃれな建物が並んでいます。 ここは物価も安く、安いホテルもあるのでヨーロッパからの若者が長期滞在に訪れるそうです。 日本の温泉街などにぜひ考えてほしいのが、街並み、景観です。世界遺産になった富士山の商業施設の景観が問題になった時、当事者の店側の人たちが「許可してから後で文句を言われてもねえ」と言っていました。世界遺産になっている地域をもっと見学して、あのような建物では景観に苦情が出るのが当たり前だということを理解したほうが良い。日本人は景観に対する意識が低すぎる。 港に到着です(7:56)。 荷物を預けて、展望台で待っていると、我々が乗る船Fred Olsen号が入港してきました(写真下)。 ご覧のように大きな客船ですが、意外に小回りがききます(写真下左)。子供たちはハイキングでしょうか(写真下右)。 写真下の一般の客室を通り過ぎ、一番上の船室に上っていきます(写真下)。 写真下の最上階の船室が我々の席です。座席の色が違うだけで写真上とあまり変わりないように見えます。いえいえ、ここからが違うのです。 船室についているカウンター(バール)での飲み食いはすべて無料です(写真下)。客は我々以外はほとんどおらず、占有状態です。 朝食を食べた後なのに、無料と聞いて急に食欲が出てきました(笑)。紅茶でアップルパイを楽しもうかと思いましたが、オバサンたちの迫力に負けてグズグズしているうちに品切れで、カナリア諸島のアップルパイを食い損ねました。 食うことばかりに気をとられている内に、船は港を離れました(8:51)。ロス・クリスティアーノスの街とテイデ山がまるで墨絵みたいです。朝のせいか、右奥のテイデ山も頂上付近は雲がかかっています。 食い気はあとにして、後ろのデッキに出て、遠ざかる風景を観ていました。風が強いが、気持ちが良い。 テネリフェはしだいに遠ざかっていきます。カナリア諸島の墨絵はなかなかなものです。 ラ・ゴメラ到着 九時半頃、前方にラ・ゴメラの港が見えてきました(写真下左)。島の上だけが雲がかかって、街のある手前には雲がありません。これを横から見たのが、昨日のテイデ山から見たらラ・ゴメラです(写真下右)。島の北側が雲があるのに、南側はありません。我々は島の南側の海から島を見ています。雲は高さ千メートルほどで、水分をもたらし、逆にそれよりも低い地域には水が極端に少ない。 ラ・ゴメラ島の港町サンセバチャン・デ・ラ・ゴメラ(San Sebastián de la
Gomera)に到着(9:51)。 島は直径22kmのほぼ円形で、他の島と同様に、火山の噴火によって作られた島です。2011年にはカナリア諸島の一つエル・イエロ島で海底火山の噴火がありました。 島内の道路が狭いのでバスは小型です。我々は客が10人だから良いが、前後のツアーは満席の15人だから、乗るのも大変だったでしょう。私はいつものように一番後ろの座席に乗りました。しかし、スーツケースを乗せるために座席を前に詰めたので、座席は狭すぎて入れず、真ん中に座りました(写真下)。窓が狭いので写真は撮りにくい。 これからの予定は、今いるサン・セバスチャン・デ・ラ・ゴメラから、島の中央部にあるガラホナイ国立公園(Parque Nacional de
Garajonay)に行き、そこからエル・セドロまでハイキングします。その後、バスでビジター・センターを訪れ、島の自然を見ながら、サン・セバスチャン・デ・ラ・ゴメラに戻ります。 港から谷に沿って斜面を上っていきます。 周囲は乾いた感じで、植物は生えているが、緑が豊かとは言えません。高度を上げるにつれ、この後風景は劇的に変わりますので、この風景を覚えておいてください。写真下左などは段々畑になっていますが、生えているのは作物ではなく、雑草です。 少々見えにくいが、写真下は白い樹木です。カナリア諸島の固有種で表面を白い膜で覆われています。樹液には毒があり、これを水に垂らして魚が毒で浮き上がってくるのを獲ったそうです。 写真上 Tabaiba
amarga 遠くにテネリフェ島とテイデ山が見えます(写真下)。朝と違い、テイデ山にはもう雲がかかっていません。昨日はあそこからこっちを見ていた。雲は標高千メートルほどを平らに広がり流れていきます。 高度を上げるにつれ、ポツリポツリと緑が増え始めました。 ロケ・アガンド 大きな岩の見える展望台で小休憩です(10:37)。この岩山のことをロケ・アガンド、正式にはRoque de Agando と呼ばれ、一番高い所で1251mといいますから、ここ自体がかなりの標高です。この近辺はこのような溶岩でできた岩山があり、ロス・ロケス(Los Roques)と呼ばれています 岩山は岩山にしか見えない私は、周囲に花を探しました。 写真上 Bituminaria
(Psoralea) bituminosa (LA PALMA LANDSCAPES AND WILD FLOWERS) 写真上 Cistus
monspeliensis (Native Flora of the Canary Islands, p.142) この岩はマグマによってできたというのですが、どうやったらこんな岩山になるのでしょう。 このあたりの衛星写真が下です。ちょうど道路を境に南北で色が違う。南側は岩場で緑が少ないのに、北側は森林におおわれているのがわかります。港でも見た雲の境界がこのあたりで、我々のハイキングのスタート地点は森林の中にあります。 霧の森 ハイキングのスタート地点に到着(10:48)。車を降りてびっくり。さきほどの晴天の展望台からわずか数キロしか離れていないのに、ここは霧に霞んでいます(写真下)。つまり、港で見た雲の中に入ったのです。 道は最初のうちは自動車も通れるような舗装道路です。 ハイキングは下の地図のように、スタート地点からエル・セドロ(El Cedoro)への舗装道路を下りて行き(写真上)、その後、道を外れて山道を森の中の教会に向かいします。その後、川に沿って下流のエル・セドロを目指します。地図が南側と北側で色違いなのは、南側の緑色に染められた部分までがカラボナイ国立公園(Parque Nacional de
Garajonay)であることを意味します。 湿気のある森らしく、下草はシダが目につきます。樹木の幹や枝にはコケが生えて、写真下左のようにサルオガセもありますから、ここが空気と水がきれいであることを示しています。陽当たりが悪いので樹木は一般的には寿命が短い。 樹木にはどこもここもコケが生え、霧からの滴が付いています。これがここの水源で、ここでは「雨が水平に降る」。 ソソ 霧が晴れてもあまり陽がささないような環境なので、花は多くはありませんが、そちらこちらに咲いています。 例によって、私は花の写真ばかり撮っているので、グループからどんどん遅れて、間もなく皆さんの姿は霧の彼方に消えてしまいました。 写真上 Convolvulus
lopezsocasi (Native Flora of the Canary Islands, p.90) 写真上 Hypericum canariense (Native Flora of the Canary Islands, p.95) 写真上 Ixanthus viscosus (FLORA CANARIA) 写真下の黄色い花は道の土手にたくさん咲いています。天気が良くても山の斜面に沿った道は陽当たりが悪く、そのさらに土手ですから、むしろ日陰を好む植物なのでしょう。 写真上 Auchrysum
laxum (The flora of the Canaries, p.54) 写真下は、カナリア諸島の固有種です。図鑑で調べるとハーブにもなるようです。しかし、この時は知らなかったので、特に匂いには気が付きませんでした。 写真上 Geranium robertianum (La Gomera Landscapes, Flora and Fauna,
No.549) 山道に入る カーブの所で私たちを乗せてきた車を含めて、何台か車が停まっています(写真下左)。ここはハイキングの山道が交わるところで、私たちはここで舗装道路から外れ、山道を行きます。行先はErmita de Lourdes(ルルドのチャペル)という教会のある川のそばです(写真下右)。距離の標記が0.9ではなく0,9なのがおもしろい。0.9km ではなく、三桁目を表して0,900mという意味かと推測しましたが、他の看板にはしっかり0,5kmといった表示がありました。 これまでは車の通れる舗装道だったのが山道になり、ようやくハイキングらしくなりました。 森の中は相変わらず霧に包まれていて、コケが樹木にぶら下がっていて、湿気の強さがわかります。 最初見た時は、ちょっと気味が悪かったのが写真下のキノコです・・・たぶんサルノコシカケのようなキノコでしょう。そばに寄ってみても、枝のような物が複雑にからんでいて、何がどうなっているのか、よくわからない。森の中では良く見かけたのに、私の持っている図鑑には載っていませんでした。ネットで調べるとLaurobasidium lauriという名前が出ています。 写真上 Laurobasidium
lauri 地面に落ちている赤い葉は月桂樹の葉だという。 森の中の教会 「ルルドのチャペル(Ermita de Lourdes)という名前のかわいらしい教会に到着(12:20)。教会は鍵がかかっていて、中はわかりません。ルルドはスペインとフランスの国境近くにあり、百五十年ほど前に、聖母マリアが現れたことで有名です。マリア様もお忙しい。 プレートには1964という数字がありますから、この年に建てられたのでしょう。朝も書きましたが、スペインにしては宗教施設などが少なく、私は好感を持っていました。こういう森の中のチャペルは、日本の寺社仏閣に比べておしゃれなのだが、ここは谷なので薄暗く湿気があるので、どこか陰気臭い。建てるなら、おしゃれな東屋風の休憩所が良かった。 人々が餌を与えるせいか、鳥はそれほど人を恐れません。スズメよりも一回り大きいくらいです。 下の看板の地図の黒い線は我々が来た経路をそのまま表しています。右上の駐車場(P)から左下の現在地点のチャペルまで来ました。ここは山道の合流地点にもなっていて、この後、ここからこの地図の上で黄色で示されたエル・セドラに向かいます。 川の右側の斜面を北に向かって進みます。川といっても、雨が降らないせいか、水の流れはほんのわずかです。川ではなく、霧(雲)のもたらす湿気でこの森が成り立っているのがわかります。 川のそばなのでシダ類が多く、しかも大きい。 忘れな草が咲いています(写真下)。それにしても、良い名前をつけてもらいましたね。同じように、青くきれいな青い花なのにオオイヌフグリなどひどい名前です。 写真上 Myosotis latifolia (La Gomera Landscapes, Flora and Fauna,
No.645) 人家の近くは花だらけ 山道のそばに人家が見えてきました(12:41)。エル・セドロが近づき、このあたりでカラボナイ国立公園が終わっていることを意味します。 ポツンポツンと人家があるのだが、廃墟になっている家もあります。 人家の近くらしくゼラニウムが咲いています。ピンク色でなかなかきれいです。 このエンドウは野生種なのだろうか、それとも人家の近くだから、栽培種でしょうか。 写真上 Lathyrus
tingitanus (La Gomera Landscapes, Flora and Fauna) 樹木がない所にシダの群落があります。見た目はワラビに似ていますが、ずっと大きい。 写真下もエキウムの仲間です。テイデ山で見たエキウムとは見た目が全然違う。 写真上 Echium plantagineum (La Gomera Landscapes, Flora and Fauna,
No.686) 写真下はマンテマの仲間と思われますが、花が終わりかけています。 写真上 Silene
vulgaris (La Gomera Landscapes, Flora and Fauna,
No.) 民家のそばの空き地に一面にアザミが咲いています。これも樹木を切り倒して陽がさしたから、できたお花畑です。あまりに見事なので、しばらく見惚れていたいのだが、皆さんお腹が空いてきたのか、先を急いでいる。 写真上 Galactites tomentosa (LA PALMA LANDSCAPES AND WILD FLOWERS,
No.580) 写真下は黄色い花と白い葉が印象的な花です。ところが、いくら図鑑をめくっても該当する花が見つからない。 写真下は日本でもよく栽培され、私が前に住んでいた所にもありました。蔓状に茎がのびていきます。ただしこれは野生と思われます。 写真上 Vinca major (The flora of the Canaries, p.38) 写真上 Pericallis
echinata (The flora of the Canaries, p.37) エル・セドロの村の中に入ると、陽当たりが良いせいでしょうか、いろいろな花が咲いています。撮影に忙しく、私はいよいよ遅れる。霧があるので、前の人の姿が見えません。 写真上左 Oxalis
Prs-caprae (The flora of the Canaries) 写真上右 Papaver
dubium 写真上 Fumaria
coccinea (La Gomera Landscapes, Flora and Fauna,) 写真上 Argyranthemun
adauctum (Native Flora of the Canary Islands, p.140) 写真下のキンレンカ(金蓮花)は南米原産で世界中に広がっているようです。食べられるそうです。 写真上 Tropaeolum
majus (The flora of the Canaries, p.60) 写真下左と中は、崖の上から垂れ下がるように花が咲いていて、なかなかきれいです。 写真上 Bituminaria
(Psoralea) bituminosa (LA PALMA LANDSCAPES AND WILD FLOWERS) 道端に見事な黄色い花が咲いています。イメージは、花はタンポポ、葉はアザミ、全体は道端に生えるメマツヨイグサという雰囲気です。強い印象を与える花なので、簡単に図鑑から探せるだろうと思ったら、ありません。今回の旅行で見たのもここだけです。 下の看板によれば、先ほどの教会から1.3km来て、エル・セドロまであと0.5kmです。と言っても、だいぶん前から家が点在しており、すでに集落の中に入っています。 道路に沿って門があり、石のプレートにはネットのアドレスも書いてあります。後で調べると、Casa rural los patosという三室しかない小さなホテルです。こういう静かな所で一週間くらい山歩きをしながら滞在したら、楽しいでしょうね。 まるで石垣に飾ったみたいですが、もちろん自然に生えたのでしょう。 Auchrysum laxum (The flora of the Canaries, p.54) 写真上 Eruca vesicaria (La Gomera Landscapes, Flora and Fauna,
No.509) 写真上 Descurainia bourgeauana (The flora of the Canaries, p.50) レストランに到着 エル・セドラの北にあるレストランに行くのだが、霧が深くて、どこにあるのかわからない。 晴れていれば、きっときれいな村です。 私が最後にレストラン「キャンピング(Camping)」に到着してピクニックは終了です(13:16)。 建物の外にも席があり、晴れていればここからは村の眺めも良く、気持ちがよいのでしょうが、ここの普通の天気である霧が深くて何も見えません。 店は崖の上にあり、斜面に沿って草花が植えられて、花盛りです。 ゼラニウムがお花畑状態になっていますから、土地や気候などが合うのでしょう。ピンク色がきれいですね。 キング・プロテアです。南アフリカの国花で、環境が合っているのか、見事に咲いています。 写真上 Protea
cynaroides
(King protea) 窓側で食事です。本当は展望が良いのでしょうが、今日は霧しか見えません。 天井には金属製の大きなトンボ(蚊じゃないよなあ)やバッタが飛んでいてなかなか楽しい(写真下)。 今回のツアーでは食事の飲み物は会社持ちだというので、毎回注文したのが、写真下左のアップル・タイザー(Appletiser)です。簡単に言えば、リンゴから作ったサイダーです。メニューに必ずこれが出てくるので、カナリア諸島特産かと思ったら、南アフリカ産です。果汁100%で適度な酸味があり、砂糖や甘味料がゼロというのに十分な甘さがあります。サイダーの好きな私は今回の旅行では毎回これを飲み、帰国後、調べると近くの店でも売っていました(笑)。 食事はスープから始まり、野菜、ジャガイモ、肉と続きます。 変わった食べ物としては写真下左がウサギ、右がヤギの肉だそうです。私は両者とは知り合いなので、食べませんでした。 食事を終えて店を出たのが14:24。ここから車でピクニックのスタート地点に戻り、そこからビジター・センターに行きます。 カラボナイ国立公園のビジター・センター ラグナ・グランテ自動車道を順調に走り、15:10にビジター・センター(Centro de visitantes de
Juego de Bolas)に到着。観光客はあまりいません。 ここで大いに期待したのが、草花の名前です。ラ・ゴメラの植物が植えられているという。草花の名前を調べるのは一苦労ですから、名前がわかれば助かります。しかし、あることはあるのですが、花が咲いていない植物など名札だけなのでわかりません。花の写真も一緒に掲示してもらえると助かるのだが、ごらんのようにない。少し撮って、あきらめました。 ここは敷地内にいくつか建物があり、ラ・ゴメラの風物や歴史を展示しています(写真下右)。写真下左のカカシも展示物の一つかもしれません(笑)。 展示物もあまりおもしろくないので、私は売店の横から展望台に登ってみました。売店の横に階段があるので、上ってみたら、展望台まで続いていたというわけです。 案内板によれば霧がなければ眺めが良いらしいが、ごらんのように建物と近くの山以外は何も見えない。天気が悪いというよりもこれが普通の天気です。 このセンターで私が興味を持てたのは売店の近くにいたネコくらいです(笑)。特に変わったネコには見えません。 犬もいます。カナリア諸島のカナリアとは元々は犬という意味だと前にもご紹介しました。その犬に初めて会いました。犬や猫で島の固有種っていないのだろうか。今回の旅行ではあまり犬には会いませんでした。 海岸の街アグロ 猫と犬の写真を撮り終えて(15:50)、車を北に走らせて、アグロ(Agulo)という港町に出ました(16:04)。トンネルから出たところが展望台になっていて、街のきれいな風景が見られます。晴れていれば空の青ときれいなコントラストが出るのでしょう。 他人の家をのぞくようで悪いのだが、上から見ているので嫌でも見えてしまう。屋上に洗濯物が干してあり、写真左では頭の禿げた旦那さんと奥さんが何か食べながら、二人で午後のひと時を過ごしているのでしょう。彼らと我々では流れている時間の速さが違う。 斜面には段々畑があり、バナナ(写真下左)やブドウ(写真下右)が植えられています。 海側の風景もきれいだが、後ろの山側の崖の風景もすごい。 崖は一見むき出しの岩だけのようだが、良く見ると、しがみつくように植物が生えています。 いずれも昨日のテネリフェのホテルの周囲と似て、乾燥に強そうな植物ばかりで、さきほどの湿った森林地帯とはかなり様相が違います。日本も山の上と海岸では生えている植物に違いはあるが、カナリア諸島の場合、雨の量が少ないので、それが極端に違います。 アグロから道路は再び海から離れ、山を登ります。 山の上のほうは、当然ですが、雲に覆われています(写真上と写真下左)。ところが、南に下がり、トンネルを出たとたん、雲が切れて青空が見え始めました(写真下右)。 トンネルを抜けた所にある旧道を利用した展望台で休憩です(16:42)。 後ろを振り返ると、さきほどまで頭の上にあった雲が見えます(写真下)。港からも見えたあの雲です。 先ほどまでの曇天と違い、晴れて気持ちが良い。雲がない分、山の上のほうには樹木がなく、ダムから流れている川に沿った谷に緑が見えます。写真下のダムはこれから戻る港町サンセバチャン・デ・ラ・ゴメラのたぶん給水源です。 これだけ山の多い地方で連絡方法と発達したのが指笛です。スイスのヨーデルも連絡手段だったそうです。ちょうど運転手のマニュエルさんが指笛ができるというので、この谷で実演してもらうことにしました。 モールス信号のようなものかと思ったら、サライさんの耳にはスペイン語として聞こえるといいますから、言葉をそのまま音にしたようです。電話などの発達で一度すたれたが、伝統として小学校でも教えています。 私はここでシャボテンの花を撮りました。テネリフェ島でもたくさん見かけたが、なかなか写真を撮るチャンスがありませんでした。シャボテンはメキシコ原産ですから、人間が持ち込んだ物です。 旧道のそばに人の背の丈をはるかに上回るシャボテンがあり、花だけでなく実を付けています。 写真上 Opuntia ficus-barbarica (The flowers of the Canaries, p.62) 客の一人が実に触ろうとするとサライさんが激しく「ノー」と言います。なんでも細かいトゲがあり、とんでもない目に遭うらしい・・・遅い。私は花を撮ろうとしてすでに触った(笑)。幸い、私は手袋をして触っていたので、手袋を捨てることで被害は最小限で済みました。 下の植物は、他にEuphorbia
obtusifoliaの可能性もあります。図鑑やネットで見ても、区別がつかない。 写真上 Euphorbia regis-jubae (Native Flora of the Canary Islands, p.68) もう一つ撮りたいのがリュウゼツランです。島のあちこちに生えているが、珍しくないだけに、なかなか撮るチャンスがない。ここは斜面一面に生えています。この展望台近辺の衛星写真にもしっかりと写っているほどです。 電柱のような茎の先に花が付いています。残念ながら急斜面でとても近づけない。 ここから道は下る一方で、やがて朝出発したサン・セバスチャン・デ・ラ・ゴメラの街が見えてきて、間もなく、街に到着しました(17:14)。 ゴメラ観光 これから乗る船は夜八時頃に出航予定なので、約三時間ほどあり、小さな街を散策するには十分な時間です。 観光客が喜びそうな通りが数百メートルくらい続いています。小奇麗でオシャレです。観光客らしい人たちもいますが、御覧のように人通りはあまり多くない。 コロンブスが最後に寄港したのがこの島だといいます。滞在したという家に行きました(写真下)。理由はわからないが、開いていません。皆さん残念そうでしたが、私はあまり興味がないので通過。 街の中の教会を二カ所案内されました(写真下)。写真下左は1535年に作られたErmita de San
Sebastián (San Sebastián de la Gomera)で、小さな教会です。 写真下右は通りの真ん中にあり、前は広場になっているので、いかにも中心にある教会という感じです。正確な名前が良くわかりません。英語ではChurch of the Assumpion、The Church of Our Lady of
Assumptionとあり、スペイン語のwikipediaではIglesia Matriz de la
Asunciónと表題が付いているのに、写真の説明ではParroquia Matriz de Nuestra
Señora de la Asunciónとあります。とにかくマリアを祭った教会らしい。 写真上右は教会の中が写真下です。教会にありがちな仰々しさや威圧感がなく、庶民が来るような教会です。二つの教会ともに人がほとんどいないのが好感が持てました。 写真下左のコロニアル風の建物が市役所だという。私の住んでいる地域の市役所の本庁はまだ新しく、でかい建物だが、ここと比べると貧弱で貧相に見えます。 コロンブスや教会などの有名な建物よりも、街の通りのほうがはるかに興味深くおもしろい。 建物の壁にはトカゲが張り付いている。 ここのポストは黄色です(写真下左)。建物に突き出た木造の黒いバルコニーがついているのがカナリア諸島らしい。 通りのお土産屋に入りました。内側の壁の模様が面白い(写真下右)。漆喰で全体を塗り固めるのではなく、岩の部分だけを残して模様にしています。カナリア諸島では建物の外壁にこの手法が良く使われています。 エキウムの蜂蜜がないかと探したのですが、ありません(写真下)。私は無料だという街の地図だけいただいて、何も買わずに出ました(笑)。無料の地図は私が第一発見者で(!)、こういうのを見つけるのは早い。 港の近くにある公園に一時間後の七時に集合ということで、いったん解散です(17:56)。狭い街ですし、主な観光場所はすでに案内してもらったので、私は先ほど気になっていた斜面の一般住宅街を散歩してみることにしました(写真下)。 写真上の風景がラ・ゴメラの観光の売り物の一つです。少し離れてこの斜面の建物を写すときれいに写るのだが、へそ曲がりの私は当然、それとは逆に斜面の建物を見に行くことにしました。 教会の脇から坂道があり、住宅地のほうに続いています(写真下)。 建物は斜面に建てられているので、たいてい二階階から高い建物になると五階くらいあります。 たとえば写真下のピング色の建物は、一階が駐車場で、その上にさらに4階までの建物があります。おそらく、最上階は上の道路に面しているのでしょう。 写真下などが典型で、五階建ての一番上が上の道路に面しています。だから、一番上が駐車場になっている家もあります。 ネコが日陰で休んでいます。湿度は低いが、日差しが強く、暑くて私も木陰で一休みしたいくらいだが、先を急ぐので、ラ・ゴメラのネコさんとはバイバイです。 「La Hila」というアパートだと書いてあります(写真下)。こんなおしゃれなアパートならオレも住んでみたいと、安普請のアパートに暮らす私は思いました。 下の衛星写真で、「解散」の所から歩き始めて、教会の裏手にある道を上っているところです。 坂を上った所に展望台があり、街が一望できます。上の衛星写真や地図などで見ると、展望台と港はすぐそばですが、実際にはご覧のような崖ですから、直接行くことはできません。 上から見ても小さな街なのがわかります。白い四角いビルがこの街の景色には邪魔だ。 平らな所がすくないので、斜面に住宅地が這い上がるように作られているのがわかります。 住宅街だということもあり、人はほとんど歩いていません。 写真下右など明り取りのためのガラス窓でしょう。部屋から見るとどうなっているのだろう。なんともモダンなデザインです。 斜面の所々に空き地があります。写真ではちょっとわかりにくいが、この急斜面に建物を建てるのは相当に大変です。登山靴をはいて登る必要がある(笑)。 空き地があるおかげで、元々がこんな状態だったと知るのに良いだけでなく、植物の様子もわかります。ここでもリュウゼツランが良く目立ちます。 このまま北に進めば、大通りと交わるのだが、東の斜面に空き地が増えて建物がなくなり、時間もないので、途中から下りることにしました(写真下左)。 ここは集合住宅らしく、斜面に沿って両側に同じような作りの長屋が続いています。 さきほど観光をしたレアル通りの北側に戻ってきました。数百メートル先の観光の中心部と違い、ここには古い建物もたくさん見られます。 先ほどと同じ所を歩いているのだが、日が陰り始めてせいか、ちょっと雰囲気が違います。 集合場所の公園は巨木が生い茂っています。写真だとわかりにくいが、巨木です。その下に喫茶店もあり、人々の憩いの場になっています。 木陰はネコにも憩いの場です。飼い主なのか地元の人が、彼はベンという名前だと教えてくれました。 ベン君に別れを告げて、港の船着場まで歩きます。海はきれいで、良くみるとたくさん魚が泳いでいる!素人でも網があれば簡単に獲れそうです。私は、今晩のオカズが泳いでいる、と独り言を言いました。 同じ船だ 遅れているという船が入港して来て乗船です(20:04)。あら?これ朝乗ったのと同じ船です。下船した人たちはかなりいたが、最終便のせいか乗船する人が少ない。 朝と同じように最上階の船室まで行くと、バル(カウンター)にいた店員は朝の時と同じ人で、お互い顔を見て笑いました。この船室の乗客は我々だけらしい。もちろん食べ放題で、ここで夕飯です。海を眺めながら、ゆっくりと紅茶をいただきましょう(写真下)。 船は、相変わらず頭の上に雲をかぶっているラ・ゴメラの東側を迂回しながら、北西にあるラ・パルマ島を目指します。波はあるが揺れるというほどではありません。 ラ・ゴメラを通り過ぎるあたりから西の空の雲の間から、西日が差し込んできました(20:38)。ラ・パルマ島が歓迎してくれている、と勝手に思い込むことにしました。写真下の一番手前に写っているのは船の甲板です。 ほぼ予定通りにすっかり暗くなったラ・パルマ島のサンタ・クルス・デ・ラ・パルマ(Santa Cruz de La Palma)の港に到着(22:06、写真下左)。船からはたくさんの車が出てきますから(写真下右)、案外客がいたのだ。 我々は出迎えの大型バスに乗り(写真下)、港から五分ほど南にあるホテルに向かいます。 ホテルはH10というホテル・グループのタブリエンテ・プラヤです(H10 TABURIENTE PLAYA、22:29)。 (https://www.h10hotels.com/es/hoteles-la-palma/h10-taburiente-playa) 写真下が私の部屋で、今日から四日間ここに泊まるので、移動がなくて楽です。水とリンゴなど果物が無料です(写真下右)。水は旅行会社側が毎日一本ずつ供給してくれるのと、私は食事のたびに余った水をかき集めたので(笑)、今回は一度も買いませんでした。 ここに四日間滞在し、またしても時々騒音がするなど問題もありました。しかし、ホテル自体が面白い作りであり、部屋の設備に大きな問題がなく、部屋の広さも十分で、ネット(WiFi)は少々接続しにくいが無料であるなど、四つ星ホテルにちなんで私の評価も4.0、つまり十分に合格ということにします。 今日はもう夜が遅いので明日ご紹介しますが、このホテルの吹き抜け部分にすごい庭があるのです。 トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |