秋たけなわのギリシャの花 2日目 2019年10月31日(木) → ドーハ → アテネ → ミケーネ → トリポリ 周囲の物音で目が覚めました(日本時間7:34、ドーハ時間1:34)。寒くて途中で何度も目が覚めました。 モニターを見ると、中央アジアのトルクメニスタンとイランの国境近くを飛んでいるようです(写真下)。 まもなく食事が配られました(日本時間7:43、ドーハ時間1:43)。 イラン上空で街の灯りが見えました(写真下)。地図を見るとShirazという街があります。 飛行機はイランを通過して、ペルシャ湾に出ましたから、いよいよドーハです(写真下)。 ドーハのすごい夜景が見えてきました(写真下)。通路側に座ったお客さんはドーハに宿泊したことがあるそうですが、観光としては全然おもしろくなかったというから、上空から見るだけにしておいたほうがよさそうです。 カタールで乗り換え カタールのドーハ国際空港(Doha International Airport)に到着(ドーハ時間3:52、日本時間9:52)。 時間が時間なので床に寝ている人たちもいます(写真下)。 朝早いから混んではいないが、それなりに人がいます。おそらく私たちのような乗り継ぎの客でしょう。 建物の中にオリーブの木があります(写真下)。本物のように見えます。しかし、近づいて確認すると、樹木は本物だが、葉は偽物です。 ギリシャ行の飛行機は八時頃の出発で、時間があるので少し空港内を散歩しましょう。この空港には列車が走っています(写真下)。ところが、この列車はたった二駅の間を往復するだけで、まったくおもしろくない。線路の様子を見ると延長できるようにしてあるが、工事する様子はありません。 空港で良く目立ち、自分の位置確認にも役立つのが巨大な黄色いクマのヌイグルミです(写真下)。実際は金属製です。記念撮影している人たちも多い。 良く見ると、デスクライトのカサがクマの頭に突き刺さり(写真下左)、アームとスタンドの部分が身体に突き刺さっている(写真下右)。高額な芸術作品で、何度見ても、何を表現したいのかわからず、私には不気味にしか見えません。 黄色いクマと比べると、写真下の店の前に立つクマは普通のクマです。 黄色いヌイグルミに比べると、写真下の金属製のオブジェは、一部が子供たちの遊び場にもなっていて、実用的です。 駅に近い所に立っている巨大な木製ピノキオは肩を落とし、うなだれている(写真下)。灯りが突き刺さったヌイグルミとか、ウツになっているピノキオとか、公共の場にはまったく向かないようなオブジェが多く、私がこの空港が好きになれない理由の一つです。 写真下左の丸い玉は、エスカレーターの下に置くことで、ここで頭をぶつけないようにしているのかと考えましたが、それにしては手前の玉は単に通行の邪魔です。 バスで移動して、飛行機に乗り込む頃にはすっかり明るくなっていました(写真下)。 カタール航空QR 0203は先ほどと同じボーイング777-300ERで、7:55にドーハを発ち、3時間55分飛行して、11:50にアテネに着きます。 ここでも隣の座席に人が来ないので、とても楽です。ただし、予約の時と飛行機が変わったらしく、座席が予約した時の番号と違います。窓側だし、何よりも隣が来なかったので、文句はありません。個人評価は満足のBとします。 飛行機は少し遅れて離陸しました(08:52)。ドーハの風景は、先ほどの夜景と違い、見るからに砂漠の国なのがわかります(写真下)。 飛行機はペルシャ湾に出て、そのまま海岸に沿って北西方向に進みます。 やがて、海は終わり、ペルシャ湾の突き当りで上陸しました(写真下)。 たまに湖らしいのも見られるが、ほとんどは赤茶けた砂漠です。もうこのあたりはイラク上空です(写真下)。 サメの口 朝食です(10:02)。暇なので、映画を観ながら、外を見ながらの食事です。 映画は深海を舞台にした話で、話そのものは写真下のサメの口を見てもだいたい想像がつくし、そんな程度のつまらない内容です。着目してほしいのは、物語の場所が上海の沖合であり、ヒロインを中国人が演じている点です。 『MEG ザ・モンスター』The Meg、米中合作、2018年(Wikipediaより転載) 中国は映画の興行収入がアメリカを抜いているから、ハリウッドも中国市場を無視できない。ところが、中国では海外の映画の上映は年間34本と制限されています。34本に入るための簡単な方法は共同制作、つまり中国人の俳優を主役クラスに起用することで、まさにこの映画はその典型で「米中合作」です。今後もますますこの種の映画が増えるでしょう。上図の「Opening Wide」とある口をサメの口と紹介しましたが、これはたぶん中国の口です。 眼下にはどこまでも赤茶けた砂漠が広がっています。飛行経路を見ると、イラクとサウジアラビアの国境に沿って飛んでいます。火薬庫のヨルダン北部とシリアを横切るようで、私は足の下がムズムズする。 幸い、足の下がムズムズしただけで、何事もなく地中海に出ました(写真下)。 キプロスを横切り(写真下左)、トルコの南側の地中海を西に進むと、次から次と島影が見えてきます。 このあたりの地中海は島だらけらしい(写真下)。 ギリシャに近づくにつれて雲が多くなり、下に街が見えたのはかなり高度を下げてからでした(写真下)。 ギリシャの歓迎の雨 ほぼ予定どおりの11:58にアテネ国際空港(Athens International Airport
Eleftherios Venizelos)に着陸。空港で真っ先に目についたのが、写真下のアメリカ軍(U.S. Air Forces in Europe)の輸送機で、5機並んでいました。 空港としては普通でしたが、入国審査所の前は長蛇の列で、ここでも中国語が飛び交っています。審査の窓口は8カ所あるのに、審査官が3人しかいない。観光で飯を食っている国なのに、入口からしてこの有様には驚かされました。 空港では植物ガイドのガードナー夫妻が待っていました(写真下左)。彼らは居住地のトルコから来ました。今年の春のトルコの旅行でガイドしてもらったので再会です。今回の旅行は彼らを加えて合計11人です。 これからアテネから西にあるトリポリまで行きます。途中、コリントスやミケーネの遺跡などに立ち寄り、花を探します。 車は写真下の二台で、ガードナー夫妻が運転してくれます。1号車のワゴン車に7人が、2号車のスズキの乗用車に4人が交代で乗ります。レンタカーなので、足元のマットを靴の泥で汚しても、あまり気にならない(笑)。空港の建物を出ると、すぐにレンタカーがあるのが良い。 初日は私は2号車で、ガードナー夫人が運転します。出発した時には青空が見えていたのに(写真下左)、ものの10分も進まないうちに雨雲で外が暗くなりました(写真下右)。 ついにかなり強い雨が降り出しました。初日からずいぶん大歓迎してくれるものだ(笑)。 西に進むにつれて、雨が上がり、晴れ間も見えてきました(写真下)。どうやら、本当に歓迎の雨でした。 高すぎる日本の高速料金 自動車専用道の料金所です(写真下)。日本の自動車専用道と違い、ギリシャは道路のあちらこちらに料金所がある仕組みになっています。日本なら入口と出口で料金を払うだけだから簡単なのに、ここではそのたびに料金を払いますから、少々面倒です。ただし、料金所が少なくて済むから、ギリシャのほうが人件費が安く済みます。写真下のように、電子料金システムもあるらしいが、見た範囲の印象でいうなら、普及はイマイチのようです。 アテネからトリポリまで約160kmあります。その間にあった料金所は写真下の四ケ所で、料金は、 2.1+1.8+2.55+2.40=88.5ユーロ となり、1ユーロ=120円として約1100円です。 一方、私がつくば市から成田市まで圏央道という自動車専用道(高速道路ではなく低速道路)を使うと、約50kmで1500円ほど取られます。単純計算ですが、単位kmあたりに直すと、ギリシャは66円、日本は300円で、何と5倍近い料金であることがわかります。日本は距離に比例して料金が増えるわけではないから、少々単純すぎる比較だが、それにしても、日本の高速道路の料金が異常に高いのがわかります。 自分が旅行した範囲の国で言うなら、とにかく日本は高速道路の料金が高すぎる。 道路環境についていうなら、ギリシャは2車線、3車線が当たり前なのに、つくば市から成田市までの圏央道の大半が片側一車線で時速70kmという、有料道路とは信じられないような速度制限があります。つまり、日本は料金が高いだけで道路そのものも良くない。 私が料金所の写真を毎度撮っているのを見たお客さんが、料金業務をしている女性たちの写真を撮っていると思ったようです。そういえば、きれいな人もいたから、彼女たちを撮ればよかったのに、今回の旅行の最大のミスだ。早く言ってよ(笑)。 コリントス運河 道の途中にあるコリントス運河に立ち寄りました(14:44)。コリントス湾とサロニコス湾をつなぐ全長6kmほどの運河で、1893年に完成し、現在は観光船用に使われています。 運河はどうでも良く、せっかく下りたのだから、周囲を散策して花を探します。シクラメンがありました(写真下)。もちろん、野生です。 写真上下 Cyclamen
graecum 石が丸いから、ここは川原だったのでしょう。石が石灰岩や大理石なので、白くて玉砂利のようで、シクラメンと良く合う。こういう白い玉砂利を私の家の近くの量販店でも売っています。ここのは自然です。 ギリシャの最初の花はシクラメンで、最初の動物は小さいカメです(写真下)。私はこの亀に「ギリシャ・ザ・グレイト」と名付けました(笑)。 エリカの咲く山 道は空いており、秋のギリシャを気持ちよく走れます(写真下)。 道路の脇で時々見かけるのが、キリスト教の祠です(写真下)。 本日二度目の花の観察で、山の斜面にエリカが咲いています(写真下)。日本ではあまりエリカという植物はお馴染みではありません。 写真上下 Erica manipliflora 私はエリカと聞くと、若い頃に読んだ『嵐が丘(Wuthering Heights)』(エミリー・ブロンテ)に出てくるヒースが茂る荒野を連想します。ヒースはエリカの一種で、イギリスの荒野に一面に咲くらしい。亡霊が叫んでいるようなこの暗い暗い小説の中に出てくるヒースが、私のエリカのイメージとして固定されてしまい、こんなに明るくギリシャに咲くエリカを見ても、すぐにヒースがまだ咲いていない荒涼とした丘陵地帯が出てきます(笑)。作者のエミリー・ブロンテは作品を酷評されたまま、わずか30歳(1818-1848年)ほどで病没しています。 ミケーネ遺跡 アテネから120kmほど西にあるミケーネ遺跡(Archaeological Site of
Mycenae)に到着です。坂を上った所にライオン門があります(写真下右)。 その先に(写真下左)、シュリーマンが発掘した円形墳墓A(紀元前1550年頃)があります。この中に5つ(実際は6つ)の墓があり、黄金のマスクや銀製品や、青銅の剣などが、盗掘されないまま残っていました。シュリーマンは発見した黄金のマスクをトロイア戦争(紀元前1250年)に出てくるアガメムノン王のマスクと決めつけていたが、実際にはそれよりもさらに数百年古い物だとわかっています。 丘の一番高い所が王宮だったらしいが、どれがそれなのか、正直、興味がないので、わかりません。ごらんのように、遺跡は遺跡であって、しかも、多くの場合、様々な権力闘争や殺し合いをした場所で、正直、個人的にはあまり興味がない。 写真下は遺跡から少し離れた所にある「アトレウスの宝庫(トロス墓)」(紀元前1300~1250年頃)で、中は高さ14.6mの円錐状の天井を持つドームで、当時から石組みのかなりの建築技術があったのがわかります。 遺跡の周囲で目に着くのは秋のクロッカス・・・なんだと私は信じて疑わなかった(写真下)。春にトルコを訪れ、クロッカスやコルチカムを見ましたから、自信がありました(笑)。ところが、クロッカスはアヤメの仲間で、こちらはヒガンバナの仲間ですから、完全に、他人の空似です。 写真上下 Sternbergia sicula そう言われると、枯れた草に埋もれているだけで、茎はそれなりの長さがあります。 ここでもシクランメンが岩場に生えています。 写真上下 Cyclamen graecum 先ほど運河の近くで見たシクラメンと同じ種類です。周囲の岩は石灰岩や大理石でしょう。白い岩が良く似合う。 岩のわずかな窪みにシクラメンが根を下ろしています(写真下左)。写真下右のシクラメンにはハエのような虫がぶらさがったまま死んでいます。蜜を吸おうとして、何かに頭部が引っかかって取れなくなった? 小さなシソの仲間で、地中海沿岸のどこにでも生えています(写真下)。 写真上下 Micromeria graeca 写真下はムラサキの仲間で、ヨーロッパ、北アフリカが原産で、アメリカやオーストラリアなども広がっています。 写真上下 Heliotropium europaeum イヌ君たちはみんな寝ている。写真下左のイヌなど、人が大勢通る通路のど真ん中に寝ています。今回の旅行では、ギリシャのイヌたちはとても幸せそうでした。大半がつながれておらず、しかも、ここの彼らのようにのんびりしている。遺跡よりも寝ているイヌのほうがおもしろい。 このネコは人懐こいから、観光客に可愛がられているのでしょう(写真下)。私の家の近くにいる野良猫の大半は人を見ると逃げてしまい、このネコのように初対面の相手にすり寄るようなことはしません。私がしばらく餌をやっていた野良猫でさえ、来なくなった、つまり死ぬ直前も、まだ私が近づくと警戒していました。 花の観察も終わる頃にはあたりは薄暗くなり始めていました。トリポリまで60kmくらいありますから、まだ1時間以上かかります。 トリポリ到着 ホテルの近くまで来て、ガードナーさんは迷いました。なぜ迷ったとわかるかというと、私はこの街をストリートビューで何回か見て、ホテルの南側にロータリーが二つあり、その周囲だけに店があることを知っていたからです。レンタカーなのにカーナビが付いていないのが不思議です。 ようやくホテルに到着です(18:37)。 ホテルは落ち着いた雰囲気です(写真下)。 七時半からホテルのレストランで夕飯です(写真下)。 今回のギリシャを旅行して、総じて感じたのが、塩分などの味付けが濃いことです。要するに、ギリシャ料理は私の口にはちょっと合わない。 写真下が私の部屋です。設備も一通り整っており、大きな問題はありませんから、個人的な評価は五段階の4.0で満足です。 ギリシャでは当たり前なこととして、トイレではトイレットペーパーを流してはいけないことになっています。日本人にはなかなか慣れない習慣です。 水は冷蔵庫にさらに2本あり、とても助かりました。 昨夜は飛行機で、寒くて、寝心地は最悪で十分に睡眠が取れませんでした。やっとベッドの上でゆっくり寝られる。 |