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花と雪のペルシャ

4日目  2018416()

バゾフトの渓谷

 

 

 六時頃に起床。夜中に何度か起きて、四時半以降はうとうとしていました。起きればよいのだが、六時すぎないと明るくならないのです。夕方は七時半をすぎないと暗くなりません。イランでは322日からサマータイムで、一時間進んでいます。

 

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 昨夜は間欠的に雨音が聞こえていました。しかも、私の部屋の外ではポタンポタンという雨だれの大きな音がして、気になってなかなか寝付けませんでした。しかし、雨だれなんて大したことはなく、他のお客さんたちは犬の吠え声で眠れなかったそうです。

 

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 今日はチェレゲルドから南側を探索します。下の地図を見てもわかるように、ザグロス山脈は北西から南東へとイランの西の大半を占めています。私たちが宿泊しているチェルゲルドはそのザグロス山脈の真ん中にあります。チェルゲルドの南に10kmほどの所にザルド・クー(Zard khu,標高4221m)という、このあたりで一番高い山があり、私たちはその東側にあるバゾフトの谷といくつかの峠を中心に花を探します。

 

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 外を見ると、雨は上がっているようなので、散歩に出かけることにしました。このホテルの北側に岩山があるので、登ってみることにしました・・・高い所にすぐに登りたがる()。写真下がホテルの南側から見た風景で、赤い屋根のホテルの後ろに岩山があり、電波塔が立っています。

 

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 下の衛星写真の朱線が私の散歩コースで、標高2300mにある山に登った、と言っても、実際は高さ30mほどの裏山にちょっと登っただけです。

 

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 裏山は岩だらけで、電波塔を造る時につけたらしい道が残っているので、登るのはそれほど大変ではありません(写真下)

 

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 ホテルで飼われている白い犬がお供に付いてきてくれました(写真下)。他のお客さんを吠え声で一晩中悩ませたあの犬でしょう。しかし、ついてくるだけで、特に吠えもしませんでした。最初は白い犬だけだったのに、いつの間にか、黒い犬が加わり、三匹に増えた。毛がふさふさしていて、いかにも寒い地方の犬という外見です。

 

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 山頂からは北にチェルゲルドの東側の街並みが見えます(写真下)

 

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 東側を見ると、朝焼けになっています(写真下)。このまま何とか晴れてくれないだろうか。

 

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 裏山には花も少なく、降りて七時半からホテルのレストランで朝食です。写真下右の右にある皿はスイカです。

 

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雨だ

 予定どおりの時間に出発(8:33)。朝焼けの期待には応えてくれず、私が散歩から戻る途中から小雨が降り始めて、天気は下り坂です。天気予報では午前中は雨ではなかったのだから、悪いほうに外れた。

 

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 小雨の中、最初の花の観察です(9:25)

 

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 雨がありがたくないのは、ただ濡れるからだけでなく、暗いので写真がうまく撮れない。ノロージーさんの狙っていた花は写真下のようですが、残念ながら、咲き終えているようです。この日この後、お目にかかる黄色いディオニシアの仲間です。これはイランでもこの溪谷でしか見られないディオニシアです。

 

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写真上 Dionysia archibaldii

 

 写真下の通称ソレナンデス(Solenanthus)は去年カザフスタンであだ名を覚えました。かなり広く分布しているらしい。

 

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写真上 Solenanthus circinatus

 

 キアマナのような花がここにもある(写真下)

 

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写真上 Gagea reticulata

 

 一番悩まされたのが、雨よりも泥です。粘土質の土が水分を含んだため、靴底に付着して、まるで泥の草履をはいたような状態です。普通、靴に泥がついても、ある一定量が付着すると、重みで自然に落ちて定常状態なるものだが、イランの泥はそんな根性無しではありません。泥は靴の両側にせりあがるばかりで落ちることはなく、厚底の靴を履いたような状態になります。すぐにまた着くとわかっていても、棒切れで何度も泥を落とすしかない。

 写真下左はバスに乗る前に靴についた泥を、道路に流れている水で洗うというか、こすり取っているところです。それでも写真下右のようにバスの中は泥だらけで、昨日の店で段ボール箱をもらい、それを床にしいています。この日は丸一日、この泥に悩まされました。

 

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 小雨の中、バスでさらに溪谷の奥に進みます。晴れていたら、きれいな景色なのでしょう(写真下)

 

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雪の中で花を探す

 峠を登り始めると・・・雪が積もっています(写真下)。おそらく昨夜降った新雪でしょう。このあたりで標高が2600mくらいあります。

 

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 この雪の中で花を探すという(10:26)。フリースの他にダウン・ジャケットを雨カッパの内側に着て、雪の降る中を出発です・・・このツアーは冬山登山ではなく、たしか花のツアーだったよなあ()

 

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 こんな雪だらけの所で花が探せるのか?・・・あった。岩にしがみつくように、黄色のディオニシアがまとまって咲いています(写真下)

 

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写真上 Dionysia lamingtonii

 

 ディオニシアは中央アジアから南で見られ、特にイランやアフガニスタンで多く見られ、50種類ほどあります。ここのディオニシアはイランの固有種です。

 こんな岩場の厳しい環境の植物ですから、育てるのはかなり難しいようです。

 

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 こんな山の上では虫も少ないから、こうやってまとまって咲けば、たしかに一本一本がバラバラに咲くよりも虫の目につきやすい。

 

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 花にばかり目が行きますが、葉もおもしろい。寒くて乾燥した地域の岩の上だから、葉は小さくするのはわかるが、花が咲いている間は陽当たりがかなり悪くなります。光合成を犠牲にしながら、花を咲かせています。

 

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 最初は岩の隙間にたまったわずかばかりの土に根をはり、やがて写真下のように花を咲かせる。二輪の花を咲かせるまでに何年かかったのだろう。葉の大きさに比べて、花が極端に大きいのがわかります。

 

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 少しずつ根を岩の上に広げながら、おそらくは写真下など何十年とかけて広がったのでしょう。

 

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 虫がいます(写真下右)。この虫に限らず、カメラを近づけると恐れて逃げてしまうので、花にいる虫を撮るのは意外に難しい。それにしても、こんな甲虫が受粉を手伝っているのだろうか?

 

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 私は花よりも花についた水滴がきれいなので、そればかり撮っていました(写真下)。雪や雨が降らなければ、つまり、泥がついて重くなった靴を引きづらないと、この写真は撮れません()

 

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 陽が射せば、あっという間に蒸発してしまうだろうから、ほんのつかの間の光景です。花弁の上に乗ったもの、花全体を水滴のボールが覆ったもの、カタツムリの殻のように横にくっついたものなど、水滴もいろいろな姿をしています。

 

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 水滴の中には周囲の風景が映り、水滴の中に別な世界がある・・・オレも詩人だなあ()

 

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 足元は雪だけでなく、グチャグチャなので滑りやすい(写真下)

 

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 まるで紅梅のような花が雪の中で咲いています(写真下)。雪に紅梅で日本画みたいです。

 

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写真上下 Cerasus prostrata

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 この花はモロッコなどの北アフリカからフランス、イタリーなどの南欧、コーカサスからイラン、アフガニスタンまで広く分布しています。

 

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 時間がたつにつれて雪は止んで、視界が開け、さらには青空が少し見えるほどになりました(写真下)。地面の温度が低くないので、雪はたちまち消えて、いよいよ地面は泥だらけです。

 

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 写真下の白い花も岩にしがみつくように咲いています。

 

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写真上下 Arabis caucasicus

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 写真上のような大きな株は少なく、大半は写真下のような小さな株です。大きくなるのに何十年もかかるのでしょう。

 

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 泥だらけの斜面に小さなピンク色の花が咲いています。

 

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写真上 Colchicum wendelboi

 

 写真上も下も教えられないと気が付かないくらい小さな花たちです。写真上のピンク色や写真下の水色の線がなんとも言えない色をしています。トルコ、シリア、イラクやコーカサスなどに分布しています。

 

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写真上 Puschkinta scilloides

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 地面を這うようにコリダリスが紫の花を付けています(写真下)。アルメニアからイラク北部にも分布しています。

 

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写真上 Corydalis verticillaris

 

 崖の上に三本のインペリアリスが咲いているのをお客さんが見つけました。登るのは簡単ではなく、私ともう一人の男性だけが登り、狭い岩の隙間を強引に通り抜けたので、二人とも尖った岩で雨合羽をズタズタに切られました。

 写真下は、真ん中に小さく見えているお客さんたちは崖の下にいて、私は上から撮っています。

 

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写真上下 Fritillaria imperialis

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 もう一カ所、狭い岩の間に生えたインペリアリスを見つけました(写真下)。昨日のようなゆるやかな斜面に生えているのと違い、ゴツゴツした岩の間に咲いているインペリアリスも違った雰囲気で、なかなか良い。また、昨日よりもこちらのほうが開花して間もないように見えます。

 

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 日本でも見慣れたムスカリも、こういう山の上で雪山を背景にすると、高山植物っぽく見えるからおもしろい(写真下)

 

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写真上 Muscari neglectum

 

 足元に生えているのは低木です(写真下)。土を歩くと泥が靴に着くので、これらの樹木の上を歩きます。靴に泥に付くと、「すまんね」と言いながら、低木をマット代わりにして泥をこすり落とす()

 

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 さらにバゾフト溪谷の奥に進みます。ヒマラヤなど溪谷の奥に進むと標高がどんどん上がるものだが、このあたりの道路の高度はせいぜい20002500mです。

 

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川が流れているので、ここは穀物を育てるのに良い環境なのでしよう。谷に沿って、集落と畑が点在しています。

 

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墓場の花

 午前中の最後の花の観察はお墓の近くです(写真下)。イスラム教なのに墓に遺影を刻んでいる。キリスト教では良く見られます。モハンマドさんによれば、これも最近の習慣だそうです。この霊園そのものも最近作られように見えます。

 

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 一見、普通の斜面のように見えますが、一歩歩くと泥が貼りついてきます(写真下)

 

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 ここにある花は、直径1cmのボールペンとの比較でもわかるように小さい(写真下右)。こういう花の撮影は普通はしゃがむか、膝や肘を地面につくか、寝転ぶのですが、ここでは論外です。しゃがむと、自分の足についた泥がズボンに着くので、中腰になるしかなく、写真を撮るにも不安定です。

 スミレは春の花の典型なのに、今回の旅行で見たのはこの時だけでした。ノロージーさんの本によれば、イランには14種類のスミレがあるそうで、日本よりもはるかに少ない。

 

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写真上 Viola occulta

 

 寒さに対抗するためにセーターを着た花です(写真下)。分布はイラン、イラク、コーカサス地方です。英語ではpink cotton lamb’s earと呼ばれ、lamb’s earは直訳すれば子羊の耳だが、そういう名前のワタチョロギという草花があり、写真下もこの植物の仲間です。

 

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写真上 Stachys lavandulifolia

 

 セツブンソウのような黄色い花が一輪だけあります。天気が天気ですから、開いていません(写真下)

 

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写真上 Adonis aestivalis

 

 写真下のアネモネはかなり濃い赤で、開いていたら、さぞや見事だったでしょう。ネットで見ると、それはもう濃厚な赤です。イランなど西アジアが原産で、こういう岩場に生えます。

 

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写真上 Anemone biflora

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 チューリップがありました(写真下)。花が開いていないだけでなく、雪など寒さによってかなり傷んでいます。高さは10cmもありません。

 

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写真上 Tulipa systola

 

 たった一本のケシも花を閉じ、うなだれている(写真下)。しつこくボールペンを並べるのは、これらの花がいずれもとても小さいからです。他の人に教えてもらうから花に気づくが、一人だったら、泥ばかりに気をとられ、大半の花を通り過ぎたでしょう。

 

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写真上 Papaver dubium

 

 菜の花のような十字架植物があるが、この種の花が一番名前がわからない。

 

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 斜面よりも、道端のほうが大きな花が咲いています。

 

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写真上 Anchusa azurea

 

 今回の旅行でもマメの仲間はたくさん見かけましたが、どれも判別がつかない(写真下)。これなど、花の中心部が薄紫の混ざった灰色をしているので、特徴ある配色なのに、図鑑では見当たりません。

 

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 靴はダンゴ状態の泥が付き、高下駄をはいたみたいで、泥は地面にこすったくらいでは落ちません。花を見ている時間と同じくらい泥を取るに時間がかかります。

 

 

ナンがうまい

 泥を落として、バスに乗りこみ、昼食です(12:15)。晴れて、地面が乾いていれば屋外の食事が楽しいはずなのに、外は泥だらけで座る場所もありません。

 

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 写真上左が小麦粉をこねて焼いたナンで、これで四つ折り状態です。うまい。朝、食堂で食べたナンとは比較にならないくらいうまい。腰が強く、一方向に強く引っ張らないと切れません。何をつけずに、これだけ食べても噛んでいると味が出てきます。

 

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 この日、ホテルに戻り、夕飯の時、私はモハンマドさんに「昼食のナンはとてもうまかった。だが、ホテルのナンはおいしくない」と言いました。ホテルのナンはまずくはないが、昼食のナンに比べておいしくはありませんでした。

 モハンマドさんによれば、それは焼き立てと日置きしたナンの違いだという。確かに、パンも焼きたては違うが、今回のナンの違いはそれどころではありません。「本当かな」という私の疑わしそうな目に気が付いたのか()、モハンマドさんは「明日の朝食には焼き立てのナンを出すようにホテル側に伝えましょう」と約束してくれました。明日の朝が楽しみです。

 

 

雪景色

 次の峠に向かって登るにつれてまた雪が降ってきました。脱いだダウン・ジャケットを着なおします。

 

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 やがて完璧に雪景色になりました(写真下)。バスは雪の積もった道をひたすら登る。「このバスは雪道用のタイヤをはいているかな」「そんなはずない」とお客さんたちの会話もはずむ()。アスファルトの上に積もった新雪の上を車で走るのはそれほど危なくありませんから、今はまだ大丈夫です。危ないのは雪が車で踏み固められ、凍った状態の時です。雪国育ちの私は何度も恐ろしさを体験しています。

 

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 登って来た途中が雪ですから、峠の頂上付近は雪です(14:21)。これならスキーができる()。雪が降り、周囲は煙っているので、ちょっと離れると他の人の姿が見えなくなります(写真下右)。しかも、午前中の雪の峠よりももっと寒い。この峠の一番高い所は2800mありますから、当然です。

 

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 バラバラに行動すると危険なので、まずノロージーさんが一人で偵察に出かけました(写真下)。しかし、収穫なし。先ほどのような岩場ではないから、花が咲いていても、雪に埋もれてしまい、見つけるのは無理でしょう。ノロージーさんは、こんな天候は異常(extraordinary)だ、と言います。この時期にここが雪に覆われるなどありえないのでしょう。

 

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 ペルシャの雪を十分すぎるほど堪能したので、来た道を引き返します()。高度が少し下がると、視界が広がり、雪はなくなり、雨も降っていません(写真下)。つまり、雲に覆われた上のほうだけが雨や雪が降っている。

 

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 私たちが今日動いた地域はバゾフト(Bazoft Forest Zone)と呼ばれる地域のようです。バゾフトが正確にはどこを指すのか、ネットで調べてもよくわかりません。チェルゲルドの西、クラング郡の西半分くらいを指すらしい。

 

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 日本のJICA(国際協力機構)が、ちょうど私たちが今日行った地域で活動していたことがあり、ネットに活動報告書があります。だが、報告書のバゾフト地区を示す地図と説明文が一致しない。細かいことは抜きにして、今日、私たちが散策したあたりがバゾフトと呼ばれる地域の一部のようです。

 

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 道端に薄紫のシラーを見つけて停車(15:20)。日本では園芸品種として売られている花が道端に咲いている。

 

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写真上下 Scilla persica

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 写真下はシラーの中にあって、同じような色の花なので、別種だと気が付きませんでした。昨日、インペリアリスの花畑で見た花だが、花の形がかなり違います。

 

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写真上 Ixiolirion tataricum

 

 晴れていれば、周囲はバゾフト溪谷ののどかな風景が見られるのでしょう(写真下)

 

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 羊の群れを連れた夫婦が、私たちが何をしているのかと見ていました。私たちにとってありがたくない雨は彼らにはまたとない雨です。モハンマドさんは、この地方の人たちはこの雨を喜んでいる、と言っていました。

 

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 下のイラン全土の地図を見てもわかるように、イランは国土の西側のほとんどがザグロス山脈でできています。砂漠の国というイメージだが、実は山岳の国です。

 

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上図 Wikipediaから転載

 

 南にあるペルシャ湾から湿気のある風が吹いているので北西側は雨も多いが、東になるにつれて乾燥します。私たちが訪れた地域はその中間で、放牧している人たちをもいて、このあたりは農業と牧畜の両方が行なわれているようです。

 

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 道路や山の斜面から湯気が上がっている所があります(写真下)。このあたりは地面の温度が高く、降った雨が蒸発して、冷たい空気で冷やされたのでしょう。火山があるとも聞いていないが、どうして地面の温度が高いのだろう?

 

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 空は相変わらずの厚い雲だが、少し天気が回復しているらしく、空気が澄んで、遠くの雪山が見えるようになりました(写真下)。先ほどの峠も晴れ始めたようです。

 

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 午前中と同じ所を走っているのだが、雨や雪が上がって、視界がよくなったせいか、溪谷がとてものどかに見えます。

 

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 周囲には小さな集落が点在するだけで、店も数えるほどしかない(写真下)

 

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イランのバイモ

 本日の最後の花の観察です(16:47)。ここは雪はないが、粘土のような泥は相変わらずすごい。バイモの仲間が生えているそうです。あちこち探し歩くと靴に泥がつくので、松森さん(仮名)が探してくれるのを待ちます()

 

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 松森さんはほとんど迷うこともなく、バイモがたくさん生えている所を見つけました。群生していると言ってもいいでしょう(写真下)

 

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写真上下 Fritillaria reuteri

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 斜面に縦に直線状に花が並んでいて、そこしか生えていないところをみると、たぶん雪解け時期にはここは小川になり、その川沿いに増えたのでしょう。ネット上での説明でも湿った所を好むとあります。

 

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 分布はイランではエスファハーンの西の2500300mの高山地帯というのだから、まさにこのあたりでしか見られないバイモです。

 

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 一般には写真上のように茶色で先が黄色というパターンですが、写真下左のように黄色の部分が多いのもあります。

 

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 花は多いと12個も付くそうです。そこまですごいのはないが、34つは当たり前です。咲き終えているのがありませんから、最盛期に来たようです。

 

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 バイモとユリは同じユリ科の植物です。私の印象では、イランなど中国よりも西に来ると、ユリが減りバイモが増えます。

 日本が世界でも有数のユリ()の種類を誇り、世界で130種類ほどあるユリの中で、約15種類が日本にあります(絶滅種も含む)。逆にバイモ()は種類が元々少ない。私の知る日本のバイモというとクロユリくらいしか思いつきません。それも、東北地方では山形県の月山と飯豊山にあるだけで、あまり一般的な花ではありません。また日本のバイモはいずれも絶滅危惧種に指定されるほど減っています。

 

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 これに対して、イランでは昨日から見ているインペリアリスやペルシカなど、むしろバイモがまさに花盛りです。

 植物ガイドのノロージーさんの本ではバイモが9種類16ページに渡り紹介されているのに、ユリはたった1種類2ページです。この数の違いはイランでのバイモとユリの勢力範囲をそのまま反映しているのでしょう。

 

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 ユリの品種は欧州12種類、ユーラシア10種類と少な目で、東に行くと、アジア71種類、北米37種類と増えます。気のせいか、西に行くにつれて、ユリの形の多様性も少なくなります。

 バイモは130140種類あると言われる中、トルコ39種類、ザグロス山脈1415種類ですから、どうやらトルコとイランはバイモの本家らしい。しかも、インペリアリスなど大型で存在感のあるバイモがあります。

 

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 ユリもバイモも同じユリ科なのに、日本など東ではユリが優勢でバイモは縮小し、逆にトルコやイランなどではユリは減って、バイモが独自の発展を遂げたようです。環境の違いなら、何がそのようにさせたのか、興味深いところです。

 

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 朝から見かけている通称ソレナンデス(Solenanthus)がここにも立派な花を付けています(写真下)。あちこちでみかけるが、群落することもなく、数はそんなに多くはありません。

 

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写真上 Solenanthus circinatus

 

 ムスカリが群落しています(写真下)。草の中に点々とムスカリがあると、かなり良く目立ちます。

 

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写真上下 Muscari neglectum

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 日本に帰化したムスカリよりもやや大きく、色は強い。写真下左は花が開いた状態、写真下右は開いていない状態です・・・あまり変わりない()

 

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 日本語のWikipediaの解説では、いわゆるムスカリとはこのMuscari neglectumのことだとあります。しかし、英語のWikipediaにはそんなことは書いてありません。私が日本で自分の周囲で見かけるムスカリはここのよりも小柄で色もさえない。環境の違いではなく、別種のように見えます。

 

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 写真下は誰が見てもムスカリなのに、ムスカリではなく、ベレバリアという別な種類の植物です。昔はムスカリに分類されていたそうで、素人にはそのままでも良かったような気がする。

 

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写真上 Bellevalia pycnantha

 

 ここではムスカリとベレバリアが同じように群生しているので、言われるまで違うとは気が付きませんでした。イラク、トルコ、コーカサス地方にも分布します。日本でも園芸種として売られており、当然、ムスカリとして扱われます。

 

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 写真上と同じベレバリアの仲間が写真下です。写真下の紫色なのはツボミで、開花した花が下についていて、白っぽくなります。すべて開花してしまうと、白っぽくて目立たなくなり、虫には逆のほうが集めやすいような気がします。どうしてわざわざ目立つ紫から目立たない白になるのか、花に質問してみたが、ペルシャ語でないとわからないらしく、返事がない()

 

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写真上下 Bellevallia longistyla

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 花が終わった後が写真下のようで(たぶん)、再び紫色になるらしい。

 

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 写真下の花を見た時、泥に埋まったのかと思いました。どれを見ても、葉は地面に広がり、花は地面から生えたように低く咲いています。この花なりの作戦なのだろうが、こういうやり方だとどういう虫が集まりやすいのだろう?

 

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写真上 Ornithogalum sigmoideum

 

 写真下はごく限られた場所にしか生えていませんでした。

 

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写真上 Ficaria kochii

 

 午前中も見かけた日本のキアマナと似た花です。

 

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写真上 Gagea reticulata

 

 そばにある丘に登ってみましょう(写真下)

 

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インペリアリス

 ここにもインペリアリスが生えています。昨日のように密集はしていないが、その分、まとまりが良く、絵になる花が多い。

 

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写真上下 Fritillaria imperialis

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 昨日の斜面は岩がなかったのに、ここでは石灰岩なのか、岩がゴロゴロしています。岩がアクセントになって庭のような雰囲気になっています。

 

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 昨日の群落は一部の花が劣化しはじめているのがありました。ここのは古いのがありません。

 

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写真上下 Fritillaria imperialis

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 ここの標高は2450mほどで、昨日訪れたインペリアリスのお花畑とほぼ同じ高度です。眺望は良く、遠くまで見えて、あまり急斜面ではありません。ザグロス山脈は日本の山脈のようにここ数千万年前にできたのと違い、古い山脈なので風化が進んでいるのでしょう。

 

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 JICAがこの地域で活動していたのは、地元の人たちの収入が少ないので、生活のために数少ない樹木を伐採して自然を破壊して、生活環境をさらに悪化させるという悪循環を断ち切るのが目的だったようです。どの程度それが成功したのかわかりませんが、日本は長年、地道にこういう活動を続けています。

 

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 樹木の伐採を防ぐと言っても、今日見かけた範囲でいうなら、植樹したような樹木が少しある程度で、森や自然林は見かけませんでした。写真下などにも写っているような低い樹木しかありません。自然破壊が進むと、インペリアリスのような植物たちも消えてしまいますから、自然保護は重要です。日本だけでも、政治や軍事や経済など、腹に一物や目先の下心あっての援助ではなく、相手の国の国民や環境のための援助をするべきです。それは回りまわって、日本に直接間接的に利益をもたらすからです。

 

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 モハンマドさんが摘み取られた黄色いインペリアリスを見つけて怒っています。黄色は珍しく、昨日も一株しか見つからなかったし、とても残念です。しかし、黄色い花だけを狙って抜き取ったのではありません。

 

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 斜面のあちこちにインペリアリスが抜き取られ捨てられています(写真下)。花の咲いているのを選んでいて、しかも掘った跡がないから、盗掘ではありません。食べるための山菜でも、花を活けるのでもなく、ただ面白半分に抜き取ったようです。どこの国にも心ない愚か者がいるものです。

 

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 黄色の花の花弁の根元は緑色で、赤の花の根元は黒です。

 

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 夏時間でもさすがに陽が傾き始めたので、撮影も終わり、ホテルに戻ります(18:17)。雲間から陽が射して、きれいな風景です(写真下)。一日中、こんな天気なら良かったのですが・・・。

 

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次回は6月に決定?

 皆さん靴が泥だらけなのでホテルの外で泥落としをしました。靴だけでなく、雨合羽のズボンもスパッツも泥だらけです。私は部屋に戻ってから、日本から持ってきた使い捨ての歯ブラシで靴の泥をさらに落とし、帰国後も洗いました。しかし、今でもこの靴にはイランのド根性の泥がついているはずです()

 七時半からホテルのレストランで夕食です(写真下)

 

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 夕飯のデザートに出たメロンは昨日モハンマドさんが道端で買ったもので、外側の見た目よりもはるかにうまい(写真下右)。スイカと違い、こちらはアタリです。

 

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 食後、ロビーで紅茶をいただきながら、今日見た花の確認と、ノロージーさんが作った花のビデオを鑑賞しました(写真下右)。ドローンを飛ばして写したお花畑は素晴らしい。撮影から編集や音楽選曲も彼がしたそうで、なかなか才能があります。映っていたのは大半がイラン北西部の6月頃の花だというので、次回のツアーは6月に開催することに決まりました()

 

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 明日はここを発ちますから、荷物をまとめなければなりません。

 

 

 

 

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