トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

 

 

 

 

ペルシャ北部の初夏の花

3日目 2019517()

ラシュト ハルハル

 

 

 朝、五時半頃に目が覚め、六時頃に起きました。八時に出発なので、散歩は無しです。

 

P1090003 P1090004

 

 今日はラシュトを出て、カスピ海沿いの街バンダレ・アンザリーで魚市場に寄り、海辺の散歩を楽しんだ後、再びアルボルス山脈に入り、花を観察しながら、ハルハルに行きます。

 

routemap190517

 

 七時からホテルのレストランで朝食です(写真下)

 

P1090010 P1090011

P1090012 P1090013

 

 予定どおり、八時にホテルを出発しました。ラシュトの街中は地方都市らしい、のんびりした雰囲気です。

 

DSC_7320b DSC_7321_0086

DSC_7264b DSC_7266b

 

 写真下左ではおじさんが花を売っています。観葉植物のサンセベリア、アマリリス、荷台にはシャコバサボテンが乗っています。

 

DSC_7298b DSC_7316b

DSC_7270b DSC_7242_0007

 

 道のロータリーなどにはたいていモニュメントがあります(写真下)。写真下下段の壺から出ているのは緑色の蛇ではなく、水です。

 

DSC_7263b DSC_7251b

DSC_7328b

 

 目につくのが道の両側の看板で、イラン・イラク戦争(19801989)の戦死者の遺影です。去年の旅行でも頻繁に目にしました。日本語ガイドのモハンマドさんもこの戦争に参加したと今回の旅行で聞きました。彼が瓶の栓をスプーンで簡単に開けてしまうのを見て、何かサバイバル訓練でも受けたことがあるのかと思っていたが、兵隊として戦争を経験としていると聞いて、合点しました。

 

DSC_7252b DSC_7274b

DSC_7268b DSC_7262b

 

 写真下は宗教指導者のハメネイ(ハーメネイー)師とホメイニ(ホメイニー)師で、幸いこういう看板はあまり見かけない。

 

DSC_7265_0030 DSC_7323b

 

 写真下左は大量のスイカ(ヘンダワネ)を売っていて、写真下右のような巨大なスイカもあります()

 

DSC_7313b DSC_7315b

 

 写真下は、車の屋根の上に山のように積み上げたニンニクです。まさか、この状態で運んで来た?!道端でこれだけの量が売れるのでしょう。イランではニンニクは大量に消費されているらしい。ニンニク入りのヨーグルトも食べました。

 

DSC_7314b

 

 

カスピ海の魚市場

 カスピ海に面したバンダレ・アンザリー(Bandar-e Anzali)という人口10万人ほどの港町にやってきました。

 

DSC_7326b DSC_7331b

fish190517

 

 街の川のそばにある市場に行きました(9:08)。市場と言っても建物の中に店があるのではなく、道路の両側に露店が並んでいて、魚は台の上ばかりか、道の上まで並べられています(写真下)

 

DSC_7370_0135 DSC_7345_0110

DSC_7346_0111 DSC_7347_0112

 

 この街が面したカスピ海には78種類の魚がいるそうです。写真下右では大きな頭部が地面に置いてあり、私は昔食べたマグロの兜焼きを連想しました。マグロの頭部を蒸し焼きにしたもので、目玉とその周囲は絶品でした。きっとこの魚も目玉とその周囲はうまいに違いない。

 

DSC_7348_0113 DSC_7364_0129

DSC_7352_0117 DSC_7351_0116

 

 それなりに人のにぎわいがあるのに、圧倒的に男性ばかりで、女性は売り手に少しいる程度です。海外では、こういう市場にはたいてい押しの強いオバサンが客を捕まえてやろうと睨みをきかせているはずなのに、ここにはいない。

 

DSC_7350_0115 DSC_7353_0118

DSC_7367_0132 DSC_7342_0107

 

 おじさんたちは陽気というか、にぎやかです()

 

DSC_7354_0001 DSC_7358_0001

DSC_7356_0001b DSC_7414_0001b DSC_7365b

 

 売り手も買い手も大半が男性だということは、家計の主導権を男性が持っているのでしょう。これは日本同様、経済にとってあまり良いことではありません。財布のひもの男女平等こそが、経済を歪みなく発展させる基本で、日本はひどく歪んでいる。妻への扶養控除など男女差別の典型で、これがあるから主婦は働くのを控えてしまい、経済発展の足かせになっているのに、批判する識者さえもいないのが不思議です。

 

DSC_7362_0001 DSC_7380

DSC_7397 DSC_7412_0177

 

 写真下は「ドヤ、オレの娘は可愛いだろう」とお父さんが言っているのはペルシャ語がわからなくてもわかる()

 

DSC_7408_0001c

 

 川に沿った道で魚が売られ、そこから北側に野菜や果物を売っている店が並んでいます(写真下)

 

DSC_7401_0166 DSC_7361_0126

DSC_7398_0163 DSC_7399_0164

 

 ネットを見ると、ここはOld Saturday Marketという表示が出てきて、土曜日に立つ市だとあります。しかし、今日は金曜日です。冷蔵設備もないのに魚を売るのに週に一回というのは奇妙ですから、前は土曜日に開いていたから名前だけが残ったか、あるいは今はラマダンで、食料が良く売れる時期だから、開いているのかもしれません。この国では金曜日と土曜日が休日です。

 

DSC_7390 DSC_7393

DSC_7400_0165 DSC_7396_0161

 

 写真下左はニンニクで、右は漬物らしい。

 

DSC_7376_0141 DSC_7392_0157

 

 ニワトリがつながれて売られています(写真下)。スーパーでパック詰めの鶏肉が売られているのと違い、生き物を殺して食べているのだという現実を突きつけられます。

 

DSC_7381_0146 DSC_7402_0167

 

 魚がたくさんあるから、太ったネコがウジャウジャいるのではないかと予想したが、見かけたのは写真下のたった一匹。しかも、このネコは毛並みもあまり良くない。イスラム教の教祖であるムハンマドが猫好きだったこともあり、イスラム社会ではネコは大事にされます。ただ、研究者によれば、イランではネコは排除も可愛がられることもないとあります(『イランを知るための65章』岡田 他、明石書店、2004)

 

DSC_7340_0105 DSC_7428_0193

 

 

カスピ海の浜辺

 カスピ海に面したSefid Kenar Grand Hotelに立ち寄り、トイレ休憩です(写真下)

 

DSC_7435_0200 Sea190517

 

 海岸には観光客らしい人たちが少しいます(写真下)

 

DSC_7440_0205 DSC_7443_0208

DSC_7453_0218 DSC_7448_0213

 

 カスピ海は面積が日本の国土の総面積とほぼ同じだというから、すごい。海水よりも濃度が三分の一程度の塩湖で、海抜はマイナス28mですから、この湖から流れ出る川はありません。つまり、ただ蒸発しているだけです。

 

DSC_7446_0211 DSC_7449_0214

DSC_7447_0212 DSC_7444_0209

 

 海岸近くやホテルの敷地に花が咲いています。写真下はここでしか見られなかったケシです。名前はわからないというが、私にはただのナガミヒナゲシに見える()

 

DSC_7457_0222

 

DSC_7458_0223 DSC_7436_0201

 

 ホテルの芝生に薄紫の花がたくさん生えています。ハマウツボの仲間らしいが、これも名前は不明。

 

DSC_7459_0224 DSC_7460_0225

P1090018 P1090021b

 

 

イランの田植え

 郊外に出ると、目につくのが田んぼです (写真下)。昨日もそうだったように、日本と同じような田園風景をまさかイランで見られるとは思いませんでした。

 

DSC_7529_0294 DSC_7530_0295

DSC_7531_0296 DSC_7540b

 

 田植えをしているところもあり、見た範囲では、機械はなく、手作業のようです(写真下)。私も手で田植えをしたことがあるからわかるが、とても大変です。

 

DSC_7475_0240 DSC_7492_0257

DSC_7302_0067 DSC_7554_0319

 

 イランの農業は機械化が遅れていて、写真上右の代かきにトラクターが使われていた程度でした。ただ、機械化がかならずしも良いとは限らず、ここにいる人たちの多くは雇われて田植えをしているようです。機械化すれば彼らの仕事がなくなってしまう。

 

DSC_7304_0069 DSC_7551_0316

DSC_7484_0249 DSC_7485_0250

 

 田んぼの近くに生えていたのがキショウブです(写真下)

 

DSC_7474_0239 DSC_7288_0053

DSC_7476_0241 DSC_7500_0265

写真上下:Iris pseudocorus

 

 日本にもすっかり定着して、私の畑にもある。ショウブだから、水辺に生えています。西アジアからヨーロッパが原産で、私が前に野生で見たのはブルガリアでした。

 

DSC_7487_0252 DSC_7489_0254 DSC_7499_0264

 

 スイカズラが咲いていて、日本で見かけるのと姿形は同じですから、たぶん園芸種です(写真下)

 

DSC_7502_0267 DSC_7503_0268

 

 道端に生垣のようにキイチゴの仲間の花が咲いています(写真下)。植えたのではなく、自然に生えている。この花の多さから、キイチゴの実がなった時のことを考えてワクワクします()

 

DSC_7506_0271 DSC_7507_0272

DSC_7508_0273 DSC_7510_0275

写真上 Rubus creticus

 

 写真上はピンク、写真下は白で、たぶん同じ種類です。

 

DSC_7495_0260 DSC_7496_0261

 

 道端で良くみかけるのが赤いバラで、花の雰囲気からは同じ種類のバラに見えます(写真下)。。

 

DSC_7516_0281 DSC_7513_0278

 

 あまり手入れをした様子はなく、勝手にのびている。たくさん見かけるということはかなり丈夫で、ここの気候が合っているのでしょう。

 

DSC_7310b DSC_7466_0231

DSC_7467_0232 DSC_7512_0277

 

 

アルボルス山脈に戻る

 カスピ海沿岸を走っていたのが、左に曲がり、道は山の中に入って行きます。アルボルス山脈に入りました。それでもしばらくは田んぼが見られます。写真下を日本の山間風景だと言われても、誰も疑わないでしょう。

 

DSC_7569b DSC_7570b

DSC_7571b DSC_7579b

 

 道が山の中に入ると田んぼも消えて、谷に沿って登って行きます。

 

DSC_7572b DSC_7573b

DSC_7574b DSC_7575b

 

 道沿いにはまだ小さな集落があり、観光客目当ての店が点在しています(写真上下)

 

DSC_7577b DSC_7580b

DSC_7581b DSC_7596_0018

 

 谷に沿った道を離れ、人家のない山道になり、高度を上げて行きます。周囲はうっそうとしたブナの森で、ここに十分な雨が降るのがわかります(写真下)

 

DSC_7583_0005 DSC_7614_0036

DSC_7599_0021 DSC_7600_0022

写真上下 Fagus orientalis

 

 ノルジーさんが沢沿いの山道を登って行きました(写真下左)。果報は寝て待てで、待っていると、目的の花は探せなかったらしく、間もなく戻ってきました(写真下右)

 

DSC_7603_0025 DSC_7607_0029

 

 林の下にはいくつか花が咲いています。写真下はアカネの仲間です。

 

DSC_7604_0026 DSC_7606_0028

写真上 Galium odoratum

 

 写真下のマメの仲間は、開花した黄色と開花前の茶色の組み合わせがなかなか良い。

 

DSC_7625_0047 P1090050

写真上 Vicia crocea

 

 アマドコロが、日本と同じように樹木の下に生えています(写真下)。一本しか見当たりませんでした。

 

DSC_7620b

写真上 Polygonatum orientale

 

 写真下はまるで黄色いマントを着た怪人みたいです。トルコやコーカサスにもあります。学名のelephasはゾウの鼻を連想するからでしょう。

 

P1090043b

写真上下 Rhynchocorys elephas

DSC_7616_0038 P1090046 DSC_7619_0041

 

 かなり大きなトウダイグサの仲間が生えています(写真下)。欧州、トルコ、コーカサスなどに分布し、森の木陰でも育つ植物です。

 

DSC_7612_0034 DSC_7613_0035

写真上 Euphorbia amygdaloides

 

 

昼食は羊

 道は森を抜けて、樹木がまばらになり、視界が効くようになりました。このあたりで標高は1600mを越えています。

 

DSC_7636_0058 DSC_7643_0065

DSC_7638_0060 DSC_7644_0066

 

 山腹にあるAsbe-Vuny Villageで昼食です(写真下)

 

DSC_7651_0073 DSC_7712_0134

 

 下の衛星写真のように、ここは道路沿いにレスランが何軒か並んでいて、私たちが入ったのは、Taleshan restaurantです。

 

lunch190517

 

 その店先では、これから食べるヒツジの解体が行なわれています。空気を入れて(写真下左)、皮をはがし(写真下右)、これを吊るして、斧でぶつ切りにする。残った毛皮は何に使うのだろう。

 

DSC_7662_0084 DSC_7680_0102

DSC_7726_0148 DSC_7720_0142

 

 軒を連ねている何軒かのレストランの店先でも同じようにヒツジの解体が行なわれています。

 

DSC_7677_0099 DSC_7684_0106

DSC_7693_0115 DSC_7702_0124

 

 解体した肉を吊るし切りにして、串に刺して焼く。

 

DSC_7709_0131 DSC_7713_0135

DSC_7711_0133 DSC_7655_0077

 

 同じようなヒツジを料理して出す店が道に沿って並んでいます。

 

DSC_7656_0001 DSC_7703_0001

 

 ヒツジの解体を見た後で、レストランの二階でそれを食べます(写真下)。私以外のお客さんは解体をていねいには見ていません。レストランは、ラマダンの時期ですから、空いています。

 

DSC_7681b DSC_7682_0104

 

 解体をもろに写真に撮り、しかも旅行記に載せるなど、趣味が悪いと思われたかもしれません。ただ、私は、子供を含めて、自分が何を食べているのかを良く見るべきだと思っています。食べ物が他の生き物の命を犠牲しているのだという現実を見れば、大食いや早食いなどという愚行はできなくなります。

 

P1090056 P1090057

P1090058 P1090059

 

 紅茶の中に乾燥させた果物を入れてみました(写真下右)

 

P1090055 P1090064

 

 

高山の花たち

 食事を終えて出発する頃には、霧が出ていました(写真下)。高山ですから、天気は変わりやすい。

 

DSC_7732_0154 DSC_7731b

 

 岩場の間にシソの仲間が咲いています。

 

P1090065 P1090343 P1090344

写真上下 Nepeta racemosa

P1090073 DSC_7735_0157

 

 トルコ、コーカサス、そしてイラン北西部に自生します。この植物はネコに対してマタタビのような陶酔効果があり、しかも、ゴキブリや蚊に対する防虫効果もあるようです。

 

DSC_7737_0159 DSC_7736_0158

DSC_7738_0160 DSC_7740_0162 DSC_7741_0163

 

 同じ斜面に黄色いセネシオの仲間が生えています(写真下)。こちらは欧州などでも一般的な植物です。

 

DSC_7745_0167 DSC_7734_0156

DSC_7746_0168 DSC_7752_0174

写真上 Senecio vernalis

 

 ガレ場の中にスミレが咲いています (写真下)。ニオイスミレの仲間で、西アジアから欧州、北アフリカなどかなり広い範囲に分布します。

 

P1090080

写真上 Viola odorata,

P1090083 P1090082 P1090077

 

 写真を撮ろうと歩いただけでも細かい砂利が崩れてしまいます。

 

P1090139

 

DSC_7777_0199

 

 ニオイスミレという名前どおり、香りのあるスミレで古くから香料として利用されてきました。しかし、種や根には毒性があるようです。

 

P1090075 P1090084

P1090137 P1090138

 

 高山植物らしいワスレナグサの仲間です(写真下)。水色がなんとも言えない。

 

P1090141

写真上下 Myosotis asiatica 

P1090132 P1090091b

 

 ネットで検索するとこの花の英語名がalpine forget-me- notSiberian Forget-Me-NotAsian Forget-Me-Notと複数あります。しかも、欧州から西アジア、西ヒマラヤだけでなく、北米にも分布していることになっている。忘れてほしくないので、あちこちに残ったのでしょうか()

 

DSC_7854_0276

 

DSC_7855

 

 写真下は和名がニワハタザオです。ネットでは欧州の南東や地中海が分布という記述が多いが、実際は地中海、クリミア、トルコ、イラン、コーカサスに分布するようです。特に高山地帯に生えるという花ではありません。

 

DSC_7782_0204

写真上 Arabis caucasica

 

 写真下はキジムシロの仲間です。

 

P1090087 P1090090

写真上 Potentilla repens

 

 写真下は花弁の先端に切れ込みがないだけで、上と同じかと思ったら、まったく別種でキンポウゲ(Ranunculus)の仲間だそうです。

 

P1090140

 

 

白いシャクヤク

 ノルジーさんはどんどん先に進みます(写真下左)。やがて遠くから呼ぶ声が聞こえました。何か花があるのだ。道と言っても、これは山道ではなく、ヒツジなどが歩いた獣道です。

 

DSC_7773_0195 DSC_7783_0205

 

 案内された斜面の、背の高い樹木の下に白いシャクヤクが静かに咲いていました(写真下)

 

DSC_7833 DSC_7843

写真上 Paeonia daurica subsp. wittmanniana

DSC_7814_0236 DSC_7793_0215

 

 開き加減もちょうど良い時期に来たようです。これだけの樹木があると、あまり陽が射さないだろうに、こんな半日陰が彼らの好みらしい。

 

P1090118 P1090120

DSC_7837_0259 DSC_7822_0244

 

 私が野生のシャクヤクを見るのはブルガリアについで二度目です。ブルガリアのホソバシャクヤクは真っ赤で自己主張が強く、直射日光がじりじりと当たるような海岸に生えていました。ここは高い樹木の下なので陽ざしも弱く、花もまた白く清楚な雰囲気です。

 

P1090126

 

DSC_7825_0247 DSC_7818_0240 DSC_7816_0238

 

 皆さんは上のほうにさらにシャクヤクを探しに行ったらしい。へそ曲がりの私は下のほうに行きます()。草が生い茂っていないので、歩くのにはそれほど難しくありません。ただ、斜面がきついので、一度下りたら、登りたくない。横に移動したつもりでも、いつの間にか下がっています。

 

DSC_7850 DSC_7841

 

 他のお客さんもいなくなり、人声も聞こえなくなり、少し霧が漂う森の下で、白いシャクヤクをたった一人で見るのは素晴らしいというよりも、すごい。しかも、ここはイランの山の上なのだ。

 

DSC_7851 DSC_7853

DSC_7848_0270 DSC_7821_0243

 

 皆さんを待たせるのはよくないが、花に来ている虫を見ながら、しばらくここにいたい気分です。

 

DSC_7787_0209 DSC_7835_0257

DSC_7799_0221 DSC_7806_0228

 

 白いシャクヤクに感動しながら撮影を終えて戻る頃には霧がかなり出てきました(写真下)

 

DSC_7856_0278 DSC_7865_0287

 

 写真下のヒツジたちは白いから羊毛用で、食用ではないのでしょう()

 

DSC_7861_0283 DSC_7860_0282

 

 

斜面のお花畑

 標高は2000mを越えていますから、天気は変わりやすい。

 

DSC_7879_0301 DSC_7889_0311

DSC_7876_0298 DSC_7887_0309

 

 今度は樹木のない斜面を登ります。

 

DSC_7892_0314 DSC_7907_0329

 

 斜面で最初に見つけたのがバイモです(写真下)

 

DSC_7897_0319 DSC_7898_0320

DSC_7964_0386 DSC_7965_0387

写真上下 Fritillaria kotschyana

 

 バイモはごらんのように地味な花が多い中で、昨年見た、インペリアリス(Fritillaria imperialis)はその常識を覆しました。大型で背丈もあり、色も形も派手です。しかし、バイモの多いイランでも、インペリアリスは例外のようで、ここのバイモのように他は軒並み地味で、これが普通です。同じ地域で、インペリアリスだけがどうしてあんなに変化したのか、興味深い。

 

P1090189 P1090227 P1090228

 

 黄色い花で目につくのは、先ほどもあったセネシオの仲間です(写真下)

 

P1090155 P1090156

写真上 Senecio vernalis

DSC_7915_0337 DSC_7919_0341

 

 もう一つ目につくのが斜面一面に咲くアザミです(写真下)

 

P1090163 P1090158

DSC_7941_0363 DSC_7940_0362

写真上下 Carduus seminudus

 

 90種類あるCarduusの仲間の内、イランには8種類あります(IRAN. J. BOT. 19 (2), 2013)。見た目には日本のアザミ(Cirsium)と似ているが、別らしい

 

DSC_7908_0330 P1090142 DSC_7910_0332

 

 沢に沿って白と黄色いの花が咲いています(写真下)。水はかなりの量が勢いよく流れていて、音が心地よい。

 

DSC_7955b

 

 その白と黄色の花は写真下です。

 

P1090182 P1090183

写真上 Cardamine uliginosa

P1090184 P1090185

写真上 Barbarea plantaginea

 

 どこに行ってもあるのがキバナノアマナで、トルコ、イラン、イラク、コーカサス、トルクメニスタンなどが原産地です(写真下)

 

P1090224

写真上 Gagea confusa

P1090170 P1090171

 

 写真下のコリダリスは主にイランに分布するとありますから、もしかしたら固有種かもしれません。

 

P1090172

写真上 Corydalis chionophila 

 

 写真下右のオーニソガラムはヨーロッパで一般的で、この種類はイランから北のコーカサスに分布しています。

 

P1090169 P1090186

写真上左 Ornithogalum sintenisii

 

 

雪融けのお花畑

 さらに登ると、雪が溶けて氷のようになっている残雪があります(写真下)。斜面は濡れていることもあり、なかなか登りにくい。雪で冷やされて霧が発生しています。

 

DSC_7968_0390 DSC_7975_0397

DSC_7978_0400 DSC_7974_0396

 

 霧が立ち上る斜面に白い花が一面に生えています(写真下)

 

DSC_7973_0395 DSC_7976_0398

P1090191 P1090193 P1090194

写真上下 Puschkinia scilloides

 

 この花はバンザーイと手を挙げているようにみえます。イラン以外では、トルコ、レバノン、シリア、イラク、コーカサスの北部に分布します。

 

P1090197 P1090204 P1090206

P1090210 P1090212

 

 花を良く見ると、白ではなく、真ん中に青い筋が入っているので、離れて見ると、花がちょっとだけ青味がかって見えます。

 

P1090215

 

P1090217 P1090219 P1090218

 

 写真下の青い花は上の白い花と同じ斜面に咲いています。こちらのほうが少ない。

 

P1090223 P1090190

P1090222 P1090199

写真上下 Scilla siberica subsp. caucasica

 

 この花は日本ではシベリアツルボ(Siberian squill)と呼ばれ、ヨーロッパから西アジア、コーカサスが原産地です。つまり、シベリアとは関係ない()

 

P1090220 P1090221

DSC_7970_0392

 

 写真下の黄色い花はととても面白い。同じ株から、斑点のついた花とついていない花とが同時に生えています。コーカサス、イラン、トルコ、ロシアなどの標高15003000 mに分布します。

 

P1090239

写真上下 Arnebia pulchra

P1090240 DSC_8001_0423

 

 薄黄色のオキナグサの仲間です(写真下)

 

DSC_8008

写真上下 Pulsatilla albana

DSC_8007b DSC_8010b

 

 コーカサス、トルコ、イランにかけて分布しています。そのせいかCaucasus Pasque Flower(コーカサスのオキナグサ)という英語名でネットで売られています。

 

P1090251b

 

P1090264 P1090265

 

 ここでは黄色だけですが、白や紫もあり、標高15003000mのここのような石の多い斜面や草原などに生えています。

 

P1090242b

 

P1090261b P1090244b P1090247

 

 日本のオキナグサは赤から紫なので、最初見た時、オキナグサの仲間だとは気が付きませんでした。写真下の二枚は同じ花です。

 

P1090255 P1090259

 

 写真下はヤグルマギク(Centaurea)の仲間で、日本のヤグルマギクのイメージとはだいぶん違う。昨年のイラン旅行でも、同じように地面に葉を広げた白花の仲間を見ました。

 

P1090267 P1090269

写真上下 Jurinea moschus subsp. pinnatisecta

DSC_8012_0434 DSC_8013_0435

 

 トルコからコーカサス、そしてイラン北西部に分布します。標高18003500 mの高山の厳しい環境に適用して背が低くなったのでしょう。ここのような陽当たりが良く、石が転がっているような斜面に生えます。

 

P1090229 P1090230

P1090231 P1090232

 

 写真下の上段のように花が周囲から開き始め、やがて下段のように全体が開き、下段の右では花弁が落ち始めています。

 

P1090276 P1090270

P1090279 P1090277

 

 一つだけ白花がある(写真下)

 

P1090233

 

 写真下はオオイヌノフグリの仲間で、花の形は似ているが、立ち上がって生い茂っている点が日本のそれとは違います。南西ヨーロッパ、コーカサスから西アジアなどかなり広い地域に分布します。ところが、ブルガリアでは絶滅危惧種になっています。

 

P1090275

写真上下 Veronica multifida

P1090272 P1090273

 

 写真下のマメの仲間の学名は、イランでは最近登録されたばかりらしく、しかも、その内容に疑問があるという(IRAN. J. BOT. 19 (1), 2013)。そういう小難しい話は学者にお任せしましょう()

 

DSC_8063_0485

写真上下 Oxytropis lupinoides

P1090282 P1090283

 

 高山らしく、天気は写真下のようで、変化が激しく、はっきりしない。

 

P1090285b

 

 家族連れがいて、自然を楽しんでいます(写真下)

 

DSC_8006_0428 DSC_7918_0340

 

 しかし、中には写真下右のように、道でない斜面をバイクで駆け上がる愚か者もいます。あんなふうに地面を踏みつぶして自然破壊をすると、こういう厳しい環境では復元が難しくなる。

 

DSC_8023b DSC_7988_0410

 

 

黄色いシャクヤク

 ノルジーさんが花を探して山を登り始めました(写真下左)。道などありませんから、急な斜面は手を借りて登り降りをします(写真下右)

 

DSC_8036_0458 DSC_8149_0571

 

 苦労して登った斜面にあったのは黄色いシャクヤクです(写真下)。今回のツアーの募集要項にもこの花の写真が使われるなど、目玉の一つになっていました。

 

DSC_8105 P1090317b

写真上下 Paeonia wendelboi

P1090312b P1090328

 

 分布はここです。イラン北西部のこの地域のみに咲くシャクヤクですから、希少性が高い。

 

P1090297 P1090298

DSC_8123_0545 DSC_8131_0553 DSC_8139_0561

 

 花弁は黄色いのがオシベで、赤いのがメシベらしい。花には虫が集まっていて、写真下右では甲虫類がゴチャゴチャと入り込んでいます。彼らも受粉に貢献しているのだろうか。

 

DSC_8127_0549 P1090291

DSC_8117_0539 DSC_8121_0543

 

 黄色いシャクヤクが咲いているのは、写真下のような斜面で、草と低い樹木が生えている程度で、おおよそ、シャクヤクが生えているイメージではありません。

 

DSC_8145_0567 DSC_8068_0490

DSC_8116_0538 DSC_8133_0555

 

 先ほどの白いシャクヤクは樹木の下のどちらかというと湿気のある環境でしたが、ここは逆で、樹木はなく、むしろ乾燥している。

 

DSC_8046_0468 DSC_8057_0479

DSC_8090_0512 DSC_8111_0533

 

 私は黄色いシャクヤクを見るのは、園芸種を含めてたぶん初めてで、大半の人がそうでしょう。シャクヤクといえば、赤、ピンク、白が普通で、黄色は珍しい。ツアーのカタログを見るまでは、野生で黄色があることも知りませんでした。

 

DSC_8096_0518 DSC_8099_0521

DSC_8050_0472 DSC_8051_0473

 

 ここは環境が厳しいせいか、全体に背丈は低く、花は葉の間に埋もれるように咲いています。午前中に見た白いシャクヤクは、栽培品と同じように、茎が長くのびて花が葉の上に突き出ていました。

 

P1090292

 

DSC_8052_0474 DSC_8044_0466

 

 写真下も、たぶん一株ではなく、複数の株が集団を作っているのでしょう。高山地帯など厳しい環境では小さな花がコロニーをつくるのが良く見られます。上に出ている花はまとまっておらず、ドーム状の葉の上に距離をとって一様に分布するように咲いています。たぶん、受粉する機会を増やすための共同作戦です。

 

DSC_8058_0480 DSC_8064_0486

DSC_8049_0471 DSC_8053_0475

 

 午前中のシャクヤクもそうなのだが、どうして品種改良などせずに、こういう自然のままのシャクヤクを売らないのでしょうか。ブルガリアで見たホソバシャクヤクなど、あのままが一番きれいです。

 

DSC_8054_0476 DSC_8055_0477

 

 黄色いシャクヤクに夢中になっていましたが、周囲には他にもいろいろな花が咲いています。写真下のアリウムはイランでは球根が食用にされているという。西アジアの標高1,6003,000mの乾いた岩場に生えるというから、ここはまさにその条件です。

 

DSC_8061b DSC_8066_0488

P1090310 P1090326

写真上 Allium akaka

 

 写真下のシソの仲間を検索すると、この植物から抽出した精油についての論文がずいぶん出てきます。元々、イランでは民間療法として、関節痛、痛風、腹痛などに用いていたようです。

 

DSC_8037_0459 DSC_8040_0462

DSC_8043_0465 DSC_8042_0464

写真上 Marrubium astracanicum

 

 写真下は最初見た時、スミレっぽくない姿なので、スミレとはわかりませんでした。しかも、数も少ない。

 

P1090348b P1090349b P1090350b

 

 写真下も昨年のイランで見た花で、日本ではヒヨスと呼ばれるナスの仲間です。この花を見かけるのはいつも道のそばです。

 

DSC_8150_0572 DSC_8152_0574

写真上 Hyoscyamus niger

 

 写真下は、こんもりとして、まるでツツジのようなマメ科の花です。

 

DSC_8189_0611 DSC_8193_0615

P1090360 P1090362

写真上 Onobrychis cornuta

 

 写真下はトルコ、イラン、イランに分布する野生のチェリーの仲間のようで、実は食べられるとあります。

 

DSC_8196_0618 P1090367

写真上 Prunus brachypetala

 

 写真下の白いマメの仲間を撮影したあたりで、今日の花の観察も終わりです。

 

P1090364

 

P1090365 P1090366

 

 昼食に食べた羊がいます()

 

DSC_8159_0581 DSC_8076_0498

DSC_8168_0590 DSC_8160b

 

 陽がだいぶん斜めになり、標高2000mほどの高原を照らしています。

 

DSC_8204b DSC_8211_0633

DSC_8201_0623 DSC_8209_0631

 

 

ハルハルに到着

 今日の宿泊地であるハルハル(Khalkhal)の街に入ってきました(写真下)

 

DSC_8224b DSC_8228b

DSC_8222_0644 DSC_8226_0648

 

 本日の宿であるKhalkhal Tourist Hotelに到着(19:20)。写真下のように、入口は一般の民家のような印象です。

 

P1090372 P1090373

 

 ロビーは豪華さはないが広々として雰囲気は良い(写真下)16室の客室はすべて二階にあります。

 

DSC_8236_0658 DSC_8245_0667

DSC_8238_0660 DSC_8239_0661

 

 一階にレストランが二つもあります(写真下)。宿泊客の数から言って広すぎるから、宴会などに使われるのでしょう。

 

DSC_8243_0665 DSC_8242_0664

 

 夕飯を食べに街中のSadeghzadeh Restaurantに行きました(20:47、写真下)

 

P1090376 P1090377

dinner190517

 

 ヨーグルトはニンニク入りで(写真下左)、私はいつものように1ドルのノンアルコールのビールです。

 

P1090380 P1090381

P1090382 P1090383

 

 食事を終えて、すっかり暗くなった道をホテルまで戻ります(21:45)。街灯の模様が何種類かあっておもしろい(写真下右)

 

P1090385 P1090386

 

 写真下が私の部屋です。建物同様に豪華さはないが、特に問題もありません。テレビはなつかしいブラウン管です(写真下右)。エアコンはなく、温水式の暖房装置があります。

 

DSC_8246_0668 DSC_8249_0671

 

 部屋はどうということはないのだが、驚いたのはトイレです。和式で、しかも洋式に変身できる優れものです(写真下右)。私はもちろん洋式には挑戦しませんでした()。他の大半の部屋は洋式だったようです。

 

DSC_8260b DSC_8258b

 

 トイレは笑ってすませるとしても、ひどいのは写真下のゴミ箱です。部屋の中にタバコの臭いが漂っているので周囲を探すと、犯人はこのゴミ箱です。前の人のゴミがそのまま残っていて、タバコの吸い殻がありました。つまり、ゴミを捨てていない。

 

DSC_8263_0685

 

 ゴミを捨てていなかったというのは大きい。しかし、このホテルは二つ星ホテルであり、シングルで20ドル程度で、3000円もしません。この料金なら、和式のトイレも、ゴミがそのままなのも、許容の範囲です。私のこの宿泊所のへの個人評価は少しおまけして、五段階評価の3.5とします。

 

 

 

トップペー 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10