赤道直下エクアドル・アンデスの花 4日目 2019年9月12日(木) リオバンバ → チンボラソ山 → バニョス 六時前には目が覚めました。日の出がその頃なので、外はまだ薄暗い。部屋の温度は19.8℃で寒くも暑くもありません。 本日は、この旅行の目的地の一つのチンボラソ山の麓に行きます。 朝食まで時間があるので散歩に出かけます。朝早いこともあり、通りは閑散としています。昨日も書いたように、せっかくの石畳の通りなのに、電柱や電線があって、風景がぶち壊しです。 通りの店はほとんど開いておらず、写真下右は開いていた数少ない店です。 黄色のタクシーが良く目につきます(写真下)。 ホテルから南東方向に向かってまっすぐに歩きます。碁盤目のように区画整理された街並みなので、右や左に何回か曲がってしまうと、自分がどこにいるのかわからなくなる。感覚や記憶はあてにならないので地図は持っていても、これも一つ通りを勘違いしたら、あてになりません。 たどり着いたのがPlaza Rojaという石でできた広場で、スペイン人が計画的に作ったのでしょう(写真下)。 周囲を取り囲む建物の一部に店があり(写真下左)、広場にも、たった一つ、店が開いています(写真下右)。日中来れば、ここには露店が並び、写真下右の緑色のビニールシートで囲んであるのも、たぶんそういう店なのでしょう。 広場の北東に面して建っているのが教会で、Iglesia Católica La
Concepción - Santuario del Señor del Buen Sucesoという長たらしい正式名で、設立は1650年というから、歴史ある教会です。 教会の中は聖職者の姿もなく、ミサも行われておらず、参拝者が何人かいるだけです(写真下)。イエスの像が真ん中に、下の段にマリアらしい像があります。カトリックの教会ではマリアが主役になっているのを見かけるが、ここはまだイエスが主役らしい。 教会の左隣に隣接する建物も入口が開いています(写真下)。Oratorio del Señor de
la Justicia de las Madres Conceptasという、これまた長い名前の礼拝所らしい。 なぜ教会とは別にこういう場所があるのかよくわかりません。目を引いたのが、入口のアスレホです(写真下)。アスレホとは主に青を基調としたタイルで作った絵で、スペインやポルトガルが発祥です。今回のエクアドルの旅行ではあまり見かけませんでしたから、スペインから運んできたのかもしれません。 広場に戻ると、学生たちの登校時間らしく、広場の反対方向に向かっています(写真下)。学校があるようですから、付いて行ってみます。 写真下左の二人は手をつないでいます。また、写真下右の二人は遅刻らしく、走って行きました。 バイクで子供を連れて来て(写真下左)、二人を学校の門の前で下しています(写真下右)。 高い塀に囲まれたColégio Maldonadoという立派な建物の学校です。 (https://www.colegiomaldonado.edu.uy/) ホテルに戻り、7時から朝食です。写真下右の古そうな木の箱は、投書とチップを入れる箱です。 朝のリオバンバ 予定通りに八時にホテルを出発しました。朝のリオバンバは、昨日夕方見たのとちょっと印象が違います。 私たちが泊まったホテルは駅の近くにあり、駅からアンデス縦断鉄道という観光列車が出ています。この街からの一番の観光は、これから私たちの行くチンボラソ山です。 時々、目につくのが、落書きとも芸術ともとれる絵です(写真下)。 店は、昨日と同じように、個人経営の小さな店が目につき、大きな店舗は見かけません。 昨日と同じように、道を行く人たちの中に、中高年を中心に民族衣装をまとった人をみかけます。 ガソリンスタンドの売店に立ち寄り、水などを買います(8:13)。 郊外に出るとのどかな田園風景が広がっています。樹木が昨日通過した所よりも少しだけ多いような気がする。 ランから始まる 本日、初めての花の観察はランです。ただ、ランだと言われてもわからないくらい花は小さく、色も地味です。 写真上 Cyclopogon peruvianum ランのそばに生えていたルピナスの紫色がきれいです(写真下)。 写真上 Lupinus pubescens 背の高いシソの仲間は花が終わっているらしく、ちょっとだけ花が残っています(写真下)。 写真上 Salvia macrostachys 写真下右はヒガンバナの仲間です。 写真上左 Bidens andicola、 写真上右 Stenomesson aurantiacum 写真左はベンケイソウ(Echeveria)の仲間で、たぶん赤いのが咲きかけている花でしよう。 写真下もベンケイソウかと思ったら、カタバミ(Oxalis)の仲間だという。私の周囲に生えているあの黄色く細いカタバミとは似ても似つかない。 農村らしく牛たちも出勤の時間のようです(写真下)。 農村地帯を抜けて、道はしだいに高度を上げて行きます。 チンボラソ山の麓 雲のかかったチンボラソ山が見える頃に、樹木がほとんどない高度四千メートルに到達しました(写真下)。 強い風の中、花を探します。少し青空が見えているのに、雨もぱらついています。 写真下は、ハマウツボの仲間で、エクアドルの固有種です。 写真上 Castileja nubigena 写真下は上と同じかと思って撮ったのですが、良く見ると、別種です。 写真下のルピナスはコロンビアからペルー、ボリビアまで分布します。 写真上 Lupinus microphyllus 写真下は花が3~4個が外向きに開いており、しかも、その花弁の後ろに白の混ざった別な花弁が付いています。花弁の形から言うなら写真上のルピナスと同じマメの仲間かもしれません。 こういう厳しい環境ですから、地面に這うように生えているので、花の葉がどれなのか、特定するのが難しい。 リンドウの仲間 斜面で目についたのが写真下の薄ピンクや薄紫の花で、クロッカスかと思ったらリンドウだという。 写真上下 Gentianella cerastioides 主にエクアドルのアンデス山脈に沿って分布し、隣接するコロンビア南西部にもあります。 花の根元にある緑色の小さな葉がこのリンドウの葉で、まるでコケみたいに密集しています。高山など厳しい環境の植物には良くあることで、地面を葉でおおいつくし、クッション状態になっています。 この後にも紹介するように、ここはリンドウの仲間が多い。しかも、同じリンドウでも姿形がずいぶん違います。 花の色は写真上のようなピンクと、写真下のような白に近いような薄ピンクがあり、こちらはやや少ない。 写真下はフデリンドウに似ているので、いかにもリンドウです。写真下左は、肉眼で見ても白に近い。 写真上 Gentiana sedifolia ここまではリンドウらしい姿をしています。ところが、写真下もこれでリンドウの仲間だという。角の生えた竜の頭みたいに見えます。リンドウは漢字では竜胆だから竜に似ている、なんてのは嘘です(笑)。コロンビア、エクアドル、ペルーに分布します。 写真上下 Halenia weddelliana キクの仲間 地面に花が落ちたようにキクの仲間が咲いています。後ろに見える雪山がチンボラソ山です。 写真上下 Werneria nubigena ネットでの解説を見ると、この花はアンデスの高湿地に多く見られるという。つまり、ここは見た目よりは水分が多いのでしょう。たしかに青空でも雨がぱらつくし、雲がかかりますから、霧による湿気があるらしい。 ここではあちこちに分散して咲いているが、湿地帯だとまとまって大きな集団になり、他の植物を排除するというから、様々な環境で強い植物のようです。 写真下のピンク色は、葉や花弁の付き方から、上と同じ種類ではないかと思います。 写真下は黄色いでタンポポ風です。 写真上下 Hypochaeris sessiliflora 写真下は色が白いだけかと思ったら、別種です。写真上がエクアドル、コロンビア、ペルーなど広く分布するに対して、写真下はエクアドルの固有種で、だいぶん減っているらしい。 写真上 Hypochaeris sonchoides 白と黄色のツーショットです(写真下)。 リンドウとの記念撮影です(写真下)。 写真下のキクの仲間は日本でもウィンターコスモスという名前で流通しているそうです。コスモスとは葉の似ているというが、写真ではわかりません。メキシコからチリまでの中南米に分布します。 写真上下 Bidens triplinervia 緑の絨毯が作る生態系 地面に緑色の絨毯を広げたように覆い尽くしています(写真下)。オレンジ色の花はリンドウの仲間です。さきほどのクロッカスやフデリンドウなどとは、同じリンドウの仲間でもすいぶん姿が違います。 写真上下 Gentianella cernua この花を最初見た時、絨毯を作っているとんがった葉がこの花の葉なのだと思いました。ところが、写真下を見てください。茎についている葉は色も形も全然違う。緑のとんがった葉の植物とリンドウは競争相手なのでしょう。 下向きに咲くので正面からの写真は撮りにくい。 写真下のように赤味の強いのもあります。 写真上と花の姿がそっくりが写真下の別種のリンドウで、花が上向きなので区別がつきます。 写真上下 Gentianella rupicola いったい、この緑のとんがった葉の絨毯は何なのだろう?写真下では黄色い花が咲いていますが、これも絨毯の花ではなさそうです。 写真上下の黄色い花 Azorella pedunculata クッション状なのに手で押すとかなり固いので、私は試しにその上に乗ってみました。へこむこともなく、私の体重を支えて、人工芝生のような印象です。 同じように人工芝生を敷き詰めたような写真下は、写真上とは別な「芝生」です。白い花はこの葉の花で、今は閉じた状態で、開くとキクの仲間らしい花になります。 写真上下 Xenophyllum humile 写真上下ではまるでコケのようですが、実際はこの下に茎があり、クッション状態です。 写真下もクッション状に広がっていて、ほぼエクアドルにのみ分布しますから、固有種と言っていいでしょう。 写真上 Eudema
nubigena
subsp. remyana 写真を撮っている時には、写真上と下は同じ花だと勘違いしていました。良く見ると、上は花弁が4枚で薄黄色、下は花弁が5枚で黄色です。 写真下のように、地面に張り付いたまま、葉をのばすロゼットがここでは多く見られます。直径は10cm程度の小さな植物で、ネット上の写真を見ると、株が集まって、全体でボールのような形を形成することもあるようです。写真下などその初期段階なのでしょう。 写真上下 Valeriana rigida ネット上の説明では花はかなり不愉快に臭いがするとありますが、気が付きませんでした。風が強い上に、花を近づけるには地面に這いつくばらないと無理です。たぶん、ハエなどに受粉してもらうのでしょう。コロンビア、エクアドル、ペルーに分布します。 写真下がフウロソウの仲間だと聞いて、驚きました。高山植物として日本でも見慣れたフウロソウとは大きさだけでなく、姿形も似ていません。これも株が集まってクッション状態になっています。 写真上 Geranium ecuadoriense 写真下はツツジの仲間で、青い実がなり、生やジャムで食べられるそうです。ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、ベネズエラなどのアンデス山脈に分布し、普通の環境なら2~3mくらいの高さになるのに、ここでは地面を這うように成長しています。 写真上 Vaccinium floribundum 蜘蛛の巣が張ったような写真下はこれも防寒対策なのでしょう(写真下)。 四千メートルの高地は遠くから見ると、樹木もないから荒涼した雰囲気だが、意外にも豊かな生態系です。その元となっているのが植物が絨毯となって地面を保護していることです。表面を隙間なく覆うので、雨や強風でも土が流れない。 植物の絨毯はクッション状態だから、外気と土の間に別な空間が出来て、水分も保持しやすいから、外気とは温度も湿度も違うでしょう。その空間にたくさんの虫がいて、絨毯の中に大きな生態系を作っているはずです・・・もちろん、掘って確認したわけではありません。 目の前のチランボラソ山頂付近には雲がかかり、青空が見えながら、突然、雨が降ってきたりと、10分後の天候は予想がつきません。 4370mにある旅行者サービスセンター 道の途中にある施設で昼食です(12:12)。このあたりで標高4370mです。 看板には旅行者サービスセンター(Centro de servicios
Turisticos)とあります。ここからチンボラソ山への登山道があり、登山には登録が必要で、手数料はいらないが、人数に制限があるとあります。自然保護と、標高5000mほどにある山小屋の収容人数に限界があるからでしょう。 敷地に咲いていたのが、写真下の黄色い花です。ここ以外では見かけなかったので植えたらしい。エクアドルやコロンビアのアンデス山脈に生えている植物です。猛烈な風で焦点を合わせるのも容易ではない。 写真上 Senecio niveoaureus 昨日の昼食が少ないと文句をいった成果で、本日は質・量ともに増えました(写真下)。4370mで食べるヨーグルトはなかなかおいしい(笑)。 チンボラソ山(Volcán Chimborazo)は高さが6,268mですから、世界最高峰のチョモランマ(8,848m)に比べると、ずっと低い山になります。ところが、地球の中心から測ると、チンボラソ山のほうが2100mほど高くなります。地球は完全球体ではなく、回転によって赤道付近が膨らんでいますから、赤道近くにあるチンボラソ山は下駄をはかせてもらっているのです。 そう言われると、なんか重力も低いようで、身体がフワフワしている・・・これは単なる高山病の初期症状です(笑)。 地図上 Wikipediaより転載 ビクーニャがいます(写真下)。南米には他にもラマ、アルパカ、グアナコなど似たようなラクダの仲間がいて、区別がつきません。ビクーニャはその中で一番小柄です。上質な毛が採れるのに家畜化が難しく、毛を採るために殺していたので一時、激減しました。 彼らが車が通る道の近くにいるのを見てもわかるように、人をあまり恐れていません。私たちは運よくたまたま見かけたのではなく、ここに来ればほぼ見られるようで、グーグル・アースのストリート・ビューにも写っています。 写真上下 Vicugna
vicugna 実は、これは野生ではありません。Wikipediaが引用している文献には、エクアドルでビクーニャがいるのはここだけで、しかも、Extant&Introducedとありますから、人間が連れて来たらしい。元々、ここにいたのが絶滅したので連れて来たのか、彼らの上質な毛を採取するための半家畜なのか、文献には何も書いてありません。もし後者なら、下手すれば自然破壊です。 変なスミレ この葉でスミレだというから驚きです(写真下)。たしかに花はスミレだ。葉がロゼット状に広がっているので、ロゼット・ビオラと一般的に言われています。 写真上下 Viola bangii 直径1cmほどのボールペンと比較してもわかるように、小さなスミレです(写真下)。 花の多くは葉の中に埋もれています。ところが、写真下のように、花は根元からまっすぐにのびているのではなく、上にいったんのびた後、首を曲げるようにして、葉の間に埋もれています。虫の目に付きやすいためだけなら、のばしたほうが得策だが、ここは寒く、強風の吹き荒れる場所ですから、葉の中に埋もれることで、花を守っているのでしょう。 もう一つおもしろいのは、花の茎に紫のマークがついていることです。 エクアドルからペルーにかけてのアンデス山脈に分布します。 写真下左の花の左隣についているのは去年の花というか、種の殻でしょう。 もっと変なスミレ ここまでのスミレは、花だけはスミレの姿をしているが、写真下を見た時にはうなってしまいました。まるでシャボテンの仲間の多肉植物みたいです。しかも、これで花を咲かせているという・・・どれが花? 写真上下 Viola polycephala ボールペンと比べても全体が小さいのがわかります。そこにさらに小さい黄色い花が付いています。ボールペンの先端の径は3~4mmですから、花は大きくみても1cmはありません。 花は小さくて、地面にはいつくばっても老眼で見ることは無理で、カメラで拡大してみると・・・えっ?これがスミレ?? 花弁の形がスミレと言われればそうだが、まず色がおかしい。遠目には黄色に見えたが、拡大すると、ほとんど黄緑と言ってもいいような濁った色です。しかも、個体によっては前に突き出た花弁のみが黄色で、残りの4枚は葉と変わらないような色です。 写真下など見てください。これでは葉と花の区別がつかない。のぞきこんでも、オシベやメシベは見えませんから、奥のほうに隠されているようです。 他の植物と同様に、集団になって厳しい環境乗り越えようというのでしょう。離れて見ると、小さな亀みたいで、亀スミレだ。 このスミレが生えている所が写真下で、この環境では集団にならないと生き残れないでしょう。 写真下にスミレが写っているのがわかるでしょうか。地面に溶け込んでしまい、わかりにくく、最初はなかなかみつからなかった。一つ見つかり、目が慣れると、すぐそばにもあることに気が付く。 スミレは写真下のカメラの先にあります。 こんなふうに非常に見つけにくい。見つけても一度目を離すと、どこにあったのかわからなくなる。そこで周囲を石で囲み、踏んづけたりしないようにしました。写真下のサークルの真ん中にスミレがあるのですが、わかりますか? 旋風で砂だらけ 目の前にチンボラソ山があるが、山頂部は雲がかかって、強風なのがわかります。実際、私たちのいる所も樹木などさえぎる物がありませんから、風が強く、花の写真を撮るのにはありがたくない。 写真下のような旋風まで起きていて、私を含めた何人かが巻き込まれました。強い風で砂塵が舞い上がり、特に地面近くで写真を撮っていると、顔に粉のような砂がぶつかるのがわかります。顔をティッシュで拭くと砂がつき、眉毛あたりに砂が貯まっていました。カメラもひどい状態で、ウェットテッシュで拭いても、一眼レフのズームのすべりが悪くなり、帰国後、メーカーに修理に出すことになりました。 写真下を遠くから見た時、赤い花が咲いているのかと思いました。近づくと・・なんだ、これ?赤いツクシみたいな植物がニョキニョキと生えている。これから葉を広げて、花を咲かせるのだろうが、何だか、わからない。 写真上下 Phlegmariurus
crassus 写真下の花はセネシオの仲間で、下段が実をつけ始めているので、綿毛が出来ています。エクアドルとコロンビアに分布します。 写真上下 Senecio chionogeton 写真下はこれもキクの仲間で、樹木化しており、背丈も50cm以上あるでしょう。 写真上下 Chuquiraga jussieui エクアドルとペルーに分布し、ハチドリもこの花の蜜を吸うというが、いくらなんでも四千メートルの高地にハチドリはいない。 写真上と下では別種なのに、花以外の外見が良く似ています。つまり、葉を小さくして茎に沿って密に生え、一本ずつが背伸びして集団を形成するというのが、彼らの生き残り作戦なのでしょう。 写真下は、これで枯れているのではなく、咲いているらしい。 写真上下 Senecio nivalis 豚の切り売り チンボラソ山の北側を迂回するように下山していきます(写真下)。天気は相変わらず悪い。 道端の屋台の前で車を停めました。写真下右を見てください、ブタを丸ごとぶら下げて、切り売りしている!!日本人には受けないが、わかりやすい。 写真下が豚肉を豚の油で揚げて煮込んだ食べ物で、思ったほど脂っこくなく、地元の料理としておいしくいただきました。 アンバート(Ambato)という大きな街が見えてきました(16:03)。標高2500mほどまで下りて来たので、青空も見えています。 地図を見てもわかるように、朝出発したリオバンバとアンバートはチンボラソ山の東側を通ると60kmほどで、1時間ちょっとで来れます。 写真下の座っている二人の女性は糸を紡いでいます。 街のあちこちで見かけるのが屋台です。 写真下のテントは形が同じですから、雨対策に露店のために作ったものらしい。 日本と同じでここも地震が多く、近代では1949年に大地震が起きて、死者6000人という壊滅打撃を受けています。 洋服の街? ガソリンスタンドでトイレ休憩です(16:25)。 この街で驚いたのが写真下です。通りの両側に衣料品店が軒を並べている。通過した範囲では少なくとも百軒以上はあるでしょう。Wikipediaで見ても、特にこの街が衣類の生産地だという記述はありません。 アンバートは2010年で人口が33万人、市街地だけで28万人という大きな都市ですから、これだけ店があっても需要はあるでしょう。また、小さい店が大半で、スーパーやデパートのような大型の店舗は見かけませんから、全体としては見た目ほどには多くないのかもしれません。 ブティックのような店は見かけず、大半が庶民が着るような実用的な衣類です。まだ9月なのに、ほぼすべてが長袖で、ダウンのようなジャケットもあります。エクアドルは一年を通して同じような気候で、この街も一年を通して平均最高気温が20℃前後、最低気温が8~9℃ですから、日本のように季節ごとの服装が必要ありません。 アンバートの市街地を通過して、再び、道は山の中に入ってきました。 道端にあったのは毎度見かける「ランらしくないラン」です(写真下)。 写真上下 Epidendrum secundum 観光地バニョス 目的地のバニョスに近づくにつれて、道の両側に売店が目に付くようになりました(写真下)。 道端に店が多いのは、これから行くバニョスが温泉のある観光地だからです。 バニョスとはスペイン語で温泉や風呂を意味しており、ドルが通貨で暮らしやすいことから、アメリカなどから引退した人たちが移り住んでいるそうです。 先ほども見て食べた豚の切り売りです(写真下)。 写真下の店でぶら下げられて黄色いのは、ネットに入った夏ミカン(甘夏?)です。 やがてバスは見覚えのあるバニョス(Banos)の市街地に入ってきました。もちろん私はここに来るのは初めてだが、ストリート・ビューでホテルの周囲を何度か見ていたので、通りに見覚えがあったのです。ホテルはたしか幹線道路を右(南)に曲がったところ・・・あら?通過してしまいました。私の勘違いらしい。 バスは街中の飴屋の前で停まりました。写真下の若い男性が飴を引き延ばして、切り取っています。飴がここの特産なのは、サトウキビの産地だからです。 この飴屋に寄るためにホテルへの道を通過したかと思ったら、そうでもなく、そのまま進みます。しかし、着いた所は別なホテルで、引き返すことになりました。植物ガイドのトバールさんが、前に泊まった別なホテルと勘違いしたらしい。 飴屋の前を逆戻りし、幹線道路から南側に登り始めると、まもなくホテル・Casa Giraldaに到着しました。 (https://www.casagiralda.com/) 旅行会社からのお知らせに書いてあったホテルとは名前が違います。入口の看板の電話番号が同じですから、ホテルのオーナーが変わり、名前が変わったのでしょう。写真下右に写っているのはすべてホテルの建物です。 建物の一つが受付になっていて、広いロビーには古い蓄音機などが飾ってあります。 敷地内には屋内プールと屋外プールがあり、屋外プールには滑り台まで付いています(写真下)。 敷地内に戸建ての建物がいくつも並び、一つ建物の一階と二階で二部屋になっています(写真下)。 お客さんが建物のひさしの上に生えているランを発見しました(写真下)。湿気があるから、自然に種が飛んでくるのでしょう。 七時から敷地内のレストランで夕飯です(写真下)。広いレストランなのに、客は私たちだけです。他に泊り客がいないのだろうか。 奥で料理を作っている人がいるのだろうが、配膳は女性が一人です。 料理人は頑張ったらしく、写真下のデザートなどなかなか凝っています。 私の部屋は写真下右のような建物の二階です。外見はおしゃれなのに、中身が伴いません。 写真下は部屋の北側のベランダからの眺めで、目の前にあるのは屋内プールの屋根で、採光用の窓が屋根についています。 写真下が部屋のドアを開けた南側の風景で、左側に川が流れており、この写真の方向が上流です。 部屋は壁の一部が屋根なので、屋根裏部屋みたいであまり広くはありません。写真下左のドアが入口で、写真下右の窓のそばのドアはベランダのドアです。 昔なつかしいブラウン管テレビです(写真下)。この時代物のテレビを見てもわかるように、全体に古臭いが、問題はそこではありません。 タオルが湿っているのは天候のせいでしかたないとしても、最大の問題はお湯が出ない。最初、ぬるま湯が出てきたのでシャワーを浴びようとすると、間もなく水になってしまい、あわてて浴びるのを中止しました。部屋の温度は18℃くらいでしたから、寒い。後で聞くと、同様にお湯が出ない人が三人いました。お湯をいっせいに使ったせいなのかと、翌朝出してみましたが、結果は同じでした。 このホテルへの評価は五段階評価の2.5で不合格です。お湯が出ないのはホテルとしては論外です。他の設備に大きな問題がなかったのに厳しい点数をつけたのは、ここは三ツ星ホテルを自称して、この時期の料金が7280円と、この国にしては安くないからです。田舎のゲストハウスならともかく、この値段で、温泉の出る観光地でありながら、お湯もろくに出ないなど論外です。 |