赤道直下エクアドル・アンデスの花 7日目 2019年9月15日(日) サンイシドロ → アンティサナ自然保護区 → キト → 敷地の花 朝、六時前に起きると、部屋の温度は15.5℃で、旅行中のホテルの部屋の温度としては一番低かった。寒いのでフリースを着ました。これが赤道直下のジャングルでの九月です。 今日はサンイシドロを出て、アンティサナ自然保護区などを訪れて花を探しながら、再びアンデス山脈を横断して、キトに戻り、帰国の途につきます。 食事前の6:45から植物ガイドのトバールさんがロッジ内の敷地を案内してくれるという。敷地と言っても周囲はジャングルで、とこまで敷地でどこからがジャングルなのか区別がつかない。曇っているのでジャングルの中は明るくありません。昨日の朝のように雨が降るより良しとしましょう。 ここは花もさることながら、鳥の観察で有名らしく(写真下)、観察道がいくつもあります。 敷地のランは自然のものではないのが含まれるというから、移植したと考えたほうがいいでしょう。 写真上下 Cyrtochilum diserratum 直径1cmのボールペンと比較しても、かなり大きなランなのがわかります。 写真下のランはエクアドルにのみ分布する固有種のようです。 写真上 Cyrtochilum midas 写真下の左右のように似たようなランでありながら、別なグループだという。 写真上左 Prosthachea vespa 写真上右 Odontoglossum epidendroides マシキラリアはゴツイ感じの花が多いのに、こういうヒゲがのびたようなわりと繊細な花もあるのだ(写真下)。 写真上左 Maxillaria ecuadorensis 写真上右 Maxillaria lepidota 葉っぱの上に花が乗っているランで、この種類はここで初めて見ました。これなら花が他の植物に邪魔されることなく、目立ちます。 写真上下 Pleurothallis ensata ホテルの敷地の歩道に沿って、ラン以外にも様々な花が咲いています。 写真下はキキョウの仲間です。エクアドルのキキョウの仲間は日本のそれとイメージがずいぶん違う。 写真上 Siphocampylus の仲間 写真下は花だと思うが、何がどうやっているのか、さっぱりわからない。 写真下はこれまでも何度か見たノボタンの仲間です。同じ幹から色違いの花が咲いている。 写真下は葉や花から見ると、シュロの仲間でしょう。他の植物が様々な工夫をしているのに対して、写真下右の花は、おおよそ虫を集めようという熱意が感じられないから、風で受粉するのでしょう。 イネ科の植物が繁栄しているのだから、風作戦も有効な手段なのはわかるが、そうなると、地球の裏側までこれを見ようという気力は起きないから、このツアーはたぶん成り立たない 写真下など、青と黄色の組み合わせで虫の関心をひこうとしています。奇妙なのは、花にとって対象外の人間が花を美しいと感じ、彼らの出す香りの大半を心地よいと感じることです。虫と人間の五感がかなり似ていない限り、こんなことはおきないはずです。 被子植物は白亜紀(一億4,500万年前~6,600万年前)に出現したとされています。恐竜たちも花を見て、きれいだと感じたのだろうか。 ネコよりも大きい小さな黒い動物がいます(写真下)。野生だが、餌箱が置いてあるから餌付けされているようで、人間が遠巻きに見ても、それほど恐れません。 ブラックアグーチ(Black agouti)と呼ばれ、見てのとおりの大型のネズミです。日本にはヌートリアという大型のネズミが住み着いているし、動物園にはカピバラという大型のネズミが人気を集めていて、いずれも南米出身です。 写真上下 Dasyprocta fuliginosa レストランではハチドリの餌付けをしています。見事な緑色のハチドリです(写真下)。写真下は尾羽が長いことからLong-tailed Sylph(アオフタオハチドリ)と呼ばれています。長い尾羽は飛行には邪魔だが、メスは最も尾羽の長いオスを選びます。当然、メスはこんな邪魔な尾羽は持っていません。 ハチドリとは飛びながら蜜を吸うのが習性かと思っていたら、ここでは停まって蜜を吸っています。花のように停まるところがないからホバリングしているだけで、どうやらハチドリも停まったままで食事をしたいらしい。 ハチドリを見ながら、昨日と同じホテル敷地内のレストンで朝食です。 サンイシドロの周辺 ホテルのオーナーの見送りを受けて、八時にバスは出発しました。まずはこのサンイシドロ周囲のジャングルを少し散策します。ここには鳥や花を観察するための散策路が広範囲にいくつもあります(下図)。 ジャングルらしい巨大なシダです(写真下左)。 ロッジの敷地でも見た、長いヒゲを付けたようなマキシラリアがここにはたくさん咲いています。 写真上 Maxillaria lepidota 写真下もロッジでも見られたランで、ここのは株も大きく立派で、花がたくさん咲いていますから、植木鉢に入る大きさではありません。 写真上 Prosthechea vespa 写真下のランは木の根元に落ちていました。そばで撮れるから、我々にはありがたいが、ランにとっては危機です。 写真上下 Epidendrum mancun group 樹木に付着していたのが風などで落ちたのでしょう。地面に落ちてしまうと、もはやランは生きていけません。そこで植物ガイドのトバールさんが近くの杭にこのランをひっかけてあげました。しばらくは生き延びるだろうが、強い風が吹いたら、また落ちそうです。 木の切り株を植木鉢代わりにランが生えています。あの樹木化している「ランらしくないラン」です。 写真上 Epidendrum secundum group 牧草地のほぼ全ての杭の上に、シダの仲間が生えています(写真下)。 ビニールハウスもあります(写真下)。斜面に作ったら温度に落差がでるだろうから、何か理由があってわざとそうしているのでしょう。植物ガイドのトバールさんによれば、果樹は動物による被害があり、農家は害獣として殺してしまうので、動物の保護のためにも、彼らが入れないビニールハウスは双方にとってプラスするとのことでした。 地球の反対側なので日本では見慣れない花が多い中、ウツボグサがありました(写真下)。逆に、ここにとっては外来種です。 写真上 Prunera vulgalis ちょっとわかりにくいが、写真下はカタバミの仲間です。エクアドルのアンデスに普通に生えています。 写真上 Oxalis lotoides これだけ赤い花が集まると、道端で激しく目立っています(写真下)。 写真上 Bomarea sp.の仲間 写真下はアカバナの仲間で、上段は主にエクアドルに、下段はボリビアからペルーにかけて分布します。 写真上 Fuchsia sylvatica 写真上 Fuchsia dependens 写真下の花は下を向いているので、こんなふうにして撮ります(写真下左)。 写真上 Psammisia oreogenes 写真下は同じPsammisiaで、見たのはここだけです。強烈な赤が多い中、一部が薄いピンク色だとかえって目を引きます。 写真上 Psammisia ferruginea 写真下はツツジの仲間です。 写真上 Ceratostema peruvianum 写真下はこれでもキキョウの仲間です。 写真上 Centropogon仲間 真っ青なサルビアにお目にかかるのは二度目で、日本にはない真っ青な色には感動します。写真下左ではカトンボのような虫がいます。こんなのが蜜を吸うのだろうか。 写真上 Salvia scutellaroides 土砂崩れ イシドロでの観察を終えて、幹線道路に戻り、ガソリンスタンドでトイレ休憩です(11:05)。 相変わらずの天気で、川はかなり増水しています。 土砂崩れを取り除いた跡があり、そこを通過してすぐに車が渋滞していて、嫌な予感(11:33)。 写真下の何か荷物を持った人たちは渋滞した車相手の物売りです。私たちのバスのドライバーも何か買っています(写真下右)。 物売りがいるほど渋滞時間が長いわりには、車の台数はそれほど多くありません。と言うことは、時間をおいて少しずつ通行させているのでしょう。停車から10分ほどで車列が動き始めました。幸い、この日の土砂崩れはここだけでした。 アンティサナ自然保護区へ アンティサナ自然保護区(Antisana Ecological Reserve)に入るために、山を登り始めました。 保護区までの道は開墾された牧場で、樹木はまばらです。生活のために必要とはいいながら、ここが大規模な雲霧林であったことを考えると、悲惨な光景です。 枝にタカのような猛禽類が停まっています。強烈な視力でこちらの様子など丸見えなのでしょう。 さらに登るとようやく森林が伐採されていない地域に入ってきました(写真下)。これなら、何かありそう。 早速、樹上に黄色いランが見つかりました(写真下)。一緒に写っている細長い葉がこのランの葉のようです。成長すると3m近くにもなるという。 写真上下 Cyrtochilum macranthum 写真下は先ほど切株の上にはえていたのと同じで「ランらしくないラン」と私が名前を付けたランです。先ほどのは花の色がぼやけていたが、ここは見事な朱色です。 写真上 Epidendrum secundumの仲間 自分でもいけないと思うのは、写真下のようなありふれた外見のランを見てもだんだん感激しなくなっていることです。本当は写真下のランも初めて見るのだから、感動しなければならないのですが・・・。 写真上 Pterichis triloba 写真下のような小さい薄黄色のランはこれまでも何度も見ましたが、これは初めてです。ランにしては地味でも、南アメリカ全土にあるというから、見た目よりは強いらしい。 写真上下 Stelis pusilla テリポゴンがさらに二種類 数日前も見たあのパラボラ・アンテナのようなランです(写真下)。こちらは何度見ても感動する。これは前見たのとは別で、二番目の種類です。 写真上下 Telipogon hausmanianus ランの多くは樹木の高い位置に生えていて、ポツンと咲いているのはきれいです。 写真下は三番目の種類で、学名にはこの地方の名前が付いていて、実際にエクアドルの北東部のみに分布するから、固有種です。 写真上下 Telipogon cuyujensis ランにしては珍しく、三枚の花弁が花を構成していて、ガクは写真下のように後ろに引っ込んでいます。特に、普通は花弁の一つが唇弁として下から突き出ているのに、これは唇弁が他の花弁と同じような形で、上にのびています。 直径1cmほどのボールペンと比較してもわかるように、花は小さい。ランの花の構造は訳が分からないのが多く、これもその一つです。前や横から見ても、いったい、どうなっているんだ? 雲霧林の花 森林の中は十分な湿気があるのでラン以外の花もたくさんあります。 写真下は前にもすでに出てきたことがある花で、このままのデザインで子供のオモチャやお菓子が作れそうです。 写真上 Kohleria affinis 写真下は中米のコスタリカからボリビアまで分布して、6mくらいまでなり、赤味をおびた樹木がフェンスや木工品として使われるという。 写真上 Escallonia myrtilloides 先ほどの青いサルビアに続いて、今度はこれまたきれいなピンク色のサルビアです。日本で市販されているサルビアよりもこういう野生のほうがずっときれいです。 写真上 Salvia tortuosa 青紫のルピナスがちょっとした茂みを作っています(写真下)。 写真上下 Lupinusの仲間 写真下はキキョウの仲間のようです。ネットでこの花を見ると、写真下は被写体としてイマイチで、たぶん終わりかけている。エクアドルに主に生えていて、生息域が減っているそうです。 写真上 Siphocampylus lucidus バスの中で昼食です(13:13)。今日もボリュームがあります。 霧雨のアンティサナ自然保護区 別なアンティサナ自然保護区の入口に到着しました。アンティナサ山の北側にあたり、標高は3420mほどです。先ほどの樹林と違い、高い樹木は少ない。 枯れたような風景でも、良く見ると、足元にはいろいろな花が咲いています。 シャコバサボテンかと思ったら、キクの仲間だという(写真下)。ペルーでは伝統医療の薬として用いられています。 写真上 Bacchalis genistelloides 日本やユーラシア大陸では、高山植物といえばウスユキソウ、いわゆるエーデルワイスとその仲間が良く見られます。しかし、ここではかろうじて写真下のハハコグサの仲間らしいのが見られる程度です。 写真上 Gamochaetaの仲間 写真下は葉や花から、赤いユリだろうかと期待してしまったが、考えてみれば、南米にはユリはありません。 小さなツツジの仲間で、花の色と形が気に入りました(写真下)。きれいに咲いているのはこのあたりの数個しかない。 写真上 Disterigma codonanthum 写真下のような、日本でいえばドウタンツツジの仲間がエクアドルには多い。 写真上 Disterigma仲間 これらの植物が人気があるのは花よりも実で、次の植物がそれです。 写真上 Pernettya prostrata 写真下は、上段が花、下段が実です。こんなふうにきれいな実がなるので、好まれるようです。 写真上下 Pernettya prostrata すっかりお馴染みの袋のついたキンチャクソウの仲間で、この種類は初めてです(写真下)。 写真上下 Calceolaria calicyna 写真下は同じキンチャクソウの別種です。 写真上 Calceolariaの仲間 アア 天気は相変わらず、雨が本降りでないだけ良しとしましょう。 3400mの高山にランが咲いているのだから、すごい。写真下はコロンビア、エクアドル、ペルーに分布します。 写真上下 Pterichis triloba 写真下は雨でうなだれて、花が十分に開いていないランです。 写真上下 Elleanthus gastroglottis 写真下のランなどまるでマントで頭を覆うようにして、雨の直撃を防いでいますから、虫にとってはありがたい雨宿りになります。 写真下左は色違い・・・いや枯れ始めて茶色になっただけか。写真下右も、花弁やガクが細いから別種か、あるいは開花に失敗した? 写真下のランはベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルーに分布し、このランに限らず、アンデスを中心とするこのあたりの植物相がひとまとまりだということなのでしょう。 写真上 Ornithidium serrulatum 写真下は花の大きさはせいぜい5mmくらいで、花も植物全体も小さい。中米からペルーまで分布し、咲く期間は短いというから、ちょうど良い時期に来たようです。 写真上下 Pachyphyllum crystalinum 「アアだ」と思わず言う(写真下)。9月11日にもポツンと一本だけのアアを峠の雨の中で見ました。茎の一番太いところでも直径が1cmはないでしょう。まるで枯れた花だが、良く見ると、花が咲いていて、しかもランの姿をしている。 Aaという奇妙な属名がついた理由は、ランを一覧表にしてアルファベット順に並べる時、先頭にくるようにしたという説があるようです。地味なランだから、名前で目立たせてやれと考えた人はなかなか賢い。おかけで、素人の私はランの名前なんて覚えるつもりもないのに、この冴えない姿と単純な名前はすぐに覚えました。 この奇妙なランを見たのが最後で、ここから先はランはありませんでした。 写真上 Aa hartwegii Papallacta湖の近く 道はさらに高度を上げていきます。写真下右は川を堰き止めて造った人工湖(Laguna Papallacta)で、このあたりも標高3400mほどです。 写真下左はフウロソウです。日本やユーラシア大陸では高山といえば必ずフウロソウが出るものだが、エクアドルでは、見かけるが、あまり目立ちません。 写真上左 Geranium ecuadorensis 写真上右 Solanumの仲間 今日はサルビアの仲間を青、赤、そして紫と三種類も見かけました(写真下)。 写真上 Salvia pichinchensis 写真下のキクの仲間はエクアドルのみで見られ、しかも生息数が減っています。 写真上 Aetheolaena subinvolucratus 樹木化したキクの仲間で、これもエクアドルでは減少が心配されています(写真下)。 写真上 Pentacaliaの仲間 写真下はキクというよりも、ガーベラのように見栄えのする大きな花です。 写真上 Dorobea pimpinelifolia 写真下はボリビア、コロンビア、エクアドル、ベネズエラに分布し、薬用として用いられることがあるようです。 写真上 Senecio formosus ここのルピナスの仲間は先ほどと比べてやや小柄な品種です(写真下)。 写真上 Lupinusの仲間 これまでもリンドウの仲間だと言われた花をいくつか見ましたが、日本でのリンドウのイメージとだいぶん違うのが多かった。その中では写真下はリンドウいわれれば、そんな気もします。エクアドルやコロンビアの山岳地帯にあります。 写真上下 Gentianella rapunculoides 写真下はエクアドル、チリ、アルゼンチンに分布し、花よりも葉が庭などにはわせる園芸用として用いられているようです。 写真上 Gunnera magellanica 写真下がゴマノハグサ科だと言われると、たしかにシオガマギクの仲間に似ています。日本から中央アジアにかけてシオガマギクの仲間は良くみられ、花も派手なのに、ここではほとんど見かけませんでした。彼らは南米ではあまり繁栄しなかったらしい。 写真上 Bartsia laticrenata セーターを着たプヤ! 高度を上げるにつれて雲の中に入ったらしく、濃霧です(写真下)。 平らな湿原のような所に何かニョキニョキと生えています(写真下)。なんだ、これ?チベットなら、枯れたダイオウかと思ったでしょう。 写真上下 Puya hamata 毛むくじゃらな植物で、もちろんダイオウではありません。枯れた植物かと思ったら、青い花が咲いています。花を見て驚きました。プヤじゃないか!! 写真下が2015年にチリで見たプヤです。背丈は軽く3mをこえ、花の真ん中に「角」があるという奇妙な姿の植物で、何よりもその不思議な花の色に私は驚きました。一度見たら絶対に忘れない花です。今回またプヤにお目にかかるとは期待していなかったし、こんな寒冷な高山に生えているとは知らなかったので、かなり驚きました。「プヤ、お前、こんな所に、こんな姿で咲いていたのか!」と話しかける(笑)。 写真上 2015年にチリで撮影したプヤ チリで見たプヤは海岸近くの平地に生えていましたが、ここは標高4000mをこしています。同じ南米だから、生えていてもおかしくないものの「セーターを着たプヤ」としてこんな高地に適用したとはすごい。 チリのプヤと違うのは花が小さいだけでなく、花の色が青いことです。写真上右のようにやや水色のような花もあります。 写真の中でも花の雰囲気をもっともよく伝えているのが写真下です。花弁が肉厚で、光沢があり、ガラスかプラスチックで作ったような印象です。 写真下は本に載っていた断面図で、花はかなり長く筒状なのがわかります。これなら中は断熱されて温かいから、昆虫にとっては居心地が良い。 “Flora_del_Ecuador”(49ページ)から転載 写真下右がプヤの葉っぱです。これを見ると、パイナップルの仲間だとわかります。こちらは光合成が目的だから、トゲはあっても毛はありません。 平原のかなり先まで生えているので、もう少し見ていたいが、冷たい強風が吹き荒れているので、だんだん身体が冷えて来た。だからといって、セーターを着たプヤに抱き着くわけにもいかない(笑)。 高山のプヤに驚いて帰国後調べると、アンデスの高山には、花の付く花序が10mにもなるプヤ・ライモンディ (Puya raimondii)という、百年に一度しか花を咲かせないプヤもあるそうです。 Cayambe-Coca国立公園 Cayambe-Coca国立公園の入口に到着です(16:51)。 公園の入口に管理施設があり、ここで受け付けをします(写真下)。 写真下の左側の人物がここの職員で、手に持っているのは木に焼きゴテで絵を描いたお土産品です。絵そのものは悪くなく値段もそれなりだが、木が合板なのが残念でした。 山をさらには登り、標高4280mと、今回の旅行では一番高い。しかし、写真下のように、雲(霧)に完全に包まれ、風景は何も見えません。 風景が見えなくても困らないのが花のツアーの良いところだが、陽が射さないので、閉じてしまった花もあるだろうし、何よりも薄暗いので見つけにくい。 9月12日のチンボラソ山の植物相と似ています。 写真上左 Phlegmariurus
crassus 写真上右 Xenophyllum humile 写真上 Hypochaerisの仲間 ここはCayambe-Coca国立公園といっても、その南端にあたり、カヤンベ山よりも南にあるアンティサナ山のほうが近い。 写真上 Monticaliaの仲間 写真下のカノコソウの仲間は、エアドルを中心に北はコロンビア、南はペルーまで分布し、かなり強い不愉快な臭いがあるそうですが、写真を撮っている時には気が付きませんでした。 写真上下 Valeriana plantaginea これで花の観察は全て終了で、山を下りて雲から出ると、夕暮れの中に雪山が見えました(写真下左)。たぶん、これが晴れていれば、南側に見えたはずのアンティサナ山(5,758m)です。 途中、ガソリンスタンドでトイレ休憩をはさみながら(18:13)、キトに向けて下山します。 スーパーで買い物 キト市内の大きなスーパーで買い物です(18:39)。一時間ほどの買い物の時間が与えられ、時間を持て余すだろうと思ったら、日本語ガイドのパエスさんが丁寧に案内してくれるので、あっという間にすぎました。 この国は米ドルが通貨で、スーパーはクレジットカードも使えますから、残金の心配もなく、気軽に買い物ができます。コーヒーやジャムなど日常品を買いました。スーパーですから、庶民が飲食しているものです。 スーパーは大きなショッピング・モールの中にあり、他にもたくさんの店があり、その一角にあるレストランで夕飯です(19:44)。 地方を回ってきたせいか、食事は都市部のレストランのメニューという印象です。 食後、キト市内の東にあるマリスカル・スクレ国際空港( Aeropuerto Internacional
Mariscal Sucre)に移動して、これでいよいよ植物ガイドのトバールさんや日本語ガイドのパエスさんともお別れです(21:55)。 空港で登山靴や雨具などをスーツケースに入れて荷物を詰め替え、通関手続きです。 飛行機はユナイテッド航空のUA1036便、機体はボーイングB737-700で、キトを9/16の 00:35に出発して、5時間10分の飛行の後、ヒューストンに朝05:45に到着予定です。 私は予約金を払って26Aを予約しました。下図はその時の座席配置ですが、26よりも後ろは窓側や通路側は満席になっていました。ところが、またしても、実際には事前予約をしなかった他のお客さんがこれらの後ろの座席に座れました。つまり、空いていたにもかかわらず、有料の予約を取らせなかったのです。後ろの席は予約させないというのは、この航空会社に限らず、しばしば見かけます。 お金を取りながら、空いているにもかかわらず、意図的に予約さえもさせないというのは、サービスとしては不合格で、五段階の個人評価は不満足のDです。 飛行機はほぼ予定どおり、0:46にキトの国際空港を離陸しました(写真下)。 私のモニターのコントローラが右側の肘掛け椅子に固定されています。ところが、右側に座った隣のオバサンがその事に気がつかず、ひじ掛けに腕を乗せてスイッチを押してしまうので、私のモニターが勝手に変わってしまう(笑)。これはオバサンの問題だけでなく、コントローラをひじ掛けの上に付けたというロッキード社の設計ミスです。 離陸して一時間ほどたった頃に、飲み物と夜食が出ました(01:35)。コカコーラを頼んでも一度では通じず、さらにコップ分なのか、缶ごとなのかを二度言い直しました。私の英語力の低さもさることながら、アメリカ系の航空機では良く体験します。 飛行機はすでに太平洋上を飛行しているようです(写真下)。少しでもいいから、眠ることにしましょう。 |