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10 11 9日目 2012年7月17日(火) メスティア→ ズグディディ→ クタイシ→ トビリシ
六時頃に起床して、外に出ると、今日も晴天です。ハイキングは終わったので、思いっきり雨でもかまない、などと勝手な事を言う。 七時から本館の食堂で朝食です。紅茶に蜂蜜を入れて、パンにチーズを乗せていただきます。 写真下の庭の木のそばにある木戸は、毎回、私が本館と別館を往復するたびに通った門です。 本館前の畑にはジャガイモが花を咲かせている。 上スヴァネティ地方を去る のどかなメスティアともさようならで、今日は、車を乗り継いで一気に首都のトビリシまで戻ります。 出発(8:38)して、すぐにガソリンスタンドに寄りました。他の車の具合が悪いのだろうか、ボンネットを開けて見ています。 車は来た時と同じで三台なので余裕です。私は三号車で、この車はスーツケースの運搬車なので、お客は私一人です・・・ヤッター!!私の専用車です。 走り出して間もない頃に通過したイエナシ村(Ienashi)にもあちらこちらに塔が見えます。今でこそ独特の風景を作り出している塔も、数の分だけ戦いがあったということです。 いくつか集落を通り抜け、やがてエングリ川の谷に沿って西に進みます。 三十分ほど走ると、目の前にウシュバ山が見えて来ました(9:04)。つまり、ここは五日前に泊まったベチョーの入口です。ウシュバ山は帰る時まで全景を出して見送りをしてくれるなんて、なんて愛想の良い女神様でしょう。 エングリ川の対岸にある集落がはるか下に見えます(写真下)。 道は大半舗装されているので悪いというほどではありません。周囲には名前のわからない雪山が見えます。 写真下の標識を見てください。左が村の始まりの標識、右の赤で斜線が引いてあるのが村の終わりを意味する標識です。わかりやすい。 道の両側にはミツバチの箱が置いてある所まで来ました。写真下左のように小さな小屋があるところをみると、この季節だけこのあたりに来て、蜜を集めているのでしょう。メスティアやウシュグリのほうがはるかに花が多いのに、あちらではまったく見かけませんでした。 道路脇の滝のそばでトイレ休憩(〜10:44,標高566m)。日本なら茶店の一つもできそうだが、ここはありません。 写真上左 Inula magnifica (Mountain
Flowers and Trees of Caucasia, p.261) 写真上右 Sambucus ebulus (Mountain Flowers and Trees of Caucasia, p.213) ジョージアの山の中の道路標識をご紹介しましょう。写真下の三角の標識は道路の曲がり方を表し、丸い標識に赤と黒の車が書いてあるのは、片側一車線という意味のようです。つまり、対向車が来るから気をつけろということでしょう。 写真下左は、この先500メートルに大きく曲がりくねった道路があり、そこは対向車が来るから速度を40キロまで落とせ、という意味で、「!」標識まであるところを見ると、事故が多発しているのかもしれません。運転手たちは速度はそれなりに出すが、総じて、あまり危ない運転をしているのは他の車を含めて見かけません。 写真下左は人が横断中という警告なのはわかります。では、写真下右はなんでしょうか。人が走っている。推測ですが、これは子供たちの飛び出しを意味するのではないかと思います。数が少なかったので確認できないが、この標識の後に学校らしい建物がありました。 最後にスヴァンの塔を見たあたりで山が終わり、平地になりました(写真下左)。 平地の道路を軽快に走れば牛も歩く。 道を走っていて目につくのが葡萄棚です。家の前や道路にまでせりだして、葡萄が生い茂っています。日陰になるし、食べられるし、見た目も良いから、葡萄棚はなかなか良い。 写真下は見づらい写真で恐縮ですが、小さな建物の屋根がたくさん写っています。これはお墓です。墓の上に屋根をかけて、小さな家のようにしてあるのです。ジョージアのお墓はメスティアで見たような墓石が置いてあるだけのも多いが、こういう「戸建て」も見かけました。 道端ではしばしば大きなスイカを売っています。旅行中も何度か食事にスイカが出てきました。うまかった。 ドライバーとお別れ ズグディディに到着し、ここでバスに乗り換えます(11:28)。待ち合わせ場所の公園のそばに車を停めます(写真下左)。 祖母と孫でしょうか(写真下)。黒と赤が人生を象徴するような二人です。 ここで三人のデリカツアーの運転手たちともお別れです。ハイキングに一緒に行って、川を渡るのを手伝ってくれたりと、とても協力的な人たちでした。 来た時と同じレストランで昼食です。今日は二階ではなく、一階のドアの隣の席です。すると、日本人のツアー客が入ってきました。A旅行社の10日〜19日までのツアーで、我々と同じようなコースをたどっています。彼らも今日、メスティアを出発してトビリシに行くところです。 私がA旅行社の旅行日程に詳しいのは、当初、西遊旅行にしようかA旅行社にしようか迷ったので、彼らの日程表が頭に残っていたからです。A旅行社のほうがはるかに歩く時間も短く、楽なように見えたので、「客を歩かせる西遊旅行」を選びました。ベチョーもウシュグリも現地に一泊したほうがその良さがわかります。 ここでの食後は、前回と同じトルココーヒーです。カップの底にコーヒーの粉が残ります。最後が粉っぽいがおいしい。 レストランの壁に飾れていた写真がなかなかおもしろい(写真下)。全員が剣や銃で武装しています。強そう!ヘルメットや近代の軍服などを着用していないところをみると、おそらく百年くらい前の写真かもしれません。こんな格好してあの塔に立てこもって戦っていたのだ。 ジョージアの民家 バスに乗ってトビリシに向けて出発です(12:39)。来た時と同じ50人乗りの大型バスに11人が乗るのですから、楽です(写真下)。私は自由に写真が撮れるように、後ろのほうで4座席を独り占めしました。 沿線から見える一般民家の写真を撮ってみました。できるだけ特殊な家を避けて、バスの窓から普通に見える家を撮影しました。 共通しているのはほぼ四角い建物だという点です。二階建てに見えますが、実際は一階が半地下になっているようです。だから、二階建てのようでも、入口が二階のほうに付いています。また、見た範囲では、あまり大きさに差がない。 もう一つの特徴は庭が広いことです。バスが走っているのは田舎だということもあるが、日本のように家が密集して林立しているほうが珍しい。ジョージアは人口が400万人、面積は七万平方キロですから、日本と単純な人口密度を比較するとわずか五分の一です。 日本では少子高齢化の問題で、人口を増やしたいというのが国の政策です。私は逆のような気がします。日本の適正な人口は今の四分の一の三千万人くらいでしょう。いや、半分でもいい。皆さんも頭の中で、今あなたが住んでいる住居面積が倍になり、朝の通勤電車の中が半分になった場合を想像してください。やっと先進国と名乗っても良いくらいの人間らしい暮らしができます。 「人口を減らして誰が年金を出すのか」と質問が出るでしょう。どうしてこんな簡単なことが今のエライ方々にもわからないのでしょう。女性と老人にもっと働いてもらえばよいのです。 日本は先進国の中でも女性が働きにくい最悪の国です。雇用機会・賃金、学歴、健康・長寿、政治参加という四つの点で、男女差別の少ない国の順位では、日本は135カ国中101位だというのをご存じですか(2012年)。先進国なのにこれはかなり恥ずかしい数字です。日本の女性の社会進出が進んでいないこと、つまり職業差別が大きな理由です。 未だに為政者や識者が「男は仕事、女は家庭」などと時代錯誤のことを堂々という。女性が働いて、男性と対等の給料をもらえば、その分の市場ができるから、経済も発展します。 老人だからといって定年に全員を引退させるのではなく、働けるうちは何歳になっても働いてもらう。老人を雇うと若者の雇用が脅かされ、出世なども遅れるという指摘もありますが、そのまま雇用しようとするから、おかしくなる。定年を迎えた人の肩書きを外し、労働時間を短くして、給料を抑えるのです。 老人は老後の暮らしに不安を持っているから、お金を貯める。お金を貯めるから市場にお金が流れず、経済が発展しない。老人も現役なら「老後ではない」からお金を使います。幸い、日本人は働くことが好きですから、生涯現役で死ぬまで働いてもらえば良い。「職場で倒れて亡くなった。享年90歳」なんて理想的な死に方だと思いませんか。 平地をしばらく走った後、標高七〜八百メートルの峠を超すために少しずつ高度を上げていきます。来る時に、壺を売っていたあたりです。 ガソリンスタンドでトイレ休憩(14:58)。トイレはあるのに男性用は閉鎖です。理由を聞いて開けてもらうよりも、周囲は山や川ですから、男性はこちらを選びました。 ガソリン価格は、7月12日にクタイシからジグディディに行く途中の値段は、ユーロ・レギュラー、レギュラー、ディーゼルがすべて2.10ラリでした。ここでは、ユーロ・レギュラーは同じ値段で、残り二つは2.05と、ちょっとだけ安い。ユーロ・レギュラーって値段が少し高い所をみるとハイオクタンのようなガソリンでしょうか。 峠を越え、山を下りてハンモックを売っているハシュリを通りすぎます(写真下、15:58)。夏はハンモックが涼しそうで、民家の庭先につり下げて使うのでしょう。こちらの住宅を見てもわかるように、ハンモックをつり下げるだけの庭があるのです。 来た時と同じ経営の店でトイレ休憩です(16:30-16:43)。あの奇妙な建物のあるドライブインです。 (http://gypsy-village.blogspot.jp/2012/05/architectural-wonders-rest-stops-in.html) 私は駐車場の敷地に隣接する野原で花の写真を撮ろうと出ていくと、従業員が追いかけてきました。「コブラがいるから危険だ」というのです。コブラ?こんな所にコブラがいるなら、写真の一枚も撮りたいところです。従業員が血相を変えていうのだから、何か毒蛇がいるのでしょう。来る時は、この道路の反対側の野原で写真を撮ったんだよなあ。でも、蛇なんていなかった。 「日本人旅行客、警告を無視してコブラに咬まれてオダブツ、アーメン」なんて新聞記事が載ったのではサマにならないので、写真下の黄色い花をつけたトゲだらけ植物を撮っただけで、退散しました。 来た時の止まった反対側のドライブインの空き地にはたくさん花が咲いていたのに、こちらの原野にはあまり見るべき花がありません。すぐそばなのにこれほど違うとは驚きです。 黄色いタチアオイ 目的地のトビリシまであと一時間ちょっとくらいです。私はさきほどから、バスの座席からは完全に立ち上がり、道路の路肩に花を探しています。目的は黄色いタチアオイです。3日目にここを逆方向に通過した時、道の両側に黄色いタチアオイらしい花が群生しているのを見たのです。こんな所にあるのだから、どこにでもあるだろうと撮影のチャンスを待ちました。たしかに今日、朝、出発したメスティアにもあったが、なかなか車を停めた所にはない。そこで光田さんに、花の咲いているあたりで一度だけバスを停めてくれるように頼んだのです。 写真上 Alcea rugosa (Mountain Flowers and Trees of Caucasia, p.131, The Caucasus and its Flowers, p.173) 来る時にはあんなにたくさんあるように思っていたのに、いざ探すとない。数本咲いている所で停めてもらい、ようやく私はこの花がほんとうにタチアオイなのを確認しました。 黄色いタチアオイは日本にもあるようですが、私は見たことがありませんでした。しかし、花も葉もまちがいなくタチアオイです。しかも、奇妙なのは黄色しかない。 タチアオイはトルコや東ヨーロッパが原産とされているのだから、ジョージアにタチアオイがあるのは当然です。だが、どうして黄色しかないのか。旅行中も探しましたが、黄色しかありませんでした。図鑑を見ても、これ一種類しかないようです。 日本のタチアオイは八重があり、黄色の八重もあります。しかし、ここのはすべて一重です。バスの中から見た範囲では八重らしいのは見かけませんでした。 予定よりも一時間ほど早くトビリシに到着し、夕食にはまだ時間があります。そこで余ったお金を使うためにも、トビリシのスーパーで買い物をしました(17:47〜18:16)。お土産屋ではなく、一般人が買い物する普通のスーパーに案内してくれるから助かります。店は広く、食べ物から日常雑貨まで何でもあります。私は桃のドライフルーツを買いました。桃のドライフルーツなんて初めてです。 写真下はバスの中から撮ったトビリシの建物です。日本に比べて色鮮やかなのが特徴です。旅行中一番印象的だったのは、他の街で見かけたピンク色の警察署の建物でした。 ジョージア最後の晩餐 トビリシ市内のレストランで夕食です(18:40〜20:39)。屋外にも椅子や机が準備してあります。しかし、暑いので、エアコンの効いた建物の中に入ります。 入り口から入ると、カウンターの上の屋根に恋人たちが腰掛けている!もちろん、人形なのだが、ちょっとびっくりしました(写真下)。 周囲には古そうな家具が置いてあり(写真下左)、天井には御簾がはってあります(写真下右)。テーブルも椅子も頑丈な木造です。たぶん、ジョージアの古民家をテーマにしているのでしょう。 二階も客がたくさんいます。レストランが広いわりには小さなエアコンしか取り付けてなく、暑い。私の座った一番端の席だけは、かろうじてエアコンの風が届くので、皆さんが「暑い、暑い」を連発する中、一人で涼しい顔をしていました。 写真下左はチーズをはさんだハチャプリという食べ物です。チーズが好きな私の好みに合い、おいしいのだが、いつも食べ終わってお腹がいっぱいになる頃に出てくる。おそらく注文されてから作るからでしょう。 写真下左は、見るからに餃子で、実際に餃子です。こちらではヒンカリというそうです。 レストランを出ると、薄暗くなり、街の教会などがライトアップされています。 2日目に泊まったシェラトンメテヒパレスに到着(20:52)。 私の部屋は前回の広い部屋と違い、今回は普通の部屋でした。しかも、前は教会など見える部屋だったのが、ここは反対側なので、眺めはいまいちです。もちろん、天下のシェラトンですから、設備には何の問題もありません。昨日までのゲストハウスと違い、洗面所とトイレがいつでも自由に使えるのがうれしい。今日はバスタブにゆっくりと浸かろう。 くり返しになりますが、昨夜までのメスティアのゲストハウスは、あれでシャワーとトイレが部屋に付属していたら、私には十分です。 トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9
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