トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ペルシャ北部の初夏の花 9日目 2019年5月23日(木) テヘラン → ラール国立公園 → ドーハ → 朝、起きると外は快晴です。部屋の温度は26.4℃で、北部よりもテヘランは気温が高い。 今日はテヘラン近郊で花を見た後、夕方、イランを発ち、ドーハ経由で帰国の途につきます。 6:30から、ホテルの同じレストランで朝食です。 今日の元々の予定では、テヘランのすぐ北にあるトーチャール山(3933m)で高山植物を探す予定でした。昨年4月に登ったら雪がたくさんあった写真下の山です。 ところが、ノルジーさんからテヘランの北東にあるダマーヴァンド山(Damāvand、5,610m)があるラール国立公園(自然公園)に行くのはどうかという提案がありました。私は彼の提案に真っ先に賛成しました。彼が提案するのは、何か期待できる花があるからで、こんなチャンスを逃がす手はない。 「行きましょう!」と断定的に言う私に反対するお客さんはいませんでした(笑)。そして、この選択は正解でした。では、まいりましょう。 アルボルズ山脈を東に 予定どおりに、ホテルを八時に出発して、テヘランの東にあるラール国立公園に向かいました。驚いたことに、昨日タブリーズで別れたのと同じ車です。運転手のラヒットさんは車を飛ばして陸路をテヘランまで戻ったらしい。650kmで八時間ほどかかります。 道端では庶民が店を開いていて、ヘンダワネ(スイカ)はもちろんのこと、鉢植えも売られています(写真下左)。写真下右は店開きの準備中で、瓶のようなものを道に並べているが、何だろう? テヘラン郊外にも山裾に沿って住宅地が広がっています。 道の左側、つまり北側にはいつも雪山があります。テヘランは標高1200mで、北側には標高三千メートル級の山がそびえています。これらの山々はカスピ海とテヘランを隔てるアルボルズ山脈で、その最高峰が、これから行くダマーヴァンド山です。 晴れているのに、霞んでいて、きれいな風景です(写真下)。 トイレ休憩 雪山の見える道の駅でトイレ休憩です(写真下, 9:23)。 駐車場に座って食事をとる人や、テントを張っている人もいます(写真下)。私たちも道端でお茶会を開いたように、雨の少ないイランではこれが普通の光景です。 道の駅は四角に建物が取り囲んで、そこに店舗やトイレがあります(写真下)。日本の道の駅ほど混んでいないが、お客さんもそれなりにいます。 店の前には湯沸かし器が湯気をあげていて(写真下右)、ちょっとお茶でも飲みたい気分ですが、先を急ぎましょう。この日は問題がなかったが、山の天気は変わりやすい。 小さなチューリップ 道のそばの崖の上に真っ赤なチューリップを見つけて、今日の最初の花の観察です。 写真上下 Tulipa
montana 写真下左の人間と比べるとわかるように、小さいチューリップです。一般的な園芸種に比べて葉が細長い。 周囲の山は山頂あたりに雪が残っています(写真下)。 イランの最高峰のダマーヴァンド山(Damāvand、5,610m)が見えてきました(写真下)。写真や絵では何度か見ましたが、直接お目にかかるのは初めてです。 自転車、登山、そして家族でピクニックをしている人たちがいます(写真下)。 このあたりで標高2200mほどなのに住宅地が広がっています(写真下)。今は初夏だから気候が良いが、冬は寒いから、別荘かもしれません。 大きなセリ 背の高い黄色いセリの仲間が斜面に群生しています(写真下)。イランや中央アジアなどでもこの仲間はよく見られ、たいてい大きくて立派です。日本のシシウドも大きいが、花の色が白です。 写真上下 Ferula gummosa この植物はイランでは昔から薬草として用いられてきて、今でも抽出オイルがネットで売られています。写真で見ると、キャラメルを溶かしたような液体です。 人と比較しても、大きいのがわかります。 花にはミツバチよりもハエが多い(写真下)。 写真下はいわゆるアザミとちょっと違うヒレアザミと呼ばれる仲間です。 写真上 Carduus
pycnocephalus オレンジの小さなケシが咲いています。学名からいくとナガミヒナゲシですが、日本のそれとはだいぶん姿が違います。花弁に切りこみがあるのはこの個体だけの性質かもしれません。 写真上 Papaver
dubium ここから三つの花はこれまでも何度も出てきた草花で、毎日のように見かける花もあります。 写真上 Onosma
microcarpa 写真上 Ixiolirion
tataricum 写真上 Lepidium
draba ツツジのようなマメの仲間 雪山を見ながら、谷に沿ってさらに奥に進みます。 谷の奥に進むにつれて、人家は少なくなり、小さな集落が道路の周囲に点在しています(写真下)。 今回の旅行で何回かお目にかかったツツジのように咲くマメ科の花が、ここでも斜面に群落しています(写真下)。 写真上下 Onobrychis
cornuta トルコやコーカサス、イランを横切り、パキスタンや中央アジアまで広い範囲に分布します。 まるで刈り込んだように、見事なお椀状になっています。 アカタテハ(たぶんヒメアカタテハ)がここでも集まっています。先ほどの黄色いセリの仲間にはハエなどたくさんの虫が集まっていたのに、こちらはあまり虫の羽音がしません。 花も素晴らしいし、雄大な雪山の風景も素晴らしい。こちらを選んだのはここまででも十分に正解でした。 タンポポを大きくしたようなScorzoneraの仲間が咲いています(写真下)。 キンポウゲのお花畑 頭を雲の上に出しているダマーヴァンド山の頂上まであとわずか3000mほどです(写真下)。 斜面には黄色いキンポウゲのお花畑が広がっています(写真下)。 分布はユーラシア大陸の真ん中を含めた西半分です。なぜか飛び地のように、ロシアの東側にも分布しています。暑い地域は苦手らしく、逆にロシアの北極圏にまで広がっています。見かけによらず、強烈な生命力をもったキンポウゲらしい。 写真上下 Ranunculus
polyanthemos 検索すると、ロイヤル・コペンハーゲンの絵皿のモチーフにもなっているほど、ヨーロッパでは一般的なようです。ただ、絵皿の値段は一般的ではありませんでした(笑)。 写真下も黄色いキンポウゲです。もちろん、写真上とは比較にならないくらい数は少ない。ネットで調べてもよくわからず、かなり分布の限られた花のようです。ノルジーさんの故郷のボズグシュ山脈でも見かけました。 写真上下 Ficaria
kochii ムスカリの濃い青紫とキンポウゲの黄色いが似合っています(写真下)。 写真上下 Muscari
neglectum 写真下はキバナノアマナの群落です。 写真上 Gagea
gageoides 写真下はアブラナの仲間で、土などないような岩の窪みにしっかりと根を下ろして花を咲かせています。 写真上下 Draba
aucheri 写真下は写真上と同じ花だと思って撮ったら、背の高さも違うし、葉がまったく違うから別種です。 写真下は毎日のように登場するフウロソウです。 写真上下 Geranium
tuberosum 写真下は長年かけて岩の表面を覆うようにして増えているようです。高山の厳しい環境ではこういう植物を見かけます。コケかと思ったら、ナデシコの仲間だという。ノルジーさんによれば一カ月くらい後に開花するそうです。 写真上 Gypsophila
aretioides 写真下は数日前にも登場したシソの仲間です。他のシソの仲間同様に、抽出されたオイルに様々な薬効があります。 写真上 Salvia
limbata 写真下のマメ科の植物はここでも下段のピンク色のは名前がわかりません。上段は前にも出ていて、バルカン半島から南西アジアまで広い範囲に分布します。 写真上 Astragalus angustifolius 私の記憶では、写真下の花は今回二度目です。花一つ一つはいまいち冴えないのだが、まとまって群落をつくるので目立ち、また印象に残ります。日中は元気がなく、夕方から夜にかけて匂いを出して虫を集めるという面白い性質の持ち主です。 写真上 Matthiola longipetala 写真下のバラ科の花はミショー山でも見かけました。 写真上 Cerasus incana 小さなチューリップの群落 「チューリップがあるよ!」と呼んでいます。急いで駆けつけると、ダマーヴァンド山を背景にした斜面に薄黄色の小さなチューリップがたくさん咲いています(写真下)。 写真上下 Tulipa
biebersteiniana チューリップと言っても、園芸種のイメージとはちょっと違い、小型で、花弁が開いていますから、日本のキバナノアマナを大きくしたような印象です。 キンポウゲなど黄色い花の中にこのチューリップが一つだけ咲いていると、目立たないので見逃してしまいます。葉も茎もクネクネとねじれているようなのが目につきます。 バルカン半島、トルコ、コーカサスからロシア西部までの広い範囲に分布します。 写真下左に写っている大きな葉もチューリップの葉なのだと勘違いして、ずいぶん葉の大きさにばらつきがあると思っていました(笑)。 薄いピンク色のチューリップがあります(写真下)。姿形は上の黄色いのに似ています。数はこちらのほうが少ない。 写真上下 Tulipa
humilis これもイスラエル、シリアからトルコ、コーサカス、イランに分布します。 園芸種として品種改良されて、売られています。しかし、品種改良して、ド派手に化粧したピンクよりも、ここにあるような淡いピンクのほうが私の好みに合う。 さらにチューリップ 斜面の上のほうから、別なチューリップがあると呼んでいます。息を荒くして、行かねばならぬ(笑)。 石ころだらけの斜面に赤いチューリップが群生し、しかもちょうど開花しています。 写真上下 Tulipa
montana これは今日、最初に道の脇で見たのと同じ種類のチューリップで、市販のチューリップに比べてかなり小型で、とても可愛らしい。 カスピ海の南東とイランに分布するとありますから、意外に狭い。 こういう環境の厳しい山の上に真っ赤に咲いている姿は「けなげ」という言葉がぴったりです。 野生のチューリップでは良くみられるように、ここでも葉が波打ち、捻じれているのがあります。 写真下の黄色いチューリップは写真上の赤いチューリップと同じ種類です。市販のチューリップに近い姿をしていますが、ボールペンの軸と比べてもわかるように、これも小さく、また数も少ない。 写真上下 Tulipa
montana そして、赤と黄色とが混ざったオレンジの花もあります(写真下)。赤や黄色もきれいだが、写真下左のようなあいまいな色は私はけっこう好きです。 チューリップを見終えて、戻ります。すごかった。頭がフラフラです(笑)。 ニンジンジュース だいぶん遅くなりましたが、Polurという街で昼食です(14:06)。写真下左の瓶はドゥーグというヨーグルトドリンクの一種だと思うが、写真下右のビニールの袋に入っているのは何なのだろう。後でモハンマドさんに聞こうとしていて、忘れました。単に瓶詰かビニール袋入りかの違いかもしれません。 店内は広々として、昼食の時間もすぎて、しかもラマダンですから、私たち以外の客は誰もいません(写真下左)。さっそく、私は厨房をのぞきに行く(写真下右)。料理は得意でも好きでもありませんが、どのように作っているのか、興味がある。 面白いのが写真下右で、布に包まれたスポンジを蓋にしている。断熱のためなのでしょう。 写真下左はニンジンのジュースです。私が頼んだもので、写真下右はそれを作っているところです。昨年、イランに来た時、モハンマドさんが道端で売っているのを買って、皆さんに飲ませてくれました。味はまさにニンジンなのだが、甘みがありうまかった。それで今回も頼んだのですが、味はイマイチでした。そのままジューサーにいれるのだから、材料に依存するのでしょう。 食べ物よりも、テーブルに敷かれたビニールのカバーに目が行きました(写真下)。中国で良く見かける使い捨てのカバーです。清潔なのは良いが、うまくリサイクルしないと、ゴミが増えて、環境に悪い。 写真下左の紅茶についていたのは、昨日のバザールでも売っていたあのアメです(写真下右)。アメとしてなめるのではなく、氷砂糖とスプーンを兼ねているのだ。 オーストリアからのお客さん 食後も花の散策です。山を登っていくと、イラン人とは違う一団がいます(写真下)。しかも、彼らも私たちのように花を探しているように見えます。車はここで停まりました。 この人たちはノルジーさんの今の居住地であるオーストリアから来た人たちで、この後、ノルジーさんが彼らを案内するのだという。つまり、ここでノルジーさんとはお別れです。 私たちもこのあたりで少し花を探します。今日は、一日中、天候に恵まれました。 午前中にたくさん見た黄色いセリの仲間もここでは少ししかありません(写真下)。 写真上 Ferula gummosa 道路の反対側は谷のように落ち込んでいて、その斜面にトウダイグサの仲間が群生しています。 写真下はまだ開花していません。 写真上 Achillea
santolinoides 他のお客さんがケシがあると呼んでいます(写真下)。薄ピンクのケシで、一株しかありません。私は皆さんがいなくなってから「写真を撮る間だけでいいからさ、開いてくれない?」と小声で頼んでみたのですが、ダメでした(笑)。 写真上 Papaver
bracteatum 写真下のValerianaの仲間は、ギリシャやローマ時代から薬草として利用されてきたようです。 写真上 Valeriana
sisymbriifolia 岩の上にベンケイソウのような花が咲いています。近づけないので、当然、名前はわからない。 写真下の黄色い花は樹木のようで、岩の割れ目に根を下ろして、ぶら下がっています。雨が降れば水が確実に流れてくるし、競争相手の他の植物もないから、案外、良い環境なのかもしれない。 写真上 Dielsiocharis
kotschyi テヘランに戻る 花の観察を終えて、テヘランに戻ります。 写真下の道端で売られている野菜は、昨日タブリーズの市場でも見たウドのように見えるが、たぶんウドではない山菜です。写真下左では、茎が赤と緑の二種類あり、緑のほうはセロリーです。 先ほどの私たちが登った山にも地元の人たちが何か山菜を採っていました(写真下)。 写真下の店先に並べられているのは、昼食のレストランにもあったドゥーグというヨーグルトドリンクのようなものです。売られている量を見てもわかるように、イランでは身近な飲み物なのでしょう。 日本のヨーグルトドリンクと大きく違うのは、塩味だという点です。ヨーグルトと水を半々に混ぜて、そこに塩を加えます。さらにクミンやミントなどの香料を加えることがあります。 イランとアフガニスタンではドゥーグ、トルコではアイラン、ギリシャではアリアニ、中東ではラバンなどと呼び名はいろいろあります。また、日本人に馴染みの甘いヨーグルトドリンクはインドが本場でラッシーと呼ばれています。 写真下右はタイル貼りの噴水の台のように見えます。これだけ並べてあるということは、需要があるのでしょう。屋外で売っているのも雨の少ないイランらしい光景です。 道端の露店はペルシャ文字の看板が出ています。読めないから、何を売っているのかわからないが、文字がそれぞれ違いますから、色々な農産物を売っているのがわかります。 これに対して、写真下は文字の形から同じ品物で、写真下右の絵にあるようにクルミです。 スピードをあげて走る車を停めるために、露店の少し手前に人が看板をもって立っているか、看板を立てる。写真下左の人が持っているのはプラムで、緑色で文字で書いてあるように、緑色です。 もちろん、ヘンダワネ(スイカ)はたくさん売られています(写真下)。スイカと一緒に売られているのが黄色いメロンです。去年食べた時は、見た目よりもはるかにうまかった。スイカもメロンも気候が合うのでしょう。この国ではメロンもスイカと同じ庶民の普通の食べ物です。 写真下左では、あまり売れずにトラックには山積みで、左側の男性は居眠りしている。 赤いクマのぬいぐるみがまたあった(写真下左)。昨年も見かけ、今回も他の所で見かけました。いつも気になるのは、ビニール袋にも入れずに道端で売っていたら、埃などで汚れないのだろうかということです。 通行する女性たちは黒い服装が多い(写真下)。 しかし、その中でも色鮮やかなスカーフをかぶったり、スカーフは頭の後ろにかぶり、前髪を積極的に出すなど、おしゃれをする人たちがここでも目につきます(写真下)。がんばれ、もっとおしゃれをするんだ! 子供たちは元気です(写真下)。 写真下はテヘランの郊外の街で、幹線道路沿いに住宅が広がっています(写真下)。 写真上のように車の流れが比較的スムーズだったのに、写真下の坂道を登り始めたあたりで、渋滞に巻き込まれました。週末にカスピ海のほうの別荘などに遊びにいく人たちだという。今日は木曜日で、イスラムでは金曜日と土曜日が週末です。 テヘラン市内 テヘラン市内に入り、ここから南西にある飛行場に向かいます。市内に入って目についたのが写真下の建物の壁画です。これらがあったのは市内のほんの一部です。 明らかに軍人を描いている。イラン・イラク戦争(1980-1988年)で亡くなった軍人たちの顔の絵や写真が街のあちこちにあることは昨年も今年も見ました。イラン・イラク戦争は当初、イラン側が国際的に孤立して、人海戦術に出たために、大量の戦死者を出しました。彼らにとっては、これらの犠牲者たちの上に今の国があるという意識なのでしょう。 イラン・イラク戦争はイラク側から仕掛けられ、イラクの背景にはイラン革命(イスラム革命、1979年)で大使館員を人質にとられ、復讐心に燃えたアメリカがいました。後にイラクのフセインはアメリカによって殺害されます。こんなふうに長期的にみると、アメリカが常に背後にいて、彼らの言うことを聞かない者たちを、強大な軍事力と経済力でねじ伏せようとしているように見えます。 日本もアメリカの軍事力の下にあり、独立国であるはずの日本の制空権の一部が未だにアメリカ軍の管理下にあることをご存じですか。これは同じように米軍が駐留している他の国ではありえない話です。 写真下はチューリップらしい花を描いた看板があって、いいなと思ったら、ヘルメットも描いてありますから、これまた戦いを鼓舞するための呼びかけなのでしょう。 政治や宗教的なものではない壁画もあり、馬も走っています(写真下)。 写真下の看板に出ている女性たちのスカーフは大半が黒ではありません。つまり、色や柄については自由らしい。だが、髪の毛は出していません。街中で見る女性たちはスカーフを後ろにかぶり、髪の毛を半分以上出している人たちを良く見かけますが、あれは厳密には認められていないのでしょう。 写真下は子供の通学用のリュックの広告でしょう。女子生徒は制服の一部としてスカーフをかぶっています(写真下右)。イスラムの教えでは成人の女性が髪の毛を隠すようにあるだけで、未成年には適用されませんから、この看板でも女子生徒は前髪が見えています。 写真上の女子生徒の制服と思われるのが写真下で、昨年、テヘランの北にあるトーチャール山で撮りました。髪の毛を半分出している生徒と、完全に隠している生徒がいます。 広告に女性が大きく写っていることは少なく、目につくのはむさくるしいオジサンです(笑)。 前にも述べたように、イランの看板で私が気に入っているのが写真下などで、商品などが看板からはみ出ているのが遊び心があって良い。 こういう都心部や幹線道路には大きな看板しかないことから、強い規制があるのでしょう。 形や大きさがある程度そろっているから、日本のように看板だらけの雑然とした雰囲気はありません。 イランでは二人乗りは当たり前で、しかもヘルメットもかぶらない人も珍しくありません(写真下)。 写真下左など、網戸のような物を持っている人はバイクにつかまっていないから、網戸が強風に煽られたら、後ろに転落するでしょう。 空港が近づくにつれて道端に現れたのが、昨年も見た花売りです(写真下)。数キロにわたり、花売りの露店が並んでいます。イラン人はこんなに花が売れるほど家に花を飾っているのだと、去年、私はとても感動しました。 ところが、モハンマドさんから意外な話が出ました。花を買うのは写真下のホメイニー廟にお参りするためだというのです。ホメイニー廟とは、イラン革命を指導した宗教家の霊廟です。花好きのペルシャ人がいると共感していたので、ちょっと私はショックを受けました(笑) そういわれると、去年から変だと思っていたのが、写真下にもある花輪です。日本でも葬式などで、造花の花輪を立てるのとそっくりで、生花で売られています。イランでは家が広いから、自宅にこのまま飾るのだろうかと思っていたが、日本と同じで、献花だったのだ。 同じ花を見ているのに、宗教指導者の墓参りの花だと思うと、急に自分の関心が薄れて、花も色あせて見えるのがおもしろい(笑)。 写真下の売り手は女性で、たぶん写真上の男の子と同様に子供です。露店で成人の女性が物を売っているのは珍しい。 イランを発つ 空港に到着し、ここでモハンマドさんや運転手のラヒットさんともお別れです(写真下)。二人とも誠意をもってがんばってくれました。この二人がそうであるように、総じて、私のイラン人への印象は良い。 夕食は飛行機に乗ってからだいぶん遅く出るので、空港のレストランで軽い夕飯です(19:32)。 写真下左の広告から、トリの唐揚げがこの店のお勧めらしいが、帽子をかぶり、ヒゲを生やす意味が良くわからない(笑)。 出国手続きのシステムが故障して、長蛇の列です(22:05、写真下)。荷物検査はかなり厳しく、私の前にいた日本人の老人はリュックの中身を全部出されて調べられていました。 飛行機はカタール航空QR499便で、機体はボーイング777-200LRです。イランを23:40出発して2時間5分の飛行の後、ドーハに現地時間の0:15に到着予定です。 それなりに混んでいたのですが、私の列の通路側の人が後ろに移動してくれたので、三座席に二人掛けになり、助かりました。真ん中に人がいるのといないのではすごい違いです。 私の座席は予約どおりに右側の窓側です(下図の緑色の座席)。下図のように、私の後ろはすべて予約で満席だったはずなのに、通路側の人が後ろに移動したように、実際はガラ空きでした。つまり、ここの席は予約させないのです。 ほぼ予定通りにテヘランを離陸しました(23:55)。しばらくはイランに来ないだろうと去年もこの街の灯りを見て思ったが、来てしまった(笑)。 来た時と違い、夜中なので、外は何も見えません。 暇つぶしに映画『ダーケスト・マインド』(The Darkest Minds、米、2018年)を観ました。超能力に目覚めて活躍するというありふれた設定で、監督の続編を作りたいという意欲だけは強く感じられました(笑)。気になるのは、制作者たちは超能力も使い方によっては単なる暴力にすぎないことをあまり気にしていない点です。相手を上回る武器を持っていれば、それが善であるかのように錯覚しているのがいかにもアメリカらしい。 (Wikipediaより転載) 食事が出ました(0:42)。夕飯は空港ですませたので、ビニール袋に入っているパンなどをもらいました。 ドーハで乗り換え やがて、窓の外にドーハの灯りが見えてきました(写真下)。 ほぼ予定どおりにドーハに着陸(ドーハ時間5月24日0:08、イラン時間01:38)。イランとは時差が1時間半あるので、時計を戻します。 ここで成田行の飛行機に乗り換えます。幸い待ち時間は長くありません。カタール航空のQR 806便はBoeing 777-300ERで、ドーハを02:10に出発して、成田に18:40に到着予定です。飛行時間は10時間30分と成田から来るよりも短いのに、しんどさはそれほど変わらない(笑)。座席はほぼ満席です。 私の座席は予約どおりに43Aで(下図右の緑色)、これは予約の時にはこれよりも後ろの席が満席だったからです。下図が私が予約した段階の座席で、後ろの大半が予約済(灰色)になっているのに、実際には空いていました。下図左は先ほど乗ったイランからドーハまでの飛行機を予約した時の様子で、どちらも後ろの両側の座席に予約を入れさせないようにしているのです。カタール航空だけでなく、他の航空会社でも見られます。 飛行機は少し遅れてドーハを離陸しました(02:46)。 イラン時間ではもう明け方で眠いが、まだ機内ではざわついているので、映画でも観ることにしました。『バンブルビー』(Bumblebee、米、2018年)というロボット型の宇宙人が地球に来るというSFで、最初の『トランスフォーマー』がヒットしたので、続編が作られ、これはそのスピンオフ(派生作品)です。 (Wikipediaから転載) 離陸して一時間ほど後の四時すぎに食事がでました。私はこんな時間に取るはずもなく、周囲の食事が終わると、あたりが静かになったので、ようやく眠ることにしました。 |