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13 南アフリカ花の旅 5日目 2011年8月20日(土) カルヴィニア → ニューウッドヴィル → ハンタムボタニカルガーデン → カルヴィニア 六時半頃に起床・・・寒い。それもそのはずで、この後、散歩に行ってみると、霜が降りていました(写真下)。たぶん、旅行中、もっとも寒い朝だったのでしょう。 関東地方の冬の朝のように、寒くて空は晴れ渡っています。朝日が斜めから当たっているので写真下ではまるで黄色く紅葉したかのような樹木の葉の色ですが、実際は緑です。 街は朝早いこともあり、私のように散歩している人を除けば誰もいません。街は、アフリカの街というよりも、どこか欧州の田舎町という雰囲気で、建物も整然としています。 街の中にも花は咲いているが、霜が降りるほど寒いので、どの花もすっかり凍えています。 ホテル本館の向かいには小さな公園があり、草花が植えてあるようです(写真下左)。しかし、あまりさえません。公園の前に3メートルほどの巨大なポストがあります(写真下右)。ポストの表書きには、「このポストには手紙などを入れるな」とある・・・え?じゃあ、何のためのポストなんだ?よくわからん。 八時から昨日と同じ、マネキン人形の待っている本館のレストランで朝食です(写真下)。 本日は、カルヴィニアから道を戻り、ニューウッドヴィル(Nieuwoudtville)で昨日花を見たワイルドフラワー保護区以外のお花畑を回ります。 ニューウッドヴィルはマニングさんが、写真下のようにここだけで一冊の本を書いているほどに花の多い所で、とても一日では回りきれず、このツアーでは丸一日半をあてています。 South African Wild Flower
Guide: Nieuwoudtville John Manning , Peter
Goldblatt 球根植物の宝庫にようこそ ホテルを出発(9:04)。晴れて気持ちのよい平原を昨日来た道を戻ります(写真下左)。 昨日寄ったニューウッドヴィル野生保護区を少し通過したあたりにあるニューウッドヴィルの街でバスを停めました(9:47〜10:12)。道路には「ニューウッドヴィルにようこそ」という看板が出ています(写真上左)。「球根植物の宝庫にようこそ」とでも訳すのでしょうか。 野原一面に白いキクのような花が咲いており、マニングさんの目的はこの花のようです。同じように見えても種類があるらしく、マニングさんの説明を聞いていなかった私のために、松森さんが実物の葉の違いを示しながら説明してくれました。聞いた時は、なあるほどと理解しましたが、すぐに忘れました(笑)。 写真上下 Dimorphotheca nudicaulis (http://za.ispot.org.uk/node/132465) 写真上 Dimorphotheca sinuata (http://www.plantzafrica.com/plantcd/dimorphsinuata.htm) 写真上 Arctotis acaulis 写真上左 Hesperantha cucullata (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/HesperanthaTwo#cucullata) 写真を撮っている野原の周囲には住宅地があり、そちらにもたくさん花が咲いています(写真下)。黄色やオレンジの花だから、一見、同じように見えますが、カルヴィニアの街中でも咲いていたような一般的な花も混ざっているので、私以外は誰も撮りません。 写真上 Osteospermum clandestinum (http://members.iinet.net.au/~grows/Species/Osteospermum.html) 私が一人離れて人家の近くで写真を撮っていると子供たちが集まってきました(写真下)。写真を撮られるのは喜んでいるようたが、それ以上のものではありません。今回の旅行では、観光地など以外では子供たちが何かをねだるというのはありませんでした。 バスは幹線道路から左(南)に折れて、農村の中に入りました。農村を一周して、マニングさんは何か花を探しているようです(写真下)。おそらく彼の秘密の花園がこの農村の中にあるのでしょう。 しかし、結局、花が咲いていなかったらしく、バスは通りに戻り、南下して、花畑のある農園を目指します。道の両側にはピンク、黄色、白などの花畑が次々と出現します(写真下)。 一面のお花畑 花畑を公開しているMatjiesfontein Farmという農場に到着。食堂を兼ねた受付のような建物があります(写真下左)。周囲にはわりとしゃれた感じの住宅が数軒見られます(写真下右)。 子供たちが好奇心満面で寄ってきました(写真下)。農場の経営者か労働者の子供たちなのでしょう。 建物のトイレを借りました(写真下左)。前にここに来たことのある諸川さん(仮名)によれば、この建物は宿泊所だそうです。設備は期待できないが、場所的には泊まってみたい気もします。 片道2kmくらい歩くようですから、リュックを背負って、さあ、出発です(10:52〜13:26)。少し風が強いが、これだけの天気ですから、期待できます。少し歩き出すと周囲は一面が花だらけです。 同じ黄色の花でも、写真上と下では別種です。こんなふうに少し歩くと、花の種類が微妙に違ってきます。 足下の小さな花を探しましょう。昨日も見たチューリップを連想させる花が咲いています(写真下)。今回、往復すると、往きは花が十分に開いていなかったので、マニングさんから足下に気をつけるように、また群生している所には入らないようと再三注意がありました。 写真上 Colchium coloratum (http://www.cliveprior.co.za/Images/Botanical/gallery.php?gallery=3&image=3&page=) 写真上 Gazania rigida (http://www.flickr.com/photos/tiggrx/6206271005/) 写真上 Arctotis acaulis (http://www.plantzafrica.com/plantab/arctotisacaulis.htm) 写真上 Gorteria diffusa (http://www.yonemura.co.jp/zukan/zukan-f/naiyou/gorteria-diff0.htm) 昨日も見た黄色いトリトマが一面に咲いています(写真下)。 写真上 Bulbinella nutans (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/Bulbinella) 写真上 Oxalis pre-caprae (http://en.wikipedia.org/wiki/Oxalis_pes-caprae) 写真上 Nylandtia spinosa (http://www.plantzafrica.com/plantnop/nylandspin.htm) 写真上 Eriocephalus ericoides (Namaqualand South
African Wild Flower Guide 1, p.166) 写真上 Babiana odorata (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/BabianaThree) この日、写真下のロムレアの群生があちこちで見られました。大きさは十センチほどなのに、大きな目立つ花を咲かせます。 写真上下 Romulea amoena (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/SouthAfricanRomuleas) 写真上左 selago minutissima 写真上右 Spiloxine serrata (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/spiloxene) 私の好きな青いデージーです。十分な陽射しがないと花びらが縮れてしまいます。 写真上 Felicia merxmuelleri (http://www.globalspecies.org/ntaxa/2287979) 日本でも中国でもこの種のデージーは道端から高山まで良く見かけますが、それらはほぼ全部が紫から薄紫で、青というのはありません。ここのは正真正銘の目の覚めるような青です。 ここには「口先」が黄色いネメシアがたくさん咲いています。ネメシアは茎が細いので、風が強いと激しく揺れて、撮るのに一苦労です。 写真上 Nemesia cheiranthus (http://aquiya.skr.jp/zukan/Nemesia_cheiranthus.html) ここのネメシアは良く見ると、花の「顔」が違います。写真下左は多数を占める典型的な「くちばし」が黄色のネメシアです。ところが、写真下右は、真ん中は黄色だが、くちばしが短く、しかも色は灰色に近い。 写真上左は、くちばしは長いが、色は赤味がかった紫です。さらに写真上右では、黄色い色も薄く、くちばしの色が灰色です。これらは別種ではなく、個体変化のようです。 道はどこまでも続いていますので、そろそろ引き返そうとする頃に素晴らしいお花畑が出現しました。 私のいるあたりがちょうど逆光になっていて、花びらが光を通して浮き上がり、とてもきれいです。 写真上 Oxalis obtusa (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/SouthAfricanOxalisSeven) 競い合って色とりどりの花が咲き乱れ、足の踏み場もありません。 写真上 Romulea Montana (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/SouthAfricanRomuleasThree) 写真上 Hesperantha pauciflora (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/HesperanthaFour#pauciflora) 往きにはそんなに咲いていなかった青い花が一面に咲き出しています。さほど時間はたっていないのに、まるで別な所を通っているかのように錯覚させられます。 写真上 Heliophila acuminata この青い花一本は大したことはありませんが、これが群落し、他の花と咲き競うとすごい迫力です。 私の見ているのは写真上下のような静止画像ではなく、風に揺れる花畑なので、じっと見ているとモネの絵のように幻惑されます。 写真上 Lessertia diffusa (http://www.southernafricanplants.net/plantdata_sub.php?Mspec_ID=3792&PHPSESSID=g9me22gctnrtfh2v2ahv3s1fa2) 写真上 Dimorphotheca pluvialis (http://www.plantzafrica.com/plantcd/dimorthothecapluvialis.htm) 写真上 Felicia filifolia (http://www.plantzafrica.com/plantefg/feliciafili.htm) 下の衛星写真は受付の食堂を出発して、我々が往復した片道2kmほどの道を示しています。緑色になっている部分はおそらく川が流れており、ここが比較的水の豊かな地域なのがわかります。その水を使って、彼らは作物を作っているのでしょう。写真の中頃に耕した畑と思われる部分が白く写っています。 その耕した部分と思われるのが、写真下です。我々が歩いた花畑のちょうと中頃で、突然、写真下左のように、少し手前(北側)は花が咲いているのに、まるで線を引いたように、そこから先は花がなくなりました(写真下右)。 道路のそばの畑には、トラクターで耕耘した跡が道路と平行に付いています(写真下左)。つまり、これは畑です。植えてあるのはルピナスのような葉をした植物で、花が咲いていないので、どういう農作物かわかりません(写真下)。 我々が見た見事な花畑は全部が自然そのままの風景ではなく、一部は農場であり、人間の手が加わったものなのでしょう。なにせここはMatjiesfontein Farmという農場です。畑として耕してしまうよりも、春先は花で観光客を集めたほうがお金になることに気がつき、一部を耕さずに放置したのでしょう。つまり、ここは日本で言えば観光農園です。 2種類の赤いロムレア 農場をあとに、道を引き返す途中、道端に赤いロムレアが一面に咲いている所で、乗客たちが喚声をあげたので、バスを停めました(13:39〜13:54)。先ほどの農園でも咲いていたが、こちらは原野らしく、自然な状態で咲いています。この後わかったのですが、マニングさんはこれではなく、別なロムレアを見せたかったのです。 バスを少し進めるとまた赤いロムレアがあり、今度はマニングさんがバスを停めました(13:55〜14:08)。彼はこれを見せたかったのです。先ほどのロムレアと同じように見えるが、別種だというのです。 写真上左が先ほどのロムレア、写真上右がここで見られるロムレアで、写真で比較すると両者は明らかに別種です。しかし、こんなふうに写真で比較すると気がつくが、バスの中からでは同じにしか見えません(笑)。 写真上下 Romulea sabulosa (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/SouthAfricanRomuleasFour) 旅行中、野生で見た唯一の白いトリトマです(写真下)。 写真上 Bulbinella caudafelis (Field Guide to Wild
Flowers of South Africa, p.70) 写真上 Lapeirousia oreogena (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/Lapeirousia) 写真上 babiana ambigua (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/BabianaTwo) 写真上 Hesperantha pauciflora (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/HesperanthaFour#pauciflora) ハンタム国立植物園 道を戻り、東に少し進んで、ハンタム国立植物園(Hantam National
botanical garden)の受付の門に到着(14:20、写真下左)。園内の看板には「ハンタムと何か」という地名の説明があります(写真下右)。ハンタムとは、この地に生えている赤い球根を持つ植物のことで、現地の人たちが食料や医薬に使っていて、それが地名になったようです。 我々は事務所(Office)まで行き、そこで昼食を取り、その後、受付の門のほうに徒歩で戻りながら、花(@コース)を散策します。道路の左側が一面にお花畑です。 写真下はここの案内図です。上が南ですから、衛星写真とはちょうど逆さまです。案内図のコースでいくと、@と書いてある黄色のルートです。所用時間は10分とあり、もちろん、衛星写真をみればわかるように、ただ歩くだけなら10分で行けるくらいの距離です。 ごらんのように、我々がこれら散策するのは自然保護区のほんの一部です。 花の散策の前に、事務所の前の庭でサンドイッチで腹ごしらえです(14:28〜、写真下)。 前にここに来たことがある飯島さんによれば、ここは元々、個人の所有する農場で(Glenlyon farm)、農場主(Neil MacGregor)自らが25席のボンネットバスを運転して、客を案内してくれたといいます。彼の四人の子供たちがここを欲しがらなかったので、彼はSouth African National
Biodiversity Institute(http://www.sanbi.org/)
に農場を売却して、ここが南アフリカの9番目の公立の植物園に生まれ変わったのです。ボンネットバスがないのがちょっと残念ですね。 園内の看板の説明によれば、ここが植物園となったのは2007年です。写真上の事務所は元々は農場主の自宅でした。中には入れません。 庭にある木に黄色い鳥が巣を作っています(写真下)。 食事もそこそこに、さっそく花の写真を撮ることにしましょう。道の周囲から花がたくさん咲いています。 写真上 Dimorphotheca pluvialis (http://www.plantzafrica.com/plantcd/dimorthothecapluvialis.htm) 写真上 Grielum
grandiflorum (http://za.ispot.org.uk/node/140308) 植物園のあちらこちらに看板が立ててあります(写真上)。看板は古くないことを見ても、ここが農場から植物園になったのが最近なのがわかります。 写真上 Lessertia diffusa (http://www.southernafricanplants.net/plantdata_sub.php?Mspec_ID=3792&PHPSESSID=g9me22gctnrtfh2v2ahv3s1fa2) 写真上下 Bulbinella nutans (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/Bulbinella) 写真上下 Hesperantha pauciflora (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/HesperanthaFour#pauciflora) 以前は農場で、耕作地や放牧地だったはずです。牧場主か亡くなり、それ以降しだいに自然の姿に戻りつつあるのでしょう。2007年から見て、今は四年目です。個人的にはそこがとても興味深い。これから五年後、十年後、耕作しないでいると、このお花畑がどうなるのか、比較してみたらおもしろそう・・・でも、何度も南アフリカまで来るのは時間もお金も大変だ(笑)。 見渡す限り黄色いお花畑です。しかし、これも前にここが牧場であり、人の手が入ったからこそ、ここまでの大群落が出来た可能性があります。自然のままに任せれば、こういう種で増える植物は減り、球根植物など多年生の植物が増えて、様々な花が混在するようになるから、こういう真っ黄色のお花畑は減っていく、というのが私の予測です。減る前に、見つめていると頭がクラクラするような真っ黄色のお花畑をごらんください。 写真上 Pentzia grandiflora (http://yasashi.info/he_00025.html) 写真上 Cotula laxa (Namaqualand South
African Wild Flower Guide 1, p168) 写真上 Felicia filifolia (http://www.plantzafrica.com/plantefg/feliciafili.htm) 写真上 Oxalis pre-caprae (http://en.wikipedia.org/wiki/Oxalis_pes-caprae) 写真上 Gazania rigida (http://www.flickr.com/photos/tiggrx/6206271005/) この保護区に来る直前にバスを停めて撮ったロムレアがここにもたくさんあります。先ほど生えていた場所といい、わりと湿気を好む植物のようです。 写真上下 Romulea sabulosa (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/SouthAfricanRomuleasFour) 受付の門に近づくにつれ、湿地になり、川も流れています(写真下)。 水溜まりの中の水草が白い花を咲かせています。周囲の地面には似たような花はありませんから、たぶん水草なのでしょう。 ここにも私の好きな青いデージーが群れて咲いています(写真下)。日本ではこんな色のデージーは見られませんから、私はかなりの枚数の写真を撮りました。でも、どう撮っても、生で見るあの青さが写真では再現できません。 風がかなり強く、小柄な青いデージーは風に煽られて、なかなか止まってくれません。 植物園は四時半が閉門時間です。我々はぎりぎりまでここにいました。マニングさんはここの人たちとも知り合いらしく、別れの握手をしています。 ウリのようなマンゴー 帰りのバスからは平原に広がる一面のお花畑が見えます(写真下)。来た時と同じ道を引き返しているのだが、午後になって花が咲き始めたから、まるで別な道を通っているみたいです。丸一日、花の写真を撮り疲れ、私はぼんやりと外をながめていました。 カルヴィニアに戻り、一同で近くのスーパーに水を買いに行きました(写真下,17:27)。昨日とは違うスーパーです。 私は日本のスーパーではあまり見慣れない果物を買ってみることにしました(写真下)。 写真下の左の大きなウリのようなのがマンゴーで、右上がパッション・フルーツ、右下がグアバ(Guava)だそうです。いずれも植物学者のマニングさんの鑑定付きです(笑)。食べられたのはマンゴーだけで、これもまずくないという程度の味です。パッション・フルーツはすっぱすぎて話にならず、グアバは種が多く、苦労してでも食べたいというほどの味ではありません。夕食などに出てきた種だらけの果物がグアバであることがわかったのが唯一の収穫です。次の日、手をつけていない果物はそのままホテルに残してきました。 マネキン人形のお嬢様たちのいる本館で夕飯です(写真下, 19:52)。昨日はちょっと甘すぎましたが、今日のはそれほどでもなく、私は一日動き回り、すっかりお腹が減っていたので、すべて平らげました。 トップページ 日程表 1 2 3 4 5
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