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13 南アフリカ花の旅 7日目 2011年8月22日(月) オーキエップ ←→ ゴエギャップ自然保護区 六時半すぎに起きて準備を始めました。外を見ると、天気予報どおり、厚い雲に覆われ、今日は雨だという。 食事まで時間があるので散歩しましょう。ボタ山は見てもしかたないので(笑)、昨日の夕方とは反対の方向に散歩に出かけました。霧雨で寒い。 花の咲いている空き地を通り抜けると(写真上)、静かな住宅街が続いています(写真下)。朝早いこともあり、誰もいません。 ホテルに戻った頃には霧雨ですっかり濡れてしまいました。八時からホテルで食事です。特においしいくも、まずくもありません(写真下)。 雨だ 今日は、スプリングボックを中心に、まず午前中は国道14号を東に行き、次に、戻ってきて、南東にあるゴエギャップ自然保護区(Goegap Nature Reserve)を訪れ、午後からオーキエッブを通過し、コンコールディアまでを往復し、その間に見られる花を撮影する予定です。 九時ちょうどにバスは出発しました。いったん、スプリングボックの街まで南下して、そこから国道14号(N14)を東に車を走らせます(写真下)。このあたりは標高が900mをこえます。春には花がたくさん見られるはずなのに、天気は小雨まじりでイマイチです。曇りでも花は咲かないのに、雨まで降っています。こりゃ、ダメかな、今日は・・・。 東に車を走らせるにつれて、あら?なんか雲の切れ間が出てきて、少しだが、青い空が見えてきました(写真下)。道路の両側は原野と岩山で、いかにも花畑がありそうです。しかし、陽が射さないので、バスから見る限り、花はほとんどありません。 数十キロも進んだ所で引き返しました(9:37)。マニングさんによれば、これ以上先は気候が違うので花は咲かないそうです。スプリングボックに戻り、そこから南東にあるゴエギャップ自然保護区(Goegap Nature Reserce)に向かいます。途中、虹が出ました(写真下)。薄日がさしているのだから、天気回復の期待が持てます。 ゴエギャップ自然保護区 ゴエギャップ自然保護区の入り口に小さな建物があり、これが料金所です(写真下)。マニングさんは保護官と挨拶するなど、手慣れた様子です。 料金所から少し進むとトイレのある休憩所に着きました。ここには周囲の植物を集めた花畑もあります。ただし、完全に人工的というのではなく、自然のままの草花も混在しています。 休憩所でまず目を引くのが、写真下のアロエの仲間です。写真下左のマニングさんと比べればわかるように、立派な樹木です。 休憩所から少し離れた所の岩場にアロエの「林」があります(写真下)。木になっているアロエやアロエの林は日本では絶対に見ない光景です。アロエは私も鉢植えを持っているので見慣れているはずなのに、まるで別の惑星の植物みたいです。 写真上 Aloe dichotoma 写真上のアロエの林はたぶん人工でしょう。写真下は道を走っている途中の平原で見かけたもので、自然にもこんなふうに生えています。ただ、一般にまばらに生えている程度で、林は見かけませんでした。 山田さんが、アロエの林の下にピンク色の大きな花が咲いていると教えてくれました。他の人たちに教えようと振り返ったら、私と山田さん以外は誰も来ません。人工的に植えられた草花には関心が薄れるようです。 人が植えたと言っても野生品種です。写真下の一つしか咲いていない花など、白い絹のような光沢を持つ花弁が流れたようになっていて、雪玉のようなつぼみといい、とても美しい。 写真上左 lessertia frutescens (http://www.plantzafrica.com/plantqrs/sutherfrut.htm) なんとか雨は上がった 休憩所から東に数百メートル移動し、そこから花の撮影を開始です(写真下)。雨が降らないのがいいだけで、曇り空で撮影条件はそれほど良くはありません。 写真下の花は乾いた砂地の地面からニョッキリ生えてきて、美しいというよりも、立派です。 写真上 Irachenal carnosa (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/LachenaliaSpeciesTwo) 写真下は花と葉の形が違うから、別な種類でしょう。 写真上 Heliophila amplexicaulis (Namaqualand South
African Wild Flower Guide 1, p.96) 写真上 Chlorophytum triforum (Field Guide to Wild Flowers
of South Africa , p.66) 写真上 Hypertelis salsoloides 写真上 Nemesia azurea (Namaqualand South
African Wild Flower Guide 1, p.148) 写真上 Lessertia diffusa (http://www.southernafricanplants.net/plantdata_sub.php?Mspec_ID=3792&PHPSESSID=g9me22gctnrtfh2v2ahv3s1fa2) 写真上 Tribulus terrestris 写真下は花そのものは特にきれいということはありませんが、花全体の幾何学模様がとてもおもしろい。 写真上 Oncosiphon grandiflorm 写真上 Dischisma
ciliatum (http://za.ispot.org.uk/species_dictionary/Dischisma%20ciliatum%20subsp.%20ciliatum) 写真上 Ruschia bina (http://www.flickr.com/photos/selectasucculents/6136740080/) 写真上下 Acanthopsis disperma (http://www.flickr.com/photos/pyrogenicity/6229331902/) 写真上 Euphorbia dregeana (http://www.discoverlife.org/mp/20q?search=Euphorbia+dregeana) 写真上 Ornithoglossum vulgare (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/Ornithoglossum) 写真 Gazania lichtensteinii (http://www.operationwildflower.org.za/index.php?view=detail&id=739&option=com_joomgallery&Itemid=8) 写真上 Dyerophytum africanum (http://www.flickr.com/photos/ukrris/2958056742/in/photostream/) このあたりの岩でよく目立つのは写真下のような白い石です。 写真上 Zaluzianskya benthamiana (http://www.southernafricanplants.net/plantdata_sub.php?Mspec_ID=6600&PHPSESSID=4lj5plmri4km2ddctfdt1d7co7) 写真上 Felicia filifolia (http://www.plantzafrica.com/plantefg/feliciafili.htm) 青空が広がり始めました(写真下)。 写真上 Diascia namaquensis (http://wildsideimages.net/photo_5739730.html) 写真上 Grielum humifusum (http://www5e.biglobe.ne.jp/~lycoris/s.africa-hana-3.html) 写真下はグラジオラスです。小柄で花の形も日本の栽培品とはまったく違いますから、これがグラジオラスだと言われてさえもピンときません。 写真上 Gladiolus
orchidiflorus (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/SouthernAfricanGladiolusSix) 写真上 Solanum giftbergense (http://plants.jstor.org/visual/nbgsld0001700) 写真上 Forsskaolea candida (http://www.kyffhauser.co.za/Plants1/Forsskaolea_candida/Index.htm) 写真上 Senecio cardaminifolius (http://www.globalspecies.org/ntaxa/2281241) 写真上 Oxalis comosa (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/SouthAfricanOxalisTwo) 写真上 codom royenii (http://www.plantzafrica.com/plantcd/codonroy.htm) ここで一番印象的だったのが写真下の岩に張り付くように咲いている花です。まるで花束を岩に貼り付けたようですが、まったくの自然です。 写真上下 Colpias mollis (http://www.plantzafrica.com/plantcd/colpmol.htm) 岩のすきまで、わずかばかりの土を養分としているのですから、すごい。岩では、雨でも降らないかぎり、水はないのに、ここは日本と違い、雨が少ない。乾期をどうやって乗り越えるのでしょう。 写真下は小さくて目立たない花だが、小さくはかなげで、色といい、形といい、私の好みに合います。図鑑を見ると、これは花が開いた状態ではありません。しかし、この開ききらない状態がなかなか良い。 写真上 Wahlenbergia prostrate (Namaqualand South
African Wild Flower Guide 1, p.160) 引き返したあたりに高さが10cm程度の小さなアヤメがありました。花の色が地味で小さいこともあり、探すのに苦労するくらい数は多くありません。 写真上下 Ferraria variabilis (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/ferraria) マニングさんがこのアヤメを撮影している最中、カメラを構えたまま後ろに下がったので、足下にある他のアヤメを踏んでしまったのを私はしっかりと目撃しました(笑)。弘法も筆の誤りです。 写真上 Conicosia elongate (http://www.operationwildflower.org.za/index.php?view=detail&id=779&option=com_joomgallery&Itemid=8) 帰りは南側の開けたほうに迂回すると、オレンジ色の花が一面に咲いています。 写真上下 Arctotis fastuosa (http://www.plantzafrica.com/plantab/arctotfast.htm) イメージだけで言うと、キンセンカを大柄にしたような花です。 見渡す限り、おそらくは数キロ先まで一面に生えています。日が射していないのがちょっと残念です。日が射せば、もっと明瞭なオレンジ色が浮かび上がるでしょう。 バスで帰る時、別な角度からこのお花畑を撮影しました。 写真下の左の山の麓から山が低くなってあるあたりまでが我々が散策した所です。 ようやく昼食 バスに戻ったのは,例によって私が最後でした(12:59)。この後、昼食だというので(写真下)、私はてっきり、皆さんバスの中で先に昼食を取っているのかと思ったら、そうではなく、私を待っていたのです。その時間に配って食べればいいと思うのだが、どうもマニングさんやエリックさんたちのような南アフリカの人たちは、バスの中で各人がバラバラに食べるというのを不作法と考えてるようです。いつも全員がそろった所で、しかも、バスではなく、バスから降りて食べるというのが彼らの習慣のようです。あるいはバスの中を汚されるのがいやなのかもしれません。 最初に立ち寄った公園の休憩所トイレのある駐車場まで移動して、そこで昼食になりました(13:13〜13:35)。しかし、外は肌寒く、半数の人はバスの中で食べました。 向こうには先ほどまで我々が散策した乾ききった岩山があり、手前はお花畑で、日本ではまず見られないような風景です(写真上下)。 鳥がいます(写真下左)。近づいても飛びだそうとしないところを見ると、近くに巣があるのでしょうか。エサは近くにいます(写真下右)。 走行中のバスの脇をスプリングボックが走っています(写真下)。街の名前のスプリングボックと同じ名前です。なんと、隣にシマウマが現れました(写真下右)。アフリカなんだから、シマウマがいてもおかしくはないものの、野生のシマウマを初めて見るのは感動ものです。 そう言えば、先ほど花の写真を撮っているところでも地面にたくさんの動物の糞が落ちていました(写真下)。たぶん、スプリングボックではないかと思います。 オーキエップのお花畑 バスはスプリングボックとオーキップを通過して(14:43)、道沿いに花を探します。天気もよくなり、道の両側には花畑があちらこちら出現しました。オレンジ色の花畑の前でバスを停めました。 写真上下 Arctotis fastuosa (http://www.plantzafrica.com/plantab/arctotfast.htm) 写真上 Osteospermum hyoseroides (http://www.kew.org/plants-fungi/Osteospermum-hyoseroides.htm) パステルカラーの黄色 ここのお花畑のすごいのは、写真上のオレンジの花だけではありません。少し斜面を登ると写真下の黄色い花が一面に咲いています。 マニングさんはこの花がこれだけ咲いているのを見たのは初めてだそうです。南アフリカの花の本を何冊も書いている彼が初めてみるというのだから、どうやらすごい光景のようです。 写真上下 Grielum grandiflorum (http://za.ispot.org.uk/node/140308) 陽が当たるとパステルカラーの黄色が浮かびあがり、それはもうきれいです。 黄色い花のお花畑に皆さんも感動されたことと思います。さすがは神々の花園と呼ばれるナマクワランドだけのことはあります。 そこで、ここでも水をさすことを言いましょう。 ここのオレンジと黄色い花の花畑も人間の手が加わったからここまでの大群落になったのではないかと思います。その証拠が写真下です。花畑の真ん中に頃にありました。風車で地下水をくみ上げて、農業用水に使うでしょう。トラクターで開墾した跡はみつからなかったが、これだけ同じ種類の花が咲いているのは、人間が畑にしても残れた草花だからでしょう。 写真上 Conicosia elongate (http://www.operationwildflower.org.za/index.php?view=detail&id=779&option=com_joomgallery&Itemid=8) 先ほどのゴエギャップ自然保護区にもいたイモムシ君がここにもたくさんいます。成虫は何なのでしょうねえ。 満開の花を満喫して(〜15:47)、道の先にあるコンコールディア(Concordia)という街でユーターンして、元来た道を戻ります。コンコールディアの町中にも、空き地のあちらこちらに花が咲いています(写真下)。 妖精の庭師 先ほどの花畑とは道路の反対側にある花畑で車を停めました(15:58)。先ほどの花畑が赤と黄色など一種類の花が圧倒していたのに対して、こちらはもっと様々な種類の花が競っています。 写真上 Ruschia bina (http://www.flickr.com/photos/selectasucculents/6136740080/) 写真下は写真上と同じ種類の花でしょうが、色が白です。ピンク色も混ざっていたり(写真下左)、白とピンクの中間色(写真下右)があるのがおもしろい。 向こうに見える岩山を目指して歩いてみましょう。先ほどのお花畑と違い、こちらは花の種類が多く、それらが入り交じっています。 写真下の花はまるで地面に花束を置いたようです。色といい、形といい、あまりに見事なので、マニングさんに声をかけました。 写真上 Aptosimum indivisum (http://www.flickr.com/photos/botalex/4629557566/) 写真上 Peliostomum virgatum (http://www.zoonar.com/photo/peliostomum-virgatum-namakwaland-sdafrika_2683840.html) 写真上下 Conicosia elongate (http://www.operationwildflower.org.za/index.php?view=detail&id=779&option=com_joomgallery&Itemid=8) ここの草花は自然に生えているというよりも、まるで誰かが意図的に植えたのではないかと思えるような配置です。私は花壇を歩いているような錯覚にとらわれました。 背後に低い岩山があるので、それがまた借景のような庭園に見せているのでしょう。庭のような花畑は高山地帯ではみかけます。しかし、こんな低地で、しかもこれだけ大規模なのはすごい。ここは高山地帯と同じようにとても環境が厳しいのでしょう。 先ほどの一面のお花畑に比べて、こちらはいくぶん隙間があります。これは、たぶん、こちらが畑ではないからでしょう。証拠の一つが、低い灌木があちらこちらに生えていることです(写真下)。さきほどの所は灌木がほとんどありませんでした。少なくとも、この灌木が成長した期間くらいは放置されたままなのでしょう。つまり、こちらはより天然の花畑である可能性が高い。 今回の旅行でいろいろな素晴らしいお花畑を見ましたが、私が一番印象深かったのはここです。花の量はもっとすごい所はありました。ここは、誰かが深い計算の元に様々な花を配置したような光景が、行けども行けども続いているのは、驚くというよりもショックでした。メルヘンチックにいうなら、花の妖精たちが作ったのではないかと思わせるほどです。 私はこの花畑の印象をどう写真を撮れば伝えられるか、とにかく撮りまくりました。だが、できあがってみると、当然ながら、現場での印象とはだいぶん違います。 さらに奥に行っても、妖精の庭師が設計したお花畑が続きます。人間が作った花壇に比べると、自然が作り出した配置だから、一つとして同じ物はないので、見飽きません。 ここは先ほどの花畑と道路をはさんで反対側ですから、環境にはそれほど違いはないはずです。ところが、先ほどの花畑は同じ種類の花が咲いていたのに、こちらはそうでない。しかも、どうやらこちらのほうが自然の状態らしいとなると、いよいよ、先ほどのあの見事なお花畑は「神々の花園」ではなく「人間の畑」である可能性が高くなります・・・たびたび水をさすようですみません。 写真下の黄色い花は、おそらく水か流れて砂が溜まった所に種がこぼれて広がったのでしょう。理屈はともあれ、まるで意図的に花を通路のように配置したように見えませんか。先ほどの花畑のように、この黄色い花が一面に咲いているのも美しいが、こんなふうに飛び地しながら咲いていると、意図的に作り出したように思えてきます。こんな光景がいたる所に広がっています。 写真上 Grielum grandiflorum (http://za.ispot.org.uk/node/140308) 向こうに見える岩山のふもとまで行ってみたいし、大した距離ではないのだが、なにせ写真を撮るのに忙しくて、たどり着く前に時間切れになりました。夕方であり、曇っていて、撮影にはだんだん向かない空模様になってきました。もっとも、明るい日差しが花の撮影にベストとは限りません。薄暗くなると、黄色い花などは浮き上がってきたりします。 写真下は午前中行ったゴエギャップ自然保護区にもあった岩に張り付いた花です。旅行中、この日しか見られませんでした。岩の隙間という環境は厳しいが、競争の少ない場所に適用するように進化したのです・・・すごい。 写真上 Colpias
mollis (http://www.plantzafrica.com/plantcd/colpmol.htm) バスのほうに引き返しながらも、シャッターを切り続けました。ゆっくりと鑑賞している時間がないのが、本当に残念です。 写真下の花は今回もあちらこちらで見られ、ここのが最も赤がきれいでした。 写真上 Lessertia diffusa (http://www.southernafricanplants.net/plantdata_sub.php?Mspec_ID=3792&PHPSESSID=g9me22gctnrtfh2v2ahv3s1fa2) 写真上 Osteospermum hyoseroides (http://www.kew.org/plants-fungi/Osteospermum-hyoseroides.htm) 写真上 Arctotheca calendula (http://en.wikipedia.org/wiki/Arctotheca_calendula) 写真下の青い花は、20日に訪れたニューウッドヴィルの農場に一面に生えていたのと同じ花です。ここではとても控え目です。 写真上 Heliophila acuminata バスに戻って来たのはいつものように私が最後で、感動で必死になりすぎてクタクタです(16:39)。足下に誰かが採ってきた小さいスイカ(メロン?)があります。もちろん、おいしくはない。 道を引き返し、オーキップのホテルに戻りました(16:51)。 ホテルのレストランで夕食です(写真下、19:00〜)。午前中は雨模様で、今日はダメかなと思っていたら、晴れ間が見え始めて、最後はすばらしいお花畑に出会えました。妖精たちのご機嫌が良かったようです。 トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7
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