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13 南アフリカ花の旅 8日目 2011年8月23日(火) オーキエップ → ナマクワ国立公園 → ガリエス 六時半に起床。外を見ると雨で、寒い(写真下左)。おまけに停電です。他の人たちに聞いてみると、昨夜11時半頃に停電になり、それっきりだそうです。私はうっかりパソコンを付けたまま寝てしまったので、朝起きるまで停電であることに気が付きませんでした。パソコンのバッテリーは空です。部屋にはローソクがあります(写真下右)。しかし、マッチがない(笑)。 ローソクの火の中、八時から朝食です(写真下)。夜、ローソクの火の下で食事をするのは落ち着いた雰囲気て良いが、朝食はやはり明るい陽射しが良い。 8:58にホテルを出発。今日は、スプリングボックを通過して、国道7号を逆戻りし、西側にあるナマクワ自然保護区を目指します。朝からの雨がそのまま降り続いています。 天気はいまいち 雨は撮影に向かないというよりも、ここの花は雨のままでは花を開かないことが多いようです。このまま雨では保護区に行っても、花が見られないなと少し暗い気持ちです。しかし、昨日と同じように、南に進むにつれて雨がやみ、空の一部が明るくなってきました(写真下)。 カミエスクルーン(Kamieskroon)という街のガソリンスタンドでトイレ休憩です(10:00)。ガソリンスタンドの隣にある売店は、ここも停電らしく、灯りもついていません(写真下右)。店の看板にはKAFEEとあるので、熱いコーヒーでも飲ませてくれるのかと入ってみました。 店内はおおよそ喫茶店とは違い、食べ物や日用品から薪まで、何でも売っている雑貨屋です。頼めばコーヒーが出るのでしょうけど、店が暗いこともあり、ゆっくりしたい場所ではありません。マニングさんは何か探しているようでしたが、何も買わずに出てきました(写真下左)。 写真下左は敷地に植えてあるアロエの樹木です。何度見ても奇妙な姿です。周囲には様々な花が咲いています(写真下右)。 ガソリンスタンドから少し北に戻った所にあるホテル(Kamieskroon Hotel)で、バスの後ろに取り付けてあるトレーラーを外し、預かってもらいました(写真下, 10:14)。これからナマクワ国立公園までは山道で、しかも、帰りはここまで戻ってくるからです。 国道七号を横切って、北西の方向に山道を進みます。雨はやみ、青空も時々見えるが、相変わらず雲も多い(写真下)。 オレンジ色のお花畑 山道を二十キロほど進んで、ナマクワ国立公園(Namaqua National Park)に到着(10:58)。入場料がR40(440円)かかります。ここは宿泊設備もあり、日本人が滞在していました。「トイレはあっちだ」と教えてもらいました(笑)。 周囲の山の斜面に通称・ナマクワランド・デージーが一面に咲いています。 下の衛星写真は、公園内をバスで一周したコースです。ただし、正直申し上げると、この衛星写真が本当に我々が訪問した公園なのか自信がありません。花畑や道路はそのままなのだが、建物の配置が明らかに違うからです。 各人に昼食を配り、自由行動になりました(11:39)。天候は風が強く、雲が流れていくので、晴れて日射しがさすこともあります。 食事は後にして、まずは写真撮影です。バスで一周したコースは後にして、来た道を戻りながら、花の写真を撮ることにしました。こちらもオレンジ色の花が一面に咲いています。 写真上下 Dimorphotheca sinuata 良く見ると、遠くの山の斜面もオレンジ色になっています。圧倒されるような広大なお花畑です。 ナマクラワランド・デージーだけに見とれていないで、他の花も探してみましょう。オレンジ色の花の咲いている所には、この花以外はあまりありません。しかし、道に沿った土手の周囲などにはいろいろな花が咲いています。道のそばにはいろいろな花があるのに、逆に花畑にはオレンジの花以外はあまりないというのは、ちょっと奇妙なことです。それにはちゃんとした理由があり、後でお話ししましょう。 写真上 Anchusa capensis (http://www.plantzafrica.com/plantab/anchusacapensis.htm) 写真上 Lessertia diffusa (http://www.southernafricanplants.net/plantdata_sub.php?Mspec_ID=3792&PHPSESSID=g9me22gctnrtfh2v2ahv3s1fa2) 写真上 Lachenalia mutabilis (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/LachenaliaSpeciesFour#mutabilis) 写真上 Microloma sagittatum (http://www.operationwildflower.org.za/index.php?view=detail&id=649&option=com_joomgallery&Itemid=8) 写真上下 Pelargonium incrassatum (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/PelargoniumSpeciesTwo#incrassatum) 花が食用になるツルボランがここにも咲いています(写真下)。食用になるとわかると、何となくうまそうに見えるから不思議です(笑)。 写真上 Trachyandra falcata (http://www.succulents.co.za/geophytes/trachyandra_falcata.shtml) 高さが二十センチくらいのアヤメが咲いています(写真下)。 写真上下 Babiana curviscapa (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/BabianaTwo#curviscapa) 写真上の濃い紫も良いが、写真下の薄紫の雨の滴がついている花もなかなか素敵です。 写真下の赤い花はこの地方独特の花だそうです。 写真上 Ixia latifolia var. ramulosa (http://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/NamaqualandThree) 野生の鹿 柵のすぐそばまでスプリングボックが寄って来ました(写真下)。スプリングボックの街の本屋に首だけ飾ってあった鹿です(笑)。野生で間近で見るのは初めてです。人間慣れしているのか、まったく恐れません。私は昼食のリンゴをかじって差し出しても、好みに合わないようで、食べませんでした。ちょっと触ってみたいが、間にある有刺鉄線には電流が流れているので、うっかり手は出せません。電流が流れているというわりには警告文もないのが恐ろしい。 鹿の目にはお花畑がどんなふうに見えているのでしょう。 写真上 Heliophila acuminata 写真上 Heliophila amplexicaulis (Namaqualand South
African Wild Flower Guide 1, p.96) 写真上 Salvia Africana-caerulea (http://www.plantzafrica.com/plantqrs/salviaafricaerul.htm) 写真下は黒い花です。これはつぼみだから黒いのか、それとも花が開いてもこうなのか、わかりません。完全に花が開いている個体は見つかりませんでした。 花を見る黒人 道端に車が停まり、中から若いカップルが現れました(写真下)。男性が黒人で、女性が白人です。私は旅行中に目撃したたった一人の「花を見る黒人」です。旅行中訪問した花畑には我々と同じような花を見る観光客が来ていました。だが、その全員が白人で、黒人は一人もいませんでした。公園の管理人や現場で働く人に黒人はいても、観光で花を見ている黒人を目撃したのは唯一彼だけです。この彼も白人の彼女に言われて来たのかもしれません。 花の観光客が白人ばかり、あるいは白人が圧倒的に多いのはなぜなのか、興味深いところです。この国を植民地化していたのはオランダ人とイギリス人です。この二つの国民が昔から花が好きで、オランダはチューリップで有名だし、イギリスはイングリッシュ・ガーデンという言葉があるくらい、世界中の植物を集め、庭園を造ることに熱心です。そういう文化が彼らを花好きにしているのでしょう。この国にはこれだけすごい花があるのだから、ぜひ黒人たちにも、ただ観光資源だからというのではなく、花そのものを好きになり、大事にしてほしいものです。 写真上 Solanum giftbergense (http://plants.jstor.org/visual/nbgsld0001700) 写真上 Nemesia affinis (Field Guide to Wild
Flowers of South Africa, p.466) 写真下の花は開花が終わって花が枯れているかと思ったのですが、しかし、周囲にはつぼみらしいものがあるところを見ると、この枯れているようなのが花のようです。 写真下の花を良く見ると、角の生えた怖い顔のように見えます(笑)。 写真上 Diascia namaquensis (http://wildsideimages.net/photo_5739730.html) 私の好きな青いデージーがあります。日射しが弱いので花弁が十分にのびきっていません。 写真上 Scabiosa columbaria (http://wpedia.goo.ne.jp/enwiki/Scabiosa/?from=websearch) 一面のオレンジ色の花に圧倒されて写真下の黄色い花もそこそこに多いのに、目立たちません。 写真上下 Osteospermum amplectens (http://www.pbase.com/cokesmith/image/121164699) オレンジ色のお花畑 道を元に戻り、公園の受付のところから最初にバスで一周した坂道を上っていくと、ここも斜面一面にオレンジ色の花が咲いています。 お花畑の中にはいって、しゃがみこむと写真下のように見えます。 トラクターで作った神々の花園 一面の花の美しさに感動しながら、丘の上のほうに登って行った時、気になる光景に出くわしました。写真下をよく見てください。まるでトラクターで耕した畑のように、写真奥に向かって地面に筋がついているのがわかります。 後で、冨山さんとマニングさんに聞いたところ、やはりトラクターの跡だそうです。つまり、この山の斜面にできている広大なお花畑は自然にできたものではなく、耕作という人工的な手が加わったおかげでできた光景です。つまり、ここはお花畑ではなく畑です。 耕作によってオレンジ色の花だけが広がったという証拠が、写真下の蟻塚です。蟻塚の周囲だけが緑が多く、様々な花が咲いています。これはトラクターが蟻塚を避けたため、元々生えていたいろいろな植物が残ったのでしょう。 耕されても残るような花がこのナマクワランド・デージーだけだったのでしょう。その結果、広大なオレンジの花畑は出現したのです。先ほどの道路の土手にはいろいろな種類の花があるのに、オレンジ色のお花畑には他の花が少ないのもこれが理由です。 ナマクワランドの花畑はしばしば「神々の花園」と賞賛されますが、一部は人工的なもので、神々が作ったのではなく、人間が作った景色です。 写真上 Erodium cicutarium (http://en.wikipedia.org/wiki/Erodium_cicutarium) オレンジ色のお花畑を少し外れたヤブの中、つまりトラクターで耕作されていない所にはいろいろな種類の花が咲いています。 写真上 Nemesia cheiranthus http://aquiya.skr.jp/zukan/Nemesia_cheiranthus.html 写真上 Didelta spinosa (http://it.wikipedia.org/wiki/File:Didelta_spinosa2.JPG) 写真上 selago minutissima 写真上 Conicosia elongate (http://www.operationwildflower.org.za/index.php?view=detail&id=779&option=com_joomgallery&Itemid=8) スプリングボックのお見送り 本日の花の撮影はこれで終わりです(15:14)。せっかく晴れ間が見えて来たし、まだ三時すぎですから、もう少しいたい気もします。元来た道をバスで少し戻ると、道路脇にピンク色の花が一面に咲いていました。まだ時間もあるので、車を停めて撮影です。 写真上下 Lapeirousia silenoides (http://www.globalspecies.org/ntaxa/2217041) 山道を走っていると、バスに驚いたのか、スプリングボックの群がすごい速度で走っていきました(写真下)。 周囲は山に囲まれているとはいえ、あちらこちらにちょっとした斜面を利用した畑が広がっています(写真下)。 トレーラーを預けたカミエスクルーンのホテルに到着(15:54)。私はこの街よりもナマクワ国立公園のほうが高山のように思っていましたが、ナマクワは590mで、こちらは665mもあります。高原地帯を走っていたことになります。 再び、朝来た国道7号を南下して、ガリエスを目指します。さきほどのナマクワランドのお花畑のようなオレンジ色の花が一面に生えている光景が道路の周囲に見られます(写真下)。あれもまた耕作された畑なのでしょう。 ピンク色のゲスト・ハウス 今日の宿泊地ガリエスのSophia's Guest Houseに到着(16:38,
http://sophiaguesthouse.co.za/)。ごらんのようにピンク色の建物の外観からしてどこか少女趣味で、これが中に入るともっとすごい。 入り口の脇にある受付と反対側の階段はバラの模様が描かれています(写真下)。 通路や階段とそれらの壁など、いたる所が飾りだらけです。 このゲスト・ハウスは1931年に建てられた建物を1991年に改装したもので、八十年たっているわりにはきれいに維持されています。これらの飾りは持ち主のソフィアさんの趣味なのでしょう。カルヴィニアのマネキン人形のあるゲスト・ハウスと同じで、個人の好みや趣味を強く出したゲスト・ハウスは、好き嫌いは別にして、普通のホテルでは味わえない独特の雰囲気があります。 食堂に行ってみましょう。道路に面しており、広くて明るい食堂です。ここも壁一面に食器などの様々な装飾で飾られています。「引っ越しするのに大変だろうなあ」なとど、引っ越しの多い私はいらぬ心配をする(笑)。 私の部屋をご覧ください(写真下)。赤い椅子に、ベッドカバーは花柄で、枕元には十字架が、足下には天使も飾ってあります。この建物と同じで少女趣味、というよりも、ここは女の子の部屋をイメージして作られたのでしょう。 見た目には暖かそうでも、暖房機がなく、かなり寒い。冬の泊まり客はどうやって暖を取るのでしょう? 部屋にはバスとトイレはなく、山田さんや飯島さんと三人で洗面所を共有です(写真下)。これはちょっと不便で、この問題さえなければ、このゲスト・ハウスは合格点でした。私は混乱を避けるために、建物全体の共同のバスとトイレを使いました。 彼らの部屋を見せてもらうと、どうやら三つの部屋を合わせて家族で泊まることを前提として作られているようです。つまり、私の部屋は娘のための部屋です。あるいは、1931年に建てられた当初、三室は実際に子供部屋だったのかもしれません。 家族用だとみれば、三部屋のすぐ隣の部屋が台所になっている理由もわかります(写真下)。こちらは食器や電子レンジもあります。しかし、湯沸かしポットは壊れているので、自分の部屋で沸かすことにしました。 ネコと黒い樹木 夕食まで時間があるので、街を散歩してみましょう(17:26〜)。街と言っても、衛星写真のように、国道7号と並行に南北に長く、2kmほどもない小さな街です。 街は静かで、人通りも少なく、まだ六時前だというのに店はもう閉まっています。 開いている数少ない店に入ると、そこは中国製品を売っている中国人の店でした(写真下左)。こんな小さな街にも中国人が進出しているのです。通りを往復して、この店の前を再度通りかかると、すでに閉まっていました。 川の近くの空き地に行くと何匹かネコがいます。よそからの侵入者を遠巻きに見ています。見た目には日本のネコとあまり変わりません。私としては南アフリカのネコにご挨拶して、お近づきになりたいのだが、近づこうとすると逃げます。 写真下左はリュウゼツランのような葉っぱの植物から花が樹木のように立っている植物です。花はすでに枯れています。日本でもこれの小さいのがあり、二メートルくらいの高さに小さな白い花を咲かせます。しかし、ここのは電柱くらいの高さです。 真っ赤なブーゲンビリアのそばに公衆電話があります。電話は見た範囲では壊れていませんから(写真下右)、この街の治安も良いようです。 南アフリカは水が少ないせいでしょうか、樹木は多くなく、もっぱら川の近くには生えています。ところが、バスの中から見る樹木の幹の多くが真っ黒です。表皮が元々黒い樹木なのか、それとも燃えた跡なのか、興味がありました。写真下は、今日行ったナマクワランドの山道でバスから見た光景で、川の周囲に木が生えているのに、樹木の幹は真っ黒です。緑が多い中、黒い林のようでちょっと不気味です。 散歩中の人家の庭にまさにその黒い樹木がありました(写真下)。見ると、明らかに燃えた跡があります。新しい枝は普通の樹木の色で、アカシアのような葉が生えています(写真右下)。つまり、昼間見た黒い樹木も、幹が黒いのではなく、燃えた跡なのでしょう。ただし、山火事なら、こんな街の真ん中の木が燃えているのはおかしい。とすれば、何かの理由でわざと火を付けるのかもしれません。 7時からホテルの食堂で夕飯です。ここもスープはおいしい。それ以外は普通の味です。 トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8
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