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ブルガリアの春の花

3日目 2016426()

プロウディフ ←→ ロドピ山脈

 

 

 昨夜から雨が降るような音が聞こえていました。六時前に起きて、窓の外を見ると、雨です。到着した翌日からさっそく雨なんて、ブルガリアはずいぶん愛想が悪いじゃないか()

 

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 本日は、プロウディフ市の南にあるロドピ山脈を散策します。

 

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 ロドピ山脈はブルガリアの南方、ギリシャの北部に位置する山脈です。

 

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(Wikipediaから転載)

 

カタツムリ

 ホテルの西側にある丘の上に遺跡があるので、朝の散歩にちょうど良い。でも、雨です。どうしようか迷ったが、傘をさして出かけることにしました。石畳は濡れてすべるので危険です。

 

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 住宅地をすぎて、さらに丘の側面の道を歩いているうちに、雨がますます強くなってきました。出発する前から濡れてしまうのは好ましくないので、散歩はあきらめて、引き返すことにしました。

 

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 私と違い、カタツムリ君たちは雨で元気(写真下)。日本のカタツムリと外見や大きさは変わりません。いつも不思議なのが、ナメクジは気色悪いのに、どうしてカタツムリだと可愛いと感じるのでしょう。

 

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 ホテルに戻り、七時半から昨日と同じ地下のレストランで朝食です。ブルガリアだからチーズやヨーグルトが何種類も並ぶのではないかと期待していたのですが、ごらんのようにいたってあっさりした朝食です。

 

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ロドピ山脈へ

 予定どおりに八時半に出発。プロウディフ市内を出ると、昨日と同じように、道の両側には野原や麦畑などが広がり、その間にオレンジ色に統一された家々があり、とてもきれいです。

 

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 三十分ほど走り、ガソリンスタンドでトイレ休憩(09:08)

 

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 写真下右が私たちの載っている小型バスです。乗客だけで12人いますから、一人二座席というわけにはいきません。ちょっと狭いが、私たちの行く所は山道が多いので大型バスは無理です。実際、この日の午後にはこのバスさえも捨てて、四輪駆動車に乗ることになりました。

 

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 店はそれほど広くはないが、日本のコンビニと似ていて、食べ物を中心とした品ぞろえです。値段も総じては日本よりもやや安い。ブルガリアではこういうガソリンスタンドに併設されたコンビニのような店が一般的です。

 

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 店ではその場でコーヒーも入れてくれるばかりか、ガラスケースの中にある果物(写真上右)を使ってジュースまで作ってくれます。写真下右では店員がリンゴを切り、ヘタも種もそのまんまジューサーに放り込んでいます。

 

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 休憩を終えて、店の外に出ると小雨がぱらつき、これから行く南東は相変わらずの空だが(写真下左)、プロウディフ側の北西の空が明るくなっています(写真下右)

 

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 アセノフグラートという街の店のショーウィンドウには、結婚式で着るようなドレスがたくさん飾ってあります(写真下)。実際、ここはその産地だそうです。私たちは後日、結婚式に遭遇しました。

 

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 ウェデング・ドレスの街を通過すると、車は間もなくロドピ山脈に入ります。春先のせいもあって、緑が多く、日本人にはそれほど違和感のない風景です(写真下)

 

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 やがて川に沿った街が見えてきました(写真下)

 

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 道の両側に土産物屋や食堂などが並んでいます(写真下)。ただ、小雨で平日の午前中のせいか、客待ち顔の店番ばかりで、観光客はほとんどいません。

 

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 ここは修道院があり、これらの店はその門前町の商店街です。私たちは懺悔したい人もいないようなので()、修道院は通過して、さらに奥の山を目指します。

 

 

花の散策を開始

 山道の入り口に到着(9:51)。雨合羽を着て、傘をさし、重装備で出発です。犬クンが付いてきて、お供が増えてちょっと楽しい展開を期待したのですが、途中から帰ってしまいました(写真下)

 

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 出発した頃はカッパと傘で重装備だったのが(写真下左)、少し登るにつれて小雨は霧雨に変わり、傘もいらなくなりました(写真下右)。この後、雨は上がり、しかも、旅行中、雨が降ったのはこの日の午前中だけで、後は驚くほど天気に恵まれました。不愛想な国だという朝の発言は撤回します()

 

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 春先ですので道端には花がたくさん咲いています。写真下のヤマイモの花そのものはあまり目立たないが、雨のしずくが付くと妙にきれいです。

 

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写真上:tamus communis

 

 日本でもお馴染みのギンランです(写真下)。こんなに離れた場所なのに、姿形はそっくりです。

 

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写真上:Cephalanthera damasonium

 

 写真下はセリの仲間で、花は小さいが、数が多いので結構目立ちます。

 

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写真上:Sanicula europaea

 

 写真下はユキノシタの仲間で、ユキノシタがそうであるように、日陰にたくさん花を咲かせています。

 

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写真上:Saxifraga rotundifolia

 

 写真下のシレネはナデシコの仲間です。この後も各地でずいぶんシレネの仲間を見かけました。

 

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写真上下:Silene italica

 

 写真上はピンク、写真下は白です。

 

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 写真下のようなマメの仲間はブルガリアは多い。訪問した場所では必ずと言っていいほど見かけるほど種類も豊富です。

 

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写真上:Lathyrus laxiflorus

 

 写真下はオドリコソウの仲間です。日本に帰化しているヒメオドリコソウよりも大きく、日本のオドリコソウと違い、花はピンクです。

 

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写真上:Lamium maculatum

 

 写真下は、昨日から見ているシソの仲間で、ここのはより青色が強い。

 

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写真上:Ajuga reptans

 

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写真上:Erysimum leptophyllum

 

 写真上と下はちょっと似ていますが、花弁が上が四つで菜の花の仲間、下は五つです。

 

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 写真下はオオバノアカツメクサです。日本ではこれと似たムラサキツメクサが緑化に使われています。素人目には区別がつきません。両方とも日本では種が売られています。

 

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写真上:Trifolium medium

 

 アカツメクサの花についているのはどう見てもアブラムシです(写真下)。日本のアブラムシよりも強そう。

 

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 写真下は日本でのジュウニヒトエの仲間だそうです。そう言われると花の形がちょっと似ています。

 

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写真上:Ajuga laxmani

 

 写真下は昨日もシャクヤクの生えている所にありました。園芸品種のオオアマナの仲間です。オオアマナは「ベツレヘムの星」という宗教的な名前でも呼ばれています。ベツレヘムの星という名前の花は他にもありますが、一般的なのはこれです。

 

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写真上:Ornithogalum comosum

 

 写真下はホタルカズラの仲間で、花は薄暗い林の中でも良く目立つ。強い青が印象的です。

 

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写真上:Buglossoides purpuro coeruleo

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 いつものように私は遅れに遅れて、やがて他の人たちは見えなくなりました(写真下右)。同じ道を引き返すので、遅れても問題はありません。

 

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 皆さんが草を踏み倒した跡が林の奥のほうに続いています。何かあるのだ。足跡をたどって行ってみると、おお!ありました。

 

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写真上下:Haberlea rhodopensis

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 イワタバコの仲間です。岩の斜面に所狭しと咲いている。すごい。最盛期です。

 

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 イワタバコはその名前どおり、岩に付くのが大好きで、ここでも岩にへばりついています。昨年、インドのアルナーチャル・プラデッシュ州に行った時も岩にへばりつくように生えたイワタバコを見ました。

(http://mugentraveler.sitemix.jp/india2015/india150711.html)

 

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 イワタバコと言ってもハタバコの仲間でなく、単に葉がハタバコに似ているからということのようです。タバコの嫌いな私には迷惑な命名です。きれいな花が多いので園芸品種も多く、セントポーリアなどその一つです。

 

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 このイワタバコは今日の一番の目玉です。岩にへばりつくイワタバコを、岩にへばりつくようにして私は写真を撮る。

 

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 周囲の草の様子から、私たち以外はここに足を踏み入れた人は誰もいないようです。

 

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 さらに進むと、林の中にポツンと一つだけランが咲いています(写真下)。白いから目立つ。

 

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写真上下:Orchis puzpurea

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 いや、一つではなく、すぐそばにもう一本咲いています。しかも、別な種類のランです。ここで花が咲いていたのはこの二株のみで、これらのランがあったのもここだけでした。

 

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写真上下:Orchis simia

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 道端に小型の別なランが一本だけ咲いています(写真下)。ここは一本だけのランが多い。このランの顔はポルトガルに行った時、ずいぶんとお目にかかりました。

 

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写真上:Ophrys cornuta

 

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写真上:geranium robertianum

 

 川縁にハマウツボの仲間が咲いています(写真下)。これもこの川縁でしか見かけませんでした。花を拡大しても構造が良くわからない。

 

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写真上:Lathrea rhodopea

 

 同様に、川の近くでたくさん咲いていたアカネの仲間です(写真下)。欧州からロシアの南部あたりまで分布しています。

 

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写真上:Cruciata glabra

 

 ピンク色のノイバラです。数はあまり多くありませんでした。

 

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写真上:Rosa canina

 

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写真上:Cornus sangunea

 

 

修道院の観光

 山を下りて昼食のために修道院のある門前町まで戻りました。せっかくなので、その前に修道院を見学することになりました(12:46)。このあたりで標高400mくらいです。

 

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 門の天使に迎えられながら、中庭に入って行きます。

 

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 門の両側がアーチ状に白い花が飾られています。触ってみたら、生の花でした。いいですね。

 

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 門をくぐると中庭になっています。

 

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 この修道院を衛星写真から見ると、ずいぶん奇妙な建物です。あちらこちらが曲がっている。山の斜面ですから、高低差はあるものの、ここまで歪んでいるのは変です。

 

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 私たちが入ったのは北側の中庭で、その真ん中に大きな建物があり、それが写真下の塔です。この中が本堂らしく、他のお客さんたちは中に入ったようです。

 

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 私は外にいました。ブルガリアは内部の写真撮影の禁止が多いと聞いていたからです。それに、こういう建物の中は重圧感があり、多くは陰気臭くて私は苦手です。たくさん人を殺した王様が建てた立派な教会とか、残虐な殺され方をした聖者様のイコン(図像)なんて、せっかくきれいな花を見た後で、しかも青空が見えているのに、勘弁してほしい。

 

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 それよりも、ほら、ネコがいる(写真下)。身体が小さいからまだ子猫でしょうか。

 

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 中庭でヤギが飼われています・・・たぶんヤギだよな(写真下)。私は早速、お近づきの印に近くにあったオオバコの葉を差し上げたところ、すぐに食べて、もっとよこせとのことでした。彼の家のオリの模様が素晴らしい。

 

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 建物はそれほどでもないが、写真下左の窓ガラスが私は気に入りました。前にこういうガラスを手にいれようとネットでずいぶん探しましたが、見当たらない。どうしてこういう文化が日本では育たないのでしょう。

 

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門前町で昼食

 修道院の見学を終えて、修道院の坂を下り(写真下左)、山門を出ます(写真下右)

 

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 そこからが土産物屋の通りです(写真下右)。あいかわらず、あまり観光客はおらず、ネコがいる。

 

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 観光客の代わりに犬が気持ちよさそうに昼寝をしている。

 

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 食事をしたのが写真下左の食堂です。昼食はサンドイッチを持参しており、飲み物だけを注文して、店を借ります。海外はこういう「持ち込み」ができるのが便利です。日本ももう少し融通が利かないものか。

 

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 店前でオバサンが焼き肉を売っている(写真下)。お客さんが何人か買って食べたところ、なかなかうまかったそうです。

 

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 写真上右の美人の娘さんを見て、私も買いたい気持ちになったが()、午後からの行軍を考えると、軟弱な私の胃腸は軽くしておいたほうが得策です。配られたサンドイッチなどの昼食だけにしておきました(写真下)

 

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 店の北側のベランダで食事をします。私の見ている風景が上下の写真で、野原が広がり、空には鳥がたくさんいて、すごい勢いで飛んでいます。イワツバメだと鳥に詳しい人から教えてもらいました。風が強くてちょっと寒いが、気持ちが良い。

 

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 食後、通りの土産物屋をのぞいてみます。

 

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 陶器がたくさん売られているから、このあたりは産地なのでしょうか。

 

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 一番の着目は蜂蜜です(写真下左)。私は真っ黒な蜂蜜を買いました(写真下右)。松の蜜を集めたのだという。蓋に「MaHa」と書いてあるだけで、ラベルも何にもありません。集めた人がそのまま容器に入れて売っているという雰囲気です。かなり甘みの強い濃厚な蜂蜜でした。

 

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 もう一つの着目が花粉です(写真下)。杉の花粉は最悪だが、ミツバチの集めた花粉は健康食品として売られています。ツアーリーダーの松森さんが見つけて、値段の安さに驚きました。

 

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 買物の最中に他のお客さんと店側でトラブルがおきました。店のおばさんが釣り銭をくれないという。お金を渡したことは別なお客さんが目撃していたので、抗議するが言葉がうまく通じない。私が花粉を買った時はきちんと計算して、ズルイことをするようなオバサンではなかったのに、日本人が次々と買うから欲が出たのだろうか。

 そこで植物ガイドのトニさんに頼んで交渉してもらいました。トニさんに聞くと、オバサンは釣り銭をごまかそうとしたのではなく、その分でもっと買えと言っていたようです・・・おいおい、オバサン、欲張りすぎだよ。

 

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残雪のある山へ

 午後からは千メートル級の山に行き、オキナグサを見る予定です。しかし、昨日、植物ガイドのトニさんから、今年は暖冬で春が早く、難しいかもしれないと、松森さんを通して聞いていました。千メートルの山の上は昨夜は雪が降ったというし、もしかしたら、「遅刻したオキナグサ」があるかもしれないから、とにかく、行ってみましょう(14:16)

 

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 山を下りて平原を迂回し(写真上)、再びロドピ山脈を登ります(写真下)

 

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 山嶺の街並みがこれまたきれいで別荘風です。たぶん、それは通過する人間のいう台詞で、冬の生活などは厳しいのでしょう。

 

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 やがて、雪が残っている比較的平らな所に到着しました(写真下, 15:13)。標高1300mくらいで、バスはここまでです。

 

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松の木をちぎっては投げ

 私たちが乗り替えたのが写真下のトヨタの四輪駆動車です(写真下)。地元の林業をしている人が山頂までこの車で私たちを運んでくれます。一度に客は四人しか乗れませんから、三回に分けて運びます。

 

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 私は一回目に手を挙げて乗せてもらいました。集合はいつも一番遅いのに、こういう時だけは早い()。運転手、トニさん、松森さん、客二人の合計五人で出発です。

 

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 ランドクルーザーを使うだけあって、ものすごい悪路です。

 

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 写真上などまだ良いほうで、写真下は道が完全に水没し、ついには田植えができそうな田んぼのような泥道です。

 

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 私ともう一つのお客さんはこの悪路にキャーキャー言いながら大ハシャギをしていると、車が突然停まりました。山道を三本の松が横倒しになってふさいでいる(写真下)。動かすことは無理だと素人でもわかります。目的地の山頂まではまだかなり距離があり、これまでの泥道を考えと気が重いが、歩くしかない。

 

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 すると運転手はおもむろに車の荷台からチェーンソーを取り出して、慣れた手つきで輪切りにしていきました(写真下)

 

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 ところが敵もさる者で、二本目は切られる途中で曲がり、チェーンソーを挟み込んでしまいました(写真下)。チェーンソーを松の木に取られては手も足もでません。と思いきや、オジサンはトラックから斧を取り出し、松の木を削り始めました。無事、チェーンソーを取り返し、作業再開です。

 

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 私たちも輪切りになった松を道路の脇まで運びました。相当な重さがあるが、雪があるので滑らせることができます。

 

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 そして15分ほどでついに開通しました(写真下)。サバイバルのようなオプショナル・ツアーに、私ともう一人のお客さんは「一号車で良かった」と喜んでいる・・・変な客。

 

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 私は後でこの件を他のお客さんたちに「道に横たわる直径三メートルもあろうかという巨木の松を、私が片手でムンズと掴み上げ、ちぎっては投げ、ちぎっては投げして、道を作ったんですよン」と自慢しました()。私の頭の中では、松の木を一刀両断する国芳の浮世絵が浮かんでいました(写真下)

 

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歌川国芳「通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯智深初名魯達」

 

 

山頂に到着

 雪の残る山頂に到着しました(15:50)。このあたりで標高が1500mくらいです。ロドピ山脈が遠くまで連なっています。

 

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 我々は先発隊なので、後の人が来るまで、できればオキナグサを発見したい。

 

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 残念ながら、オキナグサの花は終わっていました(写真下)。遅刻したオキナグサをしばらく探したのですが、見つけられませんでした。一週間前くらいが最盛期だったのでしょう。

 

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写真上:Pulsatilla halleri

 

 せっかくですから、雪のある森の中を散策しましょう。

 

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 写真下の植物たちは断崖絶壁にへばりつくように咲いており、私はへばりつくようにして撮りました。

 

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写真上:Saxifraga stribrnyi

 

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写真上:Achillea ageratifolia

 

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写真上:Polygala vulgaris

 

 雪とスミレなんてなかなか得難い被写体です。

 

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写真上下:Viola montana

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 黄色いスミレも少しだけあります。

 

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写真上:Viola aetolic

 

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写真上:Euphorhia niciciana

 

 黄色いマメの仲間が林の下に群生しています。

 

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 写真下のグロブラリアはこの後の旅行中にしばしば見かけました。

 

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写真上:Globularia aphyllanthes

 

 黄色いサクラソウで、写真下右では、去年の枯れた花がそのまま隣に立っています。

 

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写真上:Primula veris

 

 写真下は雪の中のランです。

 

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写真上:Dactylorhiza sambucina

 

 写真上のランにはクリーム色のもあったようで、写真下がそれかと思っていましたが、花を比較すると別種のようです。

 

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 樹木のない陽当たりの良い所には写真下のキンポウゲが咲いています。これも雪との組み合わせは珍しい。

 

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写真上:Geum urbanum

 

 日本でも植えられているムスカリがここでは自然に生えています。今回の旅行ではあちらこちらで見かけました。

 

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写真上:Muscari neglectum

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 大きな蛾が一匹停まっています。春が来たので羽化したら、突然の雪と寒さで動けなくなったのでしょう。

 

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 先ほど車を降りた山頂近くに戻ってみると、雪についた足跡から見て、皆さんもうすでに下山したようで、誰もいません(17:11)。あの車が迎えに来てくれるだろうから、道に沿って降りていくことにしましょう。

 

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 少し降りていくと、話し声が聞こえ、だいぶん先に他のお客さんの姿が見えました(写真下)。しかし、車は客を運ぶのに三往復するのだから、まだ十分に時間があるだろうと、私は彼らにはすぐには合流せず、花の撮影をしていました。

 

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 少したつと、大声で呼ぶ声が聞こえます。私を呼んでいるらしい。三回目の車が来たにしては早すぎる。とにかく行ってみましょう。

 

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 客を荷台に乗せると二往復で済むので、これが最後の便だというのです。

 

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 先ほどの悪路を引き返しますから、荷台の乗り心地は最高です()

 

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 道には樹木の枝がのびているので、荷台に乗る人は頭をぶっつけないように気をつけないといけない。

 

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 バスから乗り換えた地点に戻りました(17:53)。車を提供してくれた木こりのオジサンにはお礼を言って、ここでさようならです。私も素人でチェーンソーを使うので少しわかるが、彼の手さばきはさすがでした。

 

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崖の上のラン

 バスに乗り換えて、来た道を戻り、山を下ります。夕方の山と山村の風景がきれいです(写真下)

 

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 下山途中でバスを停めました。来る時、お客さんの一人が崖の上にランを見つけていて、帰りにここで停まる約束をしていたからです。写真上右のように、似たような山道で、逆方向から来ているのに、約束した場所で停まれるというのは、さすがは松森さんです。

 

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写真上下:Orchis simia

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 ただ、問題はランは道路の崖の上にあるので、強引に登った私ともう一人の男性以外は登れない。岩が簡単に崩れてしまうので危険です。幸い、少し先の林の中に見事なランが咲いていました。後日、この二種類のランに何度も出会うことになります。

 

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写真上下:orchis purpurea

 

 花弁の表面のソバカスは良く見ると小さなトゲのようなものです。昆虫がとまりやすいようにしてあるのだろうか。

 

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 ここは先ほどの山よりも低地なので別な種類の花がいくつか咲いています。 

 

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写真上:Centaurea cyanus

 

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写真上:Salvia glutinosa

 

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写真上左:Polygonatum officinale

 

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写真上:Syringa vulgaris

 

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 今回の旅行で、マメの花できれいなのが多かった。写真下はその一つです。

 

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写真上:Lathyrus laxiflorus

 

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写真上左:Ranunculus millefoliatus

写真上右:Erysimum leptophyllum

 

 

プロウディフに戻る

 撮影を終えて、再びバスは山を下りていきます(18:29)

 

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 ウェデング・ドレスの街を通過して(写真上)、今日行ったロドピ山脈を左手に見ながら(写真下)、バスは順調にプロウディフへと走ります。夕暮れが美しい。

 

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 ホテルに戻ったのは七時半すぎでした。

 八時からホテルの同じレストランで夕飯です。写真下左の山盛りのサラダに挑戦しました。皿一つが一人分で、完食できた人は私を含めた少数でした。

 

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 明日はこのホテルをたちますから、荷物をまとめました。松の木をちぎっては投げしたので、さすがにくたびれた()。朝はどうなるかと思ったが、晴れたのは何よりでした。

 

 

 

 

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