トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 チリ・アンデスの奇妙なスミレたち 4日目 2019年12月13日(金) エル・コロラドとネヴァド溪谷 六時頃に起床しました。暖房がないので部屋の温度は17.9℃と低い。犬クンたちは朝からのんびりしている(写真下)。 今日は、ファレヨネス周囲のエル・コロラドとネヴァド溪谷などのスキー場を中心に花を探します。 朝の散歩に出かけます。昨日は街中を散歩しましたから、少し周囲を歩いてみましょう。道路の脇の岩の上に十字架があります(写真下)。 写真下左は私の畑にもあるカルフォルニア・ポピーで、もちろん外来種です。
写真上左 Eschscholzia californica ちょっと毛深いマメの仲間はチリやアルゼンチンに分布する自生種です(写真下)。
写真上 Astragalus vesiculosus 地面に落ちたように咲いている白い大きな花があります(写真下)。前回のチリでも見かけたツキミソウの仲間です。昨日夕方の散歩でも見かけましたが、いずれも花がしぼんでいました。名前どおり、この花は夜から朝にかけて咲く花です。 写真上下 Oenothera acaulis
朝日があたり、それも花弁の裏から陽が射しこむような角度で陽が当たるわずかな時間がチャンスです。
長さ15cmほどのボールペンと比較してもわかるように、かなり大きく目立つ花です。遠くから見ると、テッシュペーパーが捨てられているのかと勘違いする。
もう一つ、地面の近くに生えているのがアルストロメリアです(写真下)。昨日の夕方の散歩でも一本だけ見つけました。ここは群落というほどではないが、ポツンポツンと生えています。
写真上下 Alstroemeria pallida 花に陽が射し始めると、印象がだいぶん違います。
ここの花は地面に花が咲いているように見えるほど背が低いが、これは環境が厳しいからで、ネットの解説では20~50cmほどにもなるそうです。
写真下もこのまま園芸種になりそうな花で、チリのこのあたりが原産地です。 写真上下 Tropaeolum sessilifolium
七時にホテルに戻り、朝食です。ストーブに火が入っています(写真下右)。
エル・コロラド 九時にホテルを出発。気温が低いが陽ざしが強いので、ドライブはなかなか気持ちがよい。
舗装されてない山道を登ります。標高は3000mを越えていて、しかもスキー場ですから、両側には樹木一本ありません。
馬が数頭放牧されています。花を見る立場から言うと、こんな花にとって環境の厳しい高山に放牧するのはやめてほしい。
こんな荒涼とした岩場にも目をこらすと花が咲いています。写真下は朝の散歩で見た花で、あちらは水が近くにあったから、ここよりも花がたくさん咲いていました。
写真上 Tropaeolum sessilifolium
写真下は見るからにセイヨウタンポポで、実際、欧州原産のセイヨウタンポポです。チリのタンポポかと思って、たくさん撮って損したような気がした(笑)。
写真上 Taraxacum
officinale 地面を絨毯のように覆う植物はこういう高山地帯では珍しくありません。写真下はその一つです。
写真上 Mulinum albovaginatum 写真上は花がないが、写真下は黄色い花が咲いています。
写真上 Oxalis exigua 写真上と下は同じカタバミの仲間で良く似ているが、葉が違います。
写真上下 Oxalis compacta
このカタバミはまとまって咲いてはいるが、絨毯を形成するほどではありません。チリの中央部と北部、またアルゼンチンに分布します。
五つの花弁が特徴的な花です(写真下)。チリ中央部から南部、またアルゼンチンの一部にも生えています。 写真上下 Oreopolus glacialis
写真の奥に見えているのはたぶんスキー場用の柵です。 写真下はこの一本しかありませんでした。似たようなのが数種類もあるので、名前は前回2015年に購入した図鑑“Flora Silvestre de Chile zona
central”から判断しました。
写真上 Loasa
cordillerana 写真下はチリ中央部に分布するキクの仲間です。ここのは薄紫のようなぼんやりした色が付いていますが、ネット上での写真を見ると、白や薄黄色が多いようです。
写真上 Perezia carthamoides
写真下のようなキクの仲間は高山では良く見かけます。葉は饅頭のようにまとまって、しかも、細かい毛が生えていて、防寒着になっています。 写真上下 Chaetanthera lanata
アンデス山脈のアルゼンチン側や、チリでは中央部から北にかけて分布します。
写真下は太平洋側の南北アメリカに分布します。ネット上での写真を見ると、これが同じ植物なのだろうかと疑問になるくらい、いろいろな外見があるようです。
写真上下 Phacelia secunda 写真下だとあまりわからないが、この植物は葉も花もロゼット状に咲くようです。これは花が終わったのではなく、これで咲いている状態です。チリ中央部とアルゼンチンに分布します。
写真上 Pozoa coriacea
濃いピンクが印象的なスベリヒユの仲間で、二日前にポルティーヨで見たのとは別種です(写真下)。
写真上 Montiopsis cistiflora ロゼットヴィオラ 私たちはスキー場の柵を見にきたのではなく、一番の目的はロゼットヴィオラなのに、なかなか見つからない。
やっと見つけたのは花が咲いていない(写真下)。
写真上下 Viola skottsbergiana
遅れて後ろを歩いていたお客さんが花が咲いているのを発見して、皆さんに追いついてカメラの写真を示した時には、その場所がわからなくなり、戻れない(笑)。似たような瓦礫の斜面ですから、一度、目を離したら、どこがどこなのかわかりません。大まかな場所を聞いて、全員で前後左右を探し、ようやく見つけました。 写真上下 Viola philippii
よくあることだが、一つ見つけると、次々と見つかる・・・いっぱいあるじゃない(笑)。 昨日、ポルティーヨで見た亀のようなロゼットヴィオラと違い、こちらは花もピンクなので、とてもかわいらしい雰囲気です。
直径1cmほどのボールペンの先と比較しても、花が小さいのがわかります。
今回、旅行会社を通じて著者からもらった『アンデスすみれ旅』(神山隆之)の中に、Christine (Kim) Blaxland 氏が二度登場します(99ページ、128ページ)。ブラックスランド氏(1941−2011)はスミレ研究家で、居住地の北米だけでなく世界中のスミレの撮影をして、もちろん、ロゼットヴィオラも含まれます。
彼女が亡くなった後、遺族がそのスライドを東京大学に寄付し、東大がこれを「Christine (Kim) Blaxland スミレ写真コレクション」としてネットで公開しています。こういう人がいると、貴重な記録が残ります。
写真下は写真上のアルビノ、つまり白花です。だいぶん印象が違う。かなり珍しく、ここにしかありませんでした。この白い花はお客さんがトイレに行こうとして発見しました。これは花のツアーではしばしばあることです。
写真上下 Viola philippii
小川のそばで昼食 目的のロゼットヴィオラを堪能し、乾ききった斜面から、水の流れる所に移動して、昼食です。
青空が広がる標高3000mのアンデスの山の上で、小川のせせらぎを聞きながらの昼食はおいしい(13:08)。
小川が流れるそばは緑の絨毯に覆われ、植物の種類も多い。
その近くの岩場で良く目立ったのが、カタバミの株です(写真下)。 写真上下 Oxalis squamata
日本でも外来種のムラサキカタバミがピンク色でなかなかきれいです。先ほど見たカタバミは黄色いで、こちらは赤です。
岩の上にわざわざ植えたような配置はなかなか見事です(写真下)。
水の流れるそばですから、多くの草花があるのですが、小さくて、似たような花が多く、区別がつかない。
写真上 Cerastium arvense 写真上と下はパッと見た時の花の印象は良く似ています。しかし、葉が違うし、写真上は茎をのばしているのに、下は葉の中に埋もれています。
写真下は絨毯状に広がっているクロウメモドキの仲間で、樹木です。クロウメモドキを調べると、どちらかというと熱帯に多く、Discariaも温帯に多く、高さも2~5mというから、普通の樹木で、ここにある地面を覆う植物とは似ていません。ただ、花の形はたしかに似ています。 写真上下 Discaria
nana
写真下はチリやアルゼンチンのアンデス山脈を中心に分布する植物で、もっと大きく背が高くなるようです。
写真上 Melosperma andicola 写真上と下は似ているが、別種です。チリでは中央部にのみ生えていることになっていますが、ネットを見ると、北米にも分布しているようです。
写真上下 Microsteris gracilis
いずれも、花も葉も小さく、さらに写真下の二つの花は似ているのに、花弁の数が違いますから、別種です。こんなふうに、小川の周囲には似ているのに違う花がたくさんあり、区別がつきません。
写真下右など、アズマギクのようでわかりやすいのに、名前は自信がありません。
写真上右 Erigeron gilliesii 明瞭にわかるのが写真下で、小川の土手にスベリヒユの仲間がきれいな花を咲かせています。主にチリの中部に分布します。
写真上下 Calandrinia affinis
この植物は上のような白い花が普通のようですが、ここには縁がピンク色のもあって、なかなか良い。
黄色いキンポウゲで、日本でも水を好む植物ですから、ここでも水のそばに生えています(写真下)。
写真上下 Ranunculus peduncularis
チリの中央部から南とアルゼンチンに分布します。
黄色いマメの花の咲いている岩場から出てきたトカゲ君の尻尾は切れている(写真下)。シッポと身体の色が違っているから、その分が再生したのだろうか。ここにもトカゲを捕食するような動物がいるのだ。
食事を終えて、来た道を戻ります。 ネヴァド溪谷 ホテルで休憩をとった後、午後からネヴァド溪谷(Valle Nevado)というもう一つのスキー場に出かけます。ファレヨスネからは12kmほど東にあり、半分ほど進むと、山の上にあるネヴァドのホテル群がかなり遠くからでも見えます(写真下)。
南半球に来るといつも勘違いするのが東と西です。太陽が北にあるので、実際には東に進んでいるのに、西に進んでいるように錯覚する。
ネヴァドのホテルのある尾根に到着しました(15:17)。尾根は平らで、道の両側にホテルが並んでいます。人はほとんどいない。パトリシオさんによれば、ここは一泊6万円するそうです。私の財布が聞いたら、卒倒しそうな金額で、冬の間だけの営業だから、こんな値段なのでしょう。それにしても、金持ちはどこの国にでもいるものだ。
ケーブルカーに標高3000mと表示されています(写真下左)。昨日、散歩した時に見たのと同じ「山の文化」という看板があります(写真下右)。下に「ゴミを捨てるな(No tires basura)」とあるから、環境保護を呼びかけた看板のようです。
尾根に並ぶホテル群を抜けると北側に展望台があります(写真下左)。
展望台から見た風景が写真下です。写真だとただの岩山だが、下が深い谷になっており、なかなか迫力があります。この谷はこのまま私たちの泊まっているホテルの南側まで続いていて、これがネヴァド溪谷なのでしょう。
コンドルとミイラ 空にコンドルが舞っています(写真下)。かなり上空なので、もう少し下りてきてほしい。「誰かが死体のふりをすれば下りて来るのではないか」という提案に対して、「年寄りはうまそうに見えないから、下りてこないのではないか」という指摘がコンドルに聞こえてしまったのか、下りてきませんでした。
おもしろいことに、コンドルが巣を作っているのは写真下の右側にあるホテルの屋上です。
屋根の上に複数のコンドルがいることから、親子でしょう。岩場の崖よりも巣を作りやすいらしい(写真下)。
展望台にはコンドルの説明と(写真下左)、もう一つの看板にNiño del Cerro El
Plomoとあります(写真下右)。Cerro El Plomoとはここの北側にある山で、直訳すれば「セロ・エル・プロモ山の子供」です。
セロ・エル・プロモ山(5,434 m)はここから約30kmほど北にある山で、山の間から見えている写真下の雪山がそれでしょう。 記事ではこのセロ・エル・プロモ山の山頂付近から、インカ時代の男の子のミイラが発見されたということです。写真下左は看板にあるミイラで、副葬品に取り囲まれているのでわかりにくいが、写真下右はサンティアゴの国立自然博物館にあるというレプリカと比較すると、しゃがんだような状態なのがわかります。
写真上右 Wikipediaから転載 山頂に埋葬された子供のミイラが他にも発見されています。1985年、アルゼンチンのピラミデ山で7歳の男児のミイラが発見されています。1999年、アルゼンチンの標高6739メートルの山頂でも、約500年前のインカの少女のミイラが3体発見されています。 さらに凄惨なのは、2016年、ペルー北部のチムー帝国の遺跡で、550年ほど前、140人以上の子供の生贄がささげられた跡が発見されています。
子供の頃、『インカ帝国探検記』(増田義郎、中央公論社、1961年)など、インカやマヤの文明の本を読んで、高度な石積みの技術や天文学のすごさに驚きました。『失われた都市を求めて』(ラム、1971年)など研究者の遺跡探検の本を読み、憧れを持っていました。 それが醒めてしまった理由の一つがこれらの文明の持つ野蛮な習俗です。心臓をえぐりだして神にささげるなど、宗教や習俗の違いとはいえ、残忍で非合理的で無意味な行為は、いくら高度の技術を持っていても、愚かな野蛮人にしか見えませんでした。 花を探す 暗い話はやめて、花を探しましょう。スキー場のホテルの近くは、踏み荒らされてしまい、花は少ない。
その人が踏み荒らした「荒野」の中で見つけたのが写真下のヒガンバナの仲間で、わかりやすく言うと、ニラの仲間です。球根に栄養を貯めて、なんとか花を咲かせているのでしょう。「おい、がんばれよ」と声をかけたくなるくらい、大変そう。
写真上下 Nothoscordum andinum
近くの乾ききった土の上にマメ科のきれいな花が咲いています。
写真上 Astragalus vesiculosus 写真下は午前中のエル・コロラドでもありましたが、あちらは薄く色がついていて、ここのように真っ白ではありませんでした。こちらのほうがすっきりしている。
写真上 Perezia carthamoides 頑張って咲いているのに名前がわからない(写真下)。 これまでも何度か出てきた絨毯のように広がる植物です(写真下)。ネットで見ると、普通はもっと葉が細長い。
写真上 Laretia acaulis 写真下は12月11日夕方、ポルティーヨのインカ湖の散歩の時に見たので、二度目です。あの時は、白と薄紫があったが、ここは白だけです。チリ中央部と隣接するアルゼンチンに分布します。
写真上下 Leucheria congesta
昨日、ポルティーヨの山の斜面でも見かけた地面を横にのびて行く花です。ポルティーヨではどちらかというと黄色だったのに、ここのはオレンジです。
写真上 Tropaeoum polyphyllum 同じようにボルティーヨでも見かけた花弁の下が袋になっているキンチャクソウの仲間です。ポルティーヨは直線にすれば、ここから60~70kmしか離れていませんから、植生が似ているのは当然です。 写真上 Calceolaria aff. andina
ピンク色の花が一面に咲いています。午前中のエル・コロラドでも少し見かけましたが、あれとは別種で、これを見るのは初めてです。 写真上下 Montiopsis umbellata
これだけの「容姿」ですから、日本でもハイマツゲボタンという名前で売られているようです。ただ、それをネットで見ると、これとは別種のように見えます。
たった一本、白花があります(写真下左)。しかも、赤い花と並んで咲いています。
写真下のピンク色の小さな花(Microsteris gracilis)はエル・コロラドの小川の近くでも見られました。一緒に写っている五弁の白い花は花弁なのか、咲き終えた花のガクなのか、よくわからない。
私は写真下の植物を見た時、初対面だと思いました。ところが、昨日、会ったばかりだった。ここにあるのがあまりに小さく、色も黄色だからです。
写真上下 Quinchamalium chilense 写真下の左が今日見た花で高さはせいぜい10cmくらいで、右が昨日見た同じ種類の花で、高さは30cmくらいあって、あまりに違いすぎる。ただ、花一つ一つの形は同じで、葉の形も同じです。昨日の場所もカラカラに乾いた厳しい環境だったのに、ここはもっと厳しいらしい。
ピンクと紫が混ざったようなシソが咲いています(写真下)。
写真上下 Stachys philippiana
鳥が近寄ってきました(写真下)。2015年にチリに来た時、ナンベイタゲリという鳥の巣に気が付かず近づいたら、激しく威嚇されたことがありました。それと同じで、巣に近づきすぎた私を威嚇しているのかと思ったが、そうではなく、人馴れして、餌でもくれないだろうかと待っているかのようです。こんな山の中でどうして人馴れしているのだろう?昨日、同じ鳥の死骸を見たが、やはり生きているほうが良い(笑)。
写真上 Sicalis uropygialis 花の観察を終えて、ホテルまで戻りました(17:24)。
朝見たアルストロメリア 夕飯まで時間があるので、私は朝の散歩で見たアルストロメリアの撮影に行きました。夕方の陽ざしだとまた違ってみえるからです。
写真上下 Alstroemeria pallida
ピンク色の花なので、朝よりも夕方の赤味を帯びた陽ざしのほうがずっと生き生きとして見える。
写真下は薄ピンクで、陽ざしを通すと花弁の真ん中に筋があるのが見えて、だいぶん印象が違います。
花を上から見ると、どの方向の虫にも来てもらえるように四方八方を向いているのがわかります(写真下)。
写真下のような一輪のほうが珍しい。 すっきりしたキクの仲間で、チリでは中央部から北にかけて分布します(写真下)。
写真上 Mutisia sinuata 写真下を最初見た時の印象は私の畑にあるボケでした。ところが、良く見ると、ピンク色の花に見えたのは実らしい。
昨日の街中の散歩でも見かけたシザンサスです(写真下)。こちらも夕陽映えする。
写真上 Schizanthus hookeri 朝はツキミソウの白い花があんなにあったのに、今の時間は数えるほどもありません(写真下)。ツキミソウというくらいで、これから夜にかけ咲くのでしょうから、明日の朝また来てみることします。
写真上 Oenothera acaulis 七時半から夕飯です(写真下)。今日は寿司で、しかも、これが前菜です。その後に出てきたのは焼きそばらしい。日本人だというので、気を使ってくれているのでしょう。
今日もたくさんロゼットヴィオラを見ました。連泊は楽です。
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